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第28回独立行政法人評価制度委員会 議事概要

日時

令和2年12月4日(金)15時から16時40分まで

場所

中央合同庁舎2号館7階省議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、
   金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、野﨑邦夫委員、浜野京委員、
   原田久委員、河合晃一専門委員
(事務局等)谷川総務大臣政務官、阪本官房総括審議官、山本管理官他

議事

1 令和2年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し並びに独立行政法人の中(長)期目標の策定について
2 令和元年度に主務省令期間が終了した行政執行法人に係る効率化評価の結果について
3 令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の結果についての点検結果
4 新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた今後の独立行政法人評価について

配布資料
議事次第
資料1
資料2
資料3

議事概要

(1) 谷川総務大臣政務官から挨拶が行われ、法人が、「新たな日常」の下でも、デジタル技術の活用等様々な工夫や改革により、社会課題の解決に向け着実に役割を果たし、新たな価値も生み出していけるよう、委員会の活動への期待が述べられた。

(2) 令和2年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直しについて、樫谷評価部会長より説明が行われ、審議の結果「意見なし」とされた。併せて、独立行政法人の目標策定についての考え方等が「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」として取りまとめられた。
審議における委員の主な発言は以下のとおり。

○ 調査審議を通じて、国の科学技術政策全体における主務省と法人の役割分担については、主務省においてきちんと明確化する必要を実感した。法人は変わろうとしているが、主務省の変革が追いついていないように感じる。

○ 研究開発法人は高いポテンシャルを持っているのに、研究テーマの選定がうまくなく、もったいないと感じる。知的財産に関する戦略も必要だと思う。

○ 新型コロナウイルス感染症の影響により、新たな課題・業務を担うことになる法人も多いと思うが、業務を増やしていくばかりでなく、減らしていく方向の議論も必要ではないか。

○ 施設保有の在り方については、まずは検討することが重要である。例えば、文部科学省の研修系の法人については、主務省と法人等とでまずは検討の場を設けていただき、共同して検討されたい。

○ いくつかの法人について、その使命や役割を改めて検討するよう求めているが、これらはかなり根本的な指摘であると考える。各法人共通の留意事項においても、目標策定に当たっては、法人のあるべき姿と現実のギャップをきちんと分析するよう求めているものと理解。

○ 民間企業においては、他の企業等と連携してオープンイノベーションを推進するのは当たり前の取組。必要な人材を確保するためにも、民間部門との連携を一層推進していただきたい。

○ 今回の委員会決定(案)での指摘事項は、以前からずっと挙げられてきた課題。スピード感を持ってPDCAサイクルを回していっていただきたい。また、多くの法人が共有する課題については、その解決のための好事例を横展開し、他の法人の取組を取り入れていけるようにして欲しい。

○ デジタル技術の利活用は、よほど大きな法人でないと個々の法人だけでは実現できない。法人の業務管理の効率化を共通に担当する部門を立ち上げるなど、法人の取組を支援する体制も含めて考える必要があるのではないか。

○ 民間企業では、取り巻く環境の変化や企業の現状を把握して経営方針を立てていくのが基本であるが、独法についてはその現状や環境を分析するためのデータが十分に整備できていない。特に研究開発法人は、民間、独法のそれぞれの強みをよく分析し、民間の方が高いレベルに達している分野は民間の能力を活用し、法人は別の役割を担うようにするなど、取り巻く環境の変化を的確に把握して法人の果たすべき役割を明らかにしていく必要がある。

○ 法人活性化のためには、人事も重要。民間等との人事交流を一層推進する必要があるのではないか。

○ NC6法人の組織の在り方の検討については、本年2月の評価部会において、厚生労働省に対して、政府方針を踏まえ早急に検討を進め、その結果を委員会へ報告するようお願いしているが、最終的な結論は未だ出ておらず、委員会への説明も行われていないという認識。検討が先送りにならないよう、ロードマップを作成して進めることが重要。 本年4月に当面の対応として設置された横断的な研究推進組織の状況を含め、引き続き、NCの組織の在り方に関する検討状況を注視していきたい。また、厚生労働省には、最終的な結論が出次第、公式の委員会の場で説明してもらう必要があると考える。

(3) 令和元年度に主務省令期間が終了した行政執行法人に係る効率化評価の結果について、樫谷評価部会長より説明が行われ、審議の結果、「意見なし」とされた。
審議における委員の主な発言は以下のとおり。

○ 行政執行法人は、国の指示の下で与えられた業務を正確かつ確実に実行していくことが求められるという性質上、自ずとその実績の評価は「所期の目標を達成している」としてB評定になりがちだが、行政執行法人にあっても、法人の創意工夫により高い水準で業務の効率化を達成できた場合等には、そうした良い取組を継続し、又は更に高い目標を目指してもらえるよう、主務大臣においてその工夫を適切に評価することで、法人の役職員のモチベーション向上につなげるよう期待したい。

○ 主務省令期間の途中で業務実績の測定方法を変更した事例について、評価書は一般に公表される公共性の高い文書であり、不適切な対応は法人の評判にも関わりうる。こうした対応は厳に謹んでいただきたい。

○ これまでの委員会審議において、行政執行法人の取組を聴取する機会があまりなかった。行政執行法人についても、他の法人の参考になる取組の好事例があれば、共有していきたい。

○ 業務の効率化に関する目標の設定に当たっては、単に経費の削減等を打ち出すだけではなく、法人の実情に合わせて、例えば、会議の回数を10分の1にするなど、職員が目標に合わせて業務のやり方を変えざるを得ないような大胆な効率化目標を打ち出すなどの工夫を行う必要もあるのではないか。

