文科省・新着情報

1.日時

令和2年9月28日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省5階3会議室 ※WEB会議
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 中間まとめ(案)について
  2. その他

4.議事録

【荒瀬分科会長】 皆さん,おはようございます。荒瀬でございます。少しお待たせいたしました。ただいまから第127回中央教育審議会初等中等教育分科会を開催いたします。
 本日は御多忙の中,御出席いただきまして,ありがとうございます。本会議は前回同様,ウェブ会議方式で開催させていただきます。
 議事に入ります前に,前回の会議以降に事務局に人事異動があったということですので,御紹介をお願いしたいと思います。

【田中教育制度改革室長】 事務局,教育制度改革室長の田中でございます。
 前回の会議以降の人事異動につきまして御紹介申し上げます。7月28日付で瀧本寛が初等中等教育局長に就任いたしました。そのほかの事務局の交代につきましては,事前にお送りしております出席者一覧をもって紹介に代えさせていただきます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 続きまして,本日の会議の開催方式及び資料につきまして,事務局から御説明をお願いします。

【田中教育制度改革室長】 続けて失礼いたします。本日は,前回会議までと同様にウェブ会議方式にて開催させていただきますけれども,セキュリティ強化等の観点から,Webexを用いた会議となっております。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,大変恐れ入りますが,御発言のとき以外はマイクをオフにしていただくよう,お願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが,よろしくお願いいたします。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料は,議事次第にございますとおり,資料1から資料2-2まで,加えて,参考資料1から3となっております。御不明な点等ございましたら,お申しつけください。

【荒瀬分科会長】 資料のほう,よろしいでしょうか。なお,本日は報道関係者の方と一般の方向けに,この会議の模様をWebex Eventsにて配信しておりますので御承知おきいただきたいと思います。
 では,議事に入ります。本日の議題は,議事次第でお示ししているとおり,中間まとめ(案)についてですが,その説明に先立ちまして,政府の主な動きとして,教育再生実行会議における検討状況につきまして御説明をお願いしたいと思います。谷合教育再生実行会議担当室参事官から御説明をお願いいたします。

【谷合教育再生実行会議担当室参事官】 内閣官房教育再生実行会議担当室参事官の谷合でございます。政府の教育再生実行会議における現在の検討状況につきまして御報告をさせていただきます。資料1をお手元に御用意ください。
 教育再生実行会議は,平成25年の閣議決定によりまして官邸に設置された会議体でございます。これまで11次にわたる提言を行ってまいりましたが,このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして,本年7月から「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」というテーマで検討を開始したところでございます。本日は,その検討状況について御報告いたします。
 資料1,「背景」とあるところでございますが,新型コロナウイルス感染症の拡大や,それに伴う学校の臨時休業等により,ICTを活用した教育環境の遅れですとか家庭学習等の課題が明らかになったところでございます。現下の状況への対応はもとより,今後同様の事態が生じた場合でも,子供たちの学びを確実に保障し得る環境を整備・構築するとともに,ポストコロナ期の新たな学びの在り方についても検討する必要があると考えております。また,いわゆる秋季入学につきましても,今回,ポストコロナ期における新たな学びの在り方について検討する中で御議論いただくことにしているところでございます。
 このため,次の2ページをお開きいただきたいと思います。教育再生実行会議のいわゆる本体会議の下に初等中等教育と高等教育の2つのワーキング・グループを設置いたしまして,それぞれ新たに10名程度の有識者に御参加をいただき,9月以降,専門的・多角的な検討を開始したところでございます。3ページが初等中等教育ワーキング・グループの名簿,4ページが高等教育ワーキング・グループの名簿,5ページが本体会議の名簿となっておりますので,適宜御参照をお願いいたします。
 続いて,6ページをお開きいただきたいと思います。ワーキング・グループの検討事項について御説明をいたします。初等中等教育ワーキング・グループの主な論点といたしましては,検討事項例にございますように,1,ICTの本格的導入を含めニューノーマルにおける新たな学びはどうあるべきか。例えば,ICTの活用や,対面と遠隔・オンラインのハイブリッド化による協働的な学びの深化ですとか,個別最適な学びの実現といったこと,そして,2,感染症対策,ICTの本格的導入のための指導体制や環境整備はどうあるべきか。例えば,令和時代のスタンダードとしての新しい時代の学びの環境の姿と,その中での少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備,ICTや関連する施設設備等の環境整備などについて今後議論いただくこととしております。
 次に,7ページでございます。初等中等教育と高等教育の両方のワーキング・グループで共通して検討が必要な事項でございます。必要に応じて合同のワーキング・グループも開催をする予定でございますが,秋季入学につきましては,丸1 導入のメリットと課題,丸2 大学における秋季入学の現状を踏まえた学事暦,修業年限の多様化について検討を行い,丸3 それらの検討も踏まえつつ,初等中等教育段階における学事歴・修学年限の在り方についても検討することとしております。その際,米印にありますように,大学と初等中等教育以下とでは状況が大きく異なるため,それぞれ分けて議論を行うこと,また,秋季入学につきましては,当初は新型コロナウイルスによる学校休業ということが背景にございましたので,就学年齢を一定期間後ろ倒しすることを前提に検討されたわけですが,この後ろ倒しの案には解決困難な課題が明らかとなっておりますので,そうしたことを踏まえて今後の議論を深めるべきではないかとしてございます。
 最後に,8ページを御覧ください。本年7月と8月に開催されました教育再生実行会議の本体会議におきまして,複数の委員から少人数学級を求める意見が相次いだことなどを踏まえまして,去る9月8日に第1回の初等中等教育ワーキング・グループを開催いたしまして,特に少人数によるきめ細かな指導体制・環境整備を中心に議論をいただきました。このペーパーは,そのワーキング・グループの議論の成果として取りまとめられたものであります。
 3.の2行目の終わりから御覧いただきたいのですが,特に少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備や関連する施設設備等の環境整備を進める方向で今後議論していくということにつきまして,教育再生実行会議の初等中等教育ワーキング・グループとして合意をしたところでございます。教育再生実行会議におきましては,今後,ワーキング・グループにおいてさらに具体的な議論を進め,最終的には来年5月頃の提言取りまとめを目指して検討を行っていく予定にしてございます。
 説明は以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 続きまして,中間まとめ(案)について御説明をお願いしたいと思います。田中教育制度改革室長から御説明いただきます。

