厚労省・新着情報

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年3月10日(水)13:00~15:00

場所

AP虎ノ門 11階 会議室A
(現地とWebでのハイブリッド形式)

議事

○塚本課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第13回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。
私は、事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の塚本と申します。
本日の協議会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインでの開催とさせていただいております。
まず、御出席状況について御報告いたします。本日は、加藤則人委員から遅れて御出席される旨、御連絡をいただいております。また、南砂委員におかれましては、都合により14時15分頃に御退席されるとの御連絡をいただいております。
次に、今回、委員の変更がございましたので、御連絡いたします。公益社団法人日本栄養士会専務理事 迫和子委員から、常任理事 下浦佳之委員となりました。下浦委員、一言御挨拶をお願いいたします。
○下浦委員 失礼いたします。先ほど御紹介いただきました、日本栄養士会の専務理事の下浦と申します。
迫専務理事が辞任いたしまして、代わりに私が今回からこの委員会のほうに出席させていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○塚本課長補佐 ありがとうございます。
また、本日は参考人として、国立病院機構福岡病院名誉院長の西間三馨先生に御出席いただいております。
本日は、20名の全委員の方に御出席いただく予定であり、定足数に達していることを御報告申し上げます。
続きまして、前回の協議会以降に事務局側の人事異動がございましたので、事務局の紹介をさせていただきます。
健康局がん・疾病対策課長の古元でございます。
○古元がん・疾病対策課長 よろしくお願いいたします。
○塚本課長補佐 がん・疾病対策課課長補佐の岩佐でございます。
○岩佐課長補佐 よろしくお願いいたします。
○塚本課長補佐 同じく、課長補佐の伊藤でございます。
○伊藤課長補佐 よろしくお願いします。
○塚本課長補佐 どうぞよろしくお願いいたします。
なお、事務局の正林健康局長は、急な公務につき、欠席しております。
続きまして、資料の御確認をお願いいたします。
議事次第、座席表、アレルギー疾患対策推進協議会委員名簿。資料1、資料2-1、2-2、2-3、資料3、資料4-1、4-2、参考資料1、2。
以上でございます。御不足はございませんでしょうか。
以上をもちまして、カメラを収めていただきますよう、御協力をお願いいたします。
これからの進行は、東田会長にお願いいたします。
○東田会長 皆さん、こんにちは。東田でございます。
実は、前回、3月に第12回の協議会を開催させていただいて、これは持ち回りの開催というところで、もう1年がたってしまいました。それで、都道府県のアレルギー疾患医療拠点病院の選定とかモデル事業等、基本指針に基づいたアレルギー疾患対策が進められているのは、皆さん御存じのとおり。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行で、恐らく全く動いていないところとか、本当にいろいろな影響が出ていると思います。
そういうところで、本日は、アレルギー疾患対策のいろいろな取組の状況と、都道府県のアレルギー疾患拠点病院のモデル事業、基本指針の進捗状況、それに新型コロナウイルス感染症とアレルギー疾患対策について議論していきたいと思っております。
それでは、本日の議題1「アレルギー疾患対策の取組状況について」に移りたいと思います。資料1の説明を事務局よりお願いいたします。
○伊藤課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料1を御覧ください。当課の今年度のアレルギー疾患対策の取組について報告したいと思います。よろしくお願いいたします。
平成26年に施行されたアレルギー疾患対策基本法に基づき、平成29年に基本指針が策定されて約4年が経過します。この間、基本指針に基づいた施策を推進してまいりましたが、来年度、基本指針の見直しを控えており、今回、各条文について関係省庁の進捗状況について、まとめさせいただきました。後で御提示させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
アレルギー疾患対策の中でも重要な施策として、平成29年の「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」の報告書に基づきまして、アレルギー疾患医療提供体制の整備を進めているところでございます。
都道府県アレルギー疾患医療拠点病院ですが、3月現在、37都府県65病院が選定されています。国の目標としましては、来年度までに全都道府県に設置することを目指しております。未設置県におかれましても、来年度には設置する、もしくは予定があるとの御意見はいただいております。
来年度の当課におけるアレルギー疾患対策に関する予算案でございます。今年度、拠点病院のモデル事業が終了となります。新型コロナウイルス感染症による多大な財政への影響がある中、今年度と比較し、ほぼ同額の予算となっております。アレルギー情報センター事業、アレルギー疾患医療提供体制整備事業、リウマチ・アレルギー特別対策事業、そして研究事業になります。これらの事業について御説明させていただきたいと思います。
アレルギー情報センター事業は、アレルギー疾患に係る最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウェブサイトの作成、施設関係者に対する研修会の開催、研修資料の作成を目的とした事業であり、日本アレルギー学会及び日本リウマチ学会に補助して実施しております。ウェブサイト、アレルギーポータルは一昨年に開設されましたが、その後もコンテンツを充実させ、現在、月に3万アクセス程度と、着実にアクセス数が増加しております。
また、アレルギー相談員養成研修事業は、行政の保健師や看護師、福祉施設等アレルギーの相談を求められることが多い方に対する研修で、今年度はコロナ禍ということでウェブでの開催となりましたが、400名程度の参加があったとのことです。
アレルギー疾患医療提供体制整備事業は、中心拠点病院である相模原病院様と成育医療研究センター様に補助している事業です。全国の拠点病院とのネットワークの構築、診断支援、各都道府県拠点病院医師の研修、一般からの相談事業などをしていただいております。
アレルギー疾患医療の向上のためには、臨床を多く経験することが必要であることから、アレルギー疾患の医療が十分ではない都道府県の医師に対して、来年度から長期研修を受け入れていただく体制を整備し、また、全国から増加する診断支援のために予算を拡充させていただく予定としております。
リウマチ・アレルギー特別対策事業は、平成17年より行っている事業ですが、各都道府県に対して、医療従事者への研修や患者への普及啓発のために国が2分の1補助する事業でございます。現在、各都道府県の拠点病院で実施される研修の活動等に対する補助については、この事業予算を用いて行政と拠点病院が連携してアレルギー疾患対策を推進していただくようお願いしているところです。
アレルギー疾患対策都道府県拠点病院モデル事業は、平成31年から3年間実施し、今年度で終了となります。今年度は、コロナ禍で拠点病院としての活動に多大な影響を受けたかと思いますが、東北大学病院、獨協医科大学病院、岐阜大学医学部附属病院、国立病院機構福岡病院、熊本大学病院、この5つの病院を採択させていただき、活動していただきました。今年度で本事業が終了となりますので、この後、モデル事業については改めて御説明させていただきます。
研究についてですが、今年度の厚生労働科学研究では、都道府県のアレルギー疾患拠点病院を活用した全国アレルギー疾患有病率を調査する研究班が開始となっています。今年度はパイロット研究とのことですが、来年度からは全国の拠点病院様に調査の協力をお願いすることとなっています。
また、就労・就学支援に関する研究、アレルギー疾患患者のアンメットニーズの把握と解決に向けた研究、食物経口負荷試験の標準化に向けた研究、成人の難知性・診断困難患者の診療・研究システム構築に関する研究、大規模災害時におけるアレルギー疾患の問題の把握と解決に向けた研究などを実施しています。
以上、厚生労働省のアレルギー疾患対策に対する取組について事務局より説明させていただきました。
○東田会長 ありがとうございます。
今の事務局からの資料1の説明について御質問や御意見等ございましたら、事務局から説明があったように、ビテオをオンにしていただいて、挙手をお願いいたします。こちらから指名して発言していただきます。
なお、都道府県の拠点病院のモデル事業については、この後、別途時間を設けさせていただいておりますので、それ以外の点について御質問があれば、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
そうしたら、こちらのほうから御指名させていただきます。まず、行政の立場から、神奈川県の中澤委員、いかがでしょうか。
○中澤委員 ありがとうございます。
今、御説明があったように、まだ47都道府県、全て拠点病院が整備されていないということですが、検討されて前向きに進んでいるということなので、ちょっとほっといたしました。ただ、各地域、拠点病院の整備がなかなかすぐに進まなかったというのは、それなりの地域のいろいろな事情があるかと思いますので、その辺は厚労省の事務局のほうから、技術的な支援であったり、ほかのところの事例なども御指導いただきながら整備を進めてまいりたいと考えております。
ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございます。
そうしたら、歯科医師会の佐藤委員、この検査のこととか医療提供体制の見える化とかアレルギー相談員養成研修、その辺、いかがでしょうか。
○佐藤委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の佐藤真奈美と申します。
金属アレルギーのことで悩まれている患者さんがたくさんいらっしゃいますので、できましたら、歯科用金属のアレルギー検査の実施ですとか、もしくは実施している病院、あと皮膚科の把握をして紹介していただけるなど、さらなる情報提供をしていただければ非常にありがたいなと思っているところでございました。
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。
ほか、疫学調査について、環境省の新田委員、いかがでしょうか。
○新田委員 新田でございます。御指名いただきまして、ありがとうございます。
疫学研究については、規模をどういうふうに考えていくかということで、関係者・対象者の御協力の度合いもかなり変化してくるかと思います。ですから、参加者にどう協力いただけるかということを考えながら。それがないと、しっかりしたデータも把握できないと考えております。
以上でございます。
○東田会長 ありがとうございます。
これは、疫学はもっと進めないといけませんね。そういう意味でも、予算をもうちょっとつけてもらわないと、かなり厳しいものがあるように思います。
疫学のほうで、朝倉委員、いかがでしょう。
○朝倉委員 御指名いただき、ありがとうございます。東邦大学の朝倉でございます。
疫学のほうは、例えば人口を調べて、その人口当たりに専門医を何人置くといった感じと同じで、有病率が分からないと、どの地域にどれほどの資源を置けばいいのかというのも分かりませんので、基本的なこととして必要なのかなと考えています。
