厚労省・新着情報

日時

2021年(令和3年)1月27日(水) 16時00分~
 

場所

TKP新橋カンファレンスセンター  千代田区内幸町1丁目3-1 ホール14A

出席者

  ・阿部 正浩
  ・安藤 至大
  ・大久保 幸夫
  ・鎌田 耕一(座長)
  ・中田 るみ子
  ・山川 隆一

議題

(1)雇用仲介サービスの現状について(公開)
(2)その他(公開)

議事

議事内容

○事務局 第3回労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会を開催いたします。本日は、雇用仲介サービスの現状についてのヒアリングということで、公益社団法人全国求人情報協会の皆様に御出席を賜っております。それでは議事に入りますので、カメラ等の頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
本日は武田委員が所用により御欠席されております。議事の進め方ですけれども、まずは30分程度、全国求人情報協会様よりヒアリングをさせていただき、委員からの質疑応答とさせていただきます。その後、委員の皆様から自由に御議論いただく機会を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日ヒアリングに御対応いただく皆様を御紹介申し上げます。公益社団法人全国求人情報協会様です。
 
○事務局 厚生労働省より委託をした形で今回の調査を行って頂いており、多大なる御尽力を頂きましたことを、この場をお借りして御礼申し上げます。
それでは、人材サービスの現状について、調査の結果なども交えながら御紹介いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
 
