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令和5年12月26日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

月面探査車(有人与圧ローバ)の研究開発現場の視察について、第2回「博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォース」の開催、日本大学の改善計画について、日本人宇宙飛行士の月面着陸に向けた米国との調整状況、ライフサイエンス分野への支援の方向性について、文化財修理センターへの期待や効果、大臣の今年の漢字一文字、児童生徒の体力低下に向けた対策

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年12月26日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年12月26日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年12月26日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、2件ございます。
 まず1件目ですが、先週22日の金曜日、トヨタ東京デザイン研究所を訪問し、トヨタ自動車とJAXAが共同で研究開発を進めている月面探査車「有人与圧ローバ」の研究開発現場を視察いたしました。今回の視察では、有人与圧ローバの実物大の模型の中に設置されたシミュレータを用いて月面での運転操作を体験し、研究開発の進捗状況について御説明いただき、我が国の様々な技術が活用されていることを実感いたしました。有人与圧ローバは、日本の高い技術力をいかした、アルテミス計画における月面活動への重要な貢献となるものと考えています。現在、文部科学省としては、NASAとの間で有人与圧ローバの実施取決めの合意に向けた調整を進めており、有人与圧ローバの開発が着実に進められていくことを期待しています。
 もう1件です。昨日25日、私を座長とする「博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォース」の第2回を開催しました。昨日は、一般社団法人日本経済団体連合会の小路副会長らから、企業における博士人材の採用や育成等の取組状況や博士人材に対する期待について御意見を伺ったところです。文部科学省としては、大学院教育の改善や、産業界と連携したインターンシップの強化・充実を図るなど、産業界の皆様の御協力もいただきながら、博士人材の活躍促進に取り組んでまいります。直近の学校基本調査においては、博士課程入学者数の増加や博士課程修了者の就職率の向上など、明るい兆しも見られており、今後も、当事者である博士課程学生の皆さんや大学関係者などと直接意見交換をする機会を持ち、検討を進めてまいります。
 以上です。

記者)
 日本大の林真理子理事長が昨日、文科省を訪れて組織体制の再構築などについて記した改善計画を再提出されました。改革の実行期限などが追記されていましたが、これを受けた大臣の受け止めと、改めて今後日大に期待することをお聞かせください。

大臣)
 昨日、今お話があったとおり、日本大学の林理事長が来省し、先月末に提出された改善計画の追加版の提出を頂戴しました。その中では、今回策定された改善計画の進捗をモニタリングする改善改革会議の設置や、理事長などの職務権限の明確化、サポート体制の強化を来年3月までに理事会で決定すること、年度内に「競技スポーツセンター」を設置することなどが明記されるなど、改革に向けた検討体制やスケジュールが示されたものと承知しています。日本大学には、何よりもまず、スピード感を持って改善計画を確実に実行していただきたいと思います。文部科学省としても、取組が確実に実行されるよう、有識者の協力を得ながら、引き続き指導・助言を徹底してまいります。

記者)
 宇宙関連で1点お聞かせください。日本人の宇宙飛行士の月面着陸に向けて、米国との間でアルテミス計画に関する実施取決めの最終段階にあるという報道が一部出ております。改めてこちらの事実関係と大臣の所感についてお伺いいたします。

大臣)
 文部科学省においては、アメリカに次ぐ、2020年代後半の日本人宇宙飛行士の月面着陸の実現を目指し、NASAと有人与圧ローバの実施取決めの合意に向けた調整を進めております。日本人宇宙飛行士の人数や搭乗時期については、現在、交渉中でございます。具体的な内容についてまだコメントできる段階ではありません。また、早期の合意に向けて交渉を加速しているところですが、具体的な署名時期は決まっておりません。有人与圧ローバは、日本の高い技術力を生かした、月面活動への重要な貢献であり、日本人宇宙飛行士の月面着陸の機会が十分確保されるよう交渉してまいりたいと考えています。

記者)
 生命科学関連の質問です。山中伸弥京大教授が一昨日24日の読売新聞に論考を寄せまして、科学でブレイクスルーを起こすには、挑戦的な基礎研究を育むことが寛容だということで基礎研究への息の長い支援を求めました。今後のiPS細胞研究など、ライフサイエンス分野への支援のあり方あるいは方向性について大臣の所感を教えてください。

大臣)
 iPS細胞研究に対しては、政府として一貫して継続的な支援を実施してきております。また、今年度からは、再生・細胞医療と遺伝子治療研究との融合研究を推進しておりまして、令和6年度予算案にも92億円を計上しております。ライフサイエンス分野の研究は、息が長く、長期的な視野を持った支援が不可欠です。iPS細胞についても、臨床研究や治験中の課題も多くありながら、まさに長期的な取組の結果として、花開こうとしている技術であると理解しております。こうした特性も踏まえ、現在、基礎研究や人材育成をはじめとする今後のライフサイエンス研究の中長期的な振興方策について、科学技術・学術審議会の下で御検討いただいているところです。文部科学省としては、引き続き、現場や有識者の御意見を取り入れながら、ライフサイエンス分野を含め、基礎研究や人材育成について、しっかりと取り組んでまいります。

