厚労省・新着情報

日時

2021年(令和3年)2月22日(月) 13時00分~

場所

厚生労働省省議室

出席者

・三原 じゅん子
・金子 恵(※オンライン参加)
・駒崎 弘樹(※オンライン参加)
・小室 淑恵
・佐藤 博樹(※オンライン参加)
・菅井 利雄
・トラウデン 直美 (※オンライン参加)
・西田 亮介(※オンライン参加)
・古市 憲寿(※オンライン参加)
・三浦 瑠麗
・森永 真弓
・工藤 啓(※オンライン参加)

(敬称略)

議題

雇用・人材開発支援

議事

議事内容
○蒔苗総務課長 ただいまから「コロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチーム~もっとあなたを支えたい~」の第1回会合を開催いたします。私は、このプロジェクトチームの事務局長を務める職業安定局総務課長の蒔苗でございます。どうぞよろしくお願いします。本日が初会合となりますので、最初に三原厚生労働副大臣より御挨拶を申し上げます。

○三原厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の三原じゅん子でございます。この度はコロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチームに御参画いただき、ありがとうございます。皆様も御存じのとおり、新型コロナウイルス感染症の影響により自殺、失業、DV等の多くの問題が、女性を中心に顕在化しています。また、孤独に苦しむ方々や、学生の自殺の増加も問題となっています。厚生労働省としても今年度、既に3度の補正予算に様々な施策を盛り込むなど、これまでにない支援策を実施してまいりました。
 しかしながら、利用者にとっては制度が複雑でPR資料の内容が分かりにくいことなどにより、施策の対象となるべき方々に、せっかくの支援策が十分に知られていない、届いていないという指摘も頂いています。そのため、本日御参加いただいている発信力のある有識者の皆様方に、こうした対応策を一緒に考えていただきたいと考えました。その上で、様々な支援策の情報発信にも一層力を入れていきたいと考え、このチームを結成させていただきました。私自身がチームリーダーを務めさせていただき、女性や利用者の目線に立って縦割りを廃し、臨機応変に決断し、厚生労働省一丸となって実行し、困っている方々お一人一人に必要な支援が行き渡るようにしていきたいと考えています。
 このチームでは雇用、生活支援、子育て支援等を順次テーマに掲げ、効果的な発信方法やSNSの活用等について議論していきます。しかし、このチームは単なる情報発信PTではありません。皆様におかれましては、厚生労働省の施策に対する疑問や提案を含め、是非遠慮なく御意見をドシドシいただければと思います。意見を受けて施策の改善を図りながら、その効果的な発信につなげていきたいと考えています。本日は、オンラインとリアルのハイブリット型の会議形式となっておりますけれども、近いうちにリアルの要素をもっと強めて、議論の活発化・活性化を図っていきたいと思っております。本日は皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 副大臣、ありがとうございました。続いて、各メンバーから自己紹介をお願いしたいと思います。まずは本日の資料1の2ページにある開催要綱に基づき、このPTのコーディネーターについては、副大臣とあらかじめ御相談し、中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹先生にお願いしたいと考えております。佐藤先生、一言御挨拶・自己紹介をお願いいたします。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ただいま御紹介いただいた中央大学の佐藤です。御指名なので。チームリーダーは副大臣にやっていただけるということなので、私は進行係としてコーディネーターを務めさせていただければと思います。是非、サポートいただければと思います。発信力は皆さんのほうが何十倍、私よりもあります。ただ、厚生労働省の政策には割と幅広く、これまでにも関わってきましたので、いろいろ知っている分野は広いかなと思います。そういう意味では、皆さんの議論が活発になるようにサポートするという形で、進行係としてのチームリーダーを務めさせていただければと思います。是非、御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。以降は、資料1の1ページのメンバーリストに記載の五十音順に自己紹介をお願いしたいと思います。まずは元衆議院議員の金子恵美さん、お願いいたします。

○金子恵美元衆議院議員 御紹介いただきました金子恵美でございます。三原副大臣が自民党の女性局長のときに、私も局長の下、女性に関わる政策の推進に、ともに取り組ませていただいたわけですが、この度、またこういった形で副大臣のプロジェクトに携わることができ、大変光栄に存じております。
 議員を辞めて民間の立場になって思うことは、日々生活していて政治とか行政というものが、一生懸命に取り組んでいることが、国民の皆さんに想像以上に認知・認識されていないという現実でした。本プロジェクトをきっかけに、政治・行政が国民の皆さんに真に寄り添っているということが、等身大で国民に伝わるようになるための一助を担うことができるように頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。続いて、認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん、お願いします。

○駒崎弘樹認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事 こんにちは。認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎です。厚労省「イクメンプロジェクト」座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員を務めさせていただいております。今回、三原じゅん子副大臣にリーダーシップを取っていただき、このようなプロジェクトを進めていただけるのは、我々にとっても大変うれしいことだと思います。
 というのも、我々はコロナ禍において困窮している子育て家庭に対して、食品を配送する「こども宅食」というプロジェクトをやっているのですけれども、困窮している子育て層の方々にアンケートを取ったところ、何と8割もの方々が行政の窓口に相談に行っていないという現実がありました。つまり、行政は様々な支援メニューを準備すれども、最後の最後に受益者の方々に情報が届いていないがゆえに、利用されていないという現実があることが非常によく分かった次第です。
 このようなことを我々は、「政策のラストワンマイル問題」と呼んでいますけれども、これは大変深刻で、これによって助けられていない方々を現場でたくさんたくさん見てきました。少しでも政策の情報が行き渡るように、抜本的にこの政策を発露する、アウトプットするやり方を変えていかなくてはいけないのではないかと思っております。今回のPTではそれをしっかりと議論し、実現にまで落とし込み実装まで持っていくというところを、是非貢献したいと思っております。よろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。続いて、(株)ワーク・ライフバランス代表取締役の小室淑恵さん、お願いします。

○小室淑恵(株)ワーク・ライフバランス代表取締役 ワーク・ライフバランスの小室です。よろしくお願いいたします。働き方改革を1,000社の企業にやってきました。仕事と育児を両立している方たちをずっと見てきたのですけれども、ギリギリの状態の方や雇用主の方に、残念ながら制度がなかなか届いているという状態ではなかったのではないかと思いました。こういう大不況が吹き荒れるときというのは、今までにも何度かあったのです。そういうときに、社会保障の担い手から転がり落ちて潜在労働力に入ってしまうのか、それともこの時期を政府のほうで何とかしっかり支えることによって、その担い手であり続けてもらうのかということは、将来的に日本の社会保障の担い手がどれぐらい残るのかというところにおいて、今が特に大きな分かれ道だと思っていますので、このプロジェクトの意義が非常に大きいと思っています。
 今回のテーマの制度の伝わりづらさ、アナログさというのは今回に始まったことではなく、長年、どの政府の委員会に参加しても、どんなに議論をしても最後には、「そんな方法では届かないのではないか。やはり紙ベースなのか。」というように、いつも憤ってきました。もう今回で根本を変えて、こちら側が届けに行くというか、本人が全てを探さなくてはならないのが現状ですけれども、「あなたの所に届けにいきますよ。あなたは在宅で待っててくれればいい」という形で、プッシュでお届けできるような方法を根本から作っていく、そういうプロジェクトにしていければと思います。
 また、今回は佐藤先生が座長なので、このプロジェクトで厚労省の官僚が残業することのないように、しっかりと時間内で仕事を終えるというやり方で、マネージメントしていただけたらと思っております。以上です。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。続いて、(株)ブレインズ・カンパニー代表取締役社長であり、公益社団法人日本広報協会広報アドバイザーも務めていらっしゃる菅井利雄さん、お願いいたします。

○菅井利雄(株)ブレインズ・カンパニー代表取締役社長 初めまして。ブレインズ・カンパニーの代表取締役をやっております菅井と申します。私はPR業界という立ち位置で、これまでずっと活動をさせていただきました。民間企業をはじめ官公庁、自治体といったクライアントがあって、我々はお仕事をさせていただいているという状況です。先ほど来お話にありますように、現代社会において情報が伝わりにくいという課題は、どの企業もどの自治体も持っています。ホームページになかなか市民が来ない、見てくれない、広報誌を出してもそれを見てくれているか全然分からないと。今、情報はあふれているのですけれども、その情報がなかなか市民・国民に届かないというのが現状です。
 とは言っても、日々メディアを通して出てくる情報というのは、今のデジタル化によって結構な数、ボリュームがあるという状況もあります。その中で結構埋没している情報という形が、今、現状としてあります。ですので政策の広報に関しては、どうやったら国民の方々に注目していただけるのかといったところは、コミュニケーションも含め、あとはメディアの皆さんのお力をお借りしながら、国民に伝えていくといったことをしていかないといけないのではないかということです。今回、このような形で御指名を頂きました。私はそういった知見・経験が、皆様方よりは多分持っているつもりですので、そういったところを是非御活用いただきながら、今回、しっかりとした提言をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。続いて、環境省サスティナビリティ広報大使であり、現在、慶應義塾大学法学部政治学科に在学中のトラウデン直美さん、お願いします。

○トラウデン直美環境省サスティナビリティ広報大使 普段はモデルとして活動させていただいていますトラウデン直美と申します。よろしくお願いいたします。現在21歳で、こちらにいらっしゃる皆様のような知識はもちろんなく、勉強もまだまだこれからというところです。そこで私が言える意見は何だろうと思ったときに、やはり若者の立場でどういった方法だと目に付くのか、どういった方法だと伝わりやすいのかということを発言させていただくのが私の役割なのかなと思っているので、そういった部分でお力添えできればいいなと思っています。女性もさる事ながら、コロナ禍で若者のアルバイトだったりパートの方が、まず切られるという現状もあると思うので、そういった部分でも若者の立場でいろいろとお話させていただければと思っています。よろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございます。続いて、東京工業大学リーダーシップ教育院・リベラルアーツ研究教育院准教授の西田亮介さん、お願いします。

○西田亮介東京工業大学リーダーシップ教育院・リベラルアーツ研究教育院准教授 初めまして。東京工業大学の西田と申します。普段は情報と政治、行政、メディアが関わるような領域の研究を専門に仕事をしております。それと同時に今日、問題提起を頂く工藤さんと、過去に『無業社会』という、日本の若年無業の問題に係る書籍を書いたり、調査研究に携わってきたこともありますので、今回の広報に係る問題と福祉・就労に関する内容の両方を架橋できるバックグランドを持っている者として、参加させていただいていると認識しております。
 冒頭の三原副大臣のお話に大変勇気付けられるところがありました。というのも、広報に係るようなプロジェクトチームなのかと思っていたわけですが、今回のコロナ対応ということで言うと、政策自体にも幾つかの課題と、こういうものがあるのではないかと考えていました。つまり政策に課題があるので、広報だけに対応するということであれば不十分な点もあるのではないかと考えております。その点で、そういったところも含めて見直していかれるというように副大臣がおっしゃっていたことに、大変勇気付けられるとともに、そのような議論に貢献できることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。続いて、本日は所用により御欠席ですが、漫才師のハイヒール・リンゴさんにも、このPTに御参加いただいております。続いて、慶應義塾大学SFC研究所上席所員の古市憲寿さん、お願いします。

