2021年1月19日(火曜日)
11時45分~11時57分
於:記者会見室

(冒頭発言)

特になし。

(質疑応答)

通常国会の重点テーマ

Q:おはようございます。

通常国会が始まりました。経済産業省としての重点テーマをどの点に置いているか、またそれにどのように対応されていくかをお考えを教えてください。

A:昨日菅総理が施政方針演説の中で、国民のために働く内閣として取り組んでいくべき課題を示されました。経済産業省としても、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめとして、一日も早く安心を取り戻して国民の皆さんの希望を実現するようしっかりと課題に取り組んでまいりたいと考えております。

新型コロナウイルスへの対応に関しましては、先週持続化給付金と家賃支援給付金の申請期限を1か月延長をいたしました。今回緊急事態宣言が再発令されて、申請書類の準備が難しくなっておられる方もいる中で、柔軟に対応をしていくということであります。

また、今回の緊急事態宣言を受けた支援策として、飲食店と取引のある事業者等への一時金や資金繰り支援の運用の柔軟化、イベント業界への支援を講じることとしておりまして、これらはできる限り早く必要な方に支援をお届けしたいと思っております。

その上で、第三次補正予算案、令和3年度当初予算案では、ウィズコロナ・ポストコロナ時代における新たな日常の先取りによる成長戦略として、中小企業等事業再構築促進事業(※)による新分野展開や業態転換等の支援、持続化補助金、ものづくり補助金等を通じた生産性向上の促進、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた革新的な技術開発に対する基金での継続的な支援、デジタル改革の実現のための基盤・ルールの整備等、現下の状況においても着実に前に進める必要のある政策に関連した予算を盛り込んだところであります。

また、今国会においてカーボンニュートラルの実現、デジタル化、そして中小企業から中堅企業への成長に向けた企業の前向きな取組を支援する産業競争力強化法等の改正法案、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応し、特許関連手続のデジタル化などを行う特許法等の改正法案、貿易保険について、新型コロナウイルス感染症を含めた様々なリスクに対応した措置を講じる貿易保険法の改正法案といった新型コロナウイルス感染症への対応を念頭に置いた重要な法案を3本提出する予定であります。

補正予算案、当初予算案、そして当省の提出法案の早期成立に向けて、与野党の議員の皆様、国民の皆様の御理解を得られるように、しっかりと説明をしてまいりたいと考えております。

バイデン政権発足

Q:2点目です。

米国で間もなくバイデン政権が発足いたします。通商やエネルギーなど、経産省として新政権にどのように対応されていくか、御所見をお願いいたします。

A:明日バイデン政権が発足いたしますが、政権の陣容や具体的施策について関心を持って注視をしているところであります。

通商政策面では、日本と米国の貿易投資を通じて、両国間の経済環境を強化するとともに、地域及び世界に自由で公正な経済秩序を広めるべく、WTO改革などにおける協力を強化をしてまいりたいと思います。

ちょうど昨年の今頃私はアメリカに参りまして、EU、アメリカ、そして日本と3極の貿易担当大臣会合というものを開きまして、この中でWTO改革、そして公正な貿易がしっかりとできるような形で3極で協力をして取り組んでいこうというもの、それがまだ生きていると思いますし、その考えの下に私どもも取り組んでまいりたいと思っております。

エネルギー政策関連では、バイデン氏は就任初日のパリ協定復帰をはじめとする気候変動関連の取組強化の方針を発表しているわけでありますけれども、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた技術革新や社会実装を進めるべく、米国とも戦略的な連携を進めてまいりたいと思っております。次期通商代表やエネルギー長官等の新閣僚とは、就任後速やかにこうした点について意見交換を行って、今後の協力強化に向けた関係構築を図ってまいりたいと考えております。

水野参与

Q:2点お願いします。

昨日経済産業省の水野参与が辞職するという発表がありまして、水野さんに関してはテスラの社外取締役をやっておられる関係で、EVの普及策などについて経産省について助言するということは利益相反になるのではないかという指摘もあったところですけれども、この件についてどう大臣は御覧になっているかということと、今回辞任に至った理由についても御説明をお願いします。

A:水野氏は、かねてより様々な審議会などにおいて国際的な投資家としての知見、人脈を生かして貢献いただいていたことから、特にグリーンビジネスやファイナンスに関する分野で助言をいただくことを念頭に、経産省から参与への就任を依頼いたしました。昨年のことであります。その際、水野氏からはテスラ社の社外取締役就任の事実も事前に知らされていましたが、その上でぜひお願いしたいと依頼をしたものであります。