それから、有病率調査に加え、患者さんたちが実態としてどういうふうに治療されていて、そういう方たちがどういう経過をたどっているのかということも、情報としてあるといいのかなと考えています。患者さんの追跡をするのはなかなか大変かもしれないですけれども、病院に通われている方であれば、一般の方に調査をお願いするよりも、むしろ楽かもしれませんし、患者さんのほうの調査というのも必要なのかなと考えています。
以上です。ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございます。
そうしたら、総合的なアレルギー疾患対策について、読売新聞の南委員、いかがでしょう。
○南委員 ありがとうございます。
総合対策という意味では、この推進協議会の前回の議論のときにも申し上げましたが、カバーする範疇が気管支ぜんそくなど、限られたものになっていることがやはり気になります。重々承知した上で申し上げるのことなのですが、アレルギーと言いますと、本当に広い概念で、先ほど金属アレルギーのお話もございましたし、直近では、国民の多くが関心を持っている新型コロナのワクチンのアレルギーの問題等もあります。「アレルギー」と謳って、こういう推進協議会を構えている以上、対象から外れても情報提供など、ぜひ御検討いただきたいと思います。
アレルギーというのは非常に広い概念であり、その中で、この協議会が対象とするのはこの領域ではあるけれども、ということで、それ以外の問題についても、世の中の関心事については情報を出すなどしてアレルギー全般の理解を深めてもらうということは、非常に必要なことですし、こういう名前のついた会ですから、そういったことをぜひ御検討いただけたらと思います。本来のテーマではないかもしれませんけれども、ご検討頂くようどうぞよろしくお願いいたします。
○東田会長 ありがとうございます。
ワクチンは、また後ほど議論させていただきますけれども、個別の疾患に限らず、総合的に対策を立てろということですね。ごもっともなことだと思いますけれどもね。
そうしたら、養護教諭の浅野明美委員、いかがですか。
○浅野(明)委員 ありがとうございます。
今、情報提供ということがありましたので、お話ししたいと思います。第11回のときに私のほうから、アレルギーポータルの認知度を拡大してはどうかということをお話しして、早速、第12回の資料には、そういったポスターとかパンフレットを作成していただいたという、非常に素早い対応を取っていただき、本当にありがたいと思っております。
ただ、私、学校関係という立場でありまして、学校への配布ということが行われていなかったので、実際、どこに配布されたのか分からなかったのですが、第12回の資料のほうには、各都道府県の拠点病院、日本アレルギー学会の会員の方に配布されたようですが、できれば症状がひどくなって患者として病院に行く前に、要するにこのような症状はどうなのかしらとか、病院に行ったほうがいいのかしらとか、どういった病院が対応してくれるのかしらという、その前の段階でという意味で、学校とか一般の人たちが分かるようなパンフレットの作成及び配布をしていただきたい。それから、ポータルサイトがもっと認知される方法というものをもう少し取り組んでいただけるとありがたいかなと思っております。
以上です。
○東田会長 一般の方には余り認知されていませんか。
○浅野(明)委員 私が知る限りでは、まだ認知が十分ではないように思えるのですが、先ほど、大分利用者が増えてきているということは言われていましたが、学校関係という立場から言いますと、また文科省との関係とか、いろいろあるかと思いますが、私たち養護教諭、保健室に携わる者が実際に見てとれるようなものがあると、もっと周知されるのではないかと思います。
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。
いろいろな市民公開講座とか講習会とかには、そういうパンフレットを配布して、なるべく認知してもらうようにというところで、そういう動きはしていると思うのですけれども、まだ足らないということで、それはぜひとも広めないといけないということですね。ありがとうございます。
医師会の立場から、松本吉郎委員、いかがですか。
○松本(吉)委員 拠点病院を中心として、各県で様々な取組をしていただいていることも大変ありがたいと思っております。私も埼玉県では、県のアレルギー疾患の取組の座長も務めさせていただいております。その中では、今、学校の話が出ましたけれども、アレルギー疾患の生活管理指導表の活用をもう少し進めたらいかがかという話が出ておりまして、これをしっかりと活用することが、よいのではないかということで、一生懸命取り組んでいるところであります。
それから、もう一つは、国民・市民の皆さんは、アレルギーという言葉を知ってはいるわけですけれども、逆に誤った情報も非常に流されているところもありますので、先ほども各委員の方がおっしゃっていたように、正確な情報をもう少し市民に分かりやすく広報していくということも大事なのかなと思っておりました。
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。はい。
それでは、続いて、議題2「アレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業について」に移りたいと思います。資料2-1、2-2、2-3について説明いただいた後に議論したいと思います。では、まず資料2-1の説明を事務局よりお願いいたします。
○伊藤課長補佐 事務局でございます。
アレルギー疾患対策都道府県拠点病院モデル事業の取組の概要について御報告させていただきたいと思います。
アレルギー疾患対策都道府県拠点病院モデル事業は、アレルギー疾患医療提供体制の整備において、標準的な体制が存在しないことから、拠点病院の活動の一助とすることを目的として、平成30年から3年間にわたり実施しました。
具体的には、アレルギー疾患患者に対する相談対応、地域の医師等に対する研修会の実施、アレルギー疾患に関する情報提供、診療などの支援についての取組をお願いさせていただきまして、平成31年度は、山梨大学医学附属病院、千葉大学病院、国立病院機構三重病院。そして、令和元年は、千葉大学病院、藤田医科大学ばんたね病院、福井大学医学部附属病院、国立病院機構三重病院、近畿大学病院。そして、今年度、令和2年度は、東北大学病院、獨協医科大学病院、岐阜大学医学部附属病院、国立病院機構福岡病院、熊本大学病院を採択させていただいております。
各取組についての概要を簡単に説明させていただきます。
アレルギー疾患患者や家族に対する相談対応については、メールやウェブを用いた体制を整備した施設が多く、次いで電話対応でした。対応者は、アレルギーの専門医とか看護師、またピアサポートの方が担当するということもございます。
代表的な取組としましては、熊本大学病院では、医療事情者や教育担当者を対象としたメールによる相談対応システムを構築。福井大学医学部附属病院では、市民公開講座に現地で集まった会場において、個別の専門医による相談を受けるといった取組を実施されました。
千葉大学病院では、本協議会の桐谷委員を中心としたピアサポートによる電話相談事業を実施しております。
地域の医師に対するアレルギー疾患研修会の実施ですけれども、基本的には集団で研修会実施を行うことが多かったのですが、近畿大学病院では、経口負荷試験や皮膚テストのハンズオンセミナーの導入等の取組がとても評価が高かったと聞いております。また、今年度はコロナ禍のため、ウェブを用いたセミナーやeラーニングなどの取組も実施されています。
岐阜大学医学部附属病院では、ウェブを用いることで遠方の地域からも参加できるということで、離島や面積の大きい都道府県での活用が期待されます。
この後、三重病院並びに福岡病院から具体的な取組について御説明をお願いしております。
アレルギー疾患に関する情報提供については、いずれの病院も、拠点病院のホームページの整備を実施しておりました。各地域の実情に合わせた情報提供を実施し、また各地域のアレルギー専門施設を分かりやすく紹介するなどの試みもありました。
また、熊本大学病院や藤田医科大学ばんたね病院では、SNSを用いた啓発も、災害時の情報提供手段ですとか、タイムリーな情報提供として開設しています。
コロナ禍の前ですけれども、人の集まりやすい商業施設を用いた市民公開講座などによる啓発活動も報告されています。
最後、診療支援・疫学調査でございますが、診療支援については、オンライン支援、そして様々な診療科の先生が1人の患者さんを診察する多科診療など、独創性のある試みも報告されました。
また、地域の実情を把握する疫学調査としては、地域の小児の呼吸機能検査を実施して、異常のあるお子さんには医療受診を早期に勧める対策を実施し、また乳幼児健診を利用した地域のアレルギー疾患の実情を把握する試みなども報告されています。
各病院の報告の詳細については、厚生労働省のリウマチ・アレルギー疾患対策のホームページにも掲載しておりますので、参考にしていただければと思います。
以上、各取組の概要について事務局より報告させていただきました。
○東田会長 ありがとうございます。
続いて、資料2-2の説明を藤澤委員よりお願いいたします。10分ぐらいで、先生、お願いします。
○藤澤委員 国立病院機構三重病院の藤澤です。ありがとうございます。
それでは、資料を共有させていただきます。説明をさせていただきます。
国立病院機構三重病院では、平成30年度と令和元年度の2年間にわたりましてモデル事業をさせていただきました。
まず、実施体制について御説明申し上げます。拠点病院として指定されたのは、私どもの病院と三重大学附属病院になっています。それぞれ得意な診療科で分担するという形で連携を取りました。これを三重県にサポートしていただき、三重県のアレルギー疾患対策協議会と協議しながら進めました。そして、医師会、看護協会、薬剤師会、栄養士会の方々との連携も取るという体制を組みました。私たちの病院の中では、専門医、小児アレルギーエデュケーター等がおりますので、事務部門も含めまして、病院を挙げて取り組む体制としました。
三重県の問題点は、拠点病院がここに2つあるわけですが、南北に非常に長い。南のほうは、人口過疎でもありますし、それから医療過疎の地域であります。アレルギー専門医もここに集中して、ほかのところには余りいないという状況の中で事業を行いました。
それで、情報提供、患者相談、地域の医師等への研修会、診断支援、それぞれ御説明させていただきます。
まず、情報提供ですが、アレルギーポータルみえというウェブページを作りまして、ここから情報提供するという道筋をまずつくりました。私たちのホームページでは、三重県の診療情報に特化するというやり方にしました。一般的な情報については、国のアレルギーポータルがありますので、ここに質問を入れると、そのまま中央のサイトに飛ぶようにしてあります。
情報提供として重要なのは、どこに、どういうアレルギーを診てくださる医療機関があるかということです。でも、現実問題として、専門医は非常に不足しているという状況です。その中で、どのように診療ネットワークをつくるかということは苦慮しましたが、一応アレルギー診療ネットワークみえというものに手挙げ方式で登録いただくことにしました。手を挙げられる先生方の診療の質・内容がどうかということを評価するシステムまでは、私たちは持っていません。
なので、登録いただく先生の要件としては、診療ガイドラインに準拠したアレルギー診療をされることということで、ガイドラインのリストを送りまして、どのガイドラインに準拠されますかということを宣言していただく。それによって、少なくとも手元にガイドラインは置きながら診療していただけるのではないかということを期待しました。あとは、病診連携の体制。
それから、後で申し上げますオンラインのシステムも用いました。この医師の先生方の診療の質の確保のために、eラーニングのシステムも作成いたしました。非常に広い分野で、短い時間でやるということですので、症例から考える紹介・逆紹介のポイントということで、どこまではプライマリーで診ていただいて、どこからは拠点病院に送ってくださいということが分かりやすい形で講演しました。
