令和3年1月8日

  1.  対象案件の概要
     (1)インドにおいては、2020年1月30日に同国初の新型コロナウイルス感染症の感染者が確認され、本年1月7日迄の総感染者数は約1,041万人(世界第2位)、総死者数は約15万人(世界第3位)であり、依然として感染者数、死者数ともに深刻な状況が続いています。経済面でも、インド全土を対象とする厳格なロックダウン政策が実施された2020年度第1四半期にはマイナス23.9%成長となるなど大きな影響が出ており、その後、回復傾向にあるものの、特に貧困層や女性を含む脆弱層の保護が課題となっています。

     (2)インドにおける新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、我が国は2020年8月に新型コロナウイルス危機対応のための緊急支援を目的として、500億円を限度とする「新型コロナ危機対応緊急支援円借款」に関する交換公文に署名し、インド政府が取り組む保健・医療分野における緊急対応に必要な資金を供与してきました。
     一方で、新型コロナウイルス感染症を受けた経済活動の停滞により、貧困層や女性を含む脆弱層において特に深刻な影響が生じています。本円借款は、保健・医療分野に留まらず、新型コロナウイルス対策として不可欠な貧困・脆弱層向け経済支援及び制度改革を行うインド政府に対して必要な資金を供与するものです。

     (3)供与条件
      ア 金利: 0.65%
      イ 償還期間: 15年(5年の据置期間を含む。)
      ウ 調達条件: アンタイド

  2.  新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大及びそれに伴う経済社会活動の停滞は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ本円借款を通じて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるアジア・大洋州などの途上国における経済活動の維持・活性化に貢献することは、日本を含む世界経済を下支えする観点からも重要です。
  3.  我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化及び国際社会・経済の回復と安定及び持続的発展に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく途上国を支援していきます。

[参考]インド基礎データ
 インドは、面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍)、人口13億6,600万人(2019年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)2,120米ドル(2019年、世界銀行)。