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第28回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和2年12月4日(金)15時から16時40分まで

場所

中央合同庁舎2号館7階省議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、
   金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、野﨑邦夫委員、浜野京委員、
   原田久委員、河合晃一専門委員
(事務局等)谷川総務大臣政務官、阪本官房総括審議官、山本管理官他

議事

1 令和2年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し並びに独立行政法人の中(長)期目標の策定について
2 令和元年度に主務省令期間が終了した行政執行法人に係る効率化評価の結果について
3 令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果についての点検結果
4 新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた今後の独立行政法人評価について

配布資料
議事次第
資料1
資料2
資料3

議事録

【野路委員長】 それでは、定刻より少し早いですが、ただいまから第28回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、密を避ける観点から、傍聴者には会議の模様をオンラインで視聴していただくこととしております。
また、本日の会議には、谷川大臣政務官に御出席いただく予定です。谷川大臣政務官は所用により、遅れてお越しになりますので、お越しになりましたら御挨拶を頂戴したいと思います。
それでは議題1について、樫谷評価部会長から御報告をお願いいたします。
【樫谷委員】 樫谷でございます。10月23日に開催されました委員会での御意見を踏まえまして、評価部会におきまして、令和2年度の見直し対象法人に係る調査審議を進めてきたところです。
まず、本年度の見直し対象法人に係る「見込評価」、「業務・組織の見直し」につきまして、これまでの調査審議を踏まえて、評価部会として、ともに「意見なし」の結論に至りました。
他方、これまで行ってきましたヒアリングや「見込評価」及び「業務・組織の見直し」の結果を踏まえまして、次期目標を策定する際、各法人において御留意いただきたい点がいくつか出てまいりました。次期目標の策定に係る留意事項等に関しまして、資料1のとおり整理いたしましたので、詳細につきましては事務局から御報告をお願いしたいと思います。
【山本管理官】 事務局より御説明申し上げます。
資料1を御覧ください。まず、1ポツでございますが、令和2年度の委員会の活動の概要について記載させていただいております。本年4月に確認いただきました「令和2年度の調査審議の進め方」に沿いまして、各法人の国の政策体系上の位置付け・役割や現に直面する課題、法人を取り巻く環境の変化等について、早期から主務省との間で共通認識を醸成した上で、主務省、法人の長、役員の方々と意見交換を実施し、期間中の法人の業務の実態や、新型コロナウイルス感染症が法人の業務にもたらした課題、また、それに対する工夫について聴取してきたところでございます。そして、その結果も踏まえまして、法人の次期中(長)期目標の策定に当たっての留意すべき点等について調査審議を行ってきたところでございます。
2ポツを御覧ください。「今後の中(長)期目標の策定に当たって」とございます。我が国は、急速な人口減少、少子高齢化、頻発する自然災害等の社会課題に対応するため、イノベーションの社会実装によるSociety5.0の実現に取り組んできたところでございます。国の政策実施機能を担う法人も、その専門性、人材面における強みを生かし、これらの社会課題の解決に向けて取り組んできたところでございます。
しかし行政として、この新型コロナウイルス感染症への対応を進める中で、以下のような課題が浮き彫りになったということで、
・デジタル化、オンライン化の遅れ
・業務継続や生産性の向上の観点からの業務のリモート化の必要性
・デジタル技術を利活用できる専門人材等の不足
と3点掲載しております。
このような状況を踏まえまして、主務大臣は、法人の在るべき姿と現状から法人の目指すべき目標を導き出すに当たっては、単に従来の目標の延長線上で考えるのではなく、以下の点に特に留意しつつ、目標・指標の立て方や重み付けを含めたすべての事項について、改めて精査をしていただきたいとございます。
(1)は、新型コロナウイルス感染症の影響を含む法人を取り巻く環境の変化、直面する課題、法人の「強み」及び「弱み」についての把握・分析を十分に行い、法人が、その使命に鑑み、その役割を着実に果たし、一層その政策実施機能を発揮するにはどのような目標とすべきか、改めて法人の長としっかり議論し、検討いただきたいということ。
(2)は、法人が、新型コロナウイルス感染症対応で浮き彫りになった取組の遅れや課題を克服して「新たな日常」に対応し、その役割を果たすとともに、より高みを目指すことができるよう、上記(1)の議論・検討を踏まえまして、法人における業務手法等の見直しを促すような目標としていただきたいということです。
次ページでございます。その際、デジタル技術の利活用に当たっては、デジタル化自体を目的とするのではなく、業務プロセス全体の最適化・効率化を意識することはもちろん、デジタル化によって組織やビジネスモデルを変革し、新たな価値を創造するデジタルトランスフォーメーション(DX)を意識することや、情報セキュリティの観点にも留意することとしています。
(3)は、法人の使命等を組織内の各階層に浸透させるとともに、役職員のモチベーション・使命感を向上させて、上記のような、法人の政策実施機能の最大化や業務手法等の見直しを確実なものとするため、法人の組織風土や役職員の意識にまで踏み込んだ取組を促すような目標とすることということでございます。
加えて、これまでの取組の成果を踏まえつつ、例えば、以下のような取組を盛り込むなどにより、社会的課題の解決に向けた取組を更に推進していただきたいということで、2点掲げております。
(1)は、様々な関係機関との間で、データを共有し活用するなど、一丸となってイノベーションを推進するため、各府省、他法人や地方公共団体、民間部門等との連携・協働を一層強化するということ。さらに、業務実施に必要な施設に関しても、老朽化が進む現状を踏まえ、法人内で全てを賄おうとする「自前主義」を脱し、各府省、他法人や地方公共団体、民間部門等と連携し、それらの機関の施設を利用して業務を実施する可能性も視野に入れつつ、効率的な施設の在り方について計画的に検討するということです。
(2)には、「新たな日常」に対応してデジタル技術を利活用できる専門人材を含め、各法人が社会課題の解決に向けた役割を果たしていくための専門人材の確保・育成に、戦略的に取り組むこととございます。
以上が、各法人共通で留意していただきたい事項でございます。
続いて、3ページ以降の「別紙」に整理しております個別の法人ごとの留意事項を御説明いたしま す。基本的に、前回10月の委員会で論点として御指摘いただきました事項を整理したものになっておりますので、趣旨に変更はございません。時間の関係もございますので、キーワードを中心に簡潔に御説明させていただきたいと思います。
まず、3ページ、総務省所管の情報通信研究機構(NICT)でございます。研究事務の補助者やリサーチ・アドミニストレーターといった研究支援人材や、知的財産の活用に係る専門人材の確保・育成についての御指摘が掲げられております。
次に、財務省所管の酒類総合研究所でございます。輸出促進や酒類業への技術支援といった酒類行政に対するニーズの高まりを踏まえて、目標の重み付けを適切に検討すべきではないかという御指摘でございます。
次に4ページ、文部科学省所管の8法人でございます。
まず、研修系の4法人についてでございます。効果的なオンライン研修の構築や研修体系の再構築、研修内容の向上とそれに必要な現場の声の吸い上げ、主務省と連携した情報発信といった点についての御指摘になっています。
5ページ、大学入試センターでございます。財政基盤の改善、統計データやノウハウ等の資産の有効活用、ガバナンスの強化といった点について、御指摘をいただいております。
6ページ、文部科学省の最後で、博物館・美術館系の3法人でございます。コロナ禍の中、集客促進や文化観光振興、新たな収益の確保等に向けて、イノベーティブに取り組んではどうかという御指摘でございます。
