厚労省・新着情報

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和3年2月1日(月)10:00~12:00

場所

オンラインにより開催
 (中央合同庁舎5号館9階厚生労働省省議室)
 (東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

公益代表委員
砂金伸治、熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、髙田礼子、三柴丈典、水島郁子、山口直人
労働者代表委員
漆原肇、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐々木弘臣、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
使用者代表委員
鈴木重也、砂原和仁、中澤善美、中村節雄、増田将史、最川隆由、矢内美雪
(五十音順、敬称略)
事務局
田中佐智子(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、安達栄(安全課長)、髙倉俊二(労働衛生課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、和田訓(産業保健支援室長)、中村宇一(化学物質対策課長補佐)

議題

  1. (1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  2. (2)事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正について
  3. (3)これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書について
  4. (4)医師の働き方改革の推進に関する検討会中間取りまとめについて
  5. (5)職場における化学物質管理等のあり方に関する検討会中間取りまとめについて
  6. (6)その他

議事

議事内容
○城内分科会長 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第136回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は感染症の防止対策としてオンラインにより開催することとし、一般の傍聴を募集せず、報道関係者のみの傍聴を受け入れることとしていますので御承知おきください。次にカメラ撮映等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。まず、事務局からオンラインによるSkypeの操作方法等について説明をお願いいたします。
○小宅計画課長 では私のほうから御説明させていただきます。本日はハウリング防止のために、御発言なされないときには、カメラ、マイクをオフに設定するようお願いします。また、御発言される場合には、御発言があるという趣旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名されましたら、カメラ、マイクをオンにして、氏名をおっしゃってから御発言するようにお願いいたします。このほか、進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込んでいただくか、又は緊急連絡先のほうへ御連絡ください。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 それでは議事に入ります。議題(1)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○小宅計画課長 私のほうから資料1-2で御説明をさせていただきます。「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案の概要」という表紙です。2ページ、改正の趣旨があります。一番上の○ですが、「女性の活躍加速のための重点方針2017」及び「2020」で、その一番下の所、「各種国家資格等で更に旧姓使用がしやすくなるよう現状把握及び関係機関等への働き掛けを行う」こととされたとしております。その下に本文を抜粋して赤字にしておりますが、こういったものが決められております。
また、二つ目の○、在日外国人の方を中心として、通称を使用して活動することのニーズがある。また、性同一性障害者等への配慮も求められているという状況です。
三つ目の○、これらを踏まえ、ボイラー技技士等の免許証等の資格証について、旧姓を使用した氏名や通称の併記を可能とし、また、性別欄を削除するため、労働安全衛生規則、コンサル則、作業環境測定法施行規則について改正を行うものです。
2ページ、具体的な改正事項です。安衛則等で定められた免許証等の資格証の様式及びその交付手続等に係る申請書等の各種様式について、旧姓を使用した氏名及び通称の併記の希望の有無、及び併記する旧姓の記入欄を設けるというものです。
2つ目の○目です。免許証の性別欄は削除する。これに併せて各種申請書においても、性別の選択欄を削除するということです。具体的には下に絵で示しておりますが、赤字で囲った部分、性別欄を削除する。それから旧姓の併記の希望を記入していただく欄、併記する場合の旧姓等の記入欄で、実際の免許証のイメージが下の絵のようになり、赤字で囲った所について、例えば旧姓を併記するということ、性別欄が消えているということになります。
3ページ、コンサルタント登録証及び作業環境測定士の登録証で、そうした改正をすることに伴い、登録事項に旧姓等を追加するとしています。それから次の○ですが、経過措置で旧来の様式で作られているもの、また旧来の様式の申請書等も当分使えるということです。
公布については本日御了解いただければ、令和3年の2月、施行は4月1日を予定しております。ただ、技能講習及び運転実技講習については、これらのシステム改修に若干時間がかかるということで、令和4年の4月1日を予定しております。以上です。
○城内分科会長 本件について質問、意見等のある方は、御発言がある旨チャットに書き込みをお願いいたします。鈴木委員、御発言をお願いいたします。
○鈴木委員 はい、鈴木でございます。聞こえておりますでしょうか。
○城内分科会長 はい、聞こえております。
○鈴木委員 はい、ありがとうございます。今回の見直しにつきましては、旧姓等の記載をする併記であり、バランスのとれた形での見直しの御提案だと思いますし、ダイバーシティーの推進にも資するものとして、妥当な内容と考えます。以上でございます。
○城内分科会長 ありがとうございます。その他御意見等ございますでしょうか。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 労働者側としても、この改正については妥当であると考えております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、増田委員から聞きづらいという発言がありますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。異議なしということで事務局での答申の手続をお願いしたいと思います。次に議題(2)「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の改正について」に関して事務局から説明をお願いいたします。
○和田産業保健支援室長 私から御説明させていただきます。
事業場における労働者の健康保持増進のための指針につきましては、事業者と医療保険者との連携がより一層推進されるように、この度、改正を行いますので、資料2により御説明させていただきます。なお、参考資料1-1として、THP指針の新旧対照表をお付けしております。
まず、今回の改正の背景についてですが、1ページ目、安衛法に基づく定期健康診断、いわゆる事業主健診における保険者との連携について、背景や今後の方向性についてお示ししたものです。
背景の所では、現状や課題を記載しております。1つ目の○です。前回、去年の3月にTHP指針を改正しておりますが、その改正では、健康保持増進対策の推進体制を確立するための事業場外資源として、健康保険組合等の医療保険者を位置付け、保険者から提供される情報を活用することが望ましいとお示しさせていただいております。
2つ目の○です。経済財政運営と改革の基本方針2019等において、「生涯にわたる健診・検診情報の予防等への分析・活用を進めるため、マイナーポータルを活用するPHRとの関係も含めて対応を整理し」などと記載されていることを踏まえまして、事業主健診におけるPHRの推進が求められているところです。
