厚労省・新着情報

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

  令和3年2月15日(月) 10:00~12:00

場所

  オンライン開催
  (事務局:厚生労働省内)

議題

  1. 国によるリスク評価のあり方について

議事

○植松化学物質評価室長補佐 少し時間が押してしまいましたが、ただいまから第4回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会リスク評価ワーキンググループを開催させていただきます。本来であれば、1月に開催を予定しておりましたけれども、新型コロナウイルスの感染状況等によりまして開催に至りませんでした。委員の皆様には、予定を調整していただいたにもかかわらず大変申し訳ございませんでした。
 さて、事前に御連絡させていただきましたとおり、今回はオンライン形式にて開催させていただきます。なお、本日は名古屋委員と山岸委員より御欠席の御連絡を頂いております。事務局と座長の城内先生は、厚生労働省の会議室より参加させていただきます。
 オンライン形式ということで、何点かお願いがございます。まず、通信に掛かる負担をできるだけ押さえたいと思いますので、皆様の画像は常にオフにしていただくとともに、御発言されるとき以外はマイクもオフにしておいていただければと思います。
 また、議事録作成のために2点お願いがございます。1点目ですが、表示名の統一です。皆様の表示名を「漢字フルネーム」に変更していただきたく思いますので、現在そうなっていない方、山口さんが英数字というかローマ字になっているので、ここを変えていただきたいと思うのですが、変え方ですが、「参加者」という所をクリックしていただいて、この詳細の中の「名前の変更」という所があると思います。こちらで名前を変えていただくことはできますか。ありがとうございました。そのほかの方は大丈夫だと思います。ああ、大丈夫ですね。
 それから2点目ですが、御発言方法についてです。今回御発言いただく方は、このZoomの中の「挙手ボタン」によって意思を示していただき、城内座長が指名していただいて順に御発言いただくということを想定していますのでよろしくお願いいたします。挙手ボタンですが、右下にリアクションという所があるのですが、その中に手を挙げるというものがございますので、今、皆さん、試しに挙手ボタンを押してもらってよろしいですか。
○梅田委員 すみません、リアクションボタンが見当らないのですが。
○植松化学物質評価室長補佐 リアクションボタンは右下のほうにあるかと思うのです。もし、挙手ボタンが分からないという方はマイクをオンにしていただいて、今発言したいということをおっしゃっていただけたらと思います。挙手ボタンは御発言が終わっても自動的に解除されませんので、手を下ろす場合は、挙手ボタンを見ていただくと手を下ろすということになっていますので、それを押していただいて御自身で解除いただくというような形にさせていただきたいと思います。
 繰り返しになりますけれども、基本的には挙手ボタンで御発言の意思をお示しいただきつつ、もしそれが難しいようであれば、マイクをオンにしていただいて、御発言をという意思を示していただくという形とさせていただきたいと思います。
 では、よろしいでしょうか。何かトラブルがありましたら御連絡ください。そうしましたら、技術的な調整は以上にさせていただきまして、以降の議事進行を城内先生にお渡ししたいと思います。城内先生、よろしくお願いいたします。
○城内座長 本日はよろしくお願いいたします。通信状況がときどきよくないようなので、諦めずに手を挙げて御発言いただければと思います。それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○植松化学物質評価室長補佐 はい。今回の資料は1つだけです。資料1「国によるGHS分類等のプロセス整理」ということで、共有させていただいております。お手元にて御確認できない場合は、お知らせください。よろしいでしょうか。
○城内座長 それでは、早速議題に入りたいと思います。本日は、国によるリスク評価のあり方です。まず、事務局から説明をお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 はい。それでは私より説明させていただきます。国によるGHS分類等のプロセス整理ということで、資料1にお示ししております。前回のワーキングでお示しした論点と同じ論点で整理しておりますが、前回WGにて委員の皆様から頂いた御意見を参考に、改めて整理させていただいたところです。
 まず目次ですが、順に並べておりまして、国によるGHS分類、モデルラベル・モデルSDSの作成と公表、ラベル表示・SDS交付の義務化、ばく露限界値の設定、暫定ばく露限界値の設定、経皮吸収のある化学物質ということで、順に御説明させていただきます。
 最初に、ばく露限界値と暫定ばく露限界値について補足なのですが、仮称ということで整理させていただいておりまして、以降の説明では「仮称」という部分を省略して、単純に「ばく露限界値」「暫定ばく露限界値」という呼び方をさせていただきますが、その心は仮称というものが入っているということで御理解いただければと思います。
 それでは3ページ目を御覧ください。国によるGHS分類、モデルラベル・モデルSDSの作成と公表についてです。これまでに頂いた御意見を整理しております。前回頂いた御意見ということでまとめておりまして、特に製造・輸入量という観点から御意見を頂きまして、その観点をどうするかということで整理したのですが、今回、製造・輸入量という観点を考えずに、ハザードの観点からモデルGHSを対象とするかどうかという考え方で整理できないかということで、事務局で整理いたしました。あと、GHS分類に関しては、環境省と厚生労働省が別々に出すような場合もあるということで、省庁の連携という観点からもう少し整理できないかというような御意見を頂いたので、その対応を考えたところです。
 4ページ目を御覧ください。基本方針ですが、製造・輸入量にかかわらず、重大な労働災害の要因となった物質、許容濃度又はTLV-TWAが設定された物質、一定程度の高い物理化学的危険性又は健康有害性が確認された物質等について、国によるGHS分類の対象物質としていきたいというところです。
 想定しているスケジュールですが、2021年度より、毎年50物質から100物質程度新しく抽出・選定して、当該物質を新規にGHS分類していくことを考えています。新規にGHS分類され危険有害性が確認された全ての物質について、モデルラベル・モデルSDSを作成するということで整理しております。以降、私が「危険有害性」と言う場合は、物理化学的危険性及び健康有害性のことをまとめて指しておりますので御承知おきください。それから、GHS分類を新規と再分類で分けて考えて、特に、まだ調整中ではありますが、新規分類に関しては関係省庁が連携して参画する検討会のようなものを立ち上げて、そこで連携しながら分類していくことを想定しております。再分類に関しては、今後検討していくポイントかなと考えております。なお、モデルラベル・モデルSDSの作成を厚生労働省でまとめて担当していきたいと整理しております。
 改めまして、新規GHS分類の対象物質の考え方です。まずは、重大な労働災害の要因となった物質については優先的に対象にしていくということです。それから、許容濃度等が設定されている物質とか、現在のGHS分類の対象とするときに参考としているような政府向けGHS分類ガイダンスのList1等に掲げられているような信頼性の高い情報に基づいて、危険有害性が高いと判断されるような物質について、対象としていきたいというように整理しております。これらは労働安全衛生の観点から対象とすることを想定しているものですが、ほかにも関係省庁から提案いただいた物質についても、モデルを作成することを想定しているおります。
 5ページを御覧ください。ラベル表示・SDS交付の義務化についてです。前回頂いた御意見の中で、モデルが作成されている物質の中には有害性がないようなものもあるけれども、そういったものはどういう扱いになるのかというようなこと、現場が対応できるようなスケジュールを検討すべきであるということ、許容濃度がある、あるいはエンドポイントの種類に応じて、ばく露の指標の一定量以上というものとの組合せを考えるというのもあり得るのではないかということ、危険有害性情報やGHS分類結果の観点については、区分1あるいは区分2というような整理をしておりましたが、より柔軟な考え方も想定すべきではないかと、このような御意見を頂いたところです。
