(令和3年3月23日(火曜日)16時39分 於:本省会見室)

冒頭発言

『ゴルゴ13の海外安全対策マニュアル』増補版

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、お手元にお配りしていると思いますが、『ゴルゴ13の海外安全対策マニュアル』についてでありますが、お手元にありますとおり、新型コロナの拡大を受けて、新しいエピソードの追記をしまして、『ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル』増補版を作成いたしました。
 私(大臣)も、最初5ページに出てくるかと思うんですけれども、高倉外務大臣として8か所登場しているんじゃないかなと思います。
 外務省は2016年のダッカテロ事件を受けて、在外邦人の安全確保のための対策の強化に取り組んできました。その一環として、2017年に「ゴルゴ13」を起用した『中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル』を刊行いたしました。このマニュアル、これまで大変好評を博しているところであります。
 テロのリスクに加えまして、新型コロナを始めとする感染症対策も必要となり、リスク管理が複雑化する中、既存のマニュアルに新しいエピソードを追加いたしました。外務省のホームページ上でも、本日から公開をしております。
 この場を借りて、「ゴルゴ13」の作者であり、このマニュアルの改訂にご協力いただきました、さいとう・たかを先生に改めて御礼を申し上げます。是非、多くの方にご覧になっていただいて、海外での安全対策の参考にしていただければと、こんなふうに考えております。私(大臣)の方からは以上です。

新疆ウイグル自治区の人権状況

NHK 山本記者】中国の新疆ウイグル自治区の人権問題について伺います。米国やEUによる中国への制裁についてですけれども、大臣、午後の国会の答弁では、何が有効かということをそれぞれの国が考えながら、働きかけをしていくことが重要だと話されていたと思います。
 日本としては、どういった対応、働きかけをしていくべきだとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】国際社会からの懸念が高まっている新疆ウイグル自治区については、重大な人権侵害が行われている、こういった報告が数多く出されています。今般、米国に加えて、EU、英国及びカナダが、対中措置を新たに発表しましたが、我が国としても同自治区の人権状況については、深刻に懸念をしておりまして、中国政府に対して、透明性のある説明をするように働きかけを行っております。
 昨年11月、王毅(おう・き)国務委員が来日した際にも、直接、私(大臣)からこの働きかけを行ったところであります。また、先日の日米「2+2」においても、新疆ウイグル自治区の人権状況について、深刻な懸念を共有したところであります。
 国際社会として緊密に連携して、中国側に強く働きかけていくことが重要でありまして、その点につきましては、日米は勿論でありますが、今申し上げたような国々とも、これまでも様々なやり取りをしているところでありまして、問題は、ワンボイスで、どう中国に働きかけをしていくかということではないかなと思っております。
 日本として、今後どう対応していくかということについては、更に検討を深めてまいりたいと思っております。

在日米軍ヘリの低空飛行

【毎日新聞 田所記者】米軍ヘリコプターの低空飛行についてお尋ねしたいと思います。
日本政府は1999年の日米合意で、米軍ヘリにも、日本の航空法令が定めた行動基準が適用されるという立場なのに対して、在日米軍は、今般、毎日新聞の取材に対して、適用されるのは固定翼ジェット機であって、ヘリではないという異なる見解を示しました。
 本日の参院外交防衛委員会でもやり取りありましたけれども、これについて受け止めをお聞かせいただければと思います。
 日本政府としても、米軍に対してヘリが適用外という見解なのかを、確認するお考えはありますでしょうか。それも併せてお尋ねしたいと思います。

【茂木外務大臣】報道は承知しておりますが、米軍の飛行につきましては、在日米軍のハイレベルも含め、様々なやり取りを行ってきておりまして、現時点では米側から4点、一つは、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認されていない、また、報道されている飛行から時間が経っていることもあり、詳細な事実関係や確認は容易ではないこと、3点目は、勿論飛行に当たっての安全確保は最優先事項であって、米軍の飛行は、ICAOのルールや、日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、そして4点目でありますが、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう、改めて指示した。こういった説明を受けているところであります。
 米側に対して、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限に留めるよう、強く求めていくとともに、飛行に当たっての安全確保は、最優先の課題と考えておりまして、日米で協力して取り組んでいきたいと考えております。

