(令和2年12月15日(火曜日)11時26分 於:本省会見室)

冒頭発言

茂木大臣のアフリカ訪問

【茂木外務大臣】昨日の夕方、アフリカ出張の方から戻ってまいりました。出張の概要については、一昨日になるかと思いますが、モーリシャスからオンラインで会見させていただいたとおりです。私(大臣)の方からは以上です。

茂木大臣のアフリカ訪問

【TBS 樫元記者】今回の4か国訪問で、「自由で開かれたアジア太平洋」ということ、重大な一つに置かれていたと思いますが、現地での手応えというか、いかがだったでしょうか。

【茂木外務大臣】一昨日、会見で言ったことと全く一緒なんですけれど、もう一回やった方がいいですか。(記者首肯)
 「自由で開かれたインド太平洋」、2016年、TICAD6でアフリカで開かれた際に、日本が提唱したビジョンでありまして、今このビジョン、米国、そして豪州、インド、更にはASEAN諸国とも共有をされ、また欧州の主要国、アフリカの国々からも支持が集まっていると、こういう状況であります。
 私(大臣)、今回チュニジアから入りまして、モザンビーク、南ア、そしてモーリシャスと訪問させていただきましたが、実際様々な二国間関係であったりとか、地域課題、国際問題等々を議論する中で、私(大臣)の方から、このFOIP、「自由で開かれたインド太平洋」の実現ということを言いますと、もうすぐに向こうが頷いてくれる、そして同感をするという形でありまして、この「自由で開かれたインド太平洋」というもの、4年間のうちに、アフリカの中でも着実に浸透しつつある、このように考えておりますし、また、今回の訪問を通じて、この実現に向けた連携・協力を、それぞれの国と深めていくということで一致できたことは、大きな成果だったと思っております。

TPP(各エコノミーの参加表明)

【日本経済新聞 加藤記者】来年に日本が議長国を務めるTPPについてお伺いします。
 先日、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席がTPPへの参加意欲を表明したのに続いて、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、先日検討する旨発言されました。
 タイや英国など、参加への意欲を表明している国も多くありますけれども、来年議長国として、こういった国に対してどのようにご対応されていくお考えか、お伺いします。

【茂木外務大臣】TPP11は、ハイスタンダードでバランスの取れた21世紀型のルールを世界に広めていく、こういった意義を有しております。まさに日本が主導してきて合意に至り、発効した経済連携協定になるわけでありますが、ここにきて、すでに以前から参加表明といいますか、参加に関心を示していた英国やタイ以外にも、今おっしゃった国であったりとか、台湾も含めて、様々なエコノミーによる関心表明がなされています。このこと自体、TPPの価値の高さ、評価されているということでもあり、歓迎をしているところであります。
 一方でTPP11、これは市場アクセスの面でも、また電子商取引、知的財産、政府調達、国有企業、衛生植物検疫措置等、ルールの面でも高いレベルの内容となっておりまして、関心表明を行っているエコノミー、これがこうした高いレベルを満たす用意ができているかどうかについては、しっかりと見極める必要があると、そのように考えているところであります。
 今申し上げたようなそれぞれの点について、様々な柔軟性というものが、当然参加ということになると、求められてくると思っているところであります。
 我が国、来年TPP議長国として、新規加入に関心を示すエコノミーの動向、そういった用意ができているかについても含めて注視しつつ、戦略的観点も踏まえながら、引き続きTPPの着実な実施、そして拡大に努めていきたいと思っております。

年明けの茂木大臣外遊

【テレビ朝日 佐藤記者】改めまして、今回アフリカ訪問されましたけれども、また年明けにもアフリカ地域、また中南米地域での訪問が調整されているという一部報道もあります。今回アフリカ訪問を実際回られて、また年明け以降も、またそういった地域を回られるということでありましたら、こういった地域でどのように日本政府として関与を持っていきたいと考えていらっしゃるか、今後の抱負を含めてお話しいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】これは安倍政権の下でも、「地球儀を俯瞰する外交」を進めてまいりました。基本的な考え方、これは変わっていないと思っておりますし、またそういった中で、私(大臣)として、包容力と力強さを兼ね備えた外交を展開していきたいと。様々な国との間で二国間関係の強化であったりとか、また、国際ルールに基づいてどう行動していくことが国際社会に求められるかと、こういったことについて大変いい議論ができていると思います。
 もちろん、今年、電話会談、国際会議等も行ってきましたが、実際に、二国間関係の問題ももちろんですが、機微にわたります国際情勢に対する意見交換等々は、どうしても直接会ってお話をする、こういったことが極めて重要だと思っておりますし、国際社会には様々な声を有する国、様々な影響力を持っている地域があるわけでありまして、そういったところのトップであったりとか、カウンターパートとじっくり議論する、こういったことは極めて重要だと思っております。
 年明けの外遊日程、まだ決まっておりませんが、そういった観点も含めて検討したいと思います。

米大統領選挙人投票(バイデン氏勝利確定)

【産経新聞 石鍋記者】米国大統領選についてお伺いいたします。選挙人による投票が始まりまして、バイデン氏が当選を事実上確実にしたということです。この受け止めとですね、改めて日米関係、新政権の間でどのように発展させていくか、お考えをお願いいたします。

【茂木外務大臣】今年の場合は、合衆国の連邦法の定めるところによりますと、14日が選挙人の投票日ということで、14日、選挙人の投票でバイデン氏が過半数獲得し、次期米国大統領に選出されることが確実になったところでありまして、残る手続きは1月6日の連邦議会での結果確認のみとなったと、このように考えております。
 バイデン新政権との間でも、強固な日米関係に変化はないと思います。日米関係を更に強固なものとして、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため、バイデン次期政権と一層緊密に連携していきたいと考えておりまして、私(大臣)も、次期政権の国務長官として指名をされましたブリンケン元国務副長官が正式に就任した暁には、速やかに意思疎通を図って、強固な日米関係の一層の発展に向けて、様々な面で協力していきたいと思っております。

茂木大臣の今年の漢字

【茂木外務大臣】あれ? 「漢字一字」と聞くのではないの? 違うの?(会場に笑い)

【産経新聞 石鍋記者】代表してお伺いいたします。大臣、今年も年末ですけれども、今年、「漢字一字」で表すと、どのようなものになるでしょうか。お願いいたします。

【茂木外務大臣】すみませんね。各省庁で聞かれるのだと思って、一応考えてきましたので。
 今年を象徴する漢字一字、「密」という形で力強く書かれたところでありますけれど、同じですが、私(大臣)からすると、その「密」を避けるための人との間隔を取るという意味で、間隔の「隔」、リモートということなのかなと、そのように思っております。それはある意味、密を避けるということで、趣旨的には一緒なのかなと、そんなふうに思っているところであります。
 確かに今年、こういうコロナが世界的に広がるという中で、外交活動もやりにくい面があったわけでありますが、それでもコロナが世界的に拡大したこの夏以降も、16か国を訪問して、直接向こうの首脳であったりとか、外務大臣と会談を行うこともできました。
 そして、コロナが起こってから、どうしても電話会談とかテレビ会談が増えたわけでありますけれども、数えてみますと109回、電話会談、テレビ会談を行っております。16か国を訪問した、その前にも6か国訪問していますから、今年で22か国ということになるのですが、また109回のリモートでの会談を行うことができたと。言ってみると、離れている「隔」の中でも、各国と密に連携できた1年ではなかったかと、そんなふうに思っております。