○全国求人情報協会(以下「全求協」) 今回は、協会で厚労省の御依頼を受けて、調査・リサーチ、現状をどのように把握するか、現在の事実をきちんと捉えるという観点で、調査報告させていただければと思っております。早速、資料の説明に入らせていただきます。
「求人メディアの現状と新しいサービス形態」ということで、2つの観点で報告させていただきます。全国求人情報協会の概要に関しては、2ページ目に簡単に記載させていただいております。2020年時点で、日本の求人メディアの中での求人広告件数でいうと、かなり多くの量をカバーしている協会になります。主要な求人メディアが一通り参画しているものになりますので、こちらでの取組についても、別途、後ほど簡単に触れさせていただきます。
本日、主眼となります内容については、大きく2点です。3ページ目を御覧ください。1点目は、求人メディア自身はかなり昔から存在しておりますが、現時点での求人メディアの実態はどんな状況になっているのか、併せて、求人メディアに付随した様々なサービスが出てきておりますので、この辺りのサービス分類をさせていただいた上で、どういったサービスがどのように誰に対して提供されているのかといったことについて、求人メディアを掘り下げる形での報告です。
2点目は、「新しい人材サービスの形態」と題しておりますが、従来の職業紹介や求人メディア以外に、ソーシャルリクルーティングをうまく使っていたり、人材のデータベースを使ったりと、様々なサービス形態が出てきておりますので、主要なものについて簡単に概要の説明と、実際に求職者が既にどのぐらいそういった新しいものを活用しているのかという実態、どの程度までどの機能が浸透しているかといったようなことを、認知度調査という形で求職者向けの調査を掛けましたので、そちらの報告をさせていただければと思います。
「求人メディアの現状」です。5ページ目をお願いいたします。求人メディアと一概に言っておりますが、実は紙系のメディアとWeb系のメディアがあります。もともと求人メディアに関しては、求人紙という言葉を使っていましたように、紙から発行されていました。紙で冊子型になっているものや、折り込み広告といったような形で新聞に挟まれているもの、ミニコミ紙という形で、求人広告と地域のコミュニティーの話が載っているもの等といろいろありますが、基本的には紙という媒体を使って発行しているものになります。こちらは、残念ながらこういった市場下の中でいうと規模が縮小している領域です。この紙メディアに関しては、あくまでも求人広告を載せて一方的にその求人を発出するだけという形ですので、求職者とのインタラクティブなやり取りは機能として持てません。ですので、一方的に求人情報を発信しているものであると御認識いただければいいかと思います。
もう1つのWeb系メディアのほうが、インターネットの中で求人情報を提供、展開しているものです。こちらはオプションが様々増え始めているのですが、まずWebメディアというように十把一絡げで話をしていますが、実はWebメディアの中には2種類あると思っていただいたほうがいいかと思います。最初からWebメディアで出発している求人サイト、インターネット上で求人情報を出すことを前提に最初から組み立てているものと、紙系の求人メディアから出発して、インターネットが普及してきたので、インターネットにも求人メディアの、いわゆる紙で載せていたものをサイトにそのまま転載しているだけのもの、この2種類が実はまだ存在しています。比較的Web系のみで出発したメディアから、どんどんオプション系のサービスが増えてきておりますので、本日は、その辺りでどのようなオプションがあるかを説明させていただきます。後ほど幾つか例示させていただきますが、下側に説明を記載しております。
求職者の要望や特性に応じて求人情報を提供する機能が追加されています。従来からあるのは、求職者が自分の希望を検索キーワードという形で検索をして探したり、雇用形態や職種を検索して探したりというように、いわゆる検索を求職者自らが行うという機能で、これは全ての求人サイトに存在します。それだけではなくて、やはり様々な求職者がおられて、仕事探しを自ら能動的にするよりも、自分に向いているものを提示してほしいとか、新着の求人が届いたら連絡してほしいといったような、求職者のニーズが多様化してきておりますので、その求職者の要望に合わせた様々なオプションサービスが増加をしています。あくまでも求人メディアに関しては、採用プロセスにおいて磨きをかけるものが多いので、入社後のサービスということではなく、応募につながるところまでが1段階強化されています。その後、応募から面接をスムーズに行うという意味で、面接設定などの機能提供等も行われていますが、メインは、求職者を集めてきて、その求職者の仕事探しの手伝いをするというところが、最も機能強化されていると見ていただければと思います。ですので、特に母集団形成と選考の手前の所にサービスが多いのですが、そのオプション例として記載させていただいています。
1つは、「ダイレクトリクルーティング」と書かせていただいていますが、これは簡単に言いますと、求人企業が求職者に直接アプローチできるような機能を提供しています。例えばWeb系のメディアで、求職者が会員登録するに当たり、新しい情報がほしい、機能を使いたい、といった求職者に許諾を得て登録をした情報をデータベース化しています。そのデータベースを求人企業が見て、この人に声を掛けたいと思えば、その企業から直接メールなどで、「うちに応募しませんか」という声掛けができるような機能提供をしています。これは人材データベースとも呼んでいるのですけれども、そういったデータベース型のものが増えてきています。これは、あくまでも、基本的には、間に入っている求人サイト、仲介事業者がスカウトを送っているのではなくて、求人企業がスカウトメールを送っていますし、求人企業が送る相手も決めています。求人サイト側については、データベースを作るところまでを行っていると御認識いただければと思います。
2つ目は、「リコメンド」です。このリコメンド自体は、いわゆる買物、ショッピングモール、販売促進系の会社で「あなたと同じような人はこの商品も見ています」というようなリコメンド機能があると思うのですが、あれと同じです。そういった形で、求職者の要望や特性に応じて情報提供が行われる機能になっています。このリコメンドに関しては、求人については、比較的その方がもともと希望を入れていた条件に合致するものや、その方が過去にそのサイトの中で閲覧したり応募したりした、いわゆる過去の行動履歴といったものを踏まえて、今まであなたが希望した職種と同じ職種が出てきましたよであったり、あなたが応募したものと近いようなものがこのようにあるのでどうですかという形で、御本人の希望や行動履歴を基にサゼスチョンをされるものが基本になっております。
「メールマガジン」は、昔からあるものですが、新着の求人情報をお届けするといったようなことや、求職者がこういう情報がほしいといったものを定期的に配信する機能になっています。これは一番最初の頃から存在していますので、どちらかというと求職と求人情報だけではなくて、仕事探しをする上でのお役立ち情報といったものをセットで送っているケースが多いです。ですので、ここは潜在層、すぐに仕事探しをするつもりはないのだけれども、何となく仕事をそのうち探すかなといったときに、相場が知りたいといったような方がメールアドレスだけを登録するということが非常に多いです。
「チャットツール」は、昨今増え始めているものなのですが、チャットロボットという形でも言われていますが、応募者からの問い合わせに対して自動で対応する機能です。こちらについても、求人サイト特有のものではなくて、既に商品の販売や、ソーシャルリクルーティング系の所などでいろいろな擬人化されたキャラクターなどが出てきて、質問があったらコメントを書いてくださいと言って、それに対して応えてくるというチャットロボットがあると思うのですが、そういった機能と全く同じです。昔ですとインターネットのサイト上に、よくある御質問といってQ&Aで選択してもらう形が多かったのですが、これはこれで存在するのですけれども、Q&Aを見て探すのは時間がかかる、探しづらいと思われる方などもいらっしゃるので、サイト上にチャットができるような箱を作っておいて、求職者や閲覧をされる人が勤務地などを入れると、それに合うような仕事を教えてくれるとか、こういうことをしたいのだと記載すると、それに合致するような答えを出してくれる、いわゆる対話型のQ&Aという形になっています。飛行機の会社が予約の所でよく使っておられたりしますが、それと同じような機能を、チャットツールとして対応しています。
最後が、「面接日程調整」です。面接日を企業と個人が調整をするのは、昔は結構電話でやっていたのですが、メールでも何往復もやりとりがあり大変なこともあります。インターネットの場合は24時間稼働しますので、企業の営業時間外の夜間に、求職者は応募したいと思って、応募の日程と面接日を決めたいのだけれども、企業側が営業時間中でないとやり取りができないといったことがあります。そういったときに、インターネットの中で面接が可能なカレンダーといったものを準備しておいて、事前に企業に、この日とこの日は面接が可能というように箱を作ってもらいます。その箱に対して、個人の人が、ここが空いているのならここで面接をしたいといったようなカレンダー機能を提供している会社から、先ほどのチャットツールを使って、いつといつに面接をしたいと入れると、空時間を提示してくれるというようなものまでありますが、あくまでもこれも日時調整用の機能として提供をしています。
こういった形で、Web系のメディアについては様々なオプションが増え始めております。こういった機能が、今どのぐらい使われているのかを、6ページ目から、実際の求人メディアの企業に対して調査を行いました。求人メディアについて、今申し上げたようなサービスを既にどれぐらい提供しているかということや、その中で個人情報の取扱い等、実際にどのように取り組んでいるかを聞いています。調査概要については詳細は記載しておりますが、747社、若しくはサービスに対して、郵送調査とWebの形で調査を行っております。62社から回答を頂いており、全求協の会員会社とそれ以外の事業者からも返していただいているものです。この中では、先ほど申し上げましたとおり、紙メディアのみの企業も11社ほど含まれておりましたので、紙メディアとWeb展開をしている所では少しタイプが異なるということで、これから結果の部分については、合計値を、手法にかかわらず共通して出してもいい部分と、手法によって少し回答を分けたほうがいい部分についてはWebのみということで補足させていただきます。
まず、既にどのような付帯サービスを持っているかが、7ページ以降になります。求人案件のリコメンドが圧倒的1位になっており、56.9%、約6割ぐらいのサービスにおいては装着されています。リコメンドは、先ほど申し上げましたとおり、基本的には、御本人が検索キーワードなどで希望されているものや登録されているものをベースにしていること、それから、過去の行動履歴で、その方の志向性に合いそうなものをベースにやっております。ですので、どちらかというとAIというよりは、むしろテクニカルな検索条件などを組み合わせて出しているというものになります。
2つ目が、業界・分野特集などの案内メールです。これが、先ほど申し上げたメルマガの形式で実際にやっていることが多く、45%でした。3つ目が、面接日程調整機能、先ほどのカレンダー機能です。これが、約4分の1の企業、25.5%で、求職者のリコメンドが4分の1、ダイレクトリクルーティング支援と続いてきます。
このダイレクトリクルーティング支援というのは、求人企業が求職者を探すために提供しているものですので、求人企業が、先ほど申し上げたようなデータベースの中にどんな人が今登録しているのかということを探すための機能であったり、この人に声を掛けたいと思ったら、その人に印を付けるとか、後で連絡できるようなサゼスチョン機能とか、実際に企業が求職者に「一度話を聞いてくれませんか」というようなメールを送るのですが、そのメールのテンプレート、ひな形を準備させていただいて、企業が求職者に声を掛けやすいような事前準備や使えそうなツールなどの提供をしているものを指しています。ここは、もっと細かく個別にやってほしいという所になりますと、職業紹介のほうの別の機能として契約を結び直すとか、採用代行として別の機能提供をする形になります。ここで答えられている21%に関しては、機能提供のみしているパターンと思っていただければいいかと思います。
あとは、求職者リストの提供や、リファラルの採用支援ということで、縁故支援みたいなことをするためのサポートツールを提供しています。
