文科省・新着情報

1.日時

令和2年12月4日(金曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室 (※WEB会議)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
  2. 答申(素案)について
  3. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん,こんにちは。荒瀬でございます。定刻となりましたので,ただいまから第128回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。本日は御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。本会議はいつものように,感染症の拡大を防止するためにウェブ会議方式で開催させていただきます。
 議事に入ります前に,前回の会議以降で事務局に人事異動があったとのことですので,御紹介をお願いしたいと思います。

【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長の田中でございます。
 前回の会議以降の人事異動といたしまして,10月1日付で大臣官房審議官(初等中等教育局担当)に塩見みづ枝が就任しております。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 続きまして,本日の会議の開催方式及び資料につきまして,引き続き田中室長からよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 本日も前回会議までと同様に,Webexを用いたウェブ会議方式で開催させていただきます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,大変恐れ入りますが,御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料2まで,加えて,参考資料1から5-2となっております。御不明な点等ございましたら,お申しつけください。

【荒瀬分科会長】 資料のほう,よろしいでしょうか。本日は2時間半を予定しております。途中で休憩は挟みませんので,どうぞよろしくお願いいたします。
 まず,議題は2つございますが,議題の1といたしまして,令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を取り上げます。続いて議題の2といたしまして,答申素案を御検討いただきたいと思っております。意見交換は,それぞれの議題ごとに行いたいと思っております。
 なお,本日は,報道関係者の方と一般の方向けに,この会議の模様をWebex Eventsで配信しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。
 それでは,本日の議題に入ります。今も申しましたように,議題の1といたしまして,令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果につきまして,江口児童生徒課長から御説明をよろしくお願いいたします。

【江口児童生徒課長】 児童生徒課長の江口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,早速ではございますけれども,先般取りまとまりました調査結果ということで,概要を御報告申し上げたいと思います。この調査につきましては,毎年全国の国公私立小中高等学校全体に対して行っているものでございまして,この時期の取りまとめということになっているものでございます。
 では,早速でございますけれども1枚おめくりをいただきまして,1ページ,2ページということで,全体の概要ということになっておりますので,まずこちらの部分を御覧いただければと思います。
 では,まず1ポツで,いじめでございます。こちらにつきましては,令和元年度につきましては612,496件の認知ということになってございまして,前年度に比べまして68,563件,12.6%の増加ということでございました。また,いじめの重大事態,いじめ法28条に基づくものですけれども,こちらにつきましては723件ということで,こちらも前年度に比べまして121件,20.1%の増加ということでございました。
 いじめの認知につきましては,初期段階のものも含めまして積極的に認知をしていただくことを文科省として現場のほうにお願いしておりまして,そういう意味で認知件数が増えているということは肯定的に評価をさせていただいているところでございます。また,認知も大変数が多くなっておりますけれども,そのうちの8割強は年度末時点で解消しているということがございます。
 一方で,重大事態の増加につきましては,非常に憂慮すべきと考えてはございます。もちろんこの件数が限りなくゼロに近づけばいいということではあるんですけれども,法に基づきまして適切に対応すべきものは適切に対応すべきという部分もあるということを考えております。
 続いて,暴力行為でございます。こちらにつきましても,最近の傾向と同じく全体の件数は増加をしておりまして,昨年度は78,787件ということでございまして,前年度から8%ほど増加しているということでございます。特に小学校における暴力行為の増加が続いております。背景といたしましては,いじめの積極的な認知ということを進めておりますので,その関係で暴力行為の把握の促進にもつながっているのかなとも考えているところでございます。
 続いて,2ページの3ポツで,不登校の関係でございます。こちらにつきましては小中学校ということですけれども,全体で181,272人ということで,前年度から16,744人,10.2%の増加ということでございました。中でも約56%につきましては,90日以上の欠席ということでございまして,憂慮すべき状況とは考えてございます。他方で,教育機会確保法ということの趣旨が徹底して,児童生徒の休養の必要性等も理解されてきたという側面もあるのかなとは考えているところでございます。
 続いて4で,中途退学でございます。こちらにつきましては,高等学校からの中途退学ということになりますが,42,882人ということで,こちらは若干減少ということでございまして,今年度も減少を続けているということでございます。
 それから,5の自殺でございます。自殺につきましては,小・中・高等学校合わせて317名ということで,前年度は332人ということで,若干減りはしたんですけれども,以前と比べますと高い水準が続いているということもございまして,極めて憂慮すべきというふうに考えております。
 文科省といたしましては,SOSをどのように受け止めるかというあたり,それから,組織的な対応を続けていくというあたりがポイントと考えております。また,教育相談体制の充実,地域ぐるみでの取組,あるいはいじめの関係では,特に周知ですね。あるいは,普及啓発等々も大事ということで考えているところでございます。
 それでは,1ページおめくりいただきまして,3ページ以降につきまして,個別の部分について御説明をいたしますが,枚数も多いので端折って御説明をさせていただきたいと思います。
 まず,3ページでございます。いじめの全体の数値のグラフでございます。特に青色ですね,小学校の数値の伸びが大きいことが見て取れるというところでございます。
 それから,飛ばしまして7ページでございます。いじめの態様別状況ということでお示しをしてございます。長期的な傾向としてはあまり変わってはございませんが,やはり一番上の冷やかし,からかい,悪口,脅し文句,嫌なことを言われるという類型が一番多くなっているということでございます。
 それから,8ページにいっていただきまして,いじめの重大事態ということでございます。先ほど増加しているということで申し上げたところではございます。1号事態,2号事態ということで,それぞれ増えているわけですけれども,内容としては2号事態,いわゆる不登校重大事態と言われているものが多くなっているということでございます。
 それから,飛ばしまして,暴力行為の関係で,10ページを御覧いただければと思います。こちらにつきましても,全体の推移が分かるようになってございますけれども,小学校の増加傾向が際立っているということが見ていただけるかなと思います。
 それから,14ページにいきまして,今度は不登校の状況でございます。14ページにつきましては推移ということでお示しをしているものでございまして,増加傾向が続いているということでございます。
 それから,16ページにいっていただきまして,不登校の要因ということでございます。こちらについてもお示しのとおりでございますけれども,本人の無気力・不安というものが一番多くなっているということに続いて,それぞれ友人関係をめぐる問題,学校に係る状況の中にありますけれども,それから家庭に係る状況の中の親子の関わり方,このあたりが順次多くなっているという状況にあります。
 続いてもう1ページおめくりいただきまして,17ページが不登校児童生徒に対する対応状況ということになってございます。学校の内外で相談を受けた,あるいは指導を受けた状況ということで,数字が出ているところでございます。
 それから,端折りまして19ページには,高校の不登校の状況ということでございますが,高校においては横ばいないし減少をしている状況がございます。
 続いて,23ページでございます。自殺の関係でございます。先ほど昨年よりは減ったと申し上げたんですが,ちょっとここ数年の状況から見ると高い水準にとどまっているという状況が見ていただけると思います。自殺した原因等はなかなかよく分からないところではございまして,児童生徒が置かれていた状況ということで,一番多いのは不明ということでございますが,そのほか進路問題ですとか,家庭不和ですとか,父母等の叱責等々があったというのが上位に来ているところでございます。
 最後,24ページでございますけれども,以上を踏まえまして,文科省としては,スクールカウンセラー,ソーシャルワーカーの配置や充実をはじめとした各種施策を引き続き進めてまいりたいと思っております。
 簡単でございますが,以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明につきまして,意見交換を行いたいと思います。時間といたしましては30分程度を考えております。御発言ございます方,いつもと同じように挙手ボタンを押していただきますように,よろしくお願いいたします。御発言の際には,マイクをオンにしていただくということもお忘れなくお願いいたします。
 では,八並委員,よろしくお願いいたします。

