厚労省・新着情報

職業安定局雇用開発部建設・港湾対策室

〇日時:令和3年3月5日(金)

〇場所:厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
      (東京都千代田区霞が関1-2-2)

〇出席者 

  公益代表
     阿部座長、小畑委員、渡邉委員

  労働者代表
     市川委員、岡部委員、松永委員

  使用者代表
     田原口委員、鶴岡委員、溝江委員

  オブザーバー
     谷口国土交通省港湾局 港湾経済課長

  事務局
     達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、福岡建設・港湾対策室長
     田口建設・港湾対策室長補佐

〇議題
(1)港湾雇用安定等計画の進捗状況について
(2)港湾労働専門委員会報告書の進捗状況について
(3)その他

 
 ○田口補佐 定刻より少し早いのですが、皆様、おそろいになりましたので、ただいまから、第41回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会を開催します。オンラインで御参加の方は、音声は大丈夫でしょうか。ありがとうございます。私は厚生労働省建設・港湾対策室の田口と申します。冒頭は事務局が進行させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、会場の皆様におかれましては、会場入場の際に備付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願いいたします。
また、マスコミの方への留意事項を申し上げます。カメラ等の撮影をされる場合は、議事が始まる前までとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
さて、本日の専門委員会は公益委員の小畑委員はオンラインでの御参加となっておりますので、オンライン参加の委員におかれましては、事前にお送りした操作マニュアルを適宜御参照ください。
オンラインで御参加される方におきましては、今一度の御確認になりますが、御発言される際にはカメラに向かって物理的に挙手をしていただき、座長から御指名があった場合にミュート解除をクリックし、御発言いただくようお願いいたします。
なお、会議の進行中に通信トラブル等で接続が切断された場合や音声が聞こえなくなった場合など、トラブルがありましたら、操作マニュアルに記載の事務局担当者の携帯番号まで御連絡ください。
各委員の皆様におかれましては、こうした状況を御理解いただき、御発言の際はできるだけ聞き取りやすい発音と速度でお話いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、配布資料の確認をさせていただきます。会議室にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレット端末を御覧ください。端末の上部にマイプライベートファイルと記載されている資料一覧画面が表示されていると思います。この画面に本日使用する資料が保存されています。保存されている資料のファイルは、上から、「00議事次第」、「01資料1」から「03資料3」まで、参考資料は、「04参考資料1」から「07参考資料4」までの合計8種類です。
なお、オンライン参加の委員におかれましては、事前にお配りしました資料ファイルが、今申し上げた資料構成となっていますので御確認ください。ここまでで御不明な点がありましたら、個別に御説明しますので、お申し出ください。大丈夫でしょうか。
次に、今年度から新たに選任された委員の御紹介をさせていただきます。資料1を御覧ください。こちらが最新の港湾労働専門委員会の名簿となっています。労働者代表委員として、日本港湾労働組合連合会書記長の岡部正浩委員、使用者代表委員として、三井倉庫株式会社取締役会長の田原口誠委員が御就任されておりますので、御紹介させていただきます。よろしければお二人から一言、御挨拶をお願いしたいと思います。それでは、岡部委員からよろしくお願いいたします。
○岡部委員 日港労連の書記長をやっています岡部と申します。この度、委員になりましたので皆様、よろしくお願いいたします。
○田口補佐 ありがとうございます。続きまして、田原口委員、よろしくお願いいたします。
○田原口委員 使用者側として出ています田原口です。今日、初めてですので、皆様、よろしくお願い申し上げます。
○田口補佐 ありがとうございます。また、本日の専門委員会には、オブザーバーとして国土交通省港湾局港湾経済課の谷口課長にオンライン参加で御出席いただいていますので御紹介させていただきます。
次に、当専門委員会の座長の選出について、参考資料4を御覧ください。こちらの「港湾労働専門委員会の設置について」において、専門委員会に座長を置き、専門委員会に属する公益を代表する委員又は臨時委員の中から、雇用対策基本問題部会長が指名することとされており、阿部委員が当専門委員会の座長に指名されていますので、阿部委員におかれましては、引き続き、座長をお願いいたします。
続きまして、事務局である厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟より御挨拶申し上げます。
○達谷窟審議官 高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟です。事務局を代表しまして、私から一言御挨拶を申し上げます。本日は、お忙しい中、この会議に御出席いただきましてありがとうございます。お集まりの皆様方におかれましては、日頃より私どもの港湾労働行政の推進に多大なる御理解、御協力を頂いていることに、この場をお借りして感謝を申し上げます。
また、令和元年度から、新たな港湾労働安定等計画をおまとめいただきました。改めて感謝を申し上げるところです。
本来でしたら、本専門委員会を令和2年3月、昨年の3月に開催しまして、新たな港湾雇用安定等計画の1年目の進捗状況について、御審議いただく予定でしたが、昨年は新型コロナウイルス感染症の関係もあり、中止させていただいたところです。そのため、本日は計画の2年目ですが、新たな港湾雇用安定等計画の進捗状況等について、初めて御審議いただくことになります。
港湾労働分野におきましては、新たなこの計画で示された労働力の需給の調整に係る措置、あるいは港湾労働者の皆様の雇用の改善、能力の開発・向上の促進に向けた措置などを確実に進めることが重要であると考えています。先ほど申し上げたとおり、本日は新たな計画の進捗状況について、御説明申し上げますので、積極的に御議論いただきますようよろしくお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