こうした中、3つ目の○ですが、40歳以上の労働者の事業主健診データについては、高齢者の医療の確保に関する法律、いわゆる高確法に基づき、医療保険者が事業主に対して安衛法に基づく定期健康診断の結果の提供を求めることができること、また、事業主は、その求めに応じて提供しなければならないこと、となっております。しかしながら、法令上不要となっている同意取得の問題等により、特に中小企業等から保険者への事業主健診データの提供が進んでいないとの指摘があります。
4つ目の○ですが、保険者に事業主健診のデータを提供することは、PHRの推進やコラボヘルス等の推進による労働者の健康保持増進につながり、それによって、企業の労働生産性向上等にもつながるため、労働者・事業者双方にメリットがあると考えられます。
こうした現状や課題を踏まえ対応の方向性といたしまして、下の所に、医療保険者との連携をより一層推進するため、(1)運用上の対応、(2)THP指針の充実・強化をすることとしまして、今回、(2)への対応といたしまして、THP指針の改正を行うものです。
次に改正の内容です。2ページ、改正のポイントといたしまして、1つ目、事業者と医療保険者とが連携した健康保持増進対策がより推進されるように、基本的考え方に、コラボヘルスの推進が求められていることを記載したこと。
2つ目、健康保持増進措置の検討に当たっては、安衛法に基づく定期健康診断の結果等を医療保険者に提供することが必要であることと、そのデータを保険者と連携して事業場内外の複数の集団間でデータを比較して、取組の決定等に活用することが望ましいことを記載したこと。
3つ目、個人情報の取扱いについてです。医療保険者から提供の求めがあった場合に、事業者が定期健康診断に関する記録の写しを医療保険者に提供することは、高確法に基づく義務であるため、第三者提供に係る本人同意が不要であることを記載したことです。
改正の適用日は、令和3年4月1日としております。以上がTHP指針の改正についての説明になります。
資料の1ページに戻っていただきまして、今後の対応の方向性の(1)運用上の対応の所です。健診機関から保険者に直接健診結果を送るための条項を盛り込んだ、事業者と健診機関の契約書のひな形の作成、必要な保険者番号等を健診時に取得するため、その記入欄を設けた問診票のひな形の作成、定期健康診断の血糖検査の取扱いを特定健診に揃える、などとあります。これらへの対応といたしましては、参考資料の1-2にありますように、昨年12月23日付けで、事業者団体及び関係団体に対して、労働基準局長、保険局長連名で協力依頼を発出しており、その中で、定期健康診断等の結果の情報提供等の事業者と保険者の連携の基本的考え方や具体的な方法をお示ししております。
また、参考資料1-3にありますように、昨年12月23日に、定期健康診断等における血糖検査の取扱いについての通達を発出しております。これによって、血糖検査について、ヘモグロビンA1c検査を実施したものについても、安衛法に基づく定期健康診断の血糖検査を実施したこととしておりまして、これによって、血糖検査について特定健診と項目を揃えております。説明は以上です。
○城内分科会長 本件について、質問、意見等のある方は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 はい、増田です。聞こえておりますでしょうか。御説明ありがとうございました。1点、お伺いいたします。今回の改正とは関係なく、労働安全衛生法に基づいて実施した40歳以上の健診結果は保険者に提供できますが、40歳未満の健診結果の提供の是非についてはどうなっていますでしょうか。
○城内分科会長 事務局、お願いいたします。
○和田産業保健支援室長 お答えいたします。担当部局におきまして、40歳未満の労働者の定期健康診断の結果の保険者への提供に係る法的仕組みの整備について、今、検討がなされております。内容は、保険者は事業者等に40歳未満の者の事業主健診の結果も提供を求めることを可能とし、提供を求められた事業者等はこれを提供しなければならないこととするとなっております。
この法改正がなされれば、先ほど、個人情報保護法に基づく本人同意という話を説明させていただきましたが、40歳未満の事業主健診の結果の提供についても、個人情報保護法上の本人同意を得ることが必要なくなることになります。
○城内分科会長 よろしいでしょうか。
○増田委員 ありがとうございました。THP指針で示された施策は、年齢に関係なく実施すべきものとされている一方で、その施策取組の検討、効果検証に必要とされている健診結果については、40歳以上の者についてのみの規定となってますので、今後の法令整備をお願いできればと思います。ありがとうございました。
○城内分科会長 次に、中澤委員、発言をお願いいたします。
○中澤委員 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
○城内分科会長 はい、聞こえております。
○中澤委員 御説明ありがとうございます。資料の中の「今後の対応の方向性」について意見を述べたいと思います。今後の方向として、健診実施医療機関から直接、医療保険者にデータが提供されるという方向性が示されておりますが、これについては、企業にとっては負担軽減につながるものであり、歓迎したいと思います。一方で、PHRの研究会等で意見が出ていたのですが、いわゆる健康保険組合等の保険者側のシステムの改修の必要性が懸念されるという意見が出ておりましたが、その辺りのところの進捗状況が分かりましたらお教えいただけないかと思います。以上です。
○城内分科会長 事務局、お願いいたします。
○和田産業保健支援室長 システムの関係ですが、まず、健診機関のシステムに関しましては、労働衛生の健診の関係団体であります全衛連などと連携を取って、システムについては一緒になって進めているところです。また、保険者のシステムについては、保険者を所管する保険局のほうで、連携を取って進められていると聞いております。
○城内分科会長 はい、よろしいでしょうか。次に山口委員、発言をお願いいたします。
○山口委員 山口です。聞こえますでしょうか。
○城内分科会長 はい、聞こえております。
○山口委員 確認の質問なのですが、「改正のポイント」の二つ目の○で、定期健康診断の結果等とありますが、ここの「等」という最後の「など」ですが、ここの「等」についてはどういうふうに考えたらいいのか、確認をさせてください。よろしくお願いします。
○城内分科会長 事務局、お願いいたします。
○和田産業保健支援室長 現段階では、基本的には定期健康診断の結果を想定をしております。また、本人同意が得られるということが前提になりますけれども、得られるのであれば労働者の健康情報を保険者のほうに提供するということはあり得るかとは考えております。
○城内分科会長 よろしいでしょうか。
○和田産業保健支援室長 現段階では、基本的には定期健康診断の結果を想定をしております。
○山口委員 はい、ありがとうございます。法令に基づく健康診断とそうでないもので、その同意が必要かどうかというところが分かれると思いますので、その辺は誤解が生まれないように配慮いただけたらと思います。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほか御意見等ございますでしょうか。なければ次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、次に議題(3)「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 事務局から、議題(3)これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書について、御報告いたします。資料3を御覧ください。この検討会の概要については、資料3の4ページに示しており、新型コロナウイルス感染症対策として、これまでない規模でテレワークが実施されることになりましたが、今回の経験から、あるいは働き方改革等の観点から、テレワークの際の労働時間管理の在り方や社内コミュニケーション不足への対応など、様々な検討課題も見えてきているところです。このため、労働者が安心して働くことのできる形で良質なテレワークを進めていくことができるようにということで、この検討会が開催されたということです。昨年8月から12月にかけて5回検討会が行われ、その報告書がまとまりましたので、今回、それについての御説明という形になります。この報告書の本文全体は、参考資料2-1に付けておりますが、分量の都合上、資料3でその概要について御説明させていただきます。
総論といたしましては、先ほど申し上げましたように、良質なテレワークの導入・定着を図ることが重要であるということで、そのためには、企業トップや経営者の理解の下で、企業全体として取り組む必要があるとか、取引先との関係等から、グループ企業などとの関係、あるいは業界単位などの水平関係も含めた呼びかけ等を進めていくことが重要である。また、導入に当たっては、労使でよく話合いを行うことが重要であることが指摘されております。
