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令和3年1月19日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

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国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案、大学入学共通テスト、「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部、学校での新型コロナウイルス感染リスク、国会審議に向けた大臣の決意について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年1月19日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年1月19日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年1月19日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。私から冒頭3件ございます。
 まず、昨日の臨時閣議において、「国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。本法律案は、国立研究開発法人科学技術振興機構において、政府出資や財政融資等により調達した資金を運用するとともに、大学に対し、国際的に卓越した研究環境の整備充実や、博士後期課程の学生の育成に関する助成を行うために必要な措置を講じるものです。今後、国会において、本法律案についてしっかりと説明を行い、ご審議をいただき、速やかに成立させていただけるように努力をしてまいりたいと思います。
 次に、先週末に実施された初めての大学入学共通テストについては、雪害のためやむを得ない判断でしたが、稚内の試験場で受験予定だった全73人が初日の全教科について再試験対象となったほか、一部の会場で試験開始時刻の繰下げなどがあったものの、概ね無事終了することができました。まずは、受験生の皆さん、初めての共通テスト、コロナ禍の中で臨み、不安と緊張もあったと思いますが、2日間の受験、大変ご苦労様でございました。慣れない環境での受験だったかもしれませんが、感染症対策の徹底に協力していただきありがとうございました。また、受験生の保護者をはじめ、高校や大学の先生方におかれても、感染症対策をはじめ、受験生をサポートしていただきありがとうございました。今回の第1日程の実施に当たっては、受験生が利用する宿泊施設や公共交通機関における感染症対策の徹底、保健所における受験生のPCR検査等、試験場やその周辺及び公共交通機関でも密集状態を作らないことなどについて、関係省庁とも連携しながら、関係各所に協力をいただきました。更に、昨年末からの大雪により、一部地域の公共交通機関に生じていた運行の乱れに関しても、国土交通省・自衛隊をはじめ、関係自治体など除雪作業に多くの方が尽力してくださり、受験生の円滑な移動をサポートしていただきました。共通テストの円滑な実施に力を尽くされた全ての方々にこの場を借りてお礼を申し上げるとともに、今後実施される第2日程や特例追試等、更に、各大学の個別試験についても引き続きご協力をくださるようにお願いをしたいと思います。これから第2日程を控えている受験生の皆さんには、各大学の個別試験が控えている受験生の皆さん同様、自主検温を引き続き行うなど体調管理はもとより、文部科学省及び大学入試センターのホームページに掲載されている「新型コロナウイルス感染防止のための注意事項」を参考に、感染症対策を徹底しながら、志望する大学の入学を目指し、力を尽くし頑張っていただきたいと思います。
 最後に、本日、私の下に「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部」を設置することとしましたのでご報告いたします。教師は子供たちの人生を変えるくらい大切な価値のある職業であり、学校教育の成否はまさに教師の資質能力にかかっていると考えております。文部科学省においては、Society5.0時代の到来や子供たちの多様化が一層進んでいく状況なども踏まえ、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする体制を整備するため、少人数学級の導入に向けた取組を進めているところですが、少人数学級の導入の効果を最大限活かすためにも、質の高い教師の確保が極めて重要と考えております。この点、中央教育審議会においても、「『令和の日本型学校教育』を実現するための、教員養成・採用・研修の在り方」について、今後更に検討していくこととされており、また、教育再生実行会議におけるご議論においても、個別最適な学びを実現するためには教師の指導力の向上も重要であるとのご意見を多くいただいていることから、当面の取組とともに、中長期的な実効性ある方策を文部科学省を挙げて検討していくために、私の下に検討本部を設置することといたしました。私自身が先頭に立ち、質の高い教師の確保に向けて取組を進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 幹事社の方から2問、質問させていただきます。1問目です。文部科学省は学校の一斉休校を要請しておりませんが、児童生徒が学校から家庭にコロナを持ち込んでしまうことを不安に思う保護者の声もあると聞いております。児童生徒が学校に行くことにより、結果的に家庭内感染でコロナ感染が拡大してしまうリスク、影響について教えてください。また、もう1点目、初めての共通テスト1回目の本試験が終わりました。思考力や判断力をより注視する方針を掲げたテストだったと思いますが、大臣の評価をお願いいたします。以上です。

