厚労省・新着情報

労働基準局労働条件政策課

日時

令和3年1月28日(木) 10:00~12:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

公益代表委員
 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、平野委員、藤村委員、水島委員
労働者代表委員
 川野委員、櫻田委員、仁平委員、八野委員、森口委員、世永委員
使用者代表委員
 池田委員、早乙女委員、佐久間委員、佐々委員、鈴木委員、鳥澤委員、山内委員
事務局
 吉永労働基準局長、小林審議官(労働条件政策、賃金担当)、黒澤労働条件政策課長、尾田監督課長、大塚賃金課長、安里医療労働企画官

議題

  1. (1)医師の働き方改革について(報告事項)
  2. (2)資金移動業者の口座への賃金支払について

議事

議事内容
○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第165回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会は、会場からの参加及びオンラインでの参加と併せて実施をいたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員として、公益代表の両角道代委員、労働者代表の北野眞一委員、津村正男委員、使用者代表の佐藤晴子委員と承っております。
最初に、事務局より定足数の報告と本日の議事運営についての説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
定足数について御報告をいたします。
労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席または、公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
続きまして、本日の議事運営について申し上げます。
本日につきましても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、本日は会場参加及びオンライン参加を併せた開催方式とさせていただいております。また、原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただきますほか、傍聴席の間隔を広げるといった措置を講じているところでございます。会場備付けの消毒液の御利用、マスクの御着用、咳エチケットへの御配慮などをお願い申し上げます。
また、カメラ撮りの方々につきましてはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○荒木分科会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
オンライン参加の皆様は、発言の際には「手を挙げる」機能を使う、もしくはチャットに発言希望ということでお知らせいただければと思います。
本日の議題(1)ですが、「医師の働き方改革について」です。
本議題につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○医療労働企画官 労働基準局労働条件政策課で医療労働企画官をしております安里です。
本日、私のほうから医師の働き方改革について御報告いたします。
画面共有をさせていただいておりますが、資料No.1をまず御説明させていただきます。
医師の働き方改革については、これまで何度かこの分科会にも御報告をさせていただきましたが、労働基準法の関係と医療行政の動きの関係をこちらの資料でおさらいさせていただきます。
左のほうに労働基準法と書かれてございますが、労働基準法は全ての労働者に適用される労働条件の最低基準を規定しております。1つ目の○ですけれども、働き方改革関連法によりまして、時間外労働の上限規制を新たに規定いたしました。次の○ですが、その際に、医業に従事する医師については、附則におきまして令和6年3月まで上限規制の適用を猶予すること、令和6年4月から上限規制を適用するという整理がされまして、その下でございますが、適用する上限の具体的な時間数については、本則の上限規制、労働者の健康・福祉を勘案して厚生労働省省令で定めるという枠が出来上がっております。
その下、(参考)と書いておりますが、働き方改革関連法案の制定前に定めております働き方改革実行計画でございますが、こちらの中で、こうした時間数については医療界の参画も経て議論して決定するようにということを決めております。
こうした枠組みを受けまして、真ん中に青の矢印が下から上に書かれておりますが、では、具体的な時間数等をどう決めていくのかということで「医師の働き方改革に関する検討会」を開催し報告書をまとめておりますが、さらに細部の議論を「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で続け、昨年12月に中間取りまとめをしておりますので、本日、その内容を御報告させていただきます。
中間取りまとめの後半部分に参考資料がついておりますが、この参考資料を使って御説明させてください。資料No.2-143の上のほうから御覧いただければと思います。
参考資料は、中間取りまとめの中身を説明しましたポンチ絵集になってございますが、今、画面に出しております積み木のような図で医師の時間外の労働規制について御説明いたします。
一度先の検討会での報告書をまとめさせていただいた際に、医師の上限規制についてはAと書かれております一般の労働者と近しい水準、年の時間外を休日労働込みで960時間程度にするというものと、それとは別に、地域医療の確保のため、または集中的な技能向上に対応するために、それより高い水準として年1,860時間以下、月は100時間未満、月の上限はAの水準もそれ以外の水準も共通ですけれども、こうした枠組みを検討しまとめさせていただいておりました。より高い方の水準が適用される方には、併せて追加的な健康確保措置も講ずるとしております。
この枠組みを先の検討会で決めておりましたが、その後、改めて、医師の勤務実態の調査を行いました。その結果、真ん中のほうに書いております地域医療確保暫定特例水準、地域のために必要であるために長時間労働になるという枠組みですけれども、医師については副業・兼業をされている方が多くいらっしゃるのですが、本務先ではA水準だけれど、副業・兼業をした結果、このAの水準を超えるような方が一定数いらっしゃるということが確認されましたので、前回報告書からアレンジを加えまして、連携Bと書いておりますが、本務先の病院ではAの水準で働いていらっしゃる方ですけれども、副業・兼業を行って通算した結果、Aの水準を超えるという方についても、そうした医師を地域に派遣しているような病院について特定しまして、地域医療確保暫定特例水準の対象とするというアレンジを今回加えさせていただいております。
そのほか、この検討会では様々な実際の制度運用に当たっての具体的な内容について検討を進めてまいりました。各水準の指定の要件の整理や指定に当たっての事務フローの整理、それから、集中的な技能向上水準については新しく専門組織を立ち上げる話もありますので、そうした組織がどのような事務を行うのかといったことや、審査のスケジュールなど、様々に具体的な事務の流れも念頭に置いた議論を進めて取りまとめております。
医師の水準については、A水準、連携B水準、B水準、C水準と細かく水準が分かれておりますが、こちらは一つの医療機関が一つの水準というものではございませんで、一つの医療機関の中に様々な水準で働く医師がいらっしゃるということを想定しております。ですので、一つの医療機関が連携Bを取り、またCを取るというように、幾つかの水準の指定を受けるということも念頭に置かれております。
追加的健康確保措置も実施していきますが、こちらは医療行政において履行確保を図るとしておりますが、その具体的な確保の流れについても検討してまとめております。面接指導についても、どういう要件で面接を実施していくかなども整理をされてございます。
また、連携BやB、Cといった長時間の水準が適用される場合には、医師の労働時間の短縮計画を作成していただきまして、高い上限に甘んじることなく着実に時短を進めていただこうと考えておりますが、そちらの計画の記載事項の整理なども行っております。
それから、もう一つ大きく整理が進みましたのは、この副業・兼業の関係ですけれども、労働条件分科会で御検討いただいた結果が一般労働者も含めてガイドラインとして取りまとまったというところでございますけれども、医師の場合は追加的な健康確保措置の関係も含めまして、副業・兼業をされている場合にどのような労働時間の管理がよいのかも議論して、一つモデルとしてこういうやり方があるというのも取りまとめております。
その他、評価組織の評価の視点をどうするのか。それから、評価組織の在り方はどういうものがいいかなどを議論し、検討を進めてまいったところです。
実際に医師の働き方改革を進めていくに当たっては、医療機関の中の労働時間管理の問題だけではなくて、地域で医療提供体制を見直すなど、様々な関係者の取組が必要になりますので、そうしたそれぞれの関係者ごとにどういう方向を向いて取り組むべきかというようなことも大臣指針としてまとめて提示しようということにしております。また、この大臣指針の中では、労働時間の短縮目標ラインというものも規定することにしておりまして、連携BやBの水準は2024年4月から年1,860時間の上限でスタートすることを予定しておりますが、将来2036年までには医師の偏在の問題も解き終わりまして、地域医療確保との関係でいきますと、全て年960時間以下にはまず到達しようということを目標にしておりますので、その目標に向かって着実に各医療機関でも時間数を下げていけるように、こういう目安も示しております。
もう一点御紹介ですけれども、勤務実態の調査を改めて実施したところでございますが、まずこの1,860時間というのは、さきの検討会で議論した際の労働時間の実態調査を基に、上位1割の方を着実に削減しようということで定めた数字でございます。令和元年に、これはコロナ発生前ですけれども、もう一度調査をいたしましたところ、進んではおりますけれども、1,860を下げるほどには進んでいなかったというところが確認されておりまして、時間数については1,860時間からスタートしようという議論になっております。