【八並委員】 日本生徒指導学会・会長の八並です。
 今回の調査結果についての感想と質問です。暴力行為・いじめ・不登校に絞って,問題点や質問を述べたいと思います。
 第一に,暴力行為です。顕著なものは,小学校の暴力行為が調査史上最多です。いじめ防止対策推進法が,平成25年に公布されたので,平成25年と令和元年を比較すると,小学校は実数でも,千人当たりでも,4倍となっています。学校管理下のいわゆる校内暴力が,激増しています。また,暴力行為の態様でみますと,生徒間暴力が最も多いですが,約9千8百件(13%)が対教師暴力であり,その内6千5百件(66%)が小学校で起きています。いじめとの関連もありますが,小学校におけるセーフ・スクール(安全な学校)の実現は,急務ではないでしょうか。
  質問ですが,児童生徒千人当たりで,地域差を見ると,都道府県の全国平均の6.1件の2倍以上の神奈川県・岐阜県・沖縄県,指定都市の全国平均8.7件の2倍以上の仙台市・横浜市・新潟市などの暴力行為多発要因に関して,何か情報収集をされていますでしょうか。
 第二に,いじめです。暴力行為同様に,いじめの認知件数も,小学校がいじめ防止対策推進法の公布以来最高です。25年と比較すると,1.7倍強です。いじめの学年別の認知件数を見ると,小学校特有の現象が見られます。小学校1年から4年までで,8万件から9万件あります。小学校1年では,8万8千件程度です。この傾向性は発達段階が低いからとも読めますが,小学校という環境要因によって急激に発生するとは考えにくいと思います。つまり,小学校入学以前の幼稚園や保育園での子ども実態調査が必要ではないでしょうか。
 ネット検索すると,幼稚園での暴力行為や感情コントロールのできない幼児が増えているという情報もあります。幼小の連携も,こうした暴力防止の観点から検討するのがよいように思います。
 いじめの問題により就学校の指定変更等を受けた児童生徒数は,407件あります。この事実も,教育を受ける権利という観点からすると,重い課題だと思います。
 この他,いじめの解消率は約8割ですが,重大事態は723件と依然として多いです。いじめ自死は,10人です。いじめ防止等の最優先事項としては,重大事態ゼロ・いじめ自死ゼロが目標かと思います。
 第三に,不登校です。不登校は,中学校で多発しています。不登校の主たる原因では,小中の合計では,「無気力・不安」(40%)という本人に係るものが最も多いです。次いで,「いじめを除く友人関係をめぐる問題」(15%),「親子の関わり方」(10%) となっています。
 そこで,質問ですが,この友人関係をめぐる問題と親子の関わり方の具体的内容を教えていただけないでしょうか。既に,ネット上では,「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査-用語の解説」がありますが,具体的な例を挙げていただく方が,解消法の検討にも役立つと思います。たとえば,前者では,生徒指導だけでなく特別支援教育の対象となる子どもが学級で苦戦しているとか,あるいは後者では,保護者からの心理的虐待やネグレクレトが含まれるなど,現在把握されている情報で,例示していただけると理解が深まると思います。
 学校外の機関等で相談・指導を受け,指導要録上出席扱いとなった小中学生は,2万6千人です。これは,不登校の子ども全体の14%です。また,自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いになった子どもは,608人です。非常に少ないのではないでしょうか。
 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の第13条 (学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援)やGIGAスクール構想からすれば,不登校の子どもの個々の状況に応じた多様な学習支援と,指導要録上の出席扱いについて調査研究が必要な気がします。
 最後に,生徒指導諸課題に対して,起きてからの対応では早期解決は非常に難しいです。したがって,起きないようにどうするかという未然防止型の生徒指導実践や,もっと抜本的に子どもの個性や可能性の発見・伸長,社会性の育成に重点を置いた成長促進または発達促進型の生徒指導実践が,今後重要となると思います。アメリカのスクールカウンセリングでは,ガイダンスカリキュラムと呼ばれる授業型生徒指導を行っています。それが,スクールカウンセラーの提供サービスの一つです。日本でも,教員とスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーが連携して,ガイダンスカリキュラムの開発研究が必要だと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。角田委員,お願いいたします。

【角田委員】 リクルートの角田です。専門的ではないので,2点だけ質問等させていただきたいと思います。
 非常に都道府県による差が激しいので,八並委員と同じなのですが,そこの分析をどのようにされているか,その結果をもう少し知りたいと思います。
 それから,これは令和元年度間のデータなんですよね。それがコロナ禍を経てどうなっているのか。様々な案件がニュースとしては報じられていますので,令和2年度間の調査の結果発表を,このタイミングよりも早く,そして分析と対策を考えていただければと思いました。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 それでは,喜名委員,お願いいたします。

【喜名委員】 よろしくお願いいたします。資料の16ページにございます,小中学校における不登校の状況についての不登校の要因についてお話をしたいと思います。小学校の場合にも,ほかの校種もそうですけれども,本人に関わる状況,特に無気力,不安というところが大きなポイントになっています。今回,この後の議題にもありますけれども,答申素案の中に出てくる,いわゆる学校の同調圧力の問題,このあたりが大きな要因になっているのではないかなと,ここ数年特に感じているところであります。子供たち自身が集団になじめないということが不安につながり,無気力につながるということもあるのではないかなと思っていますので,このあたりを更に分析することと,今回の方針に関わる内容とのつながりを,今後研究していったらいいのではないかなと思っています。
 意見でございます。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 それでは,今,御質問がお二人から出ました。また,喜名委員からは御指摘もいただきました。これにつきまして,江口課長,よろしくお願いいたします。

【江口児童生徒課長】 それぞれ御質問,御意見大変ありがとうございます。大変貴重な御意見ばかりですし,真摯に向き合っていかなければならない部分も多いかなと思っております。
 まず,八並先生の主に御質問についてをまず回答させていただきますけれども,暴力行為の,小学生,特に対教師暴力も含めて増えていることについては,いじめ法の影響以外の部分があるんじゃないかという御質問,御指摘だったかと思います。私どもといたしましても,ここの部分はいじめ法の普及ということを超えまして,やはり現場からは,やはり小学生の低学年,中学年,意思を自分の言葉でうまく説明できないとか,あるいは感情のコントロールがうまくできないという理由から手を上げてしまうという児童も多いというような声も聞こえてきております。ですから,そういうところを考えますと,やはり道徳教育の充実ですとか,あるいはコミュニケーションのスキルを高める実践的な指導等を行っていく必要があるのかなとは思っております。
 ただ,このあたりの状況につきまして,定量的な分析があるかといいますと,現状はちょっとございませんが,エピソードとしてはそういう現場の声が聞こえてきているということは認識はしているという状況でございます。
 それから,暴力行為の多い少ないの都道府県間の差があるということについてでございます。こちらとして現在分かっているのは,実は都道府県でこうやって数字が格差といいますか,差があるということまででございまして,それ以上の深掘りは今のところできていないというのが現状でございます。引き続きこのあたりもちょっと検討してまいりたいと思っております。
 続いて,いじめの関係でございます。いじめの関係,小学校の増加について,小学校以前の部分とのつながり,あるいは関連も十分視野に入れてというお話でございまして,そういう要素も当然あるかと思いますので,今後そのあたりも含めて検討してまいりたいと思います。現在,ちょっと手持ちの情報という意味では特にないというのが現状でございます。
 それから,不登校の関係でございますが,不登校につきましても,こちらでお示ししている以上の要因等に関する情報というのは,これ以上ないということが現状ではございます。他方で,不登校の原因,背景につきましては,今年度,調査研究ということで,児童に対する直接の調査ということも含めまして,実態調査ということで進めていこうと考えておりますので,またそちらのほうで把握をして進めてまいりたいと考えております。
 それから,起きてからではなくて未然防止型の生徒指導をやるべきだというお話でございます。これも至極ごもっともでございます。事案対処的なものよりも,やっぱりプロアクティブといいますか,未然防止というのは非常に重要でございます。そういうことにつきまして,現場のほうでそういう観点からの取組が進みますように,いろいろ検討してまいりたいと考えております。
 それから,角田委員の御質問があまりよく聞こえなかったんですが,大変恐縮ですが。

【荒瀬分科会長】 都道府県で差があるということについてどう捉えていますかと。

【江口児童生徒課長】 それから,喜名委員のほうからの同調圧力というお話があったかと思いますけれども,このあたりにつきましても,現在私どもが持っている情報は16ページ以上のものがないので,今後先ほど申し上げた調査研究等を通じて,このあたりも含めて把握,解明をしていきたいとは考えております。