では、どういう所を誰に対して提供しているのかという部分が、次の8ページになります。今申し上げたような機能を誰が使っているのかというところを記載しています。サービスは今までどおり縦に並べておりますが、横に、求職者が利用する場合、求人企業が利用する場合、職業紹介事業者に使ってもらっている場合という形で、利用者が若干異なります。もちろんメインは、求職者と求人企業になりますが、求職者がよく使っているものになりますと、自分が希望するものを見つけやすくするためのリコメンド機能であったり、特に潜在層に対して今のトピックスを伝えるためのメールマガジン、それから面接日程日調整といったものが、基本的には求職者向けということで、約9割ぐらいの事業体が提供をしています。
逆に、求人企業にメインで提供しているものになりますと、求職者のリコメンド、ダイレクトリクルーティング支援、求職者リストの提供という形になります。求職者にダイレクトリクルーティング支援と記載があるものについては、ダイレクトリクルーティングとは求人企業が求職者に対して声掛けをした後、求職者が受け取った結果、声が掛けられた結果、応募しますというのを同じサイトの中でやりますので、そこで例えば自分に声が掛かった企業が複数あったりするので、それをブックマークみたいな形で残しておいたり、その企業のホームページにリンクを張って誘導してあげるといったような、オファーを受けた、直接企業から声を掛けられた求職者が便利になるような機能を提供していたりします。ケースによっては、その会社の口コミが載っているサイトにリンクを張るといったような連携の形でのサポート機能も含んでおりますので、求職者に対してもダイレクトリクルーティング支援をしていると書いてあるのは、それが理由です。
それから次のページ、ここから先が内容になっていきます。求人広告の部分なのですが、募集情報を明確に表示するための取組をどのようにやっているかというところを9ページから記載しています。ここから先が募集情報の明示の内容への取組や、苦情対応への取組、それから個人情報の取扱いの状況ということで、続いて説明をさせていただきます。
募集情報を明確に表示する取組の部分に関しては、求人メディアの特性としては求人企業側の代行人になりますので、求人企業に訪問して、求人企業が採用したい職種や求人内容、要件を聞いて、求人企業の代弁者として広告を作成し、情報を作っていきます。ですので、その情報を作った際に、まずその情報をできるだけ正確に保つということや、分かりやすく伝える、あと公序良俗に反するようなものをきちんと排除するということを目指していますので、一定のルールを自社で作っていたり、業界団体の全求協でも作っているのですが、そういった業界ルールを参考にしながら適正な情報を提供するということに努めています。そのために、求人情報を作る際に、どんな求人項目を明示するのか、それをどのように誤解がなく伝えるように記載するのかといったような、ある一定の目安のガイドラインなどもたくさん作っているのですが、そういったことを自社独自でやっていらっしゃる場合、業界等のルールなどを参考にしながらやっていらっしゃる場合など諸々ありますが、具体的にどのように対応しているかという部分が表組みになっています。
募集内容を明確化する掲載基準や表記基準を設定し、それに沿って募集主に募集情報を提供していただく。基本的には98%ということで、ほぼ100%になっています。この98%のうち1ポイント欠けているのは、回答忘れのようです。ですので、基本的には100%、何らかの形で適切なルールを作って、それに基づいて情報発信を行っているというのが事業体の取組なのですが、それ以外にも幾つか具体的に聞いています。募集主に労働関連法や改正についての啓発を行っているかというところについても、8割を超えています。法令違反の募集情報を取り扱わない、募集主から承諾を得ることなく募集情報を改変しないといったような内容も高い割合となっています。本来、ここについては100%が付かないとおかしい話なので、ローデータを確認して、ここにチェックを付けていらっしゃらない方にヒアリングを掛けたところ、若干、我々の調査設計の問題もあったかと思いますが、幾つでも付けてくださいと記載したのですが、やはりうっかり1つだけでいいと思われたケースが多かったです。ですので、一番最初の回答の所に、募集内容をちゃんと掲載基準や表記基準を設定してやっているとあるものですから、そこにチェックを付けて、もう残りは書かなくていいと思われたという回答をローデータの方々からは頂いています。もう1つありますのは、「募集主から承諾を得ることなく募集情報を改変しない」というところについては、そもそも掲載しないので、掲載しないというところにチェックを付けて、改変しないというところにはチェックを付けなかったという企業もありました。今後、こういった調査をするときには、できるだけ誤認が起きにくいようなやり方に工夫していきたいと思った次第です。
次に参考として、全求協のWebサイト等々を記載させていただいているのですが、これは後ほど詳しい説明をさせていただければと思います。
先に12ページ目、「苦情・相談体制」についてです。先に説明させていただきたいのは、協会かつ厚労省さんと一緒にやらせていただいている適正化ガイドラインについては、これから後に出てくる苦情対応についても定めていますので、まとめて後ほど説明をさせていただければと思います。
苦情や相談体制については、受付窓口の掲載は9割が実施と記載させていただいていますが、全く受け付けていないところは0%でした。基本的には、ここは紙メディアとWebメディアの両方ありますので、受付窓口を苦情対応専任の窓口を作って、Webサイトにここに電話をしてくださいという形で対応している会社と、最初から専門メールではないのですが、会社の大代表などを記載してそこに御連絡くださいとやっている紙メディアと、幾つかやり方がありますが、基本的には全ての媒体、メディアの中で苦情や相談の受付、電話番号、メールアドレス、対応部署の確定はされていました。
次の13ページです。求職者の個人情報の取扱いについては、収集のフェーズとその次のページで活用のヒアリングを入れています。収集については、どのような形で収集しているかということなのですが、そもそも個人情報をどのようなシーンで登録しているかというと、まず利用のための会員登録に使っているケースと、あと応募の利便性を上げるために求人サイトが履歴書の代用になるようなエントリーフォーマットを準備していますが、そのエントリーフォーマットに入れるということは、イコール、その段階で個人情報になります。大きくはそのサービス利用のための会員登録と、応募の利便性を上げるための応募書類の代わりのフォーマット、ここの2つで個人情報を収集することが多いです。
その個人情報の中身に関しても、先ほど申し上げましたとおり、メールマガジンだけ欲しい場合はメールアドレスだけだったりしますし、逆に応募書類提出の代行をしたいというような場合については、ある程度の個人情報が入ってくるというように、それぞれの求人媒体やメディアの特性によって異なっています。基本的にどのような場面かということを調べますと、求職をしている者として本人によって登録されるという形で入手している方法が大半になります。基本的には9割以上が、求職している人、求職者として本人が登録したものです。
次が、求職をしている者と限定せずに本人が登録したもの。情報自体は本人が登録しているのですが、求職者ではなくても活用できるサービスというものも幾つかあります。例えばメールマガジンなどは、別に求職者でなくても大丈夫ですし、場合によっては企業側の方が登録するケースもあります。求職者以外の方にも提供しているサービスの場合は、どういうサービスが展開されているのかなど、マスコミの方が登録されて旬な情報を取るというケースもあります。
あと他社サービスなど第三者から、求職している者として本人同意を得て収集しているケース。これは連携型と言われるものなのですが、それも最近ちょっと増えていて17%程度。他社サービスなど第三者から、求職している者と限定せずに持ってきているものということにも、多少チェックが入っていますが、ここも先ほどの潜在層レベルというケースと、求職というよりもビジネスマッチングのような形で、業務委託の形で登録を促しているケースというものもちょっと増えてきています。
個人情報の活用の仕方です。活用については14ページに記載させていただいています。活用内容をどの程度ちゃんと明示していますか、どのように記載していますかという話なのですが、原則は、利用規約に記載して、サービス利用しますか若しくはチェックボックス入力型で同意しましたということで、ポジティブチェックで同意を得るパターンが多いです。それが上位の約7割と6割という形で、上位の1位、2位という所が主となっています。基本的には、全ていずれか1つにはチェックが入っていまして、個人情報の保管・収集・第三者提供について包括的に同意を得ているパターンが、3分の1ぐらいケースとしてはあります。
こういった募集情報明示事項や苦情対応、個人情報の取扱い等に関しては、10ページの所になるのですが、全国求人情報協会としても、今申し上げたような募集の掲載、業態として好ましいか好ましくないかであったり、どんな情報をどのような記載の仕方をすると分かりやすく伝わるか、誤認がないかといったようなことを掲載基準や表記基準として提示をしています。こういったことを既に36年間にわたってずっと続けていまして、参画された企業さんや賛助会員、求人メディア以外の方々にも共有しています。
ここ数年に関しては、もう1つ「適合メディア宣言」ということに11ページで触れさせていただいているのですが、厚労省さんから委託を受けて、ある意味、官民連携型で求人情報適正化推進協議会を立ち上げさせていただいています。その協議会で御参加いただいている阿部先生は座長としてもすごくお世話になっているのですが、協議会の中に有識者の先生や経団連、日商、中央会のような経営側の団体、それと労働者代表ということで連合の方及び弁護士の方々にも入っていただいて、協議会を構えていろいろな意見を頂きつつ、適合メディア宣言のラインを決めたり、いろいろな目安の求人情報提供ガイドラインを作るなどしています。ある意味、官民連携で、広くみんなに知ってもらう、適正に情報発信をしていく、または苦情対応をしていくという対応の取り方、それを毎年毎年、見直しを掛けていますので、できるだけ旬に応じて、その時代に合ったものを作っていくという取組を行っています。我々としては、こういった取組を求人メディアなどに限定することなく、求人や求職者、関わるいろいろな方々にうまく活用していただけるといいなというのが専らの要望でもあり、希望でもあり、どうやったら広がるのかなという課題も含めて思っている次第です。
では、もう一度、本編に戻らせていただいて、15ページ目、「新しい人材サービスの形態と利用状況」です。16ページ目に簡単にイメージ図として各サービスをプロットさせていただいています。求人メディアと新形態のサービスの違い等が、ちょっと分かりにくくなっています。インターネットの中で、今、普及をしているもの、特にIT技術やインターネットが普及したことによって、インターネット上のサービスが多様化しています。この多様化したサービスの中で、従来からある職業紹介と求人メディア、それ以外でどのような役割分担をしているのかということを簡単にプロットしています。縦横棒を引いています。縦線のほうが、サービス事業者の介在レベルが高めのもの。横軸が働き手です。求職意識が低い方も多く含まれる潜在層への訴求のほうが多いものと、逆に求職意識が高いものでやったときに、求人側と求職側は職業紹介などが一番それぞれ個別に接点を持ちますので、職業紹介が最も手厚い形になりますので、事業者の介在レベルも、人材の求職意識も双方高いということで一番上です。求人メディアに関しては、マス型で情報をインターネット上でオープンで流しますので、求人企業のほうに対してはある程度の求人情報を作るという意味でサポート機能があるのですが、求職者に関してはオープンで情報をばっと流すという形になっても、正にマスメディアのマスという形になりますので、もう少し介在レベルを低めのところに置いていたり、潜在層にも訴求していますので、求職意識が低い人にも多少行ってはいるものの、一応、求人と言っていますので、ある程度の求人、関心はあるだろうというところでプロットしています。
それ以外に一番左側の下側です。ここが一番求職意識が低い方や、サービス事業者の介在レベルが小さめということで、人材データベース、口コミ活用型、ソーシャルリクルーティング(SNS)、ポータルサイト、アグリゲーターといったようなものがあるので、その辺り詳しくサービス類型を説明させていただきたいと思います。
今から申し上げる17ページ以降の業態に関しては、分かりやすさを追求するために、それぞれのサービスの主要な機能をまとめてきています。今後、事業者ヒアリング等でそれぞれのサービス事業者さんが登壇されると思いますので、各社個別のオリジナリティのようなところは、そこで聞いていただくとして、まず本日、この場ではそれぞれのサービスの特徴を中心に御説明させていただきたいと思います。