○古市憲寿慶應義塾大学SFC研究所上席所員 どうも古市と申します。よろしくお願いします。今日は学者と言うよりも多分、テレビによく出ている人として呼ばれていると思うのです。このプロジェクトメンバー自体も、チームが発表されたときに、「ワイドショーのコメンテーター席そのままじゃないか」とか、「平日の夕方にテレビでやっていそう」とか、いろいろネットニュースになっていましたけれども、それはすごい褒め言葉だと思っています。本当にワイドショーや誰もが見るような媒体も含めて、いかに国の堅い情報を伝えていくことができるかということを考えればと思っています。
 日本のコロナ対応は例えば尺も含めてこの1年間、決して悪くないというか、海外と比べても遜色のない施策はたくさんあったと思うのですけれども、本当にコミュニケーションが下手で、それが伝わらなかったところがすごくあると思っています。ただ、今日のプロジェクトを含めてですけれども、いいものを作っているのに知られていないという感覚は多分、民間ではあり得ないと思うのです。そもそも知られて買ってもらうまで、知られて見てもらうまで、知られてちゃんと受け手に届くまでも含めて、民間はちゃんと商売をしているわけです。だから、いいものを作っているのに知られていないというのは、すごく尊大な感じがするので、それも含めてこれから議論できればと思っています。よろしくお願いします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。続いて、(株)山猫総合研究所代表取締役の三浦瑠麗さん、お願いします。

○三浦瑠麗(株)山猫総合研究所代表取締役 皆さん、こんにちは。三浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今日これから議論がスタートということで、正に苦しんでおられる方に届くには、やはりタイムラグがどうしても生じざるを得ないと思うのです。我々に何ができるかと考えたときに、もちろん世代もそれぞれ、専門性もそれぞれです。発信力については、定評のある方がたくさん入っておられますけれども、恐らく意識改革をお手伝いすることではなかろうかと思います。
 というのは我々自身を見たときに、世間的に見ると明らかに困窮していない人が集まっているわけです。仮に若者であったり女性であったりしても、困窮していない人が快適な空調の中で話合いをするということなのです。それは、どうしても普通にしていたら想像力の及ばない傾向にある先の人たちに、何が使いやすい制度であり何が聞いてもらえる制度なのかということを、多分一緒に考えていくことしかできないだろうと思います。
 もちろん広報に関して、すぐに思い付く改善点はたくさんありますけれども、政策当事者の方に一言追加で申し上げたい点は、コロナ禍というのは人為的に経済や社会にダメージを与える政策が行われるという特異な状況であるということです。人為的に経済・社会にダメージを与える以上、どうしても早め早めに予測をして、どのような被害がどういう玉突き状態で生じていくかということを、行政が予測しなければいけないのです。この点は昨年の2月からずっと申し上げてきたことですが、どうしても政府は年間のGDPという大きな数字にとらわれがちになって、週ごととか、日ごととか、月ごとのデータはどうしても感染症の話ばかりになるのです。社会でどれだけDVが増えているとか、どういう生活相談が増えているのかということ自体、どうしても部局の中にとどまってしまって、政策に反映されるまでにはいかないのです。もちろん、メディアに出ている我々の側にも課題はありますが、政策当事者として今は本当に非常時の考え方にのっとって、きめ細やかに数字を具体的に出しながら政策を決定していっていただきたいということで、私も何がしかの貢献をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。メンバーとして最後に、(株)博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所上席研究員の森永真弓さん、お願いします。

○森永真弓(株)博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所上席研究員 初めまして、こんにちは。森永真弓と申します。今はもしかしたら「レガシーメディア」と言うのかもしれないのですけれども、私はインターネットの黎明期である1990年代から、インターネットとマスメディアのコミュニケーションを組み合わせて、SNS活用を主に専門としてやってきた人間です。マスコミュニケーションのほうは、どちらかと言えばトッップダウンのコミュニケーションで、自分たちが出したものをどう伝えていくかという観点で考えていると思うのです。そこにSNS、若しくはインターネットを組み合わせるとボトムアップの概念が入って、伝えると言うよりも、どう情報を流通させていくかという考え方が発生していくと思います。
 その辺りはSNSの歴史の発展とともに、ユーザー研究などもいろいろと行っておりますので、インターネットユーザー、SNSユーザーと一口にまとめるけれども、いろいろな種類の方が、いろいろなアクセス方法の方がいるよね、その人たちを意識したときにどういうように情報流通をさせて理解・浸透を図るのか、あるいはネット上にいる味方をどう巻き込んでいくのかという観点で今回、意見を求められているという立場で臨んでいると自覚しておりますので、その辺りのお話ができればと思っております。今回からどうぞよろしくお願いいたします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。以上のメンバーの方々に加え、本日は第1回会合ということで、雇用・人材開発支援の分野の専門家でいらっしゃる認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長の工藤啓さんを、ゲストスピーカーとしてお招きしております。工藤さん、お願いします。

○工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長 育て上げネットの工藤です。ゲストということで、皆さんがこれから発信していただけるときに、何か示唆になるようなものを今日お伝えできればと思っております。よろしくお願いします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。最後に、本日の雇用・人材開発支援分野の担当である職業安定局の志村審議官と人材開発担当の富田審議官にも御出席いただいております。

○志村大臣官房審議官 志村です。よろしくお願いします。

○富田大臣官房審議官 富田でございます。よろしくお願いします。

○蒔苗総務課長 ありがとうございました。テレビカメラはここまでとなりますので、御退室をお願いいたします。以降の進行については、コーディネーターの佐藤先生にお願いしたいと思っております。では佐藤先生、よろしくお願いいたします。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 今日は第1回ということで、最初に副大臣からプロジェクトチームの設置の趣旨を御説明いただいたわけです。基本的にはコロナ禍で困難を抱えている人たちに、様々な政策をして情報発信してもなかなか届かないので、まずはどう届けるように仕組みを変えていくかということです。もう1つは、政策自体について御意見があれば伺おうというお話がありました。これらが大きな目的ですけれども、それらをどう進めていくかについて、一応5回ぐらい考えられているそうなので、全体の進め方について、事務局から御説明を頂ければと思います。

○蒔苗総務課長 では、蒔苗から資料2に基づいて御説明いたします。このPTの議論の進め方については、「政策PRの効果的な方法」の検討ということで、本来は資料2-1に書いてあるように、厚労省の情報発信の仕組みやプラットホームについて議論し、②として発信力のあるオピニオンリーダーへのアプローチ、③として各論である雇用、生活、子育て支援というように議論を立てていくのがオーソドックスなやり方ではありますが、今はコロナ禍での対応を優先するということで、まず各論の③から具体的な議論を始めたいと考えております。
 具体的には2にありますように、本日は第1回ですので、雇用・人材開発支援で言えば、雇用分野の専門家である工藤さんをお招きして、雇用に関するテーマをフリーディスカッションしたいと思っております。第2回は生活支援・自殺防止として、早稲田大学の上田先生をお招きして議論をしたいと思っております。第3回は職場環境改善・子育て支援として、メンバーでもある小室さんや駒崎さんにお願いしたいと思っております。各論を一巡した後に第4回として、厚生労働省全体の情報発信の仕組みやプラットホーム等の効果的な活用方策の検討、第5回では発信側だけではなく、アクセスしてもらうためのアクセス環境の整備にも議論を展開していきたいと考えております。私からは以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 今回、コロナ禍で困難を抱えている人に様々な政策をやっても、なかなか届かないので、それを届けるにはどうしたらいいかということを議論するわけですけれども、実はそれを通じて、厚生労働省のこれまでの情報発信の仕組みも、できれば見直したいということです。古市さんが言われたのはすごく大事な点で、いろいろな民間企業では商品やサービスを開発しても、それがユーザーに届いて買ってもらわなければ、使ってもらわなければ全然駄目です。そういう意味では立派な政策を作っていても、それが必要な方に届いていない、使われてないというのは問題です。そういう意味でこれまでの情報発信の仕組み自体、あるいは情報発信の仕方も少し見直せればという趣旨です。
 最初なので議論の範囲や進め方について、もし御質問があればと思います。一応大枠は、共通の理解がある上で進めたほうがいいかと思いますから。発言のある方は手を挙げていただくか、「あります」と言っていただければと思います。進め方についてはよろしいですか。
 それでは、今日は第1回目ということで、分野としては雇用・人材開発支援の施策に関わるところです。ですから、それについて厚生労働省から御説明を頂いて、全体でどのような情報発信をしているかという後で、工藤さんから御意見を伺うことにしたいと思います。どうなるかは分かりませんが、そこで5分ぐらい休憩を入れるつもりです。それから皆さんに御意見を伺うという進め方にさせていただきます。
 あと、小室さんが言われたように、後ろは2時間より長くやりません。会議は長くやらないで、2時間で終えるというように進めたいと思いますので、タイムキーパーとして、かつ、皆さんに十分御意見を伺うという難しいところですけれども、やらせていただければと思います。それでは、「コロナ禍の雇用情勢」及び「女性・非正規向け支援策」について、厚生労働省の志村審議官から御説明いただければと思います。