【田中教育制度改革室長】 まず,本中間まとめ(案)につきましては,特別部会において8月20日に骨子案を,9月11日には素案を御審議いただいた上で,本日お諮りするものです。昨年12月の論点取りまとめを土台として,これまでの本分科会や特別部会で示された委員の皆様の御意見,また,関係部会やワーキング・グループ,各有識者会議からの報告を取りまとめたものとなっております。中間まとめ(案)の本文は資料2-2となりますけれども,時間も限られますので,本日は資料2-1の概要版を基に,ポイントを絞って説明させていただきます。
 まず,資料2-1の1ページを御覧ください。こちらは第1部,総論部分となっております。表題は,「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」,サブタイトルとして,「全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現」としております。上段部分1ポツでは,Society5.0の到来や新型コロナウイルス感染症の感染拡大など,先行き不透明で「予測困難な時代」の中で,基盤的なツールとしてのICTを学校教育の前提とし,新学習指導要領を着実に実施し,右上の青色部分にございます資質・能力を子供たちに育むべきこととしております。
 その下,2ポツですけれども,我が国の初等中等教育が諸外国から高く評価されていることなど,その成果について記述するとともに,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を通じて再確認された学校の役割として,ここに挙げた学校教育の3つの役割を確認しております。また,変化する社会の中で直面する課題として,学校の担う業務の拡大,子供たちの多様化,高校生の学習意欲の低下,教師の長時間勤務による疲弊,情報化の加速度的な進展に関する対応の遅れなどについて記載しております。一番下ですけれども,このような中で,いずれも中教審での議論を経て具体化された施策であります新学習指導要領の全面実施,学校における働き方改革の推進,GIGAスクール構想という令和時代とともに始まった3つの新たな動きを加速・充実しながら,新しい時代の学校教育を実現することが必要としております。
 続きまして,2ページ目を御覧ください。ここでは3ポツ,「2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿」について記載しております。これは,明治から続く我が国の学校教育の蓄積である日本型学校教育のよさをさらに受け継ぎながら発展させるという意味が込められております。上段の部分ですけれども,子供の学びの在り方として,「個別最適な学び」と「協働的な学び」を往還すること,このうち「個別最適な学び」については,「指導の個別化」と「学習の個性化」を教師視点から整理した概念が「個に応じた指導」であり,これを学習者視点から整理した概念が「個別最適な学び」であるとしております。いずれも専門性の高い教師による指導,ICTの活用を前提としながら,子供が受け身になるのではなく,学習の自己調整を行い,主体的に学習を最適化することを目指しております。その上で,昨年12月の論点取りまとめにおいてお示しいただきました新しい時代を見据えた学校教育の姿,この内容をベースといたしまして,特別部会での御意見を反映させた形で,幼児教育,義務教育,高等学校教育における子供の学びの姿,そして教職員の姿,子供の学びや教職員を支える環境について記載をしてございます。
 続きまして,3ページ目を御覧ください。ここでは,4ポツ,「「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性」として,各論に関わる横断的な取組の方向性を記載しております。上段部分ですけれども,これまで日本の学校教育が果たしてきた3つの役割を重視,継承すべきであること。学校や教師がすべき業務等の精選,縮減,重点化,教職員定数等の人的資源,物的資源を現場に十分に供給支援することが国に求められる役割であること,デジタルかアナログかといった二項対立ではなく,どちらのよさも適切に組み合わせて生かしていくという考え方に立つべきであることを記載しております。その上で,ここにございますように,今後の改革の方向性として6項目を挙げているところでございます。
 続きまして,4ページを御覧ください。ここからは各論となります。各論は9項目で構成されております。各論では,関係部会や有識者会議からの報告を受け,特別部会において御審議いただいたことを中心に,それぞれ(1)として基本的な考え方を書いた上で,具体に取り組むべき,検討すべき,留意すべき事項等について項目を整理して記述する形を取っております。
 まず,4ページでございますが,1ポツ,「幼児教育の質の向上について」でございます。この中では,右側の上の部分ですけれども,(4)「幼児教育の質の評価の促進」として,PDCAサイクルを構築することや,幼児教育の質に関する評価の仕組みの構築に向けた手法の開発・成果の普及などについて記載してございます。また,(6)でございますけれども,「幼児教育を推進するための体制の構築等」として,幼児教育センターの設置,幼児教育アドバイザーの育成・配置等について,また,その下,(7)「新型コロナウイルス感染症への対応」として,トイレや空調設備の改修等による衛生環境の改善,園務改善のためのICT化支援などについて記載してございます。
 続きまして,5ページ目を御覧ください。こちらは,2ポツ「9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について」となります。(2)「教育課程の在り方」におきましては,真ん中辺り,丸2番,ア「補充的・発展的な学習指導」として,必要に応じて異なる学年の内容を含めて学習指導要領に示していない内容を加えて指導できることなども書いてございます。その下,イでございますが,「特定分野に特異な才能を持つ児童生徒に対する指導」について,遠隔・オンライン教育も活用した実証的な研究開発を行うことを書いてございます。また,丸3番ですけれども,「カリキュラム・マネジメントの充実に向けた取組の推進」として,総枠としての授業時数は引き続き確保しつつ,教科等ごとの授業時数の配分について一定の弾力化を認める仕組みを設けることなどを記載してございます。
 右側でございますけれども,(3)「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方」として,丸1,小学校高学年からの教科担任制の導入を令和4年度をめどに行うこと,丸2,教師の養成等の在り方につきましては,小学校と中学校両方の免許取得を促進することや中学校免許を有する者が小学校で専科教員として勤務した経験を踏まえて小学校免許を取得できるよう制度の弾力化を図ることなどについて記載してございます。
 その下,(4)でございますけれども,丸1「不登校児童生徒への対応」では,不登校特例校の設置促進,フリースクール等との連携促進,その下ですけれども,児童生徒の支援ニーズの早期把握,校内別室における相談・指導体制の充実等の調査研究などについて記載してございます。また,その下ですけれども,(5)として「いじめの重大事態,虐待事案等に適切に対応するための方策」を記載してございます。
 続いて,6ページを御覧ください。「新時代に対応した高等学校教育の在り方について」となります。(2)では,高校生の学習意欲を喚起し,能力を最大限に伸長するための各高等学校の特色化・魅力化を進めるための方策として,丸1,スクール・ミッションの再定義,丸2,3つのスクールポリシーの策定,丸3,普通教育を主とする学科の弾力化・大綱化,丸4,産業界と一体となって地域産業界を支える革新的職業人材の育成などについて記載してございます。
 右側でございますけれども,(3)「定時制・通信制課程における多様な学習ニーズへの対応と質保証」として,丸1では,専門スタッフの充実や関係機関との連携強化,ICTの効果的な活用などによるきめ細やかな指導・支援,丸2では,高等学校通信教育の質保証のための各種方策について記載をしているところでございます。
 続きまして,7ページを御覧ください。4ポツ「新時代の特別支援教育の在り方について」となりますけれども,左の上のほう,(2)「障害のある子供の学びの場の整備・連携強化」につきましては,丸2では,副次的な籍の導入による学級活動等の充実化や,通級による指導の担当教師等の配置改善や指導体制の充実などについて記載してございます。その下,丸3では,特別支援学校の設置基準策定や教室不足の解消に向けた集中的な施設整備の取組促進などについて記載しております。右側でございますけれども,(3)「特別支援教育を担う教師の専門性向上」では,丸3におきまして,特別支援学校の教師に求められる専門性,これを培うために特別支援学校教諭の教員養成段階における内容の再検討やコアカリキュラムの策定などについて記載してございます。
 (4)「関係機関との連携強化による切れ目のない支援の充実」につきましては,この一番下になりますけれども,学校に置かれる看護師の法令上の位置づけの検討,中学校区における医療的ケア拠点校の設置検討などについて記載してございます。
 続きまして,8ページを御覧ください。5ポツ「増加する外国人児童生徒等への教育の在り方について」ですが,左側(2)として,日本語指導のための教師等の確保,丸2として学校における日本語指導の体制構築などについて記載してございます。また,(3)でございますけれども,丸1として,日本語指導担当教師等が専門知識の習得を証明できる仕組みの構築などについて記載してございます。右側(4)ですけれども,就学状況の把握,就学促進について記載しているところです。(5)では,公立高等学校入学者選抜における外国人生徒を対象とした特別な配慮による 入試等の在り方について,地方公共団体の取組促進,高等学校版JSLカリキュラムの策定の検討等について記載してございます。
 続きまして,9ページを御覧ください。6ポツ「遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について」ですが,上段部分(2)「ICTの活用や対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化による指導の充実」といたしまして,丸1ではデータ標準化等の取組を加速すること,学習計画及び学習履歴等のICTを活用したPDCAサイクルの改善を図ること,CBTを活用した学習診断などができるプラットフォームの構築などについて記載してございます。その下,丸2ですけれども,全国的な学力調査のCBT化の検討について記載してございます。
 右側,丸5ですけれども,デジタル教科書・教材の普及促進,丸7ではICT人材の確保について記載してございます。また,下段のほうになりますけれども,(3)として,特例的な措置や実証的な取組等を挙げてございます。丸1では,感染症や自然災害等により児童生徒がやむを得ず登校できない場合における学校の教育活動継続のために,学びの保障の着実な実施に向けた制度的な措置を検討・整理することを記載しております。その下,丸2ですけれども,学校で学びたくても学べない病気療養,不登校の児童生徒に対する方策の遠隔・オンライン教育の活用について記載してございます。丸3でございますけれども,特別な配慮を要する児童生徒に対し,学校外での受講も可能とする遠隔教育を行う特例的な措置を講じる,このための指導方法の研究開発を実施すること,また,一番下ですけれども,高校段階におきましては,家庭における同時双方向型オンライン学習を授業の一部として特例的に認めまして,対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化を検討することをお伝えしてございます。
 続きまして,10ページを御覧ください。7ポツ「新時代の学びを支える環境整備について」といたしまして,(2),1人1台端末や遠隔・オンライン教育に適合した教室環境や教師のICT環境の整備をすること,その下,(3)でございますけれども,1人1台端末の活用等による児童生徒の特性・学習定着度等に応じたきめ細かな指導の充実や,身体的距離の確保に向け,少人数によるきめ細かな指導体制や小学校高学年からの教科担任制の在り方等の検討を進め,指導体制,必要な施設整備を計画的に整備することについて記載してございます。その下,(4)ですけれども,PHRの一環として,学齢期の健康診断情報を電子化することなどをお伝えしてございます。
 下段部分,8ポツですけれども,「人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設の在り方について」として,(2)丸1,公立小中学校等の適正規模・適正配置などについて,新たな分野横断的実行計画の策定をすること,それから,義務教育学校化を含む自治体内での統合,分校の活用等について記載してございます。丸3では,高校につきまして,中山間地域や離島等の学校のネットワークを構築しまして,ICTも活用して,多様な選択科目を履修できるようにすることなどについて記載してございます。その下,(3)ですけれども,地域の実態に応じて,小中一貫教育の導入や学校施設の適正規模・適正配置の推進,長寿命化,他の公共施設との複合化・共用化などを進めることを記載してございます。
 最後,11ページとなります。9ポツ「Society5.0時代における教師及び教員組織の在り方について」ですけれども,(2)では「教師のICT活用指導力の向上方策」として,動画コンテンツの教職課程の授業における活用を促進すること,また,研修に関しましては,都道府県教育委員会等の研修の体系的かつ効果的な実施,また,オンライン教員研修プログラムの作成などについて記載してございます。
 (3),右側ですけれども,「多様な知識・経験を有する外部人材による教員組織の構成等」として,社会人の勤務と学修時間の確保の両立に向けた教職特別課程の修業年限規定の柔軟化,また,従来の特別免許状とは別に,より短期の有効期間で柔軟に活用できる免許状の授与等について記載してございます。
 その下,(4)では,教員免許更新制の実質化について,現下の情勢で,この制度が教師や迅速な人的体制の確保に及ぼす影響の分析,また,包括的検証の推進によりまして,必要な教室数の確保とその資質能力の確保が両立できるような在り方を総合的に検討することとしております。(5)では,教師の人材確保のため,教師の魅力を発信する取組の促進や,各任命権者におきまして,中長期的視野からの計画的な採用・人事の推進を進めることを記載してございます。
 簡潔でございますが,以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。それでは,この後,委員の皆様から御意見をお願いしたいと思います。御発言の際ですが,いつも申し上げておりますように,「挙手」のボタンを押していただきまして,こちらから指名をさせていただきましたら,マイクをオンにしていただいて御発言をいただきたいと思います。また,終了後は,もう一度ボタンを押して,挙手を取り下げてくださいますようお願いいたします。
 まず,委員の皆様から御意見をいただく,その前段といたしまして,本議題に関連してお二人から御発言をいただきたいと考えております。
 初めに,先日24日木曜日に開催されました教育課程部会におきまして出された主な意見につきまして,天笠教育課程部会長から御紹介をお願いいたします。よろしくお願いします。