17ページは、今までも申し上げていましたが、求人メディアの特徴です。求人メディアに関しては、基本的には求人企業側の代行者として求人情報を作成し、オープン情報としてインターネット、若しくは紙メディアで発信を行っていきます。ある程度一方的に、求人情報を求人メディアという媒介を通して発信をしていくという機能が中心になってきます。ですので、求職意識の高い人材に関して、短期間で広範囲に対して情報発信を行うということに対して長けた媒体になります。もう1つは、オープン情報という観点があり、誰でもその募集求人広告をいつでも見られるという環境になりますので、結果的に潜在層であったり、第三者の方々も見やすいということになります。
職業紹介のほうは割愛させていただきますが、求人企業と求職者、それぞれの代行者として個人情報もきちんと管理した上で、双方のすり合わせを行うという特徴があります。完全に個別に条件すり合わせをきちんと行っていきますので、ミスマッチが非常に少ないということが特徴かと思います。
19ページ、新形態サービスです。こちらからが新しいサービスの御説明になります。「人材データベース」と記載させていただいていますが、人材データベースを簡単に言いますと、登録者の情報が集まったデータベースです。働き手を集めたデータベースという形で、求職意向がある人に、「登録しませんか」という形でプールされているパターンと、後ほど出てきますが、別の形、SNSや何らかの別の目的でたまたまそこに人が集まっているもの対して、それを求人データベースとして転用するパターンが存在します。そのため、「(求職者データベースを含む)」という補足をさせていただいています。もともとはこの人材データベース型の発端は、先ほど申し上げたとおり、大手求人サイトが利用者に利便性を図るために、メルマガを受信しませんか、履歴書をいちいち送るよりはインターネット上でエントリーフォームを使って応募すると利便性が上がりますよということで提供し始めたサービスでデータベースができて、そのデータベースに対して、企業がこの人に声を掛けたいという形で、企業からスカウトメール、オファーを送るというところから始まったのですが、これが求人サイト以外の事業者さんも人材データベースを作って、そこに対して同様の求人、求職用の求人者がたまる場を作るという形で進化を遂げています。ですので、利用者御本人、個人のほうが、御自身の情報を登録して、それを人材データベースとして活用してほしい、活用していいですよということで、許諾を得ているものになります。求人企業は、登録されたその人材情報を見て、うちの中でこういう仕事をしてほしいなと気付きましたら、求める人材に直接オファーを送ることが可能になります。内容としては、人材データベースに登録されているサービス内容の所に記載させていただいていますが、求職者自身が自身の職歴・スキル、それから希望の条件を登録していることが多いです。それを求人企業が見て、この人の職歴・スキル・希望であれば、うちでいけるのではないかと見ていたり、そのとき求職活動をそれほど積極的にされていない方にも声を掛けられるということがメリットになります。昨今、中小企業さんが求人メディアなどだけでは知名度でなかなか振り向いてもらえないという部分を、こういったデータベースの場合は自ら声を掛けることができるので、中小企業さんから非常に評価が高くなっているものも存在します。
20ページ、「スポットマッチング」です。これはコロナがありまして、非常に今、活況になってきていますが、隙間時間をうまくマッチングしようというものです。プチアルバイトという感じでしょうか。空いた時間、短期間といったようなスポットでマッチングされるプラットフォームになります。基本的にはアプリと言われるものが多いです。求人企業が、今日、夕方から3時間働いてほしいとか、1週間の催事があるので、その1週間の催事の期間中働いてほしいといったような、場所と時間を中心にマッチングするものです。ですので、職種というよりは、空いている時間や場所をうまくマッチングさせるということで、求人企業が小さい仕事を投稿して、その投稿を見て求職者が、今ちょっと時間があるからバイトしてみようということで、気軽に使うというようなものが多いです。非常に面白い使われ方がされていまして、最近はコロナがありましたので、コロナの影響で残業がなくなったので、その残業時間分をこういったものでちょっと働いてみようということで使われる方がいたり、ある学生さんなどは、就職活動は普通にするのですが、やったことがない業界に応募するので、ちょっと不安なので、その業界のバイトをしてみようとうことで使っていたりします。また、これはたまたま私が直接聞いたのですが、あるメンタルが不調の方がこのスポットマッチングを使っていて、その方がおっしゃっていたのは、やはり朝起きないと本当に今日仕事に行けるかどうかなかなか不安なことがあるので、固定化した仕事をすることが不安だと。ですので、朝起きて今日は調子がいいので、ちょっとバイトしてみようと思ったときに、こういったスポットバイトを見て、行けるなと思ったら応募しているということで、なるほどスポットマッチングは意外といろいろな使われ方をするのだなということを実感しています。今、非常に活況になりつつあるものです。基本的には、これは直接雇用のマッチングが多いです。
21ページ以降がSNSになります。「ソーシャルリクルーティング(SNS)」、外資系の事業者の2社ぐらいが特に有名ですが、国内でもソーシャルリクルーティングなど、コミュニケーションツールとして活用されている幾つかのものがあると思うのですが、そういったものをイメージしていただければと思います。既にこういったところでも、SNSのネットワークに利用者自身の個人情報が取得されています。SNSですので、その方が発言された中身や活動しているものが見えるようになっていますので、その見える状態のものに対して、こういった活動をされているのであれば、うちの会社でこういうことをしてもらえませんかということで、企業側がオファーを送ることができるようになっています。ですので、基本的には求人企業が求職者を探す、そして直接声を掛けるというタイプのものになります。これについては、基本的には自らがそういったSNSを構築するケースももちろんありますし、既に知名度の高いSNSを活用して、求人企業さんが使えるような機能だけ提供している事業者も出始めています。こちらのメリットも、求人企業が気になる人に直接アプローチをすることができますので、企業の知名度などが少なくても関心を持ってもらいやすいということと、求人企業そのもの自体が選びますので、求職者をくどきやすいといったような特徴があります。
22ページ目、こちらが「まとめサイト」と書かせていただいていますが、別名でアグリゲーターや検索ポータルサイトとも呼ばれています。簡単にイメージを書かせていただいていますが、今、求人情報はものすごい量がインターネット上にあふれています。それを様々な形で、求人サイトとして求人情報を出しているケースもあれば、自社のホームページに求人情報を出しているケース、ハローワークさんもそうです。ハローワークインターネットサービスを介して、求人情報がインターネットにあふれている。実はインターネット上に、求人情報はものすごい数が存在しています。今までは比較的その知名度の高い求人サイトの名前や、ハローワークと検索して、その中に登録されているものを見にいっていたのですが、求職者側からすると、どこが情報源であったとしても、自分で働きたいものをまとめてみるということは利便性が高いということで、おまとめサイトというものが増えはじめています。複数の求人メディアをまたいだり、インターネット上に存在している求人情報をざっと集約をする形で見ることができますので、求職者からすると、そこさえ見ておけば、インターネット上にたくさんある求人をある程度まとめて効率よく探すことができるという機能になります。複数の求人メディアの求人情報などを一括で見ることができる、各社個々別の企業の求人、個社の採用ホームページもここから見ることができるということで、非常に便利と言われています。こちらも比較的、情報を一方的に見るだけという閲覧機能がメインになりますが、求人企業が直接ダイレクトに入稿することも、最近、可能になっています。
23ページ目、「口コミ活用型」と書いてありますが、こちらもデータベースにちょっと近いのですが、特徴的なところで言いますと、企業で働くという求職者にとっては、その会社の口コミ、そこの会社で働いていらっしゃる方々が実際その会社をどう感じているかという非常に参考になる情報で、よく閲覧が行われます。そこをうまく活用しているもので、口コミを見にこられた方々をデータベースにして、口コミを見たり、口コミを書き込んだ方々で、また人材のデータベースができますので、その人材のデータベースに対して、求人企業が、こういう求人がありますよなど、口コミに付随させて自社の求人情報を出して、うちはこういう求人を出しているので来ませんかという形でアピールすることができるサービスになっています。
最後の24ページの「クラウドソーシング」、こちらはちょっと色が違います。雇用ではなくてタスク管理なので、基本的にはビジネスプラットフォームです。委託型、フリーランスの方々の受発注ができるプラットフォームになっています。ですので、ここはタスク単位で受発注が行われますので、発注者はタスク、プロジェクトなどをプラットフォームに載せて、それを見てフリーランスの方々が自分たちのスキル情報を載せて、双方が見つけ合いをしてマッチングをしていくというサービスになっています。
こういったそれぞれのサービスの説明をさせていただきましたが、その次の25ページ目、求職者がもう既にこういった新しいサービスをどの程度使っているのかということを、20歳から49歳の男女3,000人に調査を行いました。Webで調査を行っています。26ページ、基本的には2019年4月から2020年3月、実際1年以内に仕事探しをした方々で、仕事が決まった人が約4割、検討中・継続中が34.3%の方々です。探していた仕事の就業形態のメインは、約7割が正社員になります。パート・アルバイトについては、約3割という状況です。
27ページ、採用決定の経路、これは決定者ですが、どこで決まっているかというものを見ています。採用決定をした経路の1位が、37.6%ということで求人メディア、次がハローワーク、縁故、人材紹介という形でつながっていきます。
28ページ目、採用決定者の中で、性年代別や居住エリアによって、こういった媒体の使い方は違うのかということを見たものになります。やはり10%以上の利用率があるトップ4を並べています。上側が性年代別、男女、20代、30代、40代という形で使わせていただいていますが、青い網掛けの所が全体よりも5ポイント以上高いものになっています。求人メディアに関しては、女性の利用が非常に高いということや、ある程度満遍なく4割強の方々が使っていただいているというものになります。エリア別では、やはり若干傾向があります。ハローワークの利用のところが、中国、四国、九州、北海道といったような三大都市圏以外の部分のところが、比較的ハローワークさんの利用率が高いという傾向になっています。
29ページ目です。ここが新形態サービスの利用状況です。こちらは先ほど御説明させていただいたおまとめサイトや人材データベースの中で比較的知名度が高いものを、それぞれ具体的な個社名を提示して、「実際に仕事探しをしたときに、仕事探しを目的として閲覧しましたか」と聞いています。ですので、漠然として使っているというわけではなく、あくまでも仕事探しを目的としています。1位が、あるアグリゲーターさんサイトに関しては37.3%ということで断トツです。2位の人材データベース、3位がポータルサイト、4位がクラウドソーシング、5位がソーシャルリクルーティングということでSNSの名前が列挙されています。この割合を見ると、10%以上いろいろなものを使っているということも分かってきていますので、新しいサービス形態が広がりつつあるというのは間違いないかと思います。
では、具体的にどの新形態がどの方に使われているのかというものを、30ページに分解しています。男性と女性、同様に年代別で出させていただいていますが、アグリゲーターに関しては、全体でも約4割になっています。これはあくまでも個社別に取っていますので、トップ5です。アグリゲーターのある会社さんについては、約4割ぐらいが使われていますが、基本的には男女ですが、やはり若い方の利用が高く、年齢に応じて若干減ってくるという傾向です。人材データベースに関しては、逆に30、40代のミドル層の男性が使われているということが分かります。ポータルサイトは、やはり検索するなど気軽によく使っておられたりもしますので、年代や性別はさほど大きな差がない。クラウドソーシングのこの会社さんに関しては、ちょっと意外だったのですが、若い男性が使っているといったような傾向がありました。私からの報告は以上となります。
 