テレワークの推進のためには、分かりやすいマニュアルが必要であるということで、基本のテレワークガイドラインはありますが、これを見直すべきである。その改定に当たっては、このテレワークのメリットが十分伝わるようにしながらも、適切な労務管理を行うとともに、労働者が安心して働くことができるよう、労務管理全般の記載を追加するなど、良質なテレワークを積極的に導入できるようなものにするべきであるということです。
加えて、導入する企業、中小企業等がどのようにテレワークを導入・実施しているかという事例を展開していくことが必要で、特に人事評価や人材育成といった側面に関しては、好事例を周知すべきであるといったことが、総論としてまとめられております。
各論に関しては、大きく4項目とその他になっており、資料3の1ページの各論の部分です。(1)は、テレワークの対象者を選定する際の課題について、(2)は、労務管理上の課題について、①人事評価、②費用負担、③人材育成などについて、取り組んでいくべき方向性などが検討されて、報告されているところです。
(3)は、テレワークの際の労働時間の管理の在り方です。こちらは、特にテレワークが長時間労働になる可能性があるといった観点とか、労働時間の把握をどのように行うかといったことに関して、様々な意見が検討の結果取りまとめられているところです。
安全衛生に最も関わる部分としては、資料では3ページですが、各論(4)です。テレワークの際の作業環境や健康状態の管理・把握、メンタルヘルスについてということで、大きく4つ○で示しております。1番目の○です。テレワーク中心の働き方をする場合には、周囲に同僚や上司がおらず、コミュニケーションが取りづらい場合があるため、業務上の不安や孤独を感じるなどによって、心身の健康に影響を与えるおそれがあり、なおかつ、その変化に気がつきにくい。
2番目の○です。主に自宅での作業環境が多くなることが予想されますので、その作業環境が確保されることの確認について、労働者自らが容易に確認できる方法により、労使が協力して作業環境の確認、改善を図ることが重要である。そのために、チェックリストの活用などの形でといったことが、この報告書でまとめられているところです。
3番目の○です。安全衛生教育、健康診断などについては、これはテレワークでなくてもテレワークでも、同様に必要であるということですし、それらを含めてテレワークを行う労働者に対して、これらの措置を講ずるに当たって、事業者側が留意すべき事項に関しても、チェックリストなど、分かりやすい形で示す必要がある。
4番目の○です。御自宅等でテレワークを実施する環境の整備が困難である場合が、一定程度想定されますので、そのような場合に、サテライトオフィス等の活用も有効であることを、この検討会で選択肢としても示しているところです。
その他として、それ以外のテレワークを推進すめために、押印や署名の廃止などといった方策のこと、あるいはそれ以外のハラスメント等の問題が生じることがある等が、その他のこととして挙げられています。
この報告書としては、このような総論・各論で様々な課題といいますかポイントについて、検討の結果の御意見をまとめていただきましたので、これに沿い良質なテレワークの推進が求められるということです。この報告書 概要の最後の2.にありますが、この取りまとめの報告書の内容を踏まえ、今後、厚生労働省といたしましては、テレワークガイドラインの改定をはじめ必要な対応を速やかに進めていくところです。この報告書に基づいて、ガイドラインの改定作業が、今進んでいるところです。先ほど報告書でも御説明いたしましたように、労働者側及び事業者側それぞれが括用できるようなチェックリストなども、作成してお示しすることによって、良質なテレワーク、労働者側に示して働けるようなテレワークが進めやすいような対応を、今後進めていくところです。この検討会の報告書についての御説明は、以上となります。
○城内分科会長 本件について、質問、意見等のある方は、御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いします。最初に中村(節)委員、お願いいたします。
○中村(節)委員 中村です。テレワークの政策に向けた支援について、意見を述べさせていただきたいと思います。多くの企業は、コロナ感染防止対策の一環で、緊急避難的にテレワークの導入を決めましたが、その中でも導入歴が浅い企業では、テレワークの活用に関するノウハウが不足している企業が多くあります。
商工会議所の調査では、一旦実施しながらも、うまく活用できずに止めてしまった企業が相応にあることや、多くの企業が労務管理、社員の評価、業務の洗い出しなどの多岐にわたる課題を抱えているのが現状です。したがって、作業環境や健康状況の管理、把握など、安全衛生上の対策も含め、広くのノウハウを御提供いただけるようなセミナーやコンサルティングなど、テレワークの定着に向けた支援を強化していただくことが重要と考えております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 経団連の鈴木です。テレワークは、コロナが終息した後も恐らく新しい働き方として、定着が進められていくものだと思っています。経団連としては、従来のテレワークのガイドラインが、どちらかというと法律の説明に重点を置いたものになっているという受け止めをしており、多くの企業が、先ほど中村(節)委員がおっしゃっているノウハウをお持ちでないような企業も多いため、そうした企業が導入する際の参考となるよう労務管理全般に焦点を当て、内容の見直しをお願いしてきたところです。良質なテレワークが積極的に導入されるよう、行政の支援が欠かせないことから、この検討会が提言したことをまず歓迎したいと思います。
その上ですが、長時間労働の防止、これが一つ、テレワークを良質な形で運用する際に重要なポイントになろうかと思います。中でも適正な労働時間把握、これが大変重要であると考えます。報告書では、中抜けなど、テレワークの実態にも配慮した形で適切に労働時間把握をすることが示されております。また、作業環境の確保あるいはメンタルヘルス対策についても、何かあれば相談できる体制を整えていくことの重要性を指摘するとともに、作業環境については、労使双方が留意すべきチェックリスト、これを示すというような方向性が示されたところです。
厚生労働省でも、是非、こうした内容を詰めていただきたいと思うのですが、特にこうした運用を行う際には、新しいということでもありますし、良質なテレワークを実効性あるものとするため、労使の話合いを重視する必要があると思っています。
したがって、ガイドラインの改定の中身もさることながら、これを周知する際には、こうした労使での話合いをしながら、運用することを強調いただければと思う次第です。私からは以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて中澤委員、お願いいたします。
○中澤委員 感想を述べさせていただきたいと思います。テレワークの活用が、今後拡大していかざるを得ないという方向性については、理解をするところです。ただ、報告書の中に書かれております、今回のコロナ禍において、急速にテレワークが進んだという結果の裏にはコロナ禍から職場や労働者を守るためのテレワーク導入も相当数含まれているものと推測しているところです。その意味で、先ほどの御意見にもありましたが、全ての企業が無理なく対応できるような方策を考えていただければと思います。
一方で、報告書の中にもありますエッセンシャルワーク自体をなくすことができないという事実があります。そのエッセンシャルワークの多くを担っているのは、中小企業や小規模事業者であると理解をしており、社会のすう勢として良好なテレワークが推進されていくと、更に人手不足を惹起するものではないかと懸念をしています。
また、中小企業、小規模事業者における人材育成面のことですが、職種や職務にかかわらず、依然としてOJTにより支えられているものと理解しているところです。テレワークは、人材育成の面でも中小企業にとっては障害になるものと理解をしております。また、エッセンシャルワークは、業種だけでなく企業内の職種・職務的な面でも存在するものと理解しております。企業においてテレワークとエッセンシャルワークの良好なバランスや仕組みを構築していくことなしに、一企業全体の労務管理の見直しは、極めて困難であり、結果的に良好なテレワークの構築を求めることが、一企業としての労務管理を損なう可能性もあるという点についても、御考慮を頂き、ガイドライン等に反映をしていただければと思います。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて山口委員、お願いいたします。
