厚労省・新着情報

日時

令和3年2月24日(水)16:00~18:00

開催形式

Web会議

出席者

出席委員(6名):五十音順、敬称略 ◎委員長

国立感染症研究所:敬称略
 

  • 大隈 和
  • 水上 拓郎

KMバイオロジクス株式会社:敬称略
     

  • 羽室 強
  • 田中 信寛

CSLベーリング株式会社:敬称略
     

  • 大西 亮
  • 馬込 新一郎

武田薬品工業株式会社:敬称略
     

  • 谷垣 任優
  • 加藤 智也

日本赤十字社:敬称略
     

  • 会川 勝彦
  • 松田 由浩
  • 杉山 朋邦
  • 佐竹 正博
  • 石丸 健
  • 後藤 直子

事務局:
 

  • 中谷 祐貴子 (血液対策課長)
  • 菅原 高志   (血液対策課長補佐)
  • 野寺 快明   (血液対策課長補佐)
  • 若林 雅之   (需給専門官)

議題

  1. 1.委員長の選出及び委員長代理の指名について
  2. 2.感染症定期報告について
  3. 3.血液製剤に関する感染症報告事例等について
  4. 4.献血血液等の研究開発等への使用に関する報告について
  5. 5.人免疫グロブリン製剤の輸出等について
  6. 6.各調査会の審議結果について
  7. 7. その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

