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令和3年2月9日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

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スーパーコンピュータ「富岳」の共用開始、私立大学附属病院のトリアージスペース整備支援、森東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の発言等について、新型コロナウイルス感染症下における看護系大学の臨地実習の在り方に関する有識者会議、文部科学省における女性の幹部登用、日本若者協議会による学校内民主主義に関する提言

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年2月9日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年2月9日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年2月9日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から2件です。この度、スーパーコンピュータ「富岳」を3月9日から本格稼働することに決定いたしましたのでお知らせをいたします。当初の予定では、「富岳」は、来年度中の共用開始を目指して整備を進めてきました。一方、未完成の状況においても、新型コロナウイルス感染症への対策に貢献する研究課題を緊急的に実施するよう私から指示をし、令和2年4月より、治療薬候補の探索や、飛沫・換気のシミュレーションなどに活用してまいりました。引き続き、国民の皆さんから、「富岳」の世界一の性能を用いて、我が国が直面する幅広い課題に対応していくことが期待されており、先に成立した補正予算により「富岳」の整備を加速して完了させ、年度内に共用開始を前倒しをすることにいたします。「富岳」は昨年5月13日に理化学研究所へ搬入が完了し、システムの調整や利用環境の構築に取り組んでまいりました。前回のですね、スーパーコンピュータ「京」は、搬入から400日かかったそうなのですけど、今回はちょうど300日で稼働開始ということでございまして、現場の皆さんのご苦労に敬意を表したいと思います。新型コロナウイルス感染症拡大の中、昼夜を問わず対応に当たった現場の研究者・技術者の方々、これまでのご尽力に改めて敬意を表したいと思います。今回の本格稼働により、「富岳」は、言わば一足早い”山開き”を迎えます。ポストコロナの時代を切り拓くため、フルスペックの「富岳」を国民共有の財産として、健康医療、防災・減災、エネルギー、ものづくりなど様々な分野で利用され、世界を先導する成果を創出できるように取り組んでまいりたいと思います。
 2件目です。高度な医療を提供することができる大学病院は、重症患者をはじめとする新型コロナウイルス感染症患者の治療などにおいて重要な役割を果たしております。このことから、国立大学附属病院においてフレキシブルに活用できるスペースを確保するための事業を実施することは、これまでの会見でも申し上げたところでございますが、昨日、35大学に対して交付決定を行いました。また、私立大学の附属病院においても、多数の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れながら、教育・研究機能を果たしており、その役割は国立大学附属病院と同様に重要と認識しています。このことを踏まえ、今回、文部科学省としても、私立大学附属病院に対して、トリアージスペースを確保するための整備を支援することとしました。なお、事前の意向調査では、16大学21病院において整備を検討する旨の回答がございました。文部科学省としては、早急に手続きを進め、トリアージスペース確保に対して支援をしてまいりたいと思います。詳細については担当課にご確認ください。私からは以上です。

記者)
 オリンピック組織委員会の森会長の進退問題についてお伺いします。発言の後、ボランティアの方が400人近くお辞めになったりとか、様々な、スポーツ界、野党を含め、識者の方も含めて辞任を求める声が上がっています。一方で、政府、与党や組織委員会内部、また、その実行する、オリンピックを運営する側の方々からは慰留を求めたりとか、続投を求める声が出ています。この現象について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 現象について。別に与党・野党で分かれて意見を言っているわけでもないし、与党の皆さんも、別に、全面的な擁護をしているわけじゃなくて、発言そのものはですね、私は不適切な発言だったと思います。ただあの、先般の会見でも申し上げた通り、ご本人も謝罪をし、撤回をしてですね、そして反省をしているということでございます。記者会見の後半の態度を見て反省していないんじゃないかという識者の意見もあるのですけれど、まあ、森さんのご性格といいますかね、今までの振舞いで、最も反省しているときに逆にああいう態度を取るんじゃないかなっていう思いも私はございます。あの、お電話、週末にいただいて、本当に迷惑をかけて申し訳ないということをおっしゃっていまして。私自身は、傍らで理事も経験しましたので、本当にほとんど報酬なくですね、本当に週3回の透析を重ねながら、組織委員会、ご専任の組織を引っ張ってきたが故にですね、組織委員会の皆さんが、留まって先頭で頑張ってくれという声が出たのはそういうことなのだろうと思います。従って、私自身はですね、残り半年になった東京大会の成功に向け頑張ってもらいたいと思いますが、いずれにしましても、菅総理も答弁されていますように、組織委員会のことについては政府から独立した法人でありますので、自ら判断すべきものと考えております。おっしゃるようにですね、現象ということで、何か与野党の政局的な話ではなくて、ここは、まずかったことはまずかった、大いに反省をしながらですね、残り半年のオリンピックをどうやったら成功に導くことができるのか、皆で知恵を出すべきじゃないかなとそう思っています。