○山口委員 山口です。自宅でのテレワークのほかにも、ビジネスとしてのテレワークの場を提供するようなビジネスも、少しつずつ散見されつつあると思いますが、作業環境という面では、そういう部分もテレワークの作業環境管理という面では含めていったほうがいいような気がしていますが、その辺についてはいかがでしょうか。
○城内分科会長 では、ここまでの御発言において、事務局からお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 事務局です。最後の山口委員から御質問いただいた件に関しては、作業環境の確保は、自宅以外の場所を選ぶ場合にも、当然、重要になってまいりますので、そこに関しても必要な作業環境が確保されているかどうかに関しては、同様に確認することが重要になってまいります。特に、会社が指定するといった場合には、そこはより厳密に求められることになります。その辺りは当然のことですが、ガイドラインあるいはチェックリストでもお示ししたいと考えております。
その他、たくさん御意見等も頂きましたが、コロナ禍において急速に導入せざるを得なくなったという状況で、昨年の春は一気に進んだところがありますので、だからこそ様々な課題が見えてきやすかったというような背景もあろうかと、私どもも考えております。検討会でも、そういったことも踏まえて深い検討がなされたと、我々は承知しております。
鈴木委員から御指摘いただきましたように、労使での話合いは、昨年、そのような時間的な余裕といいますか、そういったこともなかったような状況で導入されてしまったことがあったと思いますので、今回、このようなガイドラインの中で、労使で話合い、あるいは十分に確認したり、コンセンサスを得るべきであるようなポイントといったものも、このガイドラインの中ではお示ししたいということで、検討会の中でも、今回、御紹介されていないような御意見も多々頂いておりますので、そういったことを踏まえ、多くの企業でテレワークの導入が進む、その場合には良質なテレワークの導入を進めようということ。
そして、中澤委員から御意見を頂戴いたしましたが、全ての仕事、作業がテレワークできるということは当然ありませんし、それは業種あるいは業態、ある種の企業の中でもテレワークが進めやすい所と進めにくい所、あるいは進められない場所は、当然あると思いますので、そういったものは、どのように整理といいますか、進むことがよいのかといったことも、企業内あるいは労使で十分に検討を進めていただきたいと思いますし、人材育成においても、OJTで行わなければならないこともありましょうし、その中の一部は新しい方がテレワークでも働けるようにと、そういった観点も人材育成の中には当然含まれてくる形になろうかと、そのような企業も多々あろうかと思いますので、そういう整理も含め、今回、ガイドラインというか、お示ししますような内容について、十分に分かりやすい形で、企業で活用しやすい形でお示しできるようにということで、作成に当たっておりますので、また、それが発出された後でも、また御意見等がありましたら、頂戴できればと考えているところです。
○城内分科会長 そのほか御発言はありませんか。実は私のパソコン上に現れる発言希望が、どうも10分か15分ぐらい遅れて来ているようなので、失礼があってはいけないかと思ってお伺いしますが、そのほか御発言はありませんか。ありがとうございます。
それでは、議題(4)「医師の働き方改革の推進に関する検討会中間取りまとめ等について」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 事務局でございます。この議題(4)に関しましては資料4-1と、4-2があります。資料4-1は文字が多いので資料4-2を中心に御説明いたします。この「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の中間取りまとめが出ましたので、その内容を御説明し、今後の方向についても御説明します。この検討会の中間取りまとめの全文に関しましては、参考資料3-1に示しておりますので、そちらも適宜御参照ください。
資料4-2、1ページです。医師に関しては2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されます。その具体的な規制の内容等については、この検討会の前に医師の働き方改革に関する検討会が、平成29年から平成31年までにわたり行われ、労働基準法体系において定める上限規制と、医事法制・医療政策における対応等を組み合わせて、医師の診療業務の特殊性を踏まえた働き方改革を推進することといった報告書が、取りまとめられておりました。これを受けて、引き続き検討することとされていた事項が、資料の右中ほどにあります。具体的な検討を行うとして、有識者の参集を得て、令和元年7月から令和2年12月にわたり11回開催され、中間取りまとめの案がなされたというのが現状です。
次のページに、医師の時間外労働規制について、2024年4月から適用される上限規制についての概要を絵で示しております。標準的には青で書かれているAの水準です。2024年以降に適用される水準として、年間960時間を示しております。ただ、先ほど申し上げたように医師の業務の特殊性という観点で、B水準あるいはC水準といった年間1,860時間を上限とするといったものが示されているところです。いずれにしても、長時間労働がそういった形で規制がかかるとはいえ、そういった超過勤務がかなり長くなる観点から、これらに対してどのような健康確保措置を行わなければならないのかといったこともかなり深く議論がなされておりましたので、特に労働安全衛生の観点に関しまして、そこについて今回中心に御説明したいと思っております。
3ページです。2024年に実際に規制が適用されるまでの見通しとしては、まず速やかになるべく多くの医療機関が標準的なA水準のみの医療機関になる取組支援策を行っていく。その過程で現在の勤務の状況を考えますと、時短計画の策定の推奨・義務化PDCAサイクルによる改善といったものが求められわけで、それらの時短計画に関して評価機能によって評価をして取組を進めていただく形です。
そしてA水準以上のB水準あるいはC水準といった地域医療の確保のために必要な上限、あるいは研修医又は高度医療の技術養成等に必要なB水準ないしC水準といったところに関しましては、その対象となる医療機関や医師等を特定するといった作業も必要になってまいりますし、そのようなプログラムの中で労働時間を明示するといったことが義務化される見通しですので、これらを都道府県によって指定できるような形にするといったものが2023年度までに体制整備がなされた上で、2024年から新たな上限規制が適用開始されるということです。
4ページに、その際に重要になってまいりますのが、追加的健康確保措置です。それらの義務と履行確保の流れについて表に示しております。A水準のみの医療機関、あるいは連携Bの指定された医療機関、C水準の指定された医療機関等におきまして、36協定の月上限であるとか、連続勤務時間制限、インターバル規制等の課せられる義務。そして面接指導、就業上の措置の義務付けられる範囲等につきましてこの表にまとめております。
5ページですが、これらの実施体制につきまして、労働安全衛生法による枠組みとの関係といったものを図で示しております。その次のページの図です。面接指導、一定時間以上の勤務時間になっている医師に対しましては、面接指導、そして必要に応じて就業上の措置といったことが必要になってまいりますので、この面接指導を実施する医師、これは産業医が行うことも可能ですが、産業医と十分に連携して行うことと、それに沿って結果が報告され、就業上の措置がなされるわけですが、それに関しましても衛生委員会における調査審議をやるという形で、今回医療法制で整備されます医師の上限規制及び健康確保措置については労働安全衛生法による枠組みの中でも、きちんと対応できる形ということで進められているところです。この図の下に※で追記しておりますが、追加的健康確保措置の面接指導は、医療法について位置付けることと併せて、労働安全衛生法の面接指導としても位置付けて、衛生委員会における調査審議等が及ぶ方向で検討されているところです。
その他として、面接指導の実施方法について、6ページです。あるいは、どのタイミングで面接指導を行うかについて、7ページ、そして面接指導を実施する医師についてどのような研修を行うのかといったカリキュラムのイメージ等につきましても、この検討会の中でも検討がなされ、このような方針が示してあります。簡単ではありますが、働き方改革に関する中間取りまとめの内容と、その中でポイントになります追加的上限措置、労働安全衛生法等の関係を御説明いたしました。