 それらの御意見を踏まえまして、6ページ目に基本方針として整理しております。国は、現在モデルラベル・モデルSDSを作成している約3,000物質がありますが、それから既にラベル表示・SDS交付の義務対象となっている物質を除いたものに関して、まず危険有害性について精査をする。その上で、危険有害性が認められるものに関して、順次ラベル表示・SDS交付を義務化していくという整理にしております。現在、便宜的に3,000物質(-673物質)としておりますが、それらの対応が完了した後に、来年度から新しく国がGHS分類をした物質に関して、順次ラベル表示・SDSの交付を義務化していくことを考えております。
 想定しているスケジュールですが、毎年700物質程度を対象として義務化することを想定しております。ただ、義務化した後に、経過措置期間・準備期間ということで2、3年程度を想定しているところです。ただ、重大な労働災害が発生している物質等に関しては、上記によらず、迅速に義務化するケースがあることをここで明記しております。
 対象物質の考え方を細かく整理しております。まず、既存の3,000物質のうち、既に義務対象となっている物質を除いたものに関して、危険有害性を確認する作業をいたします。これを便宜的にCategory A0と呼んでおります。Category A0以外の物質に関して、順次ラベル表示・SDS交付義務の対象としていくということです。
 まず、1年目の2021年度ですが、CLP規則の高懸念物質の判断基準として、健康有害性の観点から列挙されている有害性が3つありまして、CMRという考え方なのですが、特に発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性の3つに関しては注目すべき有害性であるということで、まずその観点で整理したいということです。それに加えて、急性毒性というカテゴリーを加えたもの、この4つの健康有害性の観点から、GHS分類で区分1に相当するような有害性を持っている物質に関しては、まず1年目の対象物質としたいということで考えております。まだ詳しく物質を整理できているわけではありませんが、事務局の粗々の計算では、大体700から800物質程度が相当するというように把握しています。
 次に、2年目の2022年度の義務化の対象物質ということで、先ほどの1年目のものをCategory A1、2年目のものをCategory A2と整理しております。先ほどのCategory A1以外で区分1相当の危険有害性を有する物質、つまり発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性、急性毒性以外の健康有害性又は化学的危険性の部分で、区分1相当にカテゴリーがあるもの、それから区分1ではなくて、その次の区分2相当の危険有害性を有する物質を対象とすることを想定しております。これも事務局の粗々の計算では、大体700から800物質程度が相当するというように承知しております。
 3年目の義務化の対象物質ということで、Category A3ですが、もともとの3,000物質から既に対象となっているものを除いたもののうち、今御説明したCategory A0、Category A1、Category A2を除いた全ての物質について、この年度で全て対象とすることを想定しております。そうすると、大体ここも700物質程度が相当するということになります。
 これまでのところで、既存でモデルが作成されている物質については、全て義務化の作業が終わるという想定ですので、4年目からはCategory A4ということですが、対象物質として、2021年度から2023年度に新規にGHS分類をしたものを対象として義務化していくことを想定しております。
 5年目以降は、その前年度に新規にGHS分類した物質を対象としていくということを想定しております。口頭だと分かりづらいところがあるかと思いますが、図として整理しておりますので、後ほどまた改めて御説明差し上げます。
 7ページ目を御覧ください。ばく露限界値の設定についてです。前回、余り御意見は頂かなかったのですが、頂いた御意見としては、名称については混乱を避けるような名称とすべきであるというようなこと、許容濃度等が変更された場合についても、ばく露限界値を見直すことを明示しておいたほうがよいのではないかというような御意見を頂きました。
 8ページを御覧ください。こちらは基本方針として整理したものです。まず、現在国が実施している「国によるリスク評価」ですが、それらの対象物質のうちに、リスク評価が終了した物質以外の物質、つまり既に特化則に追加された物質とかリスクが低いと判定された物質以外の物質に関して、100物質程度残っていますですので、それらの物質に関して、まず優先的にばく露限界値を設定していきたいと考えております。これらは「リスク評価由来対象物質」と呼びますが、それらの対応が完了した後に、ラベル表示・SDS交付義務対象物質に関して、順次ばく露限界値を設定することを考えております。ばく露限界値を設定した物質については、設定後に許容濃度等が変更になった場合には、その値を見直すことを検討するということです。ばく露限界値の定義も改めて書いておりますが、御説明は割愛させていただきます。
 暫定的なスケジュールですが、毎年度200物質程度を対象として、ばく露限界値を設定していくことを想定しております。先ほどの義務化の考え方と同様に、経過措置期間を見込んでおりますが、こちらに関しては1年程度を想定しています。重大な労働災害の要因となっているような物質に関しては、通常のスキームによらず迅速に対象とする場合があるということでございます。
 対象物質の考え方を整理しておりますが、1年目は先ほど御説明したとおり、リスク評価由来の対象物質を対象とするということです。2年目以降、2023年度以降について、どのように対象物質を考えていくかということですが、まずは許容濃度又はACGIHのTLVが設定されているような物質を優先的に対象としていくということで整理しております。
 もともと、ここにも製造・輸入量の観点を入れ込んでいたのですが、そこまで細かくカテゴリー分けをする必要はないということからも、スピードと事務的な作業量等に鑑みた結果、ここでもハザードベースで優先順位付けをして、対象物質を整理していくこととしてはどうかという御提案です。具体的には、許容濃度等の数値がより低い物質に関して、それはハザードが高いというようにも考えられると思いますので、数値が低い物質から並べていって、順次物質数で区切っていくというやり方にしてはどうかと考えております。それだけでは、どうしても整理がうまくないということであれば、蒸気圧等の物化性状等も考慮しつつ、優先順位を決めていくというような整理にしております。
 それら許容濃度等が設定されている物質に対して対処が終わった後に、まだ相当数の物質が残っているわけですが、それらの物質をどのように優先順位付けしていくかということに関しては、将来的に検討していくという整理にしております。
 続いて、9ページの暫定ばく露限界値の設定についてです。こちらに関しては、とてもたくさん御意見を頂いたので、それを11ページにまとめております。大きく分けると、肯定的な御意見と慎重な御意見ということで整理された訳ですが、肯定的な御意見を御紹介しますと、現場で取り組む際の判断基準として、自律管理を行う企業にとっても、そういった値があるほうが望ましいのではないかということ、また、有害性があるかもしれないという意識付けや野放しではいけないというメッセージを伝えるといった観点でも有用ではないかということ、ACGIHでアクションレベルを設定しているけれども、自律的管理の中で目標となるような数値があってもよいというようなものが、肯定的な御意見の代表的なものです。他方で、慎重な御意見ということですと、国が暫定ばく露限界値を設定するとなると、現場では国が言っているからそれでいいというような話になるので、慎重な検討が必要ではないかということ、また、政府で決められるかどうかは結構危ういのではないか、CREATE-SIMPLEで管理目標濃度というものがあるけれども、そのようなものがある一方で、暫定ばく露限界値を決めるというのはなかなか難しいのではないかというような御意見も頂いたところです。
 他方で、現在の取組状況ということで整理しておりますが、リスクアセスメントの支援ツールであるCREATE-SIMPLEにおいては、GHS分類に応じた管理目標濃度というものを設定して、当該値を基にリスクレベルを判定することを推奨しているところです。また、粉じんに関しては、粉状物質の取扱作業における当面の作業環境の改善の目標値として濃度基準を定めているのですが、安全衛生部長通知の中で、吸入性粉じんであれば2mg/m3というような値を定めて、目標濃度を超えるような測定濃度となった作業場については、速やかにばく露防止のための必要な措置を講じて、目標濃度以下になるように努めるような指導をしているというような実態がございます。
