(令和3年1月29日(金)11:06~11:25 於)復興庁621会議室)

1.発言要旨

  それでは最初、私のほうからお話をさせていただきます。

  まだ、世界では日本からの食品輸入規制、特に東北の食品の輸入規制をしているところが存在しますけれども、1月25日付でイスラエル政府が、日本からの全ての輸入規制を撤廃したということが農林水産大臣から発表されております。このたびのイスラエル政府の決定を歓迎したいと思いますので、内容の詳しいことは農水省にお問い合わせいただきたいと思います。

  これによりまして、東日本大震災後に導入された中東・アフリカ地域での輸入規制は全て撤廃されることになります。残っているのが、あと15の国と地域ということになりますけれども、いずれの国・地域に対しましても、科学的根拠に基づき、規制を撤廃するよう関係省庁と連携しつつ、粘り強く働きかけをしていきたいということで考えております。

  冒頭、私からは以上です。御質問があればどうぞ。

 

2.質疑応答

(問)復興10年を迎え、そもそもみたいな話になってしまって恐縮なんですけれども、2011年度から2019年度までの復興予算を復興庁で発表していると思うんですけれども、37兆円ぐらい執行済みということで、最近のマクロのストックの合計なんかを見ると、東日本大震災の被害額というのは10兆円ぐらいという数字もあるんですが、この予算規模自体が被害に対してかなり大きかったんじゃないかというような指摘をする経済学者なんかもいるんですけれども、この10年間の予算の規模についてはどういうふうに検証というか、総括されたんでしょうか。

(答)東日本大震災の被害額につきましては、これは内閣府の防災白書によりますと、約16兆9,000億という推計値が公表されているわけですけれども、こうした数字から見ますと、今言われた37兆という額はどうなのかということだろうと思いますけれども、この16兆9,000億というのは、あくまでも建築物等のストックの被害額でございまして、御案内のとおり東日本大震災、震災の規模とか震災自体のいろんな特殊性とか、そういったことがありまして、ストックの復旧に留まらず、被災者支援とか産業とか、生業(なりわい)の再生、それから原子力災害からの復興・再生等にも取り組んでいるわけでございまして、そういったトータルのいろんな費用を入れますと37兆という数字になってきたということでございます。私としては、妥当だと思っています。

(問)その関連で、もう一度だけ。地元では、例えば造成した土地が一部空き地があったりとか、道路とかも復興期が終わったときに整備とか、修繕の費用とか、これは地元だけじゃちょっと厳しいなというようなことなんだろうというような声も。結構きちんとした復興インフラというのが整備されたと思うんですけれども、その辺がちょっと過剰だったんじゃないかというような意見等もあるんですけれども、予算というよりインフラ、東日本のインフラが過剰だったんじゃないかという指摘については、どういうふうに考えられますか。

(答)関係者の皆さん、もちろん地域の皆さんの御意見を伺いながら、一生懸命取り組んでこられたわけですけれども、結果として今御指摘のように、例えば、土地区画整理事業などで造成した宅地などが結果的にはまだ全然使われていないというようなところがあることも事実でございまして、これからもこうしたことに、土地などを造成したけれども、使われていないと、あるいは建てたけれども、まだ全然入る人がいないという住居とか、そういったあれがあるようですので、そういったところにつきましては、自治体とも緊密に連携をとりながら、きめ細かく対応していきたいと考えております。

(問)よろしくお願いします。処理水の処分に伴う風評被害について伺います。

  大臣、かねてから、どのような処分方針を決めるにしても風評被害は避けて通れないというような説明を繰り返し御発言されてきましたけれども、その政府方針の決定時期が3.11の前と後とどちらだったら風評被害を小さく抑えることができるのかと、風評被害対策とか、大臣としてどちらがいいのかというのは、お考えはありますか。

(答)まず風評被害については、私はどういう対処方針でやるにせよ、もちろん出ないに越したことはないので、風評被害が出ないように最大限努力はしますけれども、いずれにしましても、どんな対処方針でも、また、話題性もあって風評被害は私は出るんじゃないかなと思って、規模の大きい小さいはあっても。ですから、それを最小限にしていくという努力を私たちはしていかなければいけないんじゃないかなと思います。

