2020年12月18日(金曜日)
10時35分~10時47分
於:記者会見室

冒頭発言

サイバー攻撃に対する注意喚起

初めに、私から1点申し上げます。

サイバー攻撃に関して、9月以降相談窓口に寄せられる被害報告が増加しております。また、年末年始を控えて、世界的にサイバー攻撃のリスクがさらに高まる時期を迎えております。
このため、私から経営者の皆様に向けて改めて注意喚起をさせていただきます。

サイバー攻撃のさらなる高度化、巧妙化を踏まえて、経済産業省では2020年に入って、4月、6月に産業界に対して注意喚起を実施してまいりました。しかし、その後もウイルス感染の解除と引き替えに身代金を要求する、いわゆるランサムウェア攻撃や、海外拠点経由での攻撃の増加など、攻撃の規模や烈度が増大しております。ソフトウェアのアップデート等の基本的な対策の徹底だけでなく、今や経営の観点からのリーダーシップが求められる状況であると考えております。
そこで、本日経営者の皆様にお願いしたい事項を注意喚起として公表することにいたしました。

私からは特に3点について強調して申し上げます。

まず、第1点目、取引先や顧客情報が暴露される可能性のあるランサムウェア攻撃への対応は、企業の信頼に直結するため、経営者でなければ判断できない問題であること。
第2に、海外拠点経由での攻撃が増えていることから、海外拠点とのシステム統合の際は、リスクに応じたセキュリティ対策が必要であること。
第3に、攻撃を受けた際には重要な取引先等への情報共有、機微情報流出時の経産省への報告、適切な場合の公表、の迅速な実施を徹底していただきたいこと。

経営者の皆様には、以上の点について、自社での全社的な検討や対応を進めていただくようお願いしてまいります。

経産省への報告に関して不明点がある場合には、経産省に御相談いただきたいと思います。その他具体的な対策、対処に関しては、注意喚起の中でIPA等の相談窓口を御紹介しておりますので、ぜひ御利用いただきたく思います。

詳細は、事務方から後ほど説明をいたします。
私からは以上です。

質疑応答

使用済燃料対策

Q:昨日電気事業連合会の会長が来られて、むつ市の中間貯蔵施設の件なども含めた各社の共用などを含めて、4項目の報告がされましたけれども、この内容について改めて受け止めをお願いします。

A:今年7月の使用済燃料対策推進協議会で、私から電気事業連合会に対して使用済燃料対策の推進やプルトニウム利用の計画の公表などを要請していたところであります。昨日、池辺会長からむつ中間貯蔵施設の共同利用を検討する旨や新たなプルサーマル計画などを報告いただいたところであります。

池辺会長から報告のあった内容は、いずれも核燃料サイクルを確立し、原子力の利用を巡るバックエンドの課題を解決する上で、大きな意義があると評価をしているところであります。
特に使用済燃料対策における事業者連携の取組として、むつ中間貯蔵施設の共同利用という形で新たな選択肢を検討することは、核燃料サイクル政策を推進する上で大きな意義があると考えております。

国としても、事業者の検討状況を把握した上で、政策的な意義や位置付けをよく確認した上で、御地元の理解を得られるよう主体的に取り組んでいく考えであります。

Q:関連で、昨日電事連の方でプルサーマルを行う原発について、2030年に少なくとも12基という計画を公表しています。ただ、現状使えるのは4基にとどまっていて、再稼働がなかなか見通せない原発も多いですけれども、実現可能性については。

A:電気事業連合会の新たなプルサーマル計画ということで、御地元の理解を大前提ということですけれども、稼働する全ての原子炉を対象に、1基でも多くプルサーマル導入を検討して、2030年までに少なくとも今御指摘のあったように、12基でのプルサーマル実施を目指すこととされていると承知をしております。プルトニウムバランスの確保に向けた具体的な対応方針が示されたことは、核燃料サイクル政策全体の推進に寄与するものと評価しております。

これまでプルサーマル計画を有していた原子炉のうち4基がプルサーマルで再稼働済みということであります。6基が原子力規制委員会の審査を受けているということであります。その上で、新たなプルサーマル計画で御地元の御理解を前提に、稼働する全ての原子炉を対象に、1基でも多くのプルサーマルが導入できるよう検討していることから、事業者が継続的な努力をする中で、2030年度までに12基という目標は達成可能と私どもは考えております。

