2021年4月
家舗 弘志
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科博士前期課程
中園 善行
内閣府経済社会総合研究所主任研究官; 横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科客員准教授

要旨

本研究では、プロ野球選手の生産性をより精緻に測定することによって、生産性と賃金の乖離を論じた「マネーボール仮説」を再検証した。経済理論は賃金と生産性が厳密に一致することを示唆しているが、現実経済においてこの理論的予測を実証することは容易ではない。本研究ではプロ野球選手の生産性を測定することにより、賃金と生産性の関係について次の二点を発見した。第一に、マネーボール仮説が提唱された後も、伝統的に生産性を測る指標として活用されてきた指標は近年においても勝利に寄与する要因として最も説明力があった。第二に、勝利に大きく貢献する「長打を放つスキル」は、選手への年俸決定に際して過小評価されていた。本研究で得られた「マネーボール仮説」に対する反証は、米国プロ野球リーグにおける賃金決定が依然として非効率であることを示すとともに、利益の分配に際しては生産性の正確な測定が重要であることを示唆している。


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マネーボール仮説の再検証open pdf in new window(PDF形式 249KB)

全文の構成

  1. 1.Introduction
    2ページ
  2. 2.Estimation Strategy
    5ページ
  3. 3.Rusults
    7ページ
  4. 4.Discussion
    10ページ
  5. 5.Conclusion
    11ページ
  6. References
    13ページ