2021年1月22日

同時発表:環境省

令和3年1月11日から16日にかけて、残留性有機汚染物質を国際的に規制するストックホルム条約による規制対象物質について検討を行う「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の第16回会合がオンラインで開催されました。
本会合では、デクロランプラス並びにそのsyn-異性体及びanti-異性体について、更なる情報収集を行い、引き続き検討することが決定されました。また、メトキシクロルについては、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。
さらに、新たに提案されたUV-328については、リスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

1.背景

「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」は、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、1, 1, 1-トリクロロ-2, 2-ビス(4-クロロフェニル)エタン(DDT)等の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶や制限、その意図的でない生成による放出の削減等の規制に関する条約です。

条約対象物質への追加について検討する検討委員会(POPRC、加盟国の31人の専門家から構成)においては、加盟国から提案された物質について、①スクリーニング、②危険性に関する詳細検討(リスクプロファイル)、③リスク管理に関する評価の検討の3段階のプロセスを経て、締約国会議(COP)に勧告します。

COPでの決定の後、各加盟国は、対象物質について製造、使用等を規制することになります。我が国では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」等によって規制します。

2.今回の会合での決定内容

POPRCの第16回会合(POPRC16)は、令和3年1月11日~16日にオンラインで開催され、我が国からは、メンバーとして金原和秀静岡大学大学院教授が、また、オブザーバーとして経済産業省・環境省の担当官、国内の専門家等が出席しました。POPRC16で決定した内容は、以下のとおりです。

(1)条約対象物質としての検討

①デクロランプラス並びにそのsyn-異性体及びanti-異性体(提案国:ノルウェー)

【主な用途】難燃剤

リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、デクロランプラス並びにそのsyn-異性体及びanti-異性体について、現状の情報では重大な悪影響をもたらす恐れがあると結論づけることに合意が得られなかったため、今後更なる情報を収集し、次回会合(POPRC17)において議論を継続することとなりました。

②メトキシクロル(提案国:欧州連合)

【主な用途】殺虫剤

リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、メトキシクロルが重大な悪影響をもたらす恐れがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC17)においてリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。

③UV-328(提案国:スイス)

【主な用途】紫外線吸収剤

提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、UV-328がスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、次回会合(POPRC17)に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。

(2)その他の検討

①ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質の例示リスト

例示リストの改定について、締約国から意見募集を行うことが決定されました。

3.今後の予定

POPRC15及びPOPRC16の結果を踏まえた第10回締約国会議(COP10)は令和3年7月にジュネーブで開催される予定です。また、次回会合(POPRC17)は令和3年9月末から10月初めにかけてローマで開催される予定です。

【参考】関連するホームページ

担当

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