○田口補佐 それでは、本日の委員の出席状況ですが、全員の御出席となっております。事務局からの説明は以上となります。以後の進行は、阿部座長からお願いしたいと思います。阿部座長、どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部座長 どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。それから、新たに委員に御就任されました岡部委員、田原口委員、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員会ですが、先ほど達谷窟審議官からもありましたが、新しい港湾雇用安定等計画の進捗状況について、皆様に御審議いただきたいと思っています。これも本来であれば、令和元年度中に開催を予定していたわけですが、新型コロナウイルス感染症防止の関係で本日の開催になったということです。
本日の議題ですが、議事次第にありますとおり、議題は3つです。1つ目が、港湾雇用安定等計画の進捗状況について、2つ目が港湾労働専門委員会報告書の進捗状況について、そして3つ目がその他となっています。
それでは、まず1つ目の議題である港湾雇用安定等計画の進捗状況について、事務局より説明をお願いいたします。
○田口補佐 事務局から説明させていただきます。資料2「港湾雇用安定等計画の進捗状況について」と、参考資料1「港湾労働関係資料」、この2つの資料を使って御説明させていただきます。
まず、資料2を御覧ください。右下にページ数が付いていますので、そのページ数を御確認いただきながら見ていただければと思います。
まず、1ページ目です。資料構成としては、左から1番目に計画の概要、2番目に実績、こちらの実績については、原則過去5年間のもので、できるだけ数値でお示ししています。3番目、特記事項の順になっています。
なお、新たな計画は、前回の計画から大きく内容は変わってはいませんので、実績欄の指標となる数値等は基本的には前回の計画と変わっていませんので、御承知ください。
それでは、時間の関係もありますので、ポイントを絞って御説明させていただきます。
まず、1ページ目中段、「(2)の計画の背景と課題」、こちらのイです。港湾労働者の雇用改善及び能力開発・向上の現状については、港湾運送事業の波動性の問題、また、雇用改善、能力開発の必要性についての記述です。実績欄の表1ですが、実労働時間及び賃金の推移を御覧ください。令和元年においても、港湾労働者の月の実労働時間、超過勤務ともに、全産業よりも多い水準で推移しており、また、賃金は超過勤務を含んだものとなっていますが、港湾労働者の賃金は、前年同様、全産業と比べると高い水準となっています。令和元年では実労働時間、港湾201時間。全産業だと173時間。所定外という所が超過勤務ですが、港湾が42時間に対して、全産業が13時間となっています。
続きまして、1ページ目の下段です。「ロ 今後の港湾労働対策の課題」ですが、実績欄の表2「6大港における貨物量の推移」を御覧ください。6大港における貨物のコンテナ化率は高い水準で推移しています。平成30年度ではコンテナ化率70.9%、4年前の27年度では68.4%と微増ではありますが、高い水準です。
続きまして、2ページ目の中段を御覧ください。(2)港湾労働者の雇用の動向についてです。お手数ですが、こちらについては参考資料の4ページ、マイプライベートファイルに戻っていただいて、参考資料の1を御覧ください。こちらの4ページをお願いいたします。こちらの、4ページ「(4)6大港における港湾労働者数及び就労形態別就労状況の推移」ですが、令和元年度の港湾労働者の就労状況は企業常用労働者による就労が96.5%を占めており、港湾労働者派遣制度の活用による就労は0.4%、日雇労働者による就労は3.1%となっています。令和元年度はグラフの右側です。こちらを見ると、推移的には、それほど大きな変化はないという状況になっています。
次に、資料の5ページを御覧ください。こちらの資料は、前回の令和元年10月に開催しました当委員会の当時の労働者代表委員の柏木委員から、「日雇労働者の港ごとの依存率は違うはずなので、依存率のようなものをデータとしてもらえると有り難い」という御指摘がありましたので、それを踏まえ、今回、新たに港別の状況を作成しました。グラフを御覧のとおり、横浜港では港別で占める日雇労働者が9.6%と多い一方、名古屋港は、ハローワークの報告によりますと0人、港によって港湾派遣労働者や日雇労働者の利用にばらつきがあります。引き続き、港湾労働者派遣制度の適正な運用やハローワークによる的確な紹介を実施し、直接雇用の日雇労働者の減少に努める必要があると考えています。
次に、6ページを御覧ください。「(6)常用港湾労働者の入職率・離職率の推移」についてですが、6大港における港湾運送事業の入職率・離職率は全産業より低い水準で推移しています。この棒グラフですが、港湾運送事業の青が入職率、赤色が離職率になっています。
続きまして、資料2に戻っていただいて3ページを御覧ください。3の「(1)労働力需給調整の目標」を御覧ください。港湾における荷役作業については、常用労働者による対応を原則とし、さらに推進するとともに、雇用の安定に一層努めることとされています。こちらは一番上の特記事項欄に記載のとおり、雇用保険二事業における派遣のあっせん成功率の目標を88%以上に対して、92.8%と目標を達成しています。
続きまして、3ページの中段です。3の「(2)労働力需給調整に関して講ずべき措置」を御覧ください。まず、港湾労働派遣関係ですが、実績欄の中ほどの表5「港湾派遣労働者の推移」にあるとおり、派遣成立件数は、例年、月平均2,000人強で推移しています。
また、港湾労働者派遣事業の許可事業者数は、資料2の8ページにあります。8ページの上段に、令和元年度現在では、283事業所数となっています。全体の港湾労働法の適用事業所数が1,000ですので、約28%の取得率となっています。御参考までに今日現在では、289の事業所になっています。
3ページに戻っていただいて、日雇労働者関係ですが、下段の表6「日雇労働者の推移」については、例年、1万7,000人前後で、各港においても大幅な増減はありません。一番下の安定所紹介と直接雇用別で見ると、直接雇用の割合が非常に高いというような状況になっていますので、この縮減に向けて各港湾の固有の事情に応じた取組を引き続き実施していく必要があると考えています。
続きまして、4ページを御覧ください。4ページ上段ですが、港湾労働法遵守強化旬間等を通じた、違法労働の防止のための取組です。雇用秩序連絡会議、表7「現場パトロールの実施状況」、表8「事業所訪問指導及び立入検査の実施状況」については、実績欄にあるとおり、例年大きな変動はありません。
