令和3年2月19日(金)

 今朝の閣議においては,法務省案件として,「少年法等の一部を改正する法律案」,「出入国管理及び難民認定法及び日本との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」の2つの法律案と,「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律に基づく報告(令和2年)」がそれぞれ閣議決定されました。
 続きまして,私から5件御報告がございます。
 まず,1件目として「少年法改正案」について申し上げます。
 今回の改正は,近年,公職選挙法の選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げなど,18歳及び19歳の者を取り巻く社会情勢が大きく変化してきていることを踏まえ,これらの者については,少年法の適用において,その立場に応じた取扱いをしようとするものです。
 施行については,来年,令和4年4月1日の民法の成年年齢の引下げと同日を予定しております。
 次に,2件目として「入管法改正案」について申し上げます。
 近年,退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず送還を忌避する者が後を絶たず,迅速な送還の実施に支障が生じており,退去強制を受ける者の収容が長期化する要因ともなっております。
 今回の法改正は,様々な方策を組み合わせ,パッケージで送還忌避・長期収容問題の解決を図るものです。
 これらの問題の解決は,ルールを守って暮らす多くの外国人の皆様との共生社会の実現を目指す上でも大変重要と考えております。
 いずれの法律案についても,国会において十分に御審議いただき,速やかに成立させていただけるよう,努力してまいりたいと考えております。
 続きまして,3件目として通信傍受法に関する国会報告について申し上げます。
 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律第36条に基づき,令和2年中の通信傍受の実施状況等について,本日,国会に報告がなされることになります。
 令和2年中は,20事件につき傍受を実施し,その結果,合計152人を逮捕しております。捜査当局においては,今後も通信傍受を適切に活用していく方針と承知しております。
 4件目として,公文書管理等について申し上げます。
 昨日(2月18日)の「法務省ガバナンスPT」での検討の結果,法務省における行政文書の作成や決裁に関するルールを改正することとしましたので,御報告いたします。
 公文書や行政全体に対する国民の皆様の信頼を確保するためには,公文書管理の在り方について不断の見直しをしていくことが重要です。
 そこで,私は,「法務省ガバナンスPT」の設置に当たり,昨年12月に取りまとめられた「法務・検察行政刷新会議」の報告書で示された内容をも踏まえつつ,必要な見直しを速やかに行うよう,指示いたしました。
 「法務省ガバナンスPT」においては,行政文書の作成や決裁について,法務省の諸活動をより検証可能とし,国民に説明する責務を果たしていくためには,どうあるべきかという観点から,検討がなされました。
 その結果,これまで各部局ごとの判断に任されていた事項につき,より適切な公文書管理を実現するため,省としての統一的なルールを定めることとしました。
 具体的には,関係規定を改正し,法案の立案過程であっても,従前の法解釈を変更する場合には,それ自体について,正式な決裁を要すること,行政文書には,作成日付と作成した課室等の名称を記載することを新たにルール化いたしました。
 また,決裁等に当たっての基本的な考え方として,行政文書が作成・保存等される目的に留意することを明記することとしました。
 本日から,新たなルールによる運用を開始し,より一層国民の皆様から信頼される組織となるよう,今後とも,適正かつ確実な公文書管理に努めてまいります。
 また,引き続き,「法務省ガバナンスPT」におきまして必要な検討を行い,法務省の組織運営の改革・改善をしっかりと進めてまいります。
 最後に,5件目として法務省関連の新型コロナウイルス感染症の感染状況について申し上げます。
 2月12日(金曜日)の会見後から昨日までの間に,職員については,川越少年刑務所4名,東京出入国在留管理局本局6名,成田空港支局1名,計11名の感染が判明いたしました。
 また,被収容者については,東京出入国在留管理局39名のほか,5の施設におきまして各1名ずつ,計5名の感染が判明しております。
 詳細は既に公表されたとおりですが,東京出入国在留管理局での感染状況やその対応などについては,この会見に引き続き,出入国在留管理庁による御説明の機会を設けますので,御不明な点がございましたら,その際に御質問いただきたいと思います。
 法務省は,官署及び収容施設における感染拡大を阻止するため,引き続き全力を尽くしてまいります。