 このように、これまでに頂いた様々な御意見等、現在の取組をもう一度整理した結果、方向性として整理させていただいたのですが、こういった状況を踏まえまして、暫定ばく露限界値を新たに数値として設定して、当該値以下での管理を努力義務とすることを法令で規定することについては、様々な御意見があるということを踏まえまして、まずは、現在定めている上記の目標濃度についてしっかり周知指導し、自律的な管理においても、こうした目標濃度に即して適切な管理を行うように意識醸成を図っていくということではどうかということでございます。その上で、暫定ばく露限界値については、こうした取組の状況や今後のばく露限界値の設定に係る検討等も踏まえて、改めて対応を検討することとしてはどうかという整理にしております。
 今後の対応案ということで2つまとめております。現在定めている目標濃度の周知徹底と、それに基づくリスクアセスメントの推進ということであります。例えば現在お示ししているリスクアセスメント指針というものがございますが、この指針においてCREATE-SIMPLEの位置付けを明確にするなど、所要の見直しを検討していくということです。それと、ばく露防止措置の明確化ということで、ばく露に係る目標値の設定とは別に、ばく露を防止するための具体的な措置を示すことが重要であると考えますので、衛生基準の明確化や具体的なばく露防止措置に係るガイドラインの提示などを推進してまいりたいということで、整理しております。
 まとめますと、今まで御議論いただいた中で、暫定ばく露限界値というものを数値としてお示しすることはどうかという点について御議論いただいてきたのですが、今回の事務局の整理としては、新しく数値としてお示しするのではなく、既存の取組の中で既に目標濃度としてお示ししているものがありますので、それを改めて周知することが、まず必要ではないかということです。そして、その数値を示す以外に、中小企業が取り組みやすいような形に整えるように、ばく露防止措置を明確化することを優先的に情報発信していくべきではないかということで、今回のような対応案を整理させていただいたところです。
 12ページには、CREATE-SIMPLEにおける管理目標濃度と、粉状物質に係る取組についてということで、安全衛生部長通知の情報を整理しております。御参照いただければと思います。
 13ページ目を御覧ください。今まで御説明したものの全体的なスケジュールを整理しております。まず、国による新規GHS分類、モデルラベル・SDSの作成に関しては、来年度から毎年50物質から100物質程度を対象としていきたいというところです。ラベル表示・SDS交付の義務化に関しては、既にGHS分類されているもの、モデルが作成されているものに関して優先的に対処していくということで、2021年度から2023年度を想定して、毎年700物質程度を対象とするということと、先ほども御説明いたしましたが、対象としつつ経過措置期間としては2、3年を見込んでいるところです。それら、既にモデルが作成されているような物質の義務化が終わった後、2024年度からは、2021年度から2023年度の間に新規にGHS分類された物質について義務化の対象としていくということで、この矢印で整理しております。それから順次、2024年度に新規にGHS分類したものに関しては、2025年度に義務化していくというような流れにしていきたいと考えております。
 ばく露限界値の設定については、2021年度が空欄になっていますが、ここは法令的な整理をするための期間ということで、空欄にしております。2022年度から実際にばく露限界値というものを設定していきたいということで、まずは、これまでリスク評価の対象としつつも評価が未了となっているような物質が100物質程度ありますが、こちらについて優先的にばく露限界値を設定していくというところでございます。2023年度以降は、許容濃度等が設定されている物質に関して、特にハザードが高いと考えられるような物質から順次、毎年200物質程度を想定しつつ、ばく露限界値を設定していくというような整理にしております。
 14ページ目を御覧ください。国によるGHS分類等の流れということで、全体の概念図として整理しております。一番左のラインが、通常ではない突発的な事態、つまり重大な労働災害の要因となっているような物質が確認されれば優先的に対処していくというところで、ラインを1つ引いております。それ以外、平時の状態ではどういう考え方になるかということで、今まで御説明したものを1つの図として真ん中から右の部分で整理しておりますので、御参照いただければと思います。
 15ページ目を御覧ください。経皮吸収のある化学物質ということで、こちらに関してもたくさんの御意見を頂いております。主なところを御紹介させていただきますと、吸収するということと代謝するということを別々に評価することが重要ではないか、揮発しないものはほぼ全て経皮から入ってくるので、ばく露限界値が有効に機能するかは物質ごとに精査することが必要ではないかということ。生物学的モニタリングは是非やるべきである。「経皮勧告がある=許容濃度があって経皮吸収がある=障害を起こす」ということなので、モニタリングをすることには意味があるということ、生物学的許容値がある物質は日本産業衛生学会とACGIHでも計100物質ぐらいということで、これらを全て扱っている会社はないと思うので、自律管理における生物学的モニタリングをやっても、このぐらいであれば負担はそれほどないのではないかということ。保護具を適切に使用することが大前提である。保護具も時間が経過すると透過することが労働者にはそれほど知られていないために、指針やガイドラインでそういった内容をしっかりと周知していくことが必要ではないか。揮発しづらい化学物質で、経皮吸収があり、毒性を考慮しなければいけないものに関しては、別立てのリスクアセスメントを考えたほうがよいのではないか。皮膚の透過性や吸収性には「n-オクタノール/水分配係数」が関係していると考えられる。農林水産省においても、農薬使用者への影響評価方法が検討されてきたが、今後そういった既存の評価方法等との連携や調整をどのように考えていくのか。このような御意見を頂いたところです。
 16ページに基本方針ということでまとめております。基本的に大事なのは、直接接触をしないような作業手順や皮膚障害防止用の保護具の使用を基本とするということです。その上で、リスクアセスメントに基づく適切なばく露防止対策の取組を推進していくことが必要ではないかということです。また、自律的な管理の中で、生物的なモニタリングの手法についても検討していくということを整理しております。
 基本方針に基づいて、ポイントを3つ整理しております。まず、直接接触の防止義務ということで、GHS分類済み危険有害物のうちで、皮膚・眼刺激性や皮膚から吸収され健康障害を引き起こしうる有害性の情報が得られている物質を、密閉系ではない方法で取扱いうといった場合には、できるだけ直接接触しないような作業手順を採用するということと、安衛則に基づいて、皮膚障害等防止用保護具の使用を義務付けるといったことを考えております。また、保護具の選定に必要な情報に関しては、化学物質や保護具のメーカー、研究機関等が協力して調査研究、収集し、国において必要な情報を公表・共有することを想定しております。
 それから、リスクアセスメントに基づく適切なばく露防止対策の実施ということで、CREATE-SIMPLE等を用いた経皮ばく露を含めたリスクアセスメントに基づいて、リスクの低減が必要と認められる場合には、適切なばく露防止対策の取組を推進していくということです。また、農薬などほかの取組において、経皮ばく露の評価方法なども参考にできるようなものがあれば、そういったものを参考にしつつ、物質による経皮吸収に係る特性等の知見も活用して、必要に応じてリスクアセスメント手法等の見直しを検討していくというところです。
 健康影響に関するモニタリングということで、皮膚吸収勧告があって、かつ生物学的許容値が示されている一部の物質は、日本産業衛生学会では11物質が該当すると承知しておりまして、ACGIHでも数十物質が該当するということですが、これらの物質に関しては、吸入や経皮によるばく露状況等も勘案した自律的管理における生物学的なモニタリングの手法について検討を進めていくということを考えております。