○志村大臣官房審議官 それでは私、志村から説明いたします。資料の番号で言えば3~8を分担して説明する形ですが、資料3、雇用政策研究会の報告書です。この報告書も非常に字が多いのですが、特にスライドの2番目の所ですが、「コロナ禍における労働市場セーフティネット機能の強化とデジタル技術を活用した雇用政策・働き方の推進」ということで、この報告書の1枚紙の部分です。特に新たに顕在化した問題等、具体的な方向性で分類してありますが、このページで今回にかかわるのは、その次の資料を出していただいているところです。今出た部分の左のミスマッチの拡大等の2番目の所ですね。「『宿泊業、飲食サービス業』『小売業』などではパート・アルバイトとして就労する女性の非正規雇用労働者が多いといった産業特性などを反映し、相対的には女性の非正規雇用労働者に強い影響が生じており、また、女性が不本意に非労働力人口化した状態も続いている」と。ここが正に今回の問題に絡むところです。これが資料3です。
 次に資料4です。コロナ禍での女性・非正規雇用対策ということで、今資料を出していただいている部分ですが、この女性の非正規雇用対策については、やはり幾つかの要素を組み合わせてしっかりやっていかなければいけないということで、求人の充足サービスにつきましても実際に相談する支援員を増員するとか実際のマッチング支援をして丁寧にやっていくこと、場合によっては能力が足りない、向上させる必要があるということにはきちんと訓練をやっていく。あるいは実際に雇っていただく事業主については雇入れ、期間は限定されていますが、助成をしていただくことを考えております。これが、女性・非正規対策です。
 資料4をお出しください。正にコロナ禍の中では休業せざるを得ない、会社の事業が休業せざるを得ないということで、やはり雇っている従業員の雇用維持は非常に重要であり、これは正にコロナが発生したときから、そういうことは大切だということです。その施策の正に重要な大黒柱が雇用調整助成金です。雇用調整助成金は、今出ているスライドの四角囲み、休業の中で雇用を維持しようとする事業主を支援する。休んだ方に休業手当を支払っていただく。その休業手当を助成金として助成するということで、細かくは申し上げませんが、特に中小企業さんとかは非常に大変なので、助成率を10分の10、100%にする、あるいは上限も7,000円、8,000円ぐらいの少ない範囲でしたが、これも1万5,000円にまで、これまでになく手厚くやっていくということで、平時は、非常に予算規模は小さくて35億円ぐらいしかないのですが、今は、現在までの10か月間で2兆8,000億円、雇調金だけで支出されているということで、結果として、これが今の、大幅な失業を出さないとか雇用継続に非常に大きな役割を果たしていると考えております。これは雇調金です。
 次に支援金の所を出していただけますか。そういうことで、中小企業も含めて実際に休業手当をもらえればいいのですが、助成金ですから中小企業さんは申請しなければいけないので、いろいろな状況があり、結果としてそこに働いている人に休業手当という形で、すぐに払われないという状況が生じました。大企業さんはそういうことは事務的には比較的できるという考え方を取っており、中小企業の従業員本人が直接申請できる休業支援金を昨年6月に新たに創設しているということです。これもいろいろ御指摘を受けて、シフト制等、月の業務が契約上明確に受け取りづらいというような勤務状態の方も、きちんと受け取れるということを昨年10月に明確化しており、今年に入りシフト制に関しては、大企業に勤める方でも同じように受け取りづらい状況があるのではないかということもあり、今年2月に入ってから、大企業にも拡大の予定で検討を進めているところです。これが、休業支援金です。
 そして次に、在籍出向のお話をさせていただきます。資料5です。出向ということで、単に休んでいるのではなく、労働者の方々をほかの企業に、在籍出向ですので一時的に、状態が元に戻ればその会社に戻ってもらうという、一時的な在籍出向ということです。次のページ、助成金も通常は労働者を出すところにしか出していなかったのですが、今回は受け入れていただける所にも助成金を出すことにより、結果として、こういう一時的に在籍出向するのが使いやすい仕組みも工夫しております。どういった業種かはいくつか活用例が出ていますが、例えば、観光バスの運転手さんは正に需要が消滅してしまっているということですが、観光バスですから、割と丁寧に運転することもあり、精密部品を輸送する運転手さんとしてもいいのではないかとか、あるいはキャビンアテンダントさんの、いわゆる接客のホスピタリティのところは、卸・小売の店舗販売員ということでも、労働力として、一時的ですが御活用いただけるのではないかということが在籍出向の制度です。
 資料6は、幾つか枝番号になっています。今回の広報発信の絡みですが、6-1をちらりと見ていただいて、現行版が今の雇調金のパンフレットです。そして少しめくっていただくと、簡素化案ということで、実際にそうなっていないのですが、これはまだできてなくて、例えばこんなふうに簡素化できるのではないかというのが6-1です。
 次の6-2も、先ほどの雇調金がもらえない中小企業の方の休業支援金の現行版がこれですね。これを見て、字が多いのではないかと思う方も多いかと思いますが、施行版みたいなもの、全体の色合いが変わっています。まず文字の分量等、これは事務局が工夫してこんなことも考えられるのではないかと。別にこれに縛られるわけではありません。
 次の資料6-3は、いわゆるハローワークがやっていることをハローワーク以外の社会福祉の窓口で、詳しい説明は避けますが、分かりやすく説明しています。ハローワークに行ったときに、サービスとしてどういったことが受けられるのかということを簡単に説明したものです。次の訓練の所は、富田審議官からお願いします。

○富田大臣官房審議官 訓練の関係は、富田から説明いたします。資料は御覧いただいているところですが、職業訓練は一般の人からみるとマイナーな分野かもしれませんが、やはり仕事を見つけるときに、スキルがある人はいいのですが、実際は業種を転換するときにスキルがないと転職は難しいことがあります。受給者の方についても、やはりスキルなしで就職するのは難しいところがありますので、職業訓練というのは重要で、ここに離職者訓練・求職者支援訓練とありますが、離職者訓練は、雇用保険を頂きながら訓練を受けられる。求職者支援訓練は雇用保険の受給者ではない方、非正規の方、フリーランスの方も含めてですが、これを受けられて、求職者訓練についても、取得要件を満たした方については、生活費を受けながら受講できるので、生活は安定するということはあります。問題意識としましては、これはNHKのクローズアップ現代でも紹介されましたが、ハローワーク利用者の3%しか訓練を受けないということがありまして、全員に訓練が必要なわけではないのですが、あまりにも、要するに利用者に届いていないのではないかということが問題意識としてあります。
 対応策として、この取組内容に書いておりますが、もちろんWebチラシ、右にも1つの例、次のページにも付けていますが、できるだけ漫画等を使って届くようにしていますし、Google検索でも上のほうに広告が出るようにする。Googleさんに御協力いただきながらですが。SNS広告、インターネットバナーをやっておりますし、Twitter・Facebook等による発信もやっています。上に愛称「ハロートレーニング」とありますが、ハローワークはハローワークという愛称なのですが、訓練というのは余りにも堅い言葉なので、これは秋元康さんや三遊亭円楽さんに検討会議のメンバーに入っていただき、ハロートレーニングという名称にすれば少し柔らかくなるのではないかということで、こういう言葉を使ってやっていく。
 ◎の2つ目ですが、AKB48チーム8にアンバサダーになっていただき、地元の地域のハロートレーニング情報を発信していくことをやったりしておりますが、先ほど言われたとおり余り周知されていないのではないかということがお分かりいただけると思います。
 めくっていただくと、広告の例、チラシの例を付けております。私どもはどちらかと言うとすっきりした絵等を利用しながらやっております。これは公共職業訓練で、次のページにいきますと、今度は求職者支援訓練をやっているということです。次のページは、漫画を活用したハロートレーニング、離職者と求職者の両方をターゲットにしたものを出しております。次のページにいきますと、「ハロートレーニングアンバサダーの活動」で、AKBグループさんに御協力いただきながらやっていますが、残念ながらコロナ禍で活動ができなくて、2020年2月でとどまっているという課題もありますが、そういうところも行政は行政なりに努力はしているということはあります。
 次のページにいきまして、やはり分かりやすいチラシにする必要があるのではないかということで、文字をすっきりさせて、絵も活用して、こういうチラシも作ったりしております。次のページはゴチャゴチャしておりますが、教育訓練給付と言いまして、国がこういった講座の受講をしたら一定額のお金を出す仕組みがありますので、全体としてこういうのがありますよと。資格名を書いているのでゴチャゴチャしておりますが、こういうものを示しております。
 次のページにいきまして、最近の若者をめぐる就職環境も、やはりコロナ禍で一時期活動ができなかったことがあり少し課題になっております。やはり私どもとしても、特に大学や高校の新卒者向けに、いろいろ広報をやっております。上のTwitterやYahoo、Google検索は一緒ですが、マイナビさんにも御協力いただきPRしておりますし、政府広報のラジオ出演もやったり、若者ということをイメージしてYouTubeの動画を使っていくことをやったり、右ですが、Twitterで恐らく皆さんやっているかと思いますが、役所では余りやっていないところもあるので、ハッシュタグをうまく活用することもやったりはしていますが、この辺は若者の観点で、トラウデンさん等、有識者の方にお知恵を頂きたいと思っているところです。私からは以上です。

○志村大臣官房審議官 あと、最後に1枚だけ、「職業安定局の情報発信」ということでプロットしたものがあります。左側が、どちらかと言うとこれまでの厚労省の発信で、今後強化が必要になる発信は右側です。火曜日、金曜日、田村大臣の閣僚会見の発信や、あるいは厚労省のホームページの周知が多いのですが、今後はSNSをしっかり開拓していく。先週から政府広報でYahooのバナー広告等を掲載しており、2月12日からは新型コロナ、LINEでのプッシュ型の通知も開始している。あるいは、30秒のテレビCMを流しているということで、努力しているということです。以上でございます。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 どうもありがとうございました。今回のコロナ禍で、新たに作り上げた政策だけでなく、これまでやってきた政策について御説明いただき、かつ、それをどう広報しているかということで、実は政策の範囲も広いし、広報もいろいろやっているんですよね。皆さんも、多分知らないなということもあるかと思います。
 それでは、そこについては今、質問を頂く時間がないので、取りあえずこの後、雇用人材開発施策について、工藤さんから御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長 こちらの資料は、私から投影したほうがいいのですか。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 この工藤さんの資料は、私たちは頂いていないので、画面共有していただくほうがいいかも分かりませんね。

○工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長 ありがとうございます。2枚目だけお願いします。2分ということなので、簡単にと思っています。施策の情報が個人にどう届くかは専門外ですが、私たちとしては、駒崎さんもそうですが、困っている方とつながっている人たちが世の中にたくさんおり、その少なからずは右側の青い所で、特に厚生労働省で言うと生活困窮者、自立支援制度に基づく施策や地域若者サポートステーションとか、ここの関わりから数十万人から数百万人の方に、既に対面をして相談を受けていることが実情としてあるかと思います。
 そして、厚労省からの様々な発信は基本的に私たちには直接届きませんので、自分たちで調べて御本人に必要なものを伝えていくことをやっています。基本的なこれまでの施策は自治体やハローワークや職業訓練に、これがいいなと言った御本人が自ら申請に伺うところだと思います。一方で私たちが関わっている方は、自ら申請することもなかなかないですし、また私たち自身が申請受理をすることができないので、彼らに行っていただく形しか取ることができないということがあるかなと思います。その中で、先日厚生労働省で生活保護は権利なのだからどんどん使うべきだという話が出ていて、1つ情報としては広がったと思います。
 情報の中には2つ、「情」と「報」というのがある中で、「報」の部分、天気予報や広報は比較的届いているとは思いますが、届いていることが理解できない、使ってみようと思えないところはどうしていくかということは課題だと思います。一方で、いわゆる「情」の部分は、結果、まだ入っていないなと思っていて、あなたは使っていいのだということであるとか、恥ずかしいことではないのだとか、若しくは、これはみんな使っているのだとか、細かくは施策ごとに違うかと思いますが、テキストを見て、じゃあ使おうと思うのであれば、多くの人が生活保護等を使っているかと思うのですが、思えない何かというのはきっと、まだまだ届ききっていないのだと思っています。私からは、いわゆる厚労省の施策の中で、直接受益者に届けるものだけではなく、既に行政から委託している事業者及びそこにいる人たちに対して、又は地域のNPOや民生委員や保護司たちに情報をきちんと届けることにより、その方々がつながっている人たちに、これは君に使えるから一緒に行こうという、地上戦もやはり忘れてはいけないのかなと思っています。私たちも現実的にいろいろやるのですが、ネットなんかも使いながら、一方で、まだまだ紙のチラシを持った個人がその方を説得して、じゃあ一緒に行きましょうということで1人1人積み上げていく部分があり、情報発信としてSNSを使うことは大変重要ですが、やはり伴走するような人間が一緒に窓口に行って、恥ずかしくないから、これは権利だから使おうよということがもっとできてくると。駒崎さんがラストワンマイルの話をされていたと思いますが、自分で申請ができない、しづらい、又はすることが恥ずかしい、苦しいという人たちに対しては、やはりインターネット上の情報だけだとなかなか人の動きは作ることができませんので、やはり同行申請の推奨を入れ込みながら、1人で来なくていいですよと。お近くの○○の施策で援助をしている人間と一緒に来てくださいねと、いわゆる「情」の部分のことをもう少し入れて発信をしていただけると、私たちとしては使いやすいものになるかなと思います。
 お願いとしては、同行申請を推奨してほしいことに対しては、既存の事業の仕様書の中にそういう業務が入っていないことと、そこに予算を使っていいと書いてありませんので、その部分とセットにして、空中線だけでなく、もう少し地上戦を、特に困難な事情のある方に関しては、かけていただけると、私たちももう少し目の前の人を政策につなげることができるかなと思っています。すみません、2分を超えました。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 どうも、短時間にありがとうございました。特に、必要な人に届いていても、本人が申請できるとも分からないので、伴走をする人にも情報が届いて、その人が制度利用のサポートをするものも、もう少し広げてもいいのではないかというお話がありました。どうもありがとうございました。
 それで、5分の休憩を入れようと思っております。会場にお茶があるのかも分かりませんが、我々はないので。会場はお茶があるのですか。

