(令和2年12月8日(火)  11:02 ~ 11:27 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は、私からまず一点ご報告をさせていただきたいと思います。先週金曜日に、総理が会見で、ひとり親世帯に対して、予備費を活用して、ひとり親世帯の臨時特別給付金の再支給について年内を目処に、ということで発表をされました。
 ひとり親世帯は、やはり一般世帯と比べて非常に非正規雇用労働者の割合が高いということで、元々経済的基盤も弱いわけでありまして、非常に日々の生活にご苦労いただいております。
 それで11月、私も何度か国会で答弁させていただいたかと思いますが、スマートフォンで調査をさせていただきました。LINEリサーチのモニターに対してスマートフォンによる調査ということで、結果は、年末に向けての暮らし向きについて、「苦しい」ひとり親世帯は60.8%、ひとり親世帯以外は47.6%でありますとか、直近1ヶ月間に必要とする食料が買えない経験があったひとり親世帯が35.6%、ひとり親世帯以外は26.4%、やはり比べるとひとり親世帯の方が厳しいということも判ってまいりました。
 そういうことでございまして、前回と同様にまずは1世帯5万円、そしてその後、2人目以降は3万円追加で給付させていただくということで、これを今準備をさせていただいているということでございます。私からは以上です。

質疑

記者:
新型コロナについて伺います。北海道と大阪が自衛隊の派遣を要請するほど、医療体制がひっ迫した状況が続いていますが、厚労省として支援をするなど対応する考えはありますでしょうか。
大臣:
北海道の一週間の移動平均を見ると若干減少傾向ではありますけれど、依然厳しい状況です。大阪はまだ増加しているということで、そういう意味では非常に両道府ともに厳しい状況ということで、今お話があったような形で自衛隊の派遣もございますが、厚生労働省といたしましても、例えば北海道には人材確保の広域調整のため北海道庁に厚生労働省職員5名を派遣するでありますとか、クラスターが発生した福祉施設や医療機関にDMAT 5名を派遣する、更には施設が札幌市内の24施設に派遣をさせていただいたり、旭川市に向けても医療機関7施設に派遣をさせていただいているなどいろいろな支援をさせていただいております。
 大阪に関しましては国立病院機構の医療機関等で病床等を提供させていただくなどとかいろいろな支援をさせていただいているわけでありまして、引き続きそれぞれ必要に応じて支援をさせていただきたいと思っております。
記者:
後期高齢者の2割負担について、昨日のテレビ番組で自民党の下村政調会長が来週火曜日の閣議決定を目指したいと発言しておりました。政府と公明党の考えの隔たりが大きいように思うのですが、合意を得るためにどのように対応されていくかお考えをお願いします。
大臣:
15日というのはある意味、物理的に15日の閣議決定というものに間に合わせなければならない最終ラインということで仰ったんだと思います。開きといいますかそれぞれ自民党・公明党の間で、ご意見を交わされているということで認識をいたしております。
 政府としては政府としての総理のお考えもあり、若い方々に対しての負担のこれからの上昇を抑えていくという意味で、高齢者の皆様方にも、負担能力のある方々には、全世代型社会保障制度ということで、一定のご負担をということで2割負担をお願いさせていただいているわけでありまして、最終的にはどこかで合意をしていただけるものと考えております。
 これからも自民党、公明党も精力的にご議論をいただくと思いますので、我々もそれを注視させていただきながら、場合によっては政府もその中でご議論をさせていただきたいと思います。
記者:
今朝、公明党の山口代表がこの2割の問題について、我々の問題提起に対して政府側がどういうふうに協議を詰めていくかというその部分が見えないことが、協議が進展しない要因だと記者団に語っております。
 政府側は今大臣が言われたように若い人の負担の軽減とか、あるいは従来言われております170万円ということで打ち返してはいると思うんですけれども、この政府側がどういう風に意思決定していくのが見えないのが要因だと言っている山口代表の見方についてはどのように見られていますでしょうか。
大臣:
与党の中でそれぞれ自公でもご議論いただいておりますので、そのご議論はしっかりと注視をさせていただきたいし、政府としては先ほどより申し上げております通り、考え方はお伝えさせていただいておりますので、その中で与党としてはお考えをおまとめいただき、政府と議論をしていくという話になると思います。まずは与党の方で、ご議論をいただくという話になると思います。
記者:
新型コロナのワクチン接種についてお伺いします。イギリスでワクチンの接種が始まりますが、日本では申請があってからどのくらいの期間で接種を始められるのか、また、接種の開始時期としていつ頃までにはやりたいという目標がありましたら、どのようにお考えかお聞かせください。
 あと、世界経済フォーラムなどの調査を見ると、各国で接種を希望しないという方が一定以上いまして、ある程度接種をしないと集団免疫というのは獲得できないわけで、厚労省として接種計画を作るにあたって接種を希望する人の割合を調査する考えはあるのかと、その接種に向けた正しい理解をどのように得ていくのか。そのことについてどのようにお考えなのかお願いします。
大臣:
いつ頃接種をするのか、元々来年前半にということは総理も目指しているというお話があったかと思いますが、ただ、まだ日本では薬事承認申請はまだ出てきておりません。出てきてからどれぐらいでというお話もございましたが、これは審査してみないと分かりませんので、そういう意味からすると今予断をもってお答えすることはできません。
 一方で、3月に一定程度ワクチンを供給いただくというような、そういうような基本合意は結ばせていただいているということは以前から申し上げております。どのメーカーとは言いませんけれども。
 そういう意味からするとそういうような基本合意に基づいて、後はスムーズに申請が出てきて、薬事承認がちゃんと下りて、接種体制が整っているということであれば、ひとつそういうような供給の基本合意からしてもワクチン接種に向かっての体制整備というのは一定程度我々としては目標としては持っております。
 ただ、先ほども申し上げているとおり、その通りいくかどうかというのは、これは申請が出てきた上で、どのような時間のもとで承認されるかということでございますので、予断をもってここではお答えはできないということはご理解をいただきたいと思います。
 それから、いろいろな調査があって、打ちたいと答えられる方が一定程度世界中でおられると、わが国でもいろいろな調査があるわけでありますけれど、政府として、そういうワクチンを打ちたい、打ちたくないということを聞くこと自体は、今のところ、考えておりません。
 といいますのは、今の時点で聞いたところで実際問題ワクチンが承認されたときどうなっているか分からないわけでありまして、それよりかは先ほど仰いましたけれども、ちゃんとワクチンの有効性や安全性というものを、薬事承認した上で伝えていくということが大事なので、しっかりと厚生労働省、政府の広報を通じて、そういうようなワクチンの情報というものも、これは例えば厚生労働省のホームページでありますとかいろいろ利用しながらお伝えさせていただいて、国民の皆様にそういう情報をしっかりと共有していただけると、これが最終的にはワクチンを接種いただけるというような形での一つの国民の皆様方の行動になってくるのかなと思いますので、そういう意味ではしっかりとした情報をお伝えすること、これに努めてまいりたいと思っております。
記者:
スムーズに行けば、年度内にもワクチン接種が開始できるとお考えでしょうか。
大臣:
ちょっとスムーズに行けばというのがどういう意味合いで仰っておられるか分かりませんので、ちょっとここでは今予断をもってお答えすることはできませんが、安全性と有効性というものをちゃんと確認した上で国民の皆様方にご理解をいただいて、なるべく早くワクチンの接種体制を整えてまいりたいと思います。
記者:
新型コロナの先ほどの自衛隊派遣に関連してお伺いします。今、自衛隊の派遣であったり全国知事会で広域の応援体制が組まれていますけれども、地域によってこれほど医療体制がひっ迫しつつあるという現状について、大臣としてどのように受け止めていらっしゃるかということと、今後また更に医療人材であったり、病床であったり、医療資源がひっ迫していくことも懸念されていますが、改めてどのように対応されていくかお願いします。
大臣:
病床確保計画というものを立てていただいて、それに沿って整備をいただいているわけです。問題は、感染拡大のスピードというのは地域によって違います。
 そういう意味で、準備をしているよりも早く感染者が増加していくというおそれもあるので、今はやはりフェーズ、それぞれのその病床の拡大フェーズみたいなものを早めていただいて、今余裕があったとしても早めに病床確保いただくお願いはさせていただいております。
 更には、感染拡大していく中において、いろいろこちらも工夫していかなければならないと思います。今病床確保全体について、どういうふうに確保していくのか、医療体制をどのように整備していくのかということに関して厚生労働省の中でもいろいろな検討をしておりまして、一定程度そういうものがまとまりましたらまた各都道府県にはそういうものをお願いしていくということになると思います。