10月の委員会では、文部科学省所管の法人に関しては、法人の使命に立ち返って、例えば入館者数にこだわらない目標を検討すべきといった、すなわち業務手法等の見直し・工夫が必要ではないかという御指摘もございました。
また、施設保有の在り方についての御指摘もいただいておりましたが、いずれもこれらは文部科学省所管の法人に限らない留意事項であるということで、先ほど御覧いただきました、全ての法人に共通の留意事項に整理しております。
続きまして、7ページを御覧いただきたいと思います。厚生労働省所管の国立高度専門医療研究センター(NC)6法人でございます。本年4月に発足いたしましたNC6法人横断的な研究推進組織について、適切にPDCAサイクルを回していけるようにしてはどうかという御指摘でございます。
続いて、農林水産省所管の5法人でございます。
まず、家畜改良センターでございます。法人の役割や求められる具体的な成果の明確化、データの利用促進や飼養管理技術の高度化を推進するための人材確保、10月の委員会でも御指摘がございました知的財産活用といった点についての御指摘となります。
次に9ページ、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)でございます。研究成果の社会実装・標準化、外部資金の獲得といった点についての御指摘となります。
次に、国際農林水産業研究センターでございます。法人の役割の明確化、広報活動の推進といった点について、御指摘いただいております。
10ページを御覧いただきたいと思います。森林研究・整備機構でございます。林業全体の課題と法人が取り組むべき業務の方向性の明確化、広報活動を通じた人材の確保・育成、研究成果の社会実装・標準化といった点について御指摘いただいているところでございます。
次に、11ページを御覧いただきたいと思います。農林水産省最後の、水産研究・教育機構でございます。水産資源のモニタリングに必要なデータの収集・分析について、民間船舶等の活用や、ICTによる効率化を図ることなどについて、御指摘いただいているところでございます。
続いて、国土交通省所管の4法人でございます。
まず、海技教育機構でございます。船員の安定的・効果的な確保・育成に向けた海技教育の見直しなどについての御指摘でございます。
次に、12ページを御覧いただきたいと思います。航空大学校でございます。操縦士の安定的な養成・確保に向けた教官の人材確保や訓練内容の向上、また事故防止・安全管理体制についての御指摘でございます。
なお、10月の委員会におきましては、先ほどの海技教育機構と併せまして、人材の確保・育成については、新型コロナウイルス感染症が各業界に与えた影響についても留意すべきだという御指摘もいただいておりました。これにつきましては、それぞれの背景事情で触れております。
次に、自動車技術総合機構でございます。車検等の効率化、検査施設の整備、情報セキュリティの確保といった点について、御指摘いただいているところでございます。
13ページ、国土交通省の最後、住宅金融支援機構でございます。地方公共団体等との連携による地域課題の解決、手続のデジタル化、外国向けのコンサルティング業務等といった点について、御指摘いただいているところでございます。
最後に、14ページでございます。環境省所管の国立環境研究所でございます。法人の役割と優先すべき課題の明確化、情報発信、研究支援人材の確保・育成といった点についての御指摘となってございます。早足でございましたが、以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの報告について、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。なお前回同様、国立環境研究所の監事を務めていらっしゃる天野委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えていただくこととしておりますので、よろしくお願いいたします。
【天野委員】 今回、全体的に見させていただいて強く感じた点が3点あります。
まず1点目に、国の科学技術基本計画を基にして、各主務省が、一つの「事業本部」としてどういう役割を担って、どの部分を実務部隊である法人に下ろすのかを、主務省においてもっと明確にしていただく必要があるのではないかということです。
実務部隊でやっていただいた成果が、よく「社会実装」とか「政策反映」と言われていますが、国の科学技術基本計画の中のどの部分で出していただいているのかということを、もう少し分かりやすくしていただく必要があるのではないかという気がしています。
また、主務省が国全体の状況をしっかり把握して、それに基づいて特に研究開発法人に対して明確に役割を与えてあげる必要もあると思います。日本の研究開発法人は、非常にポテンシャルが高いと思うのですが、研究テーマの選び方が上手くないところが見受けられて、もったいないと思いました。これだけのポテンシャルをお持ちであれば、的確なテーマを選んでいただければ、もっといい成果が出るのではないかと感じた次第です。
2点目として、研究開発法人はもちろんですが、日本の法人は、将来、国としてのビジネスモデルに役立つような成果をたくさん持っているかと思いますが、国際社会でそのビジネスモデルを立ち上げて戦っていくための、知財戦略のようなものがないので、これもまたもったいないと思っています。
それと3点目、新型コロナウイルス感染症への対応の中で、IT化やデジタル化が叫ばれており、この独立行政法人評価制度委員会で推進している新たな形式の事業報告書において、成果のプラットフォーム化が求められていますので、デジタル技術を十分活かした形で進めていただければ良いかと思います。以上の3点となります。
【野路委員長】 原田委員。
【原田委員】 原田でございます。私がこの1年間で比較的頻繁に議論に参画してまいりました、NC6法人について発言をさせていただきます。NCの組織の在り方については、今年の2月の評価部会で、厚生労働省に対して、組織の在り方について早急に検討を進めて欲しいことを改めてお願いしたところでございます。私の認識といたしましては、その結論は、このタイミングに至ってもまだ出ていないと理解しておりますし、委員会への説明も行われていないと認識しております。
もちろん、先ほど、山本管理官から説明がございましたように、横断的な組織を設置して、特定のテーマについて検討が進められていることは承知しておりますし、それ自体は高く評価すべきかと思いますが、この場でも以前申し上げたとおり、先ほどの業務・組織の見直しの検討が、先送りにならないよう、「いつまでに何をする」というロードマップを、是非とも作ってほしいと思っております。是非主務省である厚生労働省におかれましては、この横断的な組織での検討はもちろんですが、引き続き、組織の在り方についての議論を進めていただいて、改めてこの公式の委員会の場で御説明いただきたいと思っております。
【野路委員長】 栗原委員。
【栗原委員】 2ページ目の共通事項として、施設の在り方について記載がございます。施設保有の在り方については、法人が効果的かつ効率的に業務を遂行するという観点と、利用者のニーズという観点の、両方から検討していただくこと、また、施設整備ですので、中期的な時間軸を持って進めていただくことが重要ではないかと思います。
この点は各法人共通の課題ではありますが、その中でも、例えば今回の文部科学省の研修系の4法人についても、今後の研修の在り方を見据えつつ、主務省と4法人、あるいはそれ以外の法人もあるかもしれませんが、そういったところで、まずは検討する場を設けていただいて、協同して検討していただきたいと思います。以上です。
【野路委員長】 高橋委員。
【高橋委員】 高橋でございます。まず、今後の中(長)期目標の策定に当たってですが、目標の策定については、ここに記載されているとおりだと思います。ただ、目標達成のための手法については、戦略的、イノベーティブといった言葉も入っておりますけれども、もう一点、是非御留意いただきたい点があります。それは、コロナ禍ということで、新たな課題とそれに伴う業務が加わる法人が多いと思いますが、その一方で、業務を減らす・なくす・捨てるといった検討も、非常に重要になってくるのではないかと思います。ですので、前例にとらわれず御判断いただくようお願いしたいと思います。
もう1点は、私が担当しました、博物館・美術館系の法人でございます。資料の中では、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会も控える中」と記載しておりますが、科学館・美術館・博物館においては、海外への情報発信や観光客の来館が期待されていたところだと思います。新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、その手法を変えて、どうPRしていくかが非常に大事だと思いますので、オリンピック開催地としての誇りを持って、日本らしいものを十分に発信できるように工夫することが大事だと思います。オリンピック・パラリンピックをチャンスと捉えて、世界に対して、日本のアートや文化資産に関しての情報発信を十分にしていただきたいと思いますので、付け加えさせていただきます。
