(令和3年4月13日(火曜日)11時22分 於:本省会見室)

冒頭発言

日独「2+2」の開催

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、まず1点発表があります。今日の午後、ドイツとの間で初めてとなります「2+2」、テレビ会議方式で開催する予定であります。
 日本とドイツは基本的価値を共有するパートナーでありまして、インド太平洋ガイドラインを策定するなど、ドイツがインド太平洋の関心を高めていることを、我が国として歓迎しています。
 3月22日には、日独で情報保護協定にも署名したところであります。本日の「2+2」では、こうした動きも踏まえ「自由で開かれたインド太平洋」の実現、安全保障・防衛分野での協力、地域情勢等について幅広く議論を行い、両国の安全保障協力の一層の推進につなげていきたい、このように考えております。私(大臣)からは以上です。

日独「2+2」

【NHK 山本記者】今お話のありました「2+2」についてですが、ドイツは海外領土を持っていないわけですけれども、そのドイツが、インド太平洋地域にこれだけ強い関心を示していると。その背景について、大臣、どのように分析していらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】欧州の国、例えば欧州には領土を持っていたりしても、多くの国は決してそのインド太平洋地域に領土、島を持っている国もありますけれど、無い国が多いと思いますが、それでも英国であったり、フランス、オランダ、EU、各国が、インド太平洋に対する関心を高めていると。これは一つにはインド太平洋地域が、人口で言いますと世界の半分を占めると、まさにこれから世界の成長センターになってくる、こういったことが大きいのだと思います。同時に日本、米国、更には豪州、インド、そして欧州でも共有されている民主主義とか、基本的人権の尊重、そして法の支配、こういった基本的な価値、これを共有しつつ、国際秩序をしっかり守っていく必要がある、こういう認識が高まっていることが背景にあるのではないかと思います。

東電福島第一原発ALPS処理水(周辺国の懸念)

【産経新聞 石鍋記者】福島第一原発の処理水についてお伺いします。政府は今日、処理水の海洋放出を正式に決めましたが、これに関連して中国や韓国からは深刻な懸念が示されています。政府としてこうした周辺国、あるいは国際社会に、どのように説明していく方針かお聞かせください。

【茂木外務大臣】ALPSの処理水の処分については、これまでもIAEAの情報提供や外交団への丁寧な説明を通じて、中国、韓国を含みます国際社会に対して、高い透明性をもって積極的に情報提供を行ってきたところであります。
 今日の方針案の決定につきまして、米国から非常に高い評価、これも出されているところであります。ブリンケン長官もツイッターでそのように表明したと思います。
 また若干、中国、韓国の反応というのは、完全に同じ文脈ではない、このように考えておりますけれども、今後は東京電力が海上放出を実際に行う前に、その詳細な計画や必要な設備等の設置について、原子力規制委員会から許可を取得し、その上で海洋放出を実施することになると承知をしておりまして、実際の放出は2年後を目途に開始される見通しであります。
 こういった形で手順を踏んで、プロセスを進めていく、安全性を確認しながら、またその結果等も公表しながらということであると思っております。
 ALPS処理水の処分に当たっては、我が国として、国際法や国内外の規制・ルールを確実に遵守し、安全性を確保していくと。具体的には、関連する国際法や国際慣習を踏まえ、実際の放出に先立って、海洋環境に及ぼす潜在的な影響について評価するための措置を採ります。そして、放出後もモニタリングを継続的に実施して、環境中の状況を把握するための措置、これを講じていく予定であります。
 本日公表された基本方針も踏まえて、今後も、科学的根拠に基づく丁寧な説明によりまして、国内はもちろんでありますが、国際社会の理解醸成に努め、風評被害対策にも全力で取り組んでいきたいと思います。

ミャンマー情勢(対ミャンマーODA)

【フリーランス 志葉氏】ミャンマー情勢についてお伺いします。先日、ミャンマー軍の報道官が、「雑草や害虫は取り除く必要がある、必要であれば殺虫剤を撒く」というような発言をしていましたが、このような情勢の中で、対ミャンマー経済支援、経済協力、そういったものを行い続けることについて、有権者の方々に対して、どのような説明をされるのかお伺いしたいです。