資料1に戻りますけれども、こうした先の検討会と今回の中間取りまとめを経て、まとまった内容で制度改正を実施していこうということで、この国会に医事法制において法案の提出を予定しております。法案の中身としましては、真ん中にポツで書いておりますが、高い水準を適用される医療機関は指定することにしておりますので、その指定の枠組み、これは都道府県が指定をすることを考えております。それから、追加的健康確保措置の義務化で、履行確保をどうするか。そして、時短計画の枠組み。こちらについて、医事法制の中で法律を改正しようという話になっております。
なお、追加的健康確保措置のうち、面接指導につきましては、労働安全衛生法で義務づけられている面接指導としても位置づけて、同法に基づく衛生委員会による調査審議等が及ぶという整理を行う予定としております。
この医事法制における対応が済みましたら、下の矢印で労働基準法制のほうに戻ってまいりますけれども、こうした枠組みができたということを前提にしまして、実際の省令で時間数を定めるという流れを予定しております。今後、法案が無事成立しましたら、労働政策審議会で御議論いただいて、具体的な時間数を定める省令を定めるということが必要になってきます。医事法制の中でも省令に落とされている部分はありますので、そうしたことと整合的な検討を行っていただいて、同時期に定めさせていただければと思っております。
私の説明は以上です。ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見等があればお願いいたします。
佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 御説明ありがとうございました。中間取りまとめということで、膨大な、そして、かなり検討会を重ねて、議論を行っていただいたのではないかと思います。本当にお疲れさまでございます。
この中で、まず医師については自営でやっている方々がいらっしゃるということですけれども、そのほかにももちろん勤務医の方は、労働者ということになると思います。実際には医師は自営業者にも近い働き方をされている方もいらっしゃると思うのですけれども、2024年、それから、最終的には2035年までが明示されておりますが、それでも960時間ということで一般の労働者に対して、やはりまだまだ長い労働時間となっており、そうした勤務状態の中で、私たちの健康というものが守られているのだと思います。一般の労働者と同じ時間数になるには、まだ将来的にまだかなり先であり、遠いのだなということがひとつの感想であります。
また、中間取りまとめの19ページからも記載されているのですけれども、医師の副業・兼業の関係で質問をさせていただきたいのですが、医師の方々、勤務医で職場というか医療機関を替わられることがあった場合、労働条件分科会では、副業・兼業のガイドラインにおいても、「主と副」とは、自分の意思でどちらかに重きを置くということではなくて、先に勤めたほうが「主」になる。そして、後に就業した方が「副」になるという概念整理をしてきたと思います。医師は、キャリア形成の一環からか、勤め先が変わることが少なくないと思いますが、勤務先が変わられた場合、どちらが「主」になって、また、すぐ「副」になるとか、そういう混乱をしてきてしまうのではないかなと思います。また、ここで十分「主」のほうで自己申告というか判断するということが取りまとめに記載されていますが、これはあくまで自己申告になるとは思いますが、明確に「主と副」を分けていくことができるのか、その辺を教えていただければと思います。
以上です。
○医療労働企画官 御質問ありがとうございました。
質問にお答えする前に、結局目指しているところは、医師は960なのかとございましたけれども、先ほど御紹介しました大臣指針にも、まずは960を目指そうという話でございますが、短縮目標ラインの説明書きとして、960に到達して終わりではなくて、さらなる勤務環境改善に取り組むことが必要だということも示しております。労働基準法上の世界では、960時間のA水準含め、医師特例であり、当分の間、特例的に適用されているものでありますので、取組をさらに先に進めていきたいというところでございます。
御質問いただいた副業・兼業の場合、または転職される場合でございますけれども、医師についての労働基準法の適用の仕方が一般と異なるところはございませんので、ルールとしては一般と同じものが適用されます。ただ、医療界のほうは一般の業界よりも副業・兼業が盛んでしたり、また、転職される方ももしかしたら多いということがあるかと思います。いずれにせよ、医師の上限の複雑な制度をまず医療界にしっかり理解していただくことが重要だということを議論しておりまして、先ほど御紹介した副業・兼業をする場合の時間管理の在り方も含めて、医療機関に向けて我々周知いたしますし、特に高い水準が適用される医療機関は医師労働時間短縮計画を策定いただきますけれども、その策定の中でしっかり医療機関内で対象医師にこういうルールになっているんだよということを説明することを求めることとしております。また、医療機関同士でもしっかり連携を図って、追加的健康確保措置を含めて実施できるように努めていきましょうということにしておりまして、今後、こうしたことを周知も含めて取り組んでまいりたいと思っております。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
ほかにはいかがでしょうか。
オンラインで手を挙げられている櫻田委員、お願いいたします。
○櫻田委員 ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。この検討会の議論には連合も委員として参画してまいりました。医師の働き方改革について、医療の質、そして地域医療提供体制を守りつつ、医師の労働時間の短縮と健康確保を行っていくという枠組みについて、このたび、中間取りまとめで一定の結論を得ることができたわけですが、この枠組みを、今後は実効性ある取組へとつなげていくことが重要であると考えています。
医師の時間外労働の上限については、地域医療提供体制確保の観点から暫定特例水準を設けることとされていますけれども、この水準は一般則の時間外労働の上限と比較しますと、やはり大きく上回ることになりますので、政府におかれては、早期かつ着実に医療機関における労働時間の短縮が進むように取り組んでいただくとともに、暫定特例水準の解消に向けて積極的な姿勢で臨んでいただければと考えているところです。
また、医師の働き方改革の進捗状況の確認や、特例水準の見直しといったものを含めた必要な改善を定期的に行って、取組の実効性を高めていただきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
事務局からいかがでしょうか。
○医療労働企画官 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、非常に高い水準からのスタートですので、着実にしっかり労働時間を減らしていけるように、支援も含めて進めてまいりたいと思っております。また、状況の定期的な確認ですけれども、今回の取りまとめは中間取りまとめとしておりまして、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」はこれからも開催していこうと思っておりますので、しっかり状況を確認し、検討会にも御報告もさせていただきながら進めさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この医師の働き方改革については、今後、医事法制について国会で議論がなされますけれども、その後、労働政策審議会でも具体的な時間外労働の上限規制に関する時間数を省令で定めるということが必要となってくるかと思います。したがいましては、引き続きよろしくお願いしたいと存じます。
よろしければ、次の議題に入りたいと思います。
第2の議題は「資金移動業者の口座への賃金支払について」ということになります。
○仁平委員 分科会長、議事に入る前に、昨日のマスコミ報道について一言苦言を申し上げたいと思っておりますので、発言をさせていただいてもよろしいでしょうか。
○荒木分科会長 どうぞ。
○仁平委員 ありがとうございます。
昨日、日経の1面で給与のデジタル払い解禁と題する記事が出ておりました。労政審において議論もされていない細かなスキームまで、まるで制度導入が決まったかのように報道されたわけでございます。まさに我々労政審の存在意義に関わる重大な問題だと思っております。政府筋の話として、あたかも導入するかのように報道されたことに対して、労働側として極めて遺憾であるとともに、厳重に抗議したいと思っております。
この報道以前にも、1月半ばに給与の前払いという形でペイロール口座への振込を認めるような記事が、日経に掲載されていたと思います。繰り返し同様の報道が出るということはいかがなものなのかと思っております。厚生労働省として厳重に対処すべきだと考えております。
この審議会が導入ありき、スケジュールありきで進められることのないように、強く求めておきたいと思っております。
厚生労働省として見解があればお伺いしたいと思っております。
○荒木分科会長 それでは、今の点について事務局よりお願いいたします。
○賃金課長 賃金課長の大塚でございます。
今の仁平委員の御指摘でございますが、まず前提として申し上げたいのは、この日経新聞の報道、先日の個社の報道も含めてということになりますけれども、当方のほうで記者発表などをして、それに基づいて書かれた記事ではないのではないかと思っております。
日経新聞社がどういう意図を持ってこういう記事を書かれたのかは不明でありますけれども、私どもとして、この労働条件分科会の運営に関して申し上げたいと思いますのは、仁平委員のほうから結論ありき、スケジュールありきでないようにというような御指摘がありました。私ども、この問題に関しては、仮に省令改正をして制度化にするに当たっては、実務も意識しながら様々な課題を整理しなければいけないと考えております。その課題に関しましては、まさにこれから今日御説明する資料の中で事項を述べさせていただいて、それから各委員の皆様方から意見を頂戴し、さらにどういうふうにすれば解決できるのか深めていく。そういうプロセスを今後たどっていくのだろうと思っておりますので、今この時点で申し上げられるのは、今はそういうフェーズであるということであります。
恐らく日経新聞は、昨年8月に私どものほうが御説明申し上げました昨年7月の成長戦略フォローアップの記載ぶりなども参照されながら書かれたのかなと推測されますけれども、そういった閣議決定があることは私ども重々承知しておりますが、この労働条件分科会の場ではまさに今から課題を具体的に整理していくというフェーズであると思っております。ですので、今後、皆様方からの御意見を頂戴し、丁寧な調整を図ってまいる所存でございます。
以上です。
○荒木分科会長 仁平委員、どうぞ。
