• 議事録(PDF形式はこちらから)

日時

2020年11月5日(木)14:00~15:32

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、古賀委員、後藤委員、白山委員、寺田委員
【消費者委員会担当委員】
大石委員、新川委員
【説明者】
電力・ガス取引監視等委員会事務局 田中ネットワーク事業監視課長
資源エネルギー庁 下村電力産業・市場室長
資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課 担当者
【消費者庁】
吉田参事官
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 託送料金制度改革等の詳細設計について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 議事次第(PDF形式:168KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料1】 託送料金制度(レベニューキャップ制度)の検討状況について(電力・ガス取引監視等委員会事務局 提出資料) 全体印刷版(PDF形式:1600KB)PDFを別ウィンドウで開きます

    【資料1】 託送料金制度(レベニューキャップ制度)の検討状況について(電力・ガス取引監視等委員会事務局 提出資料) 分割版
    表紙から5ページまで(PDF形式:772KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    6から30ページまで(PDF形式:939KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    31から46ページまで(PDF形式:1276KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    47から52ページまで(PDF形式:825KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料2】 託送料金制度改革(相互扶助制度)の検討状況について(資源エネルギー庁 提出資料)(PDF形式:657KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料3】 配電事業ライセンスの検討状況について(資源エネルギー庁 提出資料) 全体印刷版(PDF形式:2415KB)PDFを別ウィンドウで開きます

    【資料3】 配電事業ライセンスの検討状況について(資源エネルギー庁 提出資料) 分割版
    表紙から7ページまで(PDF形式:995KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    8から10ページまで(PDF形式:856KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    11から13ページまで(PDF形式:966KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    14から19ページまで(PDF形式:1001KB)PDFを別ウィンドウで開きます
    20から32ページまで(PDF形式:976KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料4】 持続可能な電力システム構築小委員会(第7回会合)議事概要(資源エネルギー庁 提出資料)(PDF形式:293KB)PDFを別ウィンドウで開きます

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≪1.開会≫

○太田参事官 定刻となりましたので、ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会第12回電力託送料金に関する調査会」を開催いたします。

本日は、所用により、浦郷委員が御欠席との御連絡をいただいております。

なお、本日の会議はウェブ会議による開催となります。公開で行いますが、感染拡大防止の観点から、一般傍聴者は入れず、報道関係者のみに傍聴いただいての開催となります。

議事録につきましては、後日、公開することといたします。

ウェブ会議による開催にあたりまして、これまでと同様、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくことをお願い申し上げます。

それでは、野村座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.託送料金制度改革等の詳細設計について≫

○野村座長 ありがとうございます。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合には、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れた場合には、事務局に進行をお願いいたします。

そうしましたら、議事に入らせていただきます。

本日の議題は、「託送料金制度改革等の詳細設計について」です。

前回と同様に、資源エネルギー庁及び電力・ガス取引監視等委員会における制度設計の検討状況について御説明いただいた後、質疑応答及び今後の検討に向けた意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁から吉田調査・物価等担当参事官、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局からネットワーク事業監視課の田中課長、資源エネルギー庁から電力・ガス事業部電力基盤整備課の御担当者様にお越しいただいております。また、後ほど電力・ガス事業部政策課電力産業・市場室の下村電力産業・市場室長にお越しいただきます。

御多忙のところ御協力くださり、ありがとうございます。

本日の進行ですが、前半でレベニューキャップ制度、後半で配電事業等について議論を進めてまいります。

全体で15時30分までの時間ですので、御説明、御質問は簡潔におまとめいただくよう御協力をお願いいたします。

まず、レベニューキャップ制度について、電力・ガス取引監視等委員会事務局から、15分程度で御説明をお願いしたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 電力・ガス取引監視等委員会事務局ネットワーク事業監視課長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

15分ほどでの御説明ということで伺っておりますので、重要なポイントを中心に御説明をさせていただきたいと思います。

それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。

1ページ目、2ページ目はタイトルとなってございまして、3ページ目と4ページ目につきましては、第2回料金制度専門会合でいただいた主な御意見を記載しております。

5ページが主な論点ということで、こちらにつきましては目標分野における具体的な項目や、インセンティブの付与方法に関して、論点1、論点2で取り上げておりまして、それに加えて制御不能費用について御議論をしていただく内容になっております。

論点4につきましては、前回御議論していただきました期初における託送料金の算定について再度整理したものになっています。

6ページ以降、成果目標、行動目標の設定でございます。

7ページと8ページと9ページにつきましては、前回の資料を改めて記載しておりまして、10ページで目標項目設定の基本的な考え方を記載しております。

こちらについては、送配電事業者の基本的な義務として取り組むべきもの、長期的に取り組むべきもの、外生要因が小さいものといったものを目標項目の性質として望ましいものというところで列記しておりまして、その上で、更に外生要因の補正可否や他法令との重複といったものを考慮した上で決定することが必要ではないかということで記載をしております。

11ページでございますが、イギリスのRIIO(Revenue=Incentives+Innovation+Outputs)における項目に関しても、参考として記載させていただいております。