○事務局 お茶はあります。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 実際、オンラインは結構疲れるんですよね。5分ぐらい背伸びするのは大事だと思いますので、一応この後休憩します。それが終わった後は、お一人お一人、今日が最初ですので名簿順に、これまでの御説明のここの点について、あるいは全体についての御意見を、一巡目は1人2、3分ずつ、2回目は手挙げ方式でやりますので、一遍に全部しゃべってしまうのではなく、一巡目は2、3分でお願いしますという形で一巡回ってから、あとは時間が残れば手挙げで言っていただくようにしたいと思います。それでは、細かくいきましょう。今1時53分なので、58分から始めましょう。5分休憩です。背伸びをしてください。

(休憩)

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 再開します。この後は名簿順で、厚労省の説明で特にこれだということがあれば、この政策でということで言っていただいていいと思います。あるいは、既に自己紹介でも言っていただいた部分はありますので、それでもいいし、それ以外にアディションでも結構です。金子さんからお願いいたします。

○金子惠美元衆議院議員 まず、全体として非常に多岐にわたる取組と、従来の制度の枠を拡充することも含めて、十分な政策メニューがあるようには思いましたが、しかし、私も認識しきれていなかった制度もありましたので、日々忙しく目の前の仕事や育児に追われている人々に、知られていない制度は当然あるなということ、そして、必要とされる方にリーチできていないという懸念も同時に抱きました。
 具体的な制度もというお話だったので、2、3分とは言え、ちょっとだけ。資料6-3、社協向けに用意されている資料だと思うのですが、その中の「トライアル雇用制度のご紹介」ですが、これを1つの例に取ってお話したいと思います。
 このトライアル雇用制度ですが、耳にしたことはあっても、世の中としてなじみが薄いと思います。ただ、コロナ禍では、今後転職などをされる方も多いと思うので、制度としては促進すべき制度だと思っています。その中で、トライアル雇用制度の御紹介の上から4行目ぐらいに、(これまで、8割の方が正式採用になっています)と申し訳程度に括弧で書かれているのですが、これはむしろアピールするところで、8割のマッチングができているということは、何社中何人あるとよりいいぐらいに大きな実績になっているわけですから、ここを分かりやすい数字で出すべきだと思います。
 更に3段下に、「多くの企業から」と漠然と書いているのですが、これは、むしろ皆が知りたいところなわけです。何社あって何人求人があったか。こういったところをむしろ具体的な数字で出していくというのは、この制度の浸透に意味があるのではないかと思います。
 社会人版インターンシップというか、雇用を前提としているインターンシップ制度だと思うのですが、インターンシップも地方では現場をメディアで取り上げてもらって、だんだんとこのインターンシップが普及・浸透していったところがあると思うので、このトライアル雇用制度も、このような雇用のきっかけがあるのだとか、面白い求人だということをピックアップして、密着してもらったりして、堅いものでも柔らかいものでもいいと思うのですが、発信の仕方として柔らかい番組などでタイアップして、このトライアル雇用制度というものを取り上げてもらう。紙面だけではないところを広げていかないと、これは根付いていかないかなと思います。
 2、3分ということなので、今の話はHR(ヒューマン・リソース)の民間事業者と連携して促進していくことも必要だと思いますが、大きく発信に関しては、年代、性別、属性など、様々なターゲットに対して、きめ細やかな広報戦略、広報戦術を取っていくべきですが、先ほど古市さんが、民間と違うというところで、ここはお金を掛けずに周知するのは無理だと私は思っていて、そもそも広報費がどのぐらいあるのか。行政はB to Bとか、団体向けではなくて、B to C企業並みの広告宣伝費や広告予算配分が必要だと。この有事だからこそ、これまでの平時ではなくて有事の際は、コロナ禍では考えていくべきではないかと思います。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 簡単な、これ何ですかというのは途中で事務局にお答えいただきますが、それ以外はまとめて最後にお答えいただくようにしたいと思います。
 結構大事なのは、いろいろな政策ができたとき、こういうパンフレットを作るのは、それを作った所なのです。広報の専門家が作っているわけではないのです。そういうことも含めて、もしかしたら考える必要があるかもしれません。ありがとうございました。
 次に駒崎さん、お願いします。

○駒崎弘樹認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事 まず、ある一定、基本以上の政策を出す場合には、その政策アウトリーチもセットにしましょうと。これがすごく大事かなと思います。そのときの政策アウトリーチというのは、例えばパンフレットを作ったり、説明会を開いたりとか、Webを作ったり、LINEにプッシュしたり、様々なものをパッケージして政策アウトリーチとしてやる。
 こうしたときのポイントなのですが、いわゆる大手広告代理店に丸投げするのではなくて、当事者とつながっている支援者団体、支援者団体がコンソーシアムを組む。そのコンソーシアムの中に広報PR会社みたいな座組みにして、しっかりと届くような形にさせるというのが、非常に重要かなと思っています。
 例えば我々は「こども宅食」という事業をやっていることを御紹介しましたが、実は「こども宅食」は予算化しまして、全国の自治体でできるようになったのですが、自治体側はその存在を全然知りませんでした。なので、我々は厚労省をお呼びしてオンライン説明会を行って、Q&Aもそろえて、資料も全てWeb上の資料を見てくださいと。人手がいないのであれば、ほかの自治体はこのような事例で何とか凌いでいるというようなことをセットにして、政策アウトリーチをお手伝いさせていただきました。例えばそういったことをやっていくことによって、広がっていくのだろうと思います。
 しかし、一定規模以下のものにはどうしたらいいのかというところはあると思います。先ほど佐藤先生がおっしゃったように、部局の人が曼荼羅みたいなポンチ絵を作って、滅茶苦茶文字ばかりの資料を作ってというのが、さっきの資料でありましたが、あのようになるのです。それを変えるためには、厚労省内でクリエイティブのディレクションができる人を出向でもいいので置いて、実際に手を動かすのは外注でもいいのですが、その人が指示をして発注してというようにやると、随分変わると思いますので、それを併走してやられたらいいと思います。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 次に小室さん、お願いします。

○小室淑恵(株)ワーク・ライフバランス代表取締役 今回、雇用調整助成金を実際に申請した企業に聞いてみたのですが、実際に申し込むまでに社労士事務所とのやり取りが200回発生したということでした。これは一体何が問題かと言うと、今回、届いているか届いていないかという議論をしているのですが、届いた後に、実際に使うまでの道のりというところも、使えなければ知らなかったのと同じになってしまうというところにおいて、すごくハードルがあって、紙と押印がとにかく壁だったということです。
 教育訓練の申請もしたそうなのですが、これはオンライン講座でもよいとなっているのに、最後に署名捺印したレポート提出ということで、在宅勤務の人から現物を集めるというのは不可能に近くて、それを一軒一軒の家から郵送で集めて提出してということで、それとプラスして、助成金の申請には必ず納税証明と登記簿の期限付きのものを一緒に出さなければいけない。このために管理部の人間が感染リスクを冒して出社し、役所に取りに行ったということです。この助成金のために外出が増えたということが起きていたのです。ですので、この押印と実物を付けるというのを、もっと徹底してなくしていかないと。今回はコロナという1つの特異性があるわけですが、多くのぎりぎりの生活をしている人が、それのために外出するということがあるわけですので、家にいて、ちょっとした隙間時間、子供を片手で抱いている右手でできるという状態にしないと、実際にはそれ以上進まないという感じになってしまうのかなと思いました。
 その際に、次回以降でいいのですが、海外事例をしっかりと比較していただきたいと思っています。私が知っている限りでは、フィンランドではAIを使ったオーロラというアプリを国民はほぼ、みんなスマホに入れていて、自分の年齢、居住地、子供の数、年収というような条件を入れておくと、役所のほうから「あなたはこの助成金が使えます」という通知が来て、「使う」とタップする。もうそれ1つで申請書の入力フォーマットに行くという形なので、自分で探すというところがないというのと、先ほどの雇用調整助成金で、何で社労士と200回もやり取りをしたかと言うと、対象になるのかどうかの確認です。うちの社員の休み方が、本当に助成金がもらえるものだったのかどうかが素人では分からないので、社労士に情報を全部出して確認をする。これが大変なので、スマホに自分の条件を入れていったら、あなたは駄目、あなたはいいというのをAIが、それはAIが一番得意なお仕事ですので、そういうことができると、確実に自分は対象だと分かってから、最後に申請の手間というところに行く形になるので、その辺りはデジタル庁ができるわけですので、9月にできるということは、デジタル庁のリソースの奪い合いになるのだと思うのです。私たち国民にとっては、デジタル庁のリソースを一番厚労省に取ってもらいたい。アプリを1個、いいものを作ってもらって、それを国民が持てば、プッシュで助成金が知らされるというところに持っていっていただきたいと思います。そうすると、今までみたいに一枚一枚のチラシを作るという連鎖から抜け出ることができるはずです。今日、明日のチラシをどうよくしていくかということを全力でやりつつも、もう少し根本から変えていくという発想のところに一歩行っていただきたいというところです。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 後半のほうはすごく大事で、情報発信もあるのだけれども、困っている方がこういうことをやってもらえるか。つまり、仕事を探していると入れると、そういうサービスが出てくるようなことをして、あれだけメニューがあると、全部提供されても選びようがないわけです。必要なものを、自分が聞けば答えてくれるようなもの、それはすぐにやれるのではないかと思います。菅井さん、お願いします。