○仁平委員 閣議決定に基づいて報道されたのではないかと言いつつ、今日議論するさらにその先の話まで書かれており、どこから情報が漏れるのか、正直、不信感を私は持っております。
一般の方々に対しては、審議会における議論よりも、新聞報道による影響は大きいのだと思っております。前日にこうした報道がある中において、審議の在り方といいますか審議への影響について、非常に懸念を持っている、心配しているということを申し上げておきたいと思います。
特にコメントは要りません。
○荒木分科会長 ただいまの新聞報道は、この労働条件分科会の議論が無意味なものとの印象を与えかねず、そのようなことはあってはならないと私も考えているところです。
それでは、今、事務局から説明がありましたとおり、様々な課題もあるということで、それについて検討していきたいということでございますので、具体的な資料の説明に移っていきたいと思います。
事務局より資料の説明をお願いいたします。
○賃金課長 それでは、資料No.3に基づきまして、内容の御説明を申し上げたいと思います。
1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。
こちらは、昨年8月27日に一度この労働政策審議会審議会の場におきまして、私どものほうから成長戦略フォローアップの閣議決定の内容等の御報告をさせていただき、その場で各委員の皆様方から様々な御意見を承りました。その意見を並べたものでございます。
1つ目でございますが、この制度化に向けた議論が始まることについて歓迎したいという御意見の後に、賃金の確実な支払いなど労働者保護といった観点が大前提であり、特に資金保全のスキームが重要といった御指摘がありました。
次からはしばらく懸念についての御意見が続きますけれども、2つ目は、資金移動業者の破綻や統廃合の可能性やその際のスムーズな払戻し、資金保全について懸念がある。
3つ目、賃金は通貨払いが原則であり、いつでも換金できることが重要という御指摘。
その下でございますけれども、データの利活用や流出に対する厳格な管理体制の構築が必要。あるいは、本人確認の厳格性といったセキュリティの観点、賃金支払口座として資金移動業者が適切なのかといった御意見がございました。
その下ですけれども、スマートフォン等を紛失した場合の対応を検討するべきという御意見。
さらにその次ですが、通貨払いの原則は維持するべきという御意見を述べられた上で、労働者保護及び安全性担保の観点から多くの懸念があると。ですので、制度化の検討の前に課題の整理が必要といった御意見がございました。
その下ですが、確実に資金保全がなされるのであれば制度化を進めるべきといったことを述べられた後に、最後のほうですけれども、振込手数料を低くして事業者に負担がかからないようにしてほしいという御意見がございました。
その下、資金保全・換金性の2点が重要である。また、その他の課題としては、2行目の後ろのほうですけれども、労働者の同意の取り方やマネロン対策が考えられるといった御指摘をした上で、現在でも通貨払いの例外として銀行口座、証券口座が認められているが、それらについて資金保全・換金性・本人同意の在り方がどうなっているのかを整理して示してほしいという御指摘がございました。
最後でございますけれども、様々な懸念が示されましたが、労働者保護の観点に絞って今後は課題を整理していくべきといった御意見もございました。
次の3ページ、4ページ目は、今御覧いただきました御意見の下から2つ目の委員の御意見を踏まえて整理したものでございます。中身といたしましては、既に通貨払いの原則の例外として認められております銀行等や証券会社と、これから御検討いただきます資金移動業者につきまして、3点にわたって比較を行うものでございます。
1点目は資金保全についてです。こちらは事業が破綻した場合の資金保全のスキームについての比較になります。
まず銀行でございますけれども、銀行の場合は預金保険制度という公的な仕組みがございます。これによりまして、もしも破綻した場合であっても、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息が保護されるというスキームがございまして、これは数日内に速やかに払戻しが可能となるスキームであると承知しております。
一方で、資金移動業者の場合ですけれども、これは前回8月にも多少御説明いたしました。まず、資金移動業者の破綻時のスキームとしては、一言で言えば財務局への供託金から還付手続を受けるというスキームでございます。その還付金の元手となる供託金の金額の算出方法なのですけれども、資金移動業者はその利用者の口座に残っている残高を日々集計して、合計額を算出します。それがここに書いてある要履行保証額というものなのですけれども、それを1週間で見て、その中での最高額と同額以上の額を財務局に供託するわけです。もし資金移動業者が破綻した場合には、その財務局に供託した額から還付手続をして弁済をするということになります。ただ、財務局の還付手続には大体半年程度時間がかかるといった問題などがございます。
一番下は、参考として証券会社の場合を書いてございます。証券会社は、そもそも証券会社固有の資産とお客様からお預かりした資産の分別管理が義務づけられておりますので、もし証券会社が破綻した場合には、この分別管理しているお客様からお預かりした資産のほうから還付するといった手続になります。ただ、もしも分別管理していない場合など、お客様からお預かりしているはずの資産では足りない場合には公的な仕組みがございまして、一番最後のほうに書いてあります投資者保護基金制度によりまして、上限1000万円まで補填される仕組みとなってございます。
次のページは、まず換金性についての比較でございます。換金性は前回の8月の議論でも御指摘がございましたけれども、労基法24条の通貨払いの原則との関係で重要な事項なのかなと考えております。
まず銀行の場合ですが、銀行における換金の方法は銀行窓口での受取や銀行ATM等での引き出しとなっておりまして、手数料は無料から一定額。皆様御案内だと思いますけれども、平日昼間であれば無料ですし、夜間にかかったり、休日になれば手数料がかかるというのが一般的であろうと考えます。
次の資金移動業者なのですけれども、資金移動業者は業者やサービスの内容によって換金の方法は様々でございます。典型的に挙げられますのが、まずは提携先店舗での受取ということで、例えばコンビニエンスストアなどが想定されます。次に、銀行口座に送金した後に銀行ATM等で引き出しということもあり得ますし、提携金融機関のATMでの引き出しといったこともあり得るということで、手数料も無料から一定額まで様々です。
証券会社の場合には、証券会社窓口での受取や銀行口座へ送金後、銀行ATM等での引き出しもあれば、提携金融機関のATMでの引き出しもあるということで、こちらも手数料は無料から一定額まで様々となっております。
この証券会社における証券総合口座については、現行の労規則7条の2におきまして、通貨払いの原則として一定のものに限って振込が認められております。その際に、※のところに書いてございますように、払戻しが申出があった日に1円単位でできることが要件になってございますので、仮に資金移動業者について口座払いを例外として認めるということになった場合に、これと並びの要件を設けるべきなのかどうかというのは皆様方の御意見を頂戴したいなと思っております。
その次が本人同意の方法についてでございます。銀行や証券総合口座の場合には、今でも各企業で実務として行われているかと思いますけれども、その際に、始めるまでに書面によって個々の労働者からの申出ないしは合意を取りつけなければいけないという扱いになっています。具体的にどういう事項をそこに定めるかということなのですけれども、通達で3点示しております。1点目が口座振込等を希望する賃金の範囲及びその金額。2点目が労働者が振り込んでほしいと思う金融機関の名称や支店名、口座番号等の情報。そして、3点目が開始の希望時期。これらをあらかじめ書面で合意するという建付けになってございます。
続きまして、5ページ目でございます。
仁平委員の御意見に押されてしまって、冒頭、資料の前に説明しようと思っていたことを少し失念してしまっていたので、今、併せて御説明させていただければと思うのですけれども、ここでなぜドコモ口座問題が出てきたかということなのですが、実は去年の8月27日に労働条件分科会で御意見をいただいた後、今日まで延びてしまった理由の一つがこちらであります。
このドコモ口座問題は去年9月に発生しまして、新聞報道等で大きく取り上げられた事象でございました。その中身については、このページでこれから御説明しますけれども、私どもとしては、この問題についての金融庁の対策を見極めた上ででないと議論の前提が整わないのではないかと考えていたところでございます。
また、資金移動業者は、資金決済法というこれまた金融庁所管の法律に基づく業でありまして、この資金決済法はさきの通常国会で改正法が成立し、今年6月のいずれかまでの段階で施行される見込みとなっております。参考資料8ページに載せているのですけれども、この改正資金決済法では、現行の資金移動業者を3つに分割し、その規制の対応を分けるといった改正内容となっておりまして、その実際の内容がどういうものになるのかということをこれまた見極める必要があると考えておりました。ですので、改正資金決済法に基づく政令や内閣府令等の整備状況、金融庁の方針なども見極めていたところでございます。
こうしたドコモ口座問題や改正資金決済法に関する金融庁の方針が昨年12月25日にパブリックコメントに付されまして、それが明らかになったため、議論の環境が整ったのではないかと思いまして、この労働条件分科会に議題として御提案させていただいたという経緯がございます。
その上で、このドコモ口座問題についての中身をお話しいたしますと、5ページの資料でございますが、まず上の図はドコモ口座問題の構図でございます。犯人は、まず①にありますように、被害者の銀行口座から①に掲げておるような情報をハッキング等の手段で盗み出す。これが端緒であります。その盗んだ情報を携えて、右側でございますけれども、被害者になりすましてドコモ口座を開設しました。ドコモ口座は携帯電話のドコモユーザー以外の方でも開設することができるというような仕組みを逆手に取った手法なのかなと思われますが、そこで被害者になりすまして開設したドコモ口座と、あらかじめ情報を盗んでおいた被害者の銀行口座を連携いたしまして、銀行口座からお金を抜き取り、ドコモ口座に移す。その上で、ドコモ口座を使って商品等の購入をすると。それが被害の全容といいますか流れでございます。
