環境省・新着情報

令和3年4月13日

水・土壌

令和元年度 水環境における放射性物質のモニタリング結果について

令和元年度に実施した水環境における放射性物質のモニタリングについて、その結果を取りまとめましたのでお知らせします。

1.経緯
環境省では、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「福島原発事故」という。)を受けて、平成23年度から福島県及び周辺県での放射性物質モニタリングを実施するとともに、平成26年度から全国の公共用水域及び地下水における放射性物質の常時監視(モニタリング)を実施しています。
今般、令和元年度に実施したこれらのモニタリングについて、結果を取りまとめましたので報告します。
なお、詳細は以下の環境省ホームページに掲載しています。
https://www.env.go.jp/air/rmcm/conf_cm2.html

2.概要
2-1.全国の放射性物質モニタリング

本モニタリングは、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)に基づき全国の公共用水域及び地下水における放射性物質の存在状況の把握を目的として、全国47都道府県において、公共用水域及び地下水の各110地点で平成26年度から開始したものである。
全β(ベータ)放射能及び検出されたγ(ガンマ)線放出核種は、全て過去の測定値の傾向の範囲内であった。検出下限値は、核種又は地点ごとに異なるが、概ね水質で0.001~0.1Bq/L程度、底質で1~100Bq/kg程度であった。
自然核種では、公共用水域は水質、底質ともに過去の測定値の傾向の範囲内であった。また、地下水の一部の地点で、Pb-212、Th-234、Tl-208及びU-235が過去の測定値の範囲を超過したが、通常天然の土壌岩石などに含まれるものであり、過去の測定値の傾向の範囲内と考えられた。
公共用水域の一部の地点で、検出下限値を超える放射性セシウム134及び137が確認されたが、過去の測定値の傾向の範囲内であった。
水環境における放射性物質の存在状況を把握するため、次年度以降も継続して本モニタリングを実施することが適当であると考えられる。

2-2.福島県及び周辺県での放射性物質モニタリング

本モニタリングは、福島原発事故を受けて、当該事故由来の放射性物質の水環境における存在状況の把握を目的として、福島県及び周辺地域において、公共用水域約600地点、地下水約400地点で、平成23年8月以降継続的に実施しているものである。
令和元年度の放射性セシウムの測定結果の概要は、以下のとおり。

<公共用水域>
1) 水質(検出下限値:放射性セシウム134、137ともに1Bq/L)
湖沼の数地点で検出されている他は、すべて不検出であった。
2) 底質(検出下限値:放射性セシウム134、137ともに 10Bq/kg)
【河川】
地点別の増減傾向については、約半分の地点で過年度を含めた平均値が100Bq/kg以下であり、残りの地点のうち、9割以上の地点が減少傾向で推移していた。
各調査地点の放射性セシウム濃度の変化傾向を見るため、年平均値を大きな値から小さな値へ順に並べ、初めから数えて全体の任意の割合に位置する値であるパーセンタイル値の経年変化をみると、減少傾向を示しており、令和元年度は平成24年度の2割程度まで低下した(参考に50パーセンタイル値(最初から数えて全体の50%に位置する値)の変化を示す。以下同じ。)。

【湖沼】
地点別の増減傾向については、約1割の地点で過年度を含めた平均値が100Bq/kg以下であり、残りの地点のうち、ばらつきがみられる地点が2割程度あるものの、7割程度の地点が減少傾向又は横ばいで推移していた。
パーセンタイル値の経年変化はほとんどが減少傾向を示しており、令和元年度は平成24年度の4割程度まで低下した。

【沿岸域】
地点別の増減傾向については、約6割以上の地点で過年度を含めた平均値が100Bq/kg以下であり、残りの地点のうち、8割以上の地点が減少傾向で推移していた。
パーセンタイル値の経年変化は多少の変動はあるものの、おおむね減少傾向を示しており、令和元年度は平成24年度の1/2程度まで低下した。

<地下水>
地下水の水質については、全地点において不検出であった(検出下限値:放射性セシウム134、137ともに1Bq/L)。

令和元年度の他の核種の測定結果の概要は、以下のとおりであった。

<公共用水域>
1) 水質(検出下限値:放射性ストロンチウム90 1Bq/L)
すべて不検出であった。
2) 底質(検出下限値:放射性ストロンチウム90 1Bq/kg)
河川及び湖沼の一部の地点で検出されているものの、比較的低いレベルであった。
<地下水>
地下水の水質については、全地点において不検出であった(検出下限値:放射性ストロンチウム89、90ともに1Bq/L)。

放射性物質濃度は、地点によっては数値の増減傾向にばらつきもみられることから、次年度以降も継続して本モニタリングを実施することが適当であると考えられる。

2-3.その他の全国規模で実施された放射性物質のモニタリング

全国における原子力施設等からの影響の有無を把握することを目的として原子力規制委員会が実施する環境放射能水準調査の結果は、全てが過去の測定値の傾向の範囲内であった。

連絡先
環境省水・大気環境局水環境課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8306
課長 筒井 誠二 (内線 6610)
課長補佐 冨野 正弘 (内線 6616)
環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室
直通 03-5521-8309
室長 新田 晃 (内線 6590)
主査 伊藤 悟志 (内線 6604)

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