少年法改正に関する質疑について

【記者】
 少年法などの改正案について伺います。18・19歳の位置付けや扱いが変わりますが,改正案の重要なポイント,そして民法の成年年齢と位置付けが異なってくる理由,そして今後の審議に期待することをお願いします。

【大臣】
 まず,改正案のポイントについてでありますが,先ほど冒頭で申し上げたとおりでありまして,本法律案につきましては,18歳及び19歳の者を取り巻く社会情勢の変化を踏まえまして,少年法を改正し,18歳以上の少年の特例を定めるものであります。
 具体的に申し上げますと,18歳以上の少年につきましては,全件を家庭裁判所に送致する仕組みを維持しつつ,原則逆送事件に,死刑・無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件を加える,検察官送致決定がされた後の刑事事件の特例に関する少年法の規定は原則として適用しないこととし,公判請求された場合には推知報道,すなわち実名報道の禁止を解除するなどの取扱いをすることとするものであります。
 民法の成年年齢とは異なる理由というお尋ねがありましたが,少年法の適用年齢の在り方につきましては,刑事司法全般において,成長過程にある若年者をどのように取り扱い,どのように改善更生・再犯防止を図るかに関わる問題でありまして,民法の成年年齢と論理必然的に一致しなければならないものではないと考えております。
 本法律案におきましては,18歳及び19歳の者の改善更生・再犯防止を図るため,先ほど申し上げたとおり,全件家庭裁判所送致という少年法の基本的な枠組みを維持することとしておりまして,法制的な観点から,これらの者を少年法を適用する「少年」とすることが適当であると考えたところでございます。
 今後の審議ということについての御質問でありますが,冒頭申し上げましたとおり,本法律案につきましては,民法の成年年齢引下げと同じ来年,令和4年4月1日に施行する必要があることから,今国会におきまして,充実した御審議を頂いた上で,速やかに可決いただけるよう,丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えております。
 

入管法改正に関する質疑について

【記者】
 入管法などの改正案について,長期収容という課題の解決の見通しも含めて,今回の改正の柱とそれに期待される効果,また様々な議論が予想される今後の国会審議への意気込みを教えてください。

【大臣】
 出入国在留管理行政におきましては,退去強制令書の発付を受けた外国人による送還忌避や,これに伴う収容長期化の問題が生じております。
 本改正は,退去強制手続を時代に即したものに改め,現行法下で生じたこれらの問題を解決しようとするものであります。
改正の柱と期待される効果ということでありますが,まず,改正法案は,様々な方策を組み合わせて,パッケージで問題を解決しようとするものであります。
 代表的なものを申し上げますと,在留特別許可の申請手続の創設や,在留特別許可の判断に際して考慮すべき事情の明示,難民認定手続中の送還停止に関する規定の見直しや,一定の者に対し本邦からの退去を義務付ける命令制度の創設,収容に代わる監理措置の制度の創設等を行うこととしております。
 これらの措置によりまして,在留を認めるべき者が適切・迅速に判別されるとともに,在留が認められない者の迅速な送還と併せて,収容の長期化の解消が図られるものと考えております。
 その結果,在留を認めるべき外国人を社会の構成員として受け入れるとともに,ルールを破って在留が認められない外国人は退去させるということが一層明確となるところでありまして,日本人と外国人が安心して暮らせる共生社会の実現につながっていくものと考えております。
 今後の取扱いということでありますが,改正法案の内容やその必要性につきまして幅広い御理解をいただけるよう,丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。

【記者】
 先ほど御発言もございましたが,入管法改正案について,在留特別許可については,現状,その判断過程や理由が不透明でブラックボックスだという指摘もありますが,今回の見直しで考慮事情が法律にも書き込まれました。詳しい考慮事情というのはこれからということだと思いますが,今後の運用についてお考えをお聞かせください。

