(令和3年2月12日(金曜日)10時18分 於:本省会見室)

米中首脳電話会談

【NHK 山本記者】日本時間の昨日ですけれども、米中の首脳会談が行われました。 バイデン大統領ですけれども、中国は台湾などに対して、独断的な行為を強めていると懸念を表明したなどとされていますけれども、会談に関する日本政府の評価をお願いいたします。

【茂木外務大臣】バイデン大統領と習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の電話会談でありますが、大きく4点ぐらい、バイデン大統領の方からお話をされたのではないかなと思っておりまして、一つは「自由で開かれたインド太平洋」を守ることが米国の優先事項であること、そしてまた、中国による強圧的な不公正な経済慣行の問題、更に人権侵害や地域でのますます強圧的な行動に対する根本的な懸念を伝達した、これらの懸念については、我が国も共有をしているところであります。
 また、米中首脳は、新型コロナ対応であったり、気候変動問題を含む地域・国際社会の課題についても意見交換をしたと承知をいたしております。今、新型コロナの世界的拡大により、国際協調の重要性は高まっているわけでありまして、米中両国の関係の安定、これは国際社会にとっても極めて重要であります。その観点から、今回の電話会談も含めて、米中関係のこれからの推移というものを注視していきたいと思っております。

日・UAEによる火星探査機打上げ

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
数日前、UAEは火星探査機「HOPE」を火星軌道に到達させることに成功しました。これは日・UAE協力の非常に良い例であったと考えます。この成功についての日本政府の見解をお聞かせください。また、今後の二国間協力に関する大臣の見解についてもお聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
UAEの火星探査機「HOPE」が、火星軌道に無事到達したことを心からお祝い申し上げたいと思いますし、中東アラブ諸国の探索機によります初の火星到達でありまして、その偉業を賞賛したいと思っております。
 この「HOPE」は、日本のH2-Aロケットによって、種子島の宇宙センターから打ち上げられたものでありまして、日本としても、この偉業に貢献できたことを大変うれしく思っております。
 日本とUAEの間では、「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ」に基づいて、宇宙分野を含めて、幅広い協力を進めているところでありまして、今回の成功というのはその象徴例だと思っておりますが、今後も様々な分野で協力を推進していきたいと、こんなふうに思っています。

ミャンマー情勢(米国によるミャンマー制裁)

【朝日新聞 安倍記者】ミャンマー情勢についてお伺いします。大臣、先日のブリンケン国務長官との電話会談では、ミャンマー情勢について緊密に連携することを確認したということでした。米国はミャンマー軍の幹部らに制裁を課すことを発表していますけれども、こうした制裁に対する日本の立場について、改めてお伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】一昨日の深夜、米国時間では前の日の早朝ということになるかと思うんですけれども、ブリンケン国務長官と約40分間、電話会談を行いました。その中で、大半の部分は、ミャンマー情勢について話をさせていただいたというところでありまして、日本、そしてまた米国と、現在のミャンマーの情勢について、強い懸念、これを共有をしており、民間人に対する暴力的な対応、これを直ちに停止をすること、更にはアウン・サン・スー・チー最高顧問を含む拘束された関係者を解放すること、更には民主的な政治体制の早期回復が必要なこと、これらの点について、ブリンケン国務長官との間で一致を見たところでありまして、更に日米間で連携を深めていきたいと思っております。
 このように、日米両国、ミャンマーにおける民主的な政治体制の早期回復、こういった目標を共有しておりまして、日本として、今回の米国の決定、これはある意味、非常に限定的な形でミャンマーに働きかけを行うものであると、そのような観点から理解をしております。
 日本としても、ミャンマー国軍への働きかけを含め、日本独自の役割を果たしつつ、米国をはじめとする同志国と緊密に連携をしていきたいと思っております。

中国海警法

【日本経済新聞 加藤記者】中国の海警法についてお伺いします。先日、大臣、記者会見で、「尖閣諸島周辺の我が国領域内で独自の主張をするといった、海警船舶の活動は、国際法違反」というふうにご指摘されました。これは海警の活動自体への指摘だと思うんですけども、中国海警法自体に国際法上の疑義があるんじゃないかという指摘もありますけれども、海警法自体への国際法上の問題点というのをお伺いできればと思います。

【茂木外務大臣】中国海警法については、先日申し上げたように、曖昧な適用海域であったりとか、武器使用権限等、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれていると考えておりまして、今後、国際法に則った運用がなされなければならない、このように考えております。

東京オリンピック・パラリンピック(森会長発言)

【朝日新聞 安倍記者】東京五輪に関してお伺いしたいんですけども、森会長の女性蔑視発言が国際的にも高い関心を集めました。海外からも、日本は男女平等に後ろ向きだとの指摘が相次ぐ事態となりましたけれども、今回のこうした騒動、大臣、どのようにご覧なっているんでしょうか。

【茂木外務大臣】オリンピックの精神、あらゆる差別に反対する、こういう精神の下にオリンピックが開催されるべきだと思っております。安心・安全な大会にしていかなければならない、人類がウイルスに打ち勝った証としての大会、更には、ちょうど福島の復興から10年が経つわけでありまして、そういった各国からの支援もあり、福島、そして東北地方が、東日本大震災から見事に復興することができたと、こういったことについても世界に訴えかける、そういう機会にしていきたいと、こんなふうに思っています。