【野路委員長】 金岡委員。
【金岡委員】 2点申し上げます。一つは、先ほど山本管理官から御説明いただきましたとおり、海技教育機構と航空大学校については、新型コロナウイルス感染症による需要の激減が非常に気になるところであり、これについても適切に次期目標の中に盛り込んでいただければと思います。海技教育機構の方は影響が少ない一方、航空業界は非常に大きな打撃を受けているわけですが、操縦士のマーケット自体がそれほど大きくなく、特殊な雇用環境であるということで、航空大学校の理事長以下の皆さんにも聞いておりますので、さほど心配は要らないのではないかと思っています。
もう1点は、全く話題が変わりますが、昨今、日本学術会議の問題が急速にマスコミ等で取り上げられ、それから皆さん御存じかどうか、具体名を挙げてしまいますが、京都大学の霊長類研究所で、11億円にわたる不正な経理があったということでございます。私も京都大学の6月の調査報告書を見ましたが、不正経理という言葉よりは、かなりひどい内容でした。本件については、つい先日、京都大学の著名な特別教授ら2人が懲戒解雇になりました。法人の中には、様々な研究開発を行う法人もたくさんありますが、日本学術会議の問題や京都大学の研究不正ということを考えますと、公金の使い方や、研究の内容について、一般の国民の方に、改めてよく分かっていただく必要があるのではないかと思います。日本学術会議の問題にしろ、一般の国民の方が、アカデミックな世界を、やや疑問の目で見ているところもあるのではないかと感じます。それは、公的な機関の業務執行についても同じだと思いますので、これまで以上に襟を正していくこと、そして監事の皆様の御努力の上、そういう不正が二度と起きないようにしていくことが大切ではないかと感じた次第です。以上でございます。
【山本管理官】 議論の途中に失礼します。政務官が間もなく到着するということですので、よろしくお願いします。
(谷川総務大臣政務官入室)
【野路委員長】 それでは、早速ですが、谷川大臣政務官に、公務が御多忙の中お越しいただきましたので、一言御挨拶をお願いいたします。
【谷川総務大臣政務官】 皆さん、こんにちは。総務大臣政務官を拝命しております谷川とむでございます。野路委員長はじめ、委員の先生方におかれましては、日頃より精力的に御審議をいただき、誠にありがとうございます。
今、政府では、強力な総合調整機能を有するデジタル庁を設置することなどを通じて、新型コロナウイルス感染症への対応の中で浮き彫りになったデジタル化の遅れ等の課題に対応し、社会全体のデジタル化を進めることで、生産性向上や急速な人口減少、地域の高齢化といった課題の解決を実現すべく、検討を進めているところでございます。
国の政策実施機能を担う法人においても、「新たな日常」の下で、社会課題の解決に向け着実に役割を果たし、新たな価値を生み出していけるよう、デジタル技術の利活用を含め、様々な工夫をしていただきたいと考えているところでございます。
10月の委員会においては、まさにそのような問題意識の下、御議論をいただいたと伺っております。
委員の皆様方には、引き続き、活発な御審議を通じて、法人が工夫や改革へ積極的に取り組むことを、後押ししていただければ幸いに存じます。どうぞこれからも、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【野路委員長】 どうもありがとうございました。谷川政務官は公務のため、御退席されます。
【谷川総務大臣政務官】 どうもありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
(谷川総務大臣政務官退室)
【野路委員長】 それでは、野﨑委員。
【野﨑委員】 野﨑でございます。私は評価部会には属しておらず、かつ、この委員会では日が浅いものですから、的外れなことを申し上げるかもしれませんが、コメントをさせていただきたいと思います。
先ほど天野委員からもお話があったかと思いますが、資料1の「別紙」にある個別の留意事項を見ますと、法人の使命や役割について再検討すべきといった指摘が結構あると感じました。これは、かなり根本的な問題かもしれないと感じています。本来、法人が設立される際には、当然使命や役割は明確であったはずで、明確だからこそ法人ができたはずなのですが、その後の状況の変化等、あるいは実際にやってみて現実と違っているとか、いろいろ事情があるのだろうと思いますが、そういったところでずれが生じているのかと思います。
例えば酒類総合研究所では、「法人の使命や政策体系上の位置付けについて今一度検討し」と、かなり根本的なことを言っていると思います。あるいは、家畜改良センターでは、「国の全体目標に対する法人の役割を明確にし」ということが書いてあります。また、国際農林水産業研究センターでも、「法人が貢献すべき分野を明らかにして」という表現があります。あるいは、森林研究・整備機構のところでは、「林業全体が直面している課題と、……具体的な業務の方向について……明確にしてはどうか」という記載もあります。最後の国立環境研究所では、「法人が環境政策において果たすべき役割を今一度整理し」という記載があります。これを踏まえて各法人に共通の留意事項を見てみますと、「このような状況を踏まえ、主務大臣は、法人の在るべき姿と現状から法人の目指すべき目標を導き出すに当たっては…」とありますが、この部分は、法人の在るべき姿と現実の間にはギャップがあるから、そこをきっちり分析して検討してくださいねというのが、この文章のメッセージなのだろうというのが私の理解です。その下の、(1)の後半に、「その使命に鑑み、その役割を着実に」とありますが、この使命・役割がきっちりしていないと、実際にできるかどうか分からなくなってしまいますので、その辺りのメッセージがこの中に入っているという理解でよろしいかというのを、一つ確認させていただければと思います。
それからもう一つコメントですが、最後のところで、様々な関係機関との連携という中に、「民間部門」を入れていただいています。オープンイノベーションやファブレスといった取組は、民間では当たり前のことになっていますので、人材確保の問題もあるわけですから、そういった分野においては、民間部門とも連携されるのがよろしいのではないかと思い、御意見を申し上げて、入れていただきました。以上でございます。
【野路委員長】 天野委員。
【天野委員】 今、せっかく野﨑委員に御発言いただきましたので、若干、私の思いを追加しますと、先ほど、私はかなりソフトな言い方をしました。といいますのも、各主務省が、国の科学技術政策の方針の中で一体何をするのか、あまり明確にされていないところがあると思っておりまして、共通留意事項の文章にも「今までの延長線上ではなく」ということが書いてありますが、「法人の位置付けは設置法の中で決まっているのだから、後は中(長)期計画でよろしく」というようなところが若干あるような気がします。ですので、法人にしっかりしていただくということもありますが、本当は、もっと主務省にしっかり考えてほしいというのが本音です。
【野路委員長】 浜野委員。
【浜野委員】 今までの御意見を踏まえまして、2、3点コメントさせていただきます。私もいくつかの法人を視察させていただいて、お話を伺うにつけ、ここに挙げられている課題は、今回初めて挙がったものではなく、以前からずっと挙げられてきたものが、このコロナ禍という事態になってより顕在化したということは、前回も皆様が御指摘されたとおりですが、それを主務省と法人が一緒に、どう解決していくかというところにおいて、スピード感を持っていただきたいと思います。
改めて、どうしたらこの課題をスピーディーにこなせるかというところを、PDCAを回しながら、しっかりと取り組んでいただければと思います。一方で、独法には民間ではできないようなことにもチャレンジしていくことが求められておりますが、追加するだけでは、業務が過多になってしまっていますので、先ほど高橋委員がおっしゃったように、何かを減らして全体の調整をつけるといったところも、主務省と議論しながら、本来の課題をどう解決していくかというところを、突き詰めていただければと思います。
また、いくつもの法人が同じような課題を抱えておられますので、それをこう解決できたという事例を、是非、この委員会でも結構ですし、法人間でも共有していただいて、そういったところをうまく取り込んでいただければと思います。