 いずれにいたしましても、これから冬場でございますので、更に感染拡大をするということも踏まえながら、そうなるか分かりませんけれども、そういうことも我々としては念頭に置きながら、病床の確保、これを進めていかなければならないと思っておりますので、しっかりと厚生労働省の中において、自治体にお願いさせていただく内容をよく詰めてまいりたいと思います。
記者:
病床と併せて、医療人材も足りないというような声もあるのですが、このあたりどのようにお考えでしょうか。
大臣:
医療人材は急には増えてまいりませんので、その中でもちゃんと対応できるような体制。世界中が限られた医療人材の中で、日本よりも感染拡大しながら何とかその中で医療を提供しております。
 もちろんその中において犠牲になっている部分もあるんだと思いますけれども、感染者が今増えていますから我々油断しているわけではありませんが、日本はまだ欧米から比べれば感染者の数は少ないわけで、その中において、今の医療人材、それからもちろん実際問題、職場に出ておられない資格を持った方もおられると思いますし、それから本来、専門職種でやらなくて良いような業務もあるわけで、そういうものについて今医療専門職種の方がやられている現状もあります。
 そういうところをどうやって他に振り分けていくかということも含めながら、今あるマンパワーでこれから感染拡大した場合も、しっかり対応できるような体制を整えていかなければならないので、そこはいろいろなこれから工夫をして、厚生労働省内での検討を進めているところであります。
記者:
GoToトラベルの利用者が感染拡大をしていることを示唆する東大の研究結果が発表されました。分科会ではこれまでエビデンスがないとしていて、尾身会長は「エビデンスがないだけで、可能性はないとは言っていない。」とも発言されています。
 今回このような感染拡大を示唆するようなエビデンスが出たことに対する大臣のご所見とGoToに関して運用の見直しの必要性などご見解ありましたらお願いいたします。
大臣:
ちょっとエビデンスと言えるものなのか、査読も終わっていないという話ですし、実際この研究者も、「GoToトラベルの利用が直接的に新型コロナ症状の増加につながったという因果関係は断定できない。」でありますとか、「GoToトラベルの利用と新型コロナ症状の発生率との間の時系列的関係が不明。」でありますとか、更に申し上げれば、「新型コロナ症状を持つ人が、必ずしも新型コロナに感染しているわけではない。」というような研究方法の限界を研究者自身も述べられているということでありますので、これをもってどうか、我々もまだちょっとよくわからないです。
 つまり、症状があれば、普通は検査に行っておられると思うんですが、この症状のあった方々が陽性か陰性かもわからない。正直申し上げて評価のしようがないというのが正直なところであります。
 まだ査読もされていないという話でありますから、これからこの調査がどういうものであるのかということについて、しっかりと我々も分かるような状況になってくれば、またいろいろと参考にさせていただきたいと思いますが、今の時点では、研究者自らこのようにおっしゃっておられますので、今は評価のしようがないということであります。
記者:
新型コロナの検査についてお伺いします。症状がなかったり、濃厚接触ではない人が不安に思って検査を民間の機関で受けるケースが増えていますが、そういった民間の検査所には医師が診断しないこともあるということですが、この件について大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
検査能力が増えてきているということは好ましいことだとは思いますが、今言われますとおり、医療機関を通じない場合には保健所に対する届出義務がない。
 法律上、民間の検査機関は何らか報告する義務がない訳で、そういう意味からすると、今オープンデータ化をやっている最中で、まだもう少し時間がかかりますが、こういうところで本当はちゃんと届出をしていただくということも含めて、誓約をいただきながら、国民の皆様に一定の精度管理がされているということも、多分、それぞれの検査機関から誓約書に則って、ご提示をいただくと思います。
 こういうようなもので、国民の皆様には、より確かな信頼と言っていいのかわかりませんが、一定の信頼性のある検査を受けていただきたいという思いであります。
 今まだオープンデータ化ができていないものでありますから、その間に関しましては、是非とも民間の検査会社に関しては、陽性の方に対しては検査を勧めていただきたい、また、陽性と判断された方は、是非とも医療機関で、ちゃんと制度に則ったPCR検査を受けていただいて、本当に陽性なのか陰性なのかということの確認をしていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。