大臣)
 現時点の知見では、新型コロナウイルス感染症の児童生徒における発症割合は他の年代と比べて低いなど、インフルエンザと異なり、児童生徒が感染を広げる主な役割を果たしていません。また、これまでの児童生徒の感染状況では、家庭において他の家族から感染している例が多く、家庭内での感染の割合が比較的、失礼、学校内での感染の割合が比較的低いことを考慮すると、家庭に感染を広げるリスクは相対的に低いものと考えられます。新型コロナウイルスの感染状況や特性を踏まえると、これまでご説明をしてきた通り、学校の一斉休業ではなく、子供の学びを最大限確保することを前提に、各地域の感染状況を踏まえた対応が求められると考えております。一方で、新型コロナウイルスの感染者が増加する中で、学校内で複数の感染者が発生した事例も増えてきております。学校においては、地域の感染状況に応じて感染症対策を講じてもなお感染リスクが高い教育活動を制限するなど、全国の学校で感染症対策を強化していただきたいと考えております。また、感染リスクの高い児童生徒や家族がいる場合など、学校に登校することに不安を感じる児童生徒や保護者がいることも承知しております。文科省においては、ガイドラインや通知において、学校を欠席させたいと相談があった場合に柔軟に対応いただくようにお示しをしています。文部科学省としては、各学校が十分な感染症対策を講じつつ、個別の児童生徒への対応を含め、子供たちの学習の機会を確保できるように、引き続き、教育委員会等をしっかり支援をしてまいりたいと思っております。
 大学入学共通テストは、各教科・科目の特性に応じ、知識・技能のみならず、思考力・判断力・表現力なども重視して評価を行うものとして、大学入試センター試験の後継試験として、今回初めて実施をされました。私としては、全体的に、学習のプロセスや日常生活の場面を題材にした問題や、様々な文書や資料から複数の情報を活用する能力を問う出題など、単なる暗記再生型の出題ではなくて、新しい試験に相応しい内容になっていたのではないかなと思います。共通テストの目的に沿った出題がされたかどうかという点につきましては、最終的には、大学入試センターにおける自己点検・評価や第三者評価において専門的な評価がなされることになっていますが、大学入試センターにおいては、そうした評価結果を踏まえ、更なる良問の作成に努められることを期待しているところです。

記者)
 共通テストに関連して1問、お伺いします。今回、マスクの着用をめぐってですね、監督者の指示に応じないということで無効となった受験生がいたと思うんですけれども、これをめぐって、マスクの着用をどうすればいいのかという不安が受験生の中であったりするとも聞いておりますので、改めて、この事案の受止めと、受験生に対するメッセージをお願いできればなと思います。

大臣)
 大学入試センターによりますと、1月16日の試験において、マスクから鼻を出したまま受験していた受験生がおり、6度に及ぶ試験監督者の指示に従わなかったことから、当該受験者を不正行為と認定したものと聞いております。試験監督者の指示に従わない場合は、不正行為になり得ることは、全受験者に配布している「受験上の注意」において事前に周知しているところですが、当該受験者は、それだけではなくて、周囲の受験生からも苦情があったこと、不正行為通告後も当該受験者が試験室に居座ったため、同室の他の受験生を別室に移動させざるをえない事態になったことなど、試験運用上、看過し難い状況であったと聞いており、今回の措置は適切な措置だったと認識しております。なお、マスクの正しい着用方法について「鼻と口の両方を確実に覆う」ことは、政府としても啓発しているところであり、共通テストの実施においても、感染症対策の徹底のため、全受験生に配布してある「受験上の注意」において、試験場内では昼食時を除き常にマスクを正しく着用すること、感覚過敏等によりマスクの着用が困難な場合は、「医師の診断書」を提出して受験申請を行い、別室で受験する必要があることについて周知をしたところでありまして、仮に、何か例えば、鼻の病気などでですね、マスクを鼻まで覆うことが困難な受験生がいらっしゃるとすれば、これ、事前に申し出ていただければ別室などでの受験ができるようになっておりますので、ぜひそこは、それぞれの健康状態を正しく申告していただければ、現場では柔軟な対応をしたいと思います。それと今回のこの受験生は、ちょっと趣旨が違うのだろうなと。かなり、何回にもわたって注意したのですけれど、その都度反論をして、監督者とやり合ったりして、同じ会場にいた受験生には、随分、精神的にもですね、色んな影響を与えてしまったんじゃないかという判断の中で、もうこれ以上は無理だということで退場を願ったのですけれど、退場しないで逆にその人が部屋に居座っちゃったものですから、他の受験生を他の教室に移すという事態になりましたし、その後、会場からの退室を促したら、一部報道で出ていましたけれども、トイレに駆け込んでしまって。結局、何時間も籠城しましたので、警察の出動という事態になったと報告を聞いております。