そして最後に、そうした取組は民間などいろいろなステークホルダーに向かって、しっかりと、こういったことができているのだというところを、分かりやすく広報していただければと思います。
【野路委員長】 梶川委員。
【梶川委員】 中(長)期目標策定に当たっての留意事項の内容自体については、特段の意見はございません。皆様がおっしゃっていた法人のミッションの明確化については、時々私も申し上げておりますが、主務省が法人の位置付けを明確に定義して、法人が政策体系全体の中でどこまでを担うのかをクリアにすることが、ずっと言われ続けている問題だと思います。
今回、新しい事項としては、民間もそうですけれども、DXというのが掲げられています。ここにも書かれているように、業務改革を前提にしてICTを使っていくということになりますと、私も昔から申し上げているように、法人全体なり、主務省単位でもいいのですが、こういったことを共通に担当する、業務管理・デジタル化のシェアードビジネスのような部門のようなものがあっても良いのではないかと思っています。
個別の業務はもちろんそれぞれの法人が独立して行うのですが、プラットフォーム的なことに関しては、少し考えないといけないと思います。産業技術総合研究所のような規模が大きな法人はできるかもしれませんが、大体の法人はそれほど大きな組織でないので、このICT利用も含めた業務管理系の業務は、もう少し共通の部門で担当していくようなことも、日本中がDX推進に向かっているこの機会に、考えていっても良いのではないかと思います。今回委員会決定でこういうメッセージを出しても、各法人においてこれからどのように取り組んで行けば良いかは、簡単ではないと思います。ですので、支援の体制も含めて、現実にシステムを開発し運営していけるところがないと、言われっ放しで取組が進まず終わってしまうのではないかと思いましたので、付言させていただきました。
【野路委員長】 金岡委員。
【金岡委員】 金岡でございます。今ちょうどデジタル化の話が出ましたので。これは総務省でも取り組んでいると思いますが、デジタル庁に絡めて、全国で1,700以上ある地方公共団体の情報システムを統一しようという話が浮かび上がってきております。
ただ、ここで間違えていただくと困るのですが、情報システムを統一するのは、一つのシステムにすることではなくて、データが連携しやすいように、様々なデータの表し方ですとか、情報の仕様の部分、スペックの部分を統一していこうということです。今、皆様、スマホやインターネットを使っていらっしゃると思いますが、インターネットで決まっているのは、そのプロトコル(通信仕様)が決まっているわけで、具体的にハードウェアが統一されていたり、その上のソフトウエアが一種類しかなかったりということでは決してございません。
この辺り、人によっては大変大きな誤解を生んでいるところでございますが、まず、大切なことは、例えば、データが法人の中でも適切に蓄積・活用されていくためには、どういうデータを保存し、そしてどういう形式でそれを持っておくのかという、データのスペック、書き表し方が非常に重要でございますので、これの統一に向けて、少しずつ議論を進めていっていただく必要があるのではないかと思います。情報システムをいきなり1個にするというのは極論であり、必ずしも簡単なものではありませんので、まずは持っているデータをどうやって、他の法人、あるいは主務省間で連携ができるのかに注力していただく必要があるのではないかと考えております。
【樫谷委員】 ありがとうございました。今までの委員の皆様の御意見を聞いて、私の感想を申し上げます。
天野委員や梶川委員がおっしゃっていましたが、主務省が変わりきれていないのではないかと思います。むしろ法人の方が主務省よりも現実を知っているので、法人は変わろうとするのですが、主務省が変わりきれていないようにと思います。主務省は、頭をもう少しやわらかくして取り組んで行くという部分があっても良いかと思います。今後も含めて、主務省に対してどういうメッセージを出すかも、我々も考えていかなくてはいけないかと、皆さんの御意見を聞いて感じましたので、発言をさせていただきました。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、私からも一言だけお話ししたいと思います。今日は見込評価、業務・組織見直しや、委員会決定についてという議題でしたが、これらについての意見はそれほど多くなく、むしろ次期目標策定に関する議論が多かったと思います。私からは民間企業の経営に携わった立場で一つお話しします。民間企業でも方針展開というのは非常に難しいです。課題についても、法人の大きな課題、社会的な課題というのは皆が分かっているわけです。
その課題をどうやって解決していくかですが、そのときに、まずは先ほどの説明がありましたように、資料1の2(1)にあるような方針展開が基本です。この基本が、基本どおりできるかどうかが問題です。なぜ、それが、できたりできなかったりするのかというと、一つは、取り巻く環境がどう変化しているかを誰がどうデータを集めて把握しているかという点にあります。
例えば、林業を例にして申し上げますと、これだけたくさんある山をもっと有効活用して、そしてもっと林業を活性化してという課題認識は、皆できていますが、私も色々と関わったことがあるのですが、今、山がどういう状態になっているかというデータはありません。結局、主務省の問題は、そういう現状がどうなっているかというデータベースがないことだと思います。こうしたデータは、見つける必要があります。それで法人を取り巻く環境の変化が分かるのです。
もう一つは、研究開発法人であれば、世の中がどう変化しているかを見ないといけません。関連する分野において、どんなツールの技術開発が進んでいるのか、あるいは民間が今どこまでレベルアップをしているのかなどです。法人の強みと民間の強みはどうなっていて、法人はどういう位置付けなのかということを認識していないといけません。民間の方がはるかに上を行っているのであれば、民間を活用すればいいということになって、法人の研究開発は主務省が違う役割を見つけてあげればいい、ということになるわけです。そういう具合に、取り巻く環境一つとっても、非常に難しい。
それから、民間企業と比べた独立行政法人の弱みとして、新規の職員採用等が活発でないという点があります。理事長は変わりますが、職員はみんな変わらずに、どんどん高齢化していっています。大学も同様です。新しい人を採用しようとしても財政的に苦しいから、有期雇用になったりするなどの問題があるわけです。法人の人事を活性化させようとする場合は、その前提として、法人の強みや弱みをしっかりと把握しながら、法人が戦略的に取り組むべき点はどこなのか、主務省においても考える必要があります。そのときに難しいのは、人事交流によるよどんだ組織人事の改善は、法人だけではできないということです。大きい民間企業はそういうことができるので、新陳代謝が進むのですが、一度よどんでしまうと、改善させるのは難しいです。小さい組織にしてしまうと、人事がよどんでしまいます。これは、民間企業も同じです。こうしたところから掘り下げていかないと、この方針展開は非常に難しいですよね。
したがって、どこか一つの法人だけでも、主務省がそうした形での方針展開を行った上で、役割分担を決め、当面5年間の業務を実施し、それで5年経ったら、結果を踏まえ、1回見直し、また次の中期目標の策定の流れに入るとよいと考えます。しかし、主務省に方針展開をするための分析する能力や人員があるかと言いますと、能力はあるのですが、人員がいないかもしれません。人員がいないのであれば、民間企業はコンサルティング会社を使います。外部の人材を活用しながら進めるわけです。委員の皆さんの意見を聞くと、そういう課題が多いと言われていますので、そうした取組を一つか二つぐらいはやっていただくと、もう少し変わっていくのではないかと思います。これがうまくできれば、企業はどんどん成長していって業績を上げていくのですが、民間企業においても難しい課題になっていますので、私からも一つ紹介いたしました。
それでは、皆さんの意見も大体出たようですので、この見込評価及び業務・組織の見直し並びに委員会決定についてお諮りしたいと思います。樫谷部会長から御報告がありましたように、見込評価及び業務・組織の見直しについては、意見なしという結論とすることとしたいと思います。御異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 併せて、資料1の委員会決定案については、委員会として決定することに御異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、そのように決しました。本日の議論内容については事務局を通じて、各府省に十分にお伝えいただきたいと思います。