情報提供として講演会を行うということは、待っている形ではなかなか人が集まらないということを経験しておりますので、私たちが出かけていって情報提供しようと、ショッピングモールに出かけまして、そこの1室を借りて、買物の途中で来られる家族を呼び込んで、いろいろな情報を提供する。短い講演も入れるという形でやりました。こういう形でやると、かなりの人数がいらっしゃいます。2月になるとコロナの影響が出まして、ここはかなり大きいモールですが、人数が少し減っております。
相談については、アレルギー相談センターを設けまして、週2回、アレルギーに精通したPE(小児アレルギーエデュケーター)の看護師を専任で置きまして電話を受け付ける。あとは、医師、専門医がこれのバックアップをやるということで、食物アレルギーに関する相談が非常に多いということが分かりました。
あとは、コメディカルスタッフの養成ということに力を入れました。PAEというのは非常に質の高いスタッフではありますが、これは資格を取得するのがなかなか大変で、全国にはまだ数百人レベルしかいないということで、これをもっと増やさなければならないということで、三重県の地域PAEを作ろう。PAEは小児ですが、この場合は、成人の領域も含めて4日間のプログラムに全て参加していただいた方には、三重県から修了証を発行する。県との共催事業として行いました。
このような講義から実習までやりました。途中でコロナが始まってしまいましたので、後半はリモートに変更しましたが、なるべく臨場感が出るような形で運営いたしました。
結果ですが、三重県、かなり遠方からも参加されて、薬剤師、看護師と半々。経験年数はいろいろな方が見えましたが、20年以上という非常にベテランの方がいらっしゃっています。
アトピー性皮膚炎とかぜんそく等々に実際に役立てることができた。その年齢層も、乳児期から高齢期に至るまで、幅広い年齢に使うことができたと言っていただきました。
これは、2年間だけで終わってしまうことがないようにということで、三重県にお願いしまして、今年からは三重県の事業として継続しております。
三重県との共同作業では、実態調査も行いました。県政モニター、あるいは集団検診での調査などを行っています。
その一部を御紹介しますが、先ほどアレルギーポータルのことが紹介されましたが、私たちのポータルみえも、中央のポータルも、ほとんどの人が知らないという結果が出まして、非常に驚いたのですが、さらに啓発を続けていかないといけないと思いました。
あとは、オンライン診療のシステムを利用して、P to D+Pという形の次世代電子診療病診連携みえというものも行いました。
さらに、原因不明のアナフィラキシーというのは診断がなかなか困難ですが、国立病院機構のネットワークを介して、委員でいらっしゃる海老澤先生にも入っていただいて、いろいろなところから原因の分からないアナフィラキシーについて登録していただいて、この診断に精通した専門医の意見も聞きながら、特殊検査も行って診断に結びつけるという仕組みをつくりました。
以上が三重県の取組であります。どうもありがとうございました。
○東田会長 ありがとうございました。
それでは、続いて、資料2-3の説明を西間参考人よりお願いいたします。先生、よろしくお願いいたします。
○西間参考人 では、最初の画面をお願いします。福岡病院は、今年度だけの単年度の取組でありました。したがいまして、単年度でどこまで今までの分を充実させ、先につなげるかということと、コロナが蔓延するであろうという推定の下に、従来やっているフェイス・ツー・フェイスの、例えば水泳教室とか食物アレルギー教室、そういうものができないのではないかということがあって、それに対してどう対応するかということを考えて、この1年やってまいりました。
それから、そのほか、ちょうど今、花粉が飛んでいますから、それについてどういうふうに取り組んでいるか。
それから、この法律の中でどう取り組んでいけばいいのかということもお話ししたいと思います。
それから、他組織との共同活動が重要であるということもお話ししたいと思います。
次の画面をお願いします。電話相談は、これをきっかけにやり始めたのですけれども、何が違うかというと、従来、東京のほうでやっていた電話相談と大きく違うことが幾つかありました。それは、まずは絶対的にアクセス数が少ない。人口がそうでしょうから、やむを得ないのでしょうけれども、少なかったということと。食物アレルギーが一番メインの質問項目となっていましたが、意外だったのは、質問者の年齢が上であった。東京のほうでやっていたときは、圧倒的に小児が多かったのですけれども、福岡のほうでやると、地域は福岡だけじゃなくて、かなり広く広がっておりますが、成人の質問が非常に多かったというのが違ったところでありました。
次、お願いします。それから、アレルギーの講習会は、医療従事者用と、患者さん用と一般の方用の2つがあるのでてすけれども、医療事情者用は普通どおりにはやれないだろうということで、eラーニングの形で行いまして、登録者数は非常に増えました。ただし、これも後の問題がありますけれども、実際、どれぐらい効果があったのかという検証作業が必要だろうと思います。とにかくeラーニングでやると、非常に受講者は増えたということであります。
次、お願いします。一般の市民用の市民公開講座につきましては、これも従来、やっていたことができないということで、フリーペーパーを作りまして市町村に配布した。それから、ホームページの中で新規に詳しく作りまして、それにアクセスできるようにしたということですが、これも先ほどのようにアクセス数は非常に多いのですけれども、果たしてどれだけの効果があったかということは検証しなければならないと思っております。
次、お願いします。保健所のほうは、乳児検診の際にずっとアレルギー相談をやっておりましたけれども、これもできないだろうということで想定しておりましたので、保健所に動画のDVDを配りましたが、どの程度活用されているか、まだ検証しておりません。
同じように、食物アレルギーのアナフィラキシーショックのときのファーストチョイスのエピペンですけれども、アドレナリンの自己注射ですね。これも希望する幼稚園とか学校とかに行って講習をやっていたのですが、これもできないだろうということで、動画DVDを作成して配布ということに変えました。それがどの程度効果があったかということで、医師向けに作ったようなeラーニングをやってみようと、今、企画している最中であります。
次のスライドをお願いします。ちょうど今、花粉が飛んでいます。福岡は、先週がスギのピークでありまして、今週はヒノキに変わってまいりました。福岡病院は、随分昔から全国の花粉の飛散状況を年ごとに整理してきたのですけれども、最近、参加施設が少なくなっています。緑色の濃いのがスギで、明るいのがヒノキ。大きさでどれぐらい飛んでいるかというのが見えますけれども、これを見てお分かりのように、この絵はいわゆるツリーシーズンという樹木の花粉が飛ぶ、年の最初のほうのところですけれども、全国、どこもスギは非常によく飛んでいる。
そして、最近は、福岡は完全にヒノキのほうがスギより多くなりました。ということは2月、3月、4月までスギ、ヒノキ花粉症はあるということと。ほかにも、抗原性は別として、花粉が地域ごとに分布も違うので、そういう意味では、将来的には拠点病院ごとの花粉マップが必要ではないかと思います。
次、お願いします。これは今年の予測ですが、次、出してください。昨年は、例年よりも少なかったのですね。これは予測されておりました。確かに少なくて、患者も少なかったのですけれども、今年は昨年よりは多いけれども、例年よりは少ないだろうという予測でした。大体、そのとおりでした。しかしながら、患者の発生を見ますと、花粉がそんなにべら棒に多いわけでもないのに、新規発症の若年者の花粉症がかなりあちらこちらのクリニックから報告が出ています。
次、お願いします。それで、福岡地区は、耳鼻科と眼科のクリニックを患者がどの程度受診しているかということで見ているわけですけれども、花粉の飛散とちょうど同じような山で昨年は来ておりました。今年も同じ形で来ているのですけれども、昨年よりも若年者が多いという報告がありますが、まとめないと分かりません。これも、各拠点病院のところで、それぞれにこういうデータを持って公表できるような形に将来的にはなるのが望ましいのではないかと思います。
次、お願いします。疫学調査のほうですけれども、これは1982年から10年ごとに西日本11県の5万5000人の小学児童の疫学調査がやられているのですけれども、今年、来年が第5回目ということになって、数字が5万5000人から、子供たちは1万人ずつ減ってきております。でも、ここ10年は下げ止まり、10年前3万6600人ぐらいだったのが今3万6000人ぐらいで、そんなには減っていないのですけれども、この数で今年、来年と疫学調査をします。
次、お願いします。このように、左がぜんそく、喘鳴、ぜんそくと喘鳴を足したもの、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎、スギ花粉症、いずれかのアレルギーがどうなのかということで出ておりますが、傾向は、ぜんそくは減少傾向に入りました。それから、アトピー性皮膚炎も徐々に減少しています。ただ、ずっと増えてきているのが、アレルギー性鼻炎、結膜炎、スギ花粉症です。
ここに食物アレルギーは入っておりませんが、従来、疫学調査の中で食物アレルギーはほとんど計画的に調査しておりませんでした。定義も非常に難しいということでしたが、前回から取っておりますので、10年前と今度の差は出ると思いますが、感覚からすると明らかに増えてきているという状況が分かります。これも、地域によっての変化が当然あると思います。あと、拠点病院でするのであれば、こういうデータがある程度は分かってくるのではないかと思います。
次、お願いします。10年ごとの定点観測だけではなくて、もう一つは、毎年の変化も見て、何かあったときには警報を鳴らすというか、例えば大気汚染が増えたとか、九州だと黄砂が増えたとか、そういう変化があったときに、ぜんそくをマーカーとすると一気に増えるかもしれない。これは、環境省が今もずっとやっておりますけれども、福岡でも小学校1年生を5校でやっているのですけれども、ここに最近の分を出しておりますが、花粉症が増えて、アレルギー性鼻炎が小学校1年生でも増えているというのが明らかに見てとれます。
これが最後のスライドと思いますが、eラーニングとかオンラインでやるのは、確かに受講者は多いのですけれども、どれだけの効果があるか分からないし、途中で席を立ってしまう人も多いので、1つの方法として、今年、対談方式で、それぞれの分野のエキスパートと一緒に座談会をして、それを載せるということを試みております。かなり評判はいいようで、これにどの程度アクセスしてくるかを楽しみにしております。普通の講義方式ではなくて、こういう対談のほうが人は興味を示すのではないか。
それから、今度の仕事の中で、今後も続けていくものを右のほうに書いておりますが、残念ながら西日本というか、九州・中四国は、アレルギーに関しては医師の数が少ないのですね。そういうことで、グループとして、九州沖縄・中四国ブロックとして底上げをしていくということを考えていかないと、例えば福岡県だけでやるのでは、ほかとの格差が広がるばかりだということも悩みの一つであります。
以上です。
○東田会長 ありがとうございました。
それでは、資料2-1、2-2、2-3の報告を踏まえて、都道府県病院モデル事業について御質問やコメントございましたら、挙手の上、発言をお願いいたします。いかがですか。