○菅井利雄(株)ブレインズ・カンパニー代表取締役社長 お話を伺っていて思ったのは、そもそもこの広報活動のターゲットというのは、非正規の女性というのは当然分かってはいるのですが、企業側が躊躇しているという部分がすごく気になっています。企業側は雇用調整助成金のことを知っていながらも、それを使いきれていない、あるいは採用したくない、あるいはそれを国に申請することによって自社の不利益になるようなことにならないのかと。これはあくまでも想像ですけれども、そういったようなことも踏まえていくと、企業側が導入していけるような環境作り、今のお話にもありましたように、手続にこれだけの時間が掛かるということであるなら、企業側としては躊躇してしまう。ましてや在宅を推進している中で、人が外出しなければいけないということはあってはいけないことだと思いますので、その辺をもうちょっと洗い出す必要は、もう既にやられているかもしれませんが、やっていったほうがいいのかなと思います。
 あと、どうしても広報活動というのは情報を伝えればいいという話になるとは思うのですが、ある程度の達成目標をどの程度に構えていくのか。現状でどれだけの非正規雇用の方がこれを認知しているのか。あるいは認知はしているけれども、利用できない理由は何なのかとか、そういったような、いろいろとこれまでも政府広報の中でもよく言われていたことで言いますと、エビデンスと言うか、数字を押さえた形で、きちんと国民にも説明し、運用上での課題をあぶり出していくということは必要なのではないか。ですから、感覚的に伝わっていないねという話はそろそろやめて、データによる分析と、これを何箇月で達成するのかというゴールを設定して進めていく。そのようなことは民間企業でやっている所もありますので、その辺は国としても取り組んでいかれたほうがよろしいのかなと思いました。
 あと、情報設計の部分で、盛り込みすぎるかなという気がするのです。メディア側にとっても、情報を届けていくときに、シンプルに伝えていく必要があるので、たくさんの情報を一気に伝えるというのはどうしても伝わりにくいので、小分けにして、段階的に広報していく必要はあると思うのです。今日も情報をたくさん提示していましたが、我々でさえ頭に全部入っているようで入っていないので、小分けをする必要があるのかなと思います。そこら辺は、戦略的に、タイミング的に、どのように情報をデリバリーしていくのかということを決めていくという作業が必要なのではないかと、お話を伺って感じるところです。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 菅井さんが言ったように、情報発信をしてどのぐらいが届いているかどうかというのも大事で、今回、雇用調整助成金の制度が変わって、これは幾つか調査があるので、そういうものも見ていただくような形にもしたいと思います。それでは、トラウデンさん、お願いします。

○トラウデン直美環境省サスティナビリティ広報大使 いろいろお話を聞かせていただいていた中で、何となく利用者の声が聞こえてくる形は何だろうと思っていて、私の世代だと、大学に行ってどのようなバイトがあるか、このようなバイトをしているというコミュニケーションの場、コミュニティの場が必要だったのだということをすごく感じました。特に、今は大学もオンラインになっている所がすごく多いですし、そういった場は結構失われているのかなと思います。
 あと、先ほど、若い人もそうですし、それ以外の人もそうですが、なかなか自分から生活保護や失業保険をもらいに行くのが、気持ち的なハードルがあるという人にとって、仲間がいるという意識というか、そのコミュニティの中で話して、「同じような人がいるのか、だったら行ってみよう」というような場が、分かりやすい形であるといいのかなとも感じました。
 あと、私もこの資料を今回勉強させていただいている中で、すごく大変だと感じた部分があったので、そういった意味でも、コミュニティの場があると、どういった部分が伝わっていないのか、分からないのかというのが浮き出てくると思いますし、どういうやり方だったら分かりやすかったか、見やすかったか、どういうところが面倒だから後回しにしてしまうというところも見えてくるのかなと思うので、具体的な案は思い付いていないのですが、そういったコミュニケーションができる場が必要なのかなと感じました。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 西田さん、お願いします。

○西田亮介東京工業大学リーダーシップ教育院・リベラルアーツ研究教育院准教授 今、このメンバーを見ても、AIとかインターネットの活用が重要だというような提案がたくさん出ている印象もあります。ただ、他方で受け手の情報行動に目を向ける必要があると考えています。昨年、総務省がコロナ禍における「新型コロナウイルス感染症に関する情報流通調査」という調査を行っています。それを踏まえて考えると、残念ながらメディアにおける広報というのは、影響力と信頼度の積によって決まってくると見たときに、今のところ、双方が高いのは放送ということになっているわけです。民放、NHK、政府広報に対して、影響力と信頼感があるという結論が出されています。ネットは見るけれども余り信頼されていないというところがあるので、そこに出していっても、なかなか難しいところがあるのかもしれません。両方を考えてみると、日本の現状ではテレビCMなどを打っていくことの重要性は変わらないのではないかということが1点目です。
 2点目を申し上げますと、日本の場合、行政情報公開法等の影響だと思いますが、行政の施策に関する情報はおおむねインターネットに集約されています。特にコロナの場合、内閣府、内閣官房に集約されているということからして、内閣官房のコロナウイルス感染症対策のホームページに、国の施策というのは一通りまとまっているわけです。当初はここもいろいろと混乱していたわけですが、精度に問題があるにしても、チャットボットも備えられております。それから、動画やビジュアルを含めて、かなり出来のよいものになっています。しかし、知られていないという問題があるわけですから、これを、テレビCM等を使って出していく。それから、インフルエンサー等を通じて、こういったものがあって、ここにはまとまっているということを周知していくことが求められているのではないかと考えます。この内閣官房のホームページは、よくできている割には知られていない印象を持っています。
 もう一点付け加えますと、先ほど、ほかのメンバーからも御意見があったと思いますが、複雑にすぎるというところはあると考えます。WHOも、identify, simplify, amplify、quantifyというものの組合せが重要だと言われているわけですが、日本におけるコロナをめぐる報道というのは、今度はメディアの問題として、これらに沿った対応をしているとは言えない状況があるということかと思います。
 といったときに、例えば新型インフルエンザの感染拡大のときには、記者レク等をかなり頻繁にやられたと過去の総括の報告書等にもまとめていたと認識しています。今、インターネットやSNSが広がっているということを踏まえれば、記者レクのみならず、それをもう少し広げて、インターネットメディアや若手のビジネスパーソン等が集まっているような場、社会課題に関わっているような人たちが集まっている場等に出していく、あるいは広げていくということを行っていくことも重要なのかなと考えております。差し当たりは以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 情報が届くだけではなくて、信頼してもらえる情報かどうかというのはすごく大事な点ですよね。古市さん、お願いします。

○古市憲寿慶應義塾大学SFC研究所上席所員 コロナのことに関しては、去年の3月、4月はすごく覚えているのですが、海外ではこのような仕組みができてすごいということがすごく報じられていて、イギリスでは休業をした人にこのような手当の仕組みができたということがすごく報道されていて、でも、詳しい人はもちろん御存じのとおり、当時から雇調金というのはもともと日本にあったわけで、日本にはもともとあるということが、もちろん厚労省の方、詳しい方は分かるのですが、メディアだと、例えば情報番組などのスタッフだとそのようなことは余り知らなかったりとか。もう一点思ったのは、基本的にニュースというのは新しいことでないと報じないのです。今まであることに関しては報じない。だから、小池百合子劇場というのは賛否両論ありますが、あの人がすごいのは、何も状況は変わっていないのに、新しい言葉を出すだけで、それをニュースにするということです。それを見習ってとは言いませんが、それはすごく大事かなと思っていて、例えば休業支援金というのも何パーセントしか使われていませんでもいいので、何か噓ではない新しい情報を出して、1個の仕組みとか1個の制度を、違う見方でどんどん切り取って出していくみたいなことも、それが1個のニュースになる方法なのではないかということは思うのです。
 あと、今回の件に関して言えば、雇調金というのは法人ですけれども、個人に特に向けた休業支援金だとか、先ほどハロートレーニングの話もありましたが、ホームページが絶望的に見にくいのです。テレビで休業支援金というのがあると、アルバイトの自分でも、もしかしたら申し込めるのだというので調べて、厚労省のページに行っても、多分文字の多さに絶望すると思うのです。ハロートレーニングもすごくいいことをやっているのに、トップページだけはちょっとカジュアルなのだけれども、いざ自分の住んでいる地域でどのようなトレーニングを受けられるのかを調べると、そこのページでほとんどの人がつまずくと思うのです。厚労省の方とか、ここにいる方はすごくインテリで、情報処理能力が高いと思うのですが、例えば小学生になったつもりでとか、寝起きとかのタイミングでページを見て、それでも分かるぐらいのページでないと、なかなか多くの人には伝わらないのではないかということは思いました。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 三浦さん、お願いいたします。

○三浦瑠麗(株)山猫総合研究所代表取締役 皆さんが指摘されたことは繰り返しませんが、非常に頷く意見ばかりでした。情報をどのように混まないようにしていくかというような見方については、もっと詳しい方がいるので、是非それはいの一番にやっていただきたいと思います。
 恐らく足りないことということでいくと、どのように報じられていくか、あるいはマスコミ、取り分けNHKのような公共的な役割を担っている方に支援を要請するかということなのですが、まず、どのようにやるかと言うと、シングルマザーで貧困に陥ってしまいました、コロナで雇止めになりましたというものを取り上げるまでに、すごくタイムラグがあるのです。タイムラグがあって取り上げられた後には、しかし、支援の具体的な情報とか、支援を受けて、それなりに生活が回るようになったというのは一切報じられないのです。
 これが最大の問題で、なぜかと言うと、私は日本政治も少し評論していますが、日本の一番大きな特質の1つは自助努力の精神と、恥とか周りを気にするという、いわゆる同調圧力とかで、何かの政策を発表するときには、そういう文化を考えに入れて、それで届くものを考えなければいけないのです。そう考えたときに、まず敷居を低くする。例えば「ハロートレーニング」という名前にするというのは1つのやり方ですが、それは、あくまでも我々の側が、「これは恥ずかしくないのだよ」「これは敷居が低いのだよ」というメッセージです。でも、受けた側の声というのは実はほとんど聞かれていなくて、当然AKBの方は受けていないわけですから、受けた方の、何と言うのでしょうか、できればですが、生の声の密着ストーリーができれば、これは最強です。
 その成功体験を通じて、例えば、古市さんが先ほどいいことをおっしゃっていたので、マイケル・ムーアがアメリカのひどい政策と比較するためにヨーロッパに取材に行って、フランスではがんの治療を終えて帰ってきた人が、まだ働ける状況ではないからビーチにバケーションに行けるのだとか、そういうものをどんどんアピールしていたわけですが、他国の事例ならそれができる。でも、自国ではそれができないというのが最大の問題なのです。
 これは政府広報だと受け取られがちだから皆が嫌がるということなのですが、そうではないのです。つまり、皆で、この問題は恥ではないのだ、受けるとこのように社会に復帰できるのだということを、もう少し伝えていれば、福岡での行き詰まった女性による宝飾店強盗未遂はなかったわけです。あの宝飾店強盗未遂事件でも、彼女がうどん屋か何かの非正規の職を切られたというところまでは報道では分かっているのですが、その彼女は休業支援金を利用できたのかできなかったのかとか、そもそも雇用保険のようなものがあったのか、なかったのかみたいなことも一切分からないまま、劇的な事件として、社会のはみ出し者だねという印象で終わっているのです。ですから、政府はこんなに頑張っているのだということを広報して協力しろというのではなくて、そういうストーリーを報道してもらうというのが1つです。
 もう1つは、私はどうしてもこの分野になってしまうのですが、政策評価です。政策評価が日本の官庁はなさすぎで、一応、義務としてちょろっと作文は書くのですが、その作文の基準がまちまちなのです。省庁でも違うし、省庁の中の部局でも違うのです。一番大事な政策評価のところを、どのようにコロナ禍で統一していくかと言えば、民間の統計を持ってくるのもいいのですが、政府がせっかくV-RESASを持っているのだから、V-RESASを、あるデータは使うというのが1つです。
 もう1つは、民間にあるデータも含めてなのですが、中の基準として、「世の中に既存のデータは活用する」という一言を入れておくだけで、全然違ってくるのです。それがデータに基づく政策評価になって、例えば休業支援金、雇用調整助成金が、どれだけ実際に役に立ったのかという評価ができるわけです。
 この評価というのは、先に届けることを優先すると、つい後回しになるのですが、何が駄目なのかということを発見するためにも政策評価というのは役立つわけです。そういう意味でいくと、日本の中小企業はアメリカの中小企業と違って、雇調金が非常に役立った可能性が高いのです。その理由もしっかり調べることが、実は何で使ってもらえたのかという問題の発見につながるのです。
 1つ、労働の中で、労働者の業界を超えた異動ということで2つぐらい事例を紹介されていましたが、今、物流業の方にお話を伺うと、沖縄で夜の接客業の女性が大量に公共事業の土砂運搬の大型免許の仕事に流入してきているそうなのです。正に、夜の接客業というのはコロナ禍で一番ダメージを受けているところで、そこが公共事業で日当が非常に高い分野に、大型免許を取るだけで入っていける。これは完全に口コミで広まったのだと思うのです。結局、彼女たちが何を通じてそれにアクセスしたかと言うと、明らかに求人情報と成功例1個です。誰かがこれでしっかりとお金を稼げたと。
 そういうものがちゃんと共有される仕組みを作ること、必ずしも政府の補助金を使った取組である必要はないので、この制度を使ってもらえたというだけではなくて、結果的にこういうものがうまくいっているという事例をしっかりと集めていくことが大事かなと思います。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 困難な状況から政策を使う話、あるいは新しいインフォーマルなネットワークを使って成功した。この情報を広げるというのは大事です。森永さん、最後になりましたけれどもお願いいたします。