○事務局 ありがとうございました。また、詳しい御説明をありがとうございました。それでは、御質問、御意見等を委員より賜りたいと思います。では、鎌田座長、お願いいたします。
 
○鎌田座長 どうも本当にありがとうございます。私も、特に新形態サービスは何となく漠然とイメージしていたものが、はっきりこのようなイメージでまとめていただいて、本当に有り難いと思っています。それで質問ですが、新形態サービスのところで幾つか今御紹介いただきましたが、料金というか、求人メディアとか、職業紹介はどういう形で料金が発生するかというのは見当がつくのですけれども、例えばアグリゲーターとか、スポットマッチングとか、そういうものというのは誰からどういう形で料金、あるいはビジネスとしてどのように成り立っているのかということを教えていただけますでしょうか。
 
○全求協 ここでは基本的なパターンで申し上げさせていただきますと、アグリゲーターに関しては、基本的には、求人企業も無料で求人を出すこともできますし、利用者は全くお金を払わないという形式がベースになっているのですが、当然、それだけではビジネスが成り立たないという御指摘だと思いますので、どういう状況かというと、クリック課金というものを使っている事業者もあります。例えば、単に求人を企業が投稿するだけではなくて、目立たせるために上のほうに表示をしてもらうという形で課金を出していたり、その際はクリックされた量に応じてお金をもらうというケースが1つ。あとは、アグリゲーターの中には、求人メディアから料金を徴取するところもあります。求人メディアとか、幾つかタイアップをしている求人の情報を持っている所ですが、いわゆるBtoBの所から求人をアグリゲート、ポータルサイトに転載するときの転載料金の形をクリック課金とかで徴取しているケースもあります。露出が増えれば課金する、というのがアグリゲーターです。
スポットマッチングに関しては、こちらのほうも結構いろいろやり方があるのですが、大きく2つぐらいやり方がありまして、1つはシステム利用料です。アプリケーションなので、基本的にはお金を払うのは企業で、このアプリを使って1か月幾らかという利用料金を企業側が払って、自分たちの求人情報を投稿できる機能を買っているというものです。もう1つは、それにプラスして、実際にマッチングできた結果により料金を徴取するという、二段構えのケースが多いです。
 