(4) 令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の点検結果について、樫谷評価部会長より説明が行われ、案のとおり了承された。
審議における委員の主な発言は以下のとおり。

○ 評定の根拠や改善方策等に係る記載が十分でない法人・評価項目については、点検結果の中で毎年言及しているが、毎年同じことを言われることのないよう、主務省において評定の根拠や改善方策等を評価書に明確に記載するようにして欲しい。

○ 複数年連続してC評定が付されているような法人・目標項目については、改善に向けた取組の方向性や、目標設定の在り方に課題があるかもしれない 。問題の所在をよく分析し、改善に向けて知恵を絞って取り組んでいただきたい。

○ 内部統制に課題のあった法人については、今回の評価結果を踏まえ、きちんと内部統制が機能するよう適切に取り組んでいただくともに、主務省においてもその取組を適切に評価していただきたい。
特にGPIFについては、B評定とすることの是非も含め厚生労働省の有識者会議において議論があった旨記載された異例の評価を受けたことも踏まえ、国民から預かった年金積立金を運用する機関投資家として、内部統制の確保にしっかりと取り組んでいただき、その結果が次年度以降の業務実績にも反映されることを期待する。
なお、GPIFの前理事長と前理事は昨年度末で退職しているため、退職金に係る業績勘案率の算定についても、どのような検討をされるのか注視したい。

○ 各法人において、評価結果がマネジメントにどのように活用されているか、事務局において実態を調べてみて欲しい。役員に限らず、職員のインセンティブにつながる仕組みになっていると良い。

(5) 新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた今後の独立行政法人評価について、樫谷評価部会長より以下の発言があった。
・ これまでの調査審議により、令和元年度中においても、新型コロナウイルス感染症が各法人の業務運営に様々な形で影響を与えていたことが改めて明らかになった。本年度は、更に多くの法人の業務運営に、広範な影響が生じていると考えられる。

・ 「独立行政法人の評価に関する指針」においては、「予測し難い外部要因により業務が実施できなかった場合や、外部要因に対して当該法人が自主的な努力を行っていた場合には、評定において考慮するものとする。」とされている。
このため、主務大臣が、感染症によって予定していた業務が実施できなかったと認める場合には、評定において考慮いただくとともに、感染症が業務運営に与えた影響等の分析結果を評価書に具体的に記載いただきたい。

・ 特に、感染症の影響下でも、法人が、その使命を着実に果たしていくために工夫を凝らした、ポストコロナに向けた具体的な計画を策定したといった積極的な取組を行った場合には、役職員のモチベーション向上の観点からも、そうした取組を的確に評価することが重要である。そのような取組についても丁寧に把握し、評定において考慮いただくとともに、その根拠を具体的に記載していただきたい。

・ 以上は、行政執行法人についても同様。

・ なお、法人によっては、感染症の影響により、今中(長)期目標の達成が困難になっているとの声もあるかと思う。
もちろん、目標の変更は安易に行われるべきものでもないし、目標を変更せずとも法人の取組の過程を評価することも可能である。とはいえ、法人とのコミュニケーションを丁寧に行い、ガバナンスをしっかり効かせるという観点から、そういった声がある場合には、現行の目標の下で法人において様々な工夫を凝らすことで目標を達成する可能性も含め、主務省と法人の間でよく議論し、法人の状況を十分に分析した上で、御検討いただきたい。

樫谷部会長の上記 発言を踏まえて審議が行われた。審議における委員の主な発言は以下のとおり。
○ 新型コロナウイルス感染症の影響で独法の施設を含めた多くの公的施設が一時休館していたが、その間どんな取組・検討をしていたのかが見えてこない。何もせず給料だけもらっていたということであれば、休業で売り上げがなくなり給料ももらえなかった民間の立場からは納得できない。どんな取組・検討をしていたのか、ぜひ明らかにして欲しい。

○ 今年度末には独法制度改革から6年が経過し、多くの独法において新制度の下、目標策定や評価が一巡する。制度改革により独法の運営がどのように変わったか、改革が法人の目標達成を後押しするものになっているか等を把握する本格的なフォローアップを実施するいいタイミングが到来している。事務局において、フォローアップのための調査の実施について、検討をお願いしたい。

○ コロナ禍で浮き彫りとなったような課題は、平時のマネジメントの中でよく分析して考えておかないと、根本的な解決策を打ち出すことはできない。効率的なシステム構築を含め、平時においてよく検討しておいていただきたい。

最後に、野路委員長から、以下のとおり取りまとめの発言があった。
・ 社会経済全体が厳しい環境にある中で、法人がその専門性や人材面の強みを活かして社会課題の解決に貢献することの重要性はますます高まっている。法人には、コロナ禍にあっても果たすべき使命を達成できるよう、様々な工夫を凝らしていただきたい。また、主務大臣においては、法人が能力を最大限発揮できるよう法人とよくコミュニケーションを取るとともに、今後の評価の実施に当たっては、コロナ禍における法人の頑張りを適切に評価するよう、御検討いただきたい。

・ なお、法人の頑張りを的確に評価する必要があることは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた法人・業務に限らないと考える。各主務大臣においては、行政執行法人を含めた法人が、例えば、普段なかなか光の当たりにくい業務であっても、その目標の達成に向けて取組に工夫を凝らしたような場合には、その努力を適切に評価するとともに、人事制度上の工夫等を通じてインセンティブを付与することで、法人役職員のモチベーション向上につなげていただきたい。

以上

(文責:総務省行政管理局独立行政法人評価担当)
(速報のため、事後修正の可能性があります。)

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