また、平成30年10月から実施をしていますが、現場パトロール等の際に色分けされた港湾労働者証を確認するなど、取組の実効性を確保し、港湾事業法違反の疑いがある実態を把握した場合には、地方運輸局等に速やかに通報を行うことが可能となっています。
併せて、8ページの中段の特記事項欄の黒丸の所を御覧ください。記載のとおり6大港における港湾労働者証の交付に併せ、ワッペンの配付を検討しています。これまで6大港の一部において、港湾労働者証をコピーし、加工したワッペンをヘルメットの側面に貼り付ける運用を行っていましたが、令和3年度予算案で6大港全てのワッペンの予算を確保しました。
なお、特に、これまで未実施の神奈川、愛知においては、労使双方の理解を得ながら、導入に向けて慎重に検討する必要があると考えています。
資料の4ページに戻っていただいて、計画の概要の丸の3つ目に「さらに」という所があると思います。こちらの港湾倉庫については、特記事項に記載のあるとおり、議題2「港湾労働専門委員会報告書の実施状況について」で、詳しく御説明したいと思いますので、御承知ください。
続きまして、6ページを御覧ください。6ページ上段の「4.港湾労働者の雇用改善・能力開発を推進するための方策に関する事項」について、御説明します。6ページ上段の「(1)雇用改善を促進するための方策」を御覧ください。まず、「イ 国が講ずる措置」についてですが、雇用管理者の選任の徹底、労働条件の基準の遵守のさらなる徹底や労働災害防止計画の計画的な推進を図ることとされています。
雇用管理者の選任状況は、6大港の対象事業所全てにおいて選任を行っています。
労働災害については、令和元年については表10「労働災害の災害状況」のとおり、全産業が減少する中、港湾運送業(港湾荷役)については、死亡者数、死傷数ともに増加ということですが、数字的に小さいので必ずしも大きくなっているとは言えないのですが、前年に比べて少し増えている状況です。
次に「ロ センターが講ずる措置」について、雇用管理者研修その他の援助を実施し、その実績については6ページの雇用管理者研修参加人数のとおりです。令和元年度は、413人で7回実施しています。
続きまして、7ページの上段を御覧ください。「(2)能力開発を促進するための方策」について、御説明します。
まず、国が講ずる措置として、表12「公共職業能力開発施設への講師派遣・施設提供」と、表13「港湾技能研修センター訓練受講者数(港湾荷役・クレーン運転)」のとおり実施しました。表13の港湾技能研修センターの訓練受講者数が減少しているのは、令和元年度10月より豊橋市から神戸市に移転した影響が非常に大きく、受講者が減少しています。また、3月からコロナの関係もあり、3月以降6月まで研修を中止しているということで、令和2年度においては、かなり影響も出てきているのではないかと、まだ取りまとまっていませんが、そのような状況になっています。
続きまして、7ページの下段です。「センターが講ずる措置」について、御説明します。こちらは表14「教育訓練実施状況」、表15「教育訓練の種類」ですが、特に大きな変化はありません。
なお、特記事項欄に雇用保険二事業の目標として、「相談援助、講習、雇用管理者研修又は派遣元責任者講習を利用した実績のある当年の離職者が、雇用動向調査による前年の全産業の離職率未満になること」というアウトカム目標ですが、令和元年度は全産業が14.6%に対して、港湾は8.4%という結果でした。
これ以降については、重複する内容がありますので、説明は省略させていただきたいと思います。1つ目の議題の説明については、以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございました。ただいま説明のありました内容について、委員の方から御質問、御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思います。
○松永委員 1つは労働力の需給調整の目標に関する事項ということで、3ページ目になると思います。ここで、センターが講ずる措置の部分で、あっせん成功率が92.8%と特記事項に記載され、92.8%となり目標を達成とありますが、港湾労働法においては、あくまで港湾労働者の常用化を更に推進するとともに、常用労働者の雇用の安定に一層努めるということに目標が置かれていると思っています。
しかしながら、前のページ、就業形態別の港湾労働者数の推移を見て分かるように、港湾派遣労働者はここ数年0.4%ということで、これも横ばいで、日雇労働者についても3.1%と、余り変化が見られていないということがそこに記載されております。当然、労使間においては、日雇不使用協定がありますが、それにもかかわらず依然として日雇労働者が使われているのが現状ではないかと。この現状があるのに、この目標を達成という判断、また、そもそも目標をあっせんの成立率に置くこと自体がどうかと考えますので、その辺、事務局の方で考えを示していただきたいと思っています。
○阿部座長 それでは事務局、お願いします。
○福岡室長 建設・港湾対策室長の福岡です。松永委員の質問に回答させていただきます。
まず、今、御指摘のありましたとおり、やはり労働者派遣が全体の就労状況のわずか0.4%であるというところから見ると、これに関連するあっせん成立率を目標にしているということに若干違和感があるという御趣旨だと思いますが、確かに御指摘の部分はあるかと思います。ただ、現在はそういう形でのあっせん、派遣の状況になっておりますが、今後、派遣が増えるというときは、やはり港湾労働者雇用安定センターが情報収集等に努めることによって、このあっせん成立率を上げるということは、やはり常用化推進を進める上で重要になるというのは間違いないということを考えております。雇用保険二事業の目標ですので、そうした目標値としては重要な目標であるということからして、この成立率は意味があると考えております。
ただ、一方で、繰り返しになりますが、やはり派遣の数が少ない。なおかつ日雇労働者の数が減っていないという状況は確かに御指摘のとおりです。いわゆるあっせん成立だけを常用化の推進を進めるための目標とするのではなくて、実際は日雇労働者の、特に直接雇用の縮減に向けて、各都道府県労働局の取組、ハローワークの取組などが重要であるということは当然だと考えておりますので、御指摘については、今後、この目標をどうするかということについては考えていきたいと思っております。
○阿部座長 よろしいですか。
○松永委員 ありがとうございます。雇用保険二事業の目標ということで、そこは理解しているつもりではありますが、今言われたこと、「日雇労働者の直接雇用の削減」に向けてお願いしたいなと思っています。
