令和3年2月15日

 2月12日(現地時間同日)、世界保健機関(WHO)本部のあるスイス連邦のジュネーブにおいて、我が方、山崎和之在ジュネーブ国際機関日本政府代表部特命全権大使と先方テドロス・アダノム・ゲブレイェソスWHO事務局長(Dr. Tedros Adhanom Ghebreyesus, Director-General, WHO)との間で、6億3,400万円を供与額とする無償資金協力「北東部における保健医療サービス強化計画」に関する交換公文の署名が行われました。

  1. 2011年3月のシリア危機発生から10年目に入り、同国では、国内避難民620万人を含む1,170万人が何らかの支援を必要としているといわれており、人道上の危機的状態が続いています。戦闘は多くの地域で減少しているものの、危機が長年に亘って継続した結果、経済活動は低迷し、保健、教育、給水、衛生等、多くの基本的な社会サービスが欠如しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響が脆弱な医療体制に一層の負荷となり、多くの人々が極めて厳しい医療環境に直面しています。特に、北東部地域においては、引き続き情勢が見通せない中、50万人以上の国内避難民を含む194万人が人道支援を必要としている状況です。
  2. ハサケ県は、シリア北東部における保健分野の人道支援活動の拠点となっていますが、十分に機能している病院は全体のごく一部にとどまります。この協力は、二次医療サービスを提供する地域の中核病院であるカミシリ国立病院の修復を行い、救急救命医療サービスや人工透析サービス等の専門的医療サービスの提供に必要な医療資機材を供与するものです。この協力により、シリア国内避難民を含む市民への安定的な保健医療サービス供給を図り、もって同国内での人道的危機状況の改善に寄与することが期待されます。

 シリア・アラブ共和国の面積は約18.5万平方キロメートル、人口は約1,690万人(2019年、世界銀行)。