令和3年2月4日

2月3日、第12回日中高級事務レベル海洋協議がオンラインにて開催されたところ、概要は以下のとおりです。

  1. 同協議には、日本側から、外務省のほか、国家安全保障局、水産庁、資源エネルギー庁、海上保安庁、環境省及び防衛省が、また、中国側から、外交部のほか、中央外事工作委員会弁公室、国防部、自然資源部、生態環境部、交通運輸部、農業農村部、国家能源局、中国海警局等が参加しました。
  2. 双方は、1月20日に行われた団長間協議に続き、全体会議のほか、(1)海上法執行及び海上安全、(2)海上防衛、(3)海洋経済の3つのワーキンググループに分かれて会議を行い、東シナ海等に関する様々な問題について意見交換を行い、海洋分野における協力の在り方や懸念について議論しました。
  3. 我が方から、日本漁船への接近を含む個別の事象にも言及しつつ、尖閣諸島周辺海域等の東シナ海を始めとする海洋・安全保障分野の課題にかかる我が国の立場、懸念を改めて申し入れ、中国側の行動を強く求めました。また、海警法等について、国際法と整合的に運用されるよう求め、我が国の強い懸念を伝えました。
  4. 我が方から、日本海の大和堆周辺水域における違法操業について、中国側の対応を改めて強く要請するとともに、意思疎通を強化していくことを確認しました。
  5. 双方は、東シナ海資源開発に関する「2008年合意」について、同合意の実施に向けて引き続き意思疎通を続けていくことを確認しました。
  6. 中国側から、東電福島第一原発の処理水について関心が示され、我が方から透明性をもって現状を説明するとともに、今後も意思疎通していくことを確認しました。
  7. 双方は、東シナ海を「平和・協力・友好」の海とするとの目標を実現していく観点からも、海洋分野における具体的な協力・交流を推進していくことで一致しました。
    (1)双方は、「日中防衛当局間における海空連絡メカニズム」の「日中防衛当局間のホットライン」について早期開設に向けた調整が着実に進展していることを改めて歓迎し、その実現に向け、双方が調整を更に加速させていくことで一致しました。双方は、ハイレベルの相互訪問など、防衛当局間における意思疎通を継続していくことで一致しました。
    (2)双方は、2019年2月に発効した日中海上捜索・救助(SAR)協定を踏まえた海上捜索救助協力強化に関する情報交換等を行い、海上保安庁と中国海上捜索救助センターは、引き続き、地方窓口間の通信訓練等の共同演習の実施を含む円滑・効率的な海上捜索救助に協力して取り組むことで一致しました。また、双方は、海上犯罪取締りに関する連携強化についての意思疎通を推進していくことで一致しました。
    (3)双方は、日中海洋ごみ協力専門家対話プラットフォーム第2回会合及び第2回日中海洋ごみワークショップでの合意事項について同意し、モニタリングデータの共有や、G20・国連環境総会等の枠組を活用して国際枠組に基づく行動の促進に協力していくことで一致しました。
    (4)双方は、日中海洋事務従事者交流の枠組み等を活用し、両国の海洋分野における担当若手職員間の相互理解を引き続き増進していくことで一致しました。
  8. 双方は、第13回日中高級事務レベル海洋協議を本年後半に開催することで一致しました。

[参考1]日本側団長:船越健裕(ふなこし・たけひろ)外務省アジア大洋州局長
中国側団長:洪亮(こう・りょう)外交部辺境海洋事務司長
日中高級事務レベル海洋協議はこれまで局次長級で実施されていたが、今回から局長級にて実施。

[参考2]日中高級事務レベル海洋協議(開催実績)
第1回 2012年 5月15日~17日、於:中国(浙江省杭州市)
第2回 2014年 9月23日~24日、於:中国(山東省青島市)
第3回 2015年 1月21日~23日、於:日本(横浜市)
第4回 2015年12月 7日~ 9日、於:中国(福建省アモイ市)
第5回 2016年 9月14日~15日、於:日本(広島市)
第6回 2016年12月 7日~ 9日、於:中国(海南省海口市)
第7回 2017年 6月29日~30日、於:日本(福岡市)
第8回 2017年12月 5日~ 6日、於:中国(上海市)
第9回 2018年 4月19日~20日、於:日本(仙台市)
第10回 2018年12月17日~18日、於:中国(浙江省烏鎮)
第11回 2019年 5月10日~11日、於:日本(北海道小樽市)