2021年2月12日(金曜日)
10時51分~11時05分
於:記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

石炭火力発電

Q:よろしくお願いします。2点あります。
1点目です。先日のCOP26の準備会合で、国連のグテーレス事務総長が、石炭火力についてOECD加盟国は2030年までに段階的に廃止するよう求めました。この発言について、どのように受け止めていらっしゃいますか。

A:グテーレス事務総長からCOP26の準備会合において、「石炭は、公正な転換を伴いつつ、OECDの国々では2030年までに段階的に廃止されなければならない」との発言があったことは承知をしております。
エネルギーをめぐる状況は各国で千差万別であり、OECD諸国においても各国が置かれている状況や目標、政策は様々と承知をしているところであります。

資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国において、3E+Sを単一の完璧なエネルギー源がない現状では、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要と考えております。

このため、我が国としては2030年のエネルギーミックス達成に向けて、非効率石炭をフェードアウトすべく、具体的な方策を検討中ということでありまして、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けては、電力部門の脱炭素化は大前提であります。カーボンリサイクルなど、石炭も含めた火力発電の脱炭素化に向けた取組も含めて、あらゆる方策を検討していく方針であります。

エネルギー基本計画の見直し検討に当たっては、世界の潮流を踏まえつつも、地に足のついた具体的な方策を検討していく必要があると思っており、併せて、エネルギーや気候変動に関わる国際会議等においても日本の考え方をしっかりと発信をしてまいりたいと思っております。

福井県知事・美浜町長との面談

Q:2点目。今日の夕方に、福井県知事と関電の社長とのテレビ会議で、その後に美浜町長とのテレビ会議等予定されています。議題について教えてもらえますか。

A:本日の夕方、福井県杉本知事及び美浜町の戸嶋町長と、それぞれオンラインでの面談を行うこととなっております。

杉本知事には、資源エネルギー庁の保坂長官と関西電力の森本社長が現地でお会いをして、核燃料サイクルに関する取組状況等についての御報告を行う予定であります。私もオンラインで参加し、政策的な観点から国の取組に関する私の考えを杉本知事にお伝えをする予定であります。

戸嶋町長からは、昨年に美浜3号機の再稼働に関する御理解をお願いした際に、国への要望をいただいております。これに対する私の考えをお伝えする予定ということであります。

カーボンプライシング

Q:カーボンプライシングの研究会が17日に開催されることが決まって、有識者のメンバーも発表されました。改めて、どのような議論を期待するかというのと、あと今後のスケジュール感なども教えていただけますでしょうか。

A:来週の2月17日、「世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」を開催をいたします。経済産業省としては、「成長に資するカーボンプライシング」に関する検討を本格化をさせます。

研究会には有識者や経済界の方々にも御参加をいただき、結論ありきではなくて、排出量取引制度、国境調整措置やクレジット取引、炭素税等も含めて幅広く御議論をいただく予定であります。

カーボンプライシングと言われるもの、数々ありますけれども、最初から除外をするんではなくて、全て除外をせずに議論していきましょうということであります。

環境省にもオブザーバーとして参加をいただき、連携をしてまいります。

メンバーの10名中の6名が環境省のこういう検討会と重複、向こうにも参加をしているということでありまして、あと、それぞれにオブザーバーとして職員が環境省の側の委員会にも出ていますし、私どものにも出ていただくということですので、連携を取りながらしっかりやってまいりたいと思いますけれども、研究会の具体的な成果やその取扱いについては、まさに研究会の御議論を踏まえて決定をしていくということになろうかと思います。

先端半導体

Q:よろしくお願いします。

先日、台湾のTSMCが研究開発を目的とした子会社を日本に設立して、茨城県つくば市に拠点を新設すると発表しました。そのことについての受け止めをお伺いしたいというのと、あと政府は3次補正予算で先端半導体開発を支える基金を積み増しして、NEDOも事業の公募を行っておりますが、今後、政府としてTSMCとの連携をどのように考えているか伺えますでしょうか。

A:世界最大の半導体製造企業でありますTSMCが日本に研究開発拠点の設置を決定したこと、歓迎をしたいと思っております。これによって我が国が強みを有する材料、そして装置メーカーとの連携等が促進され、国内半導体産業の活性化につながることを期待をしているところであります。

経済産業省では、NEDOに先端的な半導体の製造技術開発を支援する基金を設置をし、本年2月5日にプロジェクトの公募を既に開始をしているところであります。

こうした研究開発事業も活用し、デジタル社会を支える先端半導体を国内で製造できる技術の確保を目指してまいりたいと思っております。

政府が大きな目標として掲げているデジタル化であるとか、またグリーン化の中でのAIの活用、またデジタルの活用という点でも、非常に先端的な半導体というものは重要になってまいります。私どもも、しっかりとこういった産業を支えるという中で、もう一回、半導体のサプライチェーンというものをしっかり作っていく必要があるという中で、政府としての政策を組んでいるところであります。

福島第一原発

Q:東京電力福島第一原発の廃炉に関して伺います。原子力学会が去年、3から40年での廃炉は難しいですとか、土地の再利用には100年かかるという指摘をしています。今のスケジュールで廃炉を終えられるかどうかという点も含めて、政府としての受け止めをお願いします。