これに関して、金融庁のほうでは、事案の主な原因を銀行サイドの問題とドコモ口座、すなわち資金移動業者側の問題の両面から整理しておりまして、銀行側の問題としては、まず銀行が資金移動業者と連携する際に、暗証番号といった記憶要素のみで認証していたことが問題の原因でないかと考えておられるようです。
これはどういうことかといいますと、今回の事案では、上の図の①に書いてあるような情報のみによって本人確認をしていた銀行が狙われております。逆に、メガバンクなどはこういった①に書いてあるような記憶のみに頼る要素以外の別の要素を組み合わせた多要素認証を導入しているため、セキュリティは堅牢なものとなっております。そういうところは今回の事案の被害には遭っていないわけでございます。そういう意味で、1要素認証のみというセキュリティ的に脆弱な銀行が狙われたということが背景にあったのだろうと考えられます。
このため、銀行に関しましては、この表の下でございますけれども、監督指針の中におきまして、実効的な多要素認証を導入するということで、具体的には※1の②に書いてありますような、記憶に頼らない別の要素の認証を組み合わせることによってセキュリティ性を高めるという取組をすべきという方針を打ち出しております。
対しまして、ドコモ口座、資金移動業者側にも問題がありました。それは、表の右上でございますけれども、銀行において本人確認等が行われた場合には、それをもって資金移動業者側の本人確認も済んでいるという取扱いになっていたわけでございます。これについては、表の右下でございますけれども、資金移動業者向けの事務ガイドラインの中におきまして2点記載されています。一つは、資金移動業者は連携先の銀行において実効的な多要素認証を導入しているかどうかを確認するということ。もう一つは、資金移動業者側が持っている本人確認書類等と連携先の銀行が保有する情報とを照合して、本当に同一人物かどうかを確認すること。この2点が事務ガイドライン案に盛り込まれております。
そのほか、※2に書いてあることでございますが、このドコモ口座問題で問題となっているのは、いわゆる銀行と連携している資金移動業者でございますけれども、連携先の銀行と資金移動業者との間で、万が一不正手段によって資金の流出が行われてしまった場合には、どちらがどのように補償するのかといった補償の方針や責任分担等についてあらかじめ取り決めておくべきこと。これも併せて事務ガイドライン案の中に盛り込まれると承知しております。
ちなみに、資金移動業者は必ずしも全てが銀行と連携しているわけではありません。今、資金移動業者は80あるのですけれども、銀行と連携しているのはその一部であります。では、銀行と連携していない資金移動業者は、こういったセキュリティや補償について何もしなくていいのかというと、そうではなくて、これは事務ガイドライン案等におきましてそういったセキュリティや補償の措置も講ずべきとなっておりますし、改正資金決済法に基づく内閣府令におきましても、8ページの一番下のところにも書いてありますように、第三者による不正利用が行われた場合の損失補償方針を利用者に情報提供するといった義務などが課されていると承知しております。
最後の6ページは、昨年8月に頂戴いたしました御意見を踏まえて、今後、検討に当たって考えられる課題を列記したものでございます。
まず1点目は資金保全についてでございます。先ほど御説明しましたように、資金移動業者の場合には、現行におきましては財務局への供託手続があるのみでございます。そうしますと、十分な額が早期に労働者に対して支払われる仕組みに果たしてそれはなっているのかどうか。なっていないのであれば、その代わりに何か別のスキームが必要なのではないか。そういったことなども含めて、委員の皆様方の御意見を頂戴できればと思っております。
2点目は不正引き出し等への対応についてでございます。セキュリティ不備による不正引き出し等が行われた場合の対策や補償の仕組みというものが必要ではないかということで、今は資金移動業者は個々の会社の約款で定めており、業界団体としてのガイドラインの策定等にこれから取り組もうというふうな状況と聞いておりますけれども、この点も含めてどう考えるのかということでございます。
3点目が換金性ということで、先ほど申し上げましたように労基法24条の通貨払いの原則との関係で重要な論点になってくるのかなと思われますけれども、適時に換金(出金)できることが必要ではないかと書かせていただいております。
今でも例外として認められております銀行口座の場合には、所定の給与支払日におきまして、労働者の銀行口座のほうに入金されて、その日のうちに出金できるような状態になっていることを要件として求めておりますので、仮に資金移動業者の口座への払いを認める場合であっても、それはまず大前提なのだろうなと考えております。
それに加えて留意すべき点でございますけれども、皆様方が町なかを歩いていてよく見かける市中にある銀行は、大体ATMを持っておるかと思います。一部の銀行はATMを持っていなかったりもするのですけれども、大体持っているところが多いだろうと考えています。ATMを持っているところであれば、普通は平日の昼間は無料で引き出せます。他方で、資金移動業者の場合には、自前のATMを持っているようなところは基本的なビジネスモデルにはなくて、どちらかというと提携先の金融機関や提携している銀行にお金を送金して、そこから引き出すという仕組みになるため、場合によっては手数料がかかるということがございますので、その点も含めてどう考えるかというのは今後皆様方の御意見を承れればと思います。
その他の論点として2つ例示していますけれども、一つは厳格な本人確認等ということで、先ほど申し上げました多要素認証なども含めましてどう考えるのかということが1点目。そして、賃金支払業務を適正かつ確実に行うことができる体制を有していることが必要ではないかということを例示させていただいておりますが、この1から4に掲げた課題以外にも様々な課題が考えられ得ると考えておりますので、この場で皆様方の御意見を頂戴できればと思います。
最後の8ページは改正資金決済法に基づきます政令や内閣府令の事項案でございますので、こちらも必要に応じて御参照いただければと思いますが、1点だけ申し上げますと、先ほどちょっと申し上げましたが、現行の資金移動業者の類型が3つに分かれることになります。要するに、送金の額によって変わってくるのですけれども、100万を超えるような送金ができるような類型、これは高額類型ということで、それに応じた強めの規制がかかってきます。例えば、あらかじめ送金日あるいは送金先、送金額を指図していなければそこのアカウントには入金できないといったことがございます。他方で、一番左ですけれども、少額類型というのもできることになっていまして、これは送金上限額が5万円を超えないパターンでございます。入金できるのも5万円までとなっているのが原則でして、5万円を超えそうな場合には、あらかじめ定めておいた別の銀行口座に迂回するような手続をしなければ、それ以上の額は入ってこないということになろうかと思いますので、労基法24条に基づく使用者の義務との関係でもしかすると今後検討しなければいけないのかなと考えております。
長くなってしまいましたが、事務局からの説明は以上であります。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明につきまして、何か御質問、御意見等があればお願いいたします。
オンライン参加の佐々委員から手が挙がっております。その後も手が挙がっております。順次御指名することといたします。
まず佐々委員、お願いいたします。
○佐々委員 御説明ありがとうございます。
私からは、資料No.3の5ページ目に関連してなのですけれども、セキュリティ不備によって不正引き出しが起きるということへの対応は大きな課題だなと私も考えております。そこでなのですけれども、まず企業が資金移動業者の口座にデジタル通貨で振り込む場合の送金の流れというのがあまり具体的に分からなくて、例えば次回、それを図式したような形でお示しいただくことができないかなと思います。
例えばですけれども、企業が直接個人の口座に振り込むものなのか、それとも、企業が資金移動業者の口座に一旦振り込んで、そこから個人の口座に振り込むことになるのか、その辺りとか、一体どこにリスクがあって、どんな対策をすべきかといったことを検討されてはどうかなと思います。
あと、若干細かいのですけれども、実務の観点から気になっていることを2点お伝えさせていただきたいと思うのですけれども、まず1点目です。振込エラーへの対応なのですが、企業側としては給与支払日にきちんと従業員に給料を支払うために、例えば銀行振込であれば給与支払日の3日前ぐらいに振込のデータを金融機関に渡しております。金融機関がその口座をチェックして、例えば解約済みではないかとか、名義違いがないかとか、口座番号が間違っているとか、口座がないといったことを給与支払日前に確認してもらって、エラーがある場合は、可能な場合は事前に教えてもらって、従業員を探して、給与支払日中に振り込めるような対応をしています。これが、資金移動業者が振り込む場合、どんな対応が見込まれるのかということがちょっと心配になっております。
2点目なのですけれども、現在銀行に振り込む場合ですが、金融機関コード、支店コード、預金の種別や口座番号をカナ名義で振込をしているのですけれども、これが資金移動業者に振り込む場合、どんな情報で振込依頼をすることになるのかというところが気になっております。これが全く違う体系になりますと、社内のシステムを大きく切り替える必要がありまして、そういった場合、システムを切り替えるのにかなりのお金と時間がかかりますので、そういった点も考慮していただくといいのではないかなと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
事務局、どうされますか。1つずつお答えになりますか。
では、事務局、お願いします。
○賃金課長 佐々委員、御指摘ありがとうございます。
実務に関しても今後考えていかなければいけないと思いますし、何よりも賃金というのは労働者の生活の糧ですから、その振込過程において誤りが起きないような仕組みを考えていかなければいけないとまず大前提として考えております。
その上で、まず一番最初に御要望のありました、企業から資金移動業者へのお金の流れにつきましては、次回何らか資料化してお示ししたほうが議論しやすいかなと思いますので、可能な範囲で、法令上留意すべき点も併記してお示しできればなと思っております。今ぱっと思い浮かぶやり方としては、まさに先ほど佐々委員がおっしゃったように、企業の法人アカウントから個々の労働者に送るというようなやり方もあれば、他方で、あらかじめ資金移動業者側にまとまった金額を渡し、資金移動業者のほうから個々の労働者に送るという委託型のようなことも考え得ると思いますけれども、委託側の場合には労基法24条の直接払いの原則や一定期日払いの原則との関係で留意しなければいけないこともあると考えておりますので、その辺も併せて精査した上で今後の議論に資するようなものを何らか提示できればなと思っております。