それともう一点、いいですか。別になりますが、派遣事業の適正な運用を確保するための事項ということで、資料でいくと8ページになると思います。ワッペンの配付、これは令和3年度予算を取っていただいて、年度が変わればすぐ配付ということを聞いていますが、そこで黒丸に赤字で書いていますよね。未実施の神奈川、愛知において検討が必要ということを書かれているのですが、予算を計上している以上、6大港全てでの実施と思っています。この2港はどういった理由で未実施というような記載になっているのか、理由を説明していただきたい。
そもそもワッペンの配付等は、この部分の具体化に向けては、我々、港湾労使間でも確認した事項でありますので、そこで反対なのか、理由がどうなのか、また、現実的に厚労省として、説明も含めて検討が必要な所に出向いて行って、ちゃんと説明を行ったのかをお聞きしたいのと、あとは全体の、まだ、実施されていないので分からないとは思いますが、分かるか分からないかですが、全体や各港での配付の枚数なども、今後の進捗状況の中で報告として挙げていただければ助かりますので、よろしくお願いします。
○阿部座長 事務局、お願いします。
○福岡室長 まず、ワッペンの経費、今回、令和3年度に向けて、全港で配付ができる数だけの予算は確保いたしました。ただ、これは予算を確保したというだけの話であって、全6大港において、このワッペンのヘルメット貼付を推進することとは、また別の話だと思っております。今、松永委員から御質問があったのは、神奈川、愛知、つまり横浜港と名古屋港ですが、ここがまだ適用されていない。どういう検討状況かというような御趣旨の御質問だと思いますが、愛知労働局で実は、港湾労働者の在籍する事業所101社に対して、このワッペン貼付について必要かどうか、可否を調査いたしました。当然のことながら名古屋港においても、ワッペン貼付というものを推進するという趣旨の下で、事業者の状況を確認したのですが、少し御紹介させていただきますと、可否の意見は半分半分であったと聞いております。「可」とした主な理由は、港湾労働者であることの確認が容易になるということが圧倒的に多く、これは可とする理由として多い理由です。
一方で「否」とした理由ですが、これは港湾労働者証の写しを取って運用している、つまりワッペンをヘルメットに貼るということではなくて、写しを取って携行するということで、それで十分であるという意見がまず多数ありました。もう1つ多数の意見としては、ヘルメットが汚れやすく、ワッペンが見づらくなってしまうということで、なかなかワッペンをヘルメットに貼るというのはどうなのかという、この2つが「否」とする多数意見でした。
一方で少数意見というのが幾つかございまして、例えば、作業員がヘルメットを共有しているケースがあるという場合、ワッペンを貼ってしまうと支障があると。これは小数意見です。ワッペンが万が一剥がれてしまって、それが貨物に入ってしまったら、いわゆる異物混入ということで、荷主さんに御迷惑を掛けてしまうというような、こういった小数意見もありました。
いずれにしましても、こうした御意見を踏まえまして、名古屋港と横浜港については、引き続きワッペンの貼付に向けて取組は進めたいと思っております。
もう1つ、我々として、そうした意見を、きちんと状況を伝えに行ったかという御質問がありましたが、これはちょっと大変申し訳ありません。そういう予定にしていたのですが、コロナの状況がありまして、直接こういったことの趣旨を伝えるような場面というのは、今年度はありませんでした。また、コロナの状況を見据えた上で、この2港、2つの労働局に絞って、このワッペン貼付の趣旨等も御説明しながら、引き続き進めてまいりたいと考えております。以上です。
○松永委員 ありがとうございました。可否の否の理由を聞くと、ちょっと首をかしげるような理由もあったと思います。ヘルメットの共有であったり、ワッペンが落ちて異物混入につながると。多分、クレーンとか安全作業指導者とかいうのも、ヘルメットに貼り付けるような仕組みになっていると思うのですよね。その辺も含めると、ワッペンの物自体を不安視するのか、その辺も含めて是非とも6大港一律での実施をお願いしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございます。ほかに。
○岡部委員 私の方は資料で言いますと7ページの計画の概要、(2)の能力開発を促すための方策ということで、その下の3段目の「ロセンターへ講ずる措置」。この欄の特記事項の中に書いてあるように、利用した実績のある事業所に係る当面の離職率が、雇用動向調査による前年の全産業の離職率未満となることというアウトカム目標が加えられたというように書いてあるのですが、利用した事業者はどのぐらいあるのか、そして、どこがどういった調査を行うように加えられたのかということと、あと、これは毎年行われ、罰則等々の縛りがあるのかというところをお聞きしたいと思っております。
○阿部座長 事務局、お願いいたします。
○福岡室長 先ほど事務局から少し数字を申し上げたのですが、ここに記載がなかったので少し分かりにくかったかなと思います。
まず、雇用動向調査における離職率等、いわゆるこういった雇用管理研修等を受けた実績のある事業所の離職率を比較をして、後者が前者を下回っているということを、平成27年度から雇用保険二事業の目標にしているところです。
具体的には最近の数字になりますと、まず、雇用動向調査によるのは、平成30年の全産業の離職率ということで、これが14.6%であったという状況です。それから、港湾の相談援助であるとか、雇用管理研修を利用実績のある事業所の離職率は、6大港から580の事業者から数字を取っておりますが、ここから算出しますと、数字としては8.4%の離職率になったということで聞いております。
したがいまして、14.6%と8.4%ということで、それを下回っているということで、こういった事業を利用することによって、離職率が一定程度抑えられているという評価をしているところです。以上です。
○阿部座長 よろしいですか。ありがとうございます。ほかは。
○市川委員 今、インランドデポが各地、関東もそうですけれども、関西も非常に広がっていて、港湾を通過していくという実態がもちろんあるわけですが、港湾倉庫の指定の問題について、前回マルチテナントの問題提起もしましたけれども、指定について、以前、地図を作るという話がこの場であったかどうか、ちょっと定かではないのですが、やはり港湾における港湾倉庫の指定、あるいは範囲について、目に見えるというか、そういう形での提案があったので、その辺の進捗状況がもし分かればお願いしたいと思います。以上です。
○阿部座長 事務局、お願いします。