続いて、議題2に入りたいと思います。樫谷評価部会長から御報告をお願いします。
【樫谷委員】 令和元年度に主務省令期間が終了いたしました、6つの行政執行法人に係る効率化評価の結果につきまして、評価部会を中心に調査審議を行ってまいりました。その結果について、資料2のとおり整理いたしましたので、詳細につきましては事務局から御報告をお願いしたいと思います。
【山本管理官】 それでは、資料2について御説明いたします。効率化評価の結果でございます。委員会に通知された効率化評価の結果について、評価部会において、10月の委員会で御議論いただいた方針のとおり、なぜその評定に至ったのかの根拠が適切に説明されているのか。具体的には、評定はBが標準でございますので、A以上の評定を付す場合には、所期の目標を上回る成果が得られていると認められることなどが、評価書の中で、具体的な根拠を示して明瞭に説明されているか。また、C以下の評定がついている場合には、評価書に改善方策等が記載されているかといった観点を中心に、調査審議を行ってまいりました。
そうした観点で見たところ、効率化評価の結果につきましては、委員会として、主務大臣に意見を述べる必要があると考えられるものはございませんでした。これらが資料の1ポツの内容でございます。
2ポツを御覧いただきたいと思います。一方で、調査審議を行う中で、業務運営コストの縮減に関する項目につきまして、主務省令期間、つまり目標の期間の最初の4年間は決算ベースで実績を測定したにもかかわらず、最後の年度になりまして、突然予算ベースに測定を変更し、効率化評価も予算ベースで行っていたということで、一部の年度評価と効率化評価で、業務の実績の測定方法が異なる事態を生じさせているにもかかわらず、その理由が十分に記載されていないものが見られました。
効率化評価におきましては、あらかじめ目標に記載した、主務省令期間全体での目安や方向性に沿って、法人の業績を中期的な観点から的確に把握するため、主務大臣は、特段の事情がない限り、主務省令期間中は、一貫した観点から業務実績を把握することが望ましく、やむを得ず主務省令期間中に業務実績の把握方法を変更する場合は、その理由を十分に説明することが望まれると考えております。この事案につきましては、主務省へ確認の過程で問題意識を伝えまして、次年度以降の改善を促してまいりました。
事務局からは以上でございます。
【樫谷委員】 私から少し追加をさせていただきたいと思います。行政執行法人は、国の指示で、与えられた業務を正確かつ確実に実行していくことが求められる性質上、おのずと、その実績の評価は、「所期の目的目標を達成している」として、ほとんどB評定になるんじゃないかと思います。
そうすると、B評定が当たり前で、何か問題があったらC評定になると、つまりB評定かC評定しかないようなことになってしまいますので、そのときに、どのようにして地道な作業をして働いている方のモチベーションを上げていくかという観点が必要だと考えております。行政執行法人にあっても、法人の創意工夫で、より高い水準で業務の効率化を達成できたといったような場合、そうした良い取組を継続して、また更に高い目標を目指していただけるように、主務大臣において、その工夫を適切に評価していただくことで、法人の役職員のモチベーションの向上につなげていただきたいと思っております。
今回、調査審議の結果の結びとして、各主務大臣に向けてのメッセージを記載したのは、そういう趣旨でございますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの樫谷部会長からの御報告について、御意見等ございましたら、御発言いただけますか。河合専門委員。
【河合専門委員】 主務省令期間の途中で業務実績の測定方法を変更されたという事例があったと御報告をいただきましたので、一言申し上げたいと思います。ほとんどの法人におかれましては釈迦に説法だと思いますが、効率化評価というものは、主務大臣が行う評価という意味で重要であることは当然ですが、その評価結果は社会に対して公開する情報ですので、非常に公共性の高いものであり、法人の社会的信頼に関わるものです。そのため、特段の事情なく期間途中で測定方法を変更するといった事例が発生した場合には、その法人の社会的レピュテーションが下がることもあり得ると思いますので、資料では「望まれる」という表現を使っていますが、こうしたことは厳に慎んでいただきたいと考えます。
【野路委員長】 樫谷委員。
【樫谷委員】 先ほど申し上げたことの関係で、先ほどは行政執行法人のことを言いましたけれども、実は中期目標管理法人も国立研究開発法人もそうなのですが、事務方の人事評価もほとんどB評定なんです。事務方でどういう場合にA評定をつけられるのか、事務方のモチベーションはどう高めていくのかということも考えながら目標を作っていただき、細かく評価をしていただくことも、主務大臣には是非お願いしたいと思います。
【野路委員長】 天野委員。
【天野委員】 今の樫谷委員のお言葉に全く同感です。研究開発を行う法人は、割と成果がよく分かりますので、A評定がつくのです。ですが、事務方に関しては、本当にきれいにB評定が並んでしまい、気の毒なところもあります。ただ、今年の新型コロナウイルス感染症への対応やデジタル化というのは、一つの良いきっかけかと思いますので、事務方にもきちんとモチベーションが上がるような評価をしていただけるよう、促していただければ良いのではないかと感じています。
【野路委員長】 原田委員。
【原田委員】 私も樫谷委員の意見に賛成です。この委員会で5、6年、新しい制度になってから、行政執行法人にあまりお邪魔をしていなくて、実際にどんな取組がなされているのかを直に伺う機会が、残念ながらあまりなかったような気がいたします。一度だけ、確か造幣局が海外のコインを受注するという良い取組が紹介されたこともありましたが、あのような取組が行政執行法人でもなされているのだということをシェアしていく必要があるのではないかと思っています。
【野路委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。
効率化については、民間企業でももちろん苦労していますが、皆さんおっしゃったように、分かりやすいところと分かりにくいところがある。事務方と言うのか、特に企業で言うと管理部門の目標設定については、樫谷部会長がおっしゃっていたとおり、工夫が必要だと思います。
例えば、簡単な例で言うと、会議が多過ぎて、会議のために資料ばかり作っていると。あるいは、国会のために資料をたくさん作らされていると。そういう事態が生じているのであれば、今年は会議数を10分の1にしよう、というのも一つの目標の立て方だと思います。あるいは、私が社長のとき東日本大震災があって、電力が不足する中、工場を挙げてどういうことをしたらいいかということで、取りあえず5年以内に電力使用量を半減せよという目標を掲げました。その結果、従業員の皆さんが頑張ってくださり、見事に電力使用量が半分になったのです。
このように、大きな目標もあれば小さな目標もあるし、それぞれのところに合った目標を立てていく必要があると思います。人件費だとか経費だというと、非常にやりづらいということもあるかもしれません。ものすごく難しい問題をたくさん抱えてしまっており、経費どうこうではやりづらいという場合は、その代わりになるような目標を設定すると、特に管理部門については、精力的に取り組むことができるのではないかと思います。
効率化の目標設定についても、樫谷部会長がおっしゃったように、少し工夫をすると、もう少し分かりやすい形で進むのではないかと思います。そうすることで、いろいろな経費削減にもなるかと思いますので、そうした工夫もこれから必要かと感じました。
それでは、樫谷部会長からの御報告のとおり、当委員会としては、効率化評価の結果については意見なしと結論することとしたいと思いますが、御異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
【野路委員長】 それでは、そのように決しました。
続いて、議題3について、樫谷部会長から御報告をお願いします。
【樫谷委員】 令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果につきましては、評価部会が中心に点検を行ってまいりました。その結果につきましては、資料3のとおり整理しておりますので、詳細につきましては、事務局から御報告をお願いしたいと思います。
【山本管理官】 事務局から御報告いたします。資料3、法人の業務実績に係る評価等の結果についての、点検結果を御覧ください。