【大臣】
 今回の改正法案につきましては,在留特別許可の判断に当たって考慮すべき事情を法律で明示するとともに,在留特別許可の申請手続というものを創設することといたしました。大きな柱の1つということになります。
 これらによりまして,退去強制手続の対象者に対して,当該事情について十分に主張し得る機会を保障するとともに,提出される資料等により,在留を認めるべき者か否かを適切・迅速に判別することができるようになるものと考えております。
 改正法案成立後におきまして,どのように運用していくかということの御質問でございますが,在留特別許可制度によりまして,退去強制事由に該当する者のうち,どのような者を社会に受け入れようとしているのか等について,その申請者が正しく理解し,必要な主張や資料等の提出を行うということが重要であると考えております。
 そのため,在留特別許可の運用がより適切なものとなるように,手続面の見直しとともに,新たなガイドラインの策定・公表につきましても,出入国在留管理庁に対して指示しているところでございます。
 現在,出入国在留管理庁におきまして,現状の在留特別許可の課題等を踏まえた検討作業を更に詳しく行っている状況であります。
 新しいガイドラインに基づいて,また,法改正の内容に基づきまして,在留特別許可の一層適切な運用が可能になるものと考えております。

【記者】
 昨日,野党共同で「難民等保護法案」と「入管法改正案」の2つの議員立法が国会提出されました。
 上川大臣は,今回の入管法改正の以前に,6年前には「難民問題に関する専門部会」を開催し,その報告書も受けていらっしゃいます。送還忌避者の早期送還というお話でしたが,それ以前の問題として,やはり今,国連の恣意的拘禁作業部会からも勧告が出ていますし,他にも自由権規約,人種差別撤廃条約,いろいろなところから日本政府,入管行政に対していろいろな勧告が出ているわけです。その国際人権基準に則した形で入管行政,それから難民行政を実現するという目標は,与野党問わず重要な政策課題だと思うのですが,大臣は昨日の野党の法案の国会提出について,どのように受け止めていらっしゃるのか,法案の概要について,今の段階で御存じなのかどうかということを含めて,お願いいたします。

【大臣】
 昨日,野党の方から御提出されました難民等保護法案等に関しましては,報告を受けております。議員立法として国会に提出された法案について,法務大臣として所感を述べるということは,適当ではないと考えているところでございます。
 本日閣議決定されました入管法改正法案につきまして,国会におきまして十分に御審議いただきたいと思っておりまして,速やかな成立を目指して最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 

難民認定審査に関する質疑について

【記者】
 入管法改正についてお伺いします。送還拒否に対する刑罰を加えられるということですが,それに関して,以前に増して難民認定審査というものが適切に行われることが必要かと思われます。先日,大臣は,濫用と言われている件に関してひとくくりに濫用しているわけではないと,一人ずつ丁寧に審査しているというふうにおっしゃられていました。そこについて,では,なぜ,日本の難民認定審査において,過去1度もトルコ籍クルド人が難民認定されたことはないのか,これはどういうことなのか。他の諸外国などの事例を見ていますと,トルコでクルド人が少数民族として迫害されていることはもう常識的なことであって,かなりの確率で難民認定されている,あるいは補完的保護をされている。そのような中で,日本の難民認定審査を見直す必要があるのではないか。また,先ほどの質問に戻りますが,なぜ過去1度もトルコのクルド人が難民として認められていないのか。そこはちょっとお答えいただければと思います。

【大臣】
 御質問については,難民認定手続の基本でありますが,申請者の方が特定の人種,宗教,国籍等を有していることだけではなく,これらを理由に迫害を受けるおそれがあることにつきまして,申請された方お一人ずつ判断していくという手続でございます。
 したがいまして,申請がなされた場合に,申請者ごとにその申請内容を審査いたしまして,難民条約の定義に基づいて,難民に該当するときには,難民と認定しているところでございます。
 また,難民とは認定できない場合でありましても,申請者ごとに,本国情勢などを踏まえまして,人道上の配慮が必要と認められる場合には,我が国への在留を許可しているという状況でございます。
 個別の審査でございまして,申請者ごとにしっかりと判断していくという姿勢を,これまでもとってまいりました。