○福岡室長 市川委員からの質問に回答いたします。まず、倉庫の指定に関しては、この後、2つ目の議題でもまた出てきますが、今、御指摘のありました、いわゆる倉庫の見える化ですよね。これを地図化するというのは、令和2年度からの委託事業という形で、来年度から実施できるよう現在最終調整をしているところです。これは地図でも見れますし、あるいはシステム上からも見れますが、いわゆる6大港の水域と港湾指定の区域、これは大臣告示で決めておりますが、見える化を図りつつ、どこの倉庫が港湾倉庫として指定されているか、あるいは逆に指定されていないか、こういったものを色分けをして、都道府県労働局、ハローワークがパトロールをする際に、分かりやすく見える化を図っており、間もなく完成をするところです。今、試作品というか、一応地図上のものは当室へも来ているのですが、今、最終調整をしておりますので、またこういった場に限らず、別の機会に御紹介等させていただきたいと思います。以上です。
○鶴岡委員 鶴岡です。ワッペンの件なのですが、既に実施している港、それぞれの港でやり方が違うのかなという気はしますが、東京の場合でもかなり長きにわたって実施しております。まずは実施している港の実態を調べられたらいかがですか。その上で実施していない所のいろいろな疑問も、実施している港では経験を積んでいるはずなので、まず、やっている港の状況を調べられた方が私はいいと思いますが、いかがでしょうか。
○阿部座長 では、事務局、お願いします。
○福岡室長 確かにそうですね。実は、これはまた質問されたから答えるわけではないのですが、いわゆる港の視察も含めて、ワッペンの話というのは適用されている所に視察をして、ハローワークの方から話を直接聞きたいなと思っていたのですが、コロナの関係で視察が一切できていないという状況です。確かに、やっている所の労働者の方のお話や、あるいは事業者の方のお話などを好事例にして進めるというのは当然大事かなと思っております。
先ほど、松永委員から、「否」の理由がちょっと分かりにくいというのは、あれは本当のレアケースで御紹介したまでなのですが、逆に「否」の理由をどうこう言うよりかは、「可」の理由をきちんと把握をして、個別具体的に、横浜港なり名古屋港に働き掛けていくことも重要かなと考えております。ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、議題1はこの辺りで、次の議題に移りたいと思います。2つ目の議題は、港湾労働専門委員会報告書の進捗状況についてです。それでは、事務局よりお願いいたします。
○田口補佐 資料3を御覧ください。「港湾労働者専門委員会報告書の進捗状況等について」の1ページ目を御覧ください。
まず、本報告書において、今回、進捗状況等確認すべき事項を2つ御報告させていただきます。参考資料3の報告書にありますが、これの該当事項としては、1つ目は、「2.適用港湾・適用職種への対応について」と、「4.雇用秩序の維持について」の進捗状況になります。
それぞれの進捗状況について、1つ目「適用港湾・適用職種への対応について」です。こちらは港湾労使における検討結果を踏まえ、行政も含めた議論を進めていく必要があります。現時点での進捗状況等は右欄にあります。ここには書いていませんが、港労法問題労使検討委員会は平成30年8月開催が最後になっておりまして、議論されていることは承知しておりますが、行政の立場としては従前どおり、まずは、港湾労使により議論を深めていただき、一定の港湾労使の合意という点が重要であると考えております。
2つ目です。港湾倉庫の適用に係る調査、貨物量の算定基準の在り方についてです。こちらについては、1ページの右下の枠欄に、1.適用に係る調査、2.算定基準とあります。
まず、1.の港湾倉庫の適用に係る調査についてです。一部の労働局のみ設定している事項があることから、過去の経緯、必要性について、在り方を検討しているところです。
2.の算定基準については、資料の2ページを御覧ください。港湾倉庫の適用に係る貨物量の算定根拠についてですが、総入出庫量に占める海からの入庫量と出庫量の合計割合が10%以上という、港湾倉庫の貨物量の算定基準について、容量か重量で量るかの統一が必要であるという御意見がございました。これについて事務局としては、2ページの1.「厚労省」の港湾労働法施行規則に定める様式第7号港湾運用事業実績報告書と、2.「国交省」の港湾運送事業法施行規則に定める様式第5号港湾荷役実績報告書の取扱い貨物量の算定根拠である港湾運送事業法施行規則第11条の6による算出方法を統一基準として提案させていただきます。
この港湾運送事業法施行規則に定める算定方法での提案の場合、1.「厚労省」の様式第7号は、港湾労働者派遣の許可申請用の報告書で既に用いている方法ですし、2.「国交省」の方でも用いているものですので、事業主や労働局が混乱することもないのではないかと考えております。御参考までに、1.の参考に、港湾運送事業法施行規則の貨物量の算出方法とありますが、「当該貨物が1.133立方メートルにつき1トンを超えない場合は、1.133立方メートルを1トンとして計算、その他の場合は重量により計算するものとする」というものです。
2つ目の議題の説明については以上です。
○阿部座長 ただいまの説明について、御質問、御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。
○松永委員 「4.雇用秩序の維持について」の2.の港湾倉庫の適用に係る貨物量の算定根拠の部分については、市川委員が質問されると思います。
まず、「2.適用港湾・適用職種への対応について」で、前回の専門委員会で私の方から言ったと思っていますが、なかなか行政を交えた議論にはなっていないと。先ほど事務方から報告がありましたが、労使で、よく鶴岡委員が言われる、総論は賛成だけれども、各論になるとまだ詰めるところがあるというような話も、確かにしています。労使での検討委員会が平成30年を最後に開催されていないということも理解しているところです。
私個人的には、議論を進めるにしても、素材なり資料がないと、全くもって議論できないのです。ということは何を指すかと言うと、6大港以外の全港を調べる、又は、全職種にという議論もあると思いますが、そこをまず調査なり、日雇労働者はどれぐらい使われているのかとか、当然、これは港湾労働者の福祉の部分での港労法ですので、そこに足りないものがあるのかどうかとか、そういった部分も、まず、行政として調査していただきたいと思います。多分、各労働局需給調整課等もあると思いますので、その辺は国交省も含めて連携を取っていただきながら、まずは調べて、我々に中身について提示していただければ、議論も一歩、半歩進むのではないかと思っていますので、よろしくお願いいたします。