【荒瀬分科会長】 江口課長,角田委員からは,令和元年度のデータなんだけれども,2年度をやっているなら,早く出せないかというのがありまして,それは。

【江口児童生徒課長】 それにつきましては,事務的に可能な範囲でということにはなってくるかと思いますけれども,そこは努力はさせていただきたいと思います。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今,最後におっしゃったのは,角田委員からの,もっと早く出せないのかという御指摘に対するお答えでありました。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 では,ありがとうございました。大変重要な,しかも事態は深刻な状況もありますので,本当に学校のみならず,社会総がかりで何とかしていかなければならない様々な課題があるということでありました。いただきました御指摘が,次の議題でもあります答申素案に少しでも生きるように,喜名先生もおっしゃっていましたけれども,そういった形になるように,また御議論のほうをよろしくお願いしたいと思います。
 それでは,議題の2に移らせていただきます。答申素案について,田中教育制度改革室長から御説明をよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 よろしくお願いいたします。それでは,資料2を御覧いただければと思います。
 前回,9月28日の本分科会にお諮りしました中間まとめ案につきましては,分科会での御審議を踏まえ,修正の上,10月7日に案の取れた形,中間まとめとして公表いたしました。本日お諮りをする本答申素案は,10月16日の中教審総会において中間まとめに対していただいた御意見,また10月に新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会において実施した関係団体からのヒアリング,さらには11月13日に開かれました同特別部会における答申素案に対する御審議,これらを踏まえて作成したものであります。
 今後の動きでございますけれども,本日の御審議を踏まえて,答申素案に必要な修正をした上で,中教審総会において御審議をいただく予定です。その上で年明けの1月14日には,特別部会及び本分科会の合同会議を開催いたしまして,答申案を御審議いただく予定です。なお,答申素案に対するパブリックコメントを本日より実施をしております。
 時間も限られますので,10月7日の中間まとめからの主な修正点について,ポイントを絞って御説明申し上げます。
 まず,13ページを御覧ください。「3.2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿」につきまして,下から4つ目の丸の部分の最初に,教育振興基本計画で掲げられている「自立」,「協働」,「創造」,この3つの方向性に関する記述を追記しております。
 その下の丸ですけれども,学校教育の在り方の見直しは必要ないという誤解を与えないようにすべきという総会での御指摘,御意見がございましたので,これを踏まえまして記述ぶりを修正しております。
 14ページを御覧ください。(1)子供の学びにつきましては,「主体的・対話的で深い学び」と「個別最適な学び」と「協働的な学び」,この2つの関係を明確にすべきとの御指摘がありましたので,これを踏まえつつ,教育課程部会における議論を反映させることで,全般的に記述を充実させております。具体的には,個別最適な学びとは,「個に応じた指導」を学習者視点から整理した概念である,このことを前提とした上で,新学習指導要領において,「個に応じた指導」の充実を図ることが示されたこと,GIGAスクール構想により整備されるICT環境を最大限活用し,「個に応じた指導」を充実していくべきであること,学校において「主体的・対話的で深い学び」を実現し,家庭の経済状況に左右されることなく,子供たちの力を育んでいくこと,こういったことなどを追記しております。
 15ページを御覧ください。上から2つ目と3つ目の丸ですけれども,「指導の個別化」,「学習の個性化」,それぞれの概念を改めて整理しております。
 下から2つ目の丸ですが,「個別最適な学び」進めるため,教師の専門職としての知見を活用することを追記しております。
 16ページを御覧ください。一番上の丸を追記いたしまして,子供がICTを日常的に活用することによる学習効果,また国において「個別最適な学び」に関する指導事例を収集・周知することなどを追記しております。
 同ページの一番下の丸ですけれども,「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実することが重要であること,また関係者の理解広げていくことなどを追記しております。
 18ページを御覧ください。一番下の丸から19ページにかけて,丸4として,2020年代を通じて実現を目指すべきである特別支援教育の姿を追記しております。
 続いて,20ページを御覧ください。「4.「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性」について,一番下の丸を追記いたしまして,学校と地域が一体となって子供たちの成長を支える必要性について記述をしております。
 21ページを御覧ください。上から2つ目の丸を追記しまして,本答申で提言する新たな施策について,PDCAサイクルを着実に推進し,また本分科会を中心に必要な検証を実施していくことを記述しております。
 22ページを御覧ください。(2)連携・分担による学校マネジメントを実現するにつきまして,一番下の丸から23ページにかけてになりますが,事務職員が専門職としての役割を果たすこと,ミドルリーダーとなる教師がリーダーシップを発揮できる組織運営を促進することなどを追記しております。
 続いて,25ページを御覧ください。一番下の丸を追記いたしまして,26ページにかけまして,履修主義,修得主義の具体的な組合せ方につきまして,「個別最適な学び」,「協働的な学び」との関係を整理しております。
 続いて,27ページを御覧ください。前回9月28日の本分科会におきまして,総論の部分にICTに関する新たな章を設けるべきではないかとの御意見があったことを受けまして,11月13日の特別部会では,新たな学びの実現に向けたICTの活用について御審議をいただきました。このことを踏まえ,総論の第5章として,「「令和の日本型学校教育」の構築に向けたICTの活用に関する基本的な考え方」を新たに起こしました。総論部分には,既にICTに関する記述が随所にありますけれども,それらを網羅する形で基本的な考え方を改めて示すとともに,各論におけるICT活用の取組につながるような記述としております。
 28ページを御覧ください。この27ページから28ページにかけましては,学校教育の基盤的なツールとしてICTが必要不可欠であり,教育が直面する課題の解決にICTが大きな役割を果たすこと。一方で,ICTの活用自体が目的化しないよう,また健康影響についても留意すること。二項対立を避け,これまでの実践と最適に組み合わせるべきであること。また,ICTは学校の組織文化にも大きな影響を与えるものであり,Society5.0時代にふさわしい学校を実現する必要があることなどを記述しております。
 また,(1)学校教育の質の向上に向けたICTの活用では,ICTを「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善に生かしていくことや,子供たち自身がICTを文房具として活用することなどを記述しております。
 続きまして,29ページになりますけれども,(2)ICTの活用に向けた教師の資質・能力の向上では,養成,研修全体を通じた資質・能力の向上の必要性,教員養成大学・学部や教職大学院が先導的な役割を果たすべきことなどを記述しております。
 下のほう,(3)ICT環境整備の在り方では,次の30ページにかけまして,クラウドの活用を進めること,多様な実態を踏まえつつ,高校段階においても1人1台環境を実現すること。端末の家庭への持ち帰りを可能とすること,教育データの利活用,ICT人材の確保,働き方改革の実現などを記述しております。
 この先は各論部分となります。34ページを御覧ください。
 下から2つ目の丸ですけれども,(4)幼児教育の質の評価の促進に関しまして,幼稚園等が評価疲れを起こさないよう留意すべきことを追記しております。
 続きまして,37ページを御覧ください。丸1の学力の確実な定着等の資質・能力の育成に向けた方策に関しましては,一番下の丸では,次の38ページにかけまして,言語能力と情報活用能力の育成について追記をしております。
 38ページを御覧ください。上から3つ目の丸を追記いたしまして,特に小学校低学年において,「学びの自覚化」や言語能力の育成,日常及び数学の事象の把握といった資質・能力を伸ばすことの必要性などを記述しております。
 39ページを御覧ください。下から2つ目の丸ですけれども,学習の進め方を自ら調整する力を身につけさせることを1つの柱として授業改善を進めることが考えられる旨を追記しております。
 少し飛びまして,43ページを御覧ください。下から2つ目の丸ですけれども,小学校高学年からの教科担任制で,新たに専科指導の対象とすべき教科の検討に際しましては,地域の実情に応じて多様な実践が行われていることなどに配慮すべきことを追記しております。
 45ページを御覧ください。下から2つ目の丸を追記いたしまして,組織的な学校保健を展開するためにも,養護教諭の無配置校をなくしていくべきであることなどを追記しております。
 続いて,46ページになりますけれども,一番上の丸を追記いたしまして,食に関する資質・能力を定着させるため,栄養教諭の配置促進を進めることなどを追記しております。
 また,47ページを御覧ください。「3.新時代に対応した高等学校教育の在り方について」,ここにつきましては,新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループが11月13日の特別部会に報告しました審議のまとめを踏まえまして,スクール・ポリシーの策定や普通科改革などに関しまして,全般的に記述を修正・充実させております。この審議のまとめにつきましては,本日の参考資料5-1及び5-2のとおりでございます。
 続いて,48ページを御覧ください。上から3つ目の丸ですけれども,高等専修学校,特別支援学校高等部などについて,高等学校と同様に学びの場として充実を図ることを追記しております。
 少し飛びまして,53ページを御覧ください。(4)STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進による資質・能力の育成につきましては,教育課程部会の御審議を踏まえて修正しております。
 次,54ページを御覧いただければと思います。下から2番目の丸を追記いたしまして,STEAM教育は,高等学校における教科横断的な学習の中で重点的に取り組むべきものであること,またその土台としての幼児期からの各種体験,小学校,中学校における取組などについて記述をしております。
 55ページを御覧ください。下から3つ目の丸ですけれども,国は産業界とも連携し,STEAM教育に関するコンテンツの整備などを進める必要があることを追記しております。また,下のほうから次のページにかけましては,(5)高等専修学校の機能強化について追記をしております。
 56ページを御覧ください。「4.新時代の特別支援教育の在り方について」につきましては,新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議における議論などを踏まえて修正しております。
 57ページでございますけれども,②障害のある子供の就学相談や学びの場の検討等の支援を追記いたしまして,国が策定している教育支援資料の内容を充実させることなどを記述してございます。
 続きまして,59ページを御覧ください。上から3つ目の丸を追記いたしまして,小中学校において,障害のある児童生徒の多様な学びの場の充実・整備や,必要な指導体制について引き続き検討することなどを記述しております。
 60ページを御覧ください。一番下の丸を追記いたしまして,高校における個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用について記述をしております。
 飛びまして,64ページを御覧ください。上から3つ目の丸を追記いたしまして,特別支援学校における特別支援学校教諭免許状の保有率を高めることを記述しております。
 また,67ページを御覧ください。増加する外国人児童生徒等への教育の在り方につきまして,上から3つ目の丸では,日本語指導に関し,日本語教師を積極的に活用する方策について,その必要性を含め,検討することなどを追記しております。
 また少し飛びまして,71ページを御覧ください。上から3つ目の丸を追記いたしまして,外国人児童生徒等のアイデンティティーの確立や日本語の修得のためには,母語や母文化の習得が重要であることなどを記述しております。
 72ページを御覧ください。「6.遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について」につきましては,下から2つ目の丸には,学校教育において,教師が子供たち一人一人の様子を直接確認すべきであること,安全管理対応にも万全を期す必要があることを追記しております。
 次,73ページ,下のほうになりますけれども,丸1,ICTの日常的な活用による授業改善を追記しております。
 また飛びまして,78ページでございますけれども,「7.新時代の学びを支える環境整備について」につきましては,一番上のほうにある文章に,学校図書館における図書等の充実を含む環境整備の必要性などを追記しております。
 また飛びまして,82ページでございます。「9.Society5.0時代における教師及び教職員組織の在り方について」ですが,この章に関しましては,全般的にこれまで中間まとめでは,教員組織という言葉を使っておりましたけれども,これにつきまして,9ポツのタイトルを含めまして,教職員組織に修正しております。
 最後になりますが,83ページを御覧ください。教員養成部会における検討を踏まえまして,一番下の丸を追記いたしまして,教職課程におけるICT活動指導力に関する新科目の設置や,教職実践編集において,ICTを活用した演習を行うことなどについて検討し,速やかな制度改正などを行うことの必要性を記述してございます。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。今,御説明をいただきました答申素案につきまして,この後,皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 先ほどと同じように,御発言の際には必ず挙手ボタンを押していただきますように,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。では,篠原委員,お願いいたします。