今回の取りまとめの以前の医師の働き方改革に関する検討会で、労働安全衛生法で義務付けられている面接、すみません。医療法で、今回新たに導入される予定になっている面接指導を労働安全衛生法で義務付けられている面接指導としても位置付ける方向で、今検討が進んでおりますし、この医療法での面接指導は労働安全衛生法の面接指導をモデルとしたものとする方向で検討中と聞いております。今後、この医療法に基づく面接指導と労働安全衛生法に基づく面接指導とが、別個に2回行わなければならないのではないかという御懸念等も御意見として頂戴しております。ですので、そういったことが2回に分けて実施する必要がないようにするために、医療法関連法令の改正、これは今国会で提出され審議されているところですが、この医療法関連法令の改正に併せて、労働安全衛生法に関する省令改正等の対応を、今後検討を進めていく予定としているところです。事務局からの説明は以上となります。
○城内分科会長 本件について質問、意見等のある方は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 御説明ありがとうございます。まず質問を1点と、意見を1点述べます。今御説明のあった面接指導の実施についてのところで、安衛法ではストレスチェックは、労働時間に関係なく実施しますが、頂いた資料17ページの枠組みでは当該月に100時間以上の時間外、休日労働が見込まれる医師を抽出して、疲労蓄積度のチェックをする形ですが、安衛法のストレスチェックとは別物と考えてよいかのか、まず確認したい点です。
その上で意見ですが、御説明いただいた、追加的健康確保措置をしっかり実施していくためには、外部のチェックに加えて、当事者である事業場の医師等が、労使で定期的にPDCAサイクルを回し、何らかの課題があった場合には、必要な改善を図っていくことが重要だと考えているところです。都道府県の立入り検査による確認と共に、医療関係者自身が衛生委員会など事業場の労使で構成される場を活用して、日常的に追加的健康確保措置が履行されているかどうかを確認することが望ましいと考えておりますので、行政としてもそうした周知・広報を医療機関に積極的に実施すると共に、必要な支援を行っていただきたいと思っているところです。以上です。
○城内分科会長 事務局からお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 御質問、御意見ありがとうございます。この労働安全衛生法で求められているストレスチェックにつきましては、これは医療法の今回の説明書にもあった、この資料4-2の全体の17ページで、資料4-2の中では6枚目ですが、そちらのことを御指摘いただいているのかと思います。全ての労働者に医療関係者にかかわらず、ストレスチェックは今後も同様に適用されて必要になってまいりますので、今回の資料4-2の6枚目にお示ししているものに関しましては、それにプラスアルファで医療法で、医療者に対して、このような疲労蓄積度のチェックリストを設けて、それによって面接指導の対象者の選別と言いますか、選定の助けにしようとしているものと伺っておりますので、従来の全ての労働者に労働安全衛生法で求められているストレスチェックが、医療機関、医師に関して適用されないことではありませんので、その点はそのように御理解いただきたいと思います。
そして、今回準備期間がありますので、それらの中で時短計画あるいは追加的健康確保措置をどのように行うか。それに関して都道府県でどのように関わっていくのかといったことも概念的なところは御説明いたしますが、この間に医療機関で様々な取組プラス外部、都道府県からの評価といったものも含めて、かなり多くの作業、準備が必要になってくるものと承知しておりますので、その間に労使等で検討される場や、追加的健康措置がどのように確実、着実に実施されるのか体制整備に関してのことは、関係の担当の部局と我々とも十分に情報共有しながら、必要な情報提供あるいは、周知・啓発に関しましては連携して進めてまいりたいと考えているところです。
○城内分科会長 続きまして、増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。1点確認させてください。資料4-2の5ページの所で、面接指導実施医師が出てきますが、面接指導実施医師の要件等は何か規定があるのでしょうか。例えば、産業医は2017年4月の省令改正で病院長が兼務することができなくなりましたが、面接指導実施医師については、何かそのような規定があるのかどうか。5枚目の資料でいきますと、事業者と面接指導実施医師が同一の場合が、往々にして出てくると思いますので、その辺りについてお伺いできればと思います。
○城内分科会長 事務局からお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 面接指導の実施に関しましては、医療機関の管理者そのものがなるのは適切ではありませんので、その辺りの詳細な規定に関しましてはこれから規定はその辺りは十分に確認していきたいと考えております。この取りまとめでも面接指導が適切に行われて、なおかつ医療機関における就業上の措置が適切に行えることが最も重要なことですので、そこに関しましては、面接指導医師に求められる要件といったところの中に労働安全衛生法と不整合の点が生じないように、医療法の担当部局と十分に、対応は慎重に進めてまいります。
○城内分科会長 そのほか、医師の働き方改革についての御意見等はございますでしょうか。
○髙倉労働衛生課長 すみません、1点追加ですが、今の中間取りまとめの資料4-1の所に面接の医師に関する所があったと思います。すみません、大変申し訳ありません。資料4-1の1ページ目の中ほどに、中間取りまとめの抜粋の具体的内容の所で、1つ目の○で、面接指導・就業上の措置があります。この中に「医療機関の管理者自ら面接指導の実施医師にはならないようにする」といったことが取りまとめでもありますので、こちらはきちんとこの方向で対応する予定となっております。
○城内分科会長 そのほかございますでしょうか。三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 この問題は、政策場面で言うならば、医政局と労働基準局との文化と論理の違いが本質として恐らくあるのではないかと思います。現に医事側、医政側で考えれば、地域医療で新型コロナ禍で医師も足りない条件下で、労働基準の発想ばかりで対策を求められると、相当厳しいだろうと思います。そうなると意味を感じさせる対策であることと、シンプルであることと、柔軟であることの3つが恐らく求められてくると思います。最終的には、業務の効率化を図る医療の現場に理解のある方策。ある種のコンサルティング的な方法が求められると思うので、そういう観点で引き続き対策を御検討いただければと思っています。医事課でも、病院がしっかり取組をしているかの監査として、恐らく社労士さんで医事に詳しい方がコミットしていく方向になってくると思うのですが、その際にもきちんと医療現場の実態をよく踏まえた対策が試みられると考えております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。事務局からはよろしいですか。
○髙倉労働衛生課長 御指摘ありがとうございます。先ほどの資料の中で2024年4月までの見通しといったところの中で御説明しましたが、時短計画というもの、その中には医療業務の効率化といったものも当然極めて重要になってまいりますので、その辺りが評価機能による、それも医療の現場あるいは社労士的な知識も含めて、そういったところの観点も十分にある形で、この評価機能における第三者評価を行う形で、この時短計画を現実的に、やはり現場に即して、しかも実効性のある形でなるように、2024年に向けてこちらを進めていく。実際に業務の改善がなされていく仕組みになると伺っているところです。
○城内分科会長 そのほか、御発言等はございませんでしょうか。
それでは続きまして、議題(5)に移りたいと思います。「職場における化学物質管理等のあり方に関する検討会中間取りまとめについて」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○木口化学物質対策課長 よろしくお願いいたします。「職場における化学物質管理等のあり方に関する検討会」中間取りまとめ、本文は参考資料4としてお示ししておりますが、今日は資料5に基づきまして御説明させていただきます。
1ページ目、1番に趣旨・目的とあるとおり、国内で数万種類に及ぶ化学物質が使われる中で、危険性・有害性が分からない物質がほとんどで、未規制物質による労働災害が頻発し、重大な職業性疾病も後を立たない状況にあります。他方、国際的に見ますと、全ての危険・有害な化学物質についてラベル表示やSDS交付によって、情報を伝達するといったことが国際ルールになっております。このような状況を踏まえて、化学物質による労働災害を防ぐために、今後の職場における化学物質の管理のあり方について検討するための検討会を設置したところです。
検討事項は2番にあるとおり、国によるリスク評価のあり方に関すること、事業場における化学物質対策のあり方、危険性・有害性情報の伝達のあり方、人材育成のあり方、その他の5点です。