○鎌田座長 今のスポットマッチングだと、アプリを求職者のほうも何らかの形でスマホか何かに入れてくるということが前提になるわけですね。
 
○全求協 そうです。その際は無料でアプリは落とせますので、求職者側にはお金が掛からない仕組みになっています。
 
○鎌田座長 もう1つは、先ほど来、例えば労働条件だとか、様々なことについての情報伝達ということが必要になってくる。このスポットマッチングだとか、そういった場合には求人票みたいな形で伝えられるのでしょうか。どういう形でこの詳しい労働条件というのは伝えられているのでしょうか。
 
○全求協 基本的には求人情報の形式になっています。スポットの場合については、必要なデータがデジタルデータというのでしょうか、比較的分かりやすいので、箱だけ準備されていて、もう給与が、非常に簡単で誤認も少ないつくりになっているケースが多いです。給与が時給で、時給というのを選んだら箱が開いて、その箱に数値を入れていく。スポットですから、逆に、その人に応じて給料が上がったり下がったりというのはほとんどないものですから、勤務時間も決め打ちで何時から何時というようにどんどん入っていきますので、それほど求人情報を作るのは難しくないというのもあります。あとは、どちらかというと、そこに写真とか画像で、このような仕事ですとか、こういう職場ですということを伝えて、ミスマッチを防ぐというか。早く人材の方に来てほしいものですから、基本的には来られた方々を面接なしで、即決で入ってもらうというのがベースになってくるので、トラブルにならないようにするということを徹底して磨いているというものが多いです。
 
○鎌田座長 雇用契約の成立というのは、どの段階で成立するのですか。
 
○全求協 基本的には、求職者が求人情報を見て応募し、求人者からの採用連絡を受けてから企業に訪問し、求人者としての労働条件の提示を受けて、労働契約が成立することになります。当然インターネットの中だけで完結するものではないのではないかと考えています。
 
○鎌田座長 では当事者の意識としては、作業場で、現場で開始時に成立するという感じなのですかね。
 
○全求協 基本的には、現場に行って、初め軽く面接してもらって企業と人材がお互いに納得し、では、何時まで働けるのかとある程度確認された上で、それでは今日は何時まで幾らの給料で、こういう仕事をやってということについて、その場で確認を行います。ですので、ケースによっては、現場に行ってから、ちょっとその仕事は難しいですとお断りになるケースももちろんあります。
 
○鎌田座長 ありがとうございます。
 
○事務局 1点、事務局から補足の質問ですが、今、クリック課金というお話がありましたけれども、クリック課金というのは、求職者がクリックしたものに基づいて企業がお支払いになるということでよろしいでしょうか。
 
○全求協 そのとおりです。
 
○事務局 ありがとうございます。他に御質問がありましたら、お願いできますでしょうか。それでは、御質問はなさそうですので、今の御説明いただいたことを踏まえて、各委員から御感想若しくは御意見を頂ければ幸いです。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。大久保委員、お願いします。
 