  その処理水の対処については、いつこれから決定されるのかと、それの方法はどういう方法になるのかといったことについては、私のほうはまだ全然聞いておりません。いずれ、これはいつまでも放っておける話じゃありませんので、何らかの方法、形で決まるはずでございますけれども、まだこれは経済産業省のほうでやっていますので、経済産業省のほうから政府と連絡をとって、官邸と連絡をとって責任を持って結論が出されることと思います。

  時期はいつやっても、私は3.11の後とか前とかと言う立場にはありませんけれども。どんな形にせよ、私たちとしては風評被害が最小限、一番望ましいのはゼロが一番いいんですけれども、ゼロということは、私は厳しいと思いますので、ともかくできるだけ小さく収まるように、私たちとしては最大の努力をしていきたいと。

ですから、今度の風評予算も20億とらせていただきましたけれども、万が一これで足らないということであれば、他の予算をお借りしたり、いろいろと考えて、ともかくこの風評被害を少しでも小さくするために全力を尽くしたいということで考えております。

(問)確認ですけれども、決定時期によっては風評被害の大きい小さいというのが異なってくるのかなと私は考えるんですけれども、大臣はどのようなお考えですか。

(答)いや、風評被害はもちろん、中身によっては風評被害が大きいこと、小さいこと、これは当然あると思います。ですから、どんな形にせよ、風評被害は、私は出るんじゃないかなと。ですから、ともかく風評被害をもう最小限、最小限に抑える。望むべくはゼロが一番いいんですけれども、ゼロということはないだろうと思い、できるだけ小さく私としては収めるのがいいんじゃないかなと。いずれにしましても、時期も含めまして、これはそういったことも含めて、適切に判断して決めることではないかなと思います。

(問)よろしくお願いします。

  来週で2月に入るんですけれども、2月でちょうど復興庁ができてから9年ということになります。9年間の復興庁としての果たしてきた役割というところと、あと課題といったものを大臣としてどのように捉えているかをお願いします。

(答)復興庁、できてから9年間ですけれども、復興庁が果たした役割というのは極めて大きかったわけでございまして、復興庁の基本的なスタンスとしては、被災地の皆さんの意見を聞いて、被災地の皆さん方のお気持ちに寄り添って、それで被災地の御要望、御意見を最大限組み入れた諸施策をとっていくということでやってきたわけでございまして、この間、3県の知事さんを初め、県民の皆さん方には、それは十分理解されているんじゃないかなと思います。

  ただ、9年過ぎて、震災からは10年になるんですけれども、まだまだ課題がいっぱい残っているわけで。御案内のとおり復興庁の存続も10年たって、また10年延びたわけですけれども、やっぱり延びたということは、それだけやっぱりニーズがあるというか、地域も必要としているということもあって、この10年がまた延長されたわけでございまして。私たちはそうした基本的なスタンス、すなわち被災地の皆さん方のお気持ちに寄り添って、そしてこの復興・再生を進めていくと。このスタンスを、これを基本に、ぶれることなく、これからも取り組んでいきたいということで考えております。

  そういうことですけれども、復興・再生が終わったわけでは全然ありませんので、もちろん原発の問題は別なんですけれども、地震・津波について言いましても、まだまだ課題はいっぱいあるわけで、これは私も知事さんとは何度もお話ししているところでございますけれども。そういった、今度は細かい御要望をいろいろと汲み取らなければならない。そして、今回御要望で、今までみたいな一律のやり方じゃなくて、やっぱり地域が持っているいろんな特殊な事情、問題、課題、こういったものを汲み取って、それに私たちは応えていくというのがこれからの仕事になるんだろうと思います。

  そして、今まではハードに力を入れてきたところが大きかったんですけれども、これからはソフトに、いろいろなところに力を入れていくと。それで、心のケアとかコミュニティの育成とか、そういったことにも力を入れていくということがこれからの課題になりますので、復興庁にとっては、そういったことにこれから力を入れていくことが必要でございまして、その意味でいえば、復興庁の役割はまだまだ大きいんじゃないかなと。私は9年あるいは10年たって、これからまだまだ正念場を迎えるということをいつも言っているんですけれども、これからが本当に正念場を迎えることになるんじゃないかなと思っています。