12、13ページは、それぞれ各項目の具体的な目標設定となっております。

12ページでございますけれども、安定供給については、一般送配電事業者は、平時においてできるだけ供給支障等を発生させないようにするとともに、災害時においてもそれによる供給支障が少なくなるようにすることが求められるということで、それに向けて、一般送配電事業者は、設備の整備やメンテナンス、災害に備えた体制整備などを適切に進めていく必要があるのではないかということで、具体的には13ページにあるような形で、安定供給については、マル1のように停電量が、供給計画で基準とする年間停電量の期待値を上回らないことといった目標としてはどうかということ。あとはマル2、マル3のように、新規、拡充投資につきましては、マスタープラン等で策定された整備計画を実施すること。更新投資につきましては、標準化されたアセットマネジメント手法で評価したリスク量に基づいて保全計画を実施することにしてはどうか。あとは、無電柱化に関する目標などといったことが考えられるのではないかということで記載をしております。

14ページの再エネ導入拡大につきましては、再エネ電源出力量や再エネ電源接続量を確認するといったことが分かりやすいという意味では理想的ではあるのですが、他方で、再エネ電源等の外生要因が大きくて、出力量や接続量自体は、実際に一般送配電事業者のほうでコントロール可能といった意味合いにおいては、制度運用の観点からは目標設定は困難なのではないか。むしろ、下のほうにあるような、再エネ電源に対する接続・受電対応の円滑化や、再エネ電源の増加に向けた整備といったところが、再エネ導入成果を測る上で、制度運用の観点から実際にはふさわしい目標ではないかということでございます。

具体的には15ページにあるように、新規再エネ電源の早期かつ着実な系統連系として、接続検討や契約の申込回答期限超過割合が過去の実績割合を超えないようにするということや、マル2、マル3のような、混雑管理に資する対応、発電予測精度の向上に資する対応が目標設定として考えられるのではないかということでございます。

16ページのマル4サービスレベルの向上につきましては、重要度が高いと考えられる需要家の接続や、計量、料金算定、通知等の確実な実施については、過去5年間の実績を超えないようにするといった目標を立てる一方で、顧客満足度につきましては、一般送配電事業者がステークホルダーの意見を聞きつつ、自らの創意工夫に基づき自主的に目標を設定していくといったこととしてはどうかということで、記載をしているところでございます。

17ページの広域化につきましては、効率化やレジリエンス強化を進めるためには、一般送配電事業者間の協力による広域的な取組が重要なわけですけれども、そういった取組を推進すべき項目として、以下の3つ、設備の仕様統一化、系統運用の広域化、災害時の連携推進といった項目を目標として設定してはどうかということでございます。

18ページのデジタル化につきましては、AI、IoTなどのデジタル技術やアセットマネジメントシステムを活用した保安業務等の高度化を図る等の取組が重要なわけですけれども、こういったことにつきましては、中長期的にはコスト効率化に寄与しますが、短期的にはコスト増加につながる取組であり、計画的に進めることが必要ではないかといったこともあり、この辺りに関しましては一般送配電事業者がステークホルダーの意見を聞きつつ、自らの創意工夫に基づき、自主的に目標を設定することとしてはどうかということでございます。

19ページは、目標項目の設定(安全性・環境性への配慮)でございます。安全性・環境性への配慮につきましても、先ほどのデジタル化の取組とある意味似たような形でございまして、関係法令を遵守すれば足りるという考えもあれば、より高いレベルの対応を進めるべきという考えもあることから、一般送配電事業者がステークホルダーの意見を聞きつつ、自主的に目標を設定することとしてはどうかというところでございます。

20ページの次世代化につきましては、送配電ネットワークの次世代化を図ることを促す観点から、下にあるような、分散グリッド化の推進やスマートメーターの有効活用等といった項目が考えられるのではないかというところでございます。

先ほどから、デジタル化や安全性・環境性への配慮の項目で、目標設定の際に一般送配電事業者がステークホルダーと協議を行うことも一案ということで記載をさせていただいていますが、21ページにあるとおり、イギリスにおきましてはステークホルダーエンゲージメントといった取組がなされていまして、例としてここに記載しているような発電事業者、小売事業者、需要家といったステークホルダーから幅広く意見を集約しまして、それについて意見集約、議論をした上で、目標なり計画なりを設定するといった取組などがなされているということでございます。

22ページ以下はイギリスの例ということで、イギリスでは安定供給分野につきまして、この供給支障電力量の実績値が、各送配電事業者が設定した目標値を超えないようにすることといった目標が設定されていて、それにボーナス、ペナルティが付与されていたり、23ページでは、発電事業者、需要家への接続をスケジュールどおり実施することといった目標が設定されていて、それにペナルティなどが付与されていたり、24ページでは、安全性の義務に関する法律を遵守することといった目標が設定されていたり、25ページでは、環境性に関して、結果を公表させることによってレピュテーショナルインセンティブを付与するといった取組がなされているところでございます。

26、27ページにつきましては、参考資料となってございます。

28ページからはインセンティブの設定でございますが、30ページを御覧いただきますと、イギリスでは、目標に応じてボーナス、ペナルティの付与や結果公表といったインセンティブを設定しているということであり、我が国のレベニューキャップ制度におけるインセンティブについても、30ページの下にあるような翌規制期間の収入上限の引上げ・引下げ、あとは、レポートやプレゼンを通じた達成状況の公表によるレピュテーショナルインセンティブの付与といった取組を設定することも一案ではないかということでございます。

31ページ以降、制御不能費用の調整ですが、33ページにございますとおり、前々回の資料におきまして、一般送配電事業者の努力によらない外生的な費用変動については、期中または翌期に収入上限を反映する等の仕組みを導入してはどうかということでございまして、34ページにございますとおり、一般送配電事業者の裁量によらない外生的な費用、具体的にはこちらの基準にありますとおり、費用変動が外生的に発生する費目、量、単価の両方が外生的な要因によって変動するものであったり、合理的な代替手段がなく、一般送配電事業者の努力による効率化の取組が困難とした費目などについては、制御不能費用と定義した上で、実績費用を収入上限に反映し回収することとしてはどうかということでございます。