○大久保委員 感想ということで、幾つか聞きながら考えたことをお話したいと思います。1つは、新形態サービスと言われている所の多くは、現在、全国求人情報協会には加盟していないのです。つまり、もともと紙とかWebで求人情報を提供してきた企業は、もちろんその企業同士はお互いに同じマーケットの中で競い合っているコンペティターなわけなのですが、ただ、求人情報協会という協会に会員として加盟して、いわゆる雇用仲介に関する様々な取組やルールに関してはお互いに情報交換をしながら、守るべきルールをお互いに共有し、やってきているということがあると思いますが、新形態サービスの企業は、多くの会社が全国求人情報協会の会員になっているわけではありません。ただ、現実には雇用仲介事業として競っているということになりますので、そういう意味で、かなり業界の構造が変わってきているということになりますし、また、そこには1つの大きなまとまりがあるわけでもないということが、特徴なのかなと思います。これは求人を提供する側の今の特徴として私が感じるところです。ここのところに、もう少しコミュニケーションとかネットワークが本来はあったほうがいいのだろうと思うわけです。
もう1つは、私は、実は紙媒体で求人情報誌というものを作る時代も経験しておりまして、もう40年ぐらいこの業界を見ているわけなのですが、以前の紙媒体のときは、実際に求職者は有料だったり無料だったりする求人情報誌を手に取って、その中で自分の気になる会社をページをめくりながら選んでいって、幾つか印を付けたり、付箋を付けたりしながら候補企業を選んでいくと。その中で優先順位を決めて、履歴書を送ったり、電話をしたりしていくという行動だったのですが、やはりWebとかデジタルになってきていて、求職者の行動は大分変化してきているなと思っています。それは何かというと、私の感覚からすると、求職者はとてもパッシブになったのです。転職者が求職活動をするというと、アクティブに自ら情報を検索して、比較・検討をして、優先順位を付けて、応募行動を取ってというように何か想像しますよね。ただ、実際にはそういうアクティブなアプローチではなくて、この情報があふれている状態の中で、多くの方々が、何かしら自分が興味があるものを、このようなのはどうですかという形で送られてくるのをと待っている状態。何か自分で登録しておくと、どこかの会社からうちに来ませんかという話が何か来るのではないかというのを、受け身な状態で待っているという感覚が強いのではないかと思うのです。
ですから、リコメンド機能のようなものが欠かせなくなってきているということなのかもしれませんし、そもそもこれはリファラルも含めてなのですけれども、声を掛けられた所に、せっかくだからということで行くというような行動が顕著になっていると思っていまして、例えば専業主婦の方が、少し子供の手が離れたので、もう一回働きに行こうかと思うときは、ちゃんとした求職活動をしていない人が多いのです。パネルデータなどで取ってみると、前年度は求職意欲すらなかった人が、翌年のデータを取ってみると働いていると。どうやって探したのかと思うと、求職活動自体をしていないという人が結構いたりして、つまり知り合いの誰かにちょっと手伝ってくれないかと言われたから働き始めたとか、出会い頭みたいな形で結局就職を決めているというパターンが多いです。
前回、報告があったと思いますが、シニアで定年退職した方は、働く気はあるのだけれども、それほど積極的には求職活動をされていなくて、一番最初にコンタクトした会社でうまく話がまとまらないと結構待ち状態になっていて、そうしているうちに時間がたって、本人が意思決定しないうちに実質的に引退に入っていくというケースが結構多いのです。失業状態にある人ですら、余り積極的に求職活動をせずに、初期的にうまくまとまらないと、長期失業者になってしまう。今の求職者の求職行動にはそういうような特徴があると感じています。このパッシブ転職というのか、そういう中でどうやって長期失業者にならないようにするかとか、どうやって短い時間で効率よく次の就職先が決まるようにするかというのは、サービスをする側の大きなテーマになっているのではないかなという感じがいたします。感想として共有させていただきました。以上です。
 
○事務局 ありがとうございました。阿部委員、お願いいたします。
 
○阿部委員 今日、新しいサービスについていろいろと御紹介いただいて、特に興味深いのは、アンケート調査でどういうサービスを利用しているかということがかなり示されたところかなと思うのですが、このことは、これまで私も各サービスのシェアを調べようと思っていろいろ工夫はしてきたのですが、なかなか分からなかったところがありました。今回もこれだけいろいろお調べいただいたのですが、まだちょっと分からないなというところがあります。例えば、今、画面に出ています、採用が決まった経路というのはこのとおりなのかなと思いますが、いわゆる新しいサービス形態、新形態サービスの利用状況というのは、例えばアグリゲーター(1)というのは37.3%の人が利用したということですが、実際にこれを使って採用決定まで至った人は全体の何パーセントなのかというのは、やはり、まだここからでもよく分からないのです。この数字を見るときに気を付けなければいけないと思ったのは、37.3%というのは確かに新形態サービスの中では多いのだけれども、マーケット全体ではどれぐらいの比率なのかというのが、ここからでは分かりにくいということです。
確かに新形態サービスが、面白い機能もありますし、市場でも徐々に使われ出しているということも分かるのですが、ただ、ここがどれぐらい本当にマーケットシェアを持っているのかというのは、少し気を付けて、37.3%という数字が大きいものですから、これに引っ張られないほうがいいかなと思いました。とは言え、新形態サービスは、先ほども大久保委員がおっしゃったように、いわゆる求人メディアの求人情報の明示化などに尽力されている全求協には入っていない、そういう企業が多いわけですので、こうした所を、今後、求人情報が適正に流通するために、どのような仕組みを取っていくかというのは考えておく必要はあるのかなと思いました。以上です。
 
○事務局 ありがとうございました。安藤委員、お願いいたします。
 
○安藤委員 大きく分けて2点、今日のお話を聞いていて感想を持ちました。1点目は、個人情報の取扱いについて、今回のアンケート結果については、更に調べる必要があるかなと感じた点があります。資料の14ページにおいて、「利用規約に記載し、サービス利用をもって同意とする」、こういう形のソフトウェアで言うシュリンクラップ、最近ではクリックラップという言い方もあるようですが、サイトを使ったら、細かい字で書いてあるような詳細な規約について同意したものと考えてしまってよいのかという点では、後々争いになったりするとややこしいかなと感じていました。
また、このページにある選択肢ですが、例えば上から3つ目の「個人情報の保管・収集・第三者提供について包括的に同意を得る」という、「同意を得る」という内容についての話と、上2つの選択肢にように、どのような形態で、つまり、サービスの利用を始めたら同意したものとみなすのか、それとも、チェックボックスで本人にチェックさせるのかにような、手段についてのところが混ざっているような気がしています。例えば3つ目にチェックしたのだけれども、それをどういう手段でやっているのかみたいなところ、先ほどもあった話ですが、「(いくつでも)」と書いてあっても、当てはまるものを全部チェックしてくださいとはしていないので、その辺り、更に細かく調べられるとよいかなと思いました。
2点目は、例えば、当該企業では職業紹介ではないと整理されていたとして、仲介事業者のお膳立てを受けた上で、最終的には求人企業がどの求職者に声を掛けるのか、それを選ぶとしても、実際には誘導されているという点は多々あるのだと思います。このときにあっせんがないと言えるのか言えないのかというのは、やはり大きな問題なので、しっかり検討していかなければいけないのではないかと考えています。
先ほど、課金のことについての説明がありましたが、お金を払うと上位に掲載されるとか選択されやすくなるという場合には、それはやはりあっせんにつながる可能性があるわけです。また、そこで問題なのは、労使のマッチングとして望ましいものを実現するというよりは、お金を払った所の求人がマッチング確率が上がるというのであったとすると、それは社会的に見て望ましいマッチング形成につながるのかどうかというところは気になるわけです。
例えば大手検索サイトによって、何かキーワードを検索すると、一応、検索ワード課金による広告が上位には来ますが、そこには広告と書いてあって、それ以外の一定のアルゴリズムによる検索結果はその下に来ます。このように、広告か否かが見えているものと、そうではなく、求職者側から見えているもの全部が混在したデータなのか、この辺り、職業紹介と求人メディアでは扱いの違いがあるとは言え、その間のグレーゾーンというものがどんどん膨らんできている点があるので、やはり募集情報等提供事業についても、どのようなことのルール化が必要なのか、必要ではないのか、更に議論する必要が増してきていると感じております。
というわけで、今回、お話いただいた内容を踏まえて、これまでで言ったら、ある種のグレーゾーン、解釈による違いがありそうなところについて、実際に問題になっている事案があるのかないのか、あるのならどのようなものなのかということを、是非、更に現場の声を教えていただきたいと思いました。以上です。ありがとうございました。
 
