(令和2年1月12日(火) 10:41 ~ 11:02 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は私の方からはご報告ありませんので、皆様方からのご質問をお受けしたいと思います。

質疑

記者:
緊急事態宣言について、政府は関西3府県に発令する方向のようですが、その理由と中部圏など他の地域への拡大など、区域の拡大についての考え方などお聞かせください。
大臣:
明日、アドバイザリーボードをやることになると思います。そこで専門家の皆様方のご意見、つまり緊急事態宣言というより感染状況の分析・評価をいただいた上で、最終的にどの地域を緊急事態措置のエリアとするか、するかしないかですね、そういうことを判断していくということになると考えております。
記者:
同じくコロナに関連してですが、感染症法と検疫法の改正について、どういった点を重視しているかということとあわせて、改正議論のなかで罰則のあり方について、どのようにお考えかお聞かせください。
大臣:
知事会からもいろいろなご意見をいただいており、この間の分科会でもご意見をいただいたわけです。やはり最前線で知事さんらがいろいろな対応をされる中において、特措法もそうなのかもわかりませんが、感染症法においても実際に運営する中で、いろいろなお考えやお悩みを抱えているというご意見もいただきました。
 そういう意味からすると、そういうところをまず見直していかないといけないだろうと。ポイントとしては、一つは新型コロナウイルス感染症の法律上の位置付けというものを入れていかないといけないという話になると思います。これは新興・再興感染症としての新型コロナウイルスというように、これから新しいものがでてくるかもわかりませんし、今の新型コロナが一旦収束をした後も対象に入れるかどうかという話の中においても、新興・再興というものの位置づけ。
 それから国や地方自治体の情報の共有ですね。これはよく言われておりますが、県と、政令市と保健所設置市との情報の連携・共有、こういうものもコロナ禍で考えていかないといけませんし、あと、宿泊療養・自宅療養などの法律的な位置付け、これも知事会からもご要望いただいております。法律的な位置付けが今ないということで、これについてしっかりと位置付けてもらいたいと。
 それから積極的疫学調査の実効性の確保ということで、今は協力ベースでやっていただいておりますけれども、これに対しても実効性をしっかりと確保してもらいたいというようなご意見をいただいております。
 それぞれいろいろなご意見、この間の分科会でも専門家の方々からも各般いろいろな方向性からのご意見をいただきました。そういう意味では私権制限をする部分、権利の制限ですね、それと、一方で社会的な利益、そういうもののバランス、こういうものを考えていかなければなりません。
 一つは厚生科学審議会感染症部会の下で議論を始めておりますが、あわせて政府与野党協議会でも、野党の皆様方からもいろいろなご意見をいただいて、もちろん与党もそうですが、そういうところでのご意見をいただきながら最終的にはどのような形にしていくかということを決定し、そしてこの通常国会に提出させていただく予定になっているということであります。
記者:
PCR検査についていくつか質問させてください。まず、死亡後にコロナに感染が判明した羽田参議院議員が、37℃以上の発熱にかかわらず高熱でないから保健所に迷惑かけないようにPCR検査を断ったというように報じられました。
 事実かどうか分かりませんが、仮に事実ならば国会議員さえ遠慮するというのは政府の検査の抑制方針が一因と考えられます。菅総理が先日12月25日の会見で、IWJの岩上安身の質問に答えて、全国全員への検査が必要性はないと断言されました。
 しかし昨日、政府が3月にも空港や繁華街、学校などで不特定多数にPCR検査を無料で始め、無症状者含め全体像を把握すると報じられています。これは菅総理もお考えを改めた結果で、政策転換であるということでよろしいでしょうか。この点を確認させてください。
 それから、他方で結局全量検査でなくて、中途半端な感がどうしても否めません。それで全量検査の効果は中国で立証された面がございます。そもそも検査が公費で受けるということは国民平等の権利のはずで、企業も従業員が陽性か陰性かわからないと困りますので必要性がずっと叫ばれているにも関わらず、国民全員に公費で全量検査を徹底することに及び腰なのはなぜかという点をお示しください。
 最後にこの無料PCR検査というのは3月では遅すぎないでしょうか。もっと早くして、決められた場所を増やしていくということを検討されないのでしょうか。
大臣:
羽田議員の件はちょっと私よく存じ上げておりません。どういう事情なのか、マスコミ報道ではいろいろ報道されておりますが、事実どういう状況なのかというのは直接お聞きいたしておりませんので、よく分からない部分もあるのですが、本来37.5℃以上ある高熱ならば、診療・検査医療機関というものが全国2万5千、東京にもたくさんあります。
 そういうところもございますので、最寄りの保健所又はかかりつけの医療機関があればそこにご連絡いただいて、そこがやっていなければやっているところを教えていただく、そういう形で各自治体にお願いしておりますので、そういうところをお聞きになられて行かれると、PCR検査もそうですが、それ以外に抗原検査キットですね、簡易キット、この用意もされているところも多々ありますので、それでやると簡単に数十分で結果が分かるということになっております。
