2021年2月22日

JISは、鉱工業品、データ、サービスの品質、性能や試験方法などを定めた国家規格であり、社会的環境の変化に対応して、制定・改正しています。また、社会的に関心の高い重要な制定や改正を月に1回紹介しています。

1.今回のJIS規格制定・改正内容

今回は、8件の制定及び57件の改正を行いました(資料1)。中でも、以下のJISの制定は特に重要です。

①建築窓ガラス用フィルムの再帰性日射反射性能の測定方法に関するJIS制定

建築物の窓ガラスに再帰性日射反射※1フィルムを用いることで、夏季の空調消費電力削減に寄与する遮熱性能に加え、街路などの屋外の暑熱環境を緩和することができます。しかしながら、これまでこの製品の性能を客観的に評価する規格がありませんでした。そこで、使用者や購入者が反射性能などにより製品を選択できるようにJISを制定※2しました。

これにより、再帰性日射反射フィルムの客観的な性能評価が可能となるとともに、近年都市化が進む東南アジア地域に本JISを普及させることで、日本だけでなく、東南アジア等の地域においても、新たな市場の創出が期待でき、ひいては温室効果ガス排出量の削減に寄与することが期待されます。

※1 再帰性日射反射とは、入射光を、入射してきた方向の特定の範囲に再び返す反射特性のこと。
※2 新市場創造型標準化制度を活用してJIS制定に至った。
注)既存の業界団体等では対応が出来ない、複数の関係団体に跨がる融合技術や特定企業が保有する先端技術に関する標準化を進めるための制度。一定の要件を満たし、本制度に採択されることで、業界団体等から積極的な協力が得られない場合でも規格制定に挑戦することが可能となる。
  • 再帰性日射反射フィルムの説明画像

②工作機械が消費するエネルギーの測定方法に関するJIS制定

現在、エネルギーを使用する製品について、環境負荷の低減を目的とした環境規制の導入が欧州を中心に進んでいます。これに対応するため、工作機械の環境評価を考慮した設計手法に関する標準化が我が国でも急務となっています。

今般、工作機械が消費するエネルギーの測定方法に関するJISを制定しました。これは日本提案に基づく国際規格をJISとしたものです。
本JISの制定により、工作機械の省エネルギー化設計手法が普及し、これにより工作機械によるエネルギー消費量を削減することが期待されます。

  • 工作機械の図図 代表的な工作機械の例

③定置用フロー電池エネルギー貯蔵システムに関するJIS制定

太陽光発電や風力発電は、発電量が天候に左右される弱点があるため、その普及には、電力が余ったときは蓄電し、不足したときは放電することができる蓄電池技術が不可欠です。その一つである「定置用フロー電池エネルギー貯蔵システム(以下「FBES」という。)は、蓄電システムの大容量化、大出力化に適しており、長寿命、さらには発火の危険が低いという特性を有するため、有望ですが、性能や安全性を適切に評価する手法がありませんでした。

そこで、日本主導により、2020年2月にFBESの性能や安全性を評価するための国際規格が制定されたところですが、今般、同国際規格をJIS化しました。これにより、FBESの性能や安全性に関する客観的評価が可能となり、電力系統の安定化及び再生可能エネルギーの普及が期待されます。

  • 読み上げ文章
出典:住友電気工業株式会社
上図のようにバナジウムなどの金属イオンを電解液タンクに充填しそれらが循環して充放電することから大出力、大容量が可能となる。
図 FBESの原理及び構成

2.JIS(日本産業規格)とは

JIS(Japanese Industrial Standards)は、製品、データ、サービスなどの種類や品質、それらを確認する試験方法又は評価方法や、要求される規格値などを定めており、例えば、生産者、サービスの提供者、使用者・消費者などが安心して品質が良い製品を入手したり、サービスの提供を受けることができるために用いられています。
経済産業省では、技術の進歩や、社会的環境の変化等、必要に応じて、JISを制定・改正しています。

JISについて、詳しくは、下記のサイトを御覧ください。

日本産業標準調査会ホームページ外部リンク
経産省ホームページ(標準化・認証)

新市場創造型標準化制度について、詳しくは、下記のサイトをご覧ください。

新市場創造型標準化制度について

JISの閲覧は、下記のサイトより検索ください。

JIS検索外部リンク

3.過去のニュースリリース

日本産業規格(JIS)制定・改正関連のリリースはこちらを御覧ください。

主要なJISの制定・改正の紹介

4.各規格のお問い合わせ先について

公示された各規格の詳細について、お問い合わせになる場合は、資料1に記載された担当課(1.①②は国際標準課、③は国際電気標準課)に極力メールにてお問い合わせください。その際は、氏名、所属(企業等からの問い合わせの場合)、連絡先を明記していただくようお願いします。

関連資料

担当

  • 本発表資料のお問い合わせ先

    産業技術環境局 基準認証広報室長 齋藤
    担当者:菅、関野、髙野

    電話:03-3501-1511(内線3421~2)
    03-3501-9245(直通)
    03-3501-7851(FAX)

    E-MAIL:MLLWA@meti.go.jpメールリンク

  • 規格のお問い合わせ先

    産業技術環境局 国際標準課長 黒田

    担当者:藤澤、佐野、垂水(資料2)
    藤澤、堀坂、佐竹(資料3)

    電話:03-3501-1511(内線3423~7)
    03-3501-9277(直通)
    03-3501-8625(FAX)

    E-MAIL:s-kijun-ISO@meti.go.jpメールリンク

    産業技術環境局 国際電気標準課長 柳澤
    担当者:佐藤、後藤、宮端(資料4)

    電話:03-3501-1511(内線3428~3429)
    03-3501-9287(直通)
    03-3501-8631(FAX)

    E-MAIL:s-iec@meti.go.jpメールリンク