 以降の記載は参考情報として、CREATE-SIMPLEにおける経皮吸収に係るリスク判定について、あるいは農薬使用者への影響評価方法についてということで、情報をまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。事務局からの説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、テーマごとに確認していきたいと思いますので、委員の皆さん、よろしくお願いいたします。1つ目の国によるGHS分類と、2つ目のモデルラベル・モデルSDSの作成・公表の項目について、まず御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 最初の所ですが、新規に追加するものということだと思いますけれども、毎年50から100物質程度を選定して分類を行っていくということで、各省庁からいろいろ出されたものを進める形になるかと思います。こちらに関しては、どんどん新しいものが増えていくということですけれども、こういうのを選定していきますよというリストみたいなものが事前に公表されたりしてその中から情報を集める、あるいは政府向けのガイダンスList1等の信頼性の高いものだけから情報を得て決めていくのか、民間からも情報を得ようというふうにしていくのかというところに関して、どう考えているか教えてください。
○内田化学物質評価室長 化学物質評価室の内田です。お世話になります。基本的には私ども、これまでも新規分類というのを進めてまいりましたけれども、そこはここの資料の一番下に書いてございますが、ガイダンスList1ということで、前回のワーキンググループでお示しした国内外の幾つかのリスク評価の結果なり、あるいはIARC等の情報なりといったものの中から、専門家が選んで新しい情報があるとか、そういったものを対象にリストアップし、ここに書いてある50から100物質を抽出して決めるという考え方でいますので、基本的には国のほうでピックアップして決めるということです。これは厚労省のものでして、ほかに別途、化審法は化審法で対象が選ばれるというところがあります。繰り返しになりますが、基本的に国として選ぶという考え方でいましたけれども、逆に今の山口委員のお話ですと、民間からもそういうものを募集して、必要なものはそれらの対象に追加していくべきだというお考えでいらっしゃいますか。
○山口委員 そういうことではなくて、国のほうでリスト化したものを公表していただいた上で、その後、例えば民間側がその化学物質に関して有害性の情報を持っていた場合に、それを提出することによって反映していただけるのかという話です。
 たまに工業会とかで、ちゃんとしたデータを持っていたりする場合があるわけです。その結果が国の分類とたまに違うことがあって、工業会とかで意見を出せないかといったことをやっていることが多分にあると思うのです。これまでのGHSの分類結果に関して考えると、そういうところが今まであったかなと思って、実際に出せるかというところ、あるいは反映していただけるのか、それともこれは国のGHS分類ガイダンスに載っていないから駄目ですと、最初から受け付けないのか。聞きたいのはそういうことです。
○内田化学物質評価室長 ありがとうございます。前回か前々回にも、いわゆる国がGHS分類したものについてパブコメをすべきではないかみたいなお話も頂いたかと思います。我々の中でもまだ整理がきちんとできていないのですが、そういう形でやったときに、いろいろな情報が殺到して、うまく処理できるのかという問題があるのかなと思っていて、そういうことでの実現性も含めてよく考えなければいけないかなと思っています。今の御指摘を踏まえまして、もう一度整理し、その点についても、改めて次回御説明をさせていただきたいと思っていますが、今の考え方からすればそういう状況でございます。
○山口委員 分かりました。ありがとうございます。工業会とかでしっかりしたデータを取っている所もございますので、そのようなものを受け入れていただけるとうれしいかなと思います。
○城内座長 次、三柴委員、お願いします。
○三柴委員 私からは情報の拾い方について一言申し上げたいと思います。国が推進していくこと自体には賛成です。ただし、先端研究のあり方は考えないといけないなと思っています。今、事務局からお示しいただいている案だと、結局、情報を拾う上でのポイントは3点ではないかと思うのです。特に重大なものを中心とした労災(疑い)の実績、海外の専門機関が示した情報、それと産衛学会のコンセンサス、この3つがポイントになっている。あとは物質の性状に係る調査研究データとか、国が行ったリスク評価結果といったものも、もちろん情報源ではあるけれども、実質的にはその3点がベースになっていると思います。また、シンクタンクとしてはバイオアッセイセンターとか安衛研などが主軸になってくるということだと思います。
 しかし、私自身、ここ最近の安衛研での研究状況を拝見していますと、既に生じた労災(疑い)の再発防止策を離れて、横展開が図られた研究というのはなかなか見られない。ですので、我が国独自のハザードとリスクに関する横展開の研究、恐らく基礎研究になってくるのでしょうけれども、そういうものも推進していかなければいけないのかなと思っています。以上です。
○城内座長 植垣委員、お願いします。
○植垣委員 国の基本方針として4ページに出していただいていますが、50から100物質を、これは厚労省で物質選定してGHS分類をされるかと思いますが、他省庁からもGHS分類の実施というのがやられているケースがあるかと思います。他省庁が選定してGHS分類を行っているものについても、今回、同じようにこの対象になるのかお伺いしたいと思います。
 あと、先ほども御説明の中にありましたが、この分類はNITE分類という形で公表されることになるわけですけれども、これがある意味、強制分類的なものになるのか。この分類は別に従わなくて参考にするだけでいいのか。その辺、今後どのようにお考えなのかお聞かせいただければと思います。以上です。
○城内座長 事務局からお答えをお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 植垣委員、ありがとうございます。御質問の点ですが、将来的には例えば経済産業省と連携して1つの検討会などを立ち上げて、そこでそれぞれ、我々で言えば安全衛生分野の観点から対象とした物質、化審法の観点から選定基準に基づいて対象としてきた物質を、1つの検討会でGHS分類をしていけたらということは考えてはいますが、まだ調整しきれていないような段階ですので、確たることは申し上げられないというのが実際のところです。
 あと、我々が分類したものが強制的なものになるかというのは、今までもそうであったように、あくまで参考としてお示しするようなところですので、その内容については強制というような整理になるものではございません。以上です。
○植垣委員 ありがとうございました。
○城内座長 三柴先生、先ほどの基礎研究等の横展開ということのイメージが、ちょっと分かりづらかったのですが、もう一度分かりやすく説明していただけますか。
○三柴委員 要するに、被災が既に発生しているだろうというところについて、任意をベースに調査に入って、再発防止策を打つための調査研究をする例が多く、そこから拾ったデータを使って、似たような性状の物質についても危ないと目星を付けて対策を打っていくという、そういう意味の横展開です。被害の起きた現場に入って、何が原因だったかという調査については進めておられるけれども、その調査結果をほかの物質に展開していって、なるべく先行的にリスク対策を打っていくような取組が必要ではないかと、そして、そのためにはある程度基礎研究を重視するという発想が必要ではないかというふうに申し上げたということです。
○城内座長 分かりました。私の認識だと、労働安全衛生法の物質をピックアップしてきたプロセスというのは、そういうプロセスだったのではないかと実は思っているのですが、恐らく三柴先生はそれからもう一歩進んで積極的にというか、もっと横展開してもいいのではないかという御意見だと思いますが、それでよろしいですか。
○三柴委員 はい。制度論者であって、化学物質自体に詳しいわけではないので、ピントがずれていたら申し訳ありませんが。
○城内座長 甲田委員、お願いします。
○甲田委員 今のに関連していると思いますが、うちの研究所で災害が起きた段階で調べに入って、そこから深掘りをするというのをやっていますけれども、確かに言われるとおり、類似する化学物質で疑わしいよねというのは実は幾つかあって、やりたいというか、そういうのは思っています。ただし、それはラボのレベルではできるのですが、現場に積極的に入って行って、特にこのリスクアセスメント等に関連すると、どういうふうに管理をしていって、どういうふうな保護策が有効なのかという、かなり突っ込んだ調査をするというのは、現実的には現場の協力がないとなかなかできないのです。
 災害が発生していないものに対して、我々又は研究者が入って行って調査ができるかという話になってくると、これは現状では、かなりハードルが実は高いのではないかと思っています。幾つかの事例でも入れなかったというのが現実です。その辺のところは法律を改正すればできるとは言わないですが、もうちょっと違った形で、いわゆる産業界だとか協会等の予防に対する取組の機運が高まるとか、後半の自律的管理の手法の中で展開するとか、その辺がないとなかなか我々もできていないところなので、実は反省材料でもあるのですけれども、その辺のところがハードルになっているということは御報告させてください。