A:今御指摘のとおり、昨年7月に日本原子力学会が公表した報告書において、福島第一原発の廃炉について、建屋の解体の開始時期や廃炉終了時の状態を組み合わせた4つのシナリオを御提案いただいたと承知をしております。政府の中長期ロードマップでは、2041年から2051年までに廃止措置完了を目指して、福島第一原発の廃炉を安全かつ着実に進めていくこととしているところであります。

この目標に基づいて、一部に遅れはあるものの、全体としては廃炉は着実に進捗しているという認識であります。

例えば、3号機の使用済燃料の取り出しについては、90%以上の取り出しが既に完了をしており、今年3月までに作業が完了予定であります。
また、燃料デブリの取り出しについても、これは大変難しい作業となりますけれども、英国において使用するロボットアームの開発が進んでいるところであります。
新型コロナウイルスの感染拡大により開発作業に影響は出ているものの、この英国での開発作業ですね。廃炉全体のスケジュールに影響はしないものと承知をしているところであります。
福島第一原発の廃炉は今後も予測も難しく、世界に前例のない困難な取組でありますが、引き続き2041年から2051年までの廃止措置完了を目指して、国が前面に立って安全かつ着実に進めてまいりたいということであります。

東京五輪・パラリンピック

Q:東京五輪についてお伺いします。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森会長が昨日、辞意を表明されました。ジェンダーに関する御自身の発言をきっかけとした会長の辞任と、あと元JFA会長の川淵三郎さんが後任に就く見通しとなっていますが、そのことに対する大臣の受け止めを伺えますでしょうか。

A:報道では承知しておりますけれども、まだ辞任も、後任というものも、全然我々には知らされていないのが現実だと思いますし、今日の午後の理事懇談会があるということは聞いておりますけれども、それ以降のことは私は存じ上げておりません。
東京オリンピック・パラリンピックが国内外の多くの方の協力・理解を得て進めていくべきものであるという認識であり、それには変わりはなくて、政府一丸となって準備に、経済産業省としてもしっかり協力してまいりたいと思っております。スムーズにできるような組織体制が組まれることが望ましいということだと思います。

半導体

Q:半導体不足についてお伺いします。半導体不足の調達難を受けて、アメリカがサプライチェーンの包括的な見直しを指示する大統領令に近く署名する方針を示しました。サキ報道官は、各国とも話し合いながら対応策をまとめる考えを示しましたが、日本としてどのように対応されていくか。

A:自動車産業の半導体不足というのが、まず最初に顕著に出てきたという中で、デジタル化を進めていく中で全体としての半導体の需要というのは非常に多くなっているというのが背景にあります。そういったことも含めて、またサプライチェーン、安全保障的な、きちっと非常時にもそういう半導体がサプライチェーンによって自国に供給できるように、また価値観を同じくするような国々にしっかり供給できるようにという形でアメリカは考えているのであると思っておりますけれども、私どもも、国内の製造メーカー、自動車産業を始めとする製造メーカーの状況も確認をしておりますし、そういったものが今どういった状況で製造に影響があるかということも把握をしておりますけれども、しっかりと必要な分だけ半導体を得られるようなサプライチェーンというのは我が国もしっかりと考えていかなければならないと思っております。そういった面ではアメリカと情報を共有する部分もあると思いますし、連携をする部分もあるのではないかと思っております。

新型コロナワクチン

Q:ワクチンの絡みでお伺いしたいと思います。先日、田村厚労大臣が新型コロナワクチンについて、診療所など小規模な会場での接種を拡充する方針を明らかにされました。経産省が所管されているワクチン保管、ドライアイスや冷凍庫の確保について、こういった方針の変更によって必要な台数の確保、対応とか、何か対応の変更があるのでしたら伺えますでしょうか。

A:これは政府全体で連携をしながら情報を共有して、全てのロジの工程の中で対応していこうということで、今やり取りをしているということですけれども、まず、ワクチンを低温で保管するための冷凍庫については、政府として国内メーカーであるEBAC・PHC・日本フリーザー・カノウ冷機の4社より、合計1万台を調達する契約を締結済みであります。ワクチンの接種は、医療従事者の先行接種から開始される予定ですが、その際必要となる冷凍庫は既に先行接種が行われる100か所の病院への設置が完了しているという状況であります。

今お話ありましたように、その後の接種の在り方、集団接種をするのか、また個別のという話もありましたけれども、そういった状況は政府内で統一した見解の下に、また冷凍庫であるとか、輸送、搬送用に使うドライアイスであるとか、また冷凍庫の代わりにも場合によっては使うドライアイスであるとかということで、しっかりと対応してまいりたいと思っておりますけれども、2月4日から全国への接種会場への配送を順次今進めて、冷凍庫に関しては進めているところでありますが、本年6月末までにどのような方法にせよ、完了する予定ということでありまして、接種体制の早期構築に向けてスケジュールの前倒しも行いつつ、接種体制の早期構築を図ってまいりたいと思っております。

以上

最終更新日:2021年2月17日