【篠原委員】 大変よくまとめていただいていると思います。その上で,幾つか短くちょっと御指摘をしたいところがございます。
 まず,48ページの白丸の2つ目ですけれども,「オンラインか対面・オフラインかという二元論に陥ることなく」というふうに書いていますけれども,「コロナの感染状況を踏まえ」とか,「それに応じて」とか,柔軟に対応する旨の表現があったほうがいいのかなということが1点でございます。
 それから,47ページ目のところです。一番下の白丸のところで,「高等学校在校中に主権者の一人としての自覚を深めていくための学びが求められている」と,こういうのを入れていただいて大変有り難いと思うんですけれども,その前の小中の義務教育のところでも,やはり家庭や地域と協働しながら,社会への関心を深めて,先々の主権者意識を育んでいく,そういう流れを構築していくことが,将来のより良い主権者を育てることにつながるんだというような表現を,義務教育段階でもちょっと触れていただくと有り難いなと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では続きまして,戸ヶ﨑委員,お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】 82ページの「9.Society5.0時代における教職員組織の在り方について」に関しまして,「教師の養成と研修」の観点から,4点意見を述べさせていただきます。議会中で欠席する場合を見越して意見資料を提出させていただきましたので,共有をお願いいたします。
 1点目は,教師のデータリテラシーの育成についてです。現在議論が深められている,「個別最適な学び」の実現に向けては,「指導の個別化」と「学習の個性化」における評価の在り方等が重要になってくると考えています。達成度や学習にかかる時間の差や理解の速さや深さといった量的・個人間の差異,つまり「個別化」については,今後,可視化や定量化ができていく可能性があります。一方,興味・関心や学習スタイルなどの差,質的差異・個人的差異といった「個性化」については,それに馴染まないとはいえ,定性的評価や質的エビデンスの信頼性を高めていく必要性もあります。
 そのためには,1人1台端末を生かしたスタディ・ログなど教育データの利活用を加速化し「教室を科学」していかなければなりません。さらには,子供の集中力の可視化や,AIによるつまずきの分析など,医療や工学分野など様々な領域の専門家とも積極的に連携して,教育の多様なエビデンス自体の開発やEBPMの推進等も必要になってくると思われます。そういった意味で,これからの教師にはデータを利活用できる最低限のスキルが不可欠であるため,教員養成段階においてもデータリテラシーの育成を強化する必要があると考えます。
 2点目は,ICTをマストアイテム化できるスキルの育成についてです。今年度から順次実施されている新学習指導要領では,「カリキュラム・マネジメント」や「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善等が強く求められています。そのような中にあって,学校現場は,密を避けた授業回復に熱心で,いわゆるアクティブ・ラーニングどころか,教師主導の一方通行の授業へのゆり戻しも見られ,形だけのアクティブ・ラーニングであったことのもろさが表面化しているように思われてなりません。
 また,最近の初任者やインターンシップの大学生に話を聞く限り,教員養成の大学では,教員養成の源流であるカリキュラムはもちろん,大学での授業内容が新学習指導要領を意識したり対応したりしたものになっているのか疑問を感じています。
 今後,各教科等はもちろん教科等横断的な学びの推進やPBL型の学びなどにおいて,子供たちがICTを文具として活用する授業が日常化していく中,教員養成大学にあっては,学生自らが日常的にPCをマストアイテムとして使いこなし,主体的・対話的で深い学びを大学内で日常的に学べるような環境等整備が急務であると思います。もちろん,現職教師のICT活用のスキルアップも急務と考えます。
 3点目は,ビジョナリーの教師の育成についてです。一般に,教師は過去は語れても未来や社会を語ることは不得手であると思われます。正に,新学習指導要領は,Society5.0の実現を前提に議論されてきたものです。子供たちの活躍する未来社会を展望した令和の時代に相応しい教育が,全国各地でいま行われている必要があります。
 しかし,自戒を込めてではありますが,コロナ禍でもありやむを得ないところもあるものの,現実は,変化する社会の動きに連動した授業改革どころか,意識改革すら進んでいない学校も少なくないものと思われます。
 その改善のためには,例えば,なぜ先端技術の活用が必要であるのかを,教育上のメリットだけではなく,社会情勢などと関連させた説明や研修により教師の納得解を得ることなどが必要です。
 当面,教師に重要だと思われるのは,社会の構造的な変化とその教育的対応を自分の言葉で語れること,教科教育の本質や見方考え方の重要性を語れることであり,これらのスキル育成に向けた養成・研修,そしてその時間の確保も急務であると考えています。
 4つ目は,教育委員会事務局職員のスキルアップと教育行政プロの育成についてです。教師のスキルアップは随所で論じられていますが,教育委員会事務局職員のそれについては全く論じられていません。新時代の学びを支える先端技術の利活用のあり方などを,具体的に学校現場で指導や支援をする指導主事等,教育委員会事務局職員のスキルアップも急務です。併せて,教育行政を長期にわたり司ることのできる専門的スキルをもった教育行政プロの育成も必要であると思います。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 この後,市川裕二委員,清原委員,道永委員,岩本委員,岸田委員,喜名委員,牧野委員,この皆さんの順でよろしくお願いいたします。では,市川裕二委員,お願いいたします。