【記者】
 先ほどの質問への回答にちょっと私としては納得がいっていなくて,もう少しちゃんと答えていただければと思うのですが。個々の審査をきちんとやっているというふうに重ねておっしゃられていますが,例えば2005年の話なのですが,国連のマンデート難民として認められたクルド人の方がいらっしゃるのですが,在日クルド人だった方で,この人,結局,日本では難民認定されず,それどころか送還されてしまったというようなことがあるわけですね。今回の法案でも送還拒否に対する刑罰とともに,難民申請者の送還を可能とする例外規定を設けるということなのですが,また同じようなことが起きるのではないかと私は心配しているわけです。それで重ねて先ほどの質問となりますが,国連のマンデート難民として認められたような人ですが,クルド人であれば,過去に1度もですよ,日本の難民認定審査が始まって以来,1人も認められていないというのは,これはやはりちょっと不自然ではないのかと,そこをちょっとお伺いしたいです。

【大臣】
 不自然であるかどうかということについては,そのような評価をされているところでありますが,出入国在留管理庁で今,審査を行っている難民の認定につきましては,先ほど来,繰り返し,また過去にも,申し上げてきましたが,申請者ごとに判断しているということであります。申請者ごとにその申請内容を審査した上で,難民条約の定義に基づきまして,難民に該当するときには,難民と認定しているということでございます。そのため,難民認定者につきまして,難民認定の判断の材料の一部であります申請者の民族性ということに特化して判断している状況ではございませんので,総合的に判断をして,難民であるかどうかを個別の申請ごとに行っているということであります。

【記者】
 難民認定審査のことなのですが,UNHCRの難民認定ハンドブックというものがございまして,これは多くの国,多くの先進国で,難民認定審査の基準となっているものです。やはり先ほども申しましたように,送還拒否に対する刑罰だとか,あるいは難民申請中であっても送還する例外規定とか,そういうものを設けるのであれば,やはり2014年の際にも,難民認定審査の改善が専門家の皆さんから提言されたかと思いますが,例えば,このUNHCRの難民認定ハンドブックを新たな入管行政における難民認定審査の基準にするとか,そういうようなことは考えていらっしゃるのかということと,やはり難民審査のブラックボックス的なところがこの間かなり指摘されているかと思いますが,審査において面接で録音だとか録画だとかそういうようなことを,例えば,透明性の確保だとか後に問題になったときの検証のためにそういった録音・録画をしておくとか,そういうことは考えていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】
 今の質問で言及されておられましたが,「収容・送還に関する専門部会」からは,送還停止効の例外の創設等に関しまして,難民該当性に係る認定基準の明確化ということなどにつきましても,実施するようにということで,御提言いただいてきたところであります。
 難民認定の審査に関しましては,諸外国の情勢や制度などに知見を有するUNHCRの御協力を得て,これまでも審査の質の向上に努めてきたところでございます。
 また,現在も,難民認定制度の透明性向上の観点から,現在,我が国及び諸外国でのこれまでの実務上の先例でありますとか,御指摘いただきましたUNHCRの難民認定基準ハンドブック等の諸文書等を参考としつつ,難民該当性に関する指針を作成しているところでございます。
 出入国在留管理庁といたしましては,今後ともUNHCRの協力を得ながら,難民認定手続の透明性や適切性の確保にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

【記者】
 録音・録画については。

【大臣】
 それも透明性・適切性ということで,またいろいろな方法があろうかと思います。いろいろな方法を考えてまいりたいと思います。目的,趣旨としては,明確性・透明性を高めていくための努力ということでありますので,その努力はこれからも重ねてまいりたいと思っております。

東京出入国在留管理局における新型コロナウイルス感染症の感染状況に関する質疑について

【記者】
 先ほど品川の東京入管で被収容者39名の新型コロナウイルス感染症のクラスター感染があったというお話がありました。以前から入管収容施設における医療体制というのは非常にいろいろと問題になっています。今回のクラスター感染を受けて,外部医療機関との関係も含めて,どのような医療体制をとっていらっしゃるのか,今お分かりの範囲で教えていただけないでしょうか。お願いいたします。

