(令和3年2月26日(金曜日)11時19分 於:本省会見室)

ミャンマー情勢

【朝日新聞 安倍記者】ミャンマーを巡る対応についてお伺いします。大臣はこれまで日本独自の役割を果たしていくと説明してこられました。間もなくクーデターから1か月になりますけれども、こうした日本独自の役割について、どのような効果ですとか、意義があったと考えているのでしょうか。

【茂木外務大臣】現在ミャンマーは、デモが頻発しておりまして、緊張状態が継続している。むしろそれが高まる懸念があるという状況だと思っておりまして、一昨日も、20日の治安当局の発砲によって負傷した男性1名が死亡すると、こういう事態にも至っているところであります。こういったミャンマー情勢に対して、日本として重大な懸念を持っております。
 その中で我が国は、様々なチャネル等も使いながら、ミャンマー国軍に対して民間人に対する暴力的な対応の即時停止、また、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含みます拘束された関係者の解放、そして民主的な政治体制の早期回復の3点を強く求めてきているところであります。
 また、こういった問題について、様々な国とも意見交換、また認識の共有を図っているところであります。これまでに日英の「2+2」、ここでもミャンマー情勢についてドミニク・ラーブ外相の方から質問を受けまして、私(大臣)の方から状況であったりとか、日本の対応等々についても、細かく説明させてもらいました。
 更には、豪州も拘束者が出ているということで、ペイン外相も非常に心配しておられました。更にはインドネシアのルトノ外相と電話会談、更には日米、また日米豪印の電話会談等、各国との連携を確認してきております。
 昨日も、今のASEANの議長国でありますブルネイの外務大臣と電話会談を行いました。ASEAN内でも様々な動きというのがあるところであり、そういったミャンマー情勢についてのASEANの取組の説明を受けたところでありまして、ASEANの動きというものにも注目をしているところであります。
 やはり今はASEANという10か国が一つのまとまりを持っているところでありまして、ASEANとしてどういった働きかけをし、それがどういった動きにつながっていくのか。同時に、ASEAN諸国も、国際社会の中でも日本が様々な形でこれまでミャンマーの民主化プロセスの支援をしてきたということは広く認知されておりますので、日本の役割に対する期待も高いところであります。
 おそらく、1日、1週間で、急に状況が圧倒的に変わると、こういう状況には残念ながらないと思っておりますが、何かのきっかけを捉えながら、確実にミャンマーの民主化、こういったものが進むこと。更には、まずは情勢が安定するためにはどうしたら良いか、こういったことも検討していきたいと思っております。

【朝日新聞 安倍記者】続けてお伺いしたいんですけれども、今、大臣おっしゃったように、ミャンマーは緊張状態が高まる懸念がある状況にあるというのはよく分かるんですけれども、ミャンマーを巡っては、制裁に踏み切る国も出てきています。現状では、日本は制裁という選択肢についてはどのように考えているんでしょうか。

【茂木外務大臣】これまで日本として、様々な形で経済協力等々も進めてまいりました。今後は、情勢の動きというものを見ながら、どう対応していくかと、これについては決定をしたいと思っております。
 米国そして英国等で、制裁という動きありますが、これ全面的に経済封鎖するとか、そういう形の制裁ではなくて、今の状況を見ながら、ミャンマーへの一つのメッセージとしてこういったものを打ち出していると、そういう側面も多いのではないかなと考えております。そういった動向もありますし、また、どういった形でミャンマーを動かしていくことができるのかと、こういうことからも今後検討していきたいと思っております。

新型コロナウイルスの水際対策・国際的な人の往来再開

【産経新聞 石鍋記者】国際的な人の往来についてお伺いいたします。政府は緊急事態宣言の期間中、ビジネストラックやレジデンストラックの運用を停止して、外国人の新規入国を止めています。また、ビジネストラックなどで帰国・再入国する日本人や在留資格保持者について、入国時の14日間の待機措置の緩和、これも認めておりません。
 緊急事態宣言が明け、解除後、ビジネストラックなどを再開するのか、あるいは予防的な観点から延長するのか、大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】1月に、ビジネストラック、レジデンストラックについても、緊急事態宣言が発令されている間、運用を停止するということにしたわけであります。こうした措置とその停止を発表したときに、国民の皆さんの不安を予防的に取り除くとの観点も踏まえ講じたものである、このように説明したわけでありますが、今後、緊急事態宣言が解除される場合のこれらの往来の枠組みであったりとか、水際対策措置の在り方につきましては、当然内外の感染状況はどうなっているか、こういったことも踏まえなければならない、その時点の状況、これを見極めつつ判断をすると。今時点で決まっているわけではありません。