3番ですが、参集者は学識経験者と労使関係者から組織されておりまして、本検討会は、平成元年9月からこれまでに11回開催しております。リスク評価の技術的な事項を検討するワーキンググループは昨年の10月からこれまでに3回開催しております。
2ページ目は、中間取りまとめの目次ですが、このような形で、これまでにまとまった検討結果と、今後の検討事項、検討スケジュールという形で取りまとめをしております。
中身について3ページ目から御説明いたします。まず職場における化学物質管理を巡る現状認識については、(1)労働災害の発生状況、右側上に表が付いているとおり、化学物質による労働災害のうち、特別規則の対象物質による災害以外のものが、全体の8割を占めている状況です。2つ目の○については、特別規則に化学物質が追加されますと、その物質の使用をやめて、危険性・有害性を十分に確認しないで、未規制の物質に変更して、対策不足で労働災害に至るという事案が発生しております。(2)の有害作業に係る化学物質の管理の状況です。これは下の表に書いてあるとおり、有害物を扱う作業場で、作業環境測定結果の評価が、直ちに改善を必要とする第3管理区分と評価されている事業場の割合が増加傾向です。2つ目の○については、リスクアセスメントの実施率が50%強、「人材がない」「方法が分からない」といった理由を挙げております。
(3)中小企業における状況です。企業規模が小さいほど、法令の遵守状況が不十分、労働者の有害作業やSDSへの理解が低いという状況があります。(4)諸外国における化学物質管理については、先ほどと少しかぶりますが、欧州や米国ではGHS分類で危険有害性がある全ての物質がラベル・SDS交付の義務対象となっております。欧州では化学物質のリスクアセスメントが義務で、流通規制があります。アメリカではインダストリアル・ハイジニストなどの専門家による判断を重視しているという状況です。
4ページ、このような状況で、現在の仕組みがこのピラミッド図になります。上から順に製造禁止物質、特化則などの法令適用物質、リスクアセスメントが義務付けられた物質、その他という形になっております。上向きの矢印がありますが、国によるリスク評価を踏まえて、3段目から2段目に29物質が追加されております。上から4段目、これはラベル表示やSDS交付なども努力義務になっておりまして、危険性・有害性情報が十分に伝達されないので適切な対策が取られないというのが実情です。これらを踏まえて、上の囲みの中ですが、これまでの有害性が高い物質について、国がリスク評価を行って特別規則に追加して、措置についても国が具体的に法令で定めるという仕組みから、国はばく露濃度などの管理基準を決めて、危険性・有害性情報の伝達の仕組みを整備して、事業所はその情報に基づいてリスクアセスメントを行って、措置も自ら選択して実行する「自律的な管理」というものに見直すことが適当とされました。
5ページ目は、この見直し後の化学物質規制の仕組みということで、このような形になります。従前は法令の適用のある、なしで区別をしていましたが、有害性情報が多いか少ないかで分けていくという考え方になっております。一番右側が有害性情報が一番少ないグループです。ここは有害かどうか分からないので、ばく露をできるだけ低くするということと、できるだけ体に触れないような措置を取ることとなっています。真ん中のグループは、国によるGHS分類によって危険性・有害性が確認された物質で、ここでラベル表示・SDS、リスクアセスメントの実施義務が入ってまいります。「ばく露限界値」が設定されたときには、ばく露濃度をばく露限界値以下とする義務が入ってくる。このような形で管理していくということです。これ以外のことについては、次のページから順次御説明させていただきたいと思います。
6ページ目、GHS分類の分類済みの危険有害物の管理ですが、これは先ほども申したとおり、国によるGHS分類の結果、危険性・有害性の区分がある全ての物質、現在3,000物質ありますが、これについては、ラベル表示やSDSの義務対象としてリスクアセスメントを義務付けるとしております。リスクアセスメントの結果に基づく措置については、2つ目の●の①から④まで、①から順に安全な物質への変更によるハザードの削減。②が、工学的対策のリスクの低減。③が、作業管理によるリスクの削減。最後は保護具となっております。このような内容から、事業者自ら選択する手段でもって、労働者が吸入する有害物質濃度をできるだけ低くすることを義務付ける。ばく露限界値が設定されていた場合は、その濃度以下にすることを義務付けるとしております。
皮膚刺激性があるとか、皮膚から吸収されるというものについては、できるだけ接触しない方法を取って、障害等防止用の保護具を身に付けるとしております。
4つ目の●ですが、基本的に国によるリスク評価で特別規則に追加するという形は取らないとしておりますが、労災が多発するなど、特に管理使用が困難と認められる物質、あるいは特定の作業があった場合には、そういった物質の使用などを禁止する、許可制にする。あるいは特定の作業のみを禁止、許可制、ばく露防止手段を指定する。こういった対応を取ることを国が検討するとされております。
最後の●ですが、特化則、有機則の対象物質については、引き続き同規則による管理を適用するとされておりますが、高い専門性を有する人材がいるとか、管理が良好であるといった一定の要件を満たす事業者に関しては、都道府県労働局長などの認定を通じて、特化則等の適用を除外する。あるいは発散抑制措置の要件を緩和するとか、そういったことをするとされています。
7ページ目、GHS未分類の物質の管理については、先ほどの図の一番右側のグループですが、これはできるだけばく露を低くする対策を取るということです。(3)の、労使等による化学物質管理状況のモニタリングですが、自律的な管理の状況は、事業場によってそれぞれやることが変わってきますので、どのように管理が実施されているかについては、衛生委員会などで労使で状況を共有することを義務付けるとされております。自律的な管理の実施状況については後から検証できるように、記録は一定期間保存を義務付けるとされております。化学物質の取扱いの規模が一定以上の企業に関しては、自律的な管理の実施状況について、インダストリアル・ハイジニスト等の専門家の確認・指導を定期的に受けることを義務付けるとされております。
4つ目が、健康影響への確認についてです。自律的な管理の場合は、一律に特殊健診などを義務付けるという仕組みではありませんので、健康診断を実施するかどうかについても、産業医などの意見を参考としながら労使で御判断いただくということになります。実施する場合の健診項目についても、健診を実施する医師等の産業医に御判断をいただくということです。もし労働者がばく露限界値を超えてばく露した可能性がある場合には、臨時の健康診断の実施を義務付けるとしております。年に1回実施する一般健康診断、これは全ての労働者に対して行われるものですので、この問診の際に化学物質の取扱い状況などを聴取していただいて、健康への影響の有無について特に留意して御確認をいただきたいとしております。
8ページ目、危険性・有害性情報の伝達の強化については、今後、情報の伝達が自律管理の基本になりますので、このような取組を進めるということが(1)からあります。(1)は、ラベル表示・SDSを促進するための取組で、1番の●については、「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」というのが、ラベル表示・SDSの交付義務から外れているのですが、この範囲を明確化するということで、従来から決まっていた①から⑤に加えて、⑥の項目を追加しております。背景としては、業務用のものでも一般の店舗で販売されたり、インターネットで販売されたりということがありますので、適用の範囲をより明確化にするという趣旨です。2つ目については、どちらかと言いますと意識改革の面で、ラベル表示・SDS交付義務対象外の物質であっても、流通においては、ラベル表示・SDSを伴うのは基本であるという考え方を広めていくとされております。ラベル表示・SDSの義務違反を是正しない場合には、対象労働者保護という観点もありますので、対象製品名を公表するなど指導を強化するとしております。
9ページ目は、SDSの記載内容交付方法等の見直しということで、1つ目としては、SDSに記載されるべき項目として、「推奨用途と使用上の制限」を追加しております。推奨用途以外の使い方をされる場合には、より注意してリスクアセスメントを実施していただきたいとのメッセージでもあります。2つ目は、SDSの内容の更新ですが、危険性・有害性情報の更新状況を定期的に確認していただいて、もし更新されている場合には、SDSの記載内容を改正して、一定期間内に再交付をしていただくとしております。SDSの交付手段として、基本的には紙でやっていると思いますが、これをインターネットを通じた伝達方法、例えば容器にQRコードを付けて、それを読み取るとか、ホームページを閲覧するという形での方法も可能とするとされております。