御指摘ありがとうございます。
○佐々委員 ありがとうございます。
○荒木分科会長 続いて、森口委員、お願いいたします。
○森口委員 ありがとうございます。労働側の森口でございます。
私からは、不正引き出しなどへの対応について意見させていただきたいと思います。
先ほどの御説明にもございましたが、なりすましによる口座開設や不正利用の問題につきましては、金融庁が事務ガイドラインを改定して、同一性の確認や補償に関わる責任分担などについてあらかじめ取り決めておくといった改定がなされるとのことでした。しかし、不正利用の問題には2種類あると考えておりまして、先ほど例示されましたなりすましという問題と、もう一つ、振り込まれた後に不正利用されるという問題もございます。今回の事務ガイドラインは、この不正利用の問題も含めて本当に十分なものなのでしょうか。
例えば銀行口座に関しましては、不正利用があった場合においても、全国銀行協会の策定するガイドラインにおいて、無過失であれば全額補償、軽過失であっても4分の3が補償されるということを定めておりまして、全ての銀行が統一的な対応を取ることとして公表されております。一方、資金移動業においては、その補償の程度は個社によって異なっているのが現状と認識しております。デジタル技術が日々進歩する中で、犯罪の手段も日々巧妙化していますが、不正利用があったときに利用者としてそれを立証しなければ補償されないということであれば、利用者保護にならないのではないかと考えておりますので、以上、意見として発言させていただきたいと思います。
○荒木分科会長 事務局よりお願いします。
○賃金課長 森口委員、御指摘ありがとうございます。
幾つかあるのですけれども、まず、私どものほうで今回資料として御説明しましたドコモ口座問題の対応策としての事務ガイドライン案は、資金移動業者が銀行と連携している場合のビジネスモデルについて特記したものでございます。それ以外の一般的な事務ガイドラインは従来からありまして、御指摘がありましたような利用者のアカウントに入金された後に不正な手段によって引き出された場合、それがそもそもされないようにするためのセキュリティとして講ずべき施策などは、従前の事務ガイドライン案に既に記載されているところでございます。ただ、口頭で申し上げても分かりにくいので、分科会長の御指示に従いますけれども、もし必要であれば次回何らかの資料で分かりやすい形で提示させていただければと思っております。
それと、銀行との比較の観点でおっしゃられました、これも不正利用があった場合の損失補償についてのお話だったのではないかなと思われます。銀行の場合は、キャッシュカードを盗難された場合と、インターネットバンキングとで取扱いが違うのではないかなと私どもは認識しております。キャッシュカードが盗難された場合等におきましては、その根拠としては預金者保護法がありまして、そこでは、まさに先ほど森口委員がおっしゃられたように、利用者側に無過失の場合には全額、過失があった場合には4分の3、重過失があった場合には補償せずといった方針が定められているやに聞いております。
他方で、資金移動業者の場合は、比較するとすればむしろインターネットバンキングのほうが近いのではないかなと思われるのですけれども、インターネットバンキングの場合には根拠は全銀協の申し合わせであります。全銀協の申合せの補償の内容を見ますと、無過失の場合には全額なのですが、過失と重大な過失の場合には個別対応と記載されている旨、承知しております。
何でこれは個別対応なのかなと思って中身を見ますと、いろいろ書いてあるのですが、若干長いのですけれども読み上げさせていただきます。「インターネットの技術やその世界における犯罪手口は日々高度化しており、そうした中で、各行が提供するサービスは、そのセキュリティ対策を含め一様ではないことから、重過失・過失の類型や、それに応じた補償割合を定型的に策定することは困難である。したがって、補償を行う際には、被害に遭ったお客さまの態様やその状況等を加味して判断する」といったことで個別対応になっていると承知しております。
一方で、資金移動業者は既にそれぞれの会社の約款におきまして補償の範囲や手続を定めていると承知しております。これがどの程度の水準であればよいのかというのは、まさにこれから皆様方の御意見を伺いながら一定の基準づくりというのができるかどうかも含めて御議論いただくのかなと思いますけれども、動きとしては資金移動業者が個々に約款で補償の方針などを定めていることに加えて、業界団体としても一定のガイドラインを示せるように検討を始めていると承知しているところでございます。
長くなりましてすみません。以上です。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
続いて、山内委員、お願いいたします。
○山内委員 ありがとうございます。使用者側の山内でございます。
私からは、要望が1点と質問が1点でございます。
まず要望のほうなのですが、4ページの下段に本人の同意の取扱いというのが記されております。現在も銀行口座への賃金振込を行う場合、労働者の申出または同意が要件という形になっていると思いますが、今回新たに資金移動業者へ賃金の振込を行うに当たって、先ほどの御説明にあったように、ドコモ口座問題であるとか、あるいは類型が複数用意されるなど、やや複雑な感じが否めない中で、ぜひ銀行振込との違いを十分に説明してもらった上で同意を取るというような同意の手続についても重要な論点になるのではないかなと考える次第です。ぜひこの同意の手続についても論点に追加していただければと考えております。
もう一点は質問でございます。最後の6ページでございます。こちらには労働者保護の観点での課題ということで、まだ議論が必要なものが整理されておるのですが、一番下段の4.その他に記されている賃金支払業務を適正かつ確実に行うことができる体制、これがどういうものかということについて、先ほど多要素認証であるとか、今の時点で分かっているようなことがあると御説明いただきました。また、様々な課題がこれからも考えられるというようなことも付言していただいたわけですが、伺うところによると、現時点でも資金移動業者は国内に約八十数社あると伺っております。こういうようなそれぞれの会社さんの状態を確認すると。確実に行うことができると確認する体制がどういうものかということと、今、多要素認証以外に懸念として挙げられているものとして、厚生労働省のほうで何か把握しているものがもしあれば御教示いただければという質問でございます。
○荒木分科会長 事務局よりお願いします。
○賃金課長 山内委員、御指摘ありがとうございます。
まず1点目の本人の同意に関する事項でございますけれども、これはもし制度化されて制度が運用されるとなった場合には、労働者側にとっても極めて重要な手続になるかと思いますので、課題に加えさせていただき、また今後皆様方の御意見を頂戴していきたいと思っております。
まず同意の際に求めるべき事項として基本となりますのは、先ほど資料で御説明申し上げましたような銀行口座への振込の場合と並びということになりますけれども、資金移動業者の場合には、まず資金移動業者名と労働者名とアカウント名なのですが、このアカウントがどういう形になるのかというのは、改正資金決済法で3類型に分かれるということもありますので、それを踏まえて、個々の業者がどういうアカウント設定をするのかといった事業モデルも念頭に見なければいけないのかなと今の時点では思っております。
あと、6ページに掲げさせていただいたほかの論点の、例えば資金保全とか、不正引き出しがあった場合の対応として補償することになった場合に、いわば労働者側に損失見合いあるいは積み立てていた資金見合いのものを振り込む場面が出てくるかと思います。その場面におきまして特に顕著なのが資金保全の場合ですけれども、使っていた資金移動業者が破綻しているということでありますので、別のどこに振り込む必要があるのかといったことを併せてあらかじめ定めておくとか、実際に制度化されたことを念頭にお金の流れを考えると、幾つか今の銀行口座振込の場合に加えて、同意をあらかじめ取りつけておくことがあるのではないかと思われますので、その辺は皆様方の御意見も踏まえて御提案していきたいなと思います。
あと、本人同意に関しまして、銀行との違いについてということはまさに重要な御指摘かなと思います。そもそも銀行は預貯金を前提としている一方で、資金移動業者は資金決済法上の定義上は銀行等以外のもので為替取引を行う業者となっていまして、そこに振り込むお金というのは基本的には預貯金前提ではないのです。あくまでもすぐ使う、どこかに送金することを前提にして一時的にお金が入る。それが資金移動業者でございます。
また、極端な話、破綻時の資金保全のスキームに代表されるように、銀行と比べていろいろな違いがございますので、そうした違いを個々の会社で導入する際には労働者の方々にもちゃんと分かっていただいた上で選択いただくというような流れ、仕組みが必要なのではないかと思っております。
2点目、6ページ目の4.その他の賃金支払業務を適正かつ確実に行うことができる体制として、今想定しているのはまさに山内委員が御指摘いただいた多要素認証をはじめとする情報セキュリティ対策をきちんとやっているかどうかも含めた、資金決済法に基づく資金移動業者としての業をまずちゃんとやっているのかどうかということが大前提になろうかと思います。これに関しましては、今後金融庁とも連携しながら、金融庁のほうで行政処分歴とか様々な情報をお持ちだと思いますので、金融庁とも連携しながらこういった業務を適切に行えるような状態なのかどうかを確認していくというのが基本になってこようかと思っております。
以上です。
○山内委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
それでは、八野委員、お願いします。
○八野委員 労働側の八野です。
今の答弁の中で、例えば資金移動業者に給与を振り込むときに、本人同意に関して銀行とは違うということを分かってもらうという発言があったのですが、実際にそれで労働行政としていいのでしょうか。というのは、労働の対価である賃金、労働者の生活の糧である賃金は、全額が確実に労働者の手に渡ることが大前提だと思っています。
そのように考えると、先ほどの答弁の中にもありましたように、銀行と資金移動業者というのは業容の目的が違います。ですから、現在の資金移動業者が悪いとかいいとかということではなく、業務の目的が為替取引、要するに送金決済の業務であって、預金は認めていないということで考えると、資金保全のスキームも銀行とは全く異なります。