【市川(裕)委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。
 18ページに,「令和の日本型教育」の姿の項に,特別支援教育の項目が加わったことは大変すばらしいことであると思います。是非これは進めていただきたい内容だと思っています。ただ,この文言ですが,「特別支援教育については,幼児教育,義務教育,高等学校の全て段階において,障害者の権利の関する条約に基づいてインクルーシブ教育システムの理念を構築することを旨として行われ」ということで,特別支援教育においては,となっていますが,文部科学省の資料等によると,特別支援教育とは障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,持てる力を高め,適切な指導・支援を行うものであるとあります。一方,インクルーシブ教育システムについては,障害のある子供たちも,障害のない子供たちも,可能な限り共に学ぶ仕組み。もちろん合理的配慮ということも踏まえながら,そういう仕組みのことであると思います。この部分は,日本の教育として,今後,幼児教育,義務教育,高等学校教育通じて,インクルーシブ教育システムの理念を進めていくということが,大切な視点になっていると思っています。
 その上で,それを進めていくために,特別支援教育の推進をしていくというふうな文言の整理になると思っています。特別支援教育については,というところから入ると,日本の教育全体のということよりも,非常に限られたことのように私読めてしまいました。記述として狭くなるような気がします。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 では,清原委員,続けてお願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。杏林大学・ルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。
 この答申素案は,総会,そして初等中等教育分科会及び特別部会の各委員の御意見,御提案だけではなくて,多数の関係団体からのヒアリングの御意見を踏まえてまとめられています。荒瀬分科会長はじめ委員の皆様,そして教育制度改革室をはじめ事務局の皆様に感謝いたします。
 私たちは,常に現場の学校の「児童生徒及び保護者,教職員の視点」を尊重して審議に臨んできました。そこで,この答申素案の内容は,かなり総合的できめ細かくなっています。これを学校と地域の現場で実現するために,推進体制の方向性に関して3つの点について発言をさせていただきます。 
 1点目は,総論では29ページの中に,「ICTの活用に向けた教師の資質・能力の向上」ということが書かれており,その中で,教員養成大学,そして学部や教職大学院,国立大学附属学校がこのような授業改善に向けてネットワークを作っていくということが触れられており,各論の9の部分では,表題が「Society5.0時代における教師及び教職員組織の在り方について」となっておりますので,特にICT活用指導力を体系化するための提案が書かれています。具体的には,例えばICT活用指導力を総論的に習得できるように,新しく科目を設けること。また,習得した内容を学校現場において生かすことができるよう,実践の総まとめとして位置づけられている教職実践演習において,模擬授業においてもICTの活用とあります。これらはとても重要なことだと思いますし,私自身,ICT活用指導力を教員養成大学で身につける機会が開かれてほしいと思っています。けれども,私たちはICT活用指導力だけを教職員に求めているわけでもないということが,総論にも各論にも書かれています。
 例えば,19ページの総論3,2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿の中には,「子供の主体的な学びを支援する伴走者」という表現があります。また,「多様な人材の教育界内外からの確保」,そして「教師の資質・能力の向上による質の高い教職員集団の実現」とあります。また,「校長のリーダーシップの下,家庭や地域社会と連携しながら共通の学校教育目標に向かう学校運営」ともあります。これらのことを,やはり教員養成課程ではしっかりと身につける「カリキュラムの改善」などをしていきませんと,今後私たちが提案している,「小学校高学年への教科担任制の導入」,あるいは「小中学校,高等学校との連携」などについては不十分な点があることを心配します。
 そこで,教員養成課程の部会におきましては,積極的な提案をしていただいています。それは,「義務教育9年間を見通した教師の養成等の在り方」で,「小学校と中学校の免許を従来よりも容易に同時取得できる方向性」などが書かれております。これは教員養成部会の加冶佐部会長はじめ皆様の御努力による積極的な提案だと思います。けれども,この免許制だけで解決しない現場があるというふうにも認識しています。
 そこで御提案でございますが,今回の答申の「今後の課題等」の部分には,「これから本答申を具体化する際には,教員の資質向上と教員養成課程の充実が不可欠であることから,今後の検討が更に必要である」というふうに,今後の検討の中に教員養成課程の充実を位置づけていただければと思います。と申しますのも,「GIGAスクール構想」,「デジタル教科書」,「小学校高学年からの教科担任制の導入」,「オンライン,そして遠隔教育と対面授業のハイブリッド化」,「カリキュラム・マネジメントの向上」などについては,個別最適な学びと協働的な学びの両方を図る上で重要な取組です。それを教員の方,教師の方がどう具体的にするかということについては,やはり「教員養成課程も改革が必要」だと,このように受け止めているからです。しかも授業の質の向上のためだけでなく,コロナ禍の中での学校における感染症対策の必要から,少人数教育の実現が喫緊の課題として社会的に共有されています。そうであるならば,「資質の高い教員の養成」と,何よりも「人数の確保」も求められていると思うからです。是非今後の課題の中に,教員養成課程についての更なる検討の計画を入れていただければとお願いいたします。
 2点目,簡潔に申し上げます。75ページ,丸6,デジタル教科書・教材の普及促進についてです。このデジタル教科書については,今年度,デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議が設置され,熱心に調査研究を重ねてくださっています。私たちにとって,デジタル教科書の導入というのは,ICT教育,GIGAスクールの中でも重要なテーマですが,まだ答申までの間に具体的にまとまらない部分,課題が残されていると思います。したがって,デジタル教科書・教材の普及促進についても,75ページの記述のとおり,「学習者用デジタル教科書の今後の在り方等について,効果,影響等を検証しつつ,仕様の基準や教材との連携の在り方」も含めて検討を続けていただければとお願いします。特に私は,モデル校などで児童生徒,あるいは教員の使い勝手を検証していただいて,生の声を踏まえた検討をしていくことが有益ではないかと思っています。
 3点目に申し上げます。これは戸ヶ﨑委員の先ほどの御発言に触発されて申し上げます。それは,「教育委員会事務職員の重要性を含む,教育委員会と首長部局の連携の重要性」についてです。実は私,三鷹市長時代に,児童生徒だけではなくて「教員にも1人1台パソコン」を導入するときに,情報セキュリティマネジメントシステムも確立したいために,市長部局から有力な情報リテラシーのある職員を,教育委員会に配置しました。そして,何よりも学校に混乱がないように,職員に頑張ってもらいました。そしてさらに,「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を進める際,地域との連携の強い管理職を教育部長,あるいは課長に就任してもらいました。
 人事権というのは市長があるんですね。教育長とよくよく話合いを重ねていますが,やはり良い人材に適切に教育委員会で活躍してもらうとともに,適切な研修を受けてもらうということなくして,教育長のリーダーシップだけでは,あるいは校長のリーダーシップだけでは,学校教育の向上というのはないというふうにも思っています。是非今後とも,教育委員会と市長部局の連携による「答申素案」,やがては「答申」の中身が具体化する推進体制として提案をしていただければ望ましいと思っています。特に子供たちは,コロナ禍の中で,健康と,そして福祉と両方のニーズを持っています。教育委員会と市長部局の連携が,この答申素案の中身を具体化する上で必要だということを改めて申し上げます。
 以上3点,推進体制として提案させていただきます。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では続けて,道永委員,お願いいたします。

【道永委員】 日本学校保健会副会長の道永と申します。私が発言しました内容をかなり入れていただきましてありがとうございます。その内容については,特に修正はございません。もし可能でありましたら,学校保健分野での追加をちょっとお願いしたいと思います。
 今も少し話題が出ましたけれども,26ページの(5),今回のコロナ禍による新しい生活様式について書かれていますが,環境整備のみでなく,児童生徒一人一人の健康に対する意識を向上させること,すなわち健康教育が非常に重要であると思っています。それを入れ込んでいただければと思います。
 また,特別支援教育のことをたくさん書かれておりますが,特別支援教育においては,教育界と医療界の連携はかなり上手にできていると思いますが,通常教育であってもこれは非常に大事で,今後,教育界と医療界の連携,児童生徒,本当にいろいろな問題を抱えておりますので,その課題を解決するのに非常に重要であるということをどこかに入れていただければと思います。
 あと71ページから,ICT活用が書かれております。先ほどから多くの先生方がおっしゃっていますけれども,児童生徒,教職員ともにメディアリテラシーを育成し,心身の健康に留意するということも重要であると思っていますので,それも書き入れていただければと思います。
 以上,追加ができればお願いしたいと思います。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,岩本委員,お願いいたします。

【岩本委員】 岩本です。よろしくお願いします。それでは,2点あります。
 1点目が,先ほどお二人の委員さんからもありましたけれども,教育行政や設置者の在り方に関してです。前回発言させていただいてはいるんですけれども,ちょっと今回,なかなか入ってはいなかったところですけれども,やっぱり教育行政設置者の在り方,もっと言えば学校の設置形態や学校経営の在り方みたいなところが,今回コロナ禍でも大切なポイントになってくるというようなことも見えてきていますし,教育行政の職員の資質・能力の話も含めて,こういったところを是非内向き,縦割りから,社会に開かれた教育行政,ネットワーク型の教育行政の在り方に向けてというところで,今回審議が難しければ,今後そういった方向性に向けて具体的な検討がより必要だというようなことだけでも書いていただいて,今後の検討につなげていただけると非常に有り難いなというふうに思います。これが1点目です。
 2点目は,この答申素案も読ませていただいて,非常に中身はすばらしく練られてきていると感じるんですけれども,私,周りの教育委員会の人間だとか,学校の管理職を含めて,なかなかこの手のものを読まないということがよくよく分かりまして,本文は読まないものなんだなと。一般の方たちというか,教員の方たちも。そうしたときに,タイトルだとか概要みたいなところで,大体中身を判断するというか,イメージを持つということが非常に強いということがよくよく今回分かりました。
 そのときに,まず1つが,タイトルを見たときに,何か授業手法の話,学びの在り方というか,協働的な学びとか,個別最適の学びとか,ここのいわゆる教育村,学校村の中の話にしか見えなくて,本来中で出てきている,社会総がかりで「令和の日本型学校教育」をやっていくとか,もっと言うとGIGAスクール含めて情報社会でしっかりとつながっていく。もっと言えば,社会に開かれた教育課程,その先にある社会と一人一人子供たちがつながっていくというようなのが,学校が関係機関とともに連携・協働していく,もしくは連携と分担の中で働き方改革も含めてやっていくという,こういう今回全体を通じてある,社会に開かれたとか,社会とつながるという,そういったところがこのタイトルからもイメージがなかなかできないと。よくよく本文を読んでいくとそういうようなことが書かれてはいるんですけれども。
 そのときに,このタイトルだけだと学校の中の話ねといって,教育関係者以外は全く興味も持たれないなと思いまして,もし可能であれば,例えばタイトルの冒頭に,社会とつながる「令和の日本型学校教育」の構築という,もともとサブタイトルだったかに「社会とつながる」というのがあったと思うんですけれども,それ,どこかの時点で落ちてますけれども,やはりそういったものを復活をさせていただいて,社会に開かれつながる「令和の日本型学校教育」とかそういった形で,これは学校の中だけの話じゃなくて,社会全体で,関係者みんなで日本型学校教育をつくっていくんだということを冒頭のタイトルだけ見ても分かると,そういうことかと。自分たちも関係するかもしれないという,社会に開かれたようなメッセージを発信する答申になっていくといいなというところで,タイトルなんかもちょっと改めて御検討いただけたらと思います。
 最後,今後答申の概要も作られると思うんですけれども,中間まとめのときもそうですが,概要が,文字がずっと羅列されていて,なかなかイメージが持ちにくいものがあったかと思います。今後,なかなか本文読まない人たちが概要を見て判断したりとか,イメージを持ちますので,今後どこかの時点で,概要をつくられるときには,全体の大きいコンセプトだとか,それぞれの項目,各論がどう関係しているのかという関係性なんかが分かりやすい表現力というか,表現の工夫も,あえて社会にちゃんと伝わる概要というか,そういったものができてくると,すごくこれをもっていろんな方たち,関係機関にも伝わっていくのではないかなというところで,そうしたところを期待したいと思っています。
 すみません,長くなりました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。読んでいただかなければどうにもならないというのはもちろんでありますので,そういったことも是非考えなければならないと思いますが。
 岩本さん,どうですかね,本当に読まないんですかね,先生方って。私が会う方々は結構読んでて,その上でいろいろと御意見をおっしゃる方も少なからずいらっしゃると思うんですが,どうですか。

【岩本委員】 すみません,みんなが読まないということではないですし,読まれる教育関係者もいて,そういう方たちとはすごく対話とか議論になるんですけれども,恐らく分からないですけれども,多くの教員は,なかなかこの本文を全部読むということは,ちょっと僕も調べてないですが,何%が全部読んでいるのかって分からないですけれども,多くの教員は本文を全て読むということはあまりないんじゃないかなとは。すみません,これは印象論でエビデンスはないですけれども,思いました。