○三柴委員 ありがとうございました。ちょっとだけ追加させてください。安衛研は様々な制約の中でとても熱心に研究しておられると思います。その前提で、要するに既に起きた災害等をきっかけに研究を進めるにしても、物質の性状等について基礎に遡って研究をしていくと、おっしゃるように、こういう物質は似ているから疑わしいのだという情報のリスト化というか、データベース化というのはある程度できるのではないかと思うのです。私が感じていたのは、要するに我が国独自のハザードとリスク研究というのをある程度積み増していく。そのために必要な資源というのは投入していく。そういう意味でも、国による推進というのは必要ではないかということです。失礼しました。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、御意見はございますか。次の項目に行きたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、3つ目のラベル表示・SDS交付の義務化について御意見を頂ければと思います。山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口です。これを見たときに、1年目、2年目、3年目ということで、3年間で約2,300物質、3,000から673を引いた全てを義務対象にしていくという形が見えてくると思うのです。また、経過措置が2、3年あるということですが、非常に多くの物質を一気にやるというところで、本当にこれができるのかということです。各企業がどれぐらいこれに該当する化学物質を持っているかは分かりませんけれども、多い所はかなり多いのではないかと。特に、川下系の混合物を作っているような所ではかなり多くなってくるので、実際にできるのかというところに対して少し懸念があるということは、取りあえず発言させていただこうと思いました。
○城内座長 そのほかにありますか。植垣さん、お願いします。
○植垣委員 まず、1点確認させていただきたいと思います。実際に経過措置が終了になるのは、2021年から始めて2023年辺りに経過措置が終了されるということなのでしょうか。2023年施行と書いてあったかと思うのですけれども、この700物質をいつまでに事業者が対応しないといけないのかについて教えていただければと思います。
 それと、山口委員からもお話があったとおり、かなり短期間に3,000物質近いものについて対応を取らないといけないということになってきています。危険な物質は、きちんと情報提供するというところは賛成するのですけれども、中小の企業においては化学物質管理の専門家がいないことから、恐らくこのSDSラベルについては、外注するなりして対応を取らざるを得ないと考えています。そうすると、日本中でいろいろな会社が外注するなりという形になると、外注を受けていただける所も限られているので、なかなか厳しいのではないでしょうか。「自分で作れ」と言われると、それも中小企業にとってはなかなか厳しいところで、厚労省におかれましてはその辺り、適切な資金を中小企業に提供いただけるよう切にお願いする次第です。私のほうは以上です。
○城内座長 梅田委員、お願いします。
○梅田委員 皆さんの意見とかぶるのですが、2,400ほどの化学物質を順次義務対象にするということですけれども、特に中小で混乱が起きないかと懸念をしております。
 それと確認です。例えばCategory A1で義務対象物質を公布して施行しますが、義務対象の猶予期間の間は、700物質の扱いはどういう形になるのでしょうか。有害性が認められたものですから、皆さんには早めに周知するべきものだと思いますので、例えば経過措置の間は努力義務で、それを過ぎたら義務化というようなことを考えられているのか、その辺りをお聞かせください。
○城内座長 では、事務局からお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 まず、植垣委員から御質問のあった点です。実際に猶予期間がいつ解けるのかというところは、具体的に何年度までかというのは、まだ整理してないのですけれども、現時点では2、3年程度を想定しています。2021年度に義務化の作業が終わったものに関しては、実際に現場での対応ができるかどうかということも勘案しながら、経過措置期間を考えていきたいと思いますので、2023年度ないし2024年度までは経過措置期間ということで設定させていただくことを想定しております。また、中小企業が対応できるような支援というのは当然必要であると認識しておりますので、我々としても、実際に現場の皆様が対応できるような支援をしっかりと整備していきたいというように考えております。
 あと、経過措置期間の取扱いということですけれども、努力義務ということで明確に定めるかどうかは、これもまだ整理はしきれていないのですが、やはり有害性が高いものから順次義務対象としていくということを想定しておりますので、我々が努力義務という整理をするしないにかかわらず、できるだけ有害性があるということを認識した上で、現場のほうでもリスクアセスメント等の対応をしていただきたいということは、我々としても情報発信をしていきたいと考えております。
○内田化学物質評価室長 内田です。補足です。「施行」という言葉が分かりづらくて、大変申し訳ありません。ここで書いているイメージは、2021年度に義務化対象物質になるということなので、2021年度に政令を改正し、義務化の対象にするということです。その義務化の適用については、2、3年の猶予期間を持って、2023年度から2024年度に適用するという考え方で整理をしております。
 EUのCLP規則などでも、確か物質については2009年に施行されて、適用期間は2年間の猶予期間で表示の対象になったと理解しておりますが、そういうことも勘案しながら、大体2年なり3年程度ではないかと。混合物については別だったと思っておりますけれども、そういう意味では2、3年の猶予だと。特に、できる限り速やかに情報伝達を進めるという検討会の方針も踏まえ、できるものは早めに対応していくという観点から、当然現場の実効可能性というものも勘案する必要があるかと思っておりますが、そういう形で3年に分けて順次義務化を進めて、2、3年の猶予期間を持って適用していくという考え方で整理させていただいているということです。
○城内座長 梅田委員、お願いします。
○梅田委員 混合物について対象とするかどうかは、また別に考えられるということですか。そこで1つ心配なのは、現在3,000物質を3回に分けて施行されるということなのですけれども、混合物だとかぶっている場合があって、1回変えてまたすぐにSDSを変えなければいけないということも起こり得るのですが、その辺りの考えをお聞かせいただければと思います。
○内田化学物質評価室長 現状もそうですけれども、混合物は別にということではなくて、裾切り値以上のものについては、純物質と同じタイミングで対象になると考えております。そういった意味では、幾つかの物質が混じっているものについて、この物質は義務化の対象になっているけれども、そうでないものは義務化の対象になっていないというものがあるかもしれませんが、それらは義務化の対象になっているものについて、情報を伝えるということで。
○吉澤国際動向分析官 そうですね。SDSは本来は製品に対して作られるものなので、成分が変わらなければSDSを作り直す必要はないわけなのです。ただ、どの物質が義務対象か、どの物質が義務対象でないかというような仕分けはありますけども、SDSは分量に制限がなく、情報を追加できるので、逐次更新していただくということです。ラベルは別に成分表示する必要はないので、ラベルは一旦義務化されれば、別の成分が義務化されても、そのままでよいと考えております。
○城内座長 植垣委員、お願いします。
○植垣委員 今後、中小の所でSDSを作るために、分類などの作業を行うことになるわけですが、そこで万が一、有害性なり記載内容を間違っていて労災が生じてしまったような場合に、例えば化学物質管理に慣れない、今までやったことのないような担当者が頑張ってSDSを作ったけれども間違っていましたといった場合に、そのSDSを作った人が悪いということではなくて、あくまでも事業者として適切なSDSが提供できていなかったという形で整理をしていただければと考えています。個人がそういう形で責務を負うようになると、中小の所については誰も手を出しづらいところになるかと思いますので、その点は御理解いただければと思います。以上です。
○城内座長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 義務化対象物質に1年ごとにA1、A2、A3とあるわけですけれども、この対象物質というのは最初にまとめて、A1はこれ、A2はこれ、A3はこれというものを公表することは可能なのでしょうか。