そうしたら、モデル事業、近畿大学もそうなのですね。私どものところでは、このモデル事業では、コロナ禍ということがあって、ホームページをまず充実させて、受診方法とか電話相談の仕方とか。食物アレルギーについては、You Tubeとリンクしたというところです。市民公開講座も、近畿大学は大阪の南を担っているのですけれども、南は本当にドクターが少ないのですね。そういうところで、大学の近所でやると、その周りの人しか来ない。三重大学と同じで、出前・出張講座ということで、大阪の南の端まで行きましてやったということがあります。
しかし、講習会になると、このコロナ禍で集まれないということがあって、中止せざるを得なかった。ウェブで市民公開講座をやっても、若い人は出られるけれども、高齢者の方がどうしてもまだここに入り切れないという問題もございます。このコロナ禍で患者さんの受診が遅れるというケースもありました。
あとは、人口の割に大阪は職員が少ないのです。コロナ禍で、ほとんどコロナのほうに駆り出されてしまって、アレルギーのほうの担当者の方がほぼ全員がコロナに行ってしまったという問題も起こりました。
それと、ワクチンについて、アナフィラキシーのこと、大丈夫ですかということをよく聞かれるのです。リスクが低いというのは分かっているのですけれども、実際のところ確たる根拠がはっきりしたものがないのですね。そこが非常に答えにくいところがある。そういうところも解決していかないといけないというところでした。
千葉大学、岡本委員、お願いします。
○岡本委員 岡本です。よろしくお願いします。
千葉大学も、平成31年、令和元年度とモデル事業に採択されて事業を行いました。先ほど厚生労働省の方からも御報告がありましたが、もともと千葉大学病院の中にアレルギーセンターがあったのですが、そこを最大限活用して、モデル事業では専任のPAEの方を配置することができました。そこで横断的な診療の推進、各種事業、特に患者さんの相談、医療従事者の研修会、県内の医療情報の提供、各医療機関との連携等、 PAEの方が専従として活躍していただくことができました。今回のモデル事業の中で非常に大きな役割を果たしていただきました。令和元年度でモデル事業は終了したのですが、その後も県の補助を得ながら、行ってきた事業を継続できています。
モデル事業を終わって感じることは、国からの支援の継続姿勢が、都道府県や市町村を動かす原動力になっているのではないかということです。引き続いて、そういった国の支援姿勢を示し続けていっていただければと思います。
簡単ですけれども、以上です。
○東田会長 ありがとうございます。これは、予算も含めてですね。
ピアサポートの桐谷委員、いかがですか。
○桐谷委員 NPO法人千葉アレルギーネットワークということで、こちらの会議に参加させていただいているのですが、昨年の3月からは、千葉大病院のアレルギーセンターの事務にも、週2日入っておりますので、中の事情もよく存じ上げています。
専従のPAEさんの指示の下に、私たち、一緒に仕事をさせていただいているのですが、千葉県からは、委託費として年に700万円頂いていて、その中で、私のほかにもう一人、事務の方がいて、PAEの方の人件費が賄えていて、プラス、昨年は、大きな研修会をウェブで行うことができました。そちらは学校とか保育園とか、そういった施設に勤めていらっしゃる方に向けて午後に食物アレルギーの研修会。午前中は、相談事業を行っているような保健所の保健師さんとか保育士さんといった方に向けて、大規模な研修会を行いました。
ウェブだったので、千葉県は結構広いのですが、400名ほど御参加いただきました。それをまた見逃し配信ということで、1月と3月にオンデマンドで配信を行います。そちらも1月は400名ほどお申込みいただいて、3月のほうは100名ほどお申込みいただいているという状態になっています。千葉県のほうから委託費をいただいてということで行えてはいるのですけれども、よりいろいろな調査をしたりという事を考えると、もっと使えるとありがたいのかなというのは率直に思うところでありますが、現状の報告ということで御報告いたしました。
ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございます。千葉県は、ほかのところに比べれば恵まれていますね。
手が挙がっていました。浅野浩一郎委員。
○浅野(浩)委員 東海大学の浅野です。
いろいろな事業を工夫してされていて、特に施設外に出て実施されているのは、非常にインパクトがあると思いました。ただ、これから新たに拠点病院になる、あるいは拠点病院になったばかりの都道府県拠点病院にとって、モデルとなるようなパッケージを、このモデル事業の中からぜひ作っていただきたいと思っています。
PAEがいないような拠点病院は恐らく多いと思いますので、そういったところでもできるような事業プランを提供するとか、あるいは、新たに自分たちでeラーニング教材を作るといってもそれだけのことができるような人材がいないところも多いと思いますので、拠点病院間でeラーニング教材を共有していただくとか、標準パッケージみたいなもの、どこでもこれはできるというものを作っていただければというのが1つです。
もう一点は、アレルギーポータルのことですが、アレルギーポータルから中心拠点病院あるいは全国の都道府県拠点病院へ飛ぶようなリンクは貼られているのですが、実際に飛んでみると、病院のホームページに飛ぶだけで、アレルギーの情報が得られるようなサイトに飛ぶわけではありません。拠点病院にリンクしたときに、アレルギーに関するサイトにリンクするような形にしておかないと、アレルギーポータルから得られる情報が限られてしまうことがあるので、この点については、ぜひ今後御検討いただければと思います。
以上です。
○伊藤課長補佐 事務局でございます。
今の御意見を踏まえて、修正させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○荒木田委員 荒木田です。
今まで全体的な取組とかモデル事業を見させていただいて、このコロナ禍で本当に皆さん、熱心にしていただいたと思います。オンラインだとかeラーニングが進んだことで、かえって参加しやすくなったなということを思いますし、今も浅野委員からお話があったように、コンテンツの共有というのは、ぜひしていただきたいと思っております。
もう一点、アレルギーポータルとかモデル事業を見させていただいて、外国人向けといいますか、易しい日本語の、海外の方にも分かるような情報というのが、できればアレルギーポータルに入れておいていただいて、各拠点病院とかでも、相談があったときにそこが紹介できるという、在留外国人の方へ向けた情報提供というのも、何か1つ工夫をしていただけないだろうかと思いました。看護系の学会では、まだこのポータルサイトのPRが少ないと思うので、ぜひ看護系の学会関係、47団体、入っているところがあるので、このポータルとかをPRしていこうと考えております。
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。これは変えていく、つけ加える必要がありますね。
どうぞ。
○田野委員 大阪狭山食物アレルギー・アトピーサークル「Smile・Smile」の田野です。
浅野先生の先ほどの御発言が本当にありがたいです。患者・患者家族としては、モデル事業というのをそれぞれの拠点病院で進めていただいて、受診・治療等、アレルギー疾患の子供が成長して成人していく中で関わってくださり悩んでいる課題分野を考えてくださり相談に乗ってくださるということは、すごくありがたいと思っております。
コロナ禍により受診や治療に行けない、通えないという相談を最近よく受けております。地域で医療を受けることができなくて、遠方の医療を受けている患者は、都道府県をまたぐ移動を悩みためらっているという話も最近は多く聞きます。この状況下で、病病連携・病診連携をスムーズに行っていただけることを、モデル事業を通してきちんと整備していただきたいと思います。
また、幼稚園や小学校・中学校の先生方からは、前から入園・入学のときは受け入れ準備や情報共有等すごく大変だと伺っております。コロナ禍で、特に体制の見直し、先生方の考える事ややること、業務等がさらに多くなっております。学校生活で対応しないといけない生徒の情報共有や、学校との話し合い、アレルギー対応・対策など不十分で、不安や心配な声も多くきいております。学校に行く機会が減って、さらに情報の共有や把握ができない中で、患者や患者家族の心配や不安がすごく多く寄せられております。
また、アレルギーの疾患緊急時対応等の研修をいろいろなところで開催してくださったり、ウェブ等できる方法で開催をしてくださっております。私たち患者側もすごくありがたく大切、必要、重要だと思っております。学校と病院の連携があるところでは、研修をしてくださっており、患者・患者家族より感謝の声がたくさん届いています。その一方で、学校側の研修をしてくださっていない、必要性を御理解いただけていない、病院との連携がない、学校側からどこに問い合わせて良いのか分からないという声も多く聞きます。マニュアルや指針等の情報はありますが、啓発・浸透、体制作りにはもう少し時間がかかると思います。
病院との連携をはじめ研修等がなく情報を集めて対応している所では、地域の食物アレルギーを持つ児童が、みんなと教室で給食が食べられていないという相談もよく受けています。そのため、学校側、幼稚園側が過剰な対応になっている話も、最近相談がありました。患者・家族としては日々、こども達を守ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいですが、子供の成長や社会自立に向けた対応等が、連携・情報がないことで学校側や幼稚園側もどうしたら良いのか分からないというのが現状であります。ウェブ、eラーニング等で日本全国共通した研修ツールを、モデル事業を基に作成していただけるとありがたいです。
以上です。ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございます。本当に現場の声というか、これが現実ですね。ありがとうございました。
ほか、いかがですか。どうぞ。
○岡本委員 千葉労災病院の岡本です。
先ほどのモデル事業の御報告を伺って、福岡での西間先生の取組みには非常に頭が下がる思いでしたが、例えば花粉情報は地域ごとに大きく異なるので、地域ごとに詳細に皆さんに周知することは非常に有用だと思います。ただ、花粉の測定に関わる人たちというのは、多くの地域で多分ボランティアで参加されていると思うのですが、今後もボランティア活動として続けられるのか、花粉飛散情報の提供の継続は可能なのかというのは非常に不安に思うのです。福岡はどのように対応されていらっしゃるのでしょうか。
○西間参考人 先生はとても鋭い所を突かれました。そのとおりです。前は、かなり多くのところからデータを集めていたのですけれども、先生が言われるように、ボランティア活動的だったもので、次第に測定者がいなくなってしまうということで、どんどん測定地点が少なくなってきているのですね。今は、全国でも十数箇所になってきてしまったわけです。ただ、福岡は福岡県医師会がバックアップしているので、かなりやれている。
何らかの形で大きな組織がきちんと毎年バックアップしない限りは、人件費が出ませんし、そして専門の測定の人間が生活していけないということがありますから、将来的には、少なくとも拠点病院かブロックでは、そういう花粉の測定ができるということが必須ではないかと思うのですね。特に、耳鼻科領域では、絶対的に花粉の状況把握というものが必要ですから、先生のほうから全国的なチームワークでやっていく。お金は、この前計算したのですけれども、年に全国で2000万円かな。測定する技士の人件費は、それぐらい毎年あれば、さっきの地点ぐらいの測定は経年的に続けられるというぐらいですから、そんなにはかからなかったですね。でも、それも多くの地域はないです。
○東田会長 ありがとうございます。結局、いろいろお金がかかるということで、例えば大阪は、疫学調査も含めて、製薬メーカーと行政と提携して、そこに予算を入れてもらって動かすということを始めているところなのです。それでないと、ボランティアでやっていくのは、これから先、かなりきついですね。
どうぞ。