【荒瀬分科会長】 すみません,私も印象で申し上げているので,すみません。
 では,続けてお願いいたします。岸田委員,お願いいたします。

【岸田委員】 株式会社ミライロの岸田と申します。私は教育専門家ではないので,ちょっと的外れなことになってしまうかもしれないですが,私からは意見というよりは感想なんですけれども,特別支援教育について課題が上がっていたんですけれども,私の息子はダウン症で重度の知的障害がある中で,今,25歳で,保育園,小学校,中学校と地域の学校の特別支援学級に通っていたんですが,その頃の悩み事と18年たった今のお父さん,お母さんたちの,障害のある子供を持たれる方の悩み事ってあまり変わっていないなというか,特別支援学級に行きたい,地域の学校に行けるだろう,行きたいけれども,やはりなかなかハードルが高くて行けないという方がまだまだいらっしゃって,そのときの課題と私の息子のときの課題というのがあまり変わっていないなという印象があるので,もう少し障害のある子供たちが地域の学校に通えるように,門戸を広げるための合理的配慮であったりとか制度というのを積極的に今,構築していかなければ,「令和の日本型教育」という中でも,やはりここで進めていかなければいけないことなのじゃないかなとは感じています。
 当たり前に自分の横に障害のある子供がいる,話せない,歩けない,目が見えない子供たち,友達がいるというところで,こういった子供たちが将来大人になったときに社会で活躍する中で,やはり学校教育の中でそういった環境があるのかないのかというのですごく変わってくると思うので,是非そういったことを積極的に今進めていっていただきたいなとは思います。社会の中で生きていくためのルールというのは,やはり学校教育の中で身につけられるものだと思っているので,是非「令和の日本型教育」の中で特別支援教育というところを,これまでよりももっともっと広めていっていただけたらなと。門戸を広く開けられるような,何か取組を積極的に進めていけたらなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,喜名委員,お願いいたします。

【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは,簡潔に5点お話を申し上げたいと思いますが,その前に先ほど岩本委員からの御指摘の件でございます,教員がこういう文書を読まないのではないかというお話でありましたけれども,確かにそういうところはあるんじゃないかなと思います。そういう意味では,こういうものをより分かりやすく教職員に伝えていくというのも,校長の仕事ではないかなと思っているところでございます。
 それでは,1点目でございますけれども,今回の諮問,答申に向けた時期的なものということを考えますと,小学校においては,今年度から新学習指導要領が全面実施になりました。そして,来年度から中学校というふうに順次進んでまいりますけれども,その中で答申が行われるということを考えますと,現行の学習指導要領の位置づけというのが軽くなってしまわないかということをとても懸念しています。そういう意味では,まず今示されている学習指導要領をしっかりとやっていくことが大事でありますし,その中で今回,答申の中に出てくる内容を盛り込んでいくということが必要なんだと思いますが,そのあたりのことについて,例えば前文のようなものを作ってそこに明記するということも,ある意味では必要ではないかなと思っています。
 2点目は,14ページに関わりますICT環境の整備,GIGAスクール構想が進んでということでありますけれども,今回GIGAスクール構想が進む中で明らかになってきたのが,自治体間格差でございます。整備の時期的なもの,それから,整備される内容,特に国が補助しない中身としてのデジタル教材ですとか,それから,今後デジタル教科書の在り方も検討されると思いますけれども,そして授業支援ソフトをどんなものを入れていくのかとか,そのあたりもかなり自治体によって格差が生じている気配がございます。そのことによって授業の質や,また学力の定着というところに何か差が生まれるのではないかという懸念がございます。
 3点目が,21ページに関わるところでございますけれども,今回PDCAサイクルで教育政策の検証をしていくということで書いていただいております。本当に有り難いなと思います。教育界もそうですし,行政そのものがビルド・アンド・ビルドで来ている。特に学校はそういう中にあって,多忙感,そして長時間勤務が続いた原因にもなっていると思います。効果検証,成果検証をする中で,これはもうやめるということも考えていっていいのではないかと思います。これは教員養成部会でも議論されることかと思いますけれども,例えば,教員免許の更新制の問題ですとか,そういうことについても改めて根本的に見直していく必要があると思っています。
 4点目は,28ページに関わりますところで,1つ目の丸でしょうか,ICTを活用することが目的化しないようにということです。これはこの後の文章も含めて,二項対立の部分含めて,学校が本当に反省しなければいけないし,今回こそきちっとやっていかなければいけないと思っています。例えば,ICT活用が目的化しないことということについては全くそのとおりですし,子供たちのツールとして,授業のツールとして,学習のツールとして使うということが当然だと思っていますが,一方で,例えば行政,特に教育委員会なんかも,これを入れたんだから使いなさいということを既に言っているところがあるようでございます。使用の状況を把握するアンケートを調査するとか,使用率を確かめるとか,そういうことが目的化を助長していると思っていますし,それが正しく目的化に拍車をかけていないかなということもございます。
 そして,二項対立の部分ですけれども,前回の学習指導要領で,例えば言語活動の充実ということが叫ばれると,全ての授業で言語活動を目的化してしまったという反省もあります。このあたり,この思考癖に陥らないように,デジタルかアナログかとかそういうことではなくて,デジタル教科書も,それから紙の教科書も両方使いながら,より子供たちに適した,またその授業に適した方法を取っていくという選択が,我々教師の中に必要ではないかなと思っています。
 そして,19ページ,最後でございますけれども,教職員のところであります。先ほど清原先生からもお話がございましたけれども,正にここに書かれている教師の姿というのは理想的な姿でありますけれども,実際には御案内のように,教員採用選考の低倍率化,それから,臨時的任用教員が見つからないという,かなり危機的な状況が,また来年度も生まれてまいります。こういう中にあって,教師のやりがいを発信して,若い人たちを集めていこうという時代ではもうないので,例えば,抜本的な教員免許制度の在り方ですとか,教員のステータスを上げることとか,何かこういうことを考えていかなければいけないなと思っています。
 ここに書かれていることをやっていくためには,やはり質の高い教員が必要でありますし,現在の教員養成を終えて入ってきた若い先生方の研修,育成というよりは,まだ養成が続いているというのが実際の問題でありますので,教員養成,教員免許の在り方,そのことも含めてこれから大きな課題になってまいります。そのことについても,是非先ほどお話のように,課題として明記していただくことも必要だと思っています。
 私からは以上です。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 どうもありがとうございました。いろいろと今後に向けた課題も御指摘をいただいているところです。そういったことも是非いろいろと御指摘いただければと思います。
 では,牧野委員,お願いいたします。

【牧野委員】 それでは,私のほうから。牧野でございます。
 今お話のあった21ページの2つ目の丸です。教科書を中心として,教育政策のPDCAサイクルを着実に推進していくということがしっかりと明記されたということは,私は大変有り難いことだと思います。そういう中で,先ほど戸ヶ﨑委員からも出ましたが,21から28ページにかけて新しく加わった,ICT活用に関する基本的な考え方の中で,やはりデータ収集,分析に向けた調査,検討体制の構築ということについては,やっぱり言及をしていただいたほうがいいのではないかと思っております。これは文科省さんのほうで,GIGAスクール構想に関するEBPMの効果的な実施に向けてという中で既に言及されていることですから,文科省さんのほうでもそういった方向性は出しているわけですから,そうしたことについては,やはりここにしっかりと明記したほうがいいのかなと思います。
 それと,先ほどの岩本委員の話とちょっと被るところもあるんですけれども,部会やワーキング・グループで審議したものをどういった形でここに反映させていくかということについて,例えば私,岩本委員さんも関わっていますけれども,47ページの新時代に対応した高等学校教育等の在り方についてで,先ほど説明があったように,参考資料として,5-1,5-2で配られてという話がありましたが,これはやはり本文にちゃんと,参照という形であってもいいんですけれども,こういった審議のまとめがされたことを踏まえて,こうした在り方についてまとめましたという形にしていただいたほうがいいかなと。そうしないと,さっきの読む人が読まないという話もあるんですけれども,読んでいる皆さん方が,どうしてこういう考え方が出てきたかということを更に詳しく見たいというときの関係性をしっかり明らかにしておいたほうがいいだろうと思います。
 加えて申し上げますと,ワーキング・グループの審議のまとめでは,「多様な生徒が社会とつながり,学ぶ意欲が育まれる魅力ある高等学校教育の実現に向けて」という副題がついているわけでありますから,そうした副題を参照という形でそのまま下に入れるのか,それともやはりこれは副題にしているぐらいですから,基本的な考え方として,一番最初のところにしっかりと載せて見やすく,そういうことを以下述べているんだなというふうに分かりやすくするか,そのあたりの工夫はしていただければなと思います。
 いずれにしましても,せっかく検討して積み上げてきているものでありますから,それを踏まえたことが分かるような,そうした明記をしていただきたいと思います。
 私からは以上であります。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。今の御指摘も非常に重要なことかと思いました。
 ちなみに高校ワーキングのまとめは大変大部なものになっておりますけれども,これは高等学校にはお配りをお願いするということになろうかと思っております。ただ,一般の方には見えませんので,今おっしゃったようなことが必要かと思います。ありがとうございました。
 では,天笠委員,お願いいたします。天笠委員の後,鶴羽委員,市川伸一委員の順でよろしくお願いいたします。天笠先生,どうぞ。