労働側としては、資金保全に関しては、賃金振込みのようなことを考えていくのであれば、銀行と同じように保全されなくてはいけないということが前提です。8月の労働条件分科会においても、使用者側も含め、労働側も労働者保護ということを大前提として考えるべきだという発言がありましたが、先ほどの本人同意に関する答弁は、労働者保護が前提ではなく、同意した本人の責任という考えなのでしょうか。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○賃金課長 言葉足らずで申し訳ございませんでした。
「分かってもらう」のイメージとして申し上げておりましたのは、まず、仮にこれが制度化した場合に、大前提としてまさに八野委員がおっしゃったように、払われるべき給与全額が労働者に渡っている。一部でも欠けてはいけない。それは大前提だと思います。
それをどういう手段で受け取るかというのは、基本的に労働者が選べてしかるべきだと思っていまして、今、労働者は通貨、現金でもらっている場合もあれば、銀行振込で行っている場合も多くあろうと思います。そこに仮に制度化された資金移動業者の口座が加わった場合に、まず念頭に置かねばならないのは、先ほど申し上げたとおり、銀行はそこにどんどんお金をためていく。将来の生活のためにお金を蓄えていくのが前提。他方で、資金移動業者はどこかに送金したり、あるいはお買い物で使ったりと、もともとそこにためていくのが前提ではないのです。
ということは、全額資金移動業者のほうにお金を振り込むということが労働者の生活設計等の観点から果たして妥当なのかどうか。そこはよく状況を分かった上で御判断いただかなければいけないだろうと思っていますし、私どもとしても、仮にこれが制度化された場合に、給与全てが資金移動業者の口座に振り込まれるというのはちょっとどうなのかなと。まさに皆様方の御意見も伺いたいのですが、そういうふうに考えております。
もともと業の態様も違いますし、分からないままとにかくそちらを選択してしまうといったことは絶対に避けねばならないと思っていますので、そういうことも念頭に置きつつ、具体的に本人同意の際にどういう手続、どういう周知が国としても、あるいは導入する企業としても必要なのか、それも併せて考えていかねばならないと考えております。
○荒木分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 今言われたことはどこにも書かれていません。資金移動業者に関しては金融庁管轄の部分があるため、我々が労政審において発言したことがきちんと金融庁につながれ、保全等に関してガイドラインや法改正に結びつくのか、省令改正に結びつくのか、見えません。今の答弁は全て仮定の話なのです。
賃金口座として想定される100万円以下の送金については、資金移動業者においては登録制が維持されています。銀行のように専業業務が課されていないという観点から申し上げれば、資金移動業者の全てという訳ではないと思いますが、本業で得た資金で資金決済事業を維持しているようなときに、本当に資金移動業者の財政の健全性が担保されているのでしょうか。
資金決済法では適正かつ確実に遂行するための財産的な基礎があることとされていますが、明確な資本要件はない。例えば突然の破綻とか統廃合という懸念もあります。一方、資本規制のある銀行については、様々な面で銀行の経営に対して強化が図られ、最終的に利用者保護に資する仕組みになっていますが、現状の資金移動業者においては、送金に関する規制はありますけれども、利用者保護の観点から企業に何かあったときの保全が不十分なのではないかということです。
資金移動業者の口座に賃金が振り込まれることになったら、移動業の本来の目的である、あるアカウントから別のアカウントへ資金を移動するだけでなくて、銀行口座と同じように資金が滞留することにつながると考えられますが、事業者任せでいいのでしょうか。
それと、保全やその他の課題について銀行との比較資料が出ていますけれども、不正の場合の補償、またはその他安全性、セキュリティの観点で、比較すべき点はまだまだあると思います。この課題について、労働行政としての見解を出して進めていくのか、銀行が資金保全や利用者保護について担保しているところまでを労働行政として網羅するという課題認識でいいのか、少し見解を聞かせていただきたいと思います。
長くなりましてすみません。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○賃金課長 八野委員、御指摘ありがとうございます。
資料の8ページを引き合いにおっしゃられた部分に関して、若干コメントを申し上げます。まず、こちらは資金決済法に基づいて登録を受けて資金移動業として業を行うことはできるのですけれども、その中身といいますか、銀行との比較において様々御指摘いただきましたが、比較すべき点が様々あるのではないかということもおっしゃられましたので、次回、もうちょっと項目を増やした資料を提示させていただいた上で御意見を承りたいと思っておるのですけれども、この登録を受けている業者というのは、現行では80業者あると承知していて、我々、具体的な資本状態などは金融庁に聞かない限り分からないという実態はあるのですけれども、恐らく様々だろうと思っています。その中には労働者保護や資金保全の観点から心配なのではないかと思われるようなところもあれば、そうでないところもあって、それはもし制度化する場合には一定のスクリーニングが必要不可欠なのだろうなと思っています。
議論の出発点というか、労働行政としてなぜこの話をするのかという点に立ち返って考えますに、これはまず去年の8月にお示しした資料の中でも御提示させていただいたのですけれども、公正取引委員会が去年4月に行いました調査がありまして、既にコード決済等を利用している方に対する調査だったわけなのですが、いわゆるペイロール払いみたいなものをやるとなった場合に、その利用を検討するかどうかということを聞いているのです。それに対して、検討しないという割合のほうが多かったわけなのですが、検討するというのも4割と一定程度存在しました。
大事なのは労基法24条の原則に基づいて全額きちんと払われることを大前提とした上で、しかし、一方でそうしたニーズも世の中には一定程度あるのではないかとも思われますので、そうした場合に、ただ80全てについていいよとはとても申し上げられませんので、具体的なスクリーニングのやり方、資金保全の観点や不正があった場合の補償方針やセキュリティ対策などについて、皆様方のほうから御意見も伺いつつ、スクリーニングとして必要な要件を設けることが仮に制度化する場合の大前提であろうと考えております。
抽象的な答えで恐縮です。
○荒木分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 労働行政としてこれを検討するのは、ペイロール払いの利用を検討するという人が増えてきたからということでいいのですね。
○荒木分科会長 事務局、どうぞ。
○賃金課長 ペイロール払いの利用を検討する方が増えたかどうかは分からないのですが、少なくとも去年4月の時点でのニーズは一定程度あると資料でもお示しさせていただいたところであります。
また、コード決済全体で見ると、今日資料としてはお示ししていないのですけれども、たしかキャッシュレス協議会がおまとめになった16のコード決済事業者から取った数字でございますが、月間のアクティブユーザー数は右肩上がりで推移しておりまして、去年9月時点で3000万人の方が月間アクティブユーザーとなっていると承知しております。これは全てが全て労働者ではないかもしれませんし、また、幾つかのアプリを導入されているような方もいらっしゃるかもしれませんので、実数としては一定の幅を持って見る必要があると思うのですが、少なくとも多くの方がこういった利用を行っているということは言えるのかなと思います。果たしてその中の方のどれぐらいが給与を払ってもらいたいと思っているかどうかは分からないところでありますけれども、仮に制度化する場合には、そういったペイロールに払ってもらいたくないと思っている労働者の方については、それはしなくていいという仕組みにするのも前提の一つなのだろうなと考えております。
○荒木分科会長 それでは、手の挙がった順に御指名しております。
次は鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
冒頭、仁平委員から、結論ありきで議論するのではなく、当分科会として主体的、自立的に十分議論を尽くす必要があるという趣旨の御発言があったかと思います。私も全く同感でございます。論点整理もまだまだ十分ではありませんし、これまでも委員から多くの御意見をいただいているように、議論に必要な情報の共有がまだできていないと理解しております。
その上で、8月27日の分科会から5か月経過した中で、議論が再開されることについて歓迎したいと思います。
これも前回8月27日に私から申し上げましたとおり、賃金というのはあくまでも労働者の生活の糧でありますので、確実な支払いを確保することの重要性は私も十分理解しております。一方で、多様な給与受取ニーズに対応して利便性を高めるという観点から、必要性は大きいと思っております。先ほど事務局からも指摘がありましたように、公正取引委員会が示した実態調査によると、4割の方が賃金の一部を資金移動業者の口座へ振り込むことを検討しています。それから、既に出張等の各種経費の清算につきまして、この資金移動業者の口座払いが用いられていることを考えますと、この資金移動業者の口座への賃金支払いの必要性があると考えるに十分ではないかと思っているところでございます。
もとより、今回皆さんで進めていこうとしている議論というのは、当然ながら会社が賃金支払先を勝手に決めることを想定しているわけではなく、あくまで賃金の一部を資金移動業者の口座に振り込みたいと考える労働者のニーズに応えるものです。つまり、賃金受取先の選択肢の一つとして位置づけるということが前提の議論だと思っております。そうした場合、銀行口座と全く同じということではなく、代替措置も含めて労働者の保護につながる同程度の仕組みをしっかり模索していく議論が大切ではないかと思っております。
先ほど滞留のお話が出ましたので、私からコメントをさせていただきます。滞留の問題というのは、私自身、2つに分けて考えたほうがよいと考えます。一つは、毎月振り込むこと自体が滞留規制と齟齬をきたすかどうかという問題点であります。これは資金決済法、各種政令、金融庁の事務ガイドラインなどのルールがあり、金融庁が監督をしていくようなことでありますし、賃金が滞留規制の違反の蓋然性が高い、毎月支払われていることが滞留規制のルールにひっかかる可能性が極めて高いということであれば、金融庁、ひいては政府がこの問題を検討することについてゴーサインを出すとは思えませんので、こうした観点の問題というのは、私自身はある程度クリアになっているのではないかと思っております。