もう一点は全職種の方です。この部分については、これは国交省の港湾運送事業法に記載されている労働者のうち、港労法が適用されているのは港湾事業者に直接雇用されている労働者と理解しています。すなわち、この部分については事業法の第3条の1種から4種まで、はしけまでという形で適用ということで、その職種については一般の労働派遣については禁止されています。港湾労働法上の労働者派遣しか利用できないということの理解をしているところです。しかしながら、5種から7種までの検数・鑑定・検量の部分は、港労法の適用でなく一般派遣が許されているのですが、あくまでも港湾の秩序を守るためということで、指定事業体の部分からの派遣しか許されていないのが現状であるという認識を持っています。しかし、過去には偽装請負等の問題も指摘された経過もありますし、また、現状、派遣労働が常用化しているといった実態も聞こえてきています。そういったことからも、港湾の秩序を守る観点からも、早急に港労法の全職種の適用も急いでいただきたいと思っておりますので、その部分についても厚労省の建港室で、調査も含めて実態把握をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。
○阿部座長 それでは、事務局からお願いいたします。
○福岡室長 松永委員から2点ございましたので、順に御回答いたします。まず、1点目の適用港湾の話です。基本的な考え方としては、この間に私どもから御説明しているのは、まず、港湾労使において議論を詰めていただきたいということはあるものの、ただ、この報告書にも記載したとおり、行政も含めた議論を進めていくということを書き込みましたので、当然、私どもも、そういった議論をずっと待っていて、何も出てこなければ何もしないということではないというのは、まず申し上げたいと思います。
そうした中で、今、御提案がありましたのは、恐らく非適用港湾における現状の調査をして、そういった素材をベースに労使、行政も含めて議論をしてはどうかという御提案だったと認識しております。
結論を申し上げますと、国土交通省ともよく相談をしながら、どういった調査が必要であるか、あるいはどこの港湾を調査する必要があるか。例えば、93の港湾運送事事業法の適用港湾のうち6大港を除いた全てをやっていくのか、そういったところというのは慎重に考える必要があるかなと思いますので、そうしたことについては、やり方も含めて検討はしていきたいと考えております。やり方についても、先ほど労働局の需給調整部門を使ってという話がありましたが、現実的にそういうことができるかどうかも含めて、その点については検討をして、検討の進捗状況等については、こうした審議会の場等を活用し、御説明させていただきたいと思います。
2点目の適用職種の方の話です。港湾運送事業法上の職種によって、そもそも港労法が適用になっている職種と適用になっていない職種があって、前者については港労法上の港湾労働者派遣を活用いただくと。後者の検数・検量等については、一般派遣が使えるという形になっていて、これは御指摘のとおりです。
問題視されたのは、後者の港湾運送事業法上の職種であるけれども、港労法上の職種ではないので一般派遣ができる検数等についてです。確かに、この間の状況を見ると、指定事業体からしか派遣できないという中で、かつて、偽装的な請負があったということは、私どもも承知しているところです。一方で、これも特別なやり方については、労使の合意をもって、今は指定事業体だけで運用することが決まったわけですので、それについては、そうしたことを労使できちんと詰めていただきたいと思っているところです。
一方で、それと全職種適用との関係ですが、検数・検量等については、私どもがこの間ずっと主張しているのは、日々の波動性が全くないとは申し上げませんけれども、日々の波動性が他の港湾荷役と比べても、比較的見られないということ、また、業務の専門性等を鑑みて、必ずしも常用労働者が職種に携わる必要性も低いのではないかということで、港労法の適用にしていないという歴史的な背景もございますので、今のところ、私の考えとしましては、前者で御主張のあった検数・検量等の派遣の問題については、同一労働同一賃金の関係等もございますので、そういったことで、現在、現場において進められている話もあると承知しております。そちらの方は私どもとしても注視して、私どもの需給調整担当ともしっかりと調整をしていきたいと思っております。
組合さんから個別に御相談等も頂いておりますが、引き続き何か動きがあれば御相談はいつでもお受けいたしますので、お願いしたいと思います。
○阿部座長 松永委員、よろしいですか。
○松永委員 はい。
○阿部座長 ほかにいかがでしょうか。市川委員、よろしいですか。
○松永委員 では1点。先ほどの補足になりますが、市川委員からもあったような、港湾倉庫の適用の部分の話です。現状の算定根拠については、今まで当てはめてきた部分の算出方法なので、それに異を唱えるものではありませんが、港湾倉庫の適用自体の問題で、マルチテナント方式であったり、大型流通センターに見られるような多層階やフロアごとでの貸出しもあると思っていますし、現実にもあります。そういった倉庫を、港湾倉庫の定義をどう扱うのか。これについては、指定自体も各港まちまちであるという指摘もありますので、もう一つ踏み込んだ検討が必要だと思っていますし、ここの部分については、各地区労使も含めて、算定根拠を含めて、もう一度地区でもよく検討されたらいかがかなと思っていますので、よろしくお願いします。
○阿部座長 事務局、お願いします。
○福岡室長 まず、算定基準については御了解いただけたということで、承知しました。マルチテナント方式倉庫の指定については、前回の令和元年の委員会でも話題になったということで、前室長から、確かに各港で取扱いがまちまちであり、今後はそうした現状を踏まえて、しっかりと対応していきたいという回答をしたと思います。
そこから何か進んだかということなのですが、6大港別の状況については把握しました。細かい報告はこの場では控えさせていただきます。マルチテナント自体がない港湾は幾つかあって、それは別としまして、テナントごとに港湾倉庫が10%以上のものに該当するか否かを判断して、指定している労働局が大変多いと。あるいは、そうしたいろいろな課題があるので、そういった指定をためらっているというか、なかなか指定ができていないという労働局がございますので、今、松永委員から地労審を使ってというお話もありましたので、私どもの方で各労働局に対して、この問題というのが現在重点事項であるということを申し上げた中で、地労審の中でも議論ができる素地を作っていきたいと考えております。
