令和3年3月16日(火)

 今朝の閣議におきまして,法務省案件はございませんでした。
 続きまして,私から2件御報告がございます。
 1件目は,京都コングレスについてです。
 京都コングレスは,6日間の全日程を終え,先週,閉幕いたしました。全ての関係者の皆様に対し,改めまして心から感謝を申し上げます。
 コロナ禍の影響で延期を余儀なくされ,来場参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド方式での開催となりました。国連,開催地京都の自治体,そして関係する全ての方々と力を合わせ,このハイブリッド方式での開催につきまして,調整と準備を重ねてきたところです。
 その結果,いずれも過去最多となる世界152か国から約5,600人が参加登録をし,ハイレベルセグメントでは,90か国の閣僚がステートメントを実施いたしました。これに加えて,来場してくださいました閣僚同士が二国間会談を通じまして意見交換や関係構築を図るなど,ハイブリッド方式ならではの大きな成果を上げられたと考えております。
 事務局を務めた国連薬物犯罪事務所(UNODC)のワーリー事務局長からも,今回の京都コングレスを今後の国際会議のモデルケースとし,そのノウハウを国連内で広く共有したい旨の評価をいただいたところです。
 今後は,国連及び加盟国が,京都宣言に盛り込まれた内容を実施していく,行動するということでありまして,再犯防止・更生保護分野における国連のスタンダード作りやユースフォーラムの定期開催など,京都コングレスのレガシーを構築・展開していくことが重要となります。
 総理も開会式で言及されていらっしゃいましたとおり,国際社会における法の支配の確立を目指す「司法外交」の取組の一つとして,こうした京都宣言の実施等にリーダーシップを発揮していく所存でございます。
 次に2件目は,精神障害を有する性犯罪被害者への代表者聴取についてです。
 検察当局におきましては,これまで,児童を被害者等とする事案において,警察や児童相談所と連携して,代表者聴取の取組を実施してまいりました。
 このような代表者聴取の取組に関しましては,被害者団体を始めとする皆様方から,その対象を障害がある性犯罪被害者にも拡大するなど,このような被害者に対する事情聴取の在り方をその供述の特性や心情等に配慮したものとすることなどといった御指摘もいただきました。
 このような御指摘等も踏まえまして,令和2年6月に決定されました「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の実施工程におきましては,令和2年度から3年度を目処として,障害がある性犯罪被害者の事情聴取の在り方等について,参考となる事例の把握・情報提供など,より一層適切なものとなるような取組を検討することとされました。
 これを受けまして,検察当局におきましては,本年4月1日から,知的障害等の精神に障害を有する被害者に係る性犯罪事件のうち,事件の内容,証拠関係,被害者の障害の程度等を考慮して,相当と認められる事件について,警察と連携して,代表者聴取を行う取組の試行を開始することとなりました。
 この試行は,まずは,全国の部制庁の地方検察庁(東京,大阪等の部が置かれた地方検察庁13庁)におきまして,先行実施いたします。そして,その試行状況等を踏まえまして,全庁に拡大することを検討していくものと承知しております。
 法務省といたしましても,こうした取組を通じまして,引き続き,性犯罪・性暴力の根絶に向けた取組や被害者支援に全力で取り組んでまいりたいと考えています。

元東京高検検事長の処分に関する質疑について

【記者】
 元東京高検検事長の黒川弘務氏の賭けマージャン問題についてお尋ねします。東京地検が,単純賭博罪で起訴猶予処分とした後に,検察審査会の起訴相当の議決を受けて再捜査をしていて,つい先日,先般の処分を見直して,略式起訴する方針という報道がされました。その報道に対する受け止めと,現在の捜査状況や処分の見通しについて可能な範囲でお願いします。

【大臣】
 ただいま御指摘の報道につきましては承知しております。
 御指摘の事件については,検察審査会の議決を受け,検察当局において捜査中であると承知しておりますが,お尋ねにつきましては,個別事件における捜査の具体的な内容に関わる事柄でございますので,お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。

(以上)