35ページでございますけれども、諸外国においては制御不能費用とされている費目についても、我が国においては、以下の理由により制御不能費用の対象外としてはどうかということで、36ページを御覧いただきますと、ドイツでは、TSOについては制御不能コストとして70から90パーセントぐらいが対象となっており、DSOについては40から60パーセントぐらいが対象となっている。他方、イギリスでは設備投資は制御可能コストと定義されておりまして、制御不能コストの割合は10パーセントほどとなっておりまして、各国の定義によって異なるということになっております。

したがいまして、諸外国においては制御不能費用となっている場合もある費目ということではございますけれども、35ページにありますとおり、補償費や賃借料、託送料といったものや、退職給与金、現行下において効率化が可能な費目については制御不能費用の対象外としてはどうかということでございます。

38ページでございますけれども、以下の費目については制御不能費用の対象費目とすることも考えられるのではないかということで、38ページにつきましては、いわゆる電促税、事業税、法人税などの公租公課につきましては、制御不能費用の対象とすることが考えられるのではないかということでございます。

39ページにつきましても、こちらにあるような災害復旧費用やPCB処理費用、振替損失調整額といった費用につきましても、あらかじめ処理方法や拠出額などが決まっていたりするものですから、制御不能費用の対象とすることが考えられるのではないかということでございます。

40ページでございますけれども、インバランス収支の過不足についても、インバランス料金やその調整力のkWh価格、いずれも一般送配電事業者はコントロールが困難なものでございますので、こちらについても制御不能費用の対象とすることが考えられるのではないかということでございます。

41ページ、42ページに関しては、参考資料になっております。

43ページ、44ページにつきましても、参考資料となってございます。

45ページは、前述の基準を踏まえた上で、今後、政策に深く関わる費目で一般送配電事業者による効率化の取組が困難と考えられる費用については、国の審議会における議論を経た上で制御不能費用の対象と加えることとしてはどうかということで、例えば再エネ導入拡大における地内系統の混雑管理の手法として、再給電方式が議論されているところですが、その調整費用の在り方も今後、制御不能費用の対象とするか否か、検討していく必要があるのではないかというところでございます。

46ページは、制御不能費用の調整について、期初に見積もった費用と実績費用に乖離が発生するわけですが、収入上限の反映については、レベニューキャップ制度において5年間の規制期間を設定することを踏まえまして、原則として翌期に行うこととしてはどうか。ただ、期中の累積変動額が一定水準額を超える場合や、公租公課など外生性の強い変動については、期中に反映することとしてはどうかということでございます。

続きまして、47ページ以降、収入上限の設定及び託送料金の設定でございます。

50ページにございますとおり、前回の料金制度専門会合でも御議論いただいたところなのですが、こちらについては前回の議論を踏まえまして、改めて整理をしまして、5年一律の託送料金とすることを基本とするが、年度ごとの見積費用について合理的な説明があった場合は、年度ごとに異なる託送料金を設定することを個別に認めることもあり得ることとしてはどうかということで、改めて提示をさせていただきまして、料金制度専門会合の委員の皆様にも、こういった方針で今回御賛同いただいたことになってございます。

以上、私から、資料1に関する御説明でございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、今の電力・ガス取引監視等委員会事務局からの御説明について、意見交換を行いたいと思います。25分ほどを予定しておりますので、御協力ください。

御発言を御希望の方は、チャットにお名前を入力していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

寺田委員、よろしくお願いいたします。

○寺田委員 寺田です。

短い質問ですけれども、お話の最後の50ページの論点4なのですが、今日の中心的な話ではないのかもしれませんが、合理的な説明があった場合に、年度ごとに異なる託送料金設定と言ってしまうと今までの前段のお話が消えてしまうと思います。つまり、年度ごとに異なる設定をしなくてもいいのではないかと思うのです。レベニューキャップとかプライスキャップはもともとそういうものだという気もするので、例外的な状況については既に網羅されています。年度ごとの対象はよく分かりませんが、イベントがあるとかということだとすれば、そういう配慮はなくてよいのではないかと思いました。

○野村座長 田中課長、いかがでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 50ページの期中における託送料金の設定につきましては、第2回の料金制度専門会合のときにも御提示をいたしまして、御議論いただいたところでございます。

第2回のときも、(1)の5年一律の託送料金を原則とするが、合理的な説明があった場合は個別に認めることもあり得ることとしてはどうかということで、基本的には今回の50ページの資料の記載と同じようなラインの話を記載していたのですが、第2回の料金制度専門会合におきまして、料金の安定性や平準化、送配電設備の経済耐用年数の長さを重視する観点から、(1)を基本とすべきではないかというのが多数の御意見だったのです。

他方、(2)の年度ごとに異なる託送料金を設定することについても、一般送配電事業者の年度ごとの収入と費用が一致するといった観点もあるのではないかという御意見もあったところですので、記載のラインについては(1)が基本で、(2)も個別に認めることもあり得るということではあるのですが、それぞれの観点に関しまして、前回会合におきまして御議論が行われましたので、そのことについて改めて明確化、整理をしまして、50ページのように記載をしているところでございます。