○森永真弓(株)博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所上席研究員 今、起きている状況としては、例えば厚労省がちゃんと伝えたい情報がある、しかもそれは届くべき情報でいい情報であるにもかかわらず、デマのほうが早く伝わってしまうという問題があります。要は、なぜ不確かなデマのほうが伝わってしまうのかというと、一般的には、それが強いメッセージに見えて、魅力的なメッセージに見えてしまっているという問題で、翻っては、逆に言えば、政府が公式に出している情報は強いメッセージや魅力的なメッセージに見えていない、自分に関係しているメッセージに見えていないということが根本的に大きいような気がしているのです。
 そういったときに、情報の伝え方の大方針を立ててはどうかと思っています。例えばチラシがあって、チラシで全部伝えるのではなくて、先ほどテレビCMの話もありましたが、テレビCMでは何をやりたいのかと言うと、自分事だと思ってもらう。今回のこのCMは、自分に関係ある情報だと思ってもらう。では、自分に関係ある情報だと思った後に、先ほど言われていたコンソーシアムとか、ミニ系に接続するとか、いわゆる同行支援の推奨といったものもあるということで、使う人がそこにやってくる。自分でどうにかできる人はサイトにアクセスする、あるいは自力で窓口に行くのであるというような、自分事で関係あると思った後、次に起こす行動までが最初のコミュニケーションの中にセットになっていれば、まず行動をすることができる。その先に、支援先から、あるいはコミュニティから、コンソーシアムから情報を取って、助けてもらいながら動くのか、自力でWebサイトから移っていくのかというところで、また人が分かれていくと思うのですが、そこにまた情報が細かくあるという感じで、例えば助成金にも何種類もあるとか、例えば厚労省だけではなくてほかの省庁もいろいろあるといったときに、1つのチラシに幾つも詰めてしまっては分からないから、細かく情報を分けましょうといったときに、支援策ごとにチラシを分けても余り意味がなくて、どちらかと言えば情報の伝わり方の順番に細かく分けて、まず自分事だと思ってもらう。次に第1段階の行動をしたらどういいのかというところまでを最初の目標にする。そうしたら、その後にどうするのかという情報の切り方が違ってくるのかなと思っています。
 あと、先ほど駒崎さんが広告代理店などに投げてという話をおっしゃったのは、正にそのとおりで、今、SNSなどもどんどん増えたことによって、昔だったらテレビと新聞で大体国民の9割5分から9割8分ぐらいには情報が届いたという時代から、もう何十年もたって、テレビで届かない人たち、新聞で届かない人たちがたくさんいる。では、新聞やテレビで届かない人たちは、YahooやLINEやGoogleをやれば届くのかと言うと、そうでもなくて、それでもこぼれ落ちてしまって、どんどんメッシュが小さくなっていくとなると、実は政府側、情報を発信する側はより細かく手を掛けて、コミュニケーションの設計をしていかなければいけない。そうなると、全部自分たちでできるわけではないから、1社に任せるのではなくて細かく分けていく。ここの穴を埋めてくれる人たち、ここの穴を埋めてくれる人たち、その人たちはどういう役割なのかということをもって、情報の伝え方の大方針を立てることができるだけで、実は変わってくるのかなと。
 そのときにネックになるのが、省庁の縦割りの問題で、それぞれ皆さん成果を出そうとするので、国民全体に効果を与えるためには、情報を伝えるプロジェクトなのか団体なのか分かりませんが、そこに集めて、どういう順番でやるのかということを、いろいろかき集めてできるようになるかというのはあるかなとは思っています。
 途中でマスコミの情報というのも出てきましたが、決して報道機関と癒着してはいけないと思うのですが、仲間になってもらうことは、私は結構重要だと思っているのです。情報を出したときに、政府が言っていることは悪いことだと言われてしまうとか、出した後に、実は海外と比較してもいいことだという解説をしてもらうこととか、そういった理解をするための手の結び方、癒着ではなくて仲間になり方みたいなことの関係性、マスメディアと、報道機関とよくするという施策は、今こそ影響力は、マスメディアは大きいですから、ちゃんとやっておくということはあると思います。
 もう一点ですが、例えば私がパスポートを取りに行くとします。そうすると、写真と住民票と何とかが必要となると分かって、全部事前に準備して窓口に行くわけです。ところが今の助成金などは、申請しようと思って書類を見たとき、あるいはWebサイトを開いたときに、何が必要なのかが分からなくて、書き込んでいる間に途中で止まって、「うん?」となって、そこで面倒になってしまうといったときに、書類申請あるいは窓口に行く前に、そもそも何が用意されていて、自分の行動を完結させるためにはどのような準備が必要なのかというコミュニケーションは、実はチラシやホームページでちゃんと間に合っているのかということもあって、情報を伝えるというよりも、最後まで行動に移させるために、どういう情報を与えなければいけないのか、どういう情報を分かってもらって、受け取って理解してもらうべきなのかということで設計していったときのSNSの使い方、マスメディアの使い方、団体の使い方、コミュニティの使い方というのが、自然と計画に浮き上がってくるのかなと思いました。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。一巡して、僕も後でお話します。最初に工藤さんにコメントを頂きましたが、今日だけなので、今聞かれていて、工藤さんから追加なり御意見があれば伺いたいと思います。工藤さん、よろしくお願いします。

○工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長 ありがとうございます。昔、西田先生と一緒に働けない状態の若い人たち3,000人ぐらいに調査をしたのですが、相談に行くときにその半分が躊躇するということで、中には前日、相談場所に1回行って安全かどうか確認し、安全そうだから翌日、ちゃんと行くみたいなのがありました。そこが何で相談しづらいのかなというと、1つは地域の方に見えてしまうのがとても嫌だと。例えばそこの相談所に行くということは、傍から見ると困っていることが地域に見えてしまって、地域はインターネットで噂が回るのが早いので、それを回避するために行きたくないという方が、家族に迷惑をかけたくないというところがありますから、申請を地域でするということの良し悪しをどう捉えていくかというのが、ひとつあるかと思います。
 もう1つは、本当に些末なことですけれども、結構、お気軽に御相談くださいという言葉が、気軽じゃないから行けないんだというコメントになって僕らに返ってくることがあります。複雑な相談なので最近は、あなたのお話をお聞かせくださいとか、ちょっと変えています。困っていない側からの発信に見えてしまうときに、困っているんだからお出でよみたいなこととは違う形で、1つ1つのメッセージで、もう行かないという人が結構いますから、この辺は専門家の方の力をちゃんとお借りして、自尊心を傷つけない形での情報発信をしていくのが重要かなと思いました。ありがとうございました。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。皆さんが言われたことはそうだなと思います。重なっていないところだけ言うと、これまで厚生労働省が働いている人に情報発信をどういうふうにやっていたかというと、基本は厚労省が企業に情報提供し、企業を通じてそこの社員に伝えてくださいと、これがメインのルートだったのです。ところが、このルートで伝わりにくい人が増えてきた。1つは有期契約の人とかフリーの人、もう1つは、社員全員に伝わる必要のない情報があるのです。例えば育児休業であれば、結婚して子供が生まれた社員に伝わる必要がありますが、ほかの人は関心がないのです。それはそれでいいわけです。そうすると、特定の社員に伝えてほしい情報もある。それは企業を通じてなかなかやりにくい。ここなのです。そういう意味では必要な情報が必要な所に、今までのルートだと伝わりにくくなってきた。そういう意味では厚生労働省が個人に直接情報提供する仕組みが今までなかったのかなと。
 もちろん、幾つかあります。1つは母子手帳です。最近は親子手帳も見ますけれども、あそこに育児休業が有期契約の人も取れます、男性も取れますと書かれたのです。つまり、これは女性が妊娠すると母子手帳、親子手帳をもらうわけですが、そこに書いてあるから有期契約の人も分かるのです。自分が育児休業を取れる条件とか、夫に取らせることができるのかを一応理解しています。
 例えば雇用保険も今までは失業だったのです。失業したときに離職票をもらってハローワークに行くと失業手当がもらえる。でも、先ほど御説明があったように雇用保険は在職者向けのメニューが増えてきました。それも自己啓発みたいに勉強したいから受けたりする。ところが、そういう仕組みがあることを知らない人がたくさんいます。なぜか。雇用保険に入りますよね。雇用保険証というのはないのです。健康保険証はありますよね。年金手帳はあるのです。企業で雇われて雇用保険証みたいなのがないのです。あなた、雇用保険の被保険者ですよ、こういうサービスが使えますよという情報をもらっていない。年金は年金手帳があるし、今、年金だと手紙が来たりメールが来たりしますね。そういう意味では基本的に大きな、例えば雇用保険の仕組みはどうなのかということが働く人一人一人に情報提供する仕組みになっていないのです。
 これも、昔みたいに雇用保険が失業手当だけだったらよかったのです。基本的に失業したときに情報提供すればいい。でも在職中のいろいろな際、例えば自己啓発で言うと、今回のテーマと違いますけれども、ビジネススクールに行くと210何万出るのです。でもこんなものは全然知らないのです。雇用保険に入ったときに雇用保険証みたいなものと同時に、基本的にこういうメニューがありますみたいなものを知っておくと、これは大きなことだけしか分かりませんけれども、そういうメニューがあるんだなと分かることができる。そういう意味で健康保険証、年金手帳と同じように雇用保険証。例えば、労災保険もそうですね。アルバイトでも労災に入っているわけです。ただ、自分が保険料を払っているわけではないですけれども、事故に遭えば労災保険が出るというのは教えてもらっていないのです。そういう意味で基本的な大枠については情報提供することをやっておいた上で、やっと探しに行けるということになるかなと思いますので、そういうことも今回、考えていったらいいかなと思います。
 それで、小室さんから言うと時間厳守であと21分ぐらいです。今までのところで事務局から何かリプライしておいたほうがいいことがありますか。今までの御意見の中で何かあれば。