もう一つの滞留の問題というのは、金融庁の滞留規制の反射的な影響として、振込ができなくなるリスクにあると考えます。例えば上限が5万円の少額類型のアカウントに既に5万円があって、そうした状況の中で、企業が賃金の一部、例えば1万円などを振り込むときに、24条違反が発生します。こういった、労働者が本来受け取れるべきはずの賃金がもらえないという状況が発生しかねないため、この状況をどう回避するかはまさに労働者保護の問題だと思っております。滞留規制につきましても1種から3種まで様々な類型があり、その資金移動業者がどのような対応を取るのか、あるいは、対応が不十分であれば労働者保護の観点から何ができるかといったことを議論していく中で解決策が導き出せるのではないかと思っております。
このほか、セキュリティの問題や資金保全の問題も大きいですし、不正引き出しの補償、換金の仕組みなど、まだまだ論点があります。この論点ごとに労働者保護として十分な仕組みを探っていく中で建設的な議論をしてまいりたいと思っている次第でございます。
私からは以上でございます。
○荒木分科会長 事務局からいかがでしょうか。
○賃金課長 鈴木委員、御指摘ありがとうございます。
滞留規制に関連しまして述べられた2つ目の観点につきましてコメントさせていただきますと、労基法24条との関係でおっしゃられました。これは、今の銀行口座振込でも起こり得る問題ではあるとは思うのですが、何らかの事情で労働者側の口座やアカウントにお金が振り込まれない状態になってしまった場合にどうなるのか。これは、そこに振り込まれない限りは使用者側としては労基法24条の義務を果たしたことにならないという法的な状態になります。
滞留規制との関連で申し上げますと、顕著に表れますのは第1種と第3種でないかなと思っています。すなわち、第1種につきましては、あらかじめ送金日時、送金先、送金金額を利用者である労働者が指図していなければ、そもそもそこのアカウントに入金できないという類型だと承知しています。もし労働者側がそれを忘れていたような場合がありますと、そこを入金先口座として指定しても、使用者がお金を送ってもはじかれてしまうということがあり得ますので、そういう意味で、労基法24条との関連が出てくるのかなと思われます。
同様に、第3種の定額類型におきましても、これは5万円を超えるようなものについてあらかじめ別の銀行口座を送金先としていればそちらのほうに迂回していきますので、使用者側が入金すれば、仮に3種のアカウントがいっぱいであったら別のほうにいくので問題はないのですけれども、当然労働者側の口座であることが前提です。そういった迂回先の本人名義の銀行口座などを指定しなかった場合はどうなるかというと、5万円を超えた場合にはもはやそこに入金できない状態になります。なので、先ほど述べた第1類型と同じように、使用者が入金してもブロックされてしまうというような問題が生じ得ますので、同じく24条の問題が生じ得ると考えます。
現行の第2類型については、仕組み上は100万円を超える入金は可能となっています。ですので、直ちに先ほど述べたような24条の問題が生じるわけではないのですが、ただ、一方で、資金移動業者のビジネスモデルによっては、滞留の上限を独自に設けているような場合もあり得て、そういったときには同様の問題が起こり得るのかなと思っております。
あと、8ページの資料について一言だけおわびと補足をさせていただきますと、第3類型と第2類型のところに「滞留可」と3文字書いてしまったのですが、これは何の制約もなくそこにため続けてオーケーという趣旨ではございませんので、そこは我々の書き方が悪かったのですけれども、誤解なきようお願いいたします。申し訳ございません。
例えば現行の第2類型におきましては、青字で書いておりますように受入額が100万円を超えた場合には、送金と無関係の資金を滞留させないような態勢整備を資金移動業者に求めております。これは一概に何日たまったらアウトというわけではないのですけれども、そこにたまっている額やたまっている期間、それまでの為替取引の実績等を総合考慮して、これはもしかして預金のように使っていませんかとなった場合に、資金移動業者側が利用者のほうに対して送金あるいは払出しを促すといった規制が同時に改正資金決済法でかかっておりますので、そういう意味におきましても、2つ滞留可と書かせていただきましたけれども、無制約に滞留が可という趣旨ではないということは議論の前提にしていただければと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、川野委員、お願いします。
○川野委員 ありがとうございます。
今回、資金移動業者の口座への賃金支払いに関する多様なニーズへの対応が検討の前提にあるとされています。そのニーズについて意見がございます。前回8月の審議会において、ニーズの根拠の一つとして示された、QRコード等を用いたキャッシュレス決済に関する実態調査報告書における回答者の母体はコード決済を利用している消費者であって、そもそもコード決済に関して親和性を持っている者、また、理解を示している者が対象の調査です。なおかつ、コード決済を利用している調査対象者であっても、賃金口座としては検討しないと回答している者が6割、半数を超えているという結果になっています。加えて、利用者は資金移動業者にはセキュリティ等、安全性に懸念があること等についてきちんと理解をした上で回答されているのでしょうか。
さらには、口座連携に係る不正引き出しの事案、先ほど説明があったとおりでございますが、様々なセキュリティ上の不備が明らかになりました。本調査はそれ以前に行われた調査結果である上、情報の非対称性の問題も含まれおり、ニーズがあるという調査結果には疑問が残ります。
意見として、ニーズに関する疑問について発言をさせていただきました。よろしくお願いします。
○荒木分科会長 意見ということでございましたけれども、事務局、お答えになりますか。
○賃金課長 川野委員、御指摘ありがとうございます。
ニーズ調査に関する御指摘は御意見として承りたいと思います。確かに最新の状況で端的にペイロール払いについて求めるかと聞いたようなものは私ども承知していないのですが、今、このコロナ禍の状況の中で、キャッシュレスに関するニーズが果たして低位にとどまっているのかどうか。あるいは、実際に業界最大手のコード決済を利用してみると、そこにチャージしようと思っても、ある某メガバンクとは連携されていなくて、そこからスマホのアプリ等で入金しようと思っても、その手段が取れないといった不便さも一方であるのかなと思っております。
いずれにしましても、世の中の大多数がこうしたニーズを持ったときに初めて議論できるのか、あるいは一定数でもニーズがあれば議論できるのかというのは価値判断なのかと思いますけれども、私どもとしては、世の中で一定のニーズがあるのであれば、それは労働者保護の観点からどういう要件等を課すべきかということも併せて考えて、制度ができるかどうか、その点につきまして労使の皆様方からの御意見を賜れればなと思っております。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
それでは、早乙女委員、お願いいたします。
○早乙女委員 ありがとうございます。使用者側委員の早乙女です。
私からは、4ページの換金性について1点質問いたします。
換金性の一番下の※のところ、換金の単位について、証券総合口座では1円単位で払戻しができることを要件としていると記載がございます。先ほど大塚課長の御説明の中で、資金移動業者についてもこれと並べる要件が必要かといった御発言がありましたが、実際、資金移動業者についてはどのような要件となっているのでしょうか。お聞かせください。
以上です。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○賃金課長 早乙女委員、御指摘ありがとうございます。
資金移動業者につきまして、どういう要件にするのかはまさに皆様方の御意見を承りながら検討していきたいと思っておりますが、資金移動業者における出金の単位の実情報だけ申し上げますと、1円単位で出金できる業者というのは、実は一般的と言えるような状況にはないのではないかと思っています。
一方で、業界最大手クラスの業者の出金単位を見ますと、100円単位などになっていたり、1,000円単位になっていたり、割とざっくりとした出金単位になっているようなところも見受けられるところでございますので、そうした要件を設けるかどうかは、そういった業者における送金のシステムの変動にもつながり得ることだということも意識しながら、この場で御議論いただければなと思っております。
○荒木分科会長 次に池田委員、お願いいたします。
○池田委員 どうもありがとうございます。使用者側の池田でございます。
皆さんもおっしゃっているとおり、賃金というのは非常に大切なものでありますので、資料6ページにあります4つの課題のうち、資金保全というのは何よりも重要なのだろうなと考えてございます。この点につきましては、昨年3月10日開催の規制改革推進会議投資等ワーキング・グループで、検討中の制度ということでしたが、保証機関と保険会社を関与させたような仕組みが内閣府地方創生推進事務局から説明されているかと存じます。現時点において、資金移動業者が破綻した場合に、迅速かつ十分な資金保全を行うための制度としてどのようなものを想定していて、どの程度具体化が見込まれているのか。この点、事務局に伺いたいと思います。
あと、一言付言しておきたいのは、佐々委員がおっしゃっていた企業実務上の負担については私も同様に懸念してございます。実現に当たりましては、実務がスムーズにいくようなスキームで整理ができればと考えていきたいと思います。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○賃金課長 池田委員、御指摘ありがとうございます。
御指摘の1点目にありました資金保全のスキームに関しましては、私どもとしては民間の保険会社等が供託スキームよりも迅速に利用者の方にお金を払い戻すといったような仕組みがまずできて、その上でその保険会社等と資金移動業者があらかじめ、資金移動業者が破綻した場合に労働者側にアカウント残高分を払い戻す。それをきちんと契約で決めておく。それを1番目の資金保全の要件と言っていいのかどうかは分かりませんけれども、それを満たしたかどうかを確認する。そういったイメージでおりますが、口頭で民間の業者が今考えているスキームについて申し述べても分かりにくいと思いますので、もしよろしければ、次回何らかの資料を提示させていただければなと思っております。