【天笠分科会長代理】 今ありましたように,去る9月24日に教育課程部会が開催されまして,そこにおきまして委員の方々から様々御意見いただいたわけですけども,その中から主な意見としまして,2点申し上げさせていただきたいと思います。それで,恐れ入りますけども,今,資料2-1に基づいて御説明いただきましたけども,改めまして資料2-2に沿って2点御説明をさせていただきたいと思います。
 まず1つ目ですけども,資料の37ページのところでありますけども,これは先ほど御説明の中にもありましたけども,資料37ページの一番下の丸でございますけども,そこに,「カリキュラム・マネジメントの充実に向けた取組の推進」において,「総枠として授業時数は引き続き確保しつつ,カリキュラム・マネジメントに係る学校裁量の幅の拡大の一環として,教科等の特質を踏まえつつ,教科等ごとの授業時数の配分について一定の弾力化を認める仕組みを設けることも考えられる」という,そういう文言がありますけども,これにつきまして,標準授業時数が学習指導要領に示す各教科等の内容の指導の質を担保するための量的な枠組みとしての性格を要していることを踏まえつつ,教科等横断的な視点に立った資質能力の育成や探求的な学習などを推進するため,より高度なカリキュラム・マネジメントに向けて,学校が自走できる特例的な制度として設けるとともに,特例を活用する学校は,その取組を公表することとするべきとの御意見がありました。
 1点目がそれでありまして,続きまして,もう一つは,前に戻りますけども,18ページのところでありますけども,下から3つ目の丸のところでありますけども,そこには,「教師が,学習履歴(スタディ・ログ)や生徒指導上のデータ,健康診断情報等をICTの活用により蓄積・分析・利活用しつつ」との記載がありますが,御意見としましては,スタディ・ログの活用は望ましい効果もあるが危惧される点もあるのではないか,進学先でも情報を引き継いでいくことにもなると,子供の過去の様子をいつまでも引きずって見てしまうおそれもあり,具体的にどのようなデータをいつまで蓄積し,どう利用するか,答申に記載するに当たって専門的な検討が必要ではないかとの意見がありました。
 以上2点,御紹介をさせていただきます。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 続きまして,道永委員から資料を頂戴しております。参考資料1です。では,道永委員,御説明をよろしくお願いいたします。

【道永委員】 ありがとうございます。
 日本医師会には,会内の委員会として学校保健委員会というものがございます。今回は,「児童生徒等の健康支援の仕組みを核とした実践的な生涯にわたる健康教育を推進するために学校医はどうあるべきか」という答申を5月にまとめました。今回,委員の提出資料としてお認めいただきまして,改めて荒瀬分科会長に感謝申し上げます。
 内容を簡単に説明いたします。本文の3ページですが,日本医師会として取り組むこととして,学校医の活動を中核に据え,児童生徒の健康リテラシー向上に貢献していくべきである。子供の健康リテラシー向上に参画していくための土台と環境づくり,具体的には,学校医が学校での健康教育立案に協力し,出前授業等の児童生徒向け及び教員・保護者向け教育を立案・実施する等を進めていくべきであるとしています。
 本文の4ページです。学校医が積極的に参加するために必要な支援として,学校医は教職員との意思疎通を密にし,学校の事情を深く理解していく必要がある。学校医が出前授業や講演等で利用できる教材パッケージの活用と子供が受け入れやすい教材の追加作成により整備すべきである。保健活動,保健教育活動を担う力を備えた医師,学校医の養成と認定システムの整備に取り組むべきであるとしています。
 また,日本医師会にはこれらの実現のため,行政との連携を積極的に進めてほしいこととして,中央教育審議会に対して,次期学習指導要領改訂と大学における教員養成教育への医療界からの参画を提案する。文部科学省の健康教育部局との連携もさらに進めてほしい。厚生労働省には,健康日本21における健康リテラシーの重要性の強調,今後整備されるPHRの健康教育への活用等を働きかけていくとしています。中間まとめ(案)にも記載されておりますが,人生100年時代と言われる今日にあって,医療界と教育界の連携は極めて重要になっています。委員の先生方におかれましても,関係機関の連携強化による切れ目ない支援を充実していくために,引き続き,御理解を賜ればと思っております。
 御報告は以上ですが,中間まとめ(案)に対する意見も今言ってしまってもよろしいんでしょうか。

【荒瀬分科会長】 どうぞ。

【道永委員】 2点ございます。
 まず,この中間まとめ(案)の冒頭に,「子供の頃から各教育段階に応じて体力の向上,健康の確保を図ることなどは,どのような時代であっても変わらず重要である」と記載していただいたことに感謝いたします。
 2点ございます。先ほどの御説明にも出ましたが,医療的ケアの必要な子供たちの対応にも言及されておりますが,医療的ケアが必要な子供たちの中には,通学が困難なため,在宅において教育を受けざるを得ない子供たちもおります。今後,どのようにその子供たちに対応していくのか教えていただきたいと思います。
 2点目です。今もお話ししましたPHRについてですが,学校健診,非常に重要なデータとなっております。今,PHR,乳児健診は大分進んでいるようですが,学校のほうではどうなのか,進捗状況を教えていただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。御質問につきましては,最後にまとめて事務局から答えていただくことにいたします。
 それでは,御発言のおありの方は挙手のボタンをお願いしたいと思います。それでは,戸ヶ﨑委員,八並委員の順でお願いをしたいと思います。
 戸ヶ﨑委員,どうぞ。

【戸ヶ﨑委員】 戸ヶ﨑でございます。長くなりますので,事前に資料を提出させていただきました。大きく1~3の項目で意見をさせていただきます。
 1.GIGAスクール構想の「1人1台」を生かした学びの変化
 p.17 「丸3 GIGAスクール構想」一番上の丸に「……これからの学校教育を大きく変化させ,様々な課題を解決し学びの質を向上させることが期待される。」とあります。
 それを期待して,p.60からの「6.遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について」を読むと,「大きく変化させる」方向性や,遠隔・オンライン教育を除き「1人1台」である意義や必然性などの記述が弱いように感じます。
 大切なのは日々の「主体的・対話的で深い学び」の授業に日常使いされることです。すでにコロナ前の教師主導型授業に戻ってしまっているところも少なくありません。記載のように「どのように生かされるのか,実践を深めていくことが重要」というスピード感では,特にコンテンツ等を購入する予算がない自治体では,対面授業のできる期間は,無用の長物化することを危惧しています。
 9月11日に出された,「各教科の指導におけるICTの効果的な活用について」の指導事例集の記載はないようですが,このような使い方が,どこの学校でも当たり前になる必要があります。PCは子供たちの文房具となり,特に意識されることないく,いつでもどこでも学びに活用できるようになってこその「1人1台」だと考えます。
  ここでの記載も含めて,現状は多くの自治体や学校でもICT活用は,教師主導の「指導と管理」による活用,つまり「教具的視点」の傾向が強いように思います。今後は,「指導と管理」から学習者中心の「学びと愛用」といった「文具的視点」に変えていく必要があると思います。
 本市においても,タブレット導入当初は,どうしても教師の引いたレールに乗せがちでした。しかし,現在では,画面やアプリ等を自分なりにカスタマイズする子,授業記録を取っている子,カメラや録音機能を利用して音読練習を行っている子,クラウド活用のアイデアを提案する子,などの姿が多く見られてきました。ICTの普段使いは子供たちの方が柔軟です。そうした姿を教師がどう捉えるかが「学びと愛用」へのターニングポイントになるのではないでしょうか。ICTが普段使いされなければ,学習履歴の蓄積や個別最適な学びは持続可能なものとして実現しないと思います。その当たりの記載はできないでしょうか。
 2.「個に応じた指導」と「個別最適な学び」について
 p.18の3つ目の丸,「以上の「指導の個別化」と「学習の個性化」を教師視点から整理した概念が「個に応じた指導」であり,学習者視点から整理した概念が「個別最適な学び」と考えられる。」とありますが,この意味が教育委員会や学校現場で腹落ち(理解・浸透)し,日々の実践に結びつくことが何より大切だと思います。
 これまで「個に応じた指導」は,長きにわたり日本の教育において授業の根幹を成す概念として位置づいてきましたが,この概念は校門から職員室までは入っていても各教室にまで入っていたとは言いがたいところがあります。
 また,よく「一律・一斉・一方向型の教育」から脱するべきと強調する方々は,場所,進度,時間割,教材などの個別化を進めるべきであると主張されることが多いように思います。
 これらを鑑み,合わせて,市内小中学校の校長からの意見も踏まえ,大きく次の3点を申し上げておきます。
 1つ目です。ICT活用は大いに推進していくべきですが,「個別最適な学び」という名のもとに,「機械的なドリル学習」がもてはやされたり,指導なしで学習者の自主性等に委ねられたりする「自主という名の放任や孤立学習」は避けなければなりません。そのために,すでに触れられている箇所もありますが,個に応じた指導,個別最適な学びの推進に向け, 次の3点について改めて何らかの記載がほしいと思います。
 丸1 個別最適な学びは,ICTだけがマストアイテムなわけではないこと
 丸2 日常的な指導場面に,これまで以上に教師のきめ細かな指導や支援といった関わりが重要になること
 丸3 子供の躓きや伸びを適切に評価する必要があり,形成的な評価(指導過程における評価)を適切に行う必要があること,です。
 大きな2点目です。「個に応じた指導」と「個別最適な学び」について,教育関係者はもちろん,それ以外の方々にも正しい理解と協力を得ることに努める必要があるのではないかと思います。ややもすると,教育委員会や学校の理解不足等により適切な実践が浸透しないことや,教育委員会や学校に対して,個別指導の教育サービス業であるかのような過度な要求が生じることが考えられます。
 それを避けるためにも,個に応じた指導や個別最適な学びに対して,学校教育が行うべき教育活動の内容(優先順位や守備範囲)などを,言葉の定義とともに,可能な限り難しい業界用語を避け,わかりやすい言葉で広く国民に向けて情報発信していく必要があるのではないでしょうか。
 大きな3点目は,そのことにも関連しますが,個人的に手元に置いてよく活用している資料に,昭和59年に文部省から出された指導資料「小学校教育課程一般指導資料Ⅲ 個人差に応じる学習指導事例集」があります。当時は,個に応じることの大切が強調され,教育現場の関心もとても高まっていました。その時期に出されたこの事例集は,一斉授業も含めて「個に応じる指導」の理論と実践が凝縮されていました。
 この内容は現在でも十分に通用する知見が蓄積されていることから,この知見をICTの活用や学習者の視点から見直し発展させた,続編となる「個別最適な学び」の指導事例集を積極的な情報発信の意味でも出せないでしょうか。
 3.個別最適な学びと協働的な学びについて
 p.19の上から2行目 「その際,協働的な学びにおいては,集団の学習効率化に重きを置きすぎるおそれもあるが」とありますが,「集団の学習効率化」の意味することがどこまで正しく理解されるのか疑問に思います。察するに同調圧力を加えることや限られた子供の強引な誘導による学習など,集団の学習が個の学びを妨げることを危惧しての表現と思われますが,再考を要すると思います。
 また,それに続き「むしろ集団の中で児童生徒一人一人の良い点や可能性をいかに生かしていくかを考えていくことが大切である」とありますが,そもそも何のための「協働的な学び」なのか,つまり,個が生きない学びはそもそも「協働的な学び」とは言えないのではないかとも思います。そのように鑑みると「協働」であって共同,協同,共働,共動などではない理由も明らかにするためにも,「協働的な学び」の定義も改めて必要ではないかと感じました。以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,この後,八並委員から御発言をいただきますが,その後,牧野委員,岩本委員,喜名委員,鶴羽委員,加治佐委員,吉田晋委員,橋本委員,そして,清原委員,堀田委員,渡邉委員の順にお願いしたいと思います。私,申しそびれたのですが,いつもお願いしておりますように,大変恐縮ですけれども,たくさんの方が御参加になっていらっしゃいますので,可能な限り手短にまとめて御発言いただきますように,よろしくお願いいたします。
 では,八並委員,よろしくお願いいたします。