 
○野寺血液対策課長補佐 大変長い間お待たせしました。それでは、定刻となりましたので、血液事業部会令和2年度第5回運営委員会のWeb会議を開催いたします。
本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からWebでの審議とさせていただきます。
まず初めに、薬事・食品衛生審議会血液事業部会委員等の改選があり、運営委員会委員につきましても改めて部会長より委員の指名がありましたので、お手元の委員名簿に沿って御紹介申し上げます。岡田義昭委員、武田飛呂城委員、田野﨑隆二委員、濵口功委員、松下正委員、松本剛史委員。なお、本日のWeb会議には、委員6名全員御出席いただいていることを報告いたします。
本日は参考人として、国立感染症研究所 血液・安全性研究部より、大隈和第一室室長、水上拓郎第四室室長、CSLベーリング株式会社より、大西亮品質保証部部長、馬込新一郎マーケティング本部アソシエイトディレクター、武田薬品工業株式会社レアディジーズビジネスユニットより、谷垣任優血液疾患領域統括部長、加藤智也血液疾患領域マーケティング部プロダクトマネジャー、KMバイオロジクス株式会社より、羽室強生産本部熊本工場長、田中信寛医薬営業本部営業推進部長に御出席いただいております。
また、日本赤十字社 血液事業本部より、会川勝彦経営企画部次長、松田由浩経営企画部次長、杉山朋邦経営企画部供給管理課長、佐竹正博中央血液研究所所長、石丸健技術部次長、後藤直子技術部安全管理課長に御出席いただいております。
それから、事務局です。課長の中谷が遅れておりますが、遅れて参加する予定となっております。参加になった場合には、他の業務により17時で退席いたしますので、御報告をいたします。
次に、本日は改選後、初めての会議ですので、委員の皆様に御留意いただきたい事項につきまして2点御説明いたします。まず第1に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条において、職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とすると規定されております。委員の皆様は非常勤の国家公務員として、この規定の適用を受けますので、職務上、知り得た秘密について漏らすことのないよう、お願い申し上げます。
第2に、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会規程第11条において、委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないと規定されております。審議の中立性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合又は任期中に該当することになった場合は、速やかに事務局に御連絡をいただくよう、お願い申し上げます。
なお、ただいま御説明した薬事分科会規程第11条につきまして、全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明をさせていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。まもなく議事に入りますので、カメラ撮影はここまででお願いいたします。それでは、これより議事に入りますが、委員長が選出されるまでの間、私が進行役を務めさせていただきます。
議題1「委員長の選出及び委員長代理の指名について」です。運営委員会規程第4条第1項により、委員長は委員等の互選により選出することとなっておりますが、どなたか御推薦いただけますでしょうか。
○野寺血液対策課長補佐 すみません。個別のパソコンの音声出力では先生のご発言が聞こえるのですが、会場の音声出力に異常があるようでして、少々お待ちください。
○岡田委員 どうでしょうか。
○野寺血液対策課長補佐 はい。正常に聞こえております。
○岡田委員 では、もう一度。
○野寺血液対策課長補佐 すみません。大変申し訳ございません。もう一度お願いいたします。
○岡田委員 はい。田野﨑先生に引き続いて委員長を引き受けていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○濵口委員 賛成します。
○野寺血液対策課長補佐 それでは、御異議はございませんでしたので、田野﨑委員が委員長に互選されました。それでは、以降の進行を田野﨑委員長にお願いいたします。
○田野﨑委員長 田野﨑でございます。どうも御指名ありがとうございます。引き続き委員長を拝命させていただきたいと思います。それでは、運営委員会の規程第4条第3項によりますと、委員長代理をあらかじめ委員長が指名するということになっておりますので、引き続き松下委員にお願いしたいと思います。いかかでしょうか、松下委員。松下委員、委員長代理としてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松下委員 私は了解いたしました。
○田野﨑委員長 どうもありがとうございました。宜しくお願いいたします。それでは議事に入りたいと思います。議題2「感染症定期報告について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料1-1の1ページを御覧ください。こちらは令和2年9月から11月に受理した感染症定期報告の研究報告です。文献は計16ありまして、病原体ごとに報告日順に並べて概要等を記載しており、右から2列目に番号を付しております。1番から順に説明いたします。まず、肝炎ウイルスに関する報告です。1番がE型肝炎の報告で、2002年から2018年までに判明した本邦におけるHEV輸血感染症例34例について検討したところ、HEV輸血関連の原因献血者は、北海道や関東に限らず、全国で確認され、検討の結果、HEV RNAスクリーニングの全国導入は、HEV輸血感染対策として有効とのことです。
次に、その他のウイルスに関する報告ですが、2番から9番が新型コロナウイルスに関する報告です。2番ですが、多数の既報により、新型コロナウイルスが感染者の血液、血漿又は血清中から検出されることが示されているものの、輸血により感染を起こすか、輸血感染した場合に症状を呈するかについては、まだ解明されていないとのことです。
すみません、会場の音声の調整を行いますので、一旦中断いたします。
(中断)
○野寺血液対策課長補佐 再開いたします。3番ですが、ドイツで新型コロナウイルスの輸血感染リスクを評価するため、口腔スワブ又は喀痰のRT-PCR検査を実施したところ、患者全員が陽性であったのに対し、血液サンプルで陽性となったのは重症患者1例のみであったことが報告されたことから、供血基準を満たす無症候の供血者からの血液製剤を介した新型コロナウイルスの伝播リスクは極めて低いと考えられたとのことです。
4番は米国スタンフォード大学のケースレポートで、COVID-19様症状が消失してから少なくとも40日経過した、献血当日に健康なドナーの血中から新型コロナウイルスが検出されたため、著者らの施設では、新型コロナウイルスRNAのドナースクリーニングを継続する予定であり、症状が消失した後の供血延期期間を28日から56日に延長したとのことです。なお、米国FDAが推奨する症状が消失した後の供血延期期間は14日とされております。
5番ですが、COVID-19患者である2例の母親のうち、1例の母乳から新型コロナウイルスRNAが検出されており、感染経路は不明であるものの、児のスワブも陽性でCOVID-19を発症したとのことで、母乳を介した感染リスクを示唆する報告とされております。
6番は、31例のCOVID-19患者である妊婦及び新生児を調査対象とした研究に関する報告で、臍帯血、胎盤、及び母体膣スワブにおいて新型コロナウイルスRNAが陽性であった初の事例とされており、また2例の新生児において、母体からの垂直感染が疑われたとのことです。
7番は、20代の妊婦とその新生児の両方について、血液中の新型コロナウイルス遺伝子陽性の事例で、胎盤のウイルス量を測定したところ、羊水及び母親の血液中のウイルス量を上回っていたことから、新型コロナウイルスが母体から胎児へ、胎盤を介して伝播した可能性が示唆されたとのことです。
8番は、中国の病院において、2020年1月から3月の期間で実施された後向き研究に関する報告です。臨床検査で新型コロナウイルス感染が確認された43例の血清抗体を検査した結果、IgM陽性率は初めに増加し、その後、減少する傾向を示したが、IgG陽性率は増加し、その後、経時的に安定した。さらにIgG陽性率はIgM陽性率よりも一貫して高いことが判明したとのことで、ウイルス血清学的検査は、新型コロナウイルス感染の有効な診断手段であると結論づけられております。
9番は、COVID-19の急性期及び回復期の血中新型コロナウイルスRNAの血清陽性率の頻度に関して、文献レビュー及び臨床検体での調査を行い、またRNA陽性血清が培養細胞に感染性を有するかを検討した報告となります。文献レビューの結果、血清陽性率は10%、臨床検体での調査では12.7%でしたが、RNAのコピー数は少なかったとのことです。また、PCR検査陽性の血清を培養細胞に接種しても細胞障害効果は観察されなかったとのことで、感染急性期の血清サンプルでは少量のRNAが検出され得るが、新型コロナウイルスの感染性とは関連していなかったと結論づけられています。
10番は新型インフルエンザの報告で、中国のブタにおいて最近出現したG4 EA H1N1と呼ばれる株が特定され、中国の食肉処理場や他の養豚施設で働いている人々に感染しているエビデンスが見出されたとのことです。
11~15番は、ブラジルやフランスにおいて、新規ウイルスのヒト感染例が確認されたという報告になります。
最後にその他の病原体ですが、16番は韓国における敗血症患者の血液から全ゲノム配列決定により、カプリアビダス属の新規種の細菌が同定されたとの報告です。