【天笠分科会長代理】 よろしくお願いします。それでは,2つ申し上げさせていただきます。
 まず1つ目ですけれども,今日の答申素案でいきますと,29ページから30ページあたりのところですけれども,ICT環境の整備ということについて,1点目として申し上げさせていただきます。それはここのICT環境の整備のこの記述がということよりも,更に書き加えていただけることができないかどうかということで申し上げさせていただきたいと思います。後でまた御確認いただければと思うんですけれども,後のほうの77ページですとか78ページのところには,学校図書等の環境整備の充実という記述があるわけです。それで言うならば,ICT環境の整備ということと,学校図書をめぐる環境の整備というのも,二元的にということじゃなくて,次第に融合されて学校の環境の整備という形になっていくことが,学校の環境整備の在り方ではないかと考えております。
 したがいまして,ICT環境の整備を進めていくということは,学校全体の環境整備に当然様々なインパクトを及ぼしていくわけでありまして,そういう意味で言うと,ICT環境の整備を推進していくということが,その後の学校の全体的な環境に及ぼす影響ですとか在り方ということについて,目配せ,あるいはその先の在り方ということもしっかりと見据えていかなければいけないかと。
 そういう点からすると,さしずめ学校の図書館の整備ということとICT環境の整備というのは,ある意味で言うと融合され,一体的に,そして新たなる学校環境の在り方の方向にという形に展開していくというか,構想していくという,そういう見取図ということもまた必要なのではないかということで,記述の在り方について,更に検討が必要なのではないかと思います。あえて申し上げるならば,デジタルとアナログの融合という学校の文化についてどんなふうに受け止めて,どういうふうにこの先の在り方というものを明示していくのかどうか。そのあたりのことについての記述も大切にしていくべきではないかと思います。1点目は以上であります。
 それから,2点目についてでありますけれども,既に委員の方からも御指摘等々があったかと思うんですけれども,私も21ページの記述の必要性というんでしょうか,要するに私どもがこのたび提起しようとすることのことが,どんな形で具体化され,どういう形で効果を持ってくるのかどうかなのか,そのことを検証していく必要があるという,そういう記述がこの21ページのところに記されているわけであり,正に大切な指摘であるかと思います。
 恐らくこの点は,今後何をどういう形で検証していくのかどうなのかということについて,次第に精査されて,その姿が明示されていくのではないかと思っておりますけれども,それに当たって検証と,ある意味では対になってくるのかもしれませんけれども,この答申がどういう形で具体化されていくのかについて工程表が必要になってきているのではないかと思うわけであります。振り返りますと,特別部会でもそれぞれのところで,例えば折々に工程表がそれぞれ明示されているわけですけれども,例えば今申し上げたICT環境整備の実現に向けたイメージというんでしょうか,工程表らしきものが,昨年の第5回の特別部会等々でも示されているわけですけれども,恐らくその後,GIGAスクール構想等々が打ち出されていますので,もっとある意味で言うと精緻なものが相応に練られて,そしてそれぞれが折々に示されてきたんじゃないかと思うんですけれども,改めて答申全体を視野に収める,何をどういう形で推進していくのかどうなのか,その時間的なことを視野に収めた工程表の策定ということが大変大切になってくるんじゃないかと思います。
 そういう点において,先ほど喜名委員が御指摘された点だと思っておりますけれども,新しい学習指導要領の関係と,このたびのこの答申,現在は答申素案でありますけれども,これとの関係というのは,やっぱり現場の立場からすれば,一番の関心事であると思います。そのあたりのところを丁寧に整理する。私は,新しい学習指導要領がこのたびの答申素案を具体化する,実現するための多くのものを,新しい学習指導要領が既に捉え,位置づけ,そして具体的な推進が現在図られつつあると捉えているわけですけれども,その上でのこの答申素案が明示していることについて現場の先生方にお伝えするという,そして受け止めていただくという,そのことの必要性等々があるかと思うわけです。そのあたりのところの丁寧な関係の明示ということも含めた工程表を明示していくことも,大変大切なポイントになってくると思います。
 私からは以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。喜名委員もおっしゃいましたし,今,天笠先生も重ねておっしゃいましたけれども,学習指導要領を進めていく上で必要なことをどうしていくのかということで考えてきているわけでありますから,学習指導要領と無関係といいますか,あるいは学習指導要領を取るのか,こっちの答申を取るのかという,そういう話ではもちろんないということは我々は十分理解しているわけですけれども,そこがきちっと伝わらなければ駄目だというのはおっしゃるとおりかと思います。ありがとうございました。
 では,鶴羽委員,お願いいたします。

【鶴羽委員】 私は,キャリア教育における個に応じた指導の観点の具体的なことについて,32ページに書かれてあることについての感想と,そしてお願いです。
 32ページの3つ目と4つ目の丸のところなんですけれども,小学校中学年以降には,自らが具体的に達成状況を自覚して計画を立てて調整していくと。そのためにそういったことを指導することが望まれるというふうに書かれています。また,そういったことを子供たちが自覚していなければ,ここを気づけるように指摘をすると。一人一人が自らの成長を肯定的に認識できるように働きかけていくと,こういったことが望まれるというふうに書かれています。
 本当にこういった指導をしてもらえた子供たちは幸せです。どれだけ救われるか分かりません。子供たちは自信を持ちたい。それを先生たちが持たせてくれる。また,認めてくれるという,そんな教室であれば,学校であれば,やはり行きたくなりますし,家庭の中でそれが難しい環境であればなおさら救いになるのではないかと思いますが,このスキルというのがどれだけ高いかということです。私は去年まで北海道の教育委員として8年間,数々の学校を視察してきましたが,先生たちは教えるティーチな部分,分かりやすく教える指導というのはもちろんプロなんですけれども,それが一人一人,個々,気づけるかどうかというところ,これはコーチングの手法ではないかなと感じていますが,そういったことを一体どれだけの先生方が授業の中で,これは総合的なという部分には書かれていますけれども,身につけているかというところになりますと,これはやっぱり少ないです。
 実際こういったことを求められた場合に,先生たちがこういったことを見てどう思うかなんですけれども,やっぱり難しいとか,ハードルが高いとか,こういうことを求められてもという抵抗感を示してほしくないなと,これは正直に思いました。新しいスキルを提示されたときに,やはり負担感というのが増してくるのではないかなと思うのですが,この力を先生たちがしっかりと身につけたとすると,先生たちはやりがいにつながりますし,指導力が更にスキルとして上がってきて,先生たち自身のためにもこれはなることですので,不安感とか難しいとかと思われずに,ここの力をもって学校現場に行ったときにどれだけ先生たち御自身がやりがいを感じられるか,そういうような書きぶりも是非していただけたらなと思いました。
 こういった個々に応じた指導のために,具体的にこういったスキルが大事なんだ,求められているんだというふうな書きぶりをしていただけているというのが本当にうれしいなと感じました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。鶴羽委員,申し訳ありません。今御指摘いただきましたページをもう一度おっしゃっていただけますでしょうか。

【鶴羽委員】 32と33ページ。もしかすると資料4-2についての意見を申し上げたかもしれません。

【荒瀬分科会長】 中間まとめのほうでおっしゃった。資料4-2の32ページから33ページ。

【鶴羽委員】 はい。

【荒瀬分科会長】 分かりました。すみません,今多分委員の皆さんは,資料2で御覧になっていると思いますので。そうしますと,資料2でいうと39ページに対応しているようです。

【鶴羽委員】 失礼しました。そうでした。申し訳ありません。

【荒瀬分科会長】 一番下のところにキャリア教育のことが書いてあります。すみません,私もすぐに見つけられなくて,申し訳ありません。

【鶴羽委員】 失礼いたしました。

【荒瀬分科会長】 いえいえ。皆さん,ですから今,39ページの部分について御発言をいただいたということでよろしくお願いいたします。
 では,市川伸一先生,お願いいたします。