記者)
 もう1点だけ、やはり余人をもって代えがたいとおっしゃる方もいらっしゃいましたが、森さんでなければならない理由という面で、なかなか説明不足だなと私は感じているんですが、大臣も近くで、局の大先輩でもありますし、近くでずっと見てらっしゃって、なぜ森さんでなければならないのか。この、タイミングもあると思うのですが、人柄も含めてちょっとご説明いただけますでしょうか。

大臣)
 まず、この間の国際社会とのですね、様々なやり取りは、やはり、ああいったキャリアがあった人でなかったらなかなか難しかったと思います。私は、IOCのオリンピックに対する姿勢そのもの全てに賛同しているわけじゃなくてですね、やっぱりあの、少し経済に思考をシフトしたオリンピックの在り方っていうのは、見直す良い機会じゃなかったかなと思っています。そういう意味では、色んな意味で抗いながらもですね、日本としての、東京としての在り方というものを発信をし続けることができたっていうのは、森組織委員長が先頭にいたからじゃないかというふうに思います。またあの、1年延長になってですね、厳しい経済情勢の中でも多くのスポンサー企業の皆さんが、足並みを乱れずですね、お付き合いいただいたっていうのも、これは、やっぱり経済界の皆さんがご信頼をいただいていた大きな証じゃないかなと思っていまして、そういう功績もあるんじゃないかと思います。他方、ああいった発言についてはですね、大きく組織を傷付けるものでありますので、そこは大いに反省してもらって、残り半年ですから、本来の業務で先頭で頑張っていただきたいなと、只々そういう思いですね。例えばですね、その人心一新したら、組織が活性化して加速するのかっていうと、私、そこはちょっと分からないです。多分、一緒に責任を取って辞めるっていう方も出てくる可能性も否定できませんし、あの、そういう意味では、皆さんでしっかり、失敗は失敗として足下見ながらですね、力を合わせて頑張ってほしいなと思います。

記者)
 今週12日(金曜日)に、新型コロナウイルス感染症下における看護系大学の臨地実習の在り方有識者会議の第1回が始まります。コロナ禍ということで、この有識者会議にですね、大臣としてどのような議論、どんな議論を期待なさるのか、メッセージをいただければと思います。