○矢上委員 ばんたね病院の矢上です。
私たちも、令和元年にモデル事業に採択していただきまして、愛知県の拠点病院事業の資金とモデル事業でやってまいりました。そこで思ったことは、地元・地域での取組というのは、アレルギーポータルもあります、中心拠点病院もありますけれども、その県の特色とか、やっていかなければいけないことがあると思うのですね。そのときに、ウェブサイトは最低限でも要るだろうということと、あと教育、または一般の方々に向けたつながり。あと、医師同士、アレルギーの専門医の多科連携ですので、そこをつなげていくような、拠点病院だけではなくて、地元の先生方とのつながりを作っていくためには、資金が必要だと本当に思いました。
ですので、モデル事業というのは、パッケージ化されて、共有して、みんなに提供する。それをみんなで利用する。ですけれども、拠点病院として何か始めようというときには、少し資金が要るのではないかと思いました。それは、国は、地域・県で賄えと思うかもしれませんけれども、国のほうからの、モデル事業にはなりませんけれども、今から立ち上げていくというところには、競争的でもいいですけれども、資金を新たに作っていただけると、今の37都道府県の65病院の中の、まだできていないところがだんだんとつながりを持って立ち上がっていけるのではないかと思いましたので、ぜひ資金面をお願いできればと思って、これは若干要望でございます。
ありがとうございました。
○東田会長 ありがとうございます。予算をもう少しきっちりつけてほしいというところですね。がんのようにまでは行かないと思いますけれども、それは少しお願いします。
続きまして、議題3に「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針の進捗状況について」に移ります。資料3の説明を事務局よりお願いいたします。
○塚本課長補佐 事務局でございます。
資料3を御覧ください。「アレルギー疾患対策基本指針の概要と国におけるこれまでの主な取組状況」について御説明させていただきます。
国におけるアレルギー疾患対策の取組は、基本指針に基づき、多くの関係省庁にまたがって行われております。これまでの主な取組状況をまとめさせていただきました。がん・疾病対策課の取組につきましては、先ほど御説明させていただきましたので、ここでは関係府省庁及び各部局における取組を中心に、主なものを御説明させていただきます。
まず、資料1ページの表を御覧ください。左列から順に、基本指針において今後取組が必要とした事項の概要、主な関係省庁、主な取組状況の順でまとめさせていただいております。
基本指針の「第二 アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項」につきまして、今後取組が必要とした事項の「ア 教育委員会等に対し、アレルギー疾患を有する児童等が適切な教育が受けられるよう助言及び指導」に関する取組としまして、文部科学省では「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を令和元年度に改訂し、学校関係者にアレルギー対応について講習会を実施しています。
続いて、2ページを御覧ください。1ページの表の続きとなっております。「カ 花粉の飛散状況の把握及び適切な情報提供並びに花粉の飛散の軽減に資する森林の適正な整備」に関する取組としまして、環境省では、スギ・ヒノキの花粉飛散量を測定し、ウェブサイトで情報提供しています。
また、林野庁では、花粉症対策苗木や広葉樹等への植替を促進、スギ花粉飛散防止剤の実用化試験、スギ・ヒノキ雄花の着花状況調査の推進等を実施しています。
続いて、「ク アレルギー物質を含む食品に関する表示等に関する科学的な検証の実施」に関する取組としまして、内閣府食品安全委員会では、平成29年度より、アレルゲンを含む食品に関するワーキンググループを設置しています。また、食品表示法に基づく義務表示等について消費者庁では、令和元年度にアーモンドを特定原材料に準ずるものに追加しました。
下の表、「第三 アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項」で、今後取組が必要とした事項の「イ 医療従事者の育成を行う大学等の養成課程におけるアレルギー疾患に関する教育の推進」に関する取組として、文部科学省では、職種ごとに卒業時までに身につけるべき能力を示した医学教育、歯学教育、薬学教育及び看護学教育「モデル・コア・カリキュラム」を周知し、アレルギー疾患に関する教育の充実を大学関係者へ要請しています。
続いて、3ページを御覧ください。下の表、「第四 アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項」について、今後取組が必要とした事項の「エ 疫学研究、基礎研究、治療開発及び臨床研究の中長期的な戦略策定の検討」としまして、平成30年度に免疫アレルギー疾患医療研究10か年戦略を策定し、これに基づいて、厚生労働科学研究及びAMEDにおける実用化研究事業が進められているところです。
続いて、4ページを御覧ください。「第五 その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項」(1)アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上のための施策に関する事項の「エ 「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」、「学校給食における食物アレルギー対応指針」、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」等のガイドラインの周知及び職員等に対する知識習得や研修の機会の確保」について、厚生労働省では、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を令和元年度に改訂し、保育所の職員に対する研修の実施をしております。
また、児童養護施設等におけるアレルギー対応の実態を把握し、「児童養護施設等におけるアレルギー対応ガイドライン」(案)を令和2年度に作成予定となっております。
続いて、5ページを御覧ください。第五(3)災害時の対応の「ア 関係学会との連携体制の構築及び災害対応の準備」について、農林水産省は、平成30年度にパンフレット「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」の作成、ウェブサイト「家庭備蓄ポータル」の開設、動画での発信等により食品の家庭備蓄について周知といった取組をしております。
本資料につきまして事務局からの御説明は、以上となります。
○東田会長 ありがとうございました。
それでは、今の資料3の説明を踏まえまして、基本的指針の進捗状況について御意見、コメントございましたら、挙手の上、御発言をお願いします。
海老澤委員、どうぞ。
○海老澤委員 相模原病院の海老澤ですけれども、まず、研究に関してのAMEDの研究事業について、お尋ねしたいのですけれども、もともと厚生労働省が持っていた厚労科研のアレルギーの分野の研究費が、今、AMEDに多分9割方、行っていると思います。その実際の使い方、そして評価の仕方というものに関して、薬になるか、ならないかということと、あと、動物実験のほうに非常に偏った研究の配分とか評価がなされているような気がしてなりません。実際には、疫学の研究とかアレルゲン関係の研究というのが、アレルギー疾患の研究においては非常に重要だと思うのですけれども、何とかならないものなのでしょうか。
厚労科研の元のほうに少し研究費を戻すとか、実際のアレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事業というものをもっと充実していくには、何らかの対策が絶対必要で、動物実験とかに幾ら金を費やしても、直ぐに臨床現場に還元できる訳ではないので。
あと、評価委員が、リウマチの人がアレルギーの評価をしていたりとか、なかなか難しいのですね。アレルギーの臨床医が実際にプレゼンテーションしても、全く分かっていない者が評価しているという状況があります。それに関して、お問合せしたいのと。
もう一つは、第五のエの学校と保育所に関しては、ガイドラインが昨年、さらにその前の年に改訂されましたけれども、児童養護施設等におけるアレルギー対応の実態を把握しという、ここは、令和2年度に作成予定と書いてありますけれども、実際にはどこの部署が担当して、今どのような状況になっているのかということに関して、きちんと説明していただけますでしょうか。
○東田会長 いかがですか。
○伊藤課長補佐 事務局でございます。
AMED研究に関しては、PS・PO制度等、しっかりと評価しながらやっていると思うので、免疫疾患、アレルギー疾患のバランスをちゃんと効果見した上での進捗を、今後も検討していきたいと思います。
児童養護施設に関するガイドラインですけれども、これは子ども家庭局の母子保健課を中心として、本協議会の藤澤委員にも参画していただきながら、現在、アンケートを実施した結果に基づいてガイドライン案をつくっているところで、3月末までに報告予定と聞いております。
○東田会長 ありがとうございます。よろしいですか。
ほか、いかがでしょうか。
西間参考人、お願いします。
○西間参考人 AMEDのことについて、ちょっと釈明したいと思うのですけれども、私、AMEDの免疫アレルギーのPS(プログラムスーパーバイザー)をやっておりましたので、責任は非常にあると思います。もちろん、海老澤委員の研究も厳しくチェックした立場でありますけれども、実際、AMEDでやりますと、切れがいいというか、起承転結がはっきりしていて、結果がある程度期待できるというところが、どうしても点数が高くなってしまうのですね。
それと、研究というのは、基本的に新規性・独創性というものが非常に重視されますから、そういう意味から言うと、アレルギーは、免疫疾患ではありますけれども、非常に茫漠とした、はっきりとしないところがたくさんあるので、そういう面では、査定のときに大きなハンディキャップがあって、厚労科研のような世界の判定とは違うということがあります。これから5年たってくるときの見直しとして、今後、研究費をどういうふうに再配分するかというのは、非常に大きな議論にしていただければと思います。現在のAMEDのやり方では、私達評価者はフェアにやっていると思うのですけれども、海老澤委員の期待するような形には、AMEDではならないと思います。
○東田会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○松本(健)委員 成育医療研究センターの松本です。
先ほどの海老澤委員の御発言の中で、言葉の端を捉えるようで恐縮ですが、マウスを使った基礎研究をやっても何の意味もないということを言われましたことに関しましては、海老澤先生の大きな誤解だと思いますので、そういった基礎研究の上に、今のいろいろな研究が成り立っているということを御理解いただきたい。
○東田会長 意味はないと海老澤委員も言われていませんよ。それをヒトに外挿するまでには時間がかかるということですね。
○松本(健)委員 以上です。
○東田会長 ありがとうございます。
ほか、よろしいでしょうか。
人材育成について、患者会の服部委員、いかがですか。
○服部委員 ありがとうございます。
実は、私たちもコロナの影響を受けまして、今までは患者会というのは比較的地域を拠点に活動していたのですけれども、現在はオンラインでの情報交換や研修会などを開催しているのですが、そうすると、思いのほか、日本全国、また海外からも参加者がありまして、すごく多地域にわたって情報交換や患者同士のいろいろな話し合いができている状況です。