1ポツですが、点検の対象については、令和元年度における全ての法人の年度評価、昨年度の見直し対象法人について中長期目標期間終了後に行われる期間実績評価、中長期目標期間の途中において法人の長の任期が前年の末に終了した国立研究開発法人についての中長期目標期間中間評価、これが対象でございました。これらの評価の結果について、A以上の評定が付されている場合には、所期の目標を上回る結果が得られていると認められることなどが具体的な根拠として評価書の中に示されているか。C以下の評定が付されている場合には、評価書に改善策等が記載されているか。前年度C以下の評定については、その付してあった改善策を記載した目標について、その後、具体的な改善方策の実施状況も含め、実際に改善が図られているかどうか。こういった観点から中心に点検を行った結果といたしまして、著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものとして委員会から意見を述べる必要があると考えられるものはなかった、ということでございます。
2ポツを御覧いただきたいと思います。点検においては、A以上の評定がついているほぼ全ての評価項目において、評定に至った根拠の合理的かつ明確な記述が確認できましたが、中には、評定に至った根拠の記述が必ずしも十分ではなく、主務省への確認の結果、ようやく評定に至った根拠に一定の合理性を見いだすことができた項目がございました。また、C以下の評定についても同様で、一部には、主務省への確認の結果、改善方策等の具体的内容、あるいは昨年の評価書に記載した改善方策の具体的な実施状況を把握できた事案もございました。こういった、評価書の記載が必ずしも十分ではないものがございましたので、主務省への確認の過程で問題意識を伝えまして、こういったことがないように、次年度以降の改善策を促してきたところでございます。
次ページを御覧いただきたいと思います。3ポツに記載しておりますが、政府方針を踏まえまして、調達等合理化に関する取組に係る年度評価の状況を重点的に点検しております。点検の結果、いずれの法人におきましても、これらの項目について評価が実施されておりまして、調達等に関する事項を理由にC以下の評定が付されている法人はございませんでした。
なお、この資料には記載していませんが、点検の中で、一部の法人・評価項目において、複数年にわたって連続してC評定が付されている事態が見受けられました。こうした項目については、何かしら根本的な問題があることが伺われますので、問題の所在について、主務省においてよく分析を行っていただく必要があるのではないかと考えております。
また、これも口頭での御説明になりますが、GPIFに関しましては、昨年度の委員会において、法人の理事長に対する制裁処分事案を踏まえ、評価において適切に対応するよう求められておりましたが、御担当であります評価部会の第2ユニット所属の先生方からは、
・著しく適正を欠く評価とは言えないものの、
・評価書によると、評価の結果について、主務省内でかなり議論があったと書いてあったことから、
・こういった点も踏まえて、今後取り組むべき課題として掲げられております内部統制の一層の強化について、しっかり取り組まれることを期待する
といった旨の御意見がございましたので、御紹介したいと思います。
最後に、資料の4ポツでございます。委員会のメッセージになりますが、評定の結果自体ではなく、評定を付すに至った根拠が合理的かつ明確に記述され、主務大臣において、評価の結果によって判明した法人の業務運営上の課題等を踏まえて、業務及び組織の見直し等の対応が行われることが重要だという委員会のスタンスを改めて述べているところでございます。
そうした認識の上で、評価結果に基づいて、法人の良い取組については継続・発展させ、更に高い目標を目指す一方、現状を的確に分析して、課題を適切に認識した結果として、改善事項が見つかれば、目標達成に向けた創意工夫や新たな取組の導入などの見直し方策を講ずることにより、PDCAサイクルを機能させて、より高みを目指し、いわば螺旋状に法人のパフォーマンスを高めていくことを期待すると記載しております。
そして、結びといたしまして、今回の点検結果を踏まえて来年度以降の評価を適切に実施していただきたいという各主務大臣へのメッセージを記載しているところでございます。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等ございましたら、御発言いただけますでしょうか。樫谷委員。
【樫谷委員】 いま事務局で御説明があった中で、複数年にわたって連続してC評定が続いているような項目があったということでした。これはある意味では、目標設定の在り方について何か課題を示しているのかもしれないと思っておりまして、私も非常に重要な問題だと認識しております。
資料にも書いてあるとおり、そうした評価項目がある場合は、主務省は前年度と同じ改善方法を定めてC評定を付すだけでよしとするのではなくて、もう少し突っ込んで問題の所在をよく分析した上で、目標の達成に向けて、昨年度までとは異なる新たなアプローチから改善を試みるなど、知恵を絞って創意工夫を凝らして改善を進めていくようにしていただかなければならないのではないかと思います。
このようにC評定が続いている評価項目のある法人に視察に行ったことがあるのですが、そのときに、目標の達成度合いとしては確かにC評定なのですが、そういう達成度になるのには事情があって、法人としては一生懸命やっているという状況が見られました。こうした法人の場合、目標として目指すものが少し違うのではないかとか、やり方をもっと改善しなくてはいけないのではないかという観点で見ていく必要があると考えています。ただ単にC評定を並べただけで評価したことになると思われてしまってはよくなくて、もう少し知恵を絞って工夫するなり、何かしていただかないといけないと思いますので、その点について発言させていただきました。
【野路委員長】 栗原委員。
【栗原委員】 点検の結果については異論ございません。その上で、内部統制に課題があった法人については、今回の評価結果を踏まえて、その内部統制環境や内部統制機能が向上するように、是非適切に取り組んでいただきたいと思いますし、主務省において、その取組を適切に評価していただきたいと思います。
特に、山本管理官から先ほど説明がありましたGPIFに関しては、厚生労働大臣の主務大臣評価の中でも、具体的に評価書の95ページ以降に書いてありますが、有識者会議において、外部有識者の方からB評価は難しいのではないかといった意見も含めて、いろいろな議論があったことが、評価書の中に書かれている状況です。
こういった注が入った評価結果というのは異例ではないかと思いますので、そうした議論があったことも踏まえて、GPIFは国民から年金積立金を預かって運用する大きな機関投資家ですので、国民から信頼される健全な組織運営をしていただくために、是非内部統制の確保にしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、その結果が次年度以降の業務実績にも反映されていることを期待したいと思います。
また、GPIFの前理事長と前理事は昨年度末で退職されていますので、退職金に係る業績勘案率についても、どのような検討をされているのか、注視したいと思います。
【野路委員長】 原田委員。
【原田委員】 資料3の点検結果ですが、我々の委員会は著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものがないかどうかをチェックするのが役割ですが、毎年度全ての法人を点検する中で、なぜこういう評価に至ったのかという評定の根拠が十分に書かれていない項目があることが、大変不思議です。是非、毎年度このことを指摘しなくて良いように、主務省におかれましてはしっかりチェックしていただきたいと思います。
私が考えるに、どうも評定さえ付ければ良いという意識があるのではないかと思います。我々が求めているのは、PDCAサイクルが回っていることを年度単位で見せて欲しいということなのです。主務省には、是非そのように考えていただきたいと思います。是非、来年度は、「点検した結果、記述が十分でない項目はなかった」となるようにしていただきたいと思います。
【野路委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。
事務局に質問ですが、実態として、評価の結果は独立行政法人の中でどのようにインセンティブとして機能しているのでしょうか。
【山本管理官】 インセンティブという意味では、この委員会では、評定の結果自体に重きを置いているのではなくて、その後どう取り組んでいくかということが一番大事だとおっしゃっていただいていると思いますので、各主務省がそこをきちんとくみ取って、評価結果を踏まえて法人の取組をどう後押ししていくか、というところに尽きるかと思います。主務省には、法人の役職員のモチベーションを向上させるようなことを、きちんと常日頃から考えていただきたいと思います。