 
○事務局 ありがとうございました。山川委員、お願いいたします。
 
○山川委員 非常に有益なお話を頂いて、これまで知らなかったことをたくさん勉強させていただいたと思います。先ほど質問の機会を逸してしまったのですが、1つ感じましたのは、特に新形態サービスを考える場合に、これまで厚労省でも検討したことがあったかと思いますけれども、募集採用業務のアウトソーシングのようなもの、採用アウトソーシング、採用代行と言われるものが、それも結構進んでいるようでして、そうすると、先ほど安藤先生のおっしゃったことと関わるのですけれども、職業紹介と募集情報等提供と、それから募集・採用のアウトソーシングというか、代行業務の関係が分からなくなってくるようなところもありまして、多分、重なっている部分もあるかと思いますので、その辺りを整理していく必要があるのではないかと思いました。
もう1つは、法律の観点からすると、先ほど非常に面白いお話があって、業者のほうから求職者のほうに声を掛ける場合には新たな契約をということでしたけれども、つまり、職業紹介契約というものが法的には存在することになります。この契約とは一体どういうものなのかという点が非常に興味があって、アメリカだと、実は職業紹介契約をめぐる裁判例というのが結構あるのですが、日本では、1件だけ最高裁に行った民事事件の判例を除いてほとんどないので、その辺りの実態がどうなっているかということと、あとは望ましい契約というものがあるのかどうか、これは個人情報の保護の関係でもありますけれども考えていく必要があると思います。
もう1つ、これも安藤先生がおっしゃられたことで、ウェブサイトでクリックしたりする場合の話ですけれども、クリックした場合に、規約に同意したことになるということは、規約が存在する。この規約もある種の契約になるはずで、この規約の中身がどのようなものかとか、あるいは、協会に入っていればモデル規約みたいなものが何かあり得るかもしれませんが、入っていないとすると、一体この規約はどのように適正化が図れるのかということを感じました。
現状との関係では、阿部先生もおっしゃられましたけれども、協会に入っていない企業が、特に新形態サービスの場合は多い。協会に入られると、ある意味で、いろいろな取組の一環に、言わば組み込まれていって、協会を通じての適正化が図られるというようなことがあるのですけれども、そもそも入っていない企業がたくさんあるとすると、まず、実態がなかなか把握できないという点と、協会の取組を通じてという適正化が難しくなるということで、それに関して何らかの取組を推進するような仕組みというのが考えられないのか。今、いろいろな所で中間団体の役割という、政府ではなくて、中間団体の役割をどうするかが注目されていますので、その辺りもいろいろ考えることがあるのかなと思いました。以上です。
 
○事務局 ありがとうございました。中田委員、お願いいたします。
 
○中田委員 御説明どうもありがとうございました。非常に体系立って御説明を頂きまして、このようになっているのだと非常に勉強になりました。先ほどからいろいろな御指摘がありますけれども、やはりこちらの協会に入っていらっしゃる会社というのは、かなりしっかりしている会社で、その中でもアンケートに答えていらっしゃる方たちというのは、苦情の窓口もあり、かなりトップレベルの方たちからの回答なのかなと思いつつ、拝見しておりました。
そうではない会社との間で、求職者とどのようなトラブルや問題が起きているのかとか、又は企業との間で求人側とどのような問題が起きているのかというところが、もう少し知りたいというような気もしております。例えば苦情窓口を設けている会社の中で、どのような苦情が多いかとか、どのような問題を拾っておられるのか、そのようなところは別の形で確認はされていらっしゃるのでしょうか。もし、そのようなものがありましたら、何らかの形で共有いただけると有り難いと思いました。
 
○事務局 ありがとうございました。最後の点については、また事務局のほうで全求協さんとお話させていただいた上で、御回答を申し上げたいと思います。
 
○中田委員 よろしくお願いします。
 
○事務局 ほかにありますでしょうか。それでは、本日の議論はこの辺りで終了させていただきます。最後に、鎌田座長より、本日の議論の総括をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田座長 本日は、ありがとうございました。先ほども申しましたけれども、新形態サービスについて体系立てて御説明いただきまして、本当に有り難かったと思います。それから、委員の皆様から、今、いろいろな御意見がありまして、私もそうだなと、いちいち納得したのですが、やはりこのように新たな形態の様々な動きがある中で、もう少し細かくいろいろなこと、特に問題となるようなこと、あるいは伝統的な職業紹介だとか、求人メディア、情報提供との関係で、どのような特徴あるいはどのような違いがあるのか、苦情の内容も含めてどういう問題があるのか、そういったことが、今後、これを出発点にして私も知りたいと思っております。
そういう意味で、本日は最初の入口のところで土台を示していただいて、それを踏まえて、私どもはいろいろな問題点について更に考えていく、検討する手掛かりを得られたと思っておりますので、そういう意味では有り難かったと思います。また、委員の皆様、ありがとうございます。本日伺った委員の皆様の疑問点等についても、今後、私と事務局とでそれにお答えできるような形でヒアリングも進めていきたいと思っております。以上が私の感想ということですが、次回からは、本日御説明いただいたサービスの類型それぞれについて、更に詳細に検討するために、非公開で事業者の方からヒアリングを行うこととしたいと思います。職業紹介事業者や求人メディアに限らず、新しいサービスについても可能な限り把握したいと考えています。具体的なヒアリング先については、事務局を通じて調整を行うために、私に一任をお願いしたいと思います。そういう進め方でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。では、そのように進めたいと思います。では、事務局、どうぞ。
 
○事務局 ありがとうございました。それでは、今の座長の御発言がありましたように、次回は、人材サービスの事業を行っている事業者の方にお声掛けさせていただきまして、ヒアリングを行うという形にさせていただきたいと思います。詳細は決まり次第、委員各位に御連絡させていただきます。
それでは、本日の研究会は以上で終了させていただきます。
 

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