次の資料は外国症例報告一覧で、5~6ページを御覧ください。令和2年9月から11月までに提出された血漿分画製剤に係る海外の個別症例の一覧表となります。転帰等不明な点が多いのですが、シャイアー・ジャパン株式会社から1件、CSLベーリング株式会社から9件、自発報告として報告が挙がっています。こちらの資料については以上です。各文献は資料1-2にまとめております。資料1の説明は以上です。
○田野﨑委員長 ただいまの説明について、大隈参考人から追加で御発言等あれば宜しくお願いいたします。
すみません、大隈先生。大丈夫そうですので、申し訳ございませんが、最初から御説明をお願いできればと思います。
○大隈参考人 はい、承知しました。では、また初めからコメントさせていただければと思います。まず、文献1のE型肝炎についてです。これはE型肝炎ウイルス、HEVですけれども、HEVの輸血感染対策を検討するために、2002年から2018年までに判明した、本邦におけるHEV輸血感染症例について解析した結果の報告です。本報告におきまして、HEV輸血感染の原因献血者は、北海道や関東甲信越に限らず全国で確認されておりまして、全国的な対策の必要性が改めて示されました。また、今回は比較的少量のウイルスが血中に入った場合でも感染が成立することが分かったので、NATスクリーニングの検出感度は、この点を踏まえて考慮される必要があると考えられます。本報告の最少感染成立ウイルス量は、HEVの低減化処理の際の重要な指標にもなると考えられます。北海道では試行的にスクリーニングを実施しておられまして、20プールNATを導入した2006年以降、HEV輸血感染が発生していません。昨年8月から全国導入されました個別NATスクリーニングというのは、さらに検出感度が高いので、HEV輸血感染対策としての有効性がさらに期待されると考えられます。
次に、文献の2、3、4、9についてのCOVID-19ですけれども、これはまとめてコメントします。現時点でもFDA、AABB、CDCは、新型コロナウイルスの輸血感染のリスクを示唆するデータがないので、供血スクリーニング検査における特段の対応策を求めておりません。FDAでは、新型コロナウイルス感染症、COVID-19ですけれども、と診断された又は疑われた方は、症状が完全に回復して少なくとも14日以降に、若しくは無症状、無症候でも、新型コロナウイルス陽性の方は、陽性結果から少なくとも14日以降に供血制限解除としておりますけれども、国内では、現時点では献血制限解除の必要性はないと考えられております。血中のウイルスRNAはCOVID-19軽症者ではなく、重症者に一定の割合で検出されますが、現時点ではその血中に感染性の粒子が存在しているという報告はなく、輸血感染のリスクは極めて低いと考えられます。
最後に、文献の6と7のCOVID-19についてコメントします。これは、新型コロナウイルスの感染が飛沫や接触ではなく、経胎盤によって発生したことが示唆された症例報告です。新型コロナウイルスの垂直感染が周産期に起こる場合がありますけれども、それが胎盤を通じてなのか、産道を通じてなのか、若しくは周囲の環境への曝露のためなのかは不明です。本報告では、母親の胎盤組織と血液に加え、新生児の血液中に新型コロナウイルスの存在が確認されておりまして、胎盤のウイルス量は、児と母親の血液中のウイルス量を上回っておりました。これは新型コロナウイルスが胎盤で活発に複製したことを示しており、新型コロナウイルスが母体から胎児へ胎盤を介して伝播して、新生児のウイルス血症を引き起こした可能性を示唆しております。本症例では、ウイルス血症等により神経症状まで出現しており、本ウイルスの感染様式や病原性発現メカニズムの解析がさらに必要と考えられます。今後も本感染状況の動向を注視して、情報を収集する必要があると考えます。コメントは以上になります。
○田野﨑委員長 大隈先生どうもありがとうございました。他の委員の先生方から御意見、御質問などございましたら宜しくお願いいたします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。文献1ですけれども、これは、実際に献血で見つかる例はウイルス量が少ないので、プールしてNATをやると見逃される可能性もあるのですけれども、日赤はシングルNATをやるということで検出感度もかなり良いようで、輸血による感染はかなり防止できるのではないかと期待しております。
その一方で、これまでこの運営委員会に報告されているのですが、E型肝炎を発症したけれども、輸血する前の検体から陽性になったということで、感染してから入院する例が2例あるのですね。そういう意味で、輸血との因果関係を確認するためにも、やはり輸血前の検体を保存していくことが重要だと考えられます。
それと、コロナ関係は、この9番のレビューにほとんどの文献がサマライズされておりまして、かなり優れたレビューですので、時間がない方はこの9番を読めば全て分かるということです。この9番で強調しているのは、一部、大体平均をすると10%ぐらいの方が血中からウイルスが、コロナのRNAが検出されるのですが、そのウイルスの量は咽頭とか他の部位のウイルスよりも、2の10乗、大体1,000分の1ぐらい低いことが報告されています。ですので、本来増える場所は違う所であって、血中にはごく一部の症例で少ない量のウイルスが検出されることが、この文献の9の中に書かれております。これまでの色々な文献の中に書いたものが、この中にあるということです。
この一番最後の菌血症ですけれども、この属というか、菌は日本にも存在していまして、やはり多剤耐性の傾向を示すことが報告されておりますので、特別その韓国に存在したということではなくて、広く分布しているものだと考えられます。以上です。
○田野﨑委員長 詳細に渡り、ありがとうございました。他の委員の先生方から何かコメントなどございますか。宜しいでしょうか。まず、新型コロナウイルスに関しては分からないところもかなりあるということで、引き続き注視してフォローしていかないといけないということであると思います。そうしましたら、引き続き事務局におかれましては、今後とも感染症定期報告をお願いいたします。
次に、議題3「血液製剤に関する感染症報告事例等について」に移りたいと思います。事務局より、資料の説明をお願いいたします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料2-1を御説明いたします。血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例についてです。1ページの感染症報告事例のまとめを御覧ください。今回は令和2年9月から11月の報告分となります。この間の感染症報告は、輸血用血液製剤で12件、血漿分画製剤で8件です。因果関係が否定された報告は、血漿分画製剤の1件です。輸血用血液製剤の報告の病原体の内訳としては、HBV感染が3件、HCV感染が1件、その他としてHEV感染が1件、CMV感染が1件、HTLV-1感染が1件、細菌等が5件ありました。HBV及びHCVに関して、献血者の保管検体の個別NAT陽性事例はありませんが、HBVに関しては、ウィンドウ期の血液による感染事例が2件ございました。その他細菌事例については、当該輸血用血液の使用済バッグを用いた無菌試験の陽性事例が1件あり、当該患者の転帰は未回復とのことです。事案の詳細については2~5ページでまとめております。資料2-1については以上です。
続いて資料2-2を御説明いたします。供血者からの遡及調査の進捗状況等についてです。1ページが日本赤十字社からの提出資料で、左から平成30年度、令和元年度、令和2年度の年度ごとにHBV、HCV、HIVの病原体ごとに件数等を分けて示しており、表の一番右が令和2年4月1日から11月30日までの速報値となっております。令和2年度の献血分の遡及調査の実施内容として、調査の対象とした献血件数が2,168件あります。そのうち、調査の対象とした輸血用血液製剤が2,371本あります。そのうち医療機関に情報提供を行った本数が1,594本となっております。また、(2)マル1の遡及調査実施対象の献血件数が「2(1)」とされておりますが、これは個別NATの結果が陽性となった事例が1件と、個別NATの結果は陰性だが、受血者の陽転が確認された事例が1件の計2件が確認されたという意味になります。陽性の1件については、医療機関に提供された製剤に関する報告件数は1件ですが、退院、転院等により追跡不能の1件となります。陰性の1件については、医療機関に提供された製剤に関する報告件数は2件で、そのうち受血者陽転事例と非陽転事例が1件ずつ、そのうち、医薬品副作用感染症報告を行った件数が1件ということです。なお、個別NATの結果は陰性だが、受血者の陽転が確認された事例について、令和元年度の1件と、令和2年度の1件は、資料2-1のウィンドウ期の血液によるHBV感染事例の2件に対応しております。
続いて2ページを御覧ください。医薬品医療機器法第68条の11に基づく回収報告状況をまとめたものですが、令和2年9月から11月の間で計15件ございました。資料2-2は以上です。
○田野﨑委員長 委員の先生方から何か御質問、コメントなどございましたら、宜しくお願いいたします。
○岡田委員 埼玉医大の岡田ですけども、良いでしょうか。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○岡田委員 輸血例でHTLV-1の抗体が陽性になった症例があるのですが、この方は一応、非特異的な反応ではなくて、抗体のパターンはもう確定というか、感染が確定されたと思います。非常に珍しい例なのですが、輸入されたグロブリン等の投与歴とかはないのでしょうか。というのは、海外のグロブリンですと、HTLV-1のスクリーニングをしていないので、大量に投与したりすると、受血者が陽性になってしまうことも可能性としてはありますので、その辺はどうなのでしょうか。