大臣)
 看護系大学における臨地実習については、昨年2月及び6月に、実習施設の確保や代替が困難である場合には、学内実習を実施することにより、必要な知識及び技能を習得することとして差し支えない旨の通知をしており、各大学においては、同通知を踏まえて臨地又は学内での実習が行われているものと承知をしております。一方で、昨年11月には、日本看護系大学協議会からウィズコロナ時代の看護学教育について検討する場を設けてほしいとの要望があったところ、通知の発出から1年を経たこの段階で、各大学において蓄積された創意工夫を聴取し、学士課程の臨地実習の教育の質の維持及び効果的な方向において意見を取りまとめることを目的とした有識者会議を設置することといたしました。ぜひ、この会議の中でですね、今年はコロナでやっぱり特別な1年だったと思うんです。本来は、直接患者さんに接したりすることで身に付ける技術というものをシミュレータで代替したりしたわけですけれど、知識や一定の能力っていうのはきちんとクリアしていると思うのですけれども、実体験という面では時間数が足りなかった部分があって、私は、今年卒業される皆さんについては、多少の不安もあることは事実だと思います。従って、厚労省の方で、新人の皆さんへの研修費などを積んでいただいておりますので、こういう状況の中で医療人材をですね、滞りなく社会へ輩出をしていくっていう役割は、政府としても、また、大学としてもあると思うので、そこは、十分クリアできるだけの能力を持っているという判断をしますけれども、他方、もっと練習した方が良かったね、できたよねっていうことについては、現場に出ながらしっかりフォローできるような体制を、今年は作っていくことができればありがたいなと思っています。ぜひ、識者の皆さんから、そういうアイディア、色んなものを出してもらいながらですね、今年頑張って卒業していただける皆さんが即戦力としてこの日本の医療界で活躍できるような様々な環境をですね、ご提言いただけたらありがたいなとそう思っています。

記者)
 森会長の発言に関連して質問なんですけれども、ガバナンスコードとしてですね、理事4割以上というのを、文部科学省、スポーツ庁として求めているわけですが、これ、まず隗より始めよと言いますか、文部科学省においてそれを求める以上、4割以上女性を登用するという考え方が必要なんじゃないかと思うんですけれども。それで、かつて、職員採用、男性に偏っていたと、色々問題はあるかと思うんですが、ただ、それを求めている以上ですね、文部科学省も取り組んでいなきゃいけないと思うんですけれど、この辺り、大臣、どうお考えになりますでしょうか。

大臣)
 そう思います。ただ、結局、あの、例えば今の理事に置き換えるとすれば、うちで言えば、幹部・管理職ということになると思うのんですけれども、過去にはやっぱりですね、男性の採用比重が高かったために、結局、その年代の女性の皆さんが少ないっていうこともあるんだと思います。まさに、時代の変化とともにこういうきちんとした価値観が見出されてきたのだと思うので。これからだと思いますから、ぜひ積極的に女性幹部の登用を図っていきたいなと思っています。今うちは何パーセント。

事務方)
 4割目指して、4割達成。新採は4割。

大臣)
 違う違う、幹部。

事務方)
 幹部は、そこまで全然いっていないですね。

大臣)
 新規は女子多いんですね。文科省は、ここ数年すごく多くて4割の皆さんが入省していただいているので、こういう人たちが育っていけば、必ずそういう時代はくるのですけれど、じゃあ、今の適齢期、幹部適齢期の年代でどうかというと、採用人数がやっぱり少なかったので。そういう意味では、かなり苦労もありますけれど、積極的に正しく評価して登用していきたいと思っています。

記者)
 先ほど「富岳」の話ありましたが、共用開始前倒しができた秘訣。それと今後、様々なものに活用したいというお話でしたが、特にまず始めたいもの教えてください。

大臣)
 秘訣っていうものはないのですけれども、本当に、このコロナが起きてしまったので、私も十分な知識なかったのですけれど、フルスペックじゃなくてもできる計算があるだろうということで、とにかく使おうということで始めました。そうしましたら、非常にいい成果をですね、次々発揮できたので、これはもう残りの約3割の整備も急いでですね、1日も早く共用開始しようということは、我々も、また理研もですね、また現場の皆さんも同じ思いで頑張っていただいて、その結果が、さっき申し上げたように、前回は400日で本格稼働したものが100日圧縮することができたのだと思うので、現場の技術者の皆さん、研究者の皆さんの努力の賜物だと思います。で、今後ですね、さっき申し上げたように、これらはもちろん、医療の分野ももちろんですけれども、減災・防災ですとか、あるいはそのイノベーションにつながる様々な製品開発の技術など、色んなことに使ってもらいたいと、私、思っています。併せて、国民共有のスーパーコンピュータだってことを大きく申し上げていますので、高校生、もっと言えば中学生や小学生でも、「富岳」を使うことで相応しい研究があるんだとすれば、大いに開放していきたいなとそう思っております。