【八並委員】 日本生徒指導学会会長の八並です。よろしくお願いします。
 資料の5ページの2ポツの(5)「いじめの重大事態,虐待事案等に適切に対応するための方策」を御覧ください。
 「成長を促す指導等の積極的な生徒指導の充実」は,今後の生徒指導で重要な視点です。従来生徒指導というと,どうしてもいじめ・暴力行為・不登校などが起きてから対応するという事後対応的な指導が主でした。アメリカのスクールカウンセリングで言えば,リアクティブな指導であり,日本的には治す生徒指導です。しかし,近年のいじめ自死事案をみればわかるように,起きてからでは対応は極めて難しいです。参考で申し上げると,平成30年の子どもの自死数は,332人で過去最多です。内訳は,小学生5人,中学生100人,高校生227人です。いじめが原因の自死は,9人です。子どもの自死ゼロを,目指す必要があります。
 そこで,いじめ・暴力行為,不登校・自死が,起きないようにどうするかを考える必要があります。あるいは,未然防止だけでなく,子どもたちの個性の発見伸長,自己肯定感や創造性,社会性の育成が,生徒指導上の重点であり,抑止力になります。リアクティブな指導に対して,このような指導は,プロアクティブな指導と呼ばれます。日本的には,育てる生徒指導です。今後は,リアクティブな治す生徒指導からプロアクティブな育てる生徒指導へのシフトチェンジが重要となると思います。
 その際に,GIGAスクールは,プロアクティブな育てる生徒指導の改善に大きな役割を果たすと思われます。文部科学省の令和元年度「エビデンスに基づいた学校教育の改善に向けた実証事業」の実証研究に基づいて作成された「教育の質の向上に向けたデータ連携・活用ガイドブック」では,大阪市の場合,校務系データである出欠情報・保健室利用情報と,授業・学習系データである児童アンケート(心の天気)を連動させて,気になる児童を把握し,管理職と担任が協議して声かけなどの生徒指導支援を行っています。同様の実践は,福島県新地町でも見られます。教育データ可視化システムの活用によって,即時的な対応が可能となり,問題行動や不登校の未然防止が促進されると思います。
 次に,9ページの6ポツ,丸6の「児童生徒の特性に応じたきめ細かな対応」部分で,特に不登校の子供の支援についてです。
 文部科学省の「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では,自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数(人)は,小学校88人,中学校198人,計286人です。実質的には,学校外を除くと171人が出席扱いになっています。非常に少ないわけです。そういう意味で,今後,GIGAスクールによって,在宅学習での出席扱いも増加は見込めると思います。「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の「第三章 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等」にも寄与すると思います。その点で,不登校の子ども支援の在り方も変わってくると思います。
 最後に,道永委員が言われた学校医については,特に現在,歯科医が児童虐待の早期発見者としての役割を担っております。そういう点で,学校医が教員と協働して,生徒指導上の未然防止や課題解決にも寄与していただけるのではないかと思っております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,牧野委員,お願いいたします。

【牧野委員】 よろしくお願いします。
 ちょっとお願いしたいんですけど,概要版のほうに文言がなくて気にしていたところがありましたが,本文にはちゃんと書いてあったので,やはり概要版でもきちんと書いてほしいなと思ったのが,概要版の2ページの真ん中の高等学校教育のところです。義務教育のところにはちゃんと文言があるんですけど,高等学校教育にその文言がなかったので,本文を見たんですが,ちゃんと書いてあるんですね。多様な他者と協働した探求的な学びという文言です。これはやはり高等学校教育にもちゃんとあるということは明示しておいていただければなと思いました。
 それから,私が一番気にしているのは,GIGAスクール構想の関係でずっと言ってきていることなのですが,「教師のICT化活用指導力の向上方策」,最後の11ページのところです。ここは今回のコロナ対策で,各自治体とも前倒しで1人1台端末の実現を目指して予算を組んできているところだと思うんですね。実際に私どもの市におきましても,この秋から全小中学校で,1人1台端末を実現するための準備はしてきております。ただ,GIGAスクール構想の当初から課題視されておりました,教える側の指導力の向上をどうするかということについては,これはもう相当厳しいな状況かと思います。このような場合,従来であれば文科省で,例えば,事例を集めて,それを各教育委員会に送って,学校現場で参考にしてもらうということになるのでしょうが,今回はそういったやり方では,なかなか追いついていかないんじゃないかということを懸念しています。むしろ,こういったICTの活用については,それこそ横のつながりでオンラインを組んでいけるような体制づくりが必要なのではないか。各学校で共通する課題をどういうふうに解決していくか,それぞれ考えて,いい事例をどんどん学校同士の横のつながりで共有ができるような,そういったシステム,仕組みというものを,ある程度実装していかないと,結局かなり使えているところは使えているんだけれども,使えてないところは全然使えてないという情報格差が生じてきてしまうんではないかということを懸念します。ですから,そういったことについては,実際にかなり動いているところなので,こういった動いている中で,どうやって指導力の向上を考えていくかということについて,さらに検討していただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,岩本委員,お願いいたします。

【岩本委員】 よろしくお願いします。私のほうから,大きいところで3点あります。
 1つ目が,標題とそのサブタイトルについてです。これ,すごくシンプルになってよくなったなという印象を持っているんですけども,1つ,個別最適な学びと協働的な学びというのを,今回ここまで前面に出す必要が本当にあるのかというところで問いが生まれています。理由としては,今,正に現場で主体的・対話的で深い学びというのを掲げた新しい学習指導要領がい良いよこれから始まっていくという段階で,教員もそういったところに向けて準備をしてきている中で,このタイトル,サブタイトルとかをぱっと見たときに,あっ,また何か新しい言葉を中央の偉い人たちが何か言ってきたわという,また,新しい学びを子供たちや現場にやれって言ってくるような内容なのねという,そういった第一印象を与えてしまうような危惧があるなと。本質はそうではないというところなんですが,ぱっと見たときに,あっ,また来たと,何々な学び,来たねということになってしまうのではないかというところで,ちょっとそこが気になっています。やっぱり令和の日本型学校教育の本質というのは,今までの日本型学校教育で培ってきたものと今後,今度,デジタルだとかICT,オンラインといったものを最適に組み合わせるということだと思うので,逆にそういったところが明確に分かるようなもの,サブタイトルとかでもいいのではないかというところが1つ目です。もし代案とか必要であれば出しますけれども。というのが1点目です。
 2点目は,ちょっとそれに絡むところで,戸ヶ﨑委員からも話があった個別最適な学びと協働的な学びというところに関しては,概要と本文それぞれに,主体的・対話的で深い学びと個別最適な学びと協働的な学びというのがどういう関係なのかということを,少なくとも一般の教員が見て,あっ,そういうことねと分かるように分かりやすく提示をして,変な混乱だとか無用な論争や議論に現場のエネルギーが割かれるとか右往左往しないようにする必要が明確にあるかなと思います。いますので,新しい何々な学びがたくさん並列で出てきてこれもやれ,あれもやれ,やれやれということではないんだよということをはっきりと示すことが大事かなと思います。これが2点目です。
 最後,3点目ですけども,これはこの概要や本文の恐らく一番最後のところに入るのかなと思いますけども,このまとめには,ここで書かれていることを実現していくための教育行政の在り方という項目が書かれていないので,やっぱりしっかりと入れる必要があると思いますし,これがないと,正に画竜点睛を欠くということになるかなと思います。こういったことを現場で進めていくための教育行政の在り方といったときには,やっぱり一つは内向きで縦割りの教育行政から社会に開かれた教育行政へと,これ,ネットワーク型行政と言われるようなところだと思いますけども,やはり縦横両方の壁というのがコロナの中でも明らかになったわけで,こういったところを超えて,組織横断的で,かつ多様な主体と協働していくようなマネジメントの体制だとか文化,あと外部人材の活用みたいなことは教育行政も含めて,やっぱり明確にこれからの在り方として必要だろうと。
 その際,当然,既得権益や前例主義というものを教育行政も乗り越えて,正にデジタル化を進めていくというのは一つの大きな鍵になると思います。もう一つは,管理指導型の教育行政というところから,伴走支援型の教育行政の在り方というところへのシフト。やっぱり一斉一律に全ての学校や地域で同じようにというやり方,考え方だけではなくて,各学校や各地域ごとの個別最適な対応というのを行政側も意識していく。また,学校や現場に何かをさせようという発想から,学校や生徒たちが主体なんだという,学校が主体的に動けるようにどう伴走支援していくのかという発想とか,そういう在り方に教育行政も少しずつ変わっていかないと,教室の中で起きていることと行政と学校の関係性って相似形で同じことが起きていますので。やっぱり日本の教育行政とか我々自身の在り方が変わらない中で,現場にだけ変化を押しつけようという発想はうまくいかないので,まず我々自身,教育行政も含めて,我々自身が率先して変わるというところから変化が始まっていくという,この姿勢は明確にしっかりと書いていく必要があるかなと思います。中身の具体的な項目に関しての意見は,また別途送らせていただきますので,今日は省略いたします。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,喜名委員,お願いいたします。