○田野﨑委員長 事務局からいかがでしょうか。
○野寺血液対策課長補佐 個別の症例に関する情報については、日本赤十字社で把握されているのではないかと思いますけれども、何か情報等お持ちでしたら、教えていただければと思います。
○日本赤十字社 佐竹中央血液研究所所長 日本赤十字社の佐竹中央血液研究所所長です。この症例については、臨床側から十分な情報をいただくことができず、ただいまのガンマグロブリン製剤の投与等については、全くこちらは情報を持っておりません。先程、全体として、この症例の場合に、輸血された血液は13本だったと思いますが、全て抗体は陰性、PCRも全て陰性ということで、輸血感染は恐らくないだろうと考えておりますが、抗体も完全に陽性と決まったかどうかについては、今、岡田先生がそれは決定だと言われましたが、そこについても、実は抗体スクリーニングの別の試薬でやりますと、完全な陰性となる試薬も出ております。ですので、LIAで陽性のパターンは出ているのですが、抗体スクリーニング試薬で、1つでは陽性、1つは完全な陰性ということで、完全に抗体が陽性かどうかについても、やや疑問が残るところではあります。ガンマグロブリン製剤の可能性、それから、抗体そのものがもともとマラリアとか、他の病原体に対してクロスリアクションを起こすことが知られておりますので、そういった可能性も考えられるということで、最終的には非常に難しい症例で、結果の解釈は極めて困難かと思います。ただ、輸血感染ということは、ほぼ否定できるだろうと考えております。以上です。
○岡田委員 良いでしょうか。この症例というのは確かに非常に珍しいというか、HTLV-1が今の日本のシステムで輸血によって感染するリスクとしては非常に低いので、他の原因も考えなくてはいけないかなと思って、ちょっとコメントさせていただきました。以上です。
○田野﨑委員長 他はいかがでしょうか。
○松下委員 松下です。
○田野﨑委員長 松下先生、宜しくお願いします。
○松下委員 B型肝炎3例のうち、3例目の方は、医療機関発ということなのでしょうか。因果関係ははっきりしていないようですが。聞こえていますか。
○日本赤十字社 後藤技術部安全管理課長 日本赤十字社の後藤です。3例目の事例は、医療機関から自発報告として御連絡いただいた事例となります。
○松下委員 これは因果関係は証明されているのですか。
○日本赤十字社 後藤技術部安全管理課長 輸血用血液の個別NATはHBVが陰性ですので、輸血による感染の可能性は低いと考えております。
○松下委員 分かりました。
○田野﨑委員長 他はいかがでしょうか。確実に感染したことが証明されているケースはない。E型が1例あるのでしょうか。ないということで宜しかったでしょうか。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。ウィンドウ期の血液による感染例が、HBVについて最初の2件であるということで、また、HEVについては献血者保管検体の個別NATにて陽性ということで、これらが輸血による感染の可能性が非常に高い例というように認識しております。
○田野﨑委員長 輸血による感染事例の可能性が高いということで、引き続き注視していかないといけないと思います。これについて、何か加えてコメント、御質問などあればと思いますが、宜しいですか。どうもありがとうございました。事務局においては、今後とも感染症症例や遡及調査結果の報告をお願いします。
次に、議題4に移ります。「献血血液等の研究開発等への使用に関する報告について」です。事務局より資料の説明をお願いします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料3-1を御説明いたします。献血血液の研究開発等への使用に関する各事業者からの報告の概要についてです。1項のこの報告の根拠ですが、令和2年8月26日付けの血液対策課長通知別添において、「採血事業者又は血液製剤の製造販売業者は、血液製剤の製造に伴って副次的に得られたもの等を使用し、又は提供した量、その使用目的等の使用状況について、年度毎に血液事業部会運営委員会に報告するものとする」とされていることによります。
この規定が設定された経緯としては、昨年の血液法の一部改正による採血制限の緩和に伴い、献血血液等の研究開発等への使用に関する指針に基づき実施されている公募、運営委員会における事前評価等を廃止することとしておりましたが、令和2年度第2回運営委員会において、今後、少なくとも年1回は運営委員会に報告した上で、血液法の理念に沿った形での使用が行われているか確認すべきではないかという議論があったことによります。
2項の各企業の提供状況において、令和元年度の各事業者の提供件数及びその内訳を記載しております。日本赤十字社が379件、KMバイオロジクス株式会社が3件、日本血液製剤機構が18件の合計400件で、全体としては継続案件が多数を占めている状況です。なお、日本製薬については、該当する案件はなかったということです。
資料3-2に各事業者の提供状況の詳細について、案件ごとの研究開発等課題名、献血血液の使用目的及び区分、種類、量などを表形式でまとめております。使用目的及び区分の丸囲み数字の意味は、各事業者の表の最後に凡例として表形式で記載をしております。令和2年度の状況については、令和3年度の第1回運営委員会にて報告させていただく予定でして、以降は、当該年度の状況を次年度の初回の運営委員会で定期的に報告させていただく予定としております。資料3の説明は以上です。
○田野﨑委員長 御説明どうもありがとうございました。こちらは、委員の先生方から何か御発言はありますか。以前は、これは一例一例見ていって、細かくチェックしていましたが、今回からはかなり簡易な形になっています。これは、日本赤十字社、KMバイオロジクス株式会社、日本血液製剤機構の各社においては、特に対応には問題がないということで宜しかったでしょうか。これの労務もかなり大変であることが指摘もされていたものですし、あと、よく見ると、例えばこういうもので企業での色々試薬や何かで、これはこちらの製剤を販売する目的にも使われていることも中にはあったように思います。その点も含めて、余って供給に全く支障がない場合には、これで問題ないと思うのですが、これは今後ともずっと続いていくと思いますので、御意見等がありましたら、お願いします。
○日本赤十字社 石丸技術部次長 日本赤十字社の石丸ですが、宜しいですか。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○日本赤十字社 石丸技術部次長 今回、御報告させていただいたのは、令和元年度に使用するというか提供した分になりますが、今年度、申請を受け付けた分からは、指針がない状況下で行いました。結果としては、例年どおりの300件強の申請数があり、今年は特に混乱もなく進めた状況なので、御報告させていただきます。
○田野﨑委員長 特に大きな問題がなく、ここで審議する必要もなかったということで、皆さん宜しいでしょうか。それでは、実際にこういう研究開発等への使用は非常に貴重なものでもありますので、引き続き慎重に使用状況なども報告をお願いしながら続けていければと思います。事務局においても、これからも御報告を引き続きお願いします。
次に、議題5「人免疫グロブリン製剤の輸出等について」に移ります。事務局より資料の御説明をお願いします。
○若林需給専門官 事務局より、資料4「人免疫グロブリン製剤の輸出等について」を御説明いたします。1の経緯等を御覧ください。昨年度、免疫グロブリン製剤に当初の予測を上回る需要が生じたため、欠品リスクを回避するため需給計画を変更し、海外製品の輸入を増やして対応いたしました。
具体的には、CSLベーリング株式会社の製品、ピリヴィジェン10%点滴静注とハイゼントラ20%皮下注を追加輸入しました。しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症による外来患者の減少や、ピリヴィジェンについては、昨年度、国内で新規発売の製剤であったこと、ハイゼントラについては、投与経路が静注でなく皮下注というように異なっていたため、代替が進まなかったことから、このままの使用状況では当該製品在庫の一部廃棄が想定されております。
一方で、免疫グロブリン製剤について、海外市場においては需要が存在しており、今回、CSLベーリング株式会社より、今年度内にピリヴィジェン10%点滴静注、規格としては2万mg/200mLを約7,000本、ハイゼントラ20%皮下注、規格としては1000mg/5mLを約8,000本輸出したいとの申出がありました。また、ハイゼントラ20%皮下注(1000mg/5mL)については、需要減少の影響等により、来年度の需要見込みや輸入目標量について、約1万6,000本の下方修正の申出がありました。
昨年度の需給計画の変更については、昨年度、この運営委員会が夏に開かれましたが、そこで御審議いただいておりますことから、今回、この件について御説明させていただくものです。
2の人免疫グロブリン製剤の需給状況と輸出の影響を御覧ください。下の表に上から順に、令和元年度、令和2年度の需給計画と供給量及び供給見込み、令和3年度需給計画の原案と令和3年度需給計画の修正案を示しております。1で御説明した輸出量や在庫見込量等の修正を、2.5g換算した数値で、下線の所ですが反映しております。
令和3年度の修正案の前年度末在庫量見込欄を見ていただきますと、新型コロナウイルス感染症による需要減少等の影響により、今回の輸出を加味しても、令和2年度末在庫量が約39万本積み増されることが見込まれております。また、需要見込欄ですが、こちらは需要見込み約276万本に対して、供給可能量が約346万本と約70万本、需要見込みを供給可能量が上回る見込みとなっております。