原子力事業者にはしっかりと目標を達成していただくことを期待しております。

ALPS処理水

Q:福島第一原発のALPS処理水の件で一つお伺いします。
昨日自民党でこの問題の勉強会が開かれまして、その中で関係者への理解のための議論がまだ十分ではないのではないかという意見が出ていますけれども、処分方法の政府方針の決定については、大臣、菅総理はいつまでも先送りにはできないというふうにおっしゃっていますが、現状決定までにはもう少し時間がかかるという状況なのでしょうか。

A:まず、第1点目、自民党での会合ということですけれども、ALPS処理水の取扱いに関する与党の立場は、今年9月、東日本大震災復興加速化本部からいただいた提言に示されていると認識しております。
具体的には、政府は関係者の御意見を踏まえて、責任を持って早急に方針の決定を行うこと、その際、タンクが増加し続けることを不安に思い、根本的な処分方法を求めるなどの地元の声を踏まえることといった御提言をいただいております。
これは自民党であれば、政審を通ったものということで、正式の提言ということで私どもは受け止めております。

昨日開催された勉強会は、自民党内の個々の議員がALPS処理水の取扱いについて、さらに理解を深めるために呼び掛けられたものであり、党としての立場に何らの変更はないものと承知をしております。

その上で、政府方針の決定時期ということでありますが、これまでも繰り返し申し上げてきたところでありますけれども、敷地が逼迫する中でいつまでも方針を決めずに先送りすることのできない課題であると思っております。丁寧な議論とバランスを保ちつつ、適切なタイミングで政府として責任を持って、結論を出してまいりたいと思っております。

今年チーム会合をやりました。その後も様々な団体との話合いもしておりますし、それぞれの省庁での課題に関する検討もしているということでありまして、それらを積み重ねた上で、しかるべき時期に決定をしたいと思っております。

GoToイベント、商店街

Q:GoToイベント関連なのですけれども、GoToイベントの商店街での一時停止を決められましたが、政府の支援を受けない形であれば、イベント実施というのはできる状況になっております。一時停止決定後に、コロナ感染者が現状今増え続けておりますが、今後イベントなどについて、これ以上の対策が必要になるかということをお聞かせください。

A:GoToイベント・商店街については、これまで都道府県とコミュニケーションを図りながら対応をしてきているところであります。この感染拡大の状況になっていますけれども、さらにまた連絡を密接に取り合いながら、話合いをしてきているところであります。

そして、12月28日から1月11日までの間に開催するイベントについては、全国一斉に支援対象チケットの新規販売や商店街イベントの停止措置を講じることとし、昨日公表を行いました。全ての自治体とこれもやり取りをしているところであります。
これはコロナ分科会の提言を受けて、年末年始における感染拡大の予防の観点から、特別な措置として都道府県と調整の上、国の判断として決定したものであります。引き続き都道府県と密接に連携しながら、柔軟に対応してまいりたいと考えております。

使用済燃料対策

Q:中間貯蔵の共用化についてお尋ねします。
大臣は、昨日も国も主体的に取り組むと、そういうふうに共同利用に対して前向きな姿勢を示されましたが、地元への説明よりも先に物事が進んでいるような印象が地元のむつ市長から、地元軽視だと反発を招く要因にもなっているのではないかと思うのですが、そのあたり御見解はいかがでしょうか。

A:むつの中間貯蔵施設の共同利用の検討に当たっては、地元であります青森県、そしてむつ市に対して丁寧に説明をし、御理解をいただくことが重要と認識しております。

地元の理解が得られるよう、国としても主体的に取り組んでいくということでありますが、昨日池辺会長がお見えになった。そして、今日電事連として説明に行くということですから、しっかりと説明するようにということで、私のほうからも要請をしたところであります。私のほうからも、小澤首席調整官を同行させ、国の考えを説明させる予定であります。

まずは事業者が地元に対する説明をしていただくということで、この考え方につきましては、国も賛同しているところでありますけれども、その上でまた国の説明が必要であれば、説明をするということになると思います。

Q:関連して、使用済核燃料が特定の地域に集約されるということは、地元の負担が増すばかりでなく、地域に使用済核燃料がとどまり続けてしまうのではないかとの懸念も既に呼んでいます。その点の御見解はいかがでしょうか。

A:これは、特定の地域に全ての電力のものが集まるということではなくて、共同利用を考えたいというお話でありました。そういった中で何社か、まだ個社の話は出ておりませんし、何社になるか、単数になるか、分かりませんけれども、今東電と日本原子力発電の2社の形でやっておりますけれども、そこによる共同利用ということですから、全てが集まるということではないと思っております。
さらにまた核燃料サイクルで再処理工場が動き出せば、それはここにとどまるということではなくて、サイクルが少しずつ動き出すということになるかと思っております。

以上

最終更新日:2020年12月24日