(3)は、譲渡・提供時以外の情報伝達の強化ということですが、これは事業場の中で、例えば、買ってきたGHS分類済みの危険有害物を作業の都合でほかの容器に移し替えるとか、あるいは自ら製造した危険有害物を一時的に容器に入れておく。そういったときにも内容物や危険性・有害性に関する情報が確実に伝達できるように、ラベル表示などの方法を取っていただくということが書かれております。2つ目は、危険有害物を製造、取扱う設備を改修する、あるいは清掃するという作業を外部に委託する場合は、作業の請負人に対して、その中に入っていた物質の危険性・有害性、あるいは作業についての注意事項などを記載した文書の交付を義務付けることによって、安全な作業を確保するということです。
(4)は支援措置等です。危険性・有害性に関する情報に関しては、個々の企業で集められるよりも、共通で活用できるプラットフォームを作って活用することが効率的、合理的でもありますので、こういったプラットフォーム作りを関係省庁・機関で連携して推進するとされております。先進的な取組を行う企業を表彰など支援する仕組みも検討するとしております。
10ページ目は、労働者の意識啓発・教育の強化です。化学物質のばく露防止を確実にするためには、作業に従事する労働者自身も、化学物質のハザードを正しく理解して、リスクを正しく認識した上で正しい作業を行っていただくことが必要になります。1つ目の●、雇入れ時教育及び作業内容変更時教育の教育事項の中に、ラベルの内容、作業場の注意点等の事項を追加するというのが1点目です。2点目としては、ラベル教育の導入については、早い段階から実施するということを検討するということです。3つ目は、SDSに基づいて化学物質のリスクアセスメントを行うときに、その作業に従事する労働者の参画を義務付けるということを挙げております。
5番目は、中小企業に対する支援の強化です。自律的な管理となりますと、やはり化学物質に関する知識なども必要とされますので、そういった知識、人材が十分でない中小企業が適切に化学物質管理を行えるようにということで、4点挙げております。1つ目は、特に管理が困難な物質や、危険性・有害性が高い物質に関しては、標準的な管理方法などをまとめたガイドラインを作って、これを参考にしながら管理を進めていただくということです。2つ目は、支援体制の強化ということで、企業OBなど、化学物質に関する高い専門性や豊富な経験を有する人材を、地域ごとに育成・配置をして、中小企業からの無料相談対応や助言支援等を行うような体制の構築を検討するとされております。
3点目は、化学物質管理が専門的な知識がなくても容易に実施できるような簡易な管理システム、支援システムを開発する。これはスマートフォンやタブレット等で使えるようなものを開発することと、化学物質管理に関する情報もできるだけ1カ所に集約して、そこを見れば分かるようなポータルサイトの整備を検討するとしております。また、混合物の場合は、基本的に混合物としてSDSを作っていただくことになるのですが、これが簡易に行えるようなツールの開発も今後行っていくということです。
11ページ、今後の検討事項です。本検討会の検討事項ですが、先ほども話がありましたが、化学物質管理を支える専門人材の確保・育成、どのような方をどのような形で育成していくかということの議論を今後進めていくこととしております。2番は特化則等における課題への対応ということで、2つあります。1点目は、ばく露リスクに応じた健康診断の実施頻度等の見直しです。2点目は、気中濃度を管理濃度以下に維持することが技術的に困難な場合の対策ということで、第3管理区分の割合が増えているという話がありましたが、技術的にどうしても濃度が下げられない場合に、どのようなばく露防止対策を取れるかを検討していくということです。(3)は、遅発性疾病の把握方法等で、遅発性疾病の発生が労働者死傷者報告などでなかなか把握がしづらいということもありますので、どのような形で把握ができるかについて検討していくとしております。
4番は、ワーキンググループでの検討事項ですが、これは2番に書いてあるとおり3点あります。1点目は、国によるGHS分類は今後どのように進めていくかという点です。2点目は、ばく露限界値及び暫定ばく露限界値をどのように設定していくかという点です。3点目は、化学物質に関する危険性・有害性に関する情報収集をどのように進めていくかという点です。これが今後の検討事項となっております。
最後の今後のスケジュールについて、まず、ワーキンググループですが、これは先ほどの3点について、今年の5月か6月頃までを目途に検討して、取りまとめをいただくということにしております。本検討会はワーキンググループでの取りまとめ事項なども含めまして、今年の夏頃までに継続的に開催して、先ほどの残りの検討事項を詰めていき、夏頃の検討会最終回を目指していきたいと思います。
12月23日の第11回の本検討会での中間取りまとめは、本日、安衛分科会に中間報告させていただきまして、法令改正が進められるものは、順次法令改正の手続に進めていきたいと思います。最終の取りまとめがなされた後にも、同じように安全衛生分科会に報告をして、必要なものは法令改正の手続を進めるというスケジュールで考えております。御説明は以上です。ありがとうございました。
○城内分科会長 本件について質問、意見等のある方は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いします。それでは最初に、最川委員、お願いいたします。
○最川委員 御説明ありがとうございました。今の現状の化学物質の確認ですが、まず今は化学物質と呼ばれるものは約7万物質あって、そのうち危険性が確認されているものが3,000物質、ラベル表示義務、SDS交付義務、リスクアセスメントの義務になっているものが673物質、製造使用禁止が8物質あると認識しております。今後は673物質以外7万種あるものに関して、危険性というのは、危険があるものとして事業主自ら調べて、それから対策をするという形になっていくのかなという、今説明を聞いて思ったのですが、私は建設なので、建設業の現状をお話しますと、化学物質はそもそも原素を組み合わせたものと認識しているので、建設物で扱っている物質、液体、粉末は全て化学物質と認識しております。
その全てのものに対して、危険性がある、ないというものを判断してリスクアセスメントをやって、それから労働者に使用させるというのは建設業としては、それだけの労力をかけてやっていけるのかというのは、少し現実離れしているなと思っています。特に建設業については、危険なものの取扱いもなるべくメーカーや製造、販売する人が分かりやすくしていただく。先ほどもありましたが、プラットフォームを作っていただいて、全ての建設業者に発信するものを作っていただくということが一番大事だと思いますので、その辺は、多分、今の法律だけでは行き渡らないのではないかと私は感じていますので、今後、その辺も検討会の立ち上げ等含めて、検討していただければというのが要望です。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。発言希望者の委員の方がたくさんおられますので、発言していただいて、その後、事務局からまとめてお答えをお願いしたいと思います。次に中村(節)委員、お願いいたします。
○中村(節)委員 意見ですが、化学物質に関する知識に乏しい事業者にも効果的な周知が図れることが大事なことであると考えています。今回の改正内容に関しては、労働者の健康確保に必要な体制であることに加え、非常に広範囲の事業者に関与することから、より一層分かりやすく、かつきめ細かやかな周知が求められると思います。
また、中小企業に対して、具体的な支援策を御検討いただいておりますが、まずは各事業者が自社で化学物質の管理が必要となることや、必要となる範囲について認識できるように、入口での周知を徹底することも重要です。従いまして、必要とされる管理の範囲や内容を、業種や取り扱う製品・サービスで例示するなど、情報の提供ツールや提供方法を工夫して、化学物質に関する知識に乏しい事業者にも効果的な周知が図れるよう御検討をお願いしたいと思います。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 労働側の佐藤です。資料5、7スライド目の(3)、労使等による化学物質管理状況のモニタリングの1つ目の●の所で、自律的な管理の実施状況について、「衛生委員会等で労使で協議することを義務付け」とあります。衛生委員会設置義務のない50人未満の事業場においても化学物質を扱う事業場はあるわけで、50人未満の所についてどう考えていくのか、衛生委員会で扱うことが望ましいとしていくのか、また、義務付けということで方向性が出されておりますが、法令改正等との関係について事務局のお考えを確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、漆原委員、お願いいたします。