記者)
 冒頭発言にございました日本型学校教育を担う教員の検討本部、これについて、具体的にどういうふうに取り組まれたり、それからあといつ頃までどういうような結論といいますか方向性を出されるのか、またメンバーについても、これは省内だけでやるのか、それとも外部の有識者を交えて何かを考えるのか、そうした具体的な運営方法、それから検討事項について、もう少しくだいてお話しいただければと思います。

大臣)
 本部においては、35人学級を担う教師の確保、社会人等多様や人材の活用、教職課程の高度化と研修の充実、教員免許更新制の在り方、その他「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保及び質向上を実現するために必要な事項を検討事項として設定をしたいと思っています。「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師を確保していくためには、既存の仕組みに捉われることなく、どのような在り方が望ましいかという観点で中長期的な検討を深めていくことが必要であると考えており、一方、当面は、既存の制度の枠内で実効性のある取組を迅速に進めていくことも重要であると考えております。例えば、ICT活用指導力の養成のための教職課程の見直しなど、中央教育審議会で現在行われている議論の結果を踏まえつつ、文科省としてどのような具体的な施策を速やかに展開していくのかなどについて検討してまいりたいと思います。冒頭申し上げたとおり、本部においては、当面の取組と中長期的なものについてしっかり省内で議論をしていきたいと思っています。これまでの議論を踏まえて、すでに中教審から制度改正の方向性をいただいている事項など、当面取り組むべき事項については、全省的な観点から行われる本部での検討を踏まえて、速やかに制度改正も含め、実行に移してまいりたいと思います。すなわち、短期ですぐに実行に移すものとですね、中長期で腰を据えてしっかり考えていくものと、両方考えていきたいなと思っています。当面は、関係省内の部局の幹部でやりたいと思うのですけれど、外の方のご意見を聞くということであればヒアリングなどの機会を設けていきたいと思います。最後、目指すべき出口は何かと言ったら、私、常に申し上げているように、教師という職業を再び憧れの職業にしっかりとバージョンアップしてですね、志願者を増やしていくということにしたいと思います。そのためには、働き方改革や免許制度や、あるいはせっかく少人数やICT教育が始まるのに、今の教職養成課程では、もう誤解を恐れず申し上げれば、昭和の時代からの教職課程をずっとやっているわけじゃないですか。そうすると、こんなに学校のフェーズが変わるのに、教えている大学のトップの人たちは、まさに昔からの教育論や教育技術のお話をしているわけですから、この辺も含めてちょっと大きく変えていかないと、時代に合った教員養成できないし、また、その目指す教員の皆さんが、何となく今までは大変な職業だというのが少し世の中に染み付いてしまっていますけれど、やっぱり夢のある、やりがいのある仕事なのだということをしっかり理解してもらえるような、そういう教師像っていうものを求めて検討していきたいなと思っています。

記者)
 ありがとうございます。1つだけ。初回はいつ行われることになるんでしょうか。

大臣)
 今日です。今日。

記者)
 昨日、通常国会が開会しました。あの、これまで力を入れてこられた少人数学級の義務標準法も含めて、文科省としては5本の法律案を出されると聞いておりますけども、改めて、その通常国会に向けてどのような決意で取り組まれるか、伺えればと思います。

大臣)
 常に前向きな決意で頑張ろうと思っていますけれど、昨日、我が国の大学の財務基盤の抜本強化、若手人材の育成支援を進めるために、冒頭報告しました10兆円規模の大学ファンドを創設すべく、JST法の改正法案が閣議決定されました。この法案を含め、本国会において、文科省からは5本の法律案の提出を予定しています。具体的には、公立小学校等の学級編制の標準を「40人」から一律に「35人」に改める。昨日、所信表明では「公立小中学校」というふうに総理がおっしゃいましたので、そういう期待も含めてですね、しっかり議論していきたいと思っています。義務標準法、国立大学法人の戦略的な経営を実現するための国立大学法人法、それからコロナ禍において重要性が高まっている文化財の継承や情報アクセスに資するための文化財保護法、著作権法の改正を予定しています。いずれも現下のコロナ禍の情勢下にあって、我が国の社会をしっかり下支えするとともに、このような時期だからこそ、将来に向けて我が国の教育・文化・科学技術を前に進めていくための大変重要な法案であると考えています。速やかに成立させていただけるように、国会審議においてその意義をしっかり説明をしていきたいと思っています。

(了)

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