 先ほど混合物の話がありましたけれども、2回、3回に分けてSDSを変更するとか、そういうことがいろいろ発生するのであれば、最初からリストが分かっていれば、何年後に始まるもの、A3に該当するけれどもA1に該当するものも入っているからまとめて先に変えてしまおうということも、企業としては効率的にできるかと思うのです。ですから、リストが最初に公表されればいいのではないかと思うのです。A4以降は、もともと毎年国による新規のGHS分類を行ったものなので無理かもしれませんが、最初の2,300から2,400物質に関しては、一斉にこれはどれに該当しますということを公表する予定はないのでしょうか。これが質問です。
○内田化学物質評価室長 ありがとうございます。そこまで考えていなかったのですけれども、現場の方々が実際にやりやすい形で進めていくことが必要だと思っておりますので、今おっしゃったような中身で、最初に3年間の割り振りについて提示することが望ましいというようなお話であれば、物理的には今の区分をそれぞれ整理して振り分けるという形になるので、できるのではないかとは思っております。そこの実現可能性も含めて、よく精査はしなければいけないとは思いますけれども、できる限りそのような方法で対応していきたいと思っております。
○城内座長 よろしいですか。
○山口委員 ありがとうございます。
○城内座長 城内です。私のほうから1つ事務局にお願いがあります。混合物に関しては、最初にGHSを始めたときに、義務対象物質だけを考えればいいということでずっときていて、今の御質問があったような点については、実はまだ整理されていないのです。なので、3,000物質が義務化になったときにはかなりメインの物質が入っていますが、混合物の中でマイナーなものは無視されることもあり得るのではないかとは思います。今後、このシステムを本当に自律的管理に結び付けるという意味では、そこは行政でちゃんと整理していただかないと、かなりの混乱は出るだろうと思っています。法律と規則と両方を使えば、全部の危険有害性について書かなければいけないということになっているのですが、企業としては義務が掛かっているか掛かってないかというところで見ると、どうしてもまだ齟齬が出るので、そこはどういうように整理していくかというのは、今後事務局のほうで考えていただかないといけないかと思っています。
 あと1点、200物質については有害性がないという文章が5ページに出てくるのですが、この意味が私には正確に分からないのです。これは危険性はあるけれども、有害性は見つからないという意味なのか、例えば急性毒性の区分5は入っているけれども、JISでは入っていないからということもあるのか、あと、政府分類と民間分類の文献の基準が違うので、そういうことも含めて漏れているのかというところが分からないのです。なので、この辺もはっきりしないと、本当にこの200を切っていいのかどうかということもあるのです。その辺について今、御回答は必要としませんが、詰めていく必要はあるかなと思っております。
 そのほか、3番目の項目について皆さんから御意見はありますか。よろしければ、次に進みたいと思います。続いて、ばく露限界値(仮称)の設定について御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 大前です。これは前回若しくは前々回も申し上げたと思うのですが、行政が決めるばく露限界値と学会等が決めている許容濃度等は意味合いが違うので、単純に学会等が決めている許容濃度を、そのままばく露限界値に持ってくるというところでのプロセスの中間に、必ずリスクマネジメントとしての評価を入れていただきたいと思います。それはリスク管理する判断基準のところかと思います。それは意識しておいていただきたいと思います。以上です。
○城内座長 大前先生、私のほうから質問させてください。今の先生がおっしゃった方向でいくとすると、それは例えば行政で委員会を作って、もう一回リスクマネジメントという観点で議論し直してほしいという理解でよろしいでしょうか。
○大前委員 現実には、今は一緒になってしまいましたけれども、管理濃度委員会というものが以前ありまして、そこでは実現可能性等々についても議論をしていたのです。単純に持ってくるということではなくてです。そして、場合によっては、管理濃度を設定しないという結論を出したこともありますので、マネジメントの話とアセスメントの話は別に考えなくてはいけないと思います。そのつなぎ目のところに、何らかの配慮を頂きたいということです。
○城内座長 ということは、値として許容濃度をそのままいかす場合もあるけれども、違う場合もあるだろうということですね。
○大前委員 おっしゃるとおりです。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかに御意見はありますか。
○梅田委員 梅田です。確認させてください。ばく露限界値を設定するスケジュールについては、13ページに示されているので分かりますけれども、リスクアセスメントをする上では、ばく露限界値がないと困ると思うのです。表示通知物質は700ずつ増やしていくのですが、ばく露限界値の設定はそれに追い付いていないようなのです。ばく露限界値がないものに関しては、例えば12ページにCREATE-SIMPLEにおける許容濃度がありますが、これを参考に努力義務で設定するのか、どうしたらいいのかというのを教えていただきたいのです。
○城内座長 事務局からお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 植松です。ばく露限界値がないものについてのリスクアセスメント手法については、御指摘いただいたCREATE-SIMPLEにおける管理目標濃度などを参考にして、リスクアセスメントを推進していただきたいということを、行政としても、丁寧に整理して情報を発信していきたいと考えております。特に今回、暫定ばく露限界値を数値としてお示ししないという整理にさせていただいているところもありますので、御指摘いただいたように、ばく露限界値がないものについてはどういったアプローチをすべきかというのを、しっかりと皆様に分かりやすい形でお示ししていきたいと考えております。以上です。
○梅田委員 ありがとうございます。ばく露限界値は、以前の議論で強制値だと伺いました。決まってないものに関しては努力義務でよろしいのですか。
○城内座長 事務局から。
○内田化学物質評価室長 ばく露限界値についてはそれ以下にしていただくように、義務としてやっていただくという形になります。それ以外については当然義務ではないので、参考としてその値よりも下になるように、できるだけ努めていただくというような対応になるかと思っております。よろしいでしょうか。
○梅田委員 はい、ありがとうございます。
○城内座長 山口委員、お願いします。
○山口委員 簡単な質問です。許容濃度が設定されている物質というのは、Category Bの2から5の中で順次決まっていくと思うのですけれども、許容濃度等が決まっている物質そのものは、800ぐらいが3,000の中にあるというイメージでよろしいのですか。
○植松化学物質評価室長補佐 はい、800物質程度を想定しております。
○山口委員 先ほどの議論からいくと、許容濃度はあるけれども、ばく露限界値を設定していないものも、この中に出てくるかもしれないということはありますよね。
○植松化学物質評価室長補佐 基本的には、許容濃度があれば、それを参考にばく露限界値を設定していくという考え方なので、できるだけ設定していくということを念頭に置きながら対応していくのかと思っております。先ほどの議論にあったように、許容濃度イコールではないので、そういったことも可能性としてはあるのかもしれませんが、基本的には設定を前提に作業を進めてまいります。
○山口委員 分かりました。そうすると、これも先ほどのリストの話ではないですけれども、今この化学物質に許容濃度があるという一覧みたいなもの、例えばそうした情報はNITEのホームページから取れるのですか。
○植松化学物質評価室長補佐 NITEさんのほうで、情報が出されているかどうかは分からないのですけれども、我々のほうでも早め早めに情報を整理して、こうしたものが対象となるといったようなスケジュール感は、事前にお示ししていけるようにしていきたいと思います。
○山口委員 分かりました。ありがとうございます。
○城内座長 そのほかに意見はありますか。私から1つ確認させてください。ラベル表示・SDS交付を義務化すると、今の法57条の立て付けだとリスクアセスメントも同時に義務化になっています。今のイメージだと、そういう理解でよろしいですか。