【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。よろしくお願いいたします。ポイントを絞って5点,また,それ以外のものについてはメールで送らせていただきたいと思います。
 まず1点目は,17ページの上から4つ目の白丸のところであります。「授業において子供たちの思考を深める『発問』を重視してきたこと」とございますが,全くそのとおりでございますけれども,我々が反省すべきは,教師が正解を持っていて,それを発問して,子供たちにそれを探るようなことではなくて,これからの発問というのは,自ら問題に気づいて,自分たちで問いを立てられるように導いていく,そういう転換をしていかなければ主体性は発揮できないんだなと思っています。この発問ということ自体も,実は授業改善の大きな視点ではないかなと思っているところであります。
 2点目は18ページにございます,同じところで書かれておりますけれども,いわゆる学習の指導の個別化,それから学習の個性化のところであります。これまで小学校,ずっと大事にしてきた個に応じた指導ということが子供の視点で整理されていると思いますけれども,この考え方が習得主義の基本的な考え方なんだということを強調しておくべきではないかなと思っております。
 それから,22ページでございますが,上から4つ目でしょうか。また,それ以外に66ページの(3)にも関係いたしますが,教員定数の問題,また,きめ細やかな指導体制ということで言えば,少人数学級のことを改めてここに概算要求でも出していることもありますので,書くべきではないかなと思っているところであります。
 4点目は,24ページの上から4つ目のところ,これ,言葉の問題だと思いますが,最後のほうに,「多様性のあるチームによる学校とし,『孤立』した学校から『自立』した学校へ」とあります。外から見るとそのように見えるかもしれませんけど,特に孤立しているとは自分たちは思っていないと思いますので,実態に合わないのかなということがございます。
 最後は26ページのところでありますけれども,上から5つ目,下から2つ目でありましょうか,「これまで以上に多様性を重視し」ということで,個別最適な学びと協働的な学びを実現していくという部分のところです。小学校ではこれまでも,話し合いですとかグループ活動で協働的な学びということを実現してきたわけですけれども,その際,どうしても一定の解というんでしょうか,一定の結論,納得解をみんなで得ることを目指すための方策となっていました。ただ,これからは個別最適化された学びが実現すれば,多様な見方や考え方に触れることになりますし,協働的な学び自体が目的となっていくのではないかなと思います。その意味でも,個別最適な学びと協働的な学びの実現というこの辺りが,これからの授業改善の大きな視点になっていくなと感じたところです。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,鶴羽委員,お願いいたします。

【鶴羽委員】 鶴羽です。よろしくお願いいたします。私からも3点,意見を述べさせていただきます。
 1つ目は,子供たちの今回の新型コロナウイルスの影響による休校と感染対策による行事の激減です。小学校はまだ頑張って行っているのかなという印象を受けるのですけれども,中学,高校はかなり減っています。大きいものはほぼなくなっているというところもございます。やはり子供たちが体験を通して,仲間づくりやいろんな人間関係づくりというような貴重な場がないまま学校生活を送らなければいけないというところで,ここが将来,子供たちが青年期を迎えたときにどういう影響を及ぼすのかなという心配がございます。そういった今回のことでの体験不足というところをどうサポートしていくのかというような視点の,何か書きぶりがあれば,是非お願いしたいなと思いました。
 2つ目は,私だけかもしれませんが,言葉の違和感です。ICTと対面とどちらも大事で,それを「ハイブリッド」という言葉で表現するのに,どうも違和感を感じて,何となく教育を「ハイブリッド」という言葉で表現していいのかというところのそぐわないような印象をどうしても受けていますので,一つの意見として述べさせていただきます。
 3つ目は,概要版の5ページの(5)にありました,いじめと虐待のところです。今回の新型コロナの関係で,家庭で過ごす時間が多いということで虐待が増えているというようなデータもあると伺っています。北海道の場合は札幌で深刻な虐待の事案がございましたが,このときにやはり課題となったのが,政令指定都市である大きな都市と,そして道との連携不足がかなり指摘されています。やはり人口の多い都市部では虐待が疑われるケースも数が多いのですが,どうしても職員が足りていなくて手が回っていないというのが現状です。そこで道としても,そこをフォローしたい,支援をしたいというような声も出すんですけれども,やはりなかなかそこがうまくいかなかったという反省点もありました。ですので,国として,教育現場に政令指定都市,大きな都市の部分と都道府県というところをどういうふうに結びつけていく,サポートしていくのかというようなところも踏み込んで,是非これから取り組んでいただけたらなと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,加治佐委員,お願いいたします。

【加治佐委員】 私からは,1点のみお願いいたします。
 教職大学院についての言及がございませんで,教職大学院の役割とか期待というものを明記していただけないかということです。個別最適な学びを実現するためにEdTechに基づいたICT活用指導力であるとか,あるいは協働的学習を主とした狙いとする教科横断的な学び,問題解決的な学び,PBLとか,そういうPBL的な学びをつくってもらうためには,STEAM教育というのが養成課程で必須になります。
 それから,小学校の教科担任制ということになりますと,また,いろんな高度な能力が求められてきます。いずれにしましても,これまでと同様,あるいはSociety5.0を見据えて,やはり教員に求められる資質・能力が明らかに高度化するというのは,この中間まとめからも十分に読み取れるわけです。そういう高度化する教員の資質・能力を育成することを主たる任務とするのが教職大学院ということにされてきましたので,今後,まだ答申までにはいろんな段階があると思いますが,いずれかの段階で,どこでも構わないので,例えば最後のチームのところに,教師及び教員組織の在り方のところでも結構なんですが,教職大学院の役割とか期待といったようなことを是非明記していただきたいということであります。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,吉田委員,お願いいたします。

【吉田委員】 ありがとうございます。今,まだ教育再生実行会議の谷合室長がいらっしゃるんですけど,その件で質問してよろしいんでしょうか。

【荒瀬分科会長】 どうぞ。

【吉田委員】 では,再生実行会議の進め方と概要についての2点で質問させていただきます。
 まず,今後の進め方についてのあれですが,最初に背景として,ポストコロナ期における新たな学びの在り方についてというようなことが書いてあるんですけれども,実際に4次提言だったと思いますけれども,高大接続改革は教育再生実行会議から投げかけられて,そして,それに基づいて行ってきて,今,高校3年生が,ここの場に直面したわけですけれども,昨年の11月に,ああいう状態で急遽中止になり,そして,ここのコロナというものを迎えてしまいました。そういう中で,30年の5月に出された,これまでの提言の実施状況等においても,全くこれがそのまま進む予定で話されていたことが,このコロナの今の現状というものを全く話もしないで,その先のポストコロナ期ということに進んでいくことに違和感を感じているところでございます。
 そして,ワーキング・グループの主な論点の中で,初中教育のワーキング・グループの論点の部分でもそうですし,それから,少人数のきめ細やかな体制のところも最後のところ,そうなんですけど,先ほどの室長の御説明の中でるる御説明はあって,理想的な少人数教育だとかICT環境の整備だとかそういう話は出てくるんですけども,ここにははっきり,そのための財源の在り方とか予算編成の過程においてとか,また,最初の背景のところでも財源の在り方というのが書いてあるし,たしか8次提言だったと思いますけども,教育課程の在り方,教育立国実現のための教育の財源等をしっかりとつけると言ったにもかかわらず,それができない。そして,今回のこのコロナを迎えたということを,もう一回きちっと振り返ってやっていただけないでしょうか。
 特に我々心配していますのは,教育再生実行会議,アドバルーンを上げていただけるのはいいんですけれども,それが実行できるだけの財源がついてきてないこと。それに伴って何が起こっているかということをよく御理解いただきたい。そのためにも,是非中教審の様々な部会や分科会は,高校以下で言えば,いろんな団体,国公私立,団体があるわけですけども,そこの代表者が出たり,また,そこの中できちっと討議した結果を出して話を持っていっていると思いますけれども,今,実行会議で言われている,その現場の声というのは,決して全体の声でないということを,もう一回しっかりと理解しておいていただきたいと思います。
 それから,中間まとめの概要についてでございますけれども,これはオンライン教育とICTを活用した学びの在り方で,先ほど鶴羽委員がハイブリッドという言葉が云々とおっしゃっていましたが,丸6の「児童生徒の特性に応じたきめ細かな対応」という中で,不登校児童,障害のある児童,日本語指導が必要な児童等も含めて,二重のハイブリッドという形で,通常の授業とオンライン授業を並行してやるようなことがいいような,それから,(3)の丸3の最後にありますように,「高等学校段階において,家庭における同時双方向型オンライン学習を授業の一部として特例的に認め,対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化を検討」とありますけど,私は,全部の生徒が双方向型で学んだ上で,例えば土曜日とか,そういうときに家庭においての補習的な部分とか,そういった部分でオンラインを使ってのハイブリッドという意味は分かるんですが,同じ時間帯でハイブリッドというのは,これは教員にとっては大変な負担になってくると思います。その辺のところもよく考えていただきたいなと。
 それから,次の7番の「新時代の学びを支える環境整備について」の(3)のところで,施設・設備を整えるということがあるんですけれども,これも今回のオンライン授業とかができた学校が2割とか3割とか言われています。それの理由って検証されたでしょうか。実際に私が心配しておりますのは,公立学校でも,はっきり言って,都道府県の収入の多さというか,余裕があるかないかによって,パソコンやタブレットの配置状況は違ったと思います。そして,私立学校においても,保護者の皆さんの御協力によって,生徒1人1台パソコンを持てていた学校とそうでないところというのもあると思います。そういう意味では,そこをしっかりと検証した上で,施設・設備を計画的に整備するというのであるとすれば,これは教科書と同じように,私立学校も何も全て一緒に10分の10の補助でやっていただかなかったら,私立学校だけが教育で置いていかれる結果になると思いますので,是非その辺のこともしっかりと御配慮した上で結論を出していただければと思っておりますので,よろしくお願いします。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,橋本委員,お願いいたします。