マルチテナントの方と、もう1つは、今日話題になった調査の仕方についても、念のために申し上げますと、調査票の在り方を検討していると記載させていただきましたが、各労働局が各事業者から頂いている報告書について、例えば、全く報告書をもらっていないとか、全く様式がばらばらということではないのですが、一部、書き方が紛らわしいような調査票も見受けられますので、そうしたことも含めて、調査票の在り方も検討していきたいと思います。いずれにしましても、港湾倉庫の指定については、まだまだ課題があると認識しておりますので、しっかりと対応していきたいと思います。
○阿部座長 その他ございますでしょうか。
○田原口委員 今、市川委員と松永委員から、倉庫の指定についてのお話がありました。一言だけ私から申し上げます。話題になっているマルチテナント方式については、最近、6大港の中でも、特に関西が多く出ていることは重要です。しかしながら、根拠は何かということになると、今、松永委員から、根拠を示してくださいということがあったので、私はそれに引っ掛かりまして。では、どういう根拠なのか。算定基準については、この料金の1.133立法メートルというのは、従来の認可料金からも、国土交通省で全て使っているものですから、これについては統一性があると思うからいいと思うのですが、このマルチテナントの10%の基準をどのように考えるかという形ですよね。
2つあると思うのです。お二方の委員から話がありましたので、私の頭の中に疑問があります。マルチテナントと言いますと、1階から5階までありました。それを作って、所有者はそれを賃貸している。所有者は特定目的会社という形が、最近は多いかと思います。
一方では、1階はA社が借りました、B社、C社が借りましたという形になると、算定の根拠の10%というのは、特定目的会社が全部管理して、それが10%と言っているのか、それとも個々の借りられた倉庫業を営んでいる会社が各々10%にするのか。これは全然違うと思うのです。この辺の根拠というのは、松永委員は、どちらをお指しになったのでしょうか。
○阿部座長 松永委員、お願いします。
○松永委員 各港から上がってくる声は、マルチテナント全体の10%になると、各テナントごとの数が全然届かないと。だけれども、その一テナントは誰かが扱っていますよと。トン数はどうであれ、このAというテナント、店子さんです。店子さんの総トン数の10%を掛けるべきではないかという声が上がってきていますので、当然、私もそのこと自体が、海荷を扱うという部分になると、そうあって然ると思うところです。その辺だと思います。労働側は確認してはいないのですが、議論の中でそうあるべきだという議論はしていると思います。
○田原口委員 見解については了解いたしました。でも、これについては、特定目的会社全体で扱っているトン数の中の10%、これを全部合わせた数です。一方では、マルチテナントで入っているA社、B社、C社が個々に10%をオーバーしているかどうか。これについては私も、この法律が本当にどうなのかは定かではございません。我々も倉庫業をやっておりますので、統一の見解として求めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
あと、市川委員から、インランドデポの話があったのですが、これは物流がどんどん港湾から逃げているという形ですか。これについては、もう1つは旧大蔵省、関税のスルーパスがあると思うのです。ですから、内陸を重要視されている北関東その他、メーカーさんがすぐに持って行きたいという形で、税関がそれをある程度適用範囲を広げたというところに、インランドデポというものができてきたと思うのです。
ただ、それは日本の経済観念において、例えば、船会社のデポを、逆にそれを港湾だけに置いたら、経営というものはどうなるかということを考えたときに、やはり、ある程度柔軟性があって必要なのではないかと私は思っております。ただ、これについて、港湾労働者の方々が職種を失ってはいけない。これは我々は同じですから、我々使用者側としましても、港湾で働いていただければ、我々も収益に貢献できます。それはインランドにできれば、できない。でも、日本の経済と併せた場合は、その兼合性がどこかで必要になるのではないかと考えています。これは私の意見です。
○阿部座長 鶴岡委員、お願いいたします。
○鶴岡委員 港湾倉庫の件で、算定基準の話は大分御理解いただいて分かってきたのですが、今一つ私が理解できないのが、海に向かう荷物、海から来る荷物という定義なのです。これははっきり言って何なのですかと。1回どこかでデバンされたものが入ってきたのも、これは海からなのですか。あるいは1回入ったものが、どこかでデバンされるために出庫する。これも海に向かっています。どこまでを海の荷物と言うのか。これが正直言って、事業者としても理解できないし、地方労働局にお伺いしても、明確な答えはございません。なので、算定基準と同時に、貨物の中身、海から海へという荷物のものも、もうちょっと定義付けされた方が、より一層分かりやすいのではないかと思います。
あと、マルチテナントの件も、これは地区での話で、要するに倉主が取るべきなのか、あるいはテナントが取るべきなのかという論議をしておりますが、一応、東京ではテナントだろうという解釈をしています。ただし、港労法の重要性は労使ともに認めている法律ですし、このマルチテナントについては、この特定港湾倉庫、あるいは港湾倉庫という定義が、施工者、倉庫を建てる方が最初から知ってやっているかどうかという話も、非常に重要なのです。建ててしまったものに、いきなりこの話を持っていっても、これはいろいろ物議を醸すかなと、個人的な意見ですけれども思います。なので、是非とも、このマルチテナントの問題については慎重に御審議いただきたいと、私は思っております。
○阿部座長 ほかにいかがですか。よろしいですか。いろいろと大変貴重な御意見を頂きましたので、また事務局で整理して、今後の議論につなげていただければと思います。よろしくお願いいたします。議題2はこの辺りにさせていただきます。最後に、3つ目の議題、その他に移ります。これについて、事務局から説明をお願いいたします。
○田口補佐 その他の事項は報告になります。議事録の署名廃止についての御報告です。資料は用意しておりませんが、議事録署名の廃止について、前回の港湾派遣の許可に係る持ち回り開催の際に、政府の規制改革の一環として、行政手続の押印を求める手続の見直しが行われ、港湾労働関係においても、事業主からの申請等の事業主の署名押印を不要とする運びとなった旨、御説明させていただきました。今般、署名押印の廃止の流れを受けて、これまで委員の皆様に議事録に署名を頂いておりましたが、こちらについては今年1月から廃止となりましたことを、御報告いたします。