『ゴルゴ13の海外安全対策マニュアル』増補版

【下野新聞 田﨑記者】マニュアルについて、大臣に2点伺いたいと思います。1点目、大臣、似顔絵のご感想というか、ご印象について、どう思われたのかというのを教えてください。2点目が、「ゴルゴ13」について何か思い出というか愛着というか、どういう印象をお持ちか教えてください。

【茂木外務大臣】私(大臣)が、折角さいとう・たかを先生に描いていただいたわけでありますので、それについては、先生の腕というのは立派だなと、このように考えております。「ゴルゴ13」については、何にしても、いつも予算委員会でも隣の麻生さんが大ファンだなと、こんな印象を一番強くもっています。

中国で拘束されたカナダ人の初公判

【日本テレビ 前野記者】中国で、カナダ人の元外交官男性らが、スパイ罪で拘束、起訴された裁判について、伺いたいと思います。昨日、北京で、この男性の初公判が、非公開で開かれて、裁判所の前に20か国以上の外交官が傍聴を求めて集まりました。カナダを中心に、中国側の非公開の姿勢等に批判が高まっていますが、大臣、これについてのご所感を聞かせていただけますでしょうか。
【茂木外務大臣】ご指摘の中国で拘束されていますカナダ人2名の事案については、事案の発生当初から、日本は懸念を持って注視をしてきておりまして、2月の、日本とカナダの首脳会談でも、本件については意見交換を行うなど、カナダと意思疎通を行ってきているところであります。
 日本としては、国際社会における普遍的価値であります、自由、基本的人権の尊重、法の支配といったものが、中国においても保障されることが重要であると考えております。

イエメン情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
イエメンのホーシー派による中東地域における石油施設への継続的な攻撃について、日本は同地域の関係諸国とこれまでどのようなやり取りを行ってきたのでしょうか。先週、大臣は日本がイランを含む関係諸国とのやり取りを行ってきていると言及されたと承知します。この点について、何らかの進展はあったか、お聞かせください。

【茂木外務大臣】前回もお話ししたかと思うんですけれど、私(大臣)自身、昨年の10月、サウジアラビアを訪問いたしまして、その機会、更に今月はザリーフ・イラン外相と電話会談、こういった機会も含めて、関係各国にイエメンにおける停戦と平和の実現に向けて、働きかけを行ってきているところであります。
 我が国としては、イエメンにおいて、紛争が長期間にわたって継続をし、多数の一般市民が困難な人道状況に置かれていることを懸念しております。また、ホーシー派によります、サウジアラビアの累次にわたる越境攻撃や、マアリブでの攻撃を強く非難をいたします。
 昨日、サウジアラビア政府がイエメン全土における包括的な停戦の提案を発表したことを、歓迎をいたしております。ホーシー派を含む全ての関係者に対して、即時の停戦と、政治的解決に向けた早期の対話開始を改めて、呼びかけたいと思います。
 また、日本政府はイエメン紛争の終結に向けた、グリフィス国連イエメン担当特使の努力を引き続き、後押しをしていきたいと思います。

アフガニスタン情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記記者】
(以下は英語にて発言)
アフガニスタン情勢及び同国におけるテロとの闘いについての日本の立場をお聞かせください。テロとの闘いが開始されてから長い時間が経過しており、いつまでも続く(forever)ように思えます。日本を含むアフガニスタンへの支援を行う全ての国々に影響を及ぼしています。また、昨年、日本人の犠牲者も出たと思います。この闘いをどのように終えるのかについての日本の立場をお聞かせください。

【茂木外務大臣】foreverとは思っておりませんけれども、アフガン各地において暴力が継続していることを、深く懸念をしております。特に最近、カブール市内での標的殺害や当局の車両への攻撃が頻発していることを、強く非難いたします。
 アフガニスタンの安定のためには、暴力の削減及び早期停戦が不可欠でありまして、日本は、アフガニスタン主導の和平プロセスを支持しており、引き続き国際社会と連携をしながら、和平の進展に向けた建設的な役割を果たしていきたいと思います。
 具体的に申し上げますと、昨年11月の「アフガニスタンに関するジュネーブ会合」で、私(大臣)から、日本は今後4年間、毎年1.8億ドル規模の支援維持に努めると表明して、本年1月には、新型コロナ対策等のために1.2億ドルの支援を決定をしたところであります。
 今後とも農業、教育、そして保健など、日本が得意とする開発分野での支援や、治安維持能力向上のための支援などへの継続を通じて、アフガニスタンの安定化に貢献していきたいと考えております。