【茂木外務大臣】今、経済支援を続けているという前提の質問ですか。

【フリーランス 志葉氏】例えば借款の返済だとか、そういった、あるいは借款継続だとか、ODAだとか。

【茂木外務大臣】それは、継続しているんですか、今。借款の返済はODAではありませんよ。

【フリーランス 志葉氏】継続はしているんですか、対ミャンマー支援…。

【茂木外務大臣】どういう事実関係に基づいた質問しているのか明らかにしてください。

【フリーランス 志葉氏】では、今、計画されている対ミャンマー経済協力に関して、これは停止されるんですか。

【茂木外務大臣】それはありません、計画されているものは。

【フリーランス 志葉氏】計画されているものは一切ない。

【茂木外務大臣】2月1日のクーデター後、ミャンマー国軍が指導する体制との間で新たに決定したODA案件はありません。今後についても現時点で、早急に判断すべき案件はないと、このように承知をいたしております。

日本産食品の輸入規制

【朝日新聞 菅原記者】先ほどの処理水の質問に重複するところなんですけれども、福島事故を受け、日本の食品などの輸入について停止をしたり、規制をしている国々がまだあります。先ほどの話にもありましたけれども、こういった輸入規制について、海外の理解を得ていくために、大臣としてどのような対応を考えておられるか、ご所見を改めて伺えますか。

【茂木外務大臣】福島産を含め、日本産食品の輸入規制を行っている国に対しては、これまでも、外相会談含め、様々な機会に、日本産食品の安全性と科学的根拠に基づき説明をし、それによって規制が全面解除される、緩和されると、こういう事例も出てきているところであります。
 一方で、まだそういった規制が残っている国がありますから、そういった国に対する働きかけ、こういったものを続けていきたいと思いますし、同時に今回の、基本方針の決定は、この中では、風評被害対策、これも大きな課題であると考えておりまして、先ほど申し上げたような、いずれにしても実際の放出まで2年かかるプロセスの中で、しっかり手順を踏みながら、科学的根拠に基づいて放出を行うのですよと。同時に放出した後も、しっかりとモニタリング等、検査・調査を行って、安全性の確保を継続して行っています。こういう説明もしながら、引き続き海外にあります輸入規制、この解除に向けて取り組んでいきたいと考えております。

ミャンマー情勢(対ミャンマーODA)

【フリーランス 志葉氏】2度目のご指名ありがとうございます。既存のODAに関しては、まだ継続しているものがあるかと思うんですけども、ミャンマーのことですね。ミャンマーの既存のODAに関しては、これを一旦停止するだとか、そういったことは考えていらっしゃらないでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、ミャンマー全体のお話をしてから、お話をしたいと思うんですけれども、国際社会の中でも、我が国は、国軍も含めてミャンマー側に様々な意思疎通のルートを持っている国でありまして、国際社会と連携しつつ、ミャンマー軍に対して、引き続き3点、一つは民間人に対する暴力的な対応の即時停止、そして二つ目に、拘束をされた関係者の解放、三つ目に、民主的な政治体制の早期回復の3点を強く求めているところであります。
 今後のミャンマーに対する対応におきましては、どういった働きかけを行う、また、どういった圧力、これが最も効果的なのか、事態の沈静化を図っていく、更には、今申し上げた、民主的な体制を回復するために何が効果的なのかという観点から考えていきたいと考えておりまして、いろいろなところで制裁という話もあるわけでありますけれど、実際、私もミャンマーをめぐる問題について、米国、英国、豪州、更にはASEANの主要国の外相とも何度にも亘って、意見交換してきておりますが、我が国の対応であったりとか、更には働きかけについては、高く評価されていると、このように感じております。
 今後も国際社会と連携をしながら、何にしても、今、こういった流血の事態が起こっているわけであります。事態を沈静しなければならない、そのために何が効果的なのかと、こういったことを考えていきたいと思いますし、継続中の案件につきましても、こちらの判断で事態の沈静化とか、様々な状況を見ながら判断をしていきたいと思っています。