前回の第3回料金制度専門会合におきましては、委員からは、ネットワークの性質や託送料金の安定性を考えると、実務的には5年一律という案に賛成であると。一方で、収入が一定となると、費用はそれに合わせていくという潜在的なインセンティブもあるかと思うので、合理的な説明があった場合には、年度ごとに異なる託送料金の設定を認めるという整理に賛成といった御意見をいただいているところでございます。

私からの回答としては以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

寺田委員、いかがでしょうか。

○寺田委員 ありがとうございます。

話を蒸し返すようで申し訳ありません。今日いろいろと例外的な状況についてのお話が付け加わったというか大分進みましたので、余計に案(1)でよいのではないかという印象が強まったということだけ申し上げたいと思います。

○野村座長 了解いたしました。

50ページのスライドの中にも、(1)のほうを基本とするが、という文言が入っていることを確認いたしました。

それでは、白山委員、引き続きお願いいたします。

○白山委員 白山でございます。

目標項目設定についての御質問なのですけれども、様々な目標の分野で目標の指標が設定されるということで、指標の性質として、定量的な指標と定性的な指標があったり、アウトプット的な指標があったりアウトカム的な指標があったり、指標の設定が自主的な設定であったり公共的観点から政策的に決定される指標とか、いろいろな形が混在していると思うのですけれども、そうなった場合に、この指標の評価の方法や評価のプロセス、あるいはステークホルダーとの関係性でどういう形でそれを評価していくのかなど、指標の設定の指針あるいは評価の指針といったものが必要になってくるのではないかと思うのです。それをきちんとオープンな形で明示していただく必要があるのではないかと思うのですが、この辺はどのような方向性をお考えなのでしょうか。

○野村座長 よろしくお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 目標設定と評価に関する御質問ということかと思います。

具体的には、今後更に検討していくところではあるのですけれども、1つイメージとして持っていただく意味におきましては、30ページのインセンティブの設定で記載をさせていただいているところを御覧いただくと、イメージが湧くところがあるのではないかと思います。

具体的には、30ページの上にありますとおり、項目ごとにどのようなインセンティブを付していくかということに関しましては、次回以降更に議論をすることとしているのですが、1つ大まかに捉えていただきますと、定量的な目標につきましては、翌規制期間の収入上限の引上げ・引下げの欄にありますとおり、定量的な目標なりの達成状況に応じて、翌規制期間の収入上限のプラスマイナス何パーセントの範囲内でのインセンティブを付与するといったことが1つあり得るところではないかということでございます。

その下のレピュテーショナルインセンティブの付与につきましては、定性的な目標なりに関しては数値で評価することが難しいといった面がありますので、そこに関しては、レポートやプレゼンテーションを通じた結果の公表によってレピュテーショナルインセンティブを課すことが考えられるのではないかといった方向で考えているところでございます。

第3回の料金制度専門会合におきましても、委員の方からの意見といたしまして、論点のところで掲げられている項目でいきますと、数値目標を立てるのが難しそうな定性的な項目もあるので、そういった意味でいうと、30ページにあるような定量的なインセンティブを課すというのとレピュテーショナルインセンティブの付与といった2段構えでいくのが、バランスがよいのではないかといった御意見もいただいているところでございます。

ただ、具体的にどの項目にどのようなインセンティブを付していくのかということに関しましては、次回、引き続きこの議論をしていくことにしたいと考えているところでございます。

○野村座長 白山委員、いかがでしょうか。

○白山委員 定量的な目標のほうは比較的分かりやすいのですが、今のレピュテーショナルインセンティブは定性的な目標のほうだと思うのですけれども、ここはどのように判断するのですか。まだその辺は議論されていないのでしょうか。定性的な目標の達成度合いの評価とインセンティブへの付与というのは、具体的にどういうイメージを持てばいいのですか。誰がどういう形で、あるいはステークホルダーがどのくらい関わるのですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 ステークホルダーのところにつきましては、基本的に目標設定をする際に、一般送配電事業者がステークホルダーと協議を行いつつ定めていくということが一案ではないかといったことで記載をさせていただいております。

目標の評価につきましては、基本的にはまさに今、レベニューキャップ制度を議論している料金制度専門会合の場におきまして、その目標の達成状況なりは評価していくことになろうかと思います。

ただ、具体的にどういった項目についてどのように評価をして、どのようなインセンティブを付していくのかといったことにつきましては、次回以降、引き続き議論してまいりたいと考えているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

白山委員、いかがでしょうか。

○白山委員 分かりました。

ただ、そのときに、特に定性的な指標の評価に関して、また定量的な指標の評価もそうなのですが、消費者委員会も一定程度そこに絡むというか、意見を言えるような形に是非していただければと思います。

○野村座長 今の質疑応答で、スライドの30ページが話題に上がりました。ステークホルダーのエンゲージメントというのは、少し前の21ページでしょうか。白山委員のプロセスをどうやって評価するのですかという点も、このスライドの中にプロセスが段階的に書かれておりますので、30ページと21ページのスライドがどのように明確化できるかというところを御検討いただくと、分かりやすくなるかなと思いました。

それでは、次の質問に入らせていただきます。後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 ありがとうございます。

最初に、評価項目の制御可能か不能かというところの御議論は、非常に詳細な調査等を議論されているということで、私も大分頭の整理ができました。ありがとうございます。

それと関連しますけれども、評価項目について、特に環境や安定供給といったところに非常に多くのページが割かれていたなという印象がございまして、持続可能な社会やESG投資、最近の社会的要望を考えますと、非常に良い制度に向かっているのではないかという印象を受けました。