以上から、今回、CSLベーリング株式会社の人免疫グロブリン製剤が輸出されたとしても、安定供給に支障は生じないと考えておりますので、今回の輸出については問題がないものと考えております。事務局からの説明は以上です。
○田野﨑委員長 海外輸入を増やして、それで余剰が生じたので、輸出はいかがですかということでした。こちらに関して、委員の先生方から何か御質問などはありますか。
○松下委員 松下です。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○松下委員 予定していた需要が新型コロナウイルス感染症の影響で萎んでしまったということだと思うのですが、どういう方法で需要の量を調査していったのでしょうか。企業から出てきた数字で判断していたということですか。
○若林需給専門官 事務局から回答します。この需要量については、昨年度、企業から不足すると見られる量について調査していただいたものを見込みとし、その需給計画を変更させていただいております。
○松下委員 皮下注静剤は、恐らくガンマグロブリンの欠乏されている方用だと思いますし、10%のピリヴィジェンに関しては、神経疾患とか自己免疫疾患の需要だと思うのです。新型コロナで簡単にしぼむような事情でないような気がするのです。その辺りはやや多めにカウントしてしまったということですか。
○田野﨑委員長 こちらに関して、参考人、お願いします。
○CSLベーリング株式会社 馬込参考人 CSLベーリングの馬込と申します。私から回答させていただきます。ハイゼントラ皮下注については、昨年度、神経疾患に対する適応追加を行っております。神経疾患の患者さんにおける来院期間の延長、そして受診控えから、ハイゼントラについては、当初予定していた要請会社から頂いた需要量、必要量よりも少ない需要になってしまった。こちらは、同様にピリヴィジェンにも該当すると考えております。
○田野﨑委員長 ありがとうございます。宜しいですか。
○松下委員 神経疾患の症状の発症の予防に使用するので、使用しなくても、結果的に大丈夫だった患者さんがそこそこいらっしゃるということですか。
○CSLベーリング株式会社 馬込参考人 CSLの馬込から回答いたします。そのような患者さんもいらっしゃると考えております。
○松下委員 なので、需要をどう多めに見積もるのか、少なめに見積もるのかですが、神経疾患の発症は、痺れとか、麻痺とか、ある程度起こったら困るような症状ばかりですから、本当はコロナがあってもなくても、正しく使わないといけないのではないかと思うのです。メーカーの方の需要の調べ方をもう少し緻密にされると良いのではないかと思います。
○田野﨑委員長 御意見どうもありがとうございます。これに関しては、神経疾患に対する免疫グロブリンの使用は、今後とも伸びていくと考えられているのかどうかについて、もし御意見があれば、参考人として宜しくお願いします。
○CSLベーリング株式会社 馬込参考人 CSLベーリングの馬込から回答させていただきます。神経疾患については、昨今、適正使用を推進しており、その点から適正に使用されているものと考えております。その中でグロブリンの治療が占める割合は年々増加しており、この傾向は緩やかではありますが、続くものと考えております。
○田野﨑委員長 他に何か御発言はありますか。
○武田委員 武田ですが、宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 お願いします。
○武田委員 私も今、松下先生から御指摘いただいた点です。少し不思議に思うというか、神経疾患であれば、やはり必要ではないのかと思いますし、また、ハイゼントラであれば、在宅での自己注射が可能ということで、むしろコロナ禍で来院ができないということであれば、必要に応じてそちらも使ってということが普通ではないのかと感じていました。
今回、需要が増えるだろうということで、輸入を増やして、ただ、期限が来てしまうのではないかということで、輸出になるということです。これはこれで仕方のないことというか、ただ、本当に必要なものを輸入して使うということでやったところではあるのですが、今後、需要についてどのように考えていくのかは、もう一度きちんと精査をしていただきたいと思います。また、本当に必要な患者さんに薬が足りないことになってはいけませんので、その辺りのバランスは非常に難しいところかもしれませんが、きちんと需要予測をして、それに見合った量を製造していく、また、輸入をしていくということで考えていただければと思います。私からは以上です。
○田野﨑委員長 ありがとうございました。
○松本委員 松本ですが、宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 宜しくお願いします。
○松本委員 免疫グロブリンの需要予測に関してですが、非常に難しいところがあるかとは思います。例えば、血液製剤全般的ですが、何かブレイクスルーのような薬剤が出ると、全部そちらへ変わってしまって、血友病などはそうなのですが、血漿分画製剤からリコンビナント製剤、それで今は抗体製剤と流れていきますので、徐々に需要が伸びていくのではないかという予想はされておりましたが、新しい薬が1つ出るだけで一気に予測が変わってしまうことも想定されますので、その辺りは、こまめに状況を把握していかないと、また今回のようなことになるのではないかと思います。以上です。
○田野﨑委員長 宜しいですか。
○若林需給専門官 事務局です。御意見ありがとうございます。血液製剤の需給予測はなかなか難しいところもありますが、事務局の血液対策課で企業と連携し、必要な患者さんに必要な製剤が行き渡るように、今後も緊密に連携して、そのような形になるように努めていきたいと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 本当に国内での生産がショートした場合には、こうやって輸入に頼らざるを得ないというのは、今、そういう二段構えである程度やっておりますので、こまめに、やはり無駄のないように、これからも管理していくことが必要ではないかと思います。引き続き御報告を定期的に宜しくお願いいたします。どうもありがとうございました。
もし、宜しければ、次の議題に移りたいと思います。議題6「各調査会の審議結果について」に移ります。資料5-1について、事務局より資料の説明をお願いします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料5-1は、令和2年度第1回適正使用調査会の審議結果となっております。1ページ、3項の議事概要に会議の内容をまとめております。議題1は、血液製剤使用実態調査についてです。血液法の基本方針において、国は医療機関における血液製剤の使用状況について定期的に調査し、適正使用の推進に必要な方策を講ずることになっております。本調査は、2008年から日本輸血細胞治療学会に委託し実施しているもので、医療施設の輸血管理体制及び血液製剤の使用状況等について調査を行い、適正使用の推進に必要な方策を検討する基礎的な資料の作成を行うことを目的としております。今年度は、へき地・離島を含む小規模医療施設における輸血管理及び実施体制と免疫グロブリン製剤の使用状況を中心に、2019年度に日本赤十字社から輸血用血液製剤の供給を受けた全医療機関9,579施設を対象に調査が実施されました。
調査結果について、輸血管理体制の整備状況は、100床以上施設ではほぼ確立されていたが、100床未満施設では半数以下であったこと、赤血球製剤廃棄率は、100~199床施設において最も高く、100床未満施設においても比較的高かったこと、地域中核病院からの協力支援体制がある医療機関では廃棄量が少ないということ等が報告され、地域における輸血医療体制の構築と血液返品体制について、医療機関、行政機関及び血液センターが連携して検討することの有用性が示されました。免疫グロブリン製剤の使用量については、神経難病等の適応疾患の拡大に伴い増加しており、特に維持療法として皮下注製剤の使用や在宅投与が増加していることから、適正な管理体制が必要であることなどが報告されました。
委員からの主な御意見として、輸血医療の地域連携については、平時にはブラッドローテーション等を活用し、緊急時にやむを得ない場合には、薬機法に配慮しながら融通するという関係の下に対応することが重要。地域中核病院からの協力支援体制の具体的な内容や、使用量と廃棄量の関係などについて明らかにすることが重要。CIDPの新しい治療薬の開発が進んでおり、今後ガンマグロブリン製剤の使用量に影響する可能性がある。ガンマグロブリン製剤の適応疾患で一番使用件数が多いのが重症感染症だが、その使用実態の詳細については更なる検討が必要等の御意見をいただきました。
議題2は、血液製剤使用適正化方策調査研究事業についてです。本事業は、血液製剤の適正使用を推進する観点から、各都道府県における議題と、それに対する取組について調査・研究することを目的としております。各都道県に設置されている合同輸血療法委員会が主体となってこれを行い、全国でその取組を共有することで、効果的な血液製剤の適正使用の方策を推進するものとなっております。今年度については、離島・僻地及び小規模な医療機関における適正使用の取組をテーマに御応募いただき、調査会当日は、選定された8つの県を代表して、新潟県からは、血液搬送装置、ATRを活用したへき地・離島を含む広域ブラッドローテーションにより、新潟県での血液製剤有効利用を図る研究、広島県からは、県内における災害時等輸血用血液製剤供給体制の構築に関する研究、愛媛県からは、血液製剤の供給から医療機関での使用までを包括した地域輸血医療連携体制の構築に関する研究について御発表いただきました。