その中で改めて気づきましたことは、先日も研修会を開催したのですけれども、標準治療について成育医療研究センターの先生に御講演をお願いしたのですが、全国からの参加者の中に、感想として、今、実際に受けている治療と余りに違い過ぎて、ショックを受けて最後まで見られなかったとか、どこに行ったらこんな治療が、これは標準治療のことですけれども、受けられるのか知りたい。食物アレルギーと診断を受けたら、除去することしかできなかったということで、地方にいることでなかなか情報が得られていないという声が多く届きます。
なので、私たちも今回、改めて計画を拝見させていただいた中で、中心拠点病院、都道府県の拠点病院の先生たちが研修されるというところや、全国拠点病院連絡会議などを開催されるという内容を拝見して、大変期待しております。ぜひ私たち患者同士が他県やいろいろな地域の方とつながったときに、同じような治療が受けられて、同じような目標に向かって頑張れるという状況になることを強く望みます。
もう一点、先ほどアレルギーポータルで話が出ておりましたが、遠くの患者さんにアレルギーポータルを御紹介したときに、お住まいの都道府県拠点病院のホームページのリンクから閲覧したけれども、結局アレルギー科の情報を見つけられなかった。または、アレルギーのいろいろな情報がどこにあるのか分からなかったので、教えてくださいということで、戻ってくることがあります。なので、そこは改善をぜひお願いしたいと思います。
また、アレルギーポータルについて御紹介したときに、電話相談があるのですけれども、地方から東京・神奈川の大きな病院の電話相談にいきなりかけるのはすごく勇気が要るみたいなのです。そこで、ぜひそういった電話相談を、今後都道府県の拠点病院などでも検討していただけたらありがたいなと思います。
以上、患者会のほうからの現状報告です。ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございます。電話相談は、本来は地区の拠点病院が担うというのが当然筋なのでしょうね。ありがとうございます。
もうお一方、栄養士会の下浦委員、災害対応について、何か御意見。
○下浦委員 ありがとうございます。日本栄養士会の下浦でございます。
最後のページの災害対応というところになりますけれども、私のほうは、厚生労働科学研究として小林先生を中心とした「大規模災害時におけるアレルギー疾患患者の問題の把握とその解決に向けた研究」で御協力させていただいていることを、感謝申し上げたいと思います。
最後の5ページの災害時の対応でございますけれども、従来、日本栄養士会では、災害時に管理栄養士、栄養士を派遣するJDA-DATという組織を持っておりまして、これがこれまでの災害で活動しております。ところが、そのJDA-DATは、当然ながら食物アレルギーの患者様を目の前にして、物がない。要するに、食べる食品がなければ何もできないと感じておりまして、これまでの災害時において、特殊栄養食品ステーションというものを熊本の地震から立ち上げたわけでございます。
ところが、災害が発生してから、その特殊栄養食品ステーションを立ち上げるまでに2日ほどかかる。それから、農林水産省からのプッシュ型支援も、食物アレルギーに特化した形の食品が一部は入ってきますけれども、十分とは言えません。そこで、今年度末で各都道府県の栄養士会の事務局に特殊栄養食品ステーションを災害時に速やかに設置できるようにアレルギーの食品だけではありませんが要配慮者に対して、特殊栄養食品を2日分程度提供できるような食材を備蓄いたしました。
これを活用して、いざ災害が起こったときに、被災者の中でも、特に食物アレルギーの患者(児)様、に対して、素早く提供できるような体制を整えたいと思っておりますのでこれらについても何らかの形で御支援いただければありがたいかなと考えているところでございます。
以上でございます。
○東田会長 ありがとうございました。
ほかはよろしいですか。はい。
それでは、続きまして、議題4「新型コロナウイルス感染症とアレルギー疾患対策について」に移りたいと思います。資料4-1、4-2について説明いただいた後に議論したいと思います。では、資料4-1の説明を松本健治委員より10分程度でお願いします。
○松本(健)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
アレルギー疾患の中でも、特に気管支ぜんそくに関してですが、気管支ぜんそくの患者さんの発作の大体8割にウイルス感染が関係していると言われております。特に、ライノウイルスのような鼻かぜのようなものが発作の原因と言われていますが、なぜ鼻かぜにかかったときにぜんそく患者さんが発作を起こすかということですが、一般の方では、実際にはライノウイルスに実験的に感染させましても気道の過敏性は亢進しないのですが、ぜんそくの患者さんだけ気道の過敏性が亢進する。
なぜこうなるかということですが、患者さんの肺の上皮細胞を取ってきて、試験管内でウイルスをかけたときの反応を見ますと、ぜんそくの患者さんの上皮細胞では、インターフェロンというウイルスを殺すたんぱくがうまく作れないということが既に分かっております。
そして、このインターフェロンを作れないということが、例えば私たち小児科医のほうで言いますと、赤ちゃんの時期にアトピー性皮膚炎などがありますと、いろいろなたんぱくが出まして、インターフェロンの産生が抑えられる。そして、それによって、かぜを引くたびに下気道炎を起こして喘鳴を繰り返し、そのままぜんそくになってしまうというということが現在想定されているわけであります。
一方、今、流行しております新型コロナウイルスですが、これが細胞の中に侵入しますときに使います受容体というのは、ACE2というアンジオテンシンの変換酵素IIというものを使って細胞の中に入っていくことが知られております。このACE2というたんぱくの発現というのが、実は健常者に比べまして、アレルギーの患者さんでは下がっている。特に、アレルギーの中でもIgE抗体が高くなるようなタイプの患者さんで、非常に発現が低いということが報告されております。
これを受けまして、最初の話で言いますと、インターフェロンの産生が低いので、ぜんそく患者さんは感染しやすいということになります。一方、ACE2の発現が低いということは、感染しにくいということになります。私は、どちらが本当なのかということを調べたいと思いまして、昨年の5月6日の時点で、実際にぜんそくとCOVID-19でヒットする論文を網羅的に文献検索しました。
そうしましたところ、約1万7000人の患者さんのうちで、ぜんそくの患者さんが約900人、その地域の有病率は約8%でしたので、この900人というのはわずか5.3%で、むしろ想像される患者さんよりも低いということが分かりました。ということは、もしかしたらかかりにくいのではないかということが予測されましたので、昨年、論文として報告しました。
その後、いろいろな論文が出てきておりますが、それを現時点でメタ解析しましたところでも、実際にぜんそくの患者さんがかかりやすいということは言えないということが報告されています。
一方、重症化しやすいか。一旦発症したときに重症化するかどうかにつきましても、全く同様に検討しましたが、昨年5月の時点では、軽症で終わった人と重症化した人の割合というのを調べますと、ぜんそくの患者さんではほぼ同等だったのですが、COPDとか糖尿病などの、いわゆる重症化することが既によく知られている疾患では、非常に重症化の割合が高かったということが分かりました。すなわち、これから考えますと、ぜんそくの患者さんが重症化するリスクは、一般の方と変わらないということが考えられました。
その後の検討ですが、その後も大規模な検討が行われまして、ぜんそく自体は重症化のリスクとはならないということ。あるいは、死亡のリスクともならないということが報告されました。
多分、これが今、最新で最も大規模な研究だと思いますが、イギリスの81万人のぜんそく患者さんを含む医療履歴を基にした研究で、中等量のICS、吸入のステロイドを使っている患者さんでは、全くリスクとならない。非常に高用量のICS、吸入ステロイドを使っている患者さんでは、わずかながら死亡のリスクになり得るのではないかということが言われています。この高用量のICSを使用している患者さんの割合というのは、ぜんそく全体の大体7分の1ですので、非常に重篤なぜんそくの患者さんは、死亡のリスクになるかもしれません。ただ、この方たちは、恐らくインフルエンザのような、ほかの感染でも死亡のリスクとなると思いますので、別に新型コロナウイルス特有のものではないと思っております。
また、ぜんそくにはいろいろなタイプがあります。好酸球が多くなるタイプと、日本人には余り多くないと言われていますが、好酸球が余り増えないタイプ。これで比べてみますと、好酸球が多いタイプでは余り重症化しない。一方、死亡のリスクは、好酸球が多くならないタイではリスクとなることが分かっております。
これは、最新のアメリカのCDCの発表ですが、重症化リスクとなる基礎疾患あるいは状態で特に有名なものは、肥満とか腎疾患あるいは喫煙、糖尿病がよく言われていますが、この中にぜんそくは入っておりません。
では、ぜんそくはなぜ重症化のリスクにならないかということですが、これは新型コロナウイルスの肺炎で亡くなった患者さんの肺の電顕です。Bですが、Aに比べまして血管が詰まっているような状況がよく分かっております。
この肺をすり潰して発現している遺伝子を検討したものがピンクの円です。あと、インフルエンザで亡くなった患者さんの肺をすり潰したものが青のサークルです。この両方が重なっているところが、実際に亡くなった患者さんに共通に見られる特徴的な遺伝子群でありますが、そうしますと、ちょっと専門的な話になりますが、低酸素で誘導されるHIF1Aという分子がここに入っています。ですから、ここが亡くなってしまう方の特徴です。
一方で、今回の新型コロナウイルスで亡くなる患者さんの特徴の分子の中に、ぜんそくで悪化するときの経路に入っている分子がほとんど入っていないのです。すなわち、新型コロナウイルス肺炎の重症化には、ぜんそくに関係する分子が関係していないということです。
また逆に、ぜんそくの重症化の分子経路の中に、今回の新型コロナウイルスに関連するたんぱくが関係しているかというのを検索しますと、ほとんど関係していないのです。この4つのたんぱくがコロナウイルス関連なのですが、ほとんど関連がないことが分かっております。ですから、ぜんそくの悪化の経路と、新型コロナウイルス感染の悪化の経路がほとんど重なっていないために、恐らく重症化には関わらないだろうと思っております。
これは、本邦のぜんそくで入院する患者さんたちの数を週ごとにプロットした図ですが、これが新型コロナウイルスの患者さんが増えたところです。それで皆さん、御存じのように、3密を避ける、あるいはマスクをきちんとすることによりまして、上気道感染が減っておりますために、入院患者さんは現在減っているという現状であります。ですので、現時点では、ぜんそく自体はコロナウイルスによる重症化のリスク、あるいは感染しやすいというリスクにはなりません。
ただ、ぜんそくの患者さんは、せきをしたり、あるいはアレルギー性鼻炎の患者さんはよくくしゃみをします。これ自体は、新型コロナウイルスの蔓延には関係しますので、きちんとした対策をしましょうというのが現時点であります。
あと、もう一つ、今、話題になっておりますワクチンについて、ちょっとお話しします。現在、日本で行われていますファイザー・バイオンテックのワクチンにつきましては、アナフィラキシーはアメリカのほうでは、100万接種につきまして4.7件程度だと言われています。アナフィラキシーを起こした人は圧倒的に女性に多く、アナフィラキシーあるいはぜんそくのアレルギーの既往が多い。発症までは30分以内ですので、アレルギーの既往がある人、あるいはアナフィラキシーの既往がある人は、30分ぐらいはとどまったほうがいいのではないかということが、現在厚労省から言われております。
ところが、本日の時点で、日本では10万接種程度で17人のアナフィラキシーが起こっているということで、非常に多いことが分かっています。