一方では、特に19ページの安全性・環境性への配慮ということで、幾つか指標を例として、目標のイメージということで掲載されております。こういったデータが整備されているということは一部存じておりますが、財務会計などのように長い歴史の中で確立された制度、共通の基準で整備されてきたものというよりは、割と最近になって企業などが自主的にデータを取って公表しているものとか、環境報告書やサステナビリティレポートなどに出しているものとかは目にする機会がありますけれども、実際にデータを取って、こういった評価に当てはめていくということになると、まずデータのところから、かなりいろいろな困難もあるのかなということにやや懸念があるのかなと思います。

ですので、実現可能性といったところを考えますと、こういった指標があるといいなという面と、実際にデータを収集して評価をしていくときに可能なのかどうかというところの議論が必ず出てくるような気がいたしますので、その辺りはどのようにお考えなのか。私が思っているよりは、意外にすぐ手に入るようなデータなのかどうかという辺りについて、少し教えていただければと思います。これが1点目でございます。

2点目が安定供給の指標でございますけれども、長期的なメリットということで、デジタル化など、投資をこれから行っていく必要がかなりあるかと思います。それは実際、長期で見れば非常に消費者のメリットになるものですけれども、先ほども5年間の中で一定であるのか、特別な状況の下では変動もあり得るのかといった御議論も御紹介があったかと思いますが、5年間ということを考えると、長期的な安定供給のための投資のスパンを考えますとまだまだ短いような気もいたしまして、メリットとコスト負担といったものが完全にはマッチしない部分が出てくるかと思いますが、その辺りの考え方について教えていただければと思います。

以上2点、よろしくお願いいたします。

○野村座長 2点、御回答をお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 お答えさせていただきます。

19ページの環境性への項目につきましては、19ページの上にありますとおり、関係法令を遵守すれば足りるという考えもあれば、より高いレベルの対応を進めるべきという考えもあることから、こちらに関しては、基本的には一般送配電事業者がステークホルダーの意見を聞きつつ、自らの創意工夫も含め自主的に目標を設定していくといったことを考えておりまして、何か一律にといったことよりは、自主的な設定のほうが望ましいのではないかと考えているところでございます。

ただ、いずれにせよ環境性への配慮といった取組などを評価していく、あとはレピュテーショナルインセンティブといったことを付与していくことにつきましては、結果に関してはきちんと公表してもらうことが必要になってくるかと思いますので、そういった結果などを公表する中において、当然ながら一定のデータを示していただくことも含まれてくるのではないかと考えているところでございます。

2番目の安定供給のところで、実際の投資などを考える際のスパンについては、5年間ということよりも、もう少し長期的に見ていった上で、投資なりを考えていく必要があるのではないかといった御指摘かと思います。

そこに関しましては、13ページにありますように、マスタープラン等で策定された整備計画を実施するといったところで、この評価をしていくのではないかと考えておりまして、マスタープランに関しましては、現在、国の審議会と広域機関でまさに議論をされているところでございます。その議論の中におきまして、2030年、更にはそれ以降も見据えて、マスタープランを策定していくといった議論がなされていますので、そういった長期を見据えたマスタープランを前提とした上で、それでは直近の5年間の規制期間においてはどういった投資なり整備が必要なのかといったところを計画として立てていただくというイメージで考えておりますので、長期も見据えた上での5年間の量をまさに考えていく取組としていくのではないかと想定しているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員、いかがでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。よく分かりました。

1点のみ、最初の環境関係、安全関係のデータのところで、法令に基づいてということで、一律ではなく事業者の創意工夫によって策定、提出していただくという話でしたけれども、これは一般にも公表されるデータということでよろしいでしょうか。

○野村座長 いかがでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 まさに料金制度専門会合は公開でやっている審議会でございますので、そういった場で公表されるということもございますし、あとはレピュテーショナルインセンティブの付与を課していくといった意味では、当然公表させるということですので、現在、一般に公表されることを想定しているということで結構でございます。

○野村座長 後藤委員、よろしいでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

古賀委員、よろしくお願いいたします。

○古賀委員 ありがとうございます。古賀でございます。

目標の項目設定についてお尋ねしたいのですけれども、いただいているスライドの14ページ目から19ページ目の辺りにございますが、そもそも再エネ導入拡大のために新規の事業者の方も消費者も再エネ目標導入には期待しているところが大きいと思うのですけれども、ここの目標設定なのですが、これまで出力制限をされていた九州地方などでは検証・見直すべき課題があると思うのですけれども、接続検討や申込回答期限の超過割合が過去5年間の実績を超えないようにするという目標設定になっているのですが、過去5年間というスパンで考えている理由を教えていただきたいということ。

それから、サービスの向上というところで、消費者も含めて一般送配電事業者がステークホルダーとして協議を行うということが16ページに書いてあるのですけれども、具体的にはどういった組織というか仕組みを検討されていらっしゃるのでしょうか。

お願いします。

○野村座長 2点、お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 お答えさせていただきます。

15ページに関しまして、過去5年間の実績割合との比較ということで記載をさせていただいておりますが、こちらの理由につきましては、単年度ですと、その数字が必ずしも平均的な数字ではなく、その年特有の特別な数値となっていることもあり得るのではないかということで、複数年の実績を採用したほうがよいのではないかといったこと。

あとは今回、規制期間ということで、5年間で想定しているものですから、過去5年間の実績というところを取ると、5年間の規制期間ということで想定しているものとも整合的ではないかということで想定をしております。