○蒔苗総務課長 いろんな御意見を頂きまして、我々が気付いていない部分もありますし、これ、何回も検討が続きますので少し整理させていただいて、今回、雇用で次回は社会福祉関係ですけれども、4回目は全体の議論になりますので、そこに向けて整理をさせていただきたいと思っています。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 それで、この後、手を挙げていただいて御意見を伺いますが、その後、皆さん、このプロジェクトへの期待とか、このプロジェクトのコンセプトを出すキャッチフレーズみたいなものを、副大臣が知りたいと思いますから、一言ずつ喋る時間を、1人1分弱取っていますから、そこで言うのは残しておいていただいて、1分は回ってきますので、それを取っていただくと単純に5分から8分しかないのです。その時間で言っておきたいことがあれば手を挙げてください。何人ぐらいいらっしゃいますか。小室さん、金子さん、三浦さん、駒崎さん、西田さん、そうすると1人1分ちょっとずつぐらいでいいですか。もう一巡ありますからね。小室さん、お願いします。

○小室淑恵(株)ワーク・ライフバランス代表取締役 ありがとうございます。休業支援金のほうの蒔苗さんにもらった申請件数を見たときに特徴があったなと思っていて、シルバーウイークの翌週と12月の最終週が突出して申請件数が多かったように見えました。これは工藤さんがおっしゃっていたことなのかなと思って、休日になって家族と話して、それでやっと申請することになったとか、若しくは、ずっとやろうやろうと思っていたけれどもやれなかったのが、時間がまとまってできたときにやっとできたとか、何かそういう特徴があるのではないかと思うと、次のチャンスはゴールデンウイークかなと思います。なので、その前後で家族と話してというシナリオを考えたときに、どこにどう出していけばいいのかという戦略を1つ立てる必要があるなというところが1つあります。
 もう1つが、バズらせるというか世の中で話題にしてもらうには、ザ役所のセンスないチラシというのと、ビフォーアフターで出していくといいのかなと。こんなに駄目駄目チラシをやっていました、それを今こう変えましたみたいな、若干の自虐性とともに発信していくとバズりやすいのではないか。そんな工夫もされていくといいかなと思っています。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 金子さん、お願いします。

○金子恵美元衆議院議員 ポイントを3点だけ申し上げます。先ほど西田さんがおっしゃっていたようにテレビCM、あるいはテレビ番組とのタイアップと先ほどお話しましたが、地方、高齢者の方々にとっては大事な媒体だと私は思っています。そういう意味で言うと、アナログの中でCMもそうですが、雑誌とか紙媒体に関しては鮮度が落ちてもいい情報と言ったらいいでしょうか、そもそもこういう趣旨の制度ですとか、より深く読み込んでもらうものに特化してしまって、あとは求人とか最新情報、トレンドというものはWebを使う。思い切って厚労省の中でも、これまでの考え方を変えて役割を分けてしまうことも、ひとついいのではないかと思います。
 それと、チャットボットの話も先ほどありましたが、これも制度の説明の中でQ&Aというのがよくあります。でもQ&Aを全部読むのは正直大変なので、AIを駆使したチャットボットでどれに当てはまるのかを考えるところが、諦めたり、嫌になって投げ出さない1つの方策かなと私は思います。
 最後ですが、休業支援金の件で2月12日に厚労省のプッシュ通知をLINEでやっていますね。私、これを見たときに、まさか全部に出していないよなと。ここはシフトという所とか、対象を絞ったのか、誰にプッシュしたのかというのは考えていかなくてはいけなくて、役所の情報が嫌だよ、要らないよという人が増えていくと逆効果になる可能性もあるのです。そうすると先ほどの広く周知させるというのは、厚労省だけでなく、役所は知らない人が出たときに責任問題になるので広く周知させようとしますが、ツーシーム系のコミュニケーションをこれからは厚労省も重視していったほうがいいと思います。バナー広告でやっていますけど、バナー広告でなくて記事とか、今や全国一般紙、お堅いものだけでなく、スポーツ新聞とかも含めて、柔らかいスポークスも作っていく。例えば日経新聞に載せると結構皆さん、役所の方は安心してしまうのです。だけど、エリートサラリーマンにはむしろ必要ない制度で、必要となる若い人たちは新聞を読まない方かもしれないと考えると、厚労省の方が分かりやすい記事を書いてYahooニュースに投稿するくらいの、ちょっと砕けた感じでやっていってもいいのではないかと思います。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 三浦さん、お願いします。

○三浦瑠麗(株)山猫総合研究所代表取締役 前の発言ではコミュニケーションの問題についてあまり申し上げなかったので、そこをフォローアップしたいと思います。私、森永さんの御指摘というのは正にそのとおりだと思って伺っていました。例えば陳情にお連れすると、役所の方はものすごい、こんな分厚いものを持って来られて、これのどれかに当たるはずですとやられるのですが、一体、本当にツリーみたいな形で、この場合はこっちが使えますみたいなのは把握されているのでしょうかということなのです。恐らく全体像を把握されている方というのはいらっしゃらないのではないか。そこは是非、一番の優先作業として性格診断ではないですが、だんだん進んでいくと自分が使える支援に絞られていくというのをまず作ってみて、紙でもいいのでそれをしっかり書いてみる。それを例えばLINEのプッシュで通知するのであればプッシュで通知した後に、そこに行くようにすればいいと思います。
 実は今、ハローワークのページを開いていますが、統計を取りたい学者向けなのか、それとも支援を受けたい人向けなのかというのが、ちょっと細かい情報に行こうとするといきなり資料のほうに飛ぶのです。そういうのは学者向けということで、それは別にしませんかということなのです。例えば紹介件数というのを見たいなと思ってクリックすると、いきなり月ごとのデータで選べる所に出てしまうのですが、これは明らかに研究者向けですよね。なので、参考にすべきどこか外国の優秀なページをパクってきて、一応、その中で済むページを作っていただきたい。この2点です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。駒崎さん。どうぞ。

○駒崎弘樹認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事 抽象論みたいな話で2点あります。1つ目はお店型福祉から出張る福祉へです。日本の福祉のあり方というのは基本的にはお店モデルになっています。9時から18時に役所に来て申請書を日本語でしっかり書いて、そして自分が何に困っているかをちゃんと把握し、困っている課題に対して、解決してくれるだろう部署にそれを出して初めて発動されるというモデルです。これだと本当に幾つも関門があって、そこのどこかの関門で落ちて行くわけです。そして結局、福祉が発動されない、支援が届かないというような状況になってしまいます。このお店モデルをやめようということです。お店モデルをやめて出張って行く福祉の形、サービスのほうから、支援のほうから出張って行く、届けに行くというような福祉に変えていこうよというのが、この大枠のコンセプトとしてすごく大事だと思っています。
 こうしたお店で申請してくれたら助けてあげてもいいよというようなあり方を申請主義という言い方をするのですが、この申請主義をぶっ壊そうというのが令和の時代のキャッチフレーズではないかと思っています。申請主義をぶっ壊してアウトリーチ型の支援の形に変えていくということをしたい、していかなくてはいけないのではないかと思っています。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。まだ御発言があるかと思いますが、この後12分あるので、まず副大臣から少しお話いただいて、その後、さっきの逆順で、森永さんから名簿の逆順にずっと今日の感想なり、これから期待することを30秒ずつぐらいお話ください。工藤さんも最後に時間を取ります。それでは、副大臣、お願いします。

○三原厚生労働副大臣 私からでよろしいですか。まず、さすがに有識者の皆様方、それぞれのお立場での視点で情報発信に関しての御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。今、私たちが一番足りないなと思っていたところが、利用者さん目線というものが少し足りてないし、そしてまた、作り方として尊厳を傷つけないというか、何か上からこれを使ってくれみたいな、そういうことで、もしかしたら何か傷つけてしまっていることがあるのではないかということを、大変、今、衝撃を受けたところであります。そういうことを傷つけながらも、でもお店を開いて待っているよではなく、駒崎さんがおっしゃったように出張って行くというか、どなたか一緒でも構わないです、是非、いらしてくださいなのか、あるいは小室さんがおっしゃったようなプッシュ型、あなたが例えばこういうお仕事をなさっていて、今こういう状況であれば、だったらこの支援が使えます。その次にはこっちの支援も使えます。いやいや、もしひとり親でしたらこちらの支援も使えます。そういうメニューをきちんとお届けできるものが本当に厚労省にあるのだろうかと三浦先生に聞かれたときに、確かに課ごとに分かれてしまっていて、もしかしたらそれ全体を本当に、それを全て、例えば金子先生だったら金子先生のお立場なら、これ全部全て使えますよということが即座に言える人が本当にいるのだろうかと考えたときに、私はちょっと、そういう意味でも足りていないところがまだまだあるなとも思いました。
 そして、これはまとめのようになってしまいますけれども、これから先、一応、このPTは5回予定しております。今日はこうした雇用問題ということにテーマを決めさせていただきました。次は自殺対策だとか、そうした、次々にいろいろなテーマを作らせていただきますけれども、いずれにしても私は今回、孤独という言葉がコロナ禍で出てきたということが非常に大きな意味を持っているのではないかと。そして、それがすごく心配なのです。なので、このPTでは誰もひとりぼっちにさせない、ひとりぼっちじゃないよと、そういう強い思いを私たちPTメンバーが持ちながら、これからのテーマに1つ1つ丁寧に寄り添っていく。多分、情報発信の中でもそういうことってとても見えてきてしまう、感じてしまうことってあると思うので、気を付けながら考えていかなければならないなと、大変、今、感じたところでございます。
 一応、5回となっております。3回目まではきちっとテーマを決めさせていただいていますけれども、私、今聞いていて、さすがにこの皆さんはすばらしいなと思って、もしよろしければ4回目のテーマを、今まででしたら厚労省の情報発信の仕組み、プラットホームの効果的な活用方策の検討となっているのですが、そうではなくて、このメンバーの皆さんが、いやいや、厚労省さん、もっとこの政策、こうしたほうがいいんじゃないの、雇用だけに限らず、例えば自殺対策にしても孤独政策にしても子育て支援にしても、もっとこうしたほうがいい政策になるんじゃないのというような御意見、私は冒頭にも申し上げました情報発信PTだけではないということを、もう一度改めて皆さんに御認識を頂いて、政策としてもっとこういうことを厚労省はすべきだというようなことを、4回目に是非、もし皆さんがお持ちであればそういう御意見をどんどんぶつけていただく回にしたいと、今、感じていますので、よろしいですか。先に言ったほうが勝ちだと思ったので言わせていただきました。そういう形にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。長くなりまして申し訳ございません。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。それでは残った時間で、森永さんから逆に行きます。30秒で一言になるかと思いますが、取りあえずメッセージを頂ければと思います。よろしくお願いします。