具体的には、労政審の運営規程の中で、議事録については会長及び会長の指定した委員2名が署名する形で規定されており、本委員会も準用して運用していたところですが、この度の議事録については、実際の出席委員の方に、これまでも内容の確認を頂いておりましたので、内容の真実性については担保できるということから、署名廃止となりました。
なお、今後、議事録の署名は不要となりますが、議事録の内容確認については、引き続き委員の皆様にお願いする形となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部座長 今の説明について、何か御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日予定している議事はこれで終了となります。今後の日程等について、事務局からお願いいたします。
○田口補佐 長時間にわたりお疲れ様でした。本専門委員会については、通常、年1回の開催とさせていただいております。開催時期については、特段の問題がなければ来年度の同時期、令和4年の2月か3月頃とし、各委員の方と日程調整をさせていただき、進めていきたいと思います。事務局から御連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本年度のように、港湾労働者派遣事業の許可に関しては、持ち回り審議をお願いする場合もあると考えられますので、その際は別途御連絡いたしますので、こちらも併せてよろしくお願いいたします。
最後に、今回の専門委員会で委員を御退任される方が3名いらっしゃいます。つきましては、よろしければ、その3名の方に退任の御挨拶を一言お願いしたいと思います。
まず、使用者代表委員として、10年間の長きにわたり御尽力いただいた東海海運株式会社代表取締役社長の鶴岡純一委員、お願いいたします。
○鶴岡委員 振り返ってみると、もう10年たったなという気がしまして、10年にわたり委員を務めさせていただきました。この10年なりで、いろいろ港労問題も進展してきたのではないかと私なりに思っておりますし、お役に立てていたならよかったなと思います。
先ほどちょっと申し上げましたけれども、私は今回で委員は下りますが、本当に港労法は労使ともに大事だと認めている法律ですので、今後とも、この法律を守るような慎重な御審議を、是非ともしていただきたい。委員を辞めるに当たり、これだけはお願いしたいと思っています。本当に、10年にわたりいろいろとありがとうございました。
○田口補佐 ありがとうございます。続きまして、公益代表委員として、鶴岡委員と同様に10年間の長きにわたり御尽力いただきました渡邉豊委員、よろしくお願いします。
○渡邉委員 ちょうど10年前に就任させていただいたときは、リーマンショックで、日本の港湾が非常に御苦労なさっていた時期で、その直後に東日本大震災が起こり、しばらくすると世界3位だった韓進海運の世界的な倒産、そして、日本の邦船3社もコンテナ部門を切り離してシンガポールに本社を創って外資化してしまうというような、港湾をベースとする激動があったと思います。
その間、労使の皆様、この委員会を通じて、10年前に入った時期は、労使が声を荒げることもときどきあったのですが、その後、こういういろいろな危機を乗り越えるべく、非常に協調がどんどん広がっていったと感じて、私は非常に安心感が深まった10年だったと思います。
ただ、最後に是非、今後、もう少し皆様を取り巻いている対外的なことを課題としてというのは、東日本大震災のときは、たまたま北で起こったものですから、皆さんの職場としては仙台港が壊滅しただけにとどまったのですが、その後の地震諸学の進みによって、明らかに南海、東南海が同時に起こる可能性も指摘されていますし、それが近い将来なのです。もう確実に5大港が巻き込まれる地域で一番リスクが高まっていますので、いざというときに、まず間違いなく巨大津波がくるでしょうし、そうすると複数以上なのか、特定の5大港のうちの港湾なのか。港湾労使ともに、ほぼ壊滅の状態にさらされて、そこからスタートするわけです。
こういう避けられない確実なリスクというものがありますので、確かに港湾労働法の問題の範疇でこの委員会は進めていくべきものなのですが、将来、皆様の労使双方ともの危機が明らかになってきましたので、是非この場でも、ときどきお話を進めていただければなというのが、私の強い切望です。
私自身も大学で港湾に関する講義を持っているのですが、ほかの大学も私の大学内も含めて、まず物流の授業は少ないですし、港湾のことをしっかりと教鞭を取っているのは東京海洋大学ですと私だけの状況です。若い先生に、少しずつ港湾のことを講義していただくような努力をしているのですが、とにかく小さな大学ですので限界もありますので、皆さん、是非、若い人を育てるということも労使双方で尽力していただければと思います。これまで、本当にどうもありがとうございました。
○田口補佐 ありがとうございました。最後に、本専門委員会の座長として御尽力いただきました阿部正浩座長にお願いいたします。
○阿部座長 私は鶴岡委員や渡邉委員と違いまして、たった2年間、この委員会に出席させていただきました。2年前に、この委員を引き受ける際に、2、3cmの分厚い資料を頂いて、これで勉強してくださいと言われて、ざっと読ませていただきましたが、なかなかイメージがつかめないということで、実は昨年の今頃に神戸港等を中心に、新しい研修センターも含めて見学させてほしいということで、いろいろとお願いしていたのですが、コロナ禍ということで、それも実現せずに、この2年間が過ぎてしまったなということで、もう少し勉強したかったなというのが、正直なところでございました。
今日のお話もそうですが、まだまだこの問題はいろいろな問題が残っているなという感じがしておりますので、労使の皆様で、更に議論を進めていただいて、良い労使関係、労働環境をお作りいただきたいなと思っているところです。たった2年間でございましたが、皆様の御協力で議事が順調に進んだこと、御礼申し上げます。ありがとうございました。
○田口補佐 どうもありがとうございました。今回、御退任される委員の皆様の益々の御活躍を祈念いたしまして、事務局からの連絡事項とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○阿部座長 それでは、本日の専門委員会は終了いたします。本日の会議に関する議事録の署名は、先ほど説明がありましたが、議事録の署名は不要になっておりますが、議事録の内容の確認はございますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
 

(了)

 

 

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