○漆原委員 これまで十分な対策が取れなかった化学物質について、事業場で自律的に管理をしていくことについては、化学物質による労働災害の発生状況を考えれば、合理的であると考えております。
一方で、事業場で化学物質の自律管理を適切に行うためには、自律的な安全文化という形のものを中小・零細企業に至るまで根付かせていくことが、今後の課題になるかと思います。そのための周知・広報を適切に実施するとともに、これまで以上に、取り分け中小・零細企業に対する支援が不可欠ですので、新しい仕組みが効果を発揮するまでの間、どのような施策を講じるかということも重要だと考えているところです。さらに、制度の改正に伴う産業医や産業看護職などへの周知・広報や、研修も含め、引き続き検討会において議論に参加させていただきたいと思っております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、熊崎委員、お願いいたします。
○熊崎委員 御説明ありがとうございました。コメントですが、是非、危険性についても十分に配慮いただいて、検討を進めていただければと思っております。有害性については、化学物質は危険なものであるとか、吸い込むと危ないという点は比較的理解しやすいと思いますが、火災につながる点は忘れられがちです。危険性による事故は火災や爆発につながって、大きな被害につながる場合もあります。建設現場、機械、溶接で火気を扱う場所や、化学物質を混ぜることで危険が増すこともあるので、是非、その点にも十分に御配慮いただいて、御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 御説明をありがとうございました。1点質問です。資料5の6ページの一番上の●と2つ目の●が、化学物質の自律的な管理の軸となる取組となってくるのだと思いますが、リスクアセスメントの実施とその結果に基づく措置が適切に行われているのかどうかを、当事者である事業者がどのようにして確認することになるのか、すればよいのかについてお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて、三柴委員、お願いいたします。
○三柴委員 この中間報告は、今後の化学物質管理対策の有り様を展望する、非常に重要で有益な示唆を含んでいると思います。ここでは、特に中小で特別規則外の健康障害が多いという実態を踏まえて、自律管理の方向を打ち出しているわけですが、自律管理というのは、要するに組織に化学物質対策を重視させるということとイコールです。ときどき調査結果として、人がいないから対策は打てないという経営者等の声が聞こえますが、これは逆で、化学物質対策を重視していないから、人と体制を作っていないというのが実相ではないかと思います。
その点、イギリスなどの国外では、人と体制作りという意味ではかなりできているので、日本の今の現状、問題を踏まえるとできないわけはないと考えられます。ただし工夫は必要で、やはりある程度厳しめの規制、リスクアセスメントの義務付け等の厳しめの規制を置いておいて、それはうちの事業場はできているから外していいのだというのであれば、専門家の裏付けを得るといった誘導策、専門家を大事にするような誘導策を設ける必要があるということで、そうした趣旨も含めた非常に有益な中間報告だと認識しております。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。砂金委員、お願いいたします。
○砂金委員 資料の11ページで、専門人材の確保・育成に関する言及がされているのですが、このような危険性・有害性を伴うものに関しては、官側と民側の両面の検討が必要になるのではないかと感じました。国や企業、個々人での対応が臨まれていくのかなと思います。
その際に併せて、先ほど来もお話が出ていますが、リスクアナリシスや、事故情報、リスク情報の共有の枠組みまで御検討いただくのがよろしいのかなと感じました。以上です。よろしくお願いします。
○城内分科会長 ありがとうございました。チャットで発言の希望は以上だと思いますが、漏れはないでしょうか。時間も少し押していますが、今までの御質問、御意見に対して事務局からお願いいたします。
○木口化学物質対策課長 事務局です。多くの御意見を頂きまして大変ありがとうございます。まず、最川委員から、建設業の現状としてありましたが、やはり化学物質の安全な扱い方については、化学物質を供給する側から確実に危険性・有害性、あるいは適切な取り扱いに係る情報が伝達されることが第一と思っております。例えば、ラベルの記載内容を具体化していくとか、そういったことに関しても今後、また議論を進めて、できるだけユーザーさんのほうで困らないような環境を整備できるような形で、検討を更に進めてまいりたいと思います。
中小企業への周知に関しても、特に化学物質を最終製品として使われる方におかれましては、御指摘のとおり、化学物質への知識が必ずしもないとか、あるいは当事者意識としてお持ちでない方もいらっしゃるかと思いますので、できるだけ広い範囲に本当に必要な方に情報が確実に行き渡るように、広報の展開の仕方については工夫をしてまいりたいと思います。
佐藤委員からの御指摘で、モニタリングに関しては労使で共有ということで、衛生委員会というのは1つのステージであると思いますが、労使で情報を共有して、リスクコミュニケーションを図っていくという趣旨です。
参考資料4の8ページ目、ウ(ア)②、労働者数50人未満の事業場についても、従事する全ての労働者に対して、自律的な管理の実施状況を共有するとともに、意見を聞く機会を設けることと書いておりますので、これを制度としてどのように今後落とし込んでいくか、また詰めていきたいと思っております。
漆原委員からも御指摘がありましたが、周知、広報、支援については先ほどとかぶりますが、自らどういう化学物質を扱っているか、どういった正しい取扱いをしなければいけないかということを自分で考えて、安全文化を根付かせるということについても、繰り返しいろいろなルートから周知を図っていきたいと思います。
熊崎委員からのコメントにもありましたように、危険性に十分に配慮というのは、説明の中で有害性のほうにフォーカスして御説明しましたが、GHS分類でももちろん危険性・有害性両方に着目しているわけですし、火災とかにつながる災害も起きているわけですので、その観点ももちろん踏まえて、今後、広報なども図っていきたいと思っております。
増田委員からの技術管理のリスクアセスメントの結果が適切かどうか、どのように確認していくかということに関しては、専門人材をこれから育成していかなければいけないということもありますが、必要に応じて専門家にも見ていただきながら、だんだん経験値を積み重ねていくということになっていくかと思います。走りながらの体制を整えていくことになるかと思いますが、そういうことができるような人材をいかにして育成していくかということに努めていきたいと思います。
三柴委員からは、新しい考え方だということで、これは欧米でのやり方なども参考にしながら効果的なやり方について検討していきたいと思います。
砂金委員からは、専門人材の確保に関して、官と民との検討が必要ということで、特に企業のOBなどで経験豊富な方にどのように御活躍いただくかということも大変大切かと思いますので、リスク情報の共有なども含めて、業界の方々とも連携を取りながら進めていきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 そのほかに御意見等ありますか。ありがとうございます。
それでは次は議題(6)「その他」に関して事務局から説明をお願いいたします。
○小宅計画課長 私から御説明いたします。資料6、労働政策審議会の運営規程の2ページ、6条1項です。これまで審議会の議事については、各委員に内容を御確認いただいた後で、労使各代表の方に署名ということで最終確認をお願いしていたのですが、昨年来、押印や署名についてはできるだけ見直していくということがありましたので、この運営規程におきましても、署名というのはなくそうということで決定がされております。内容の確認は引き続きお願いしますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問、意見等のある方は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。よろしいですか。
これで全ての議題を終了しました。本日も長時間にわたり、熱心に御議論いただきありがとうございました。それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。時間どおり終了しました。

発信元サイトへ