すみません、これはもともとの資料の中にありません。本日加えましたが、アナフィラキシーを起こしている原因物質は、恐らくこのポリエチレングリコール、PEGというものだと言われています。このPEGという物質は、現在、非常に広く私たちの環境内で使われています。例えば、食べ物で言いますと、乳化剤というものの中に含まれていたり、化粧品とか、いろいろなところに使われています。実際、これに対するIgG抗体あるいはIgM抗体は、一般集団の中で見ますと、7割程度の人が持っているのではないかということが言われています。これはIgGです。
ですから、これは非常に身の回りにありふれたものなのですが、特に私が気になっていますのは、アナフィラキシーを起こした人が全員女性であることです。これは、十数年前に、日本でも多くの患者さんが報告されました、茶のしずく石けんを非常に思い浮かべる現象であります。すなわち、このポリエチレングリコールというのは、女性が普通によく使っておりますほとんどの化粧水に入っておりますし、あるいは乳液の中にも入っています。ですから、女性が多いというのは、こういう乳液、化粧水というものを非常によく使っているということが関わっているのではないかということを考えています。
もちろん、これは今すぐに化粧品の使用をやめなさいとか、そういうことは全くありませんが、特に10万接種で17人というのは非常に多い数です。今後、1億人にもし接種しますと1万7000人ぐらいにアナフィラキシーが起こることが予測されますので、ぜひともこの原因あるいは原因物質などを調べなければいけないと思っております。
最後に、コロナウイルスが終息してからのことについてお話ししたいと思います。昨年のいろいろな感染症の発生状況を調べたデータをお示ししております。現在、きちんとした感染対策を行っておりますために、呼吸器感染症が非常に少ないということが分かっております。インフルエンザですと、ほとんどゼロですし、ヘルパンギーナも夏に少しはやりましたが、例年の10分の1程度。あるいは、アデノウイルス感染も例年の数分の1、RSウイルス感染も例年の10分の1以下と言われております。
このようなことが続いたらどうなるかといいますと、御存じのように、これは衛生仮説になります。乳幼児期に感染症にかからなかった場合に、その後、アレルギー疾患を含む免疫疾患が非常に増えてくるということが言われています。ですので、今から恐らく5年後から10年後、先ほど西間先生からも発表がございましたが、もし本当に今のまま続きますと、ぜんそくあるいは花粉症などが、今後10年間ぐらいにどんどん増えるという現象があるのではないかと心配している状況であります。
以上です。
○東田会長 ありがとうございました。
続いて、資料4-2の説明を海老澤委員よりお願いいたします。よろしくお願いします。
○海老澤委員 よろしくお願いします。
「中心拠点病院事業~オンライン研修について~」、資料4-2を御覧ください。
昨年4月に、私、国立病院機構相模原病院の臨床研究センター長に就任いたしまして、中心拠点病院のホームページを大幅に刷新いたしました。その中で、研修事業を地方拠点から引き受けているわけですけれども、希望者は小児も成人もかなりいたのですけれども、緊急事態宣言の後、あるいは第1波、第2波、第3波で、希望されている方が結局最終的に誰一人として、県をまたいでの移動が許可されない等で、中心拠点で地方拠点病院のドクターの研修が全くできないという状況に現在なっています。
コロナウイルスは、先ほど松本先生のスライドにもありましたけれども、飛沫感染のウイルス感染症はほとんど抑えられているということを考えると、マイクロ飛沫感染とか言っていますけれども、ほとんど空気感染に近い状態なのです。ですから、当分の間、このコロナウイルス、日本国民が全てワクチン接種が終了して、全て効いたとして、多分終息していくというのは来年以降になってくるだろうと考えて、今年の研修ができなかったことは、次年度も続くと考えていまして、その結果として、我々としては、中心拠点のほうから地方拠点の先生方にオンラインの研修用の動画を作ってしまおうと、皆で相談しました。
その結果、オンライン研修用コンテンツ(利用方法)と書いてありますけれども、都道府県拠点病院の先生方にログインしていただいて見られるように、全て準備を進めて、先日の拠点病院連絡協議会の後から実際に見られるようになっています。
コンテンツは、成人領域として、3ページ目に書いてありますけれども、成人ぜんそく急性増悪の背景とその対応から始まって、フリーズしてしまっているので、配布資料を見てください。3ページのオンライン研修用コンテンツで、成人領域の成人ぜんそく急性増悪の背景とその対応から始まって、成人の食物アレルギー:入門編辺りまで、成人のアレルギー疾患について対応していますし、4ページを見ていただくと、オンライン研修用コンテンツ(小児領域)ということで、小児アレルギー領域が9コンテンツ。
あと、共通領域として、全ての科に共通して、小児から成人まで共通のアレルギー疾患に関連した検査とか、あとは抗原の解説とか、実際にアレルゲンのエキスの調整法とか、アレルゲンのほうに結構力を入れたコンテンツも準備させていただいています。
ということで、地方拠点病院のほうには全て連絡してありますし、地方拠点病院の関連施設についても閲覧可能なようにしてありますので、当分、相模原病院とか成育医療センターのほうに来られるということは想定していませんので、こういうオンライン研修というものを準備させていただいたことと、
あとは、先ほど三重の藤澤先生からは、CLINICSを使ったドクター・ツー・ドクターと、ドクター・ツー・ペーシェントのものがありましたけれども、相模原病院のほうでも、ドクター・ツー・ドクターで、成人領域及び小児領域のアレルギー疾患の診療における問題点等があったり、あるいは難治性のケースとかがあったら、全てそういう相談に乗るという事業も始めております。
ですから、都道府県の拠点病院の先生方に、ぜひそういったものも御利用いただいて、このコロナ禍の中でのアレルギーの研修の取組ということ、また病院間の連携ということも、そのような形で進めていけたらと思っておりますので、また各拠点病院のほうから要望がありましたら、中心拠点としてしっかり取り組んでいきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○東田会長 ありがとうございました。
それでは、お二方の発表を踏まえて、新型コロナウイルス感染症とアレルギー疾患対策について御意見、御質問ございましたら、挙手の上、お願いいたします。いかがですか。
そうしたら、まず患者会の田野委員のほうからいかがですか。受診控え。先ほど少しお話がありましたけれども、追加ございますか。
○田野委員 ありがとうございます。
先ほどお伝えさせていただきましたが、病院に通うことができない。なかなか病院に行けなくて、治療が前に進んでいないお子さんの保護者のお悩みというのが、この1年間でもすごく多い状況です。オンラインでも相談活動を開催させていただいておりますが、お会いできる環境や集まりということがない中、身近で悩みを共有できる仲間に出会う機会がさらになく、保護者の方の精神的、メンタル面の支援やフォローも、以前よりもさらに慎重にサポートさせていただいている状況です。そして、コロナ禍でアレルギー疾患に関わる患者、患者家族、支援関係者それぞれの守りあい、支えあい、助け合う連携体制づくりというものを切実に願っております。どうぞ、モデル事業を基に全国にアレルギー疾患対策を進めていただき、同じ医療、同じ治療、安心安全の生活が過ごせることを願っております。
以上です。どうぞよろしくお願い致します。
○東田会長 ありがとうございます。
そうしたら、浅野明美委員、児童が手洗いすることによるアトピーの悪化とか、その辺のところはいかがでしょう。
○浅野(明)委員 ありがとうございます。
学校現場としましては、マスクの着用や手洗い、アルコールによる手指消毒の、顔・手を中心とした皮膚炎といったことが増加しております。受診控えも起きているため、症状が悪化しているという状況です。
それから、3密を避けるということで換気をしております。それから、どうしても屋外での活動というのが増えておりまして、狭いところでいろいろな集まりをもたない。集まりをもつとすれば外ということになると、ほこりや紫外線によるアレルギーが増えている。
それから、今、花粉症がひどいので、換気をして窓を開けていると、教室の中にもどんどん花粉が入ってきてしまうということから、目が腫れたり、頭痛がしたりということで、学校を休むお子さんも結構増えております。それから、本当にひどいお子さんは、体育とか部活動もできない状況ということになります。
薬や食事や環境を整えても、なかなか症状がよくならない。舌下免疫療法が花粉症治療でありますが、それをやっても100%よくなるわけではないので、授業もなかなか難しい。今、コロナでタブレット学習というのが進んではいるのですが、コロナだけでなくて、そういったアレルギーで苦しんでいる子どもたちの学習の保障、正しい評価がなされればいいかなと現場では思っております。
先ほどのポータルサイトも含めてですが、いろいろな情報をこちらも伝えたいというのがありまして、モデル事業でも、リーフレットを作ったり、DVDを作ったりという試みがされているようですが、そういうものをぜひ学校にも、教育現場にもおろしていただけるような、医療機関、保健所、保健センターと、もっと情報をいただけるような連携を進めていただければと思います。
以上です。
○東田会長 ありがとうございました。
そうしたら、コロナワクチンとアナフィラキシーというのも一番大きなところですけれども、三重病院でワクチンを先行接種された藤澤委員はいかがでしょう。
○藤澤委員 ありがとうございます。
ワクチンのアナフィラキシーについては、2つの問題があると思います。
1つは、原因です。松本委員がおっしゃったように、ポリエチレングリコールというのが原因として非常に疑われているわけですが、まだ確定されていない。ポリエチレングリコールを使った皮膚テストなども提唱されていますが、感度、特異度が分からない状態で、例えばそれを事前にテストして擬陽性とかが出た場合には、ワクチンが打てる方が打てなくなってしまったりという問題があります。それから、IgE抗体も証明されていないということですから、原因解明の体制を国のほうでぜひ整備していただけたらと思います。
2点目は、アナフィラキシーの診断の問題です。先ほどもアナフィラキシーの報告例が非常に多いということが言われていましたが、私もリストを見せていただきますと、どうも違うのではないかというのがかなり混じっていまして、注射の痛み、ストレス、緊張ということで、血管迷走神経反射というものが起こりやすい方があって、その方は、血圧が下がったりしてアナフィラキシーと非常に紛らわしいことがあります。
それから、医療機関で起こりました。対応はどうですかというと、その対応の薬の投与のされ方も、私たちから見ると少し疑問があるような対応がされたりして、その辺もアナフィラキシーの正しい診断法、正しい対処法についての啓発が、これは拠点病院を中心に非常に早急に周知しないといけないかなと思いました。特に、アナフィラキシーの診断については、ブライトン分類というものが国際的にありますので、それに基づいて、本当にこれがアナフィラキシーなのかどうかということを出されるような体制づくりをお願いできたらと思います。
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。とにかく先ほどもありましたように、ワクチン、日本で10万人接種で、それで17人も起こっているというのは、多過ぎますね。だから、17例なら1例ずつ全部チェックできると思うのですね。それを1例ずつ、もう一回洗い直すというのが絶対必要で、かなり迷走神経反射が混ざっていると思うのですけれども、女性ばかりというのも、1つ、迷走神経反射の特徴かと思います。ありがとうございます。
そうしたら、呼吸器内科の立場ということで、浅野浩一郎委員、何かございますか。
○浅野(浩)委員 ありがとうございます。