今回、第1規制期間なわけですけれども、これが第2規制期間、第3規制期間ということで今後続いていきますと、まさに過去5年間が、前の規制期間における実績の期間とも一致してくることになりますので、そういった意味においても、5年の実績で評価をしていくというのが整合的ではないかということで、想定をしているところでございます。

ステークホルダーとしてどういった者を想定しているかにつきましては、現時点において、ステークホルダーという者が誰かということで、何か限定なりしているといったわけではございませんけれども、イメージとしては、21ページのイギリスにおけるステークホルダーエンゲージメントといったところで、このようなことがイギリスにおいても取り組まれているところでございますので、日本のステークホルダーエンゲージメントの取組においても、21ページの例が参考になるのではないかと思っているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

古賀委員、よろしいでしょうか。

○古賀委員 ありがとうございます。結構です。

○野村座長 そうしましたら、時間が押してきましたので、新川委員でこの項目に関しての質問は最後にさせていただきたいと思います。

新川委員、よろしくお願いします。

○新川委員 新川です。ありがとうございます。

簡単にしたいと思います。

制御不能のコストについてですが、基本的には次の期にということで、大きな変動があった場合の処理を考えておられますけれども、当期にやるべきだというところについての御検討はどういう方針なのか。金額の大小ということもあると思いますが、この辺りはどういう検討をされるのかというのが1点目。

関連して2つ目に、特に制御不能の費用はいろいろ費目がございますけれども、どのようなところが大きく変わると次期なのか、それとも当期なのかというところは、何か費目ごとに検討があったのか、あるいは今後なのか。ここの考え方をお伺いしたいというのが2点目。

3つ目に、ある種のリスク分担ですので、制御不能費用についての内部化みたいな話、要するに事業者の負担みたいなものもあり得るのか、ないのか、この辺りが気になったものですから、以上3点、簡単で結構ですのでよろしくお願いいたします。

○野村座長 御回答をお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 制御不能費用に関する御質問かと思います。

まず、1点目の当期に調整をする場合につきましては、46ページの資料に記載しておりますとおり、規制期間中の累積の変動額が一定期間を超える場合に関しましては、期中に収入上限に反映することとしてはどうかということでございます。ただ、一定水準額ということに関しましては、今後引き続き検討してまいりたいと思ってございます。

費目について、費目ごとに期中なり翌期といったところがあるのかということにつきましては、例えば外生性の強い公租公課などにつきましては、特定の変動要因として期中に反映するといったことも想定されるのではないかと考えているところでございます。

制御不能費用の内部化につきましては、費用変動がそもそも外生的に発生する費用ということや、合理的な代替手段がなく、一送の努力による効率化の取組が困難と判断される項目といったものを対象として、制御不能費用としていくべきではないかという考え方に基づいております。

したがいまして、そういったものについて制御不能費用としていくことになりますので、制御不能費用に関しましては、基本的にはその実績を収入上限に反映していくことになるのではないかと思っているところでございます。

○新川委員 ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございます。

大石委員が途中で退室されると聞いておりますので、もし御発言があるようでしたらお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

先ほどのステークホルダーのところで、消費者も入っているとは思うのですけれども、意見の吸い上げ方というのは、例えばイギリスなんかはどこでどのような形でされているのか。もしよければ教えてください。

以上です。

○野村座長 お願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局田中ネットワーク事業監視課長 21ページにございますとおり、イギリスのステークホルダーエンゲージメント、あまり詳しい記載ではないかもしれませんが、需要家という形で入っておりますので、恐らく消費者というのも入ってくるのではないかと思っているところではございます。21ページの下にありますとおり、ステークホルダーから幅広く意見を集約した上で、目標分野について意見集約、議論をいたしまして、事業計画の提出に向け、全体を議論していくといったプロセスで行っていると承知しております。

あまり詳しい記載ではないのですが、そのようなイメージということでお考えいただければと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

先ほどの白山委員の御発言と同じく、そのプロセスがどのように動くのかということが重要であるという御指摘かと思います。

大石委員、そのように捉えてよろしいでしょうか。

○大石委員 そのとおりです。

ありがとうございました。

 

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、レベニューキャップ制度に関する質疑応答をここまでとさせていただきます。ありがとうございました。

引き続き、資源エネルギー庁の下村電力産業・市場室長と電力・ガス事業部電力基盤整備課担当者様から御説明をいただきたいと思います。15分程度という予定にしております。よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課担当者 資料2の「託送料金制度改革(相互扶助制度)の検討状況について」を御説明させていただきたいと思います。

おめくりいただきまして、2ページ目を御覧ください。この災害復旧費用の相互扶助制度ですけれども、昨今の災害に対する対応についての検証や反省を踏まえて御議論いただいておりまして、本年成立しました改正電気事業法において電力広域機関の新たな業務として制度の創設が盛り込まれております。

こちらの制度ですけれども、託送料金制度の改革より2年先立ちまして、来年4月1日より法令が施行されることとなってございます。

こちらの制度の中の託送料金制度と関連がある論点について、構築小委員会で御議論いただいたものでございます。

3ページ目を御覧ください。相互扶助制度の概要について、簡単に御説明させていただければと思います。

将来生ずるような災害の対応に備えて、事前に電力広域機関に資金を積み立てておくような形にしておきます。どこかの送配電事業者が災害によって被災した場合には、早期復旧のための対応を優先してもらう。そのような対応をしたものについては費用がかかりますので、その分についてお金を交付してくださいということを電力広域機関に申請し、その分の交付金を受けることができるという制度となってございます。