○森永真弥(株)博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所上席研究員 私たちは、自分が使う家電の説明書すら上から順番に丁寧に読まない人間でして、それを政府からの自分に関係があるかどうか分からないものを読むわけがないという前提に立ったときに、よく広告では言うのですが、道を歩いていて、ばったり小学校のときの同級生に会って「最近何をしているの」と言われたときに、どう説明するのかというときに出てきた言葉遣いというのは、結構、世の中に対してのコミュニケーションのヒントになるので、是非、官公庁、省庁の方にもそういう発想で考えていただいて、コミュニケーションの専門家に投げていただくと、より発展性のある会議になるのではないかと思っています。
 今回のプロジェクトで名付けというか、何かキーワードはありませんかというお話でしたので、もし言えるとしたら、使ってもらえる福祉とか、使ってもらえる政策みたいな言い方は1つあったりするのかなと私は思いました。以上になります。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 三浦さん、次、お願いします。

○三浦瑠麗(株)山猫総合研究所代表取締役 ありがとうございます。政策、やっぱり形式ではなく実質へというのが今回のPTの重要なテーマではないかと思っています。その観点から言ったときに、私たちが実質を選ぶということは、今いる人たちを救うというだけではなく、コロナ後の日本社会をより良くする形で着地したいと思っています。安倍さんの最大の成果の1つである女性の雇用の拡大というのが、コロナ禍で一旦失われてしまった。しかし、私たちは単に量的拡大をもう1回するのではなく、質的な意味でも彼女たちの賃金を上げていかなければいけないし、労働環境も良くしていかなければいけないという観点から、これをチャンスと捉えて正に将来のためになるような提言をしていきたいなと思っています。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。古市さん、お願いします。

○古市憲寿慶應義塾大学SFC研究所上席所員 僕、人間らしい発信が大事かなと思っていまして、例えばほとんどの国民は厚生労働省で人間が働いていると思っていないと思います。機械が働いていて、もちろん僕らは職員の方の顔を知っていますけど、ほとんどの人は顔も名前も知らない人が働いていると思っていて、何かもっと人間らしい発信があってもいいのではないかと。だって現状、省庁の方の名前が出るって、多くはスキャンダルとかじゃないですか。そういうスキャンダルとかでなく、もっと積極的に顔と名前を発信して、人間らしい発信をしていけばいいのではないかと思っています。今日はありがとうございました。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 西田さん、お願いします。

○西田亮介東京工業大学リーダーシップ教育院・リベラルアーツ研究教育院准教授 先ほど国の施策について内閣官房のホームページが充実しているので、そこを見るべきだということを申し上げました。そこから漏れ落ちるのが地方自治体の個々の施策だと感じております。この中でもプッシュ型のサービスが始まっております。例えば千葉市の「あなたが使える制度お知らせサービス」というのがありますが、LINEを活用して事前に所得情報等を集約しながらプッシュしていくような取組をやっています。LINEの日本での普及率は極めて高いというところがある。しかし、千葉市でこういう取組ができているのに、なぜほかの自治体はできていないのかという問題があるはずですので、こうした先駆的な自治体の取組を横展開することを支援していくことも考えて見ていただけるとどうかと感じます。
 それから、もう1点、先ほど副大臣から政策についてお話があったかと思います。政策ということで考えると、これまでコロナ対策の施策で大胆な施策にたくさん取り組まれてきたかと思います。それから補正の規模も含めて大変大きなものが組まれました。ただ、これを雇用の分野、福祉の分野で考えて1人当たりで見てみると意外と小さいのではないかと考えています。それから大胆なというところに至っていない印象を受けます。例えば休業手当の掛け率にしても基本的には従来からある80%、これは計算の仕方によってもう少しばらけるかと思いますが、そこが基準になっている。しかし、手取りの少ない方からすると、この率というのが小さい可能性があって、実質、手元に残っている資金がないこともあり得るのかもしれないといったことも、併せて考えていただけるといいのかなと思いました。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 ありがとうございます。トラウデンさん、お願いします。

○トラウデン直美環境省サスティナビリティ広報大使 今日は本当に皆さんの御意見で私自身がかなり勉強になったのですが、厚生労働省の皆さんも、支援を求めている皆さんも同じ社会を構成している同じ人間だと思うので、そういった意味でコミュニケーションがすごく重要なんだなということを感じました。利用者側の立場に立ったときに、利用者の人が自分の生活を向上していくモチベーションになるような、そういったものができていけばいいなと思いますし、先ほどのお話でお店モデルと出張るモデルということをおっしゃっていて、それはすごく分かりやすいし届くなと思ったので、届ける形の支援ということがどんどんできていけば素敵だなと思いました。私も、今後のためにもっともっと勉強しますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 菅井さん、お願いします。

○菅井利雄(株)ブレインズ・カンパニー代表取締役社長 今日はどうもいろいろありがとうございました。皆さんの意見を聞いて、私自身も考えさせられるところがいろいろとありまして、本当にいい機会だったなと思います。私から申し上げたいのは、先ほど話したのとは若干違うのですが、厚労省で広報すべきことと、そうでない広報があると思います。ですから、厚労省が全て情報発信の主体にならざるを得ないのかどうか。正直申しまして、厚労省さんからの情報をもらって国民目線で見たときに、厚労省から来たよと若干重たい雰囲気もなくはないのです。例えばLINEに内閣官房から情報が入ってきて、いきなり友達の間に内閣府がボンと出てきたら、「知らないよ、君」という感じで片付けてしまうという話も聞いたことがあります。ですから、厚労省さんで担うべき広報と、あとは例えば関係先機関、いろいろな所があると思いますけれども、そちらに委託できるものの広報とかいろいろあると思いますので、役割をもうちょっと決めて。あと先ほど古市さんもお話したように人間らしい発信、人の見える広報というのが大事だと思います。メディアの方々がよく言われるのは、情報ばかり出てくるけど人が見えないところが懸念されているところがあったりします。しっかり説明してほしい。新型インフルエンザで記者レクをしっかりやったと先ほどお話がありましたが、きちんと国民に対して情報発信するという姿勢、情報は出すだけでなく、その姿勢というものが国民に見えていないが故に懐疑的になっている部分も若干あるのかなと思いますので、そういった部分は厚労省さん自らがもう少し、寄り添うという話はありますけれども、いろいろと機能分担をして情報発信をしていく必要もあるのかなと思いますので、今回から5回までいろいろと審議していきますけれども、そこでも私のほうからいろいろと考えて御提案申し上げたいなと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 小室さん、お願いします。

○小室淑恵(株)ワーク・ライフバランス代表取締役 今日は大変勉強になったというか楽しかったです。ありがとうございます。もう皆さんがおっしゃっていることですけれども、これからは、あなたは待っててね、こちらから行くからという形の姿勢での広報、プッシュというところが一番大事で、在宅勤務みたいな形で在宅申請できる制度にしていく必要があるだろうなと思います。それから、皆さんがおっしゃっていることを昇華させていくと、結局、官僚にライフがなさすぎると、実生活がなさすぎると、そこでのコミュニティでの会話がない。情報というのは信頼できる隣人として会話する中で広がっていくのだと思います。なので、普通にフットサルチームに参加していただいたり、パパ友同士で会話したりバーベキューしたりという中で、この人、厚労省に勤めているんだ、そういうことをやっているんだというところから、信頼できるなという形で広まっていかないとと思うと、究極は国家公務員にライフの時間にちゃんと時間を返してあげることが、今後の広報の根本なのではないかと感じました。以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 金子さん、お願いします。

○金子恵美元衆議院議員 厚労省の役所の皆さんも、そして専門性のある議員の皆さんも、いろいろな意見を出し合って英知を結集した結果、政策メニューは非常に豊富だと私は思っているのですが、ただ、その政策メニューがそろっているのに国民にとってのセーフティネットになり切れていないというのは、本当にもったいないなといつも思っています。そういう中で、こんな所に、こんな頼れる存在があるのに気付かれていないというのがあると思います。一言で言うと、「もっと頼って厚労省」という気持ちでメッセージとスローガンを掲げて、今後のPTに取り組んでいきたいなと思っています。今日はありがとうございました。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 駒崎さん、お願いします。

○駒崎弘樹認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事 ありがとうございます。もう時間が過ぎているので、キャッチフレーズを2つだけ言っておしまいにします。1つ目、政策垂れ流しから政策アウトリーチへ、2つ目、お店型福祉から出会いに行く福祉へ、以上です。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 工藤さん、もしあれば、せっかく今日お出でいただいているので。

○工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長 ありがとうございます。僕は皆さんと同じように厚労省に友人とかいますので、先ほどの制度があってよかったと言う人がコメントをちゃんと届けるようなもの、不平不満も必要だと思いますけれども、あってよかったというのを言っていい場所を作ることで、働いている厚労省の方々、自治体の方もやってよかったと思うことで循環したらいいかなと思います。ありがとうございます。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 時間が延びてしまいましたが、それでは事務局に戻しますので、最後、お願いいたします。

○蒔苗総務課長 皆さん、ありがとうございました。たくさん意見を頂きまして気付いた部分もたくさんありますので、我々のほうでできるものは取り組みながら、福祉の議論が出ましたが、そこは次回が福祉の会回ですので、あらかじめ担当部局にお伝えしてより良い議論ができるようにしていきたいと思います。今日、よかったなと思うのは、Zoomの会議だったので、これが一番不安だったのですが、一応、それほど不具合なくできたのが一番の収穫だと思っています。

○佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授 全然問題ない。

○蒔苗総務課長 ありがとうございます。あとは、このPTの取組自体、フリーディスカッション中のやり取りとか、最後のまとめの御発言等を少し事務局で編集させていただきまして、皆様に御了解いただいたものを、我々、このPTの取組でこういうことをやっていますというのを伝えるために、厚労省のYouTubeにアップしたいと思っています。これは後日、また改めて御相談申し上げますのでよろしくお願いします。
 次回は、生活支援・自殺防止をテーマに、3月18日(木)10時~12時、本日と同じくリアルとオンラインのハイブリッドを予定してございます。たくさんの方に来ていただけるのであれば、そういった準備をしたいと思っています。詳しい日程、場所につきましては追って事務局より連絡させていただきます。今日はありがとうございました。

発信元サイトへ