【大臣】
 今回の東京出入国在留管理局における新型コロナウイルス感染症の感染状況につきましては,先ほど申し上げましたとおり,この会見の後に,出入国在留管理庁におきまして,詳細に皆さんの御質問に対してお答えさせていただきたいと思いますので,そこでもまたお尋ねいただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の感染が発生し,1年以上経っている状況でありますが,私は,今回法務大臣に就任した直後から,第2波,第3波への対応を含めまして,新型コロナウイルス感染症対策について,本部体制もギアをかなり上げまして,高いレベルで,法務省における感染の予防と,そして感染の拡大防止ということに力を尽くしてまいったところであります。今回2月15日,4日前でありますが,それ以降,感染者が相当出たということでありまして,大変重く受け止めております。
 先ほど申し上げたように,4日間で,看守勤務をしている入国警備官5名と被収容者39名の感染が確認されたということでございまして,その報告を受けまして,直ちに初期対応として,被収容者及び看守職員全員を対象にPCR検査を実施すること,保健所等の指導を受けながら,消毒や感染者とそれ以外の者の区域分け等のゾーニングを徹底していくこと,感染者の症状,状態につきまして,変化していく可能性もありますので,的確に変化を把握し,必要な医療上の対応に万全を期することを指示いたしました。
 感染者の隔離と医療的な対応につきましては,保健所の指導の下でしっかりと行っているところでございます。
 また,これまでの様々な知見に基づいて,感染者全員に対して,1日3回の検温及び血中酸素濃度の測定を行うなど,症状や体調の把握を十分に行っており,今後症状が悪化するような状態が生じた場合におきましては,保健所の指導にも従いまして,速やかに,受診や入院等の必要な対応をとるという方針でおります。
 あらゆるリスクに備えて対応してまいりたいと思いますし,保健所の指導の下で,また,医療提供体制ということの状況もございますので,そうしたものとの関係性も含めて,しっかりと感染者の方々の健康管理,また感染拡大や重症化の防止ということに力を尽くしてまいっているところであります。

 

東日本入国管理センターにおけるハンガーストライキに関する質疑について

【記者】
 先日も質問させていただいたのですが,今東日本入国管理センターでハンストしている方が数名いらっしゃいます。長期収容されている難民申請者ですとか,日本に生活基盤があって仮放免や在留特別許可を求めている非正規滞在の人たちが大半なのですが,いずれも帰国困難な人たちです。これから法改正ということで対応されるのですが,今現実にそういう状況があり,この法改正そのものが,やはり2019年に大村収容所でナイジェリア人の男性がハンストの末,餓死したということがあって,今回の入管法改正につながっていると思います。そういう状況の中で今現在こういうことが進行しているということについて,これはおそらく,先ほどお答えいただいた野党の法案についてもやはり考慮した上でどういうふうに緊急に対応すべきか,いろんな声明とか意見とかいろいろありますが,やはり現在進行形で対応すべき事柄が多々あると思うのですが,それについては,大臣はどのように受け止めていらっしゃるのか。やはり緊急の対応が必要だというふうに考えていらっしゃるのかどうかということについてお伺いします。

【大臣】
 今,御質問いただきました個別のケースについてですが,具体的な個別の事案に関するということで,お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思いますが,食事をとらないということについては,これは速やかに中止しなければいけない,大変健康に関わることでありますので,重要であると思っております。被収容者の方の健康上の問題があることから,これを中止していただくためには,やはり摂食することが大事だということについて,とことん向き合って説得をしたり,また指導させていただくというような形で,こうした対応の継続が極めて重要であると考えております。食べることについては,健康と直接関わることでありますので,そこについては十分に気を配ってまいりたいと考えております。

【記者】
 ただ,摂食しないというのは別に好き好んで食事をしないわけではなく,そうなる原因が入管収容されている絶望にあって,ハンストということに至るわけですから,摂食させる,健康上の問題というだけでは問題解決に至らないと思うのですが,それについては入管の所長ですとか,あるいは佐々木長官などと検討する,こういった深刻な現状がある場合に協議するようなお考えはあるのでしょうか。その原因についてどういうふうに把握しようと今なさっているのかということについてお伺いします。

【大臣】
 収容されている方々の健康管理は,その意味では大変重要な課題であると思っておりますし,これは日常の生活でありますので,その意味でも3食,健康管理には万全を期すということは大変重要なことであります。センター等においての日々の取組につきましても,課題や問題がないかどうかということについて絶えず把握しようと努めているところでありまして,そういう中でしっかり対応できるように,またその対応の仕方,あるいは工夫の在り方等につきましても,十分に検討しながら進めてまいりたいと思っております。重要な課題であるとは認識しております。

 (以上)