そちらの費用については、上の青枠に書いてございますけれども、他電力からの応援に係る費用、本復旧と比較して迅速な停電の解消が期待される仮復旧の費用が対象となっています。

他電力からの応援に係る費用というのは、被災していないエリアからお手伝いをしてもらって、人材や資機材を借りるというものです。

マル2の仮復旧は、復旧のときに応急措置をするような形で、一刻も早く停電を解消することに使う費用となっております。

飛んで5ページ目を御覧ください。まず、託送料金制度における相互扶助制度の基本的な取扱いについて御議論いただきました。電力広域機関から被災した電力会社に交付されるお金と、逆に各送配電事業者が電力広域機関に事前に積み立てておくお金の2種類のお金の流れがありますので、そちらの流れについて基本的な整理をしつつ、現在行われているレベニューキャップ制度での議論と一体的に、電力・ガス取引監視等委員会で御議論いただくようなことと整理させていただいております。

6ページ目を御覧ください。こちらは、積立てや拠出の方法とその見直しのタイミングについても御議論いただきました。託送料金制度上への影響や積立てを過度にしてしまうことを防ぐといった観点で、どのように積立てをしていくべきか、拠出をするべきかということを御議論いただきました。

7ページ目を御覧ください。実際にこの拠出金額はどのように考えていくべきかということで、その基本的な考え方を整理させていただいてございます。

こちらの考え方の基本としては、制度を安定的に運用して、迅速な停電復旧に資するようにするということを基本として額の設定方法を考えて、御議論いただいております。

9ページ目が最後の論点でございますけれども、最初に御説明させていただきましたが、託送料金制度の新しい料金制度が始まる2年前に制度が開始されることから、現状の制度との整合性といった中で、どのように拠出金を取り扱うかというものも御議論させていただきました。

相互扶助制度の対象となるような費用は、現状でも託送料金の中で災害対策という形で一部算入されておりますので、そういった視点から、この2年間の扱いを考えてはどうかということで御議論いただいてございます。

委員の皆様からは、大枠として異論はなかったと承知してございます。

相互扶助制度についての説明は以上となります。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 続いて、資料3を御覧いただければと思います。

いつもお世話になっています。電力産業・市場室の下村でございます。

配電事業の検討についてでございます。

3ページでありますけれども、10月16日の資源エネルギー庁の小委員会におきましては、論点マル2、マル6、マル7について御審議いただきました。その模様を御紹介させていただきます。

5ページでありますけれども、前回の御議論で、配電事業の参入の効果といたしまして、レジリエンスの向上やAI等を活用したシステムの効率化、再エネ等の分散電源の導入の促進、更には地域サービスの向上などといった効果が期待できるのではないかということをお示しさせていただいていました。それを更に深掘っていこうというのが今回でありました。

6スライド目でありますけれども、配電も含めて全体像を一度お示ししたほうがいいかということで、7スライド目は別の研究会での議論であるわけでございますが、日本全体のネットワークが将来に向けてどのように推移していくことが望ましいのかといったことを考えていた別の研究会の資料でございます。

左上に、エネルギー産業のメガトレンドとございます。パリ協定を踏まえたエネルギー転換・脱炭素化、施政方針演説ではもうパリ協定どころかカーボンニュートラルという話が出てきているという状況。こうした中で、災害は非常に増えていく。その中でもレジリエンスはしっかり確保していかなければならない。新しい技術を活用しながら、こうした課題に取り組んでいかなければならない。こうしたことがメガトレンドかと考えています。

こうした中で、TSOとDSO、つまり高電圧系統の送電と低電圧系統の配電に分けた場合に、大きい送電については右側、日本全国のバックボーンを形成ということを書いています。日本は縦に長くて、風力は北海道や秋田にポテンシャルが大きい。でも、需要地は東京にある。一方で、太陽光などは九州の日照がよいという形で、再エネポテンシャルと需要地が離れているという特徴がありますので、レジリエンスの強化も含めて、日本全体の基幹系統はしっかり増強していく。かつ、日本全国的に見た最大限の再エネの受入れを考えていかなければならない。こうしたことで、先ほど少し議論にもありましたけれども、今、国のほうではマスタープランというものをつくるべく検討を進めているところであります。

一方で、配電系統、下のほうを見てまいりますと、一番左下でありますけれども、低電圧系統にも再エネはたくさん入ってきている。こうしたものを上手に運用していかなければならない。そうした中で、データ、AI等の活用をより一層していくことが必要だろうということ。

それから、現在、スマートメーターの導入が進んでおりまして、そのデータの活用にあたってはこうしたものもしっかり活用していくことが求められようかというものであります。

右下でありますけれども、こうしたインフラが整ってまいりますと、いろいろな人が電力・エネルギービジネスに参入してくることができる。例えば需要家も家庭用の太陽光などを持っている方は、これまでの需要家ではなくて、むしろ太陽光発電の電力を売る側になっていける。これをPeer to Peerという形で、太陽光で発電した電気は誰か別の人に販売するとか、こうしたものをアグリゲートして、あたかも発電所のように調整力として拠出をしていくといったこともできるかもしれない。さらに、EVのプラットフォームと融合することによって、より効率的なエネルギーシステムを組むことができるかもしれない。さらには、こうしたものをローカルでオペレーションすることによって、再エネの地産地消をより上手にやっていくことができる可能性があります。