 ですから、羽田議員がどういう状況で検査が遅れられたのか具には存じ上げませんけれども、そういうような対応をしていただければ、検査はやれたはずであろうと思います。国会議員としてお忙しくて、そういう対応ができなかったのかどうなのかちょっと我々もよく分かりませんが、国民の皆様方にはそういう対応ということで、昨今、検査件数が増えてきている我々としては考えております。
 是非とも高熱の方々には検査をやっていただきたい、PCR検査のみならず、抗原検査等もやっていただきたいと思います。
 それから、3月の話は私も詳しく存じ上げていないので、ちょっとどんな話か分かりませんが、おそらく、内閣官房が、分科会で年末に報告された、要は資料を出された一つなのだと思いますが、それであれば、例えばSNSだとかいろいろなところで情報がありますよね。そういう情報をAIで分析をして、今の日本の感染状況を分析する、そのための一つとしてどこかの繁華街で若い方を中心に、という話になるかわかりませんが、PCR検査を一定程度やってみることも検討課題であるということで、新聞報道見て私もどういう意味なのか実は朝から状況をお聞きしたのですが、まだ、そこまでは決まっていないということであります。
 また、これはあくまでも研究のためにやる話なので、PCRを国民全員にやるという話とは根本的に違うということだと思います。
 今言われたのは武漢の話だと思うのですね。あそこは確かに効果がでたと思います。
 ただ、それはなぜか。1千万人を超える方々に対して、多分数週間でやったのだと思いますが、強制できるんですよ、強制が。日本の国では強制できません。いっぺんに全員を検査できれば、それはその時に一度に感染者を把握できる、確認できますから一定期間で収束できますけれども、強制力がないとバラバラ、その中でたとえ1割やっていただいても残りの9割がやらなければ、当然その後も感染は続きます。
 そういう意味では日本の国はそこまで強制力を持った対応ができないということがありますから、なかなか費用対効果、これはやった方がそれは良いと私も思います。無料で。ただ、問題は税金でやらなければいけないので、費用対効果も考えないといけないことになると思います。
 以前私お話ししたと思いますが、全介護職員、医療従事者、これを十日に一回くらいやったらどうだということを言われる方がおられます。ところがそれをやるだけでも、PCRの費用、一つは行政検査の費用の金額を一つ指標として費用を出しているわけでありますが、その費用だけで年間2兆円近くかかるかというような状況になってきます。
 ですから、そういう意味では税金を使うということはやはり費用対効果を考えなければなりません。これはよく言われるのですが、アメリカは多分、2億回近い検査をやっておられると思います。しかし感染は止まっていない。日本よりもひどい感染状況です。
 ですから、いかに効率的に、感染の可能性がある方を見つけて、そしてそういう方々を療養いただいて、感染拡大から防止につなげていくかということが非常に大事です。
 やった方が良いのは確かですが、費用対効果を考えるとなかなか全国民の皆様方に無料でというのは難しいことはご理解をいただきたいと思います。
記者:
そうしますと費用対効果の面で、強制力がないがために費用対効果のパフォーマンスを上げることができないというのが最大の理由だろうと、そういうことですか。
大臣:
要するに武漢のように一時に全員やって、そして感染者を隔離できれば、それは一定の効果は示せると思います。
 ただ、それは日本では無理ですよね、事実上。そういう意味ではなかなか難しい。中国という国家体制の中でやれる話だと思います。
記者:
三連休が明けて、前回の緊急事態宣言時よりも日中の人流が減っていないのではないかという指摘もあるのですが、この三連休についての大臣の現状のご認識と、改めて対象となっている区域の方たちにどのような行動が求められるかお考えをお願いします。
大臣:
ぜひともお願いしたいのは、よく20時以降の不要不急の外出は避けてくださいというようなことをお聞きするのですが、不要不急の外出は20時以降ではなく、それ以外も不要不急の外出は避けてくださいということを基本的対処方針ではお願いしております。
 その中でも特に20時以降という言い方をしておりますが、20時以降でなくても、不要不急の外出はなるべく避けていただきたいというのは我々の思いです。
 それと、これもよく一部報道でその話をされる方もおられますが、20時以降でなければ、昼間にお酒を飲んで騒いで良いのか、という話もありますが、良いわけありませんので、それは常識的にお考えいただければ。
 結局、なぜ20時以降という言い方をしているかというと、要するにお酒を飲んでいろいろ皆さんで会話をされたりする機会が多いのは20時以降、仕事終わってからなので、あえてそこでのお店に対する時短のお願いをさせていただいているわけでありまして、それ以前であっても、お酒を飲んで大きな声で喋られたり、マスクをせずに騒がれるとそれは感染リスクが高まります。
 是非とも、20時以降でなくても、そういう行為は自重いただければありがたいということと、20時以降でも不要不急でなければいろいろなところに外出をして、感染リスクが高まるような行動は避けていただければありがたいと思います。
 どうかご協力をよろしくお願いいたします。
