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令和3年3月25日

地球環境

持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラムサイドイベント「カーボンニュートラル:アジア太平洋地域の未来~脱炭素移行への貢献~」の結果について

 持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD※)サイドイベント「カーボンニュートラル:アジア太平洋地域の未来~脱炭素移行への貢献~」を日本国環境省、在タイ日本大使館、在タイフランス大使館、国連気候変動の緩和と大気汚染に関する課題別連合(UNEP/ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会))の主催により開催しました。 アジア太平洋地域の脱炭素移行に貢献することを目的とし、特に都市に着目し、日本、アジアの自治体、国連機関、アカデミアからの知見が共有され、アジア太平洋地域での脱炭素ドミノの輪を広げていくための方策について議論されました。

1.概要
開会日時・場所
  日時:令和3年3月23日(火)日本時間14:15~15:45
  場所:オンライン開催(約120名が視聴)
主催
日本国環境省、在タイ日本大使館、在タイフランス大使館、国連気候変動の緩和と大気汚染に関する課題別連合(UNEP/ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会))
共催
公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
登壇者
開会挨拶 

近藤 智洋(環境省地球環境審議官)
ティエリー・マトゥー(在タイ フランス大使)
アルミダ・アリシャバナ(ESCAP事務局長)

基調講演  

高村 ゆかり(東京大学未来ビジョン研究センター教授)

ビデオメッセージ 

アンリ・ワイズマン(持続可能開発・国際関係研究所(IDDRI)大規模な脱炭素化への道筋イニシアティブコーディネーター、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)1.5℃特別報告書共同執筆者)

パネルディスカッション「アジア太平洋地域におけるカーボンニュートラル実現に向けた行動とパートナーシップ」

モデレーター&フレーミングプレゼンテーション 武内 和彦(IGES理事長)
猪田 和宏(京都市地球環境・エネルギー担当局長)        
ビンセント・ビナラオ(ケソン市環境保護・廃棄物管理局長補佐)
デチェン・ツェリング(UNEPアジア太平洋地域事務所長)
ジョイアシュリー・ロイ(アジア工科大学兼ジャダブプール大学経済学部教授)

2.結果概要
 冒頭、近藤地球環境審議官は、アジア太平洋地域の脱炭素移行に貢献するために、とりわけ都市に着目し、先進的な取組を進める都市の知見を共有し、脱炭素ドミノの輪を広げていくことが重要であると述べた。次に、ティエリー・マトゥー 在タイ フランス大使は、アジアの国家が環境と人類の健全な関係を維持するため、フランス政府が支援することに関心を持ち始めていることを強調した。そして、アルミダ・アリシャバナ ESCAP事務局長は、気候変動と大気汚染に関する国連の課題別連合が、石炭の段階的廃止などの問題に焦点を当てていることは、SDG13の進捗を加速させるのに役立つと指摘した。
 基調講演において、高村 ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター教授から、世界的な2050年ネットゼロに関する状況や、気候変動に対する企業の認識と影響の高まり、気候変動に直面した電気自動車といった製品の世界市場の変化、脱炭素への移行の一環としての各国のエネルギー構造の変化などが紹介された。
 続けてアンリ・ワイズマン IPCC 1.5℃に関する特別報告書第5章調整主執筆者より、ビデオメッセージで、IPCCの1.5℃報告書から得られた重要な知見が共有され、調査対象となった25カ国において、2050年までに温室効果ガスの大幅な削減を達成することが可能であることが述べられた。
 パネルディスカッションでは、モデレーターの武内理事長によるフレーミングプレゼンテーションが行われ、気候変動に関する国際協力の好例として、東京とクアラルンプールが協力して建築分野での活動を行っていること等を紹介した。それぞれのパネリストから自身の取組と他の地域へ脱炭素ドミノの輪を広げるための方策について述べられた。
 猪田 和宏 京都市地球環境・エネルギー担当局長からは、新しいガイドラインが策定されたIPCC会議を開催するなど、京都市が行ってきた主な活動を紹介された。中小企業の間でビジネス・フェデレーションを形成し、気候変動に関するガイダンスをニーズに合わせて調整することが重要であると述べた。
 ビンセント・ビナラオ ケソン市環境保護・廃棄物管理局長補佐からは、マニラ首都圏最大の都市であるケソン市は、科学的根拠に基づく政策の策定に多大な努力を払っていると説明された。また、ケソン市の気候計画の策定には、多くのステークホルダーを巻き込むことが重要だと強調した。
 デチェン・ツェリング UNEPアジア太平洋地域事務所長より、アジア太平洋地域では8カ国がカーボンニュートラルを表明し、17カ国が新たなNDCを表明していることが述べられた。行動の実施を支援するために、企業や国会議員との対話の確立や、地域の電力網の協力を提唱するなど、いくつかのステップを踏む必要があることが示唆された。
 ジョイアシュリー・ロイ アジア工科大学兼ジャダブプール大学経済学部教授より、バングラデシュの持続可能なエネルギー、需要側のオプション(特に建物部門)、東南アジアにおける自然エネルギーのシナリオ分析に焦点を当てたプロジェクトの重要性が強調された。

※ラダ・ワグル ネパール森林環境省 気候変動管理課 共同事務局長兼課長より、本ディスカッションに関連した資料が後日提供される予定。

関連サイト

持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラムサイドイベント「カーボンニュートラル:アジア太平地域の未来~脱炭素移行への貢献~」の開催について(事前報道発表)https://www.env.go.jp/press/109292.html
イベントの様子は後日下記サイトで動画として公開される予定です。(英語)https://www.iges.or.jp/en/events/20210323-0 (日本語)https://www.iges.or.jp/jp/events/20210323-0

(参考)
※持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)とは
APFSD(Asia-Pacific Forum on Sustainable Development)は、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)主催により年1回開催される、アジア太平洋地域の政府間の閣僚級フォーラム。加盟国のほか、国際機関や民間企業等もオブザーバーとして参加し、アジア太平洋地域におけるSDGsの実施、フォローアップ及びレビューを行うもの。

連絡先
環境省地球環境局国際連携課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8243
課長 大井 通博 (内線 6760)
課長補佐 野本 卓也 (内線 7782)
担当 笹山航 (内線 6799)

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