中国海警法・中国海警局船舶による領海侵入

【読売新聞 福田記者】中国海警法が、1日で施行から1か月を迎えます。大臣の考える海警法の問題点とですね、この間、尖閣諸島に侵入する中国にどう対応していくのか、この2点についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】若干長くなります。中国海警船舶が累次にわたって、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入して、日本漁船に接近しようとする動きを見せている、このことについては誠に遺憾でありまして、断じて容認できないと考えております。
 尖閣諸島周辺の我が国領海内で、独自の主張をするといった海警船舶の活動は、そもそも国際法違反でありまして、中国側に厳重に抗議をしているところであります。
 力によります一方的な現状変更の試みは、断じて認められない、特に中国が、東シナ海、南シナ海において、一方的な現状変更の試みを継続する中で、海警法を施行したことは深刻に懸念をしております。
 海警法につきましては、これまでも何回か申し上げてきているように、曖昧な適用海域であったりとか、武器使用権限等、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでおりまして、そうした中で日本を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと考えております。こうした日本の深刻な懸念については、中国側に対して、引き続きしっかり伝えていきたいと考えております。
 同盟国であります米国との連携強化は極めて重要でありまして、首脳・外相を含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通しております。先般の日米外相会談でも、海警法を含め、東シナ海における一方的な現状変更の試みを深刻に懸念するとの認識で一致いたしました。米国が、日本を含みます関係国と同じ強い問題意識を有して、今般、中国海警法に対する懸念を表明したことは、まさに中国海警法を巡る日本の考えと軌を一にするものでありまして、改めて歓迎をしたいと考えております。
 更に、有志国との連携強化も重要でありまして、先般のG7首脳会議においても、菅総理から東シナ海及び南シナ海での一方的な現状変更の試みについても、深刻に懸念する旨しっかりと述べたところでありますし、また、昨日の日豪首脳会談においても、両首脳は東シナ海及び南シナ海における一方的な現状変更の試みについて深刻に懸念し、引き続き緊密に連携していくことで一致を見たところであります。
 私(大臣)からも、日英の「2+2」であったり、豪州、米国との外相会談、日米豪印外相会談、更に昨日行ったブルネイとの外相会談の中で、中国海警法を含め、東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みに強く反対する旨明確に述べ、各国との間で引き続き連携することで一致をいたしております。
 引き続き、米国を始めとするG7、更にはASEAN諸国を含む国際社会と連携をして、力による現状変更の試みに強く反対をして、中国側に前向きな対応を求めていきたいと、このように思っております。

栃木県足利市の山火事

【NHK 山本記者】外交案件ではないんですけど、栃木の足利の山火事なんですけれども、まだ鎮火の見通しがたっていないということですが、大臣、ご地元だと思いますけども、何かご対応されていることなどありますでしょうか。

【茂木外務大臣】今週日曜日から、足利市の西宮地区で山火事が発生をいたしまして、この季節、地元は西風がかなり今、強いという時期でありまして、消防の皆さん、さらには県、そして昨日は自衛隊のヘリも8機派遣していただいたと思いますが、必死の消火活動にあたっていただいていると。
 かなり、火の範囲も広がってきておりまして、東側、そして西側、南側という状況で、地域の皆さんの不安も大きいのではないかなと、また避難されている皆さんもいるわけであります。まずは1日も早い鎮火というこれに全力で努めるということではないかなと思っております。
 政府としても、昨日官邸の方に情報連絡室が設置をされました。私も昨日の夕刻、公務の合間を見て連絡室の方を訪問いたしまして、情報の確認を行ったり、また、あの今後の対応について依頼をしてきたところであります。
 なかなか雑木林といいますか、非常に枯葉も積み上がっているところでありまして、またそんなに高い山ということではないんですけれど、山の中ですから、なかなか消防隊の皆さんも必死に活動にあたっているんですが、中まで、火のあるところまで入り込めない部分もあると、空中からの水の消火といいますか、散布も続けているんですが、なかなか完全に火元を消すことができないという状況であります。
 10年前ぐらいに起こった、隣の群馬県の桐生市での同じぐらいの規模の山火事の場合、鎮火まで大体2週間かかった、という状況でありまして、一日も早く鎮火をしたいと、そういうことで、みんな全力で努めておりますが、それぐらいのスパンというのも覚悟しながら、しっかり対応していくことが重要ではないかなと思っているところであります。
 もちろん地元の私の事務所におきましても、避難所であったりとか、また地域の皆さんから、様々な要望とか、そしてまた、今どんな状況にあるかと、これを聞き取りを行いまして、適宜適切に足利市役所であったりとかですね、関係部局の方には連絡を取っているところであります。

米軍によるシリアにおける親イラン勢力への空爆

【産経新聞 石鍋記者】中東の情勢についてお伺い致します米国防総省がですね、シリア東部でイランが支援する民間組織への施設に空爆を実施したと発表しました。これについて日本政府の立場、お考えをお願いいたします。

【茂木外務大臣】まだ被害の状況等、全容は判明しておりませんけれど、本件が及ぼす影響を含め、政府として中東情勢に高い緊張感をもって注視をしているところでありまして、我が国として、関係国と緊密に連携しつつ、地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を継続していきたいと思っております。