【野路委員長】 評価結果がどのように各法人のマネジメントに生かされているのか、事務局において実態を調べてみて欲しいと思います。役員の退職金に反映されるのはどの法人も同じだと思いますが、それ以外に、例えば法人の中での人事評価と法人の業績評価の結果を結びつけているところもあると聞いています。法人により実態はいろいろだと思いますが、その実態を調べてもらえればと思います。ある程度評価結果がインセンティブにつながっていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【山本管理官】 先ほど栗原委員からもお話がありましたように、評価の結果は、役員の退職金などに直接結びついてきますので、役員には間違いなく直接のインセンティブになるかと思います。そのほか、評価結果がどのように役職員のインセンティブに結びついているのかは、また探っていきたいと思います。
【野路委員長】 よろしいでしょうか。それでは、各主務大臣において、本日の点検結果を踏まえ、次年度以降の評価について、適切に実施いただきたいと思います。
それでは、続いて議題4に移りたいと思います。新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた今後の独立行政法人の評価について、樫谷部会長から発言があるということなので、お願いいたします。
【樫谷委員】 10月の委員会でも申し上げましたとおり、これまでの調査審議によって、令和元年度については、3月以降新型コロナウイルス感染症が各法人の業務運営に、いろいろな影響を与えていることが改めて明らかになりました。また、令和2年度については、1年を通してと言っていいぐらい、多くの法人の業務運営に広範な影響が出ていると考えております。
「独立行政法人の評価に関する指針」におきましては、「予測しがたい外部要因により、業務が実施できなかった場合や、外部要因に対して、当該法人が自主的な努力を行っていた場合には、評定において考慮するものとする。」とされております。この度、法人が新型コロナウイルス感染症によって、予定していた業務が実施できなかったと主務大臣が認める場合には、評定において考慮していただくとともに、新型コロナウイルス感染症が業務運営に与えた影響等の分析結果を、評価書にできるだけ具体的に記載していただきたいと考えております。
それから、特に新型コロナウイルス感染症の影響下でも、法人がその使命を着実に果たしていくために工夫を凝らしたとか、ポストコロナに向けた具体的な計画を策定していたといったような積極的な取組を行った場合には、役職員のモチベーション向上の観点からも、そうした取組を適格に評価することが重要と考えております。そのような取組につきましても、丁寧に把握していただき、評定において考慮していただくとともに、その根拠を具体的に記載していただきたいと考えております。これらは行政執行法人につきましても、全く同様でございます。
なお、法人によっては、新型コロナウイルス感染症の影響により、今中長期目標の達成が困難になっているとの声も伺っておりますが、目標の変更は、安易に行われるべきものではございませんし、目標を変更せずとも、法人の取組の過程を評価することも可能であります。とはいえ、法人とのコミュニケーションを丁寧に行い、ガバナンスをしっかり効かせる観点から、そういった声がある場合には、現行の目標下で法人において様々な工夫を凝らすことで、目標を達成するという可能性も含めて、主務省と法人との間でよく議論していただき、法人の状況を十分に分析した上で、御検討いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。ただいまの樫谷部会長の発言ついて、御意見等ございませんか。
【金岡委員】 金岡でございます。新型コロナウイルス感染症により、大変大きな影響があったと思います。3月に小中高一斉休校があり、その後、緊急事態宣言も発出されました。各地方公共団体において、公園や図書館等、いろいろな施設が長期にわたって休館になってしまいました。
これが民間企業ですと、例えば飲食店が店を閉めるということは、売上がなくなり、収入もなくなるわけですが、公的な施設が休館となった時、そこで働いていた方は何をされていたのかということは、ほとんど各地方自治体でも明らかにされていません。例えば国立のいろいろな施設や法人の中でも新型コロナウイルス感染症の影響で休館された施設があると思いますが、休館している期間に、例えばデジタルアーカイブ化を進めるなど何か取組をやっていらっしゃればいいんですが、ただ休館にして給料はもらっているという状態ですと、一般の国民の方々は納得ができないと思います。
そういう意味で言いますと、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業務執行が不可能になったこと自体は仕方ないのですが、その替わりに何をやったのかということについては、明らかにしていただく必要があると考えます。極めて個人的な見解ですが、どうしてあんなにたくさんの公的施設が、あまり努力もせずに長い間休館しているのか、ということを私自身非常に疑問に感じておりましたので、発言させていただきました。
【野路委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。原田委員。
【原田委員】 先ほど申し上げましたが、私は今年、NCの6法人にお邪魔をいたしまして、主務省のヒアリングもそうですけれども、その6法人との理事長とのヒアリングの中で必ずお尋ねをしていたのは、新しい法人の制度、とりわけ、研究開発法人制度がもたらしてよかったこと、悪かったことは何ですかということです。
新たな独立行政法人制度下となってから6年ぐらい経過しており、全87法人の中で、新たな独立行政法人制度下で中期目標、中長期目標を策定していない法人が、もう本当に僅かになっています。そうした状況からいいますと、先ほど私が申し上げたような、NC6法人に対する質問のように、この制度改革が法人運営に何をもたらしたのかということや、この改革が法人の目標達成をどんなふうに後押しすることにつながったのかということを、フォローアップするタイミングに来ているのではないかと考えます。新たな独立行政法人制度下で中期目標、中長期目標を策定していない法人は、もう少し残っていますけれども、それを待つよりは、もうほとんどの法人で策定が終わっているこのタイミングで、そうしたフォローアップの調査をすることが必要であり、かつ有意義ではないかと思っているところでございます。是非今回、6法人については、直接お尋ねする機会があったのですけれども、できましたら、ほかの法人につきましても、事務局を通じて調査を進めてくださればと思っております。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。天野委員。
【天野委員】 今回の議論ではないですが、教えていただきたいことがございます。現在、デジタル庁の設置に向けて動いていると思いますが、実は、防災とか、そういったテーマに関しては、直接、防災科学技術研究所等の機関に打合せ等で話が来ております。先ほど、法人の体制に対して、いろいろ議論がありましたけれども、デジタル庁が何か面倒を見てくれるとか、そのようなことはないでしょうか。
【野路委員長】 事務局より説明をお願いします。
【阪本総括審議官】 デジタル庁の組織などについては、政府内でまだ検討が行われており、最終的なものと言えるものが固まったというわけではないですが、一応、今、国の機関や地方公共団体に対して、デジタル庁が関与するのと同じような形で法人についても、システムの話などについて関与するという方向で議論が進んでおると聞いております。
なお、法人の場合は、業務実績の評価を行う際などは、既存の基準もございますので、その中でどうデジタル庁が絡むのかといった絡み方のフローみたいなものを、おそらく具体的に作っていかなければならないと思いますが、いずれにしても、デジタル庁が法人についても横断的に一定の関与をいただける、という方向で話は進んでいると聞いております。
【天野委員】 ありがとうございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんか。
コロナ禍で民間企業がどんな苦労しているかということを紹介しますと、1つ目は、先ほど申し上げたように、マネジメントで苦労をしており、私どもの会社で聞いた話ですが、一番苦労しているのは、ミドル層のリーダーシップという点です。基本的にミドルアップ、ミドルダウンといって、先ほど金岡委員のお話があったように、コロナ禍においては、新しい仕事、新しいテーマを与えることが必要な部署もあるわけですね。こういったことをやれるのは、ほとんどミドル層です。トップは現場の細かなところまでは知らないからなかなかできません。そのため、おそらく、法人も同じだと思うのですが、金岡委員のような話があったときに、ミドル層の実力がもろに影響するということです。会社の中も同じだと思います。