委員からの主な御意見として、ブラッドローテーションでは、医療機関、自治体、血液センターが連携した体制づくりが重要。緊急時の血液の譲受・譲渡に係る薬機法上の取扱いについて明確にすることが必要。地域において血液センターの果たす役割は大きく、医療機関とのデータの共有など連携した取組が必要等の御意見をいただきました。資料5-1は以上です。
○田野﨑委員長 以上について、委員の先生方から御意見等はございますか。宜しいでしょうか。宜しければ、続いて資料5-2について事務局より説明をお願いいたします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。資料5-2、令和2年度第3回献血推進調査会の審議結果についてです。こちらについては、本年1月28日に開催された献血推進調査会の議事について御説明いたします。まず1ページを御覧ください。こちらに審議結果についての概要をお示ししております。今回の調査会の主な議題としては、中期目標、「献血推進2025」の策定がメインでした。まず議事です。議題1、この調査会が開催される数日前に委員の改選がありましたので、まず最初に改めて座長の選出がありました。互選の結果、座長には佐々木司委員が選出され、座長代理には石田明委員が指名されております。
議題2、血液需給将来予測推計です。こちらについては資料1の5ページにありますが、日本赤十字社が行った需要推計に基づく必要献血者シミュレーションについて、令和7年度の必要な献血者数について説明いたしました。内容としては、令和7年度では、輸血用血液製剤の需要についてはほぼ横ばいであるのに対し、血漿分画製剤、特に免疫グロブリン製剤の需要が増加傾向にあるということを踏まえて、必要献血者数をポジティブ・ネガティブ予測を基に485万人から509万人と推定しております。また、今回、広島大学の田中純子大学院教授が、厚生労働科学研究で血液の需要と供給の将来推計について研究しており、その結果の報告がされました。その中身についてですが、田中教授によると、年齢・地域別献血率と年齢・出生コホート要因から献血率を予測するモデルと、献血回数別の献血行動の傾向から将来の献血行動推移を予測するモデルによって、将来人口推計を用いて算出した令和7年度の献血者数は440万人、444万人と、それぞれ推計されています。
一方、年齢別血液製剤の使用量の推移からは、将来推計人口を用いて算出した令和7年度必要献血者数は477万人から505万人と推計されており、最大で665万人の献血者が不足するという試算が紹介されました。これについて委員からは、日赤のシミュレーションの見直しについては、グロブリン製剤の製造元の状況を踏まえて検討すべきではないかとの御意見がありました。
この推計を基にして、議題3、献血推進に係る新たな中期目標についてです。こちらについては資料に基づいて説明して、委員の御了解をいただき、別紙3ページの「献血推進2025」を決定いたしました。内容としては、背景及び目的があって、その下に達成目標として項目が挙がっております。主な項目としては、若年層の献血者数の増加、16歳から39歳の献血率については目標値を6.7%とするということです。あとは、安定的な献血の確保ということで、献血推進活動に協力いただける企業、団体の数ということで、令和7年度の目標としては7万社とさせていただきました。さらに、複数回献血の推進、これは、前回までは増加としていたのですが、委員から、増加というよりはむしろ推進だろうという御意見があり、修正いたしました。目標としては、年2回以上献血された方の人数を挙げております。こちらについては120万人とさせていただいているところです。項目として、献血Webサービスの利用の推進として、献血Webサービス会員「ラブラッド」の登録者の人数ということで、令和7年度の目標値としては500万人とさせていただいております。
こちらに関しては、4ページに重点的な取組をお示ししております。また、目標ではないにしても、これから注視していくべき数値というものを別途3点ほど挙げた次第です。なお、中間年である令和5年度を目途に達成目標の実績値を確認して、必要に応じて見直すものといたしました。委員の皆様からの御意見としては、企業の数を増やすとしているが、企業の協力数だけではなく、実際の献血バスの献血予約数などを入れてみたらどうかとか、あるいは、「ラブラッド」会員数については、登録者数だけではなく、会員の献血者数や献血者の会員率も見た方が良いと。また、そういった目標の数値を達成することだけではなく、そのためにどのようなことをやっていくのかが重要ではないかといった御意見がありました。
議題4はその他として、高校の養護教員である村井委員から、自身が勤務する高校にて校内献血を行った際の生徒の意識調査を口頭で紹介されました。また、栃木県の衛生部長である海老名委員からは、栃木県の若年層への献血の推進の取組について紹介がありました。調査会の結果としては以上です。宜しくお願いいたします。
○田野﨑委員長 委員の方々から御意見等はございますか。いかがでしょうか。今度は目標の2025というのができてきたわけですが、この前の2020の評価ということに関しては、いかがなものだったのでしょうか。簡単に御説明いただけますか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。2020の評価ですが、資料の153ページを御覧ください。最後の2ページです。評価については、第2回献血推進調査会で評価されました。それぞれの数値の実績に基づいて申し上げます。まず、令和元年度の数字ですが、当初、10代については7%、20代については8.1%、30代については7.6%と示していたわけですが、令和元年度についてはそれぞれ10代が5.5%、20代が5.7%、30代が5.5%ということで目標は達成できなかったということです。集団献血の確保については6万社としていたのですが、令和元年度については5万9,000社ということで、ちょっと微妙な線ではありますけれども、これも達成できていないという状況です。さらに、複数回献血についても120万人というところが98万人という数字で、こちらも達成できていないという状況です。
なお、献血の周知度の上昇については、年間1,600回の献血セミナーを実施するとしていましたが、こちらについては令和元年度は1,950回ということで、目標を達成できたということです。全体として、なかなか厳しい状況でして、当然、目標としては定めてはいるのですが、なかなか若年層への働きかけが難しかったのかなということです。あと、安定的な献血については、この時点ではですので、もしかすると達成できているかもしれないのですが、ちょっと何とも言えないところです。いずれにしても、複数回献血者及び若年層については、引き続き確保に取り組んでいきたいと考えています。ただ、目標がこれで妥当かどうかというお話でして、今回、日本赤十字社のシミュレーション結果に加えて、田中純子広島大学教授の研究成果を含め、また目標策定に関しては当然、調査会の委員の御意見も含めて設定した次第です。以上です。
○田野﨑委員長 委員の先生方から御意見とかがあればと思いますが。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。
○田野﨑委員長 はい。
○岡田委員 資料5-2の77、78ページの資料を見ますと、高校生の献血は栃木県が一番高いのですが、400mL献血に関しては福岡県が断トツで、100%なのです。高校生の集計の中に福岡が入っていないのです。200mL献血はもう受け付けていないので、福岡は高校生の比率のようなのには入ってこないのではないかと思うのですが、次世代の献血者を確保するためには、やはり高校生のときに献血をする機会を与えるということが重要だと思うので、色々な事情があるかと思いますけれども、福岡県においても高校生にも献血ができるような機会を是非設けていただきたいと思っています。以上です。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。御意見をありがとうございます。過去の状況を見ると、私の方で調べたところ、福岡県でも決して200mL献血を募集していないわけではなくて、過去に確か実績があったと思います。いずれにしても先生のおっしゃるとおり、200mLというのはやはり重要であると考えておりますので、そこはちょっと重点的に進めていただくものと考えている次第です。宜しくお願いいたします。
○田野﨑委員長 宜しいでしょうか。
○岡田委員 分かりました。
○田野﨑委員長 他の委員の方からの御質問はありますか。宜しければ資料5-3について、事務局より御説明をお願いいたします。
○野寺血液対策課長補佐 事務局です。資料5-3は、令和2年度第2回安全技術調査会の審議結果となっております。1ページからの議事概要に、委員の先生方から頂いた御意見及び回答等をまとめております。議題1、新型コロナウイルス感染症に係る安全対策についてでは、資料1-1、ワクチン接種者の採血制限期間について及び資料1-2、日本赤十字社の新型コロナウイルス感染症への対応について御審議いただきました。資料1-1では、国立感染症研究所の濵口先生が研究代表者を務めておられる厚生労働科学研究班にて、現時点での知見を整理していただき、その結論として、資料5-3の7ページの中ほどですが、当分の間の取扱いとして新型コロナウイルスワクチンの種類によらず、採血制限の期間を接種後4週間とした上で、今後の知見の集積を踏まえ、不活化ワクチン等において接種後1週間などとする取扱いも含め、改めて検討することとしています。