【市川(伸)委員】 ありがとうございます。私も教育課程部会の委員として,この審議には関わってきたのですが,こうしてかなり膨大で,しかも精緻なものが出来上がりましたので,今の段階でここをこうしてほしいという要望をするつもりは私はありません。ただ,出来上がって見たときの感想で,今後にも生きることがあればということで発言させていただきたいと思います。
 私自身は主として学習に関することを研究してきた者ですので,学習のことについて非常に詳しく今回も書かれている。その議論にも参加してきました。その点は分かるのですが,改めてこの内容と,タイトルに出てくる日本型教育ということとの間に,何か齟齬があるような,違和感があるような気持ちをずっと持っていまして,自分は学習だからあまり気づかなかったのかもしれませんが,改めて見てみると,ちょっとどういう点が引っかかっているかということを率直に申し上げたいと思います。
 タイトルにあるのは,「令和の日本型学校教育」ですね。日本型学校教育とはどういうものであるかということは,この答申案の最初にも書いてあります。要するに,知・徳・体全体を含めた全人教育を日本の学校は担ってきたのだということです。それが海外からも高く評価されている。じゃあそれが令和になるとどうなるのか。令和で知・徳・体をどう育てていくのかという話になるのかなと思うと,概要というのがありますが,概要の2ページを見ると,ほとんどが学習の話なんですね。知・徳・体で言えば知の話がかなりのウエートを占めている。副題を見てもそうです。個別最適な学びと協働的な学び,学びの話と。じゃあ徳育,体育はどうなるのかということについて,全体像からはあまり見えてこない。もちろん中身を見ますと,徳育,体育に触れている部分もありますが,全体として見たときに,かなり知育の面を中心に書かれている。
 これまでの30年ぐらいの経緯を見ますと,まず生きる力というフレーズがあって,これも知・徳・体です。その次に幾つかのフレーズも出てきましたけれども,例えば人間力であるとか,必ずしも知育面ではありませんでした。生きる力という理念はずっと引き継がれていますし,その中で改めて日本型の学校教育というときに,それが一体どう実現されるのかということを,一般の人はむしろ期待しているのではないかなと思います。
 じゃあ徳育の部分はどうなったかというと,これが議論されていないわけではなくて,むしろ道徳が教科になって,先行実施がされました。しかも道徳科だけではありませんと。教科横断的に道徳教育をやっていくのですということも言われた。テーマとなっているのは,いじめだけではありません。これからの日本人は,どうやって生きていくのか。特に18歳で選挙権が与えられるようになって,市民としてどう生きていくのかとか,指導要領にもあります「学びに向かう力・人間性」ですね。「人間性」というところは,一体どうやって育てていくのかというようなことに関する記述が非常に少ないんじゃないか。決してそれがうまくいっているから書かないというわけではなくて,これはもちろん難しい問題です。書きにくいテーマだと思いますが,それをどうするのかということはあまり触れられていない。
 それから,体育に当たる部分ですが,体づくりとか健康ですね。これも1つの柱であるはずなんですが,あまり触れられていない。さっき委員からの御発言でもありました。健康とか体育とか,ここら辺もちょっと厚くしてもらえるといいのではないかというお話もありましたが,今のところあまり触れられていないんですね。
 私は,今の段階でこの3つ,3本柱ですね。知・徳・体,この3本柱をちゃんとそろえてほしいというような要望をするつもりはありません。それはとても無理だろうと思いますし,学習の部分だけでも大事なことがこれだけあるので,それは今回のはこれでよろしいと思うんですけれども,今後どうするのかということです。
 最初,大臣からの諮問を受けてこの議論をしてきたわけですけれども,やはり知・徳・体全体に渡っていろいろな問題が日本で起きていることは確かです。じゃあこれまでの日本型教育のように,知・徳・体全部学校が賄い切れるかというと,それもまた難しい。働き方改革もあるからです。体育といったって,体育を担っていたのは,学校の授業の体育だけではなくて部活というのもかなりありました。部活での体力づくり,同じようにこれからも担っていけるかというと,働き方改革の中で,部活の問題も20年,30年議論されて,非常に行き詰まっているところもあります。それを令和の時代にはどうするのか。これはそれだけでも非常に大きな問題です。
 そこで,むしろ1つの考え方は,今回の答申はあくまでも日本型学校教育の第1弾の答申であると。かなり学習に重点を置いたことであるけれども,徳育,体育に当たる部分は,むしろ次は副題を変えて,どうやって徳育,体育を充実させていくのかということを,次の第2弾の答申としてまた議論して出していくというのも1つの方法かと思います。何も答申にする必要はなくて,とにかく道徳教育についてもあれだけ議論をしてきた。これからの時代は,「考え,議論する道徳」なのであると。多面的・多角的な見方を子供たちが持てるように,そういう道徳の授業をやっていく。非常に説得力のある提言だったと思いますが,どれだけ実現されているかというと非常に難しい。現場の先生は,高学年や中学校になると,多面的・多角的に考える道徳ってどうするのか,考える道徳,どういうイメージなのか分からないという声が非常に高いです。教科書ができたにもかかわらず,やっぱり教科書もそういうふうに持っていくのは非常に難しい。そういう時代に,改めて徳育というテーマをしっかり議論して,その方策を考えるべきだと思います。
 体づくり,健康についても同様です。是非今回のこの答申だけで閉じてしまわずに,日本型教育と言うからには,知・徳・体,学校だけで無理であれば,どうやって地域や社会と連携しながら実現していくかという方策を出していくというふうにつながってほしいと思っております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 本当に大きなところからの御指摘であります。今,先生おっしゃったように,改めて徳育,体育について加えていくということは時間的な関係もあって無理かと思いますが,ただ日本型学校教育と言う限りは,先生がおっしゃったように,全体でやっていく。それが本当にできるかどうかというようなことについても検討していくということは非常に重要かと思います。幾つか御意見の中でも,この中では触れられなかったといいますか,触れてはいてももう少し深掘りをする必要があるとか,あるいは今後に議論を残したものということもありますので,そういったことにつきましては,あとがきのようなものをつけて次につなげていくということをするのが私たちの責任ではないかと思いますので,そういったことについても考える必要があるかなと思いながら承りました。ありがとうございました。

【市川(伸)委員】 すみません,ちょっと補足しますと,ものすごく一般の方がひねくれた見方をすると,例えばこの概要を読んだときに,これが「令和の日本型学校教育の姿」と書いてありますよね。これを見ると,「令和の日本型教育というのは,徳育や体育はあまりやらないんだね」というふうに受け取ってしまうと,すごく残念ですし,我々としても悔しいですよね。ですから,決して「令和ではそれは無理だから,徳育,体育に関してはちょっと手を引いていきます」というのではない姿を見てほしいと思いますし,学校だけでは無理でも,地域と連携しながらそういうことを実現していくんだということは,どこかで示していけるといいと思います。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 では,貞広先生,お願いいたします。

【貞広委員】 千葉大学の貞広と申します。ありがとうございます。
 私,特別部会と教育課程部会に参加させていただいていますけれども,それぞれの部会の議論を丁寧にバランスよくおまとめいただきまして,今,御発言された市川委員と同様に,何か修正や追加をお願いするということではございません。1点だけちょっと懸念がございまして,確認的な意見ということで述べさせていただきたいと思います。
 それは,先ほど来何人かの委員の方もおっしゃっている,21ページの今回の新しい施策の効果の検証に関わってでございます。先の特別部会で私のほうからも,新たな政策の進捗の確認や,可能な範囲での効果の検証というものが書き込まれるべきではないかという意見を申し上げまして,それを取り上げてもいただいたのだと思います。感謝申し上げます。ただその上で,ここで言っているというか,私は必要だと申し上げた効果の検証とは,決してテストスコアに乗るような一元的な尺度による検証ではなく,正に今,市川委員がおっしゃったように,日本型教育システムの多面的な有り様があるということ考え,質的な評価も含めて多面的かつバリエーションを伴った効果検証を指しております。更に評価の方法の開発自体も,今後必要になってくると思います。
 そもそも今,テストスコアというものが大変重要な効果検証の指標に使われているわけですけれども,こうしたものが我々の求めている資質・能力を本当にはかれているのかということも,またはそれだけでいいのかということを再考することも,やはり令和型の教育システムには必要であろうかと思います。また,効果の方法の開発については,是非やはり教師,現場の先生方の現場知や専門知を活用していただいて,教育の効果を,今まで非常に便利に使ってきた定量的な把握に加えて,もっと質的に深めて評価をしていけるような仕組みをどのように作っていくのかということを見据えた上での効果検証であるということを確認しておきたいと思いまして,意見とさせていただきました。
 以上でございます。ありがとうございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 非常に重要な御指摘を本当にたくさんいただきました。いかがでしょうか,ほかの委員の方,御意見がございましたら。今日は2時間半でございますので,あと30分ぐらい時間がございます。よろしいですか。どなたも手を挙げていらっしゃらないということで,最終確認いたしました。
 では,ありがとうございます。今日いただきました御意見を含めまして,必要な修正を行いまして,中央教育審議会の総会がございますので,そこで報告をさせていただいた上で御審議いただこうと思っております。その際,先ほども申し上げましたけれども,この分科会としてまだ課題があるということの確認は共有できたかと思いますので,それを「はじめに」とか「おわりに」といったような形でつけ加えさせていただくということで,素案の修正と,今言いました「はじめに」とか「おわりに」といったようなことも含めまして,大変僣越ではありますけれども,私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。

 (画面上で出席者がうなずく様子あり)

 ありがとうございます。そういたしましたら,先ほど御紹介ありましたように,この答申については事務局でパブリックコメントも開始していただいているということもありますので,国民の皆様から広く御意見を伺うということで,それも踏まえて中央教育審議会総会のほうにお出しした上で御議論いただきたいと思います。
 では,今日は予定していた時間よりも少し早めに終わるということになりますが,このあたりにしたいと思います。
 では,最後に,次回以降の予定につきまして,田中教育制度改革室長,よろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 御審議ありがとうございました。先ほどの説明の中でも申し上げましたけれども,次回の本初等中等教育分科会につきましては,新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会との合同会議として,来年,令和3年1月14日木曜日の14時半から17時半を予定しております。詳細につきましては,追って事務局から御連絡申し上げます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは,本日はこれで終了したいと思います。今度お会いするのは来年ということでもありますので,皆様どうぞよいお年をお迎えくださいますよう,お体には十分お気をつけください。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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