2点目の実務との兼ね合いでございますけれども、まさに佐々委員からも御指摘がありました様々な問題点も含めて、実際に現場で運用していくに当たっては、確実に労働者の指定するアカウントにお金が振り込まれるような流れ、仕組みにしていくことが必要だと考えておりますので、これからも御意見を伺いながら検討していきたいと思っております。ありがとうございます。
○池田委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 次に仁平委員、お願いします。
○仁平委員 ありがとうございます。
労側の各委員からも懸念の発言がございました。その内容を踏まえれば、事業体の健全性、安全性に大きな疑問がある資金移動業者の口座に労働者の大切な生活の糧である賃金を振り込むことについては、リスクを労働者に負わせることにもつながり、選択肢として加える必要はないのではないかということについてまず申し上げたいと思います。
次に、労政審での議論の範囲と進め方についてです。資金移動業者に対する監督指導は、基本的に金融庁が担うと考えておりますが、我々が懸念するような問題をこの労政審の場で述べたとして、それが金融行政においてどう検討され、担保されるのかということは、今日の説明を聞いてもよく分かりませんでした。
あえて資金移動業者の安全性について意見を申し上げれば、今、急速に変化していくデジタル技術を悪用して思いもよらないことが起こる時代だと思っております。そういう状況を考えると、賃金の振込口座か否かを問わずに、そもそも賃金移動業として、滞留する資金の保全も含めて、業界としてきちんと補償の規定の整備や安全性の確保、マネーロンダリング対策なども含めた不正利用検知のモニタリングシステムの構築などに努めていく必要があるのではないかと思っております。また、金融庁としてもきちんと資金移動業者に対する指導監督をすることが求められていると思います。現在、その取組の途上なのかもしれません。そうであれば、検討途上のものを前提に、この労政審で議論すること自体いかがなものかと思います。
また、仮に賃金口座として許可された資金移動業者があった場合、労働行政としてどこまで責任を持って監督指導できるのか、行政としての監督指導体制も課題になると思っております。
繰り返しになりますが、労基法を取り扱う本審議会として、賃金は労働者にとって生活の糧となる非常に重要なもの、唯一無二のものであり、労働者保護に欠けることがあってはならないという基本原則を改めて強調しておきたいと思います。賃金が振り込まれる口座の安全性、保全、補償といったものは少なくとも銀行口座と同等でなければ、そもそも検討に値しないと考えておりますので、最後の部分は意見として申し上げます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。
冒頭、仁平委員から御指摘があったとおり、私も今日は新聞の切り抜きまで持ってきたのですけれども、この会議の前にこのような記事が出てびっくりしました。当初、この議論については、私自身は外国人の技能実習生とか、それから、特定技能の外国人、まだまだこれから増えてくるのかもしれませんけれども、そういう方が銀行の口座をなかなかつくりにくいということで、資金移動業者を使うのも一つの方策ではないかということで話を伺ってきました。それを前提として今回のこの新聞記事を見ると、かなり範疇が広がっているような気がします。ただ、労働側の意見は本当にもっともだと思うのですけれども、まず法を順守した上でできるなら、こういう制度もだんだん広がりを見せてもいいのかなとは感じております。
私ども中小企業の関係でいきますと、前回の審議会で意見を申しましたとおり、この80の事業者というのは、もちろん中小の事業者も多いのですけれども、組織化が図られているかというと、それはない状況だと思います。中小企業はどちらかというと資金移動業者の利用者になるわけです。労働者と同じように、経営者は利用者になるわけです。そのときに、どこの資金移動業者を選択していいのかというのが全くこの絵だと分からない。80社のものも、前回のときにも私、調べてみたのですけれども、銀行系が多いのか、信販系かなとか、もちろんそういうところもあるのですが、実際には外資が非常に多くて、そのホームページの実在も全部調べてみたのですけれども、実態がなかなかよく分からない。ただ単にホームページが存在しているだけで、どこが運営しているのかということが全く分からない状態で、こういうところに給与等の資金を預けていくのは、どこを選択していいのかということが非常に分かりにくい状態となっています。安全性や信頼性など、まだまだ分からない中で、すぐに資金移動に係わる決済など、実施はできないなと考えています。
あとは、手数料の関係でございます。利用すれば必ず手数料が出てきますので、そのときに、これは今日の資料でも「無料から一定額」と書かれているのですけれども、銀行とどう違うのか、どこに振り込んだら、企業に勤める従業員の方が、こういう制度ができるか。新たに資金移動業者の直接振り込んでほしいとなれば、払込みの回数が多くなればそれだけ手数料が多くなってくるわけです。そういうことでどういう金額になるのかとか、利用すればどういう自分たちのコスト削減のメリットがあったりとかということも企業経営だと考えていくことになります。これから実行していくということになれば、手数料の額や仕組みの流れ図とか、イメージが湧きやすくなるよう、もう一度整理していただいて、これからの議論にしていただければと思っております。
以上でございます。
○荒木分科会長 いろいろ御意見をいただいていますけれども、ほかに何か御意見はございましょうか。
藤村委員。
○藤村委員 今日、いろいろな御意見を聞いておりまして、すぐには難しいかなという印象を持っています。ただ、この場で議論を尽くした上で、やはり今はこれを入れるべきではないという結論に至ることも仮にあり得ると思うのです。ですから、事務局にお願いしたいのですが、今日いろいろ出てきた意見、口頭で聞いていると頭の整理がつかなくなってくるところがありますので、文章でお示しいただいて、こういう場合はこうなのだという、それは前提としてもう一度議論をして、この仕組みを適用することの是非を考えてみればいいのではないかと思います。
○荒木分科会長 ほかにはいかがですか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
今回、ニーズの有無についての議論がありました。これを踏まえて考えたこととして、現在でも賃金の一部を自分で資金移動業者のアカウントに動かすというようなことは行われているわけです。そうすると、最初から資金移動業者のアカウントに納得のいく範囲でお金を振り込んでもらうということは、結果的にリスクを変えないのではないか。そして、手間を減らすことが考えられます。
そういう観点から、お願いとして、例えばアメリカでは、どちらか一方というわけではなく銀行振込と並行する形でペイロールカードなどが普及していると聞いているわけですが、具体的にどのように運用しているのか。特に、どのような人がどのような理由で利用しているのかということを知りたいと思います。これを調べることは可能か、または、既に調査結果があるのだったら御提示いただければありがたいと思います。例えばアメリカでは、賃金が月払いだけでなく週払いや2週に1回の支払い、こういうふうに細かく支払う場合にペイロールが使われるのか、そうでないのか。副業や兼業など、本業があって、別の小さな収入についてペイロールカードを使っているのか。どういう形で活用しているのか。そして、今回事務局からも御説明がありましたように、賃金の一部を銀行振込で、または残りはペイロールカードみたいな形というのも一般的なのかどうか。それとも、ペイロールカードを使う人というのは大体が全額をこちらのペイロールカードに入れるのか。
この辺り、日本ではまだ実態がないので、どういう要望があるのかというふわっとしたものを聞くよりは、実際に活用されている国において、どういうパターンがあり得て、また、どういうパターンが主流なのか、この辺り、調査があれば御紹介いただければありがたいです。どうぞよろしくお願いします。
○荒木分科会長 ほかに御意見はございますか。
複数の方から御意見をいただきましたけれども、事務局から何かございますか。
○賃金課長 御指摘ありがとうございます。
まず藤村委員からは、何か分かりやすい文章で示してほしいという御指摘でしたので、承りまして、これまでも各委員の方から個別におっしゃられたことで資料としてお示ししたほうがいいなと思われるものも多々ございましたので、文章ないしは図など、分かりやすい資料を次回提示できればなと思っております。
また、安藤委員も貴重な御指摘をありがとうございました。アメリカの実情は、正直に申し上げて、今の時点で手元に何かお示しできるものはありませんので、こちらも調査した上で、多少時間はかかるかもしれませんけれども、いずれお出ししたいなと思っております。
○荒木分科会長 ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、時間も押してきましたが、本日様々な御指摘をいただきましたので、この議題につきましては引き続き検討を続けていきたいと思います。
また、御指摘のとおり、新たな資料あるいは図なども活用して、内容についての理解を深めていきたいと考えますので、事務局にはその用意をお願いします。
本日予定した議題は以上となります。
最後に、次回の日程等について事務局からお願いします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
併せまして、議事録の取扱いについて御報告を申し上げます。これまで議事録に関しましては、事前に御確認をいただきました後に、最終的には分科会長及び分科会長が指名した労使各側の委員から署名をいただいておりましたが、今般、労働政策審議会運営規程が改正されまして、最終的な署名という形式が廃止されました。したがいまして、今回の議事録からは署名をいただく委員の指名、あるいは最終的な署名といったものは不要となってございます。この場をお借りいたしまして御報告申し上げます。
以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、以上で本日の労働条件分科会は終了といたします。
御多忙の中、御参加いただき、ありがとうございました。
 

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