(問)関連で、復興庁がそもそもできた理由として、各省庁横断的に司令塔の役割を果たすことだと思うんですけれども、その辺については、達成できたというようなお考えでしょうか。

(答)この間、復興庁はいろんな面で東北の被災地の復興・再生の問題、予算も含めまして司令塔の役割を果たしてきたことは間違いないわけでございまして、いろんな各役所が分担していろんなことを持っていますけれども、それを総括して、そして場合によっては予算を復興庁がとったり、あるいは復興庁が各省庁にお願いしたりして、そしてそれを統括していたのは全部復興庁でございますので、各都道府県から、被災地からすれば、やっぱりそれぞれのところにいろいろと話を持っていくより、復興庁に持ってきて、復興庁から各省庁に話をまた持っていったほうがはるかに迅速に、はるかにわかりやすくいろんな指導とかが進んだんじゃないかなと思います。その意味でいえば、その役割は今後も変わらないだろうと思います。

(問)最後に、もう一点伺いたいんですけれども。これからの役割として、震災で得た教訓とか、そのノウハウとかいったものを、国のやっぱり財産として持ち続けていくということが非常に大事なのかなと思うんですけれども。その点でいうと、復興庁の組織そのものがいつかはなくなるという部分で、2、3年で皆さん他の省庁と行き来すると思うんですけれども、大臣が就任当初に、復興大臣とか総理大臣とか、1年で回転寿司のように代わるのはよくないということを大臣自身がおっしゃっていて、それは同じく職員の方にもいえることかなというふうには思っているところがあるんですけれども、組織の今後のそういったノウハウの蓄積に関するあり方というものは、大臣として所感がありましたらお願いします。

(答)就任のときにも申し上げましたけれども、これは日本の役所全体の問題でございまして、やっぱりもっといえば、総理大臣からして、最近長いから長いように続くように感じますけれども、平成になってから今たしか菅総理が18人か19人目くらいです。ですから、平成で今33年だと思いますけれども、安倍総理が長かったから、何か総理が長いように感じますけれども、実際には安倍総理と小泉総理は長かったけれども、あとはみんな1年あるいは1年足らずでクルクルと代わっていったわけでございまして、これは日本全体の問題で、役所の皆さん方も同じように2年、3年で代わっているわけです。

  これをすぐに変えるというのはなかなか大変なので、ですから、問題は代わって絶対に仕事に後退がないように、仕事の前進が続く、要するにきちんと引き継いで、もう前に進んでいくようにということをやることが、これからそういうシステムにつくっていくことが、極めて大事なんじゃないかなと思います。

おっしゃるように、ただあまり早くクルクル代わるというのもどうかなということもありますけれども、それは今のシステムでなかなか動かしにくいんだったらば、そういったことがあっても大丈夫なようにしていかなきゃならないということだろうと思います。

  そういった中で、私はいろんな教訓とかノウハウとか、そういったものを残していくということが大事なのはおっしゃるとおりでございまして、そのために今度のもうすぐ公開されると思いますけれども、いろんな教訓とか何か復興庁がこの間、経験していますので、そういった経験集というか、ノウハウ集とか、それはネットで紹介されて、ネットだったかな、そういったものをまとめて相当分厚くなりますけれども、紹介させていただく予定でございまして、それを見て、また、中にはこういうこともありました、こういうこともありましたという形でいろいろ御指摘があちこちからあるだろうと思いますので、そういった御指摘を踏まえて、今度そこを変えてというか、どんどん補修したりして、それをいいものにしていきたいと。

  それは今の人たちにだけじゃなくて、後世の我々の次の世代の人たちもこれを参考にできるように、また全国の人たちが、場合によっては世界の人たちが参考にできるように、それを今急いでつくっているところでございまして、いずれ近いうちに、ネットで公開させていただく予定でございますので、是非ご覧いただきたいと思います。

 
 (以  上)

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