2つ目は、組織のトップが1番苦労しているということです。我々の会社でもいえることですが、コロナ禍では、トップがお客さんと会うこと、現場に行って部長クラスの職員と、いろいろな課題を議論すること等ができなくなっています。私はそうでしたが、組織のトップというのは、いろいろな人と話をするということが仕事全体の大体6割ぐらいを占めていると思います。そのため、我々のような会社では、そういったことができないと、トップの役割っていうのは、ほとんどなくなってしまいます。ですから、トップはものすごく苦労していると思います。
そういう意味で、法人によって、それぞれ事情があるため、一概に言うことは難しいかもしれませんが、トップの役割については改めてそういう視点で考えたほうがいいと思います。逆に言いますと、新型コロナウイルス感染症の影響が、そこまで大きくなかった法人は、平時に近い状態でトップが役割を果たしていないことになるかもしれません。そのため、法人をヒアリングする際には、民間企業とも比較しながら、こういうトップでは駄目だ、といった点をもっと、考えたほうがいいと思います。
参考として申し上げましたが、私どもの会社では、この2つがコロナ禍のマネジメント上で苦労している主な点です。
あとは、現場に出勤しないと、製造物等が完成しない工場勤務等の人たちやエッセンシャルワーカー(人々が日常生活を送るために欠かせない仕事を担っている人々)に近いようなサービス員の人たちは感染防止策を講じながら勤務せざるをえません。普通の感染対策というのは、どこの会社でもやっているわけで、マネジメントとしてどんな対策を講じているかというところは、非常に浮き彫りになるのではないかと思いますね。
あと、もう1点、先ほど天野委員から質問があったように、コロナ禍において、法人のデジタル化に対する対応はどうするのかということですけれども、そういったことの答えは、こういう非常事態とか、有事のときに考えても、なかなか出てこないと私は思います。平時にしっかりと分析をしておいて、どういうことをするのかということを定めておかなければならない。有事になったから何かしようと思っても、頭も体も動かないと思います。そういう意味ではコロナ禍であるため、リモートでの取組を推進とかそういう話というのは、私に言わせると、根本の問題を解決するようなものじゃないと思います。日頃から把握している法人としての課題の解決や法人の業務の発展に最先端のデジタル技術をどう活用できるかということを、常に考えてないと、なかなか取組を実現できないだろうと思います。そのためには、このコロナ禍を機会に1年ぐらいかけて、しっかりと勉強して、それぞれの法人の中にデジタル技術がどうあるべきかということを、考えるべきだと思います。
ただ先ほど、金岡委員がおっしゃった話の中の延長線上ですけれども、単純な基幹システム、こんなものはパッケージで持ってくればいいわけです。皆さんが誤解しやすいのですが、基幹システムと、サービス等の部分は分けて考えなければなりません。これらを分けて考えた上で、基幹システムに問題があるのであれば、しっかり対策を進めていけば良いと思います。
そのときに、私は常日頃、基幹システムについて言っているのですが、分かりやすく言いますと、基幹システムというのは、決算が3日で出せるかどうかだと思います。システムを活用して3日間で作成した資料で、取締役会をやれるかどうかということです。欧米の会社では、ほとんどの会社ができていますが日本ではほとんどの会社ができていない。
このように、基幹システムについては、単純に考えたほうがいいですが、要注意なのはサービス等の部分です。サービス等の部分については、それぞれ工夫も必要ですし、どういう具合にデジタル技術を活用するかという点では、システムの問題というよりも、むしろサービスの在り方を考えなければなりません。どうやったら国民の皆さんが、喜んでくれるか、新しい価値が生まれるか考えることは、なかなか一つの部署だけで解決できることではないと思います。
これらは、マイナンバー制度においても言えることであると思います。私もマイナンバーカードを作りましたがほとんど利用していません。講演があり、講演料をもらう際に、マイナンバーをひもつきにする際に利用したぐらいであり、本当に助かった、これは良いものだって実感したことがありません。国民から見て、本当にこれは絶対に使った方がいいものだと思わない限りは、普及するわけがないと思います。
上記の例からも基幹システムと、サービス等の部分は分けて考えた方が良いと思います。
最後に、社会経済全体が厳しい中で、法人がその専門性や人材面の強みを生かして、社会課題の解決に貢献することは、ますます重要になってきていると思います。そして、法人にはコロナ禍にあっても、果たすべき使命を達成できるよう、様々な工夫を凝らしていただければと思います。また、主務大臣においては、法人が能力を最大限発揮できるよう、法人とよくコミュニケーションを取っていただくとともに、今後の評価の実施に当たっては、コロナ禍における法人の頑張りを適切に評価していただけるよう、御検討をよろしくお願いしたいと思います。
なお、法人の取組を的確に評価する必要があることは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた法人の業務に限らないと考えています。各主務大臣においては、行政執行法人を含めた法人が、例えば普段なかなか光の当たりにくい業務であっても、その目標達成に向けて取組に工夫を凝らしたような場合には、その努力を適切に評価することで、法人全体、役職員のモチベーション向上に努めていただきたいと思います。
そういう意味では、先ほど私から少し、事務方にお願いしたのは、よかったねという評価だけではモチベーションが上がらないため、インセンティブが必要ということです。私が社長の時にやったことを少し紹介しますと、我が社では、社長表彰等をもらったり、特許料をもらったりする陽の当たる部署ところというのは、限られていました。それで私は、それじゃ駄目だと思い、例えばサービス一筋で、30年間、50年間やってくれた人たちに社長賞を授与しました。私はそのときに、「縁の下の力持ち」という言葉を使いました。
要は、どんな組織であっても、どうやってインセンティブを渡すかということが、非常に大事なことになっていくと思います。もちろん給料が上がる方がいいでしょうし、職員の方たちに達成感が生まれるような、方策を講じて欲しいと思います。いろいろなインセンティブの方策というのがあると思います。理事長だけにインセンティブがある状態ですと、理事長のためにやっているのかとなってしまうので、人事制度ともつながりがあり、組織を活性化させるためのインセンティブの方策について、主務省あるいは事務局の人たちで検討を進めていただきたいと思います。
何回も言いますけれども、私が、一番心配しているのは人事です。法人について、どれだけ人事交流が行われているか。ローテーションが進んでいるのかを調べていただきたいです。ここの法人はここ10年間で、民間企業に何人出向していて、民間企業から出向者を何人受入れているかについても調べていただきたい。10年前と比較して平均年齢が上がっているようでは、絶対に、その組織は活性化しないです。幾らトップが優秀でも無理ですよ。
先ほど樫谷部会長が言ったような、C評定の話が該当するかどうかは分かりませんが、C評定がずっと続く法人については人事上の課題があるのかもしれません。
一番大事なのは、人事制度です。人事制度については、組織のトップが環境を作ってあげなければ、なかなか改革が進まないと思います。ですから、特に小さい法人は、本当に御苦労されていると思いますので、この機会に先ほど申し上げたインセンティブの話と併せて、是非良い環境を作ってあげてほしいというのが私の感想です。
最後に事務局から次回の日程について説明をお願いいたします。
【山本管理官】 次回委員会につきましては、しばらく時間が空きますけれども、年明け2月18日(木)の2時からの開催を予定しております。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第28回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。本日は皆様、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
(以上)

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