○植松化学物質評価室長補佐 はい、そうです。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 大前です。今、内田室長のお話にあったのですけれども、「参考に」というお話と「努力義務」という言葉とは、どういうように違うのですか。参考というのは努力義務よりも非常に弱い感じがして、無視されるという気がするのです。その差を教えてください。
○中村化学物質課長補佐 義務ではないということで、……努力義務にするかどうか、ちょっと……。
○内田化学物質評価室長 数値の話ですか。
○中村化学物質対策課長補佐補佐 いや、数値とは違う話。
○内田化学物質評価室長 紛らわしくて申し訳ございません。許容濃度が決まっているものについては義務ですけれども、それ以外のものは後で出てくる暫定ばく露限界値も含めて設定し、努力義務にするという位置付けにはないのです。具体的にどう整理するかは、もう少しよく考えますけれども、基本的には参考の値としてリスクアセスメントを実施していただいて、その値よりも高い場合には、健康障害防止措置を取ることに努めていただくという形かと思っております。すみません。分かりづらくて申し訳ございません。
○大前委員 今までの議論は、ずっと努力義務という話できていたと思うのです。突然「参考」と言われてしまうと、努力義務を掛けないリスクアセスメントという形にしたのかと思いました。これは随分後退したような気がするのです。
○内田化学物質評価室長 今のは暫定ばく露限界値の話ですか。
○大前委員 いえいえ、今おっしゃったばく露限界値がないものでも、GHSの分類があれば、CREATE-SIMPLEで数字が出てくるわけですよね。
○内田化学物質評価室長 はい。
○大前委員 その数字に関しては、努力義務ではなくて参考とおっしゃったというように聞こえたのです。それは努力義務にしなくてもいいということですか。CREATE-SIMPLEで出てきた数字は、それは見るだけでいいということにならないのですか。
○内田化学物質評価室長 リスクアセスメントをやって、適正なばく露防止措置をやっていただくというのは努力義務だと思っていますけれども、その値自体が努力義務かと言われると、そういう整理に今はなってないのです。
○大前委員 了解しました。
○内田化学物質評価室長 考え方をもう一回よく整理をして、また改めて御連絡させていただきます。申し訳ございません。
○城内座長 村田委員、お願いします。
○村田委員 先ほど山口委員から、CHRIP等から産衛学会の許容濃度等のリストがあるかというお話がありましたが、CHRIPから産衛学会の許容濃度とか、生物学的許容値のそれぞれ得られている物質のリストはあります。補足でした。以上です。
○城内座長 三柴委員、お願いします。
○三柴委員 今の大前先生のお話の延長です。CREATE-SIMPLEから出てくる目標値などは、民事裁判などになれば、事件の筋によっては、これは、大筋で、ちゃんと対策をしていないなというように裁判所が見たときには、参考とはいえ、ほぼ義務と同じような扱いになってくると思います。ただ、大前先生が御懸念の点には、恐らくは行政が指導をする対象に入ってくるかということもあると思うので、そこはいくら「参考」という表現だったとしても、リスクアセスメントの一環として監督、指導の対象になり得るということを、どこかで示唆されるといいのではないかと思います。以上です。
○城内座長 申し訳ありません、私からもう1つ。ばく露限界値を求めるということは、測定をしなければいけないということです。その測定法は最近出た個人ばく露も含めて評価しようというのと整合するかどうかということが、今後とても重要になってくると思いますので、そこの検討もお願いいたします。そのほかにありますか。
 では、その次に移りたいと思います。暫定ばく露限界値について御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。大前委員、お願いします。
○大前委員 大前です。今回、暫定ばく露限界値の設定をしないという事務局のまとめについては、非常に残念だと思っております。というのは、以前ピラミッド型の絵を示していただいて、それを改良したものが参考資料の14ページにあるのですが、個別管理物質と自律管理物質とを分けて、更に自律管理物質を3つに分けた見直しの仕組みの新しい概念があります。今のお話だと、一番右側の有害性の情報がない、あるいは少ないものに関しては、全く無視されてしまうことになるのです。CREATE-SIMPLEで出てくる数字というのは、あくまでもGHS分類があるもの、あるいはGHS分類をやって分類できないものが入っています。それはこの絵でいきますと、真ん中のカラムの「ばく露限界値を設定する情報が不十分」という所に入ってくるのです。そうすると、有害性情報が少ない若しくはないという、恐らく数として非常に多い物質に関しては、完全にフリーになってしまうという概念・考え方になってしまうと思うのですが、いかがですか。
○漆原委員 今のご発言に関連した発言となります。我々連合としても従来どおり、暫定ばく露限界値については、ばく露限界値と同時に設定すべきであるという意見です。CREATE-SIMPLEの管理目標濃度だけだと、GHS分類の区分の情報がなければ具体的に何もしないということになりかねず、問題だと思います。測定すらしなくてもよいということにつながりかねないと思っております。
 その上で、もちろん「暫定ばく露限界値」という名前にこだわる気は毛頭ないのですが、ばく露限界値と同時に何らかの数値を示すことが、現場にとって測定して対策を検討するのだということが理解しやすいと考えております。もしどうしても示すことが無理だということであれば、GHS分類の区分がない物質に限定して、当面、暫定ばく露限界値を設定するといった対応が必要ではないかと思っています。もちろん努力義務ではないので、どこまで効果が上がるのかと言われると難しいですが、単に衛生基準の明確化など、具体的な対応策も記載されていいますがに、数値がない場合に、どう明確化し、それをどのように現場に周知するかが不明なのです。そういったことを考えれば、何らかの数値が必要であると考えているところです。以上です。
○大前委員 大前です。追加でよろしいですか。CREATE-SIMPLEの設計基準というのがあって、これを見たのですが、管理目標濃度の設定の数字の根拠に関しては、設定基準に載っていなかったので、どういう理由でこう設定したのかが分からないのですが、この数字を見ると、随分厳しいですよね。例えば、以前の粉じんだと10とか8とか、あるいは蒸気や気体だと500ppmというようなことを、数字として出した記憶があるのです。それはこの表4ですと、一番下のHLが1の欄の数字なのです。それで、1、2、3、4とこれまでの数字を見ると、随分厳しいのです。前に言っていた暫定ばく露基準よりも厳しい数字がここに並んでいるので、なぜこういう数字が出てきたのか、もし設定基準のときの数字の考え方が分かれば、教えていただきたいと思います。
 2つ目は、この中で表現が間違っているものがあります。マイナーなところですが、「液体(ppm)」となっています。「液体(ppm)」だと、液体の中に何パーセント入っているかということなのです。ppmというのは単なる100万分の1という意味にすぎないので、この表現は間違っていまして、これは液体ではなく、恐らく気体若しくは蒸気というように変えないと誤解されてしまいます。それがマイナーな点でして、メジャーな点は、なぜこの数字が出てきたのかというのと、本当にこんなに厳しくていいのかという質問です。
○吉澤国際動向分析官 管理目標濃度は基準ではなく、この濃度になるように努力してくださいという、ある意味あえて厳し目に設定しているわけです。そういう考え方でやっているので、何らかの根拠があってこの数値に決めているわけではありません。
○大前委員 多分そうだと思ったのです。この数字はすごく厳しいですよね。例えば反復ばく露というのは区分1、2しかないのですけれども、例えば液体だと5ppm、粉体だと0.1mgという厳しい数字なので、むしろ暫定ばく露限界値を作ったほうが、企業の方はよいのではないか思いました。以上です。
○城内座長 三柴委員、お願いします。
○三柴委員 これまでの例に倣えば、科学的根拠も乏しく、いきなり法制度化は難しいけれども、リスクがうかがわれるものについては、実効性はともかく、例えば災防規程とか業界基準、JIS、それから実は学術的な報告書なども、いざとなると活用されるので、そういうところで示すというような代替案も考えられるとは思います。ただ、そういうステップを踏んだ上で、本来は暫定ばく露限界値的なものを設定すべきと思います。以上です。
○城内座長 城内です。私はCREATE-SIMPLEの作成には携わっていないのですけれども、GHS分類を行い、ある値が設定されている場合、それにあるファクターを掛けて出した管理濃度なのだと思います。例えば、10分の1にするとか100分の1にするとか、そういう数字ではないかと思っています。