日本アレルギー学会でも、藤澤委員も含めてこのワクチンによるアナフィラキシー等の重度の過敏症に対する検討をおこない、アナウンスメントをホームページに掲載させていただいています。その中でも、藤澤委員からも発言がありましたとおり、診断の問題というのが重要と考えています。米国でも、CDCに報告された175例のうち、最終的にアナフィラキシーと判断されたのは21例にすぎない。約12%にすぎないという報告があります。アナフィラキシーと判断するか、そうでないかによって、2回目のワクチン接種ができるかどうかということに関わってきますので、非常に重要な問題かと思います
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。
一番最初に申しましたように、アレルギー疾患の方がこのワクチンを打つのは、リスクは恐らく低いのでしょうけれども、本当の意味で確たる根拠がないのです。そういう意味で、こういうところできちんとデータを出して、どう安全なのかというのを示さないといけないだろうと思います。ありがとうございます。
それでは、「その他」というところで、何か御意見、御質問、コメント等ございますでしょうか。どうぞ。
○佐藤委員 日本歯科医師会の佐藤でございます。
先ほど基本指針における今後の取組について、お話がございましたけれども、来年、基本指針が見直されるということで、冒頭にもお伝えしましたが、金属アレルギーについてですけれども、現在、まだ法令として定められておりません。金属アレルギーと申しますと、ピアスとかネックレスとか時計、そのような装飾品における金属アレルギーもございますが、歯科の臨床で私どもが使っております歯科材料による金属アレルギーもありますし、また、それ以外のレジンアレルギーと言いまして、ほかの材料によるアレルギーもございますので、そのアレルギー疾患も今後法令として見ていただけないかということで、お願いでもございます。
さらに、皮膚科の先生方との連携も含めて、御検討いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○東田会長 ありがとうございます。
西間参考人、お願いできますか。
○西間参考人 この件に関しましては、参考資料は皆さんに配られていますか。参考資料2の基本的な指針というのをお持ちだと思いますけれども、1枚目です。そこにありますように、この法で定められた疾患名がはっきり出ているものは、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーだけなのです。ただ、その後に、その他アレルゲンに起因する免疫反応による人の生体に有害な局所的又は全身的反応に係る疾患であって、ということがありますから、かなり大きく広げることもできることはできるのですけれども、疾患名としてはここにあるだけなのです。
これを決めるときに、金属アレルギーとかラテックスアレルギー、薬物アレルギーに関しては、多くの議論がありましたけれども、いずれにしても、特に金属アレルギーや薬物アレルギーは非常に複雑で、抗原としても多岐にわたるし、アレルギー反応というか、単純なIgEに依存性のアレルギー反応ではない。そのほかの反応がかなりあるということで、この法律をつくった段階では、両方とも入れなかったという経緯があります。
したがいまして、もしも入れるとなれば、この5年たっての見直しというところで、それらについては、しっかりとデータを整理して、議論して入れないといけないと思います。そういう状況で、第1回目には入っておりません。かなり難しい問題がたくさんあって、ギブアップしたところがありました。
○東田会長 ありがとうございました。よろしいですか。
どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。
先生、今おっしゃったように、非常に複雑なメカニズムとか、アレルギーも多岐にわたるということですが、何か必要なデータですとか、我々歯学部、歯科大で研究している成果ですとか、もしデータで御提出させていただけるような機会がありましたら、そのような形でお出しさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○西間参考人 ですから、厚生労働省のほうから研究班を指定してつくって、その中でしっかりと整理して、今の時点でこれが法律の中に書き込めるということになれば、それからの対応だと思います。そのときの御協力を私がよろしくと言うわけにはいきませんけれども、そういうことでございます。
○東田会長 よろしいですか。
○佐藤委員 ありがとうございました。
○東田会長 どうぞ。
○服部委員 ピアサポートF.A.cafeの服部です。
私たち、食物アレルギーの患者会なので、食物アレルギーについての発言になってしまうのですけれども、コロナというお話がありましたので、患者側の状況をお伝えさせていただきます。
コロナ禍でいろいろ大変なことはあるのですけれども、アレルギー患者の立場から言うと助けられるということも実際にあります。特に飲食店などにおけるコロナ対策が、私たち患者自身が取り組んできた食物アレルギー対策と共通することが非常に多く、以前より外食が必要なときにしやすくなりました。その代表的な例がテーブルのアルコール消毒です。今までアレルギー患者の保護者は、外食時とか航空機内などで、必ず自分たちでウェットティッシュやアルコールなどで拭き上げをしてから利用していたのですが、そういう姿はほかの方には理解されにくく、とても神経質であったり、過剰対応と思われることがありました。
私自身も、ウェットティッシュで拭き上げながら、周囲には潔癖症だと思われているのかなと疑問に思うこともあったのですけれども、アルコールでの拭き取りというものが推奨されるようになったことで、重度の食物アレルギー患者としては心の負担が軽減されたと思います。
また、給食のときにもそうなのですが、重篤な子供たちは、給食のときに保護者が透明なアクリル板を作ってパーティションを利用しているという事例も、今まで何件も聞いてきました。または、机を離して食べる、独り壁のほうに向きを変えて食べるなどといったことを聞いていて、皆さん、それぞれに食事の混入とか牛乳の飛沫を避ける努力を続けてきました。
今、コロナ対策として、飲食店で当たり前にアクリル板のパーティションが設置されるなど隣の席の飛沫防止対策がとられるようになって、孤独感を感じていた子供たちは本当に気持ちが楽になったと思います。そういったアクリル板や級友との間隔を開けた机の位置など、自分たちと友達を隔てていたものに本当に意味があったのだということが認識できて、さらにその行動が周りに理解されるということが、患者によっては心の支えになっていると思います。
一方で、今のような学校生活にいろいろな制限がある状況というのは、私たちも当然望んでいませんので、今年、修学旅行やイベントなどをどんどん再開してほしいなと願っています。そのときに、今、患者会の私たちのほうでもお互いに伝え合っているのが、時間を空けて久しぶりに行事が再開するとき、学校生活もいろいろなことがありますので、友達はもちろん先生方も、時間がたってしまうとアレルギーへの配慮を忘れてしまうということが考えられます。もし今年、修学旅行やイベントなどが再開されるような時がきたら、飲食を伴うときは自分自身がしっかりと自覚して注意して行動することはもちろん、周囲のお友達への丁寧な説明も忘れてはいけないと考えています。
これが今、コロナ禍で、私たち患者会で伝え合い共有している内容です。以上です。ありがとうございます。
○東田会長 ありがとうございました。
もう一方、荒木田委員、どうぞ。
○荒木田委員 荒木田のほうからお話しさせていただきます。
先ほどの看護教育のことなのですけれども、実は、モデル・コア・カリキュラムにアレルギーというのをちゃんと文言に入れていただいていて、これはとてもよかったなと思っております。
看護の指定規則が変わりまして、この5~7月ぐらいに看護教育のカリキュラム変更に向けて申請作業があるという時期になっております。
文部科学省ですと大学関係、専門学校ですと厚労省関係になるかと思うのですが、関係のところにアレルギー関係の教育もしっかり入れていくようにということをもう一度PRしていただきますと、周知していただきますと、ちょうどいい時期なのかなと思っております。
以上です。
○東田会長 ありがとうございます。
もうお一方いらっしゃいますか。よろしいですか。
○田野委員 よろしいですか。お時間がない中、申し訳ございません。
SNS等でアレルギー疾患の情報がたくさんあり正しい情報がどれかわかなく困難な中で、ポータルサイトの普及を切実に願っております。病院、保健センター等でポスターが貼ってありますが、できましたら出産するときに必ず手にする母子手帳、子育て冊子等に、入れていただけるとすごくありがたいです。出産前からポータルサイトの情報を知る事での予防や早期治療にも役立ち子育てをする立場から安心して子育てができるありがたい情報です。
また、小児のアレルギー疾患保健指導の手引きですが、保健センターや保健所はコロナですごく大変だと思い普及を把握するのは困難だと思います。これから先の普及を考え、保健師になる学生にも配布していただけませんでしょうか。保健指導にも役立ち、普及にも繋がります。配布することで、全国どこでも正しい情報、保健指導をしていただけ、早期治療、予防の啓発に繋がりすごくありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
○東田会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
もう時間を少し過ぎているのですけれども、今日予定しておりました議事は、これで終了ということになります。委員、参考人の皆様方におかれましては、非常にタイトな中、またコロナ禍の中で活発に御議論いただきまして、改めて感謝申し上げます。
本日のこの協議会は、現委員でやるのは最後ということになります。アレルギー疾患というのは、国民に2人に1人と言われています。今日、お話を聞いていても、まだまだいろいろな問題点、山積みでございます。これからもアレルギー疾患克服に向けてということで、一致団結してやっていかないと、コモンディジーズですので、皆様方のこれからのますますの御協力、御尽力をいただきたいと思います。
最後に、事務局のほうからお願いいたします。
○古元がん・疾病対策課長 厚生労働省健康局がん・疾病対策課長の古元と申します。本日が現行の委員の皆様方で開催する最後の協議会となりますので、一言御挨拶をさせていただきます。
現委員の皆様には、これまで計3回にわたりまして、アレルギー疾患対策に関する基本的な指針に基づく取組について、非常に活発な御議論をいただきました。患者やその御家族の立場からの御意見、現場の医療関係者の立場からの御意見、アレルギー疾患対策に携わる方々の立場からの御意見は、私ども行政に携わる者にとりましても大変貴重なものでございました。心より感謝を申し上げたいと思います。
また、東田会長におかれましても、非常に闊達な議論が行われる本協議会を円滑に議事運営いただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。
来年度は、アレルギー疾患対策に関する基本的な指針の改訂が予定されております。皆様方からいただいた御意見を踏まえながら、次期の協議会において基本指針改訂のための検討を進めてまいりたいと考えております。
アレルギー疾患に苦しんでいらっしゃる方々にとって、少しでも状況が改善するように、今後も着実にアレルギー疾患対策を進めてまいります。ここにお集まりの皆様方におかれましては、アレルギー疾患対策の一層の推進のために、引き続き御指導、御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
本日は、ありがとうございました。
○東田会長 ありがとうございました。
それでは、本日の協議会は、これで終了とさせていただきます。長時間にわたり、皆さん、どうもありがとうございました。
 

発信元サイトへ