記者:
積極的疫学調査についてお伺いしますが、感染者の急増によって保健所のなかで業務がひっ迫しているとして、積極的疫学調査を縮小するような自治体も出てきていますが、こうしたことに対する受け止めとどのような運営が望ましいとお考えでしょうか。
大臣:
積極的疫学調査、当然のごとく感染者が増えてまいりますと対象者が増えてまいりますから、マンパワー等これは厳しくなってくるのは当然のことだと思います。
 そういうことで、11月もそうだったと思いますけれども、年末も方向性、積極的疫学調査のあり方に関しては通知を出させていただいておりまして、以前のようにマンパワー、感染者が少ないなかでの対応というのは難しいので、優先的な順位を考えていただきながら対応いただきたいということはお願いをさせていただいております。
 やれる範囲の中において積極的疫学調査を行って、感染者の拡大をなんとか抑えていただきたいということをお願いしております。
記者:
この週末も変異ウィルスに関する発表がありましたけれども、今回は会食を介してということもあったということですが、大臣の現在の変異ウィルスに関するご所見をお願いします。
大臣:
変異ウィルスであろうとなかろうと、会食でマスクを外してしゃべれば、それは感染拡大につながっていきます。変異ウィルス自体は今のところ、まだ日本国内では市中感染で拡がっている状況にはなっていないのだろうと思います。
 これはなぜそう言えるかと言うと、分析に時間がかかるのでちょっと前の状況ということにはなりますが、感染研の分析では拡がっている状況ではない、市中で見つかっているわけではないということでございます。
 しかし、この間の会食の話も含めて、一定程度、日本にお帰りいただく中において、しっかりと日数を守って療養いただかないと、感染拡大につながる可能性がありますので、是非とも海外からお帰りになられた皆様方は、一定のルールに沿って、自重していただきたいとお願いしたいと思います。
 併せて、海外で変異株が見つかった国に関しては、基本的には国内には入って来られません。日本の方は帰国されるわけでありますし、そのような方は日本に帰ってきてもらっては困るというわけにはいきませんので、お帰りいただくわけでありますけども、やはり変異株がでている国という話になると、例えば、イギリスだとか、南アフリカ、そういう方々に関しては、3日間のホテルなどでの療養をお願いして、3日後にPCR検査を再度やった上で、という対応をしております。
 それ以外の国も、今のところ、発見されておりませんけれども、どういうような状況かというのは、国によって状況は違うと思いますので、先ほど申し上げたような対応をよろしくお願いしたいと思いますし、国の方も、そのような対応に対して再度いろいろな形での体制の強化を考えていかなければいけないと考えております。
記者:
非正規雇用で働く人たち、特にシフト制ですとか、日々雇用の方々というのは企業から休業手当を支払ってもらえないケースがあるということで、中小企業に対しては休業支援金という、労働者が直接請求する制度があるんですけれども、大企業は対象外になっています。
 結果として、大企業で働く非正規雇用の人たちが休業手当も受け取れなくて、休業支援金も受け取れないという状況で支援を絶たれている方もいらっしゃいます。
 2度目の緊急事態宣言で飲食業の方々で、大企業で働かれている方もいると思うんですが、休業支援金の対象を大企業まで拡げることを検討するお考えなどはありますでしょうか。
大臣:
基本的に、大企業は雇用調整助成金をしっかり対応していただける事務的な能力があるはずであるというのが認識でありまして、今般なぜ、休業支援金等を新たに制度として作ったかと申しますと、これは今言われたような中小の飲食店に関しては、そういう事務的な能力をお持ちでないところが多い。
 ですから、経営者の方も、雇用調整助成金を申請する仕方もなかなか難しくてわからないし、結構、飲食店のケースが多いので、例えば、社会保険労務士の皆様方もご協力するのに物理的に限界があるということもあって、そういう意味でなかなか申請いただけないということもありましたので、休業支援金を作って、ご本人の申請でという形にいたしております。
 一方で、飲食店であったとしても、大企業は本来それだけの事務的な能力があるはずです。ですから、そういうようなチェーン店であれば、本社である程度管理できていると思いますので、その意味で、ちゃんとそこで申請いただかないと、本来の雇用調整助成金の制度自体が崩壊してしまう恐れがあります。それは我々、大変危惧しております。
 ただ、一方で、なぜ申請いただかないかという中の一つに、言うなれば、補助率が悪いということがございました。ですから、今回、緊急事態宣言を出したところに関して、20時以降時短の要請をさせていただいていますから、飲食店等に関して、10/10、つまり、10割の補助率で、大企業に関しても対応させていただくということで発表いたしました。
 そうであれば、大企業の持ち出しが基本的になくなるわけでございますので、大企業も、非正規の方々含めて、働く方々に対して、しっかりと雇用調整助成金に則って休業手当を出していただくということを、制度を見直して、今回対応させていただいております。
 改めて、業界の皆様方には、雇用調整助成金を是非ともお使いいただいて、職員の方々、社員の方々の雇用を何とかお守りいただきたい、そうお願いをさせていただいております。

(了)