 それから、先ほど数値を示すべきだというお話があったのですが、GHS分類の中では、必ずしも数値を示すことができないものがあります。例えば皮膚腐食性・刺激性は、数値では示されないものもあります。そういうことを考えると、数値というより、私の感覚でいくと、とにかくラベルにある危険有害性情報を徹底して理解してもらって、それで対策を講じるということもやはり必要かと思います。もちろん、数値があれば予防には役立つと思いますけれども、数値が決められないものもかなりありますので、やはり両方から考える必要があるのではないかと思っております。
○植松化学物質評価室長補佐 植松です。いろいろな御意見を頂いてありがとうございます。暫定ばく露限界値をやはり設定すべきだという御意見も多かったように思いますけれども、今回、現時点での整理として事務局が提案させていただいたのが、暫定ばく露限界値を現時点で数値としてお示しするのはなかなか難しいので、今後の検討事項というように整理させていただきたいとしたところです。
 我々も検討を重ねてきたのですが、なぜ暫定ばく露限界値を設定すべきかという思想を思い返してみたときに、やはり中小企業は何の目安もないと対応できない事態になるのではないかというところが、出発点だったように考えております。そうであれば、暫定ばく露限界値というものを数値としてお示しすることも、行動を促すという意味では一定の役割はあろうかと思いますが、我々としては、現時点で数値はお示しできないまでも、実際にその先に求められるばく露防止措置というものを具体的にお示しする形で、中小企業がこういったことをやれば、ばく露防止対策ができるのだという、そうした情報をまずはお伝えしていくということで対応していきたいと考えた次第です。以上です。
○城内座長 では、次に進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、最後の経皮吸収のある化学物質について御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。山口委員、お願いします。
○山口委員 経皮吸収の対策というかポイントの中に、例えば保護具の備え付け義務から使用義務に見直すといった分かりやすい、本質かどうかは別にして、分かりやすいやり方が、ガイドラインなどで示されるといったイメージかなと思うのです。暫定ばく露限界値の1つ前の話の中で、ばく露防止措置についてのガイドラインを中小企業ができるように提示していくという話がありました。経皮吸収に関しても、ある程度そういったイメージでよろしいのでしょうか。
○植松化学物質評価室長補佐 はい、そういったガイドラインのようなものでお示しすることを想定はしております。
○城内座長 植垣委員、お願いします。
○植垣委員 植垣です。CREATE-SIMPLE等を使ってリスクアセスメントを行い、化学物質を扱っている事業者が適切に物質を扱えるようになるというのは、非常に良いことかと思っています。ただし、それが適切に回るためには、リスクアセスメントの質が適正に担保されていることが必要だと考えています。ツールがあって、数字を入れたりすると対策が出ます、この対策をやったら全然問題はないのだねというような形で、余り適切ではない使われ方をすると、例えば呼吸器系のものについては気にしていたけれども、皮膚系のほうは抜けていたというようなことになると、大きな問題が生じかねません。ですから、こういう場合はこういう対策が必要、このデータがない場合はこういう危険性があるということを留意しなければいけないといったような形で、お話いただいたようなガイドラインに懇切丁寧に書いていただいて、今後実施するに当たっては、特に中小の事業者に対して支援をしていただければと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございます。私からお願いなのですが、経皮吸収のところで、皮膚腐食性・刺激性、経皮吸収というのは、評価の仕方とリスクマネジメントが違うので、これは今後分けて論じていかなければいけないかなと思っています。よろしくお願いします。そのほかにいかがでしょうか。梅田委員、お願いします。
○梅田委員 梅田です。CREATE-SIMPLEがリスクアセスメントのツールとして厚生労働省が考えられているのは十分理解するのですが、経皮ばく露に関しては、CREATE-SIMPLEで計算するときには物化性状が必要になるので、その辺りのデータの整備もよろしくお願いします。以上です。
○城内座長 甲田委員、お願いします。
○甲田委員 私自身がCREATE-SIMPLEをそんなに理解しているわけではないので、今まで経皮が問題になった職場で、やはりかなりいろいろな情報を共有しないといけないと思っています。1つは、有害物質があるという下でリスクアセスメントをしていくのですけれども、それが製造工程の中でどんどん違った形になっていくのですが、例えばオルト-トルイジンなどの場合、不純物としてかなり残っていたりします。そういうものは多分、事業者の頭の中にはなかったのではないか、それで膀胱がんが起きたのではないかと思うのです。
 それから、反応していって物質がどんどん変わっていくのですが、残存する物質として残ることがあります。そういうものが、経皮の場合、健康障害の原因になっている事例が、例えば芳香族アミンの場合に見られていたのです。今、そういう情報を集めている最中なのですけれども、それほどシンプルなリスクアセスメントができるのかどうか、もう少し研究してみますが、その辺は国又は業界団体と情報共有をしていきたいと思っております。以上です。
○城内座長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。今まで1番から6番まで御議論いただきましたけれども、全体を通して言い忘れたこと、これだけは言いたいということがありましたらお願いします。三柴委員、お願いします。
○三柴委員 イギリスのHSEとの比較でも申し上げなければと思っているのが、監督・指導の充実です。日本では、化学物質の専門知識をある程度持った上で、現場で均衡の取れた指導ができる監督官というのは、実態としてかなり少ないということが、最近の私どもの調査からも分かってきております。今であれば、長時間労働対策に駆られてしまうとか、地方技官採用がなくなったとか、いろいろな背景があります。監督・指導だけで化学物質管理がなるわけではないというのも当然なのですが、しかし監督・指導が充実していると、それに対応するためにもきちんと現場で専門家を整えなければいけないというドライブがかかるはずなのです。それが白黒どちらかというような監督・指導しかできない、あるいはそもそもしないというような条件があるとなかなか進まないので、そこは監督官の人日管理に対して、化学物質対策課としてメッセージを発信していただければと思います。以上です。
○城内座長 上垣委員、お願いします。
○植垣委員 全般を通してですが、物質のリストを作る又は分類をしていくといったところについて、パブコメなどの形で是非事業者から意見をできるような形での進め方をお願いいたします。全部決まってしまってから、こちらで変更してほしいとお願いしても、そこは非常に難しいと思いますので、事業者の意見を取り入れるような仕組みというのを、今後の取り進めの中において是非入れていただければと思います。以上です。
○城内座長 そのほかに御意見はありますか。御意見がなさそうですので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。本日もたくさんの御意見をありがとうございました。事務局は次回までに、本日各委員からありました御意見を整理していただければと思います。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いします。
○植松化学物質評価室長補佐 本日も長時間にわたり、活発に御議論いただきましてありがとうございました。本日の議事録については、各委員に御確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
 また、次回のワーキングにおいても、それぞれのテーマに関して方向性を整理したものをお示ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。次回は、3月22日月曜日の午前中の開催を予定しております。詳細は、また改めて御案内させていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
○城内座長 以上で、第4回職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会リスク評価ワーキンググループを閉会いたします。ありがとうございました。

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