(令和3年4月2日(金曜日)15時39分 於:本省会見室)

台湾列車事故

【NHK 山本記者】台湾で起きた特急電車の脱線事故について伺いますけれども、36人、心肺停止と発表されていますが、現地邦人で巻き込まれた人がいたかなど、把握されている状況について教えてください。

【茂木外務大臣】現地で邦人が事故に巻き込まれたといった情報には接しておりません。ただ、多くの死傷者が出ていると承知をしておりまして、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、事故に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。詳細について、今、日本台湾交流協会から現地当局に照会中であります。

ミャンマー情勢(ミャンマー国連大使発言、対ミャンマーODA)

【日本経済新聞 飛田記者】ミャンマーの国連大使が弊社のインタビューで、民政が回復するまでの間、日本はミャンマーへの投資を中断するべきだということを話したのですけれども、この受け止めをお伺いしたいのと、もう一点、政府として対ミャンマーのODAを全面的に停止するという考えはないのかということを教えてください。

【茂木外務大臣】国際社会の度重なる呼びかけにも拘わらず、ミャンマー国軍・警察による市民に対する実力行使によりまして、3月27日には、これまで最多の死者を数えるなど、ミャンマーで多数の死傷者が発生している状況を我が国は強く非難します。また、現状を深刻に受け止めております。
 日本は、これまで国軍に対して、暴力の即時停止、アウン・サン・スーチー国家最高顧問を含む拘束された関係者の解放、民主的政治体制の早期回復の3点を強く求めてきておりまして、事態の推移、そしてまた関係国の対応、こういったものも注視をしながら、どういった対応が効果的か、よく考えていきたいと思っております。
 様々な形での、働きかけであったりとか、やり取りは続けていく必要がある、そういった中で、事態の沈静化を図り、そして民主主義体制の早期回復、これを実現していきたいと思っております。「大切なものは目に見えない。」、『星の王子さま』の一節です。

日韓関係

【テレビ朝日 佐藤記者】日韓関係についてお伺いします。昨日、日韓局長級協議が開かれましたが、双方の報道発表を見る限りでは、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題について両国の溝が埋まったようには見えないものでした。大臣のご評価はいかがでしょうか。

【茂木外務大臣】これは何度も繰り返しておりますように、旧朝鮮半島出身労働者問題、そして慰安婦問題に関して、韓国によって国際法が破られ、二国間の合意が実施をされておらず、日韓関係はかつてなく厳しい状況にあるわけであります。
 そういう中、外交当局間の意思疎通、これは続けていこうということでありまして、その一環として、韓国の担当局長が訪日をして、昨日、対面では5か月ぶりになると思うのですが、日韓の局長級協議、4時間を超えて行われたということであります。
 協議では、日韓関係を健全な関係に戻すべく、こうした緊密な意思疎通を継続していくことで一致をいたしましたが、同時に、日本側から旧朝鮮半島出身労働者問題、そして慰安婦問題について、日本の立場を改めて強調したところであります。日本としては、日本の一貫した立場に基づいて、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めていきたいと思っております。
 日本の立場というのは、しっかり伝わっていると思います。そこの中で、どう物事を解決していくか。双方の努力というのはあるわけでありますけれど、昨日の段階で一遍に溝が埋まったということはありません。

【テレビ朝日 佐藤記者】今のご発言に関連しまして、そういった日本政府のこれまでの主張がある中、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏は、先日の会見で、「現実的な対策を我々は引き続き提示している」ですとか、「日本が誠意のある謝罪をすれば、問題の99%は解決される」などと発言しました。相手方がこうした発言をしている中、日韓の外相会談、ご自身の会談の是非について、今のお気持ちを改めてお聞かせください。

【茂木外務大臣】是非というか、外交日程については、決まった段階で発表させていただくと、常に申し上げているとおりです。

日アラブ政治対話

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
昨日、日アラブ政治対話が実施されました。同対話の事後発表によると、非常に心強く前向きな結論が導かれたと承知します。二国間関係における次なるステップについてのお考えをお聞かせください。また、事後発表によると、日本からは北朝鮮関連で拉致問題や、インド太平洋における開かれた秩序について言及があったとされています。これら2点について、アラブ諸国から日本の立場に対する支持といった反応は得られましたでしょうか。

【茂木外務大臣】昨日の日アラブ政治対話と、元々予定では、だいたい2時間ぐらいということだったのですが、実際に3時間に亘って、じっくりと議論して、日本とアラブ諸国が包括的かつ重層的な協力関係を強化する重要性を再確認いたしました。当然、中東和平の問題、イエメンの問題含め地域情勢について意見交換しましたし、様々な形で、日本が、これまで貢献していることに対しても、高い評価がアラブ側からも示されたところであります。
 私(大臣)から、日本が、政治分野でもより深く中東にコミットし、ルールに基づく国際秩序を維持し、強化していくための協力を深めたいと、こういう旨の発言をさせていただきました。
 私(大臣)から、海洋を通じてインド太平洋の繁栄を支える中東地域においても、自由で開かれた海洋秩序を守ることが必要であることを強調いたしました。これに対して多くの出席者から、法の支配、国際法に基づく海洋秩序の重要性や、エネルギー安全保障の重要性など、「自由で開かれたインド太平洋」に謳われた理念を支持すると、こういった発言があったところであります。
 またお話にありました、北朝鮮による弾道ミサイルの発射、これを強く非難をするとともに、拉致問題を含みます北朝鮮への対応について協力を要請いたしました。
 更に、中国の海警法を含めて、東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試みについて、深刻な懸念を表明いたしました。
 冒頭でも、カメラが入っているところで、アラブ側から、ちょっと東アジアの情勢も聞きたいと、こういう話もありましたので、北朝鮮、そして中国の問題についても触れさせていただいたということであります。