(令和3年1月22日(金曜日)16時47分 於:本省会見室)

日露関係(平和条約交渉)

【NHK 渡辺記者】日露関係でちょっとお伺いしたいと思いますが、月曜日の施政方針演説、総理の施政方針演説の中で、平和条約交渉につきまして、「2018年のシンガポールでのやり取りは継続している」となっているんですけど。
 
【茂木外務大臣】引き継いでいる、しっかり引き継いでいる。
 
【NHK 渡辺記者】引き継いでいると、はい。そこは従来シンガポールでの「合意」というふうに言っていたのが、「やり取り」になっているのは、これは何か政策変更があったのでしょうか。
 
【茂木外務大臣】いや、「やり取り」という表現を昨年から使っていると思います。よく確認してみてください。
 
【NHK 渡辺記者】おそらく去年の秋ぐらいからそう変わっていって、今回改めて。
 
【茂木外務大臣】特段の理由があるってわけじゃありませんけれど、まあ、このシンガポールでの合意は、プーチン大統領と安倍前総理の間ですから、菅新政権というか、菅さんになって、菅さん自身がやったわけではありませんから、そういったやり取りは引き継いでいると。趣旨は変わっておりません。
 
【NHK 渡辺記者】そうしますと「合意」じゃなくて、「やり取り」というふうになったのは、ちょっと言葉が弱くなったと思うんですけど、そこは総理の意向で変わったってことなんでしょうか。
 
【茂木外務大臣】いや、総理の意向ってことはありませんけれど、そういう言葉にしたということです。総理の意向ではありません。

中国海警法

【TBS 樫元記者】中国の海警法についてお尋ねします。
全人代の常務委員会で海警法が今日にも成立すると見られております。「外国船に対しての武器の使用を含むあらゆる措置を取る権利を有する」というふうに規定されているようですけれども、この海警法によってどのような動きが懸念されるか、また政府としてどのように対応していくか、お考えをお願いします。
 
【茂木外務大臣】海警法を含めまして、中国海警局をめぐる動向について、引き続き高い関心を持って注視している、今その段階であります。
尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない我が国の固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配しております。
 尖閣諸島周辺海域において、中国公船によります接続水域の航行及び領海侵入が継続しているということは、極めて遺憾だと思っておりまして、こういった活動に対しては、外交ルートを通じて、繰り返し厳重に抗議をしております。またこの海警法案に対します我が国の懸念、関心についても、先方に伝達いたしております。

EU外務理事会(茂木大臣の出席)

【テレビ朝日 佐藤記者】月曜日に大臣がご出席されるEUの外務理事会についてお伺いします。今回、EUの招待を受けての日本の外務大臣として初めての出席ということですが、FOIPが議題になると聞いております。今回出席を決められた理由・狙い・意義についてお聞かせください。
 
【茂木外務大臣】ちょっとですね、昨年来お誘いをいただいているというか、日程調整して今回ということになったのですが、EUの側からの招待を受けて、日本の外務大臣として初めてこのEUの外務理事会に出席するわけでありますけれど、最近の状況について申し上げると、フランスに続きまして、昨年ドイツ及びオランダが独自のインド太平洋ガイドラインを発表しまして、EU内でインド太平洋に関する議論が開始をされているところであります。
 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、これまでも日米豪印であったりとか様々な多国間の枠組みを進めてきましたし、東南アジア、更にはアフリカ等も含めて、これに対する支持・理解というのも広がっているところでありますが、基本的な価値・原則を共有する欧州と連携していく、このことは極めてこういったタイミングで重要だと考えております。
外務理事会におきまして、私(大臣)の方から、ボレル上級代表の方が多分リードしてくれると思うんですけれど、EU諸国に対して、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日本の考え方であったりとか、これまでの取組についての説明をして、インド太平洋に関するEU内の議論、後押しをするとともに、この分野で日本とEU、協力していけること、たくさんあるんだと思っておりまして、そういった具体的な協力というものにもつなげていきたい、そんなふうに思っております。

日露関係(平和条約交渉)

【NHK 渡辺記者】大臣、度々すみません。先ほどのちょっと確認なんですが、そうしますと、これ、総理が菅さんに代わったことによって、外務省の意向で「合意」から「やり取り」というふうに表現を変えたっていうことでよろしいんでしょうか。
 
【茂木外務大臣】別にそういうことでもありません。ただ、だいたい時期的にはそういうことだということを申し上げたわけであります。事実関係として、何かが変わったということでありません。

核兵器禁止条約の発効

【読売新聞 福田記者】本日ですね、核兵器禁止条約が発効されました。大臣のですね、受け止めをよろしくお願いします。
 
【茂木外務大臣】今日、核兵器禁止条約が締約国の間で発効したわけでありますけれども、この条約、2017年の9月、署名が開放というか始まりまして、それから3年余りとなりますが、現時点において締約国が51か国・地域、また未締結の署名済み国が37か国・地域に達しているわけであります。唯一の戦争被爆国として、これまで核軍縮に関する国際社会の取組を推進してきた我が国としても、この核兵器禁止条約の発効に留意をしております。
 これまで繰り返して述べてきているとおり、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しておりまして、核兵器禁止条約が目指す核廃絶、このゴールは共有をいたしております。
 一方で、核兵器のない世界を実現するためには、現に核兵器を保有している国を巻き込んで核軍縮を進めていくことが不可欠でありまして、現状では核兵器国の支持が得られていない。また多くの非核兵器国の支持も得られていないという状況になります。
 また、我が国を取り巻きます安全保障環境が一層の厳しさを増す中で、抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的に、核軍縮を前進させる道筋を追求していくというのが適切であると、そのように考えております。
 我が国としては、核兵器廃絶という共通のゴールに向けて、核兵器禁止条約支持国とも対話を積みかさねながら、引き続き、立場の異なる国々の橋渡しに努めて、国際的な議論にも積極的に貢献をしていきたいと思います。

韓国情勢(元慰安婦等による日本政府に対する損害賠償請求訴訟)

【日本経済新聞 加藤記者】韓国の従軍慰安婦の訴訟が、23日に判決確定する見通しですけれども、日本政府は控訴を見送る方針だとは思いますが、今後の政府としてのご対応をお伺いいたします。
 
【茂木外務大臣】確定、23日の午前零時ということでありまして、まだ仮定の話になりますが、いずれにしても控訴するということはありません。
 その上で、我が国の立場は、これまでも対外的に、この問題について明確にしてきておりますので、もし判決が確定するということになりましたら、我が国の立場について、改めてしっかり発信したいと思っております。