研究班での議論としては、9ページに各国の状況を表形式で記載しておりますが、メッセンジャーRNAワクチンやウイルスベクターワクチンを不活化ワクチンと同様に分類し、採血制限の期間を接種後1週間などとしている例が複数あるものの、ウイルスベクターワクチンを接種後4週間とする例や、接種後に副反応が認められた場合は、症状が回復してから1~4週間後とする例もあり、国によって対応が定まっていない状況にあることから、現時点では安全性を重視して、接種後4週間としております。当該結論については、多数の委員の先生方から御賛同いただいており、諸外国での対応のように、不活化ワクチンと同様の対応でも良い可能性はあるものの、十分な知見は得られておらず、より慎重に対応すべきであること、献血者が接種されたワクチンの種類を適切に認識できるか不明であることなどから、血液製剤の供給に支障のない現時点では安全性を優先して、接種後4週間との結論に御理解をいただいております。
15ページからの資料1-2では、令和2年度第1回運営委員会、第1回安全技術調査会に引き続き、日本赤十字社の新型コロナウイルス感染症への対応として、献血会場等におけるウイルス感染予防対策や、輸血による新型コロナウイルス感染の可能性に係る知見について更新された内容が示されております。
議題2のその他では、名古屋大学の松下先生が研究代表者を務めておられる厚生労働科学研究班の新興感染症の回復者からの血漿の採取体制の構築に向けた研究班にて作成された血漿採取の指針を参考資料として提示し、御確認いただきました。背景としては、COVID-19等新興感染症の回復者血漿については、血漿療法に一定の有効性が示唆されておりますので、欧米では新興感染症が発生した際には、迅速に回復者からの血漿を集めるという体制が整備されているものの、日本ではまだ確立されておりません。その一因としては、回復者からの採血に関する指針等がないということがありますので、研究班で包括的な指針の検討をしていただいているという状況です。血漿採取の指針はその成果の1つでして、資料5-3の26ページにあるように、採血対象者は回復者であり患者ではないため、ノーリスクが原則であることから、2項において目標症例の10分の1から5分の1に達した段階で必ず安全性を評価し、試験の継続の可否を決定しなければならない旨が規定されているなど、採血対象者の安全性を厳密に保障することに重点を置いて作成されております。
また、回復者を選定するための選択基準として、27ページの2.2項の4)過去にCOVID-19(軽症から中等症)と診断された者、5)COVID-19症状消失から2週間以上経過した者、28ページの5)のg)中和抗体の抗体価上昇と抗体活性が確認され、総合的に抗体力価が高いと判断されているなどが規定されており、31ページの5.3項にあるように、新型コロナウイルス抗体価基準以上、血液PCR陰性、その他感染症スクリーニング陰性などの基準に適合した場合に、対象者として血漿採取を行うこととされております。研究班ではこの他にも、採取施設が備えるべき要件、回復者血漿の投与に関する指針等について御検討いただいており、年度内をめどに結果を取りまとめることとされております。資料5-3は以上です。
○田野﨑委員長 何か委員の先生方から御質問等はございますか。
○武田委員 武田ですが、宜しいでしょうか。
○田野﨑委員長 お願いいたします。
○武田委員 今、御説明いただいたワクチン接種者の採血制限期間についての所で、資料5-3の2ページなのですが、岡崎委員から御指摘されている部分で、HLA適合血小板のようにドナーが限られている特殊な製剤の供給が途絶えてしまうことに危機感を覚えていますという御指摘がありました。この点については、特には大丈夫ということで宜しいのでしょうか。
○田野﨑委員長 これに関して、少し私の方で手違いがありまして、ワクチン接種者の採血制限期間については、濵口委員から追加発言があると伺っております。濵口委員から、もしこれにも関連するようであれば御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○濵口委員 御指摘の期間に比べると長めの期間ということになります。ただ、現状においては、mRNAワクチンにしてもウイルスベクターワクチンにしても、これまで接種の結果が実際には得られていないという状況の中では、これをどこに設定するかというのは海外のデータを見比べながらやるしかありません。正にワクチン接種が開始されてはいますが、混乱のない状況で制限期間を設けるとすれば、4週間が妥当であろうと思います。ただ、これについては今、御懸念がありましたように、供給の面で色々な問題が起こってくる可能性ということも考えられますので、できるだけ早いうちに、国内での知見が得られた段階で、速やかな修正若しくは見直しとかということも含めて検討したいと考えております。現状においては、日本赤十字社とも情報の交換をしながらタイミングをはかっていくべきかなと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 宜しいでしょうか。1つ私から濵口委員に伺いたいのですが、ウイルスベクターワクチンというのは、一種の生ワクチンのように考えても宜しいのでしょうか。
○濵口委員 メーカーからの情報では体内で複製しないということですので、生ワクチンとは別物と考えられます。アメリカ等では不活化ワクチンと同じようなカテゴリーの中で取り扱われておりますが、別の国においては、例えばシンガポールではウイルスベクターワクチンを不活化ワクチンとは別の項目で扱っているということもあって、まだ確実にどこに設定するのが妥当かということが定まっていない状況です。以上です。
○田野﨑委員長 他にいかがでしょうか。
○岡田委員 良いでしょうか。
○田野﨑委員長 岡田委員、どうぞ。
○岡田委員 これからワクチン接種が始まるのですが、自分がどのようなワクチンを打たれたかという情報は提供されるのでしょうか。確かこれから、例えば3種類のワクチンが接種された場合に、献血者が自分はどのワクチンかという情報を持っていると、場合によってはワクチンの種類によって献血制限が短かったり長かったりすることもあろうかと思うのですが、そのときの情報として、ワクチンを打たれた人に自分がどのようなワクチンを打たれたかという、そういう情報は提供されるのでしょうか。事務局にちょっとお聞きしたいのですが、どうでしょうか。
○野寺血液対策課長補佐 確定的な情報は、現時点で有してはおりませんで、報道によると、少なくとも会社名の書かれたラベルが貼られた書類に当たるものが提供されるというところですが、その辺りについても関係する課に確認して、研究班の先生方にお伝えできればと考えております。
○岡田委員 宜しくお願いいたします。
○濵口委員 濵口です。
○田野﨑委員長 宜しくお願いいたします。
○濵口委員 現状においては、mRNAワクチンが先行して接種されることと想定されますので、いくつもの種類のワクチンが市場に出てくる前に、整理が必要かなと考えております。以上です。
○田野﨑委員長 他は宜しいでしょうか。そうしましたら、続いて今の資料の新興感染症のCOVID-19の回復者からの血漿採取の指針について、松下委員から追加で御発言等があれば宜しくお願いいたします。松下先生、いかがでしょうか。
○松下委員 特に追加することはありませんが、今、御説明にありましたように、実際に感染されて回復された方に医療機関にお越しいただいて採取するという大まかなルールに関して、取りあえずCOVID-19についてほぼ作成は終了いたしました。これから具体的に国内で動いている1つの研究班の事業が始まっていきますので、そちらについてもし何か問題があれば修正しつつ、また将来もしも次のCOVIDが現れた場合には、文言を修正しながら対応していきたいと考えております。また、先程、ちょっと御紹介がありましたが、具体的に血漿そのものを患者さんに投与するという事業も一部の施設で行われる可能性もありますので、それについても先駆けて指針を作っていきたいと考えており、次の班会議で何とか取りまとめたいと思っています。以上です。
○田野﨑委員長 将来、新興感染症が出た場合のことも考慮しながらということで、検討していただいていることと思います。そうしましたら、以上をもって議題6までを終わりにしたいと思います。最後に議題7、その他に移ります。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○若林需給専門官 資料は資料6-1、参考資料1、資料6-2、参考資料2になります。資料6-1と資料6-2で御説明いたします。
資料6-1を御覧ください。リクスビス静注用2000の供給停止についてです。経緯としては、リクスビス静注用2000は、血液凝固第Ⅸ因子欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とする遺伝子組換え血液凝固第Ⅸ因子製剤です。今般、武田薬品工業株式会社より、リクスビス静注用2000について、供給停止の相談がございました。本製剤は今年度当初、1000、2000及び3000の国際単位の3規格を有しておりましたが、昨年6月時点で使用患者数は1名、納入医療機関は1施設の状況であり、2000国際単位を残して、1000及び3000国際単位の供給停止を進めることとしました。2000単位についても、昨年9月以降は1名の使われていた患者が半減期延長製剤に切り替えたことによりまして、使用患者及び納入医療機関の数はゼロとなっており、半減期延長製剤への切替え後約半年間フォローアップしておりましたが、使用患者において特段の問題が生じていないという状況です。また、2000単位の規格を有している代替製剤につきましては、標準型製剤で2製品、半減期延長製剤で3製品が存在していることもあり、この供給停止については、特段の問題はないものと考えております。今後の予定としましては、供給停止に向けた手続を進めていきたいと考えております。