【橋本委員】 ありがとうございます。京都府の橋本です。
 まず,特別部会等でいろいろと申し上げてきた意見を丁寧にフォローしていただき,中間まとめの案として仕上げていただいたことに感謝を申し上げます。その上でですが,これまで中教審の各部会等では,諮問事項を中心に議論,検討が進められてきましたけれども,幅広いテーマについて,諮問事項以外のこともやりながら,このように全体としてまとめられたものを見ますと,大きな点ではないかもしれませんが,記述の濃淡など,改めて少し気になる点も見えてくるように感じております。そうした点について2点だけ申し上げたいと思います。
 まず1点目は,資料28ページ以降の幼児教育のところですけれども,全体としては,質の向上に向けて多様な方策が的確に示されていると思います。ただ,省庁間の所管や権限の問題が当然あると思いますが,幼児教育施設として表されているものの,幼稚園のイメージが強く,保育所の姿があまり見えてこないような気がしております。例えば31ページには,幼稚園教諭の専門性向上の記述はありますけれども,保育士の質の向上等については触れられておりません。また,就学直前の段階を保育所で過ごす子供が半分近くになる中で,小学校が連携事業を行うに際して,実態として,多様な保育内容の見られる保育所との連携は幼稚園よりかなり難しい面があると聞くだけに,何か保育所の課題などを踏まえた記述ができないかと感じたところです。
 それから,もう1点は中学校に関することであります。今回は33ページ以下にありますように,9年間を見通した新時代の義務教育の在り方がテーマの一つとなっていますが,重点は小学校高学年での教科担任制の導入などであることから,どちらかといいますと,中学校は小学校の接続先,連携先として扱われているような印象を持ちます。一方,高校教育の在り方についても検討のテーマとなっていますが,そもそも12ページに書かれている検討の背景となった高校の満足度の低下については,中1時点との比較調査であるようですが,中3であればかなりこの結果も変わっているかもしれないと思います。これをもって高校の教育の在り方の問題だとすることには少し疑問を感じております。恐らく中学校の教育にも課題があると考えたほうが正しいように思います。
 最も多感な難しい時期にある生徒を扱い,不登校等も急増する中学校においては,ともすれば教科等の学習以上に,生徒指導や部活動に力点が置かれがちになり,その対応に追われるということもあって,小学校の先生と比べますと授業研究などに時間を割くことが難しいといった傾向が見られます。中学校では,教科内容に係る今後の学習指導要領の見直しが小さいことから,新しい時代の教育への関心の度合いが他校種に比べてやや低いようにも感じている,こんな印象も持っているところです。中学校というのは小学校と高校の間にあって大変重要な位置を占めるだけに,もう少し中学校の教育課題を正面に据えて記載をしておくべきではないかと考えております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,続いて清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。
 資料2-1の概要版に沿って発言をさせていただきます。この間,分科会,そして特別部会で,荒瀬部会長中心に議論してきたことを総合的かつきめ細かく,中間まとめ(案)としてまとめていただいたことに感謝します。
 1ページにありますように,今回私たちが議論しておりますときには,正に新型コロナウイルス感染症対策が,現場の先生方を,そして何よりも子供たちを襲いました。したがいまして,1ページにあります,学校というのが学習機会と学力の保障,全人的な発達・成長の保障の機能だけではなくて,身体的,精神的な健康の保障,すなわち安全・安心につながることができる居場所でありセーフティーネットであるということを確認する日々が続いています。改めて児童生徒の皆さん,そして教職員の皆さんのこの間の御活動に敬意を表したいと思いますし,見守ってこられた保護者,そして地域の皆様もどんなに困難の中にあるかということで,この中間まとめに示されているものが,そうした皆さんの少しでも未来を開くものになるように,推進体制に関わって幾つか意見を申し上げたいと思います。
 4ページに幼児教育の質の向上とあります(5)に,「家庭・地域における幼児教育の支援」に「関係機関相互の連携強化」と書かれています。「幼児教育施設・教育委員会と福祉担当部局などの首長部局,児童相談所等の関係機関との連携促進」とあります。また,7ページに特別支援教育についても,(4)として関係機関の連携が明記されています。これは特に私,道永先生も今日御報告いただきましたが,医師会,歯科医師会,薬剤師会等,医療関係団体との連携というのが,正に現場では改めて重要性を確認されています。また,岩本委員がおっしゃいましたように,教育委員会の行政が,首長部局と総合教育会議などを通して,正に文字どおり,今まで以上に開かれた行政とならなければ課題解決ができない事態になりました。したがって,今後も関係機関の連携というのは,この中間まとめ(案)のみならず,私たちがこれから提案していくことを推進していく上で大いなるキーワードになると思いますので,さらにきめ細かくヒアリング等々しながら充実できればと考えています。
 2点目は5ページです。5ページに書かれております9年間を見通した新時代の義務教育の在り方,これは,実は前期,学校における働き方改革特別部会でも教科担任制の重要性が指摘され,それを具体化して,いよいよ令和4年(2022年)度を目途に,この教科担任制の導入を図るというところまでこぎ着けることができました。何よりも子供たちに対する授業の質の向上,教育の質の向上に加えて,教員の働き方改革の一環にもなるという意義ある取組ですが,これを進めていくに当たっては,やはり教員養成が欠かせません。もう今からしっかりと,教科担任制を見通した教員養成あるいは研修の取組が不可欠でございます。
 私は三鷹市長当時,教育委員会と連携をして,コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育を実践する中で,例えばこういう取組がありました。今日も御出席の奈須先生に御指導いただきながら,新学習指導要領を望ましい三鷹型小中一貫教育のカリキュラムをつくることに教員も参加して取り組んでまいりました。そのとき,小学校と中学校の教員が一緒になって,同じ目的のために研究開発をしたというところに意義があると思っています。何よりも小学校教員と中学校教員が風通しよく,現場の児童生徒を中心に取り組む体制を提案していかなければならないと思っています。
 次に,3点目はGIGAスクール,ICTに関する問題提起です。確かに小中学校で推進されることになるのですが,例えば特別支援教育の7ページを御覧ください。ここに例示として,丸3「特別支援学校における教育環境の整備」に「ICTを活用した職業教育に関する指導計画・指導法の開発」とは書いてあるんですけれど,やはり障害のある児童生徒にも,パソコン,タブレット,ICT,AIというのは有効に支援のツールになると私は思っています。是非デジタルデバイドがないように,普通学級も特別支援学級も,それぞれのニーズに応じて適切な条件整備ができることを願っていますし,牧野市長もおっしゃいましたが,やはり地域格差とか条件による格差が過渡期には懸念されますので,その過渡期が少しでも短くなりますように,情報格差,デジタルデバイド防止のために取り組む必要があると思います。
 その面でも,9ページに,ICT人材の確保として,丸7ですが,大学と民間企業との連携ということが明示されています。開かれた学校教育のために,GIGAスクールやICTの導入には,是非地域のICT人材が一定の基礎的な学び,研修を受けつつも,子供たちと出会ってもらうということも重要ではないかなと思います。
 最後に4点目です。これは,この間の中間まとめには「コミュニティ・スクール」という言葉が少しなかったかな,少なかったかなと思うんですが,コロナ禍の中で,家庭と地域と学校の連携がさらに重要になっていると考えます。家庭が孤立しないように,そして学校が地域の中で社会的距離を取らなければいけないということで,ボランティアの方も入りにくくなってはいるんですけれども,是非是非改めて地域の実情に応じた学校の児童生徒の地域の皆様の人材の活動による支援や,あるいは,子供たちだけではなくて,大人も学びを通じて,生涯の学習の中に初等中等学校が位置づけられるような,そんな取組が必要だと思います。
 そこで,岩本委員もおっしゃいましたけれども,是非是非これから推進体制を考えていく上では,私たちの中間まとめのメッセージが具体化するために,市長も巻き込んだ総合教育会議の活性化であるとか,そういう物理的な内容についても提案ができればいいなと,このように考えます。
 以上です。よろしくお願いします。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,この後,堀田委員に御発言をいただきますが,その後,渡邉委員,三田村委員,長谷川委員,角田委員,萩原委員,天笠委員,市川委員,二見委員に御発言をいただきます。時間が30分ほどになりました。また,事務局からお答えをいただく部分もありますので,大変恐縮ですが,手短によろしくお願いいたします。
 では,堀田委員どうぞ。