記者)
 教育分野のデジタル化に関して伺いたいと思います。先日の政府のデジタル行財政改革推進会議で、いくつか教育分野のデジタル化について野心的な目標が示されたと理解しているのですけれども、その中で1人1台端末を活用した授業配信、不登校の児童生徒が希望した場合授業配信を受けられる学校を2026年度には100%にしたいというような目標があったかと思います。これは、不登校の子どもたちにとっては非常に良い知らせというか、福音になり得るものだと思うのですけれども、一方で、コロナ禍のオンライン配信等々でも示されたと思うのですが、対面授業にプラスαで同時配信とか、何らかの動画配信を行うというのは教員の一定の負担、慣れ等もあると思うのですが一定の負担になるというような御指摘もあります。今、働き方改革の必要性が出ている中で、オンライン配信とか、授業配信と働き方改革の推進というのをどの辺りを両立させていくつもりなのかというのを伺えればと思います。

大臣)
 今御指摘があったとおり、20日に開催されたデジタル行財政改革会議において、「希望する不登校児童生徒への授業配信を実施している学校の割合」を 「教育DXに係るKPIの方向性」のたたき台として示したところです。これは、本年3月に策定したCOCOLOプランにおいて、児童生徒が希望すれば、1人1台端末やオンラインなどを活用して授業や支援につながることができることを目指すとしたことを踏まえたものでございます。オンライン等を活用した支援の実施に当たっては、学校における働き方改革の観点も踏まえ、担任が一人で抱えるのではなく、管理職や養護教諭、ICTの支援員、教育業務支援員(注)などの支援スタッフ等と連携して取り組む必要があります。令和6年度予算案においても、教育業務支援員(注)の全ての小・中学校への配置などに必要な経費を計上しております。いずれにしても、このたたき台については、今後、専門家や地方教育行政関係者の意見も聴いた上で決定することを考えており、現場に過度な負担を生じさせないよう配慮しつつ、不登校児童生徒に対する必要な支援を推進していきたいと考えています。
(注)「教育業務支援員」は、正しくは「教員業務支援員」です。

記者)
 2点お尋ねします。1点目が昨日、基本構想の発表がありました文化財修理センターについてお尋ねします。昨日発表された構想では、文化財の修理や人材育成といったセンターの役割についての発表がなされましたが、センターについて大臣が期待する効果などがありましたらこの場でお教えください。

大臣)
 お尋ねの国立文化財修理センターについては、我が国の文化財修理のナショナルセンターとして、京都に整備すべく、検討を進めております。今回の基本構想は、有識者会議における議論を踏まえつつ、 同センターに求められる役割などの基本的な考え方を整理し、公表したものです。今後、2030年度までに同センターを開設することを目指しており、引き続き、今般の基本構想をもとに、さらなる検討を進めることとしています。同センターの整備を通じて、修理に携わる人材の不足、修理に用いる原材料の不足、修理スペースの不足など、我が国の文化財修理が直面している様々な課題が着実に改善されるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

記者)
 少し前になりますが、12月頭、日本漢字能力検定協会が今年の漢字を「税」ということで発表されましたが、今年ももうあと数日という中で、大臣の今年の漢字を1文字表現していただくとするとどういったものになりますでしょうか。よろしくお願いします。

大臣)
 私にとっては激震の「震」ですね。2文字だったら激震だけれども、1文字だったら激震の「震」かな。私自身の生活も大きく変わったし、何と言っても今回の政治と金の話がこれだけ大きく出てきて、今どうすれば政治への信頼を取り戻すかで、今、大変な状況ですが、僕にとっては激震の「震」という漢字かなと思います。

記者)
 大きく生活が変わったというのは、やはり大臣に御就任されたというところが大きいというところになるでしょうか。

大臣)
 そうですね。忙しさという点では今までもそんなに暇なポストには就いていなかったのでそれなりに忙しかったですけれども、自分で自分の予定を立てられないというかね、周りからあれやこれや急に入ってくる。例えば官邸の会議が入るだとかね、そういうのが増えたのと、それからこれは記者さんとの懇談会でも申し上げたかもしれませんが、やはり要警護対象者になってSPが付くようになったことですね。トイレ一つ、外にいるときは自分で行けませんですからね。そういう点で生活環境は大変大きく変わりました。

記者)
 先週金曜日22日にスポーツ庁が今年度の体力・運動能力などの調査の結果を公表しました。調査結果によりますと、コロナ後初めての回復傾向となりましたけれども、専門家によると日本の子供の体力・運動能力は1985年をピークに低下傾向にあって、生活環境の変化もあって厳しい状況にあるという意見も聞かれました。これについて文部科学省としてどのように対応していくつもりかをお聞かせください。

大臣)
 今御指摘のとおりでありますが、今回の調査結果を見ると、令和5年度の体力合計点は、男子を中心に4年ぶりに上昇するなど、総じて回復基調に転じる一方で、今御指摘があったとおり、コロナ前の水準には至っていないということです。当省としては、子供の体力に見られる変化の兆しを、運動習慣の本質的な改善につなげていくことが重要と考えています。「生活の中に運動習慣を取り入れ、定着させる」ための取り組みを進めることとしています。具体的には、まず、学校において、これまで各学校で実施されてきた効果的な体力向上の取組事例の周知を図るとともに、体育の授業へのアスリートの派遣や、1人1台端末の活用を通じた効果的な指導方法の普及を進めてまいります。あわせて、地域において幼児期からの運動、遊びの普及を推進するほか、地域における子供のニーズに応じた多様なスポーツ環境の整備を促進するなど、学校、家庭、地域における運動機会を確保し、子供の運動習慣の形成や体力向上につなげられるよう、取組を総合的に進めてまいります。

(了)

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