続いて、資料6-2について御説明いたします。アンスロビンP500及び1500注射用の供給停止についてです。経緯についてですが、アンスロビンP500及び1500注射用は、先天性アンチトロンビンⅢ欠乏に基づく血栓形成傾向、アンチトロンビンⅢ低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)を効能・効果とする乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ製剤です。今般、KMバイオロジクス株式会社より、本製剤について供給停止の相談がございました。本製剤は、主としてDICに対して使用されておりましたが、新規の薬剤や治療方法が開発されていることもありまして、血漿由来のアンチトロンビンⅢ製剤のニーズは年々低下しているところです。また、2015年6月に、旧化血研の問題により、本製剤は一時出荷差止めとなり、2018年9月に出荷が再開されるまでの間は他社製品で代替されておりました。そういった経緯もありまして、現在の販売数量は2019年度で1,137本(500単位換算)であり、納入件数は全国で約20施設となっておりまして、製造ロットスケールの関係で、生産した製品の8~9割が廃棄処理となってしまっているところです。なお、同規格、同効能・効果を有している代替製剤としては、血漿分画製剤で2製品が存在しております。また、その他に遺伝子組換えの製剤が1製品存在しているところです。こうした状況ですので、本製剤についても供給停止をして問題がないものと考えております。今後の予定としましては、供給停止に向けた手続を進めさせていただければと考えております。資料の説明は以上です。
○田野﨑委員長 委員の先生方から御発言はありますでしょうか。患者への影響はなさそうです。
○岡田委員 DICの患者には他社の製剤が使えるから良いのですが、先天性の患者に使われていた場合に、安定化剤に対する反応などで、どうしてもこの製剤しか使えないという患者がいると困るのですが、そういう患者がいないことが確認できれば、製造を中止しても良いと思います。そういうことなので、先天性の患者に投与されていたら、他社の製剤への切替えの確認を是非お願いします。
○KMバイオロジクス株式会社 田中参考人 KMバイオロジクス営業推進部の田中と申します。私から回答させていただきます。「先天性」と書かれておりますが、先天性アンチトロンビンⅢ欠乏症に関しては、血友病のように、繰り返しの投与が必要な疾患ではないと考えております。また、先程、血液対策課様から御説明がありましたように、2015年6月から約3年3か月、出荷がなくなったということがごさいますが、その間も他のグロブリン製剤や血友病製剤とは違いまして、この製剤でなければ困るという患者様はなかったと考えております。今後も注視はしていきますが、ここに関しては問題はないのではないかと考えているところです。
○岡田委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○田野﨑委員長 岡田委員に御指摘いただいたようなことは今後とも発生する可能性はゼロではないので、またそのときに検討する必要があるかとは思いますが、引き続き宜しくお願いいたします。他は宜しいでしょうか。
そうしましたら、続いて特殊免疫グロブリン製剤供給体制整備支援事業の報告について、事務局より資料の説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 資料6-3の特殊免疫グロブリン製剤供給体制整備支援事業について御報告いたします。こちらの事業は、先月末に成立した令和2年度第3次補正予算にて計上させていただき、今般認められたものです。
事業の目的は、新型コロナウイルス等新興・再興感染症の治療として、回復者の血漿を用いた特殊免疫グロブリン製剤が期待されている状況です。欧米では、既に迅速に原料血漿の確保と、その製造が行える体制が整備されています。しかしながら、日本国内の現状においては、そうした体制が整っておりません。今般、新型コロナウイルス感染症が流行していることもあり、私どもとしては、回復者の血漿の確保体制及び製造体制の整備が急務であるということから、国内における供給体制の整備を支援するものです。
事業の中身については、柱は2本あります。まず1つとしては、原料血漿確保に係る体制整備の支援です。特殊免疫グロブリン製剤等の原料となる原料血漿を確保するための回復者からの血漿採取に係る対応、例えば医療機関との連携、受付システム、安全対策、採血にかかる費用及び保管にかかる費用といったものなど、採血事業者の業務に必要な経費を補助するものです。こちらについては、日本赤十字にお願いする予定です。なお、原料確保において回復者血漿を得るために回復者の募集の必要がありますので、そこに関しては協力医療機関と連携して、募集、採血をしていただくことを考えております。
次に、特殊免疫グロブリン製剤の供給体制の整備の支援です。集めた回復者の血漿を特殊免疫グロブリン製剤に製造するための経費を補助するものです。こちらについて、国内血漿分画製剤メーカー1社程度にお願いしようと思っています。なお、こちらは公募で募集する予定です。金額は約9.9億です。これによって体制整備を図っていきたいと考えております。御報告は以上です。
○田野﨑委員長 こちらに関して、何か御質問などはございますでしょうか。
○岡田委員 特殊免疫グロブリンの所に「回復者から」となっておりますが、これはワクチン接種者も含まれていると考えて宜しいのでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 まず、ワクチン接種者については、現状、2月17日から接種が始まったということですので、最初は回復者を募集して、その血漿を採取して、その原料を使わせていただければと思います。ただ、将来的な話となってくると、また今後の話になってくると思います。
○岡田委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○田野﨑委員長 現在、松下先生が中心でやられている研究班と結び付いているということで宜しいのでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 おっしゃるとおりです。松下先生の研究成果を加味させていただいて、原料血漿の確保ということで進めていきたいと考えております。
○田野﨑委員長 あと、予算額が9.9億円ということですが、1社程度に公募でということで予算が9.9億で、これがそのまま全額そちらに行くような形で伺えたのですが、いかがでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 全部行くわけではありませんで、原料血漿確保に係る採血の部分が、かなり多うございます。その部分がありますので、全部が全部公募の方に行くわけではございません。
○田野﨑委員長 ここに各社が現在、揃っているわけではございませんが、どうぞ宜しくお願いいたします。
○松本委員 どういうタイムラインで考えられているのでしょうか。実際に、製造できて販売、患者に投与できるのはいつ頃を目途に考えられているのでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 いつ患者に供給できるかというお尋ねですが、この事業の難しいところは、必要な原料血漿が採取できるかどうか。そこら辺にもよりますので、どこまで具体的な時期についての回答は難しいということで、こういう回答とさせていただければと思います。
○松本委員 恐らく今年度と来年度、今年度の補正なので来年度末ぐらいまでに、この9.9億円という話になっていると思うのですが、その辺りまでというように思っておいて良いのでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 今回の事業の体制としては、国内の供給体制の整備で、そこが主眼です。ですので、ダイレクトに、直ちにその年度までいくかどうかというのは、先程、申しましたとおり、回復者血漿の確保についてどのぐらいなのかという話が出てきますので、そこは実際に患者に届くまでというのは、今のところは明言できないところでして、申し訳ございません。
○松本委員 分かりました。ありがとうございました。
○田野﨑委員長 私の理解でも、今回のCOVID-19を契機に、ここでなるべく早く、こういった免疫グロブリンを作る体制を国内につくる。次に現れてくる新興感染症に対して、そのときも速やかにこういうことができるように、そのシミュレーションでもあるかなと考えております。そういうような理解で宜しいでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 そのとおりだと思います。まずは供給体制の整備、もちろん、それにプラス、できれば特殊免疫グロブリン製剤の供給の方に結び付けば良いなと考えている次第です。
○田野﨑委員長 松下先生から何か御発言はありますでしょうか。
○松下委員 特にないのですが、事業の主体が医療機関から少しずつ日赤に移っていくということで、自ずとやり方も変わってくるでしょうし、日赤も採取をする設備を、通常の献血ルームなどからは切り離して行われるのではないかと想像しているので、個人的には9.9億で足りるのかなとも思わないわけではありませんが、うまくいけば良いと思っています。
○田野﨑委員長 他に御意見等はございますか。宜しいでしょうか。そうしましたら、最初に少しトラブルがございましたが、無事に時間内に終わりまして、本日の議題は以上となります。他に何か御意見等はございますでしょうか。なければ、事務局に議事進行を戻したいと思います。
○野寺血液対策課長補佐 田野﨑委員長、ありがとうございました。次回の運営委員会の日程は別途御連絡差し上げます。これにて血液事業部会令和2年度第5回運営委員会を終了いたします。本日は音声まわり等にて御不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。ありがとうございました。

(了)

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