【堀田委員】 堀田でございます。資料2-1,概要の9ページのICT活用のあたりにつきまして2つ述べます。
 まず1つ目ですが,(2)の丸5の「デジタル教科書・教材の普及促進」のところです。これは,デジタル教科書に関する今後の制度の在り方についての検討会の座長を私やっております。今年度から,小学校では学習指導要領,新しいものが始まっておりますので,新しい教科書が今年度から使われております。次の教科書,新しい教科書というのは,4年サイクルですので,令和6年度からになります。今年度中にGIGAスクール構想で端末が届いて,そのデジタル教科書はどうするのかというのが令和6年度までお預けになるというのはやっぱりまずかろうと。したがって,これから3年ぐらいの間,デジタル教科書が端末の上で安価に購入できて動く仕組みをつくる必要があると,その促進をする必要があると思います。
 また,令和6年度からはいよいよ本格的なデジタル教科書を作るためには,教科書検定とか採択のスケジュールを考えますと,今の段階から急いで,このデジタル教科書のデータ形式や,あるいはデジタル教科書と教材のデータのやり取りのための仕組み,こういうものの標準化が今,技術的に急がれるタイミングにございます。これらの検討は専門の検討会議で進んでいくわけですけども,これらのサービスは,ほぼ全てクラウド上でデータ連携され,クラウド上でサービスが提供されることを考えますと,学校の設置者がクラウド活用を認めてない場合には,これらの機能が利用できないという可能性が高くなります。したがいまして,GIGAスクール構想の端末がうまく学校教育の新しい学習環境として機能するためにも,設置者の情報関係の条例の改正を急ぐ必要があります。このことを,何とかこの中間まとめにうまくアピールできないかと思います。以上が1点目です。
 もう1点,簡単に申し上げます。教員研修は,これから大幅にオンラインに移行すべきだと思います。また,これ,ほかにも意見出ましたけど,各校の取組,いろんないい取組がありますが,これらがオンラインで情報共有されると,これ,設置者を超えて行うことも多くあると思いますので,こういう仕組みの推進を何とかしていく必要があるかと思います。このことも何か書き込めればと思いました。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,渡邉委員,お願いいたします。

【渡邉委員】 渡邉です。私からは1点だけ,お願いといいますか,申し上げたいと思います。
 今日の会議の中でも,新型コロナウイルス感染症に関することは多くの委員からもお話がありましたけれど,課題の中にはそういったことが書かれているんですが,各論のところにはあまり多くはないという印象を持ちました。例えば幼児教育には方策についてのケースがあるんですが,義務教育,高等学校教育,そこの部分が非常に少ないのではないかという印象を持ちました。御存じのように,今年の8月に文部科学大臣は,全国の教職員,児童生徒,そして保護者に対して,新型コロナウイルス感染症に関するメッセージを出されています。そこには感染症の予防のことももちろんあるんですけれど,感染者やその家族に対する偏見や差別を許さないという非常に明確なメッセージがあるんですね。こういったことというのは,今回の新型コロナウイルスに関わらず,度々出てくる問題なわけです。
 例えば今回の各論の中で言いますと,義務教育であれば,5番目の「いじめの重大事態,虐待事案等に適切に対応するための方策」にそのことを,差別,偏見のことなど,重要なことなので,是非書き入れていただきたいと思います。高校についても,新学習指導要領では科目保健の中で精神疾患が取り上げられましたけど,そこにも同じように差別,偏見をなくすということが含まれています。こういう,いわゆるアンチスティグマ教育といいますか,そういうようなことが,コロナが収束しても,やっぱり重要な課題になってくると思いますので,そういったことを是非盛り込んでいただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,三田村委員,お願いいたします。

【三田村委員】 では,私は,資料2-1について,11ページです。
 最終ページ。これの(4)(5),ここを中心に意見を述べさせていただきます。令和の日本型学校教育の構築ができた後,それを実施できるかどうかが,全てこの4番,5番にかかっていると思っています。しかしながら,それにしては新しいものがないというか,非常に分量的にも少ないところに危機感に近いものを覚えています。と申しますのも,現場の状況としまして,人材がいないという本当に深刻な状況があるからです。
 例えば,家庭科や技術科といった教員が長期の休みに入ると,その代替教員が,まずどこを探していないというのが実情です。また,教員採用選考の低倍率化で,配置がままならなかったということも現実起きています。こういった状況を踏まえると,どれだけすばらしい教育を描いても,その担い手が確保できるのか,ここをとにかくもっと突き詰めて考えていかないと,数年後にどうなるのか,非常に心配です。今,これらの原因を,3点申し述べます。こういったところも今後検討していかないと,この問題は解決しないだろうと思っています。
 まず1つは,民間に流出してしまっている人が多い。民間のほうが先に決まっているので,そもそも選考を受けません。あるいは,選考を合格した後で取り消す人がかなりいるという,この状況をどうしたらいいのか。
 2点目ですが,県によっては教員養成系の大学がない県もあります。こういったところは,そもそも受験者が少ない,しかも,首都圏,近畿圏,中京圏等に行ってしまう,こういう県が実際にあり,とても困っているという声を聞いています。
 3点目としましては,教員免許更新の問題で,免許はあるけれど,もう使えないという,この方たちがどれぐらいいるのか私は分かりませんが,この方たちのマンパワーを何とか生かせないか,こういったところにも今後メスを入れていかないと,どんないい教育を描いても,現場での実現は難しいと思います。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,長谷川委員,お願いいたします。

【長谷川委員】 ありがとうございます。LITALICOの長谷川です。よろしくお願いします。
 資料2-2の64ページ目についてです。不登校のお子さんたちに対するオンライン教育の活用という点で,こちらの原文ですと,今,中間まとめのほうです。「オンライン教育を活用した学習について出席扱いとする制度や,学習の成果を評価に反映することのできる制度の活用促進に向けて,好事例を周知し,学校外での学習活動の適切な把握を進めるとともに,制度の利用状況を分析し,更なる活用促進を図るための方策を検討すべきである」と記載されています。こちらの利用状況をしっかりと分析した上で施策を検討するということで全く異論はありませんが,一方,やはりこの制度の活用促進に向けた周知というのはこれまでも何度も行われてきた部分があります。制度の活用の周知が行われてきているにもかかわらず,現状は不登校小中学生16万人のうち,オンライン教育を通して出席扱いになっているのは286名の0.2%にとどまっているということでもありますが,恐らく利用状況を分析した上でですけれども,解決策として,この制度そのものの変更なしに,この状況が劇的に改善することはないと思っていますので,こちらの文章に,「制度の利用状況を分析し,制度そのものを変更することも含め,適切な施策を検討すべきである」というように修正いただきたいと思っております。
 以上になります。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,角田委員,お願いいたします。

【角田委員】 角田です。よろしくお願いします。
 中間報告の文に盛り込んだり修正するということではないのですが,発言したいと思います。今後の議論にあって,この提案が学校現場にどういうふうに伝わっていくのか,さらに,実現に向かう具体的な場面に,もう少し思いを馳せることができたらいいんじゃないかなと思っています。例えば今回のタイトルなんですけれども,やはり,主体的・対話的で深い学びをやっと理解したのに個別最適な学びって何?という反応がもうありますし,「誰一人取り残さない」という文言は,SDGsに取り組んでいらっしゃる先生方にはとてもなじみがあって,すっと入るものだったんですけれども,「何で消えちゃったんですか」って聞かれたりというようなことがあるんですね。
 例えば,大学入学選抜者改革について,当初高い理念を掲げていたけれども,早いうちから,違和感やSOSを上げている現場を置き去りにしてしまったと思っています。それがより大きな混乱や課題を生んでしまったという経験を私たちはしてしまったばかりなので,現在の現場の反応にはもっと敏感でありたいと思っています。
 今回の,教師のICT活用指導能力の育成といった早急なテーマも,コロナ禍のオンライン導入にあっては,校内に詳しい先生がいなければ,プロを呼んできていいよと。早速接続して指導してくれる。新しいシステムを入れるときに大量な入力が必要だったら先生がやらなくていいよ,外部発注していいよというように教育行政がスピード感を持って決断して,お金をかけるということが必要だったと思うんですね。現場の状況や反応に敏感に認識し,方針なども修正しながら進めていくという必要がこれからもいろいろ出てきて,それらを実現していくことを,考えていかなければと思います。
 今回の改革は現場の先生方が本当に当事者だと思っています。学校をよくしていきたいと思っていらっしゃる当事者の先生方の懸念や違和感に寄り添った答申とそれに続く展開になることに寄与したいと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 それでは,萩原委員,お願いいたします。

【萩原委員】 萩原です。
 私は,資料の2-16ページ目,高等学校教育の在り方に関してですが,高校生にとっての高等学校の学習実態,高等学校の在学中の教育活動という内容が中心かと思います。とはいえ,高校生の場合ですと,その後の将来の未来の描き方,キャリア教育としての高校の出口に対して全く触れていない。学習意欲を喚起しと言うが,先が見えない限りは,なかなか高等学校,高校生が学習意欲を持って,いろんなことに取り組んでいけるかどうかと思います。是非とも高校生の卒業後の進路についての記述が必要と思います。
 スクール・ポリシー「卒業の認定に関する方針」ということなのかもしれませんが,「卒業の認定」というと,習得単位数が何単位とか,こういう科目を履修という程度の形になってしまうのではないかと思います。ですので,卒業後,高校生の将来の未来というような観点で,新たに項を起こすなりというようなことが必要であろうと思っています。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。
 では,天笠委員,お願いいたします。