他方、今年初めに水野氏は革新的ファイナンスと持続可能な投資を担当する国連事務総長特使に任命されたものと承知をしております。特使への就任に際して、国連から水野氏に対して、原則として各国政府の役職を兼任しないようにとの話があったと聞いております。

これを受けて、今年初めから経済産業省参与などの役職を辞任したいとの相談をいただいており、正式には昨日18日付で辞任の申出をいただき、同日付で退任をいただくことになりました。

なお、水野氏は他省庁の役職も全て辞任するものと聞いております。

商工中金

Q:もう一点商工中金の関係で、昨日経産省の商工中金に関する評価委員会が開かれました。もともと商工中金については、リーマンショックのときの危機対応業務で不正融資がたくさん発覚したということがあって、足下コロナ対策で危機対応融資をやる中で、かつてのような不正が繰り返されるのではないかという懸念もあるかと思うのですけれども。昨日の評価委員会では現状いろいろな対策が効果を発揮していて、特段問題はないという結論でしたけれども、大臣としてどういった御認識を持っておられるかと、引き続き不正防止にどのように取り組んでいかれるか、そのあたりの御所見をお願いします。

A:先般の不祥事があってから、外部の評価委員会ということで、年に2回程度開催をされて、評価をしているということでありますが、商工中金の危機対応業務の不正事案の原因は、第三者委員会による調査の結果、当時の経営陣が不正事案を矮小化し、取締役会もチェック機能を果たせずに追認をしたこと、経営陣本部による支店ごとのノルマの割当て、危機対応業務の要件審査を手書きやヒアリングで行うなどのずさんな運用といった、ガバナンスの問題との結論が取りまとめられております。こうした指摘も踏まえて、商工中金は不正事案を二度と繰り返さないために、抜本的な再発防止策を講じたところであります。

具体的には、2018年3月に民間出身の関根社長が就任し、全てのプロパー出身の取締役が退任いたしました。社外取締役が過半数を占める取締役会を新たに組織しているところであります。

危機対応業務を含め、本部による各支店のノルマを全て廃止しました。全廃しました。事業者が手書きで押印した資料や職員がヒアリングした内容により作成した資料に基づき、危機対応業務の要件適合性を判断する取扱いを廃止いたしました。職員のコンプライアンス意識徹底のため、全職員から信頼回復に努め、高い倫理観を持って業務を遂行すること等の誓約書を徴求し、コンプライアンス研修を実施いたしました。

経産省としては、商工中金をしっかりと監督しつつ、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への資金繰り支援に万全を期してまいりたいと思います。

ガバナンスに関して体制も入れ替えたし、また制度も変えていった。そして、関根社長とは折に触れて私もガバナンスの状況についてお話を伺っておりますので、そういうことのないように、これからも経産省もそういう努力をしてまいりたいと思いますし、商工中金にはさらにまたしっかりとした自己改革、ガバナンスの徹底というものをしてもらいたいと思っております。

新型コロナワクチン

Q:よろしくお願いいたします。

昨日河野大臣がワクチン接種担当大臣となり、政府としてもワクチンの早期接種の開始に向けて準備が進んでいると思うのですが、経産省としてワクチンについてどのように関わっていくのか、また準備状況が現在どうなっているのか、教えていただけますか。

A:昨日河野国務大臣がワクチンの接種に関する内閣での責任者ということで選任をされました。

経産省の主な役割としては、ワクチンを低温で輸送、保管するための超低温冷凍庫とドライアイスの確保が大きな役割であると思っております。ファイザーのワクチンに関しましては、マイナス75度、プラスマイナス15度ぐらいで保管をする、また輸送するという形になっておりますので、それらがしっかり品質が維持できるような超低温の冷凍庫とドライアイスが必要になるということでありまして、それに向けて今具体的な取組をしているところであります。

ただ、これはまだワクチンの契約の内容が明らかになっておりませんので、どういう形で、どういうロットで我が国に来るのか、それに対応して私どもの役割が果たせるようにということで、連絡、情報共有しながら対応していくということになると思います。

※実際の発言は「中小企業等事業再生構築促進事業」でしたが事実関係に即して上記のとおり修正しました。

以上

最終更新日:2021年1月25日