 ほとんどの方はそうしていただけると思います。民間のPCR検査をやっている機関がちゃんとしていないということを言っているつもりはないですが、精度管理も含めて医療機関等で対応しているところと比べれば、ある意味、制度に則っていない検査でありますから、医療機関等の検査もしていただくことで初めて、保健所等につながっていく訳でありますから、是非ともそこで、再度検査をしていただいた上で、陰性ならば特に問題はないですが、陽性であれば、制度に則って保健所に届けていただいて、しっかりと感染防護といいますか、感染予防といいますか、感染防止をしていただくための対応をとっていただきたいと。
 ご本人ももし陽性であったら、今は無症状でも場合によっては容態が変化するかもしれませんので、是非ともよろしくお願いしたいと思っております。
記者:
休業支援金について伺います。日雇いやアルバイトの方からなかなかまだ受け取れないという声があがっています。10月末に厚労省は新しい指針を出したと思うんですが、なかなか徹底されていないという状況もあると伺っております。
 そういう中で、昨日も「年末までの申請期限となっているものをもっと延長して欲しい」といった要望が出されたかと思いますが、そちらの検討状況はどうなっていますでしょうか。
大臣:
10月末に皆さんにご理解いただけるような形で通知を出して、対応を始めております。十分に現場にまだ浸透していないかというと、我々としては浸透するつもりで現場に指示を出しておりますので、例えば、事業者が休業を認める書類を出していただかない、そういう証明をしていただけないという方に関しても、窓口に来ていただければ申請を受け付けさせていただいて、事業者の方に労働局からしっかりとご連絡をさせていただいて、対応させていただくというような形にしております。
 問題は、まだ十分に周知できていないではないか、それからよく言われるのが、昨日も来られた議員の方々がおっしゃっておられましたが、もしかしたら、申請をすることによって何らかの不利益を受けるのではないかというようなことを恐れておられる方がおられると。ですから、まずはどなたかが申請いただいて、その上で、給付が決まって、ちゃんと給付してもらえるということがわからないと次の申請につながらないのではないか。
 そうすると、12月末で期限が切れることはちょっと早いのではないかというようなご意見でございました。これは委員会でも以前からそういうご質問もいただいています。
 確かにこれは、10月末で11月、12月の2か月しかございませんので、年末というのはなかなか難しいと考えておりますので、どれくらいまでの期間までかはまだ申し上げられませんが、延長の検討をさせていただいております。
 なるべく早く結論を報告させていただきたいと思っております。
記者:
自衛隊派遣の関連で医療人材の支援についての質問なんですけれども、今回自治体の要請で自衛隊の医官とか看護官が派遣されることになりましたけれども、今後感染状況によっては医療人材が不足する事態が想定されると思うんですけれども、厚労省が出すDMATとかの人材派遣というのは今現状で余裕があるのか、余裕無ければ、今すぐそういう人材を派遣する対策というのを何か考えていらっしゃるのかお願いします。
大臣:
DMATにしてもすべてが厚生労働省の職員ではないので、そういう意味からしますとDMATの体制をしっかりと組んで、そういう場合にはご理解・ご協力をいただきながら、という話になると思います。
 DMATも非常に重要だと思いますし、DPATも派遣させていただいているというような現状もありますが、やはりそういう緊急時の派遣も必要なのですが、それ以外に今ある医療人材、マンパワーで感染拡大した場合に対応いただいていかなければならないのだと思います。
 でないと、全国にどんどん広がりつつある中で、対応できなくなってしまいますので、そういうことも念頭に置きながら厚労省の中でどういう対応をしていただけるのか検討させていただいております。
 いずれにしましても、前から申し上げておりますが、今大体一日2千人強ぐらいの新規感染者ですが、これが更に増えた場合でも、最悪のことを我々想定しなければならないので、医療というもの、これがしっかりと維持できるような体制というものを検討していかなければならないと思っておりますので、そうならないことが前提で我々としては感染防止を進めてまいりますが、感染拡大した場合に対しても医療をしっかり提供いただけるような体制をとるためにはどういう方策があるかということを今検討させていただきながら、検討結果を各自治体にお願いさせていただく、医療機関にお願いさせていただくということになってまいると思います。

(了)