【天笠分科会長代理】 2つ申し上げさせていただきます。
 まず1つは,目次についてなんですけども,資料2-2の2ページのところが目次になっております。御承知のとおり,2部立てになっていて,総論と以下各論という形になっているんですけども,この総論のところについて1点申し上げさせていただきたいと思います。それは,「急激に変化する時代の中で育むべき資質・能力」以下,4章立てになっているわけですけども,以下の第2部あるいは全体を通して捉えてみると,もう1章立ててもいいのかなと思いました。それは何かといいますと,全体を通しまして,ICTですとかGIGAスクール,あるいは1人1台タブレット,デジタル教科書,オンライン等々,もう御承知のとおり,次々とこういう言葉が出てくる,いわゆるICT対応というんでしょうか,これというのが,この4章立ての章立ての中ではちょっと耐え切れないような全体的なバランスの感覚になっているんじゃないかと。
 申し上げさせていただきますと,ICT対応について1つ章を上げて,そして,そこで基本的な考え方とか,あるいはその見方とか,私どものこのことについての立場ですとか,そういうことについての見解というのを,やや大げさに言うならば,ICT化に向けての哲学というんでしょうか,そういうことについての記述が,全体的な関係からすると,どうしても必要になってきたように思います。各論のそれぞれというのは,基本的にそれぞれの政策,あるいは具体策を進めるためのツールという位置づけでICT化というのが記述されているように思うんですけども,改めて全体的に見たときに,ただツールということから処し切れないような段階に来ているような感じがしました。
 要するに,私ども,考え方とか立場というのが問われているように思います。そういうことについての見解とかというのは,やはり総論のところで,基本的には4の(3)の「これまでの実践とICTの適切な組合せ」という,ここにある程度集約されるんだと思っているんですけども,ちょっと言葉が足りなくなりつつあるのではないかと思っていまして,もう少しまとまった考え方を記すことが必要になってきているん じゃないかという意味で,御検討いただく,もう時間も限られているかもしれませんけども,いかがでしょうかということが1点であります。
 それから,次は,特にこの目次ということではないんですけども,コロナ対応,感染症対応ということで各学校に100万円等々ということが一部報じられたという記憶あるんですけども,それがどう受け止められたかどうかということが,私にとりまして関心事であります。それはどういうことかといいますと,基本的に,このまとめにも関わってくるんですけども,学校裁量という考え方,あるいは学校だということですけども,私の知り得る限りですと,学校まで届かないで,ある意味で言うと,あえて届けないようにして,教育委員会で一括して対応するという,そういう方針を取る教育委員会もあれば,学校へというところもそれぞれあるわけで,それはそれぞれの学校の御事情,あるいは教育委員会の御事情があるかと思うんですけども,委員の方もおっしゃっていましたように,ここも今回のまとめの中で一つ視点が抜けているとすると,やっぱり教育委員会の在り方ということ,それは学校の裁量とか学校の自主性とか自立性とか,そういうものを支えていくとか生かしていく,そのための教育委員会の在り方が現状で果たしてよろしいのかな,そういう問い,あるいは,そういうことについてのこれからの方向性については,やはり私は一定の見解が必要なんじゃないかと思うので,この辺りのところについて,限られた時間でどう扱っていくのかどうなのかということを検討していただければと思います。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,市川委員,お願いいたします。

【市川(伸)委員】 市川です。私からは,教育再生実行会議に対するお願いです。是非こういうことを議論していただければという話をさせていただきたいと思います。
 今回,初等中等教育の部会ができたり高等教育の部会ができたりというようなことを伺ったんですが,これは中教審でやっていることと,ある意味,構造的には非常に似ています。そういう問題をまた別のメンバーで論じていただくことも結構なんですけれども,私はやはり中教審や文科省ではなかなか扱い得ないような大きな問題,時間も長くかかるし,ほかの省庁や社会全体が関わってくる問題を大所高所から是非実行会議では議論していただきたいと思います。
 例えばということなんですが,今入っている秋入学というのは確かにそういう問題です。なかなか中教審の中だけで議論していっても解決できる問題ではありませんし,時間も大変長くかかることだと思うんです。さらにということでお願いしたいのは,今回,学習指導要領も改訂になりまして,ある意味,現代における非常に崇高な理念といいますか,こういう教育を是非やってほしい,日本の教育はこうなってほしいというものが指導要領には結集されています。しかし,では,これがどれだけ日本の教育を変えていくかということになると,どうしても文科省なり中教審なりの声が届くのが学校ということになってしまいます。子供の教育環境というのは学校だけではありません。社会教育もあれば,さらに,塾を中心とする民間教育というのもあります。大都市部では,塾や教育産業の影響というのは非常に大きいです。その背景には,大学入試を頂点とする学歴主義のようなものが,やはり社会に根強くあるということもあります。そういうところまで視野に入れて日本の教育システム全体を改善していくということがないと,いくら指導要領が変わって,学校を変えようとしても,教育全体がなかなか変わらないということになる。中教審や,当時の文部省にとっても1990年代以降のゆとり教育ということをめぐる一つの苦い経験があると私は思っています。「新しい学力観」とか,ただ理想的なことを打ち上げたけれども,実際にはなかなかそういうふうには動かなかった。日本の教育の中で,建前としてこういう理想的なものをつくりたいということと,本音としては,やっぱり進学ということもあって,それを何年も解決できない中にいる。そのときに,教育再生実行会議でも,日本の教育全体を視野に入れた議論をしていただきたいなと思っている次第です。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,最後に二見委員から御発言をお願いいたします。

【二見委員】 ありがとうございます。
 今回,私は小さな町の代表として出ていますけれども,これまでも中山間あるいは離島,僻地,小規模,そういう立場から現状をお話しし,そのことに含めて,今回のまとめ(案)の中では随所に取り入れていただいていること,感謝しております。
 もう時間がありませんので1点だけ。これまでほかの委員もおっしゃいましたが,タイトルにもあるような個別最適な学びと協働的な学び,それと主体的・対話的で深い学びと,この言葉について現場ではなかなか理解できていない,また,説明し切れない状況もあろうと思いますので,是非ともここは今後,現場に分かりやすい形で示すか,何か統一されるとかということをお願いしたいと思っています。
 また,最後になりますけども,再生会議であるとか,この中教審の部会等に含めても,今後とも中山間,僻地,離島等の状況が分かるメンバーということをいつも心がけていただければ有り難いと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。時間の関係で御発言はここまでとさせていただきたいと思います。今,いろいろと御意見とか御質問がございました。文科省からお答えをいただく,順番はあれですが,いかがでしょうか。
 どうぞ。

【小林健康教育・食育専門官】 健康教育・食育課でございます。
 道永委員からいただいた御質問に回答させていただきます。PHR(Personal Health Record)の学校分野での進捗でございますが,文部科学省では,PHRの推進の観点から,健康診断を電子化し,他の健診情報と一覧性を持って提供できるよう,2020年度,今年度に健康診断結果表の電子的な標準様式を定めることとしています。この様式を用いて,2021年度には一部の自治体を対象に,校務支援システムに入力された健康診断データを本人に電子的に提供する実証実験を行う予定としております。最終的には,2023年度の提供開始を目指しております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,続いて,八田課長,お願いします。

【八田特別支援教育課長】 特別支援教育課の八田でございます。
 道永委員から,学校に通えない医療的ケア児への教育を今後どう進めていくのかということで御質問いただきました。まず現状を申し上げますと,令和元年度に実施いたしました状況でございますけれども,特別支援学校に在籍する医療的ケア児は8,392名でございます。そのうち,重度の障害のため特別支援学校に通学して教育を受けることができず,特別支援学校の教員を自宅等に派遣して教育を行う,いわゆる訪問教育の対象となっている医療的ケア児は2,153人を占めている状況でございます。
 この教員を派遣する形での訪問教育は,1人の教師が複数の子供の指導に当たるということでございますので,学校に通学する子供と比べまして,週当たりの授業時数が少ない状況にあるところでございます。今後,障害のある児童生徒に対する遠隔的技術を活用した自立活動支援に係る実践研究を実施するなど,ICTを活用した遠隔授業に関する実践的知見を深めてまいりたいと考えておりまして,今後,これらによりまして,訪問教育とICTを活用した遠隔授業を組み合わせた指導等を推進することにより,訪問教育を受ける子供たちの学習機会を充実してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【荒瀬分科会長】 ありがとうございました。
 では,谷合参事官からお願いいたします。

【谷合教育再生実行会議担当室参事官】 内閣官房教育再生実行会議の谷合でございます。
 まず,吉田委員から先ほど2点ございまして,1つが実行会議提言のフォローアップについてでございます。教育再生実行会議では,これまで11次にわたって提言をしてまいりました。御指摘がありました高大接続改革についてもその一つでございます。過去の提言についてフォローアップをすることは教育再生実行会議の重要な役割と考えておりますので,今後も新しいテーマの検討もしつつ,引き続きフォローアップについても実施をしていきたいと考えております。
 もう一つ,財源について御指摘がありました。教育再生実行会議の提言を実行に移していくためには,財源はとても重要なことだと考えております。そのため,今回の検討に当たっては,論点の中で「財源の在り方」も明記をしておりまして,今後,それも含めて議論をしていただきたいと考えております。
 続いて,市川委員から御指摘がありました大所高所からの検討をということでございます。貴重な御示唆をいただきました。教育再生実行会議は内閣官房に設置をされておりますので,例えば,今回の検討に当たりましては,経済産業省をはじめ,関係省庁の御協力もいただいているところでございます。市川委員からいただいた御指摘を参考にしながら今後の検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。

【荒瀬分科会長】 今,お答えいただきましてありがとうございました。
 御質問いただきました方,まだ御意見がおありかもしれませんが,時間の関係がございますので,大変申し訳ありませんけれども,会議の場でのやり取りはここまでとさせていただきたいと思います。御 発言をいただけなかった委員の方もいらっしゃいますが,時間が来ておりますので,先ほど申しましたように,これまでとさせていただきたいと思います。
 御意見おありの方,事務局にメール等で,また,お届けをいただきたいと思いますし,先ほど,具体的にそういう御提案を下さった方もいらっしゃいましたので,是非お出しいただきたいと思います。本日,19名の委員の皆様から大変多角的な御意見を頂戴いたしました。これを基にいたしまして,この中間まとめ(案)につきまして,皆さんの御意見を踏まえ,天笠副分科会長,加治佐副分科会長と御一緒に相談をいたしまして,必要な修正を行った上で,10月の中旬に予定されております中央教育審議会総会で報告をさせていただきたいと思っておりますが,文言の調整等につきましては御一任いただくということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【荒瀬分科会長】 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 では,時間が参りましたので,ここで終了したいと思いますが,次回の予定につきまして,田中室長からよろしくお願いいたします。

【田中教育制度改革室長】 御審議ありがとうございました。
 次回の本分科会につきましては,12月4日金曜日の15時から18時の開催の予定としております。詳細につきましては,追って事務局から御連絡申し上げます。

【荒瀬分科会長】 それでは,全て終了とさせていただきます。閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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