記者)
 先日、若者協議会が、文部科学省に学校内民主主義に関する提言を出して、児童生徒にとって身近なコミュニティである学校の場が子供たち自身の意見を尊重する場になっていないことが若者の政治離れが解消されていない要因と指摘しています。実際、我々の取材の中でも、生徒たちが意見を言っても、高校生らしさとかそういう抽象的かつ納得できないワードで学校側が生徒の意見を突っぱねたりという話も聞きます。平成6年の文科省の通知では、校則は学校の責任と判断で決定されるべき、児童の権利に関する条約の意見表明権は必ずしも意見の反映まで求めているものではないとしていますが、現在も同じ見解でしょうか。今年ですとか昨年、各地で弁護士会から、人権侵害に当たる校則の事例などの指摘が相次いでいますが、文科省として、校則に生徒の意見などをどの程度反映していくべきだと考えてらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 同協議会の提言については承知をしております。若者の政治離れの大きな要因の1つに、児童生徒等にとっての身近なコミュニティである学校の場が、自身の意見を尊重する民主主義の実践の場になっておらず、社会参画に対する有効性感覚を培えていないということを挙げ、文科省宛てに、ご指摘の校則の改正プロセス明文化を求める通知の発出をはじめ、9点にわたる要望をまとめていると承知しています。文科省としては、児童生徒に社会参画の意識を涵養するためには、児童生徒にとっても最も身近な社会である学校生活の充実と向上に、教育課程内外を通じ、主体的に関わっていくことは重要と考えており、頂いた提言も参考としつつ、文科省としてどんなことができるか検討してみたいと思っています。他方、学校は、設置者の方に、言うならば色んな運営の責任があるわけで、外から見るとですね、それ何なんだろうなと思うような校則がいまだに明文化されている学校とかあるのは私も個人的には違和感を感じますけれど、何か聞いてみると、開校時の歴史的な経緯の中で、こうやってこうやって、例えば誰も被らない帽子を制服に位置付けて、みんな校門の前だけ被って、あとは鞄の中にしまっておくんだったら要らないんじゃないかと思うのだけれども、しかし、帽子の帽章を作るときに、この学校の建学の精神があったみたいなことがあるとね、それは、学校ごとの価値観というのがあるんだろうなというふうに思っていまして。そこに、やっぱり文科省が口を挟むという性格・建付けになっていないことはご理解いただきたいと思うんです。他方、ぜひ学生の皆さんにはですね、きっと学生から見たら理不尽なことってたくさんあると思うんです。それが社会から見ると、いやそれは高校生なのだから我慢するべきだとか、中学生なのだからやむを得ないという判断もあるんだと思うんです。そういうことを超えて、みんな大人になっていくんだと思うんですよね。大体、学生時代っていうのは窮屈なわけで、だから大人になろうと思うわけでありますから、私は、一概に校則がいいとか悪いとかってことを言う立場にないんですけれど、声を出してですね、行動を起こしてみるっていうことは学生の皆さんにとっても貴重な経験だと思うので、それを論理的にですね、もし変えていくんだとすれば、先生方や父兄や学生の皆さんもなるほどと、その通りだという共鳴をされるような、そういう活動をする中で、例えば校則を変えていくことは民主的にあってもいいんじゃないかと思うんですけど。これはあの、公立と私立とまたちょっと違いますから、それぞれ色んな思いがあるんだと思います。そのことで政治離れにつながるんだという言い訳にするのは、私はちょっと残念だなと思いますので、ぜひそういうことを乗り越えて、政治に参加をしていただける若い人たちが出てくることを期待したいなと思います。

(了)

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