さらに、矢印で1層、2層、3層、4層という階層構造になって、1層、2層、3層という順番で御説明しているのが今の形ですけれども、4層目ということで考えますと、何もこうした電力データというのはエネルギービジネスだけではなくて、他産業と融合した様々な社会課題の解決、防災対策や見守りサービス、あるいは新ビジネスの創出といったものにもつながり得るという形で、こういうデータ活用をより一層推進していくことも求められていくのではないかという問題意識を持っているところであります。

こうした中で、下に赤色で囲ってありますけれども、高度なネットワーク運用や様々な電力の取引に活用するポテンシャルが配電事業の活用で考え得るのではないかということであります。

8スライド目でありますけれども、配電事業者は具体的にどういう価値を提供できるのかといったことで、大きく3類型で示してございます。

1つは、ここでも何度も御紹介させていただいてございますけれども、災害等にオフグリッド化して独立運用することにより、その配電エリア内の電力供給を継続するといったこと。こうしたものにエネマネ事業者等が参入して、これまでは自営線を敷設したサービスが実現されておりますけれども、このライセンスを活用して、一般送配電事業者の設備も活用したこうしたサービスの実現も可能になっていくのではないか。

中段でありますけれども、再エネ接続ニーズの多い地域では、設備増強を待たなければならないということが発生しているわけでありますが、こうしたものを、デジタル技術も活用して上手に運用する。さらには、諸外国ではローカルフレキシビリティなどという形で、ローカルな調整、柔軟性を取引することによりまして、こうした接続を可能にしていくといった取組も進んできてございます。こうしたものも、一般送配電事業者自身が他のプラットフォーマーと連携することなどによって実現するといったことも可能になるのではないか。

さらに、前回もこの場で御議論いただきましたが、地域新電力も非常に期待していただいていると伺ってございます。

こういう形を少しずつ具体化させていくことによって、新規参入が促していけないだろうかといったことを考えています。

19スライド目まで飛ばさせていただきまして、前回のこちらの調査会の場でも、是非こういう事業者の御意見を聞く場を設けるべきといった御意見も頂戴いたしました。まさに事業者同士がノウハウ交換などをしながら、そこから出てくる課題を抽出して、制度側にインプットしていくといった取組が非常に重要であるということを考えておりまして、前回の御指摘も踏まえまして、こうした事業者等が集まる場も検討していくこととしてはどうかということを御提案させていただいてございます。

以上が論点マル2でございます。

20ページ以降が論点マル6、マル7の課題でございます。

兼業規制でございます。21スライド目でございますけれども、今回の改正電気事業法上、一般送配電事業者に対しましては、今年、発送電分離という形で行いました。これと同様に、配電事業者に対しても小売あるいは発電との兼業規制が課されてございます。

原則禁止とした上で、2ポツ目でありますけれども、その供給区域内の電気の使用者の利益を確保するため特に必要であると認める場合、大臣の認可を受けなければならないという規定となっているわけでございます。

先ほどの災害時のオフグリッド運用などを考えた場合、一定の場合には兼業を認めていく必要性もあろうということで、これについての御審議をいただいたというのが前回でございました。

25スライド目でございます。その兼業を認める際の基準でございますけれども、電気事業法では配電事業者の電気工作物の総体としての規模やその供給区域の自然的社会的条件等を勘案して、その供給区域内の電気の使用者の利益を確保するため特に必要であると認める場合に認可をするという仕組みとなってございます。

そこで、これについてどのように考えるかというときに、26ページのような観点から審査を行うこととしてはどうかというのを今回御提案させていただきました。

まず1番の電気工作物の総体としての規模の考え方でありますけれども、特に規模が小さい事業者が配電事業者に参入してくるといった場合、小売電気事業ないし発電事業等との兼業を認めないことによって、かえって事業の効率性を失わしめる可能性があります。このため、兼業を認めることというのが供給区域内の電気の使用者の利益となることが考えられます。

こうした新規参入というものを考えますと、この規模の判断につきましては、新規参入者への予見性確保の観点からは規模基準の明確化が望ましいと考えられる一方で、これからの事業、ビジネスモデルであるということもありますので、実態に応じて状況が異なる場合もあります。このため、一定の規模の基準を設けて、基準を下回る場合には、総体としての規模要件を満たすとして、基準を超える場合には、実態に応じた判断を行うといった運用が考えられるかどうかという御提案をさせていただいたところでございます。

2番目でございますけれども、配電事業者が兼業を行って、例えば災害時に配電網を独立運用する場合には、レジリエンスの強化や安定供給性の向上といったものに資すると考えられます。

また、再エネ導入量の多い地域等におきましては、その配電事業の参入によりまして、地域の再エネの地産地消が進むといったことも考えられますし、デジタル技術によりまして、システムの効率化といったものも期待できると考えられます。

こうしたレジリエンスあるいは再エネないし効率化といったものが期待できる場合に、その供給区域内の電気の使用者の利益となると考えるという考え方としてはどうかというのが2番目でございます。

29ページ目でございます。こうした配電事業への参入には、一般送配電事業者自身が参入してくることも考えられるところでございます。先ほどのような再エネの高度な運用などという場合には、一般送配電事業者自身の参入が考えられるところでございますが、一方で、先ほど申し上げたような適用基準を考えてしまいますと、3ポツでありますけれども、もともと一般送配電事業者は発送電分離をした。それは一送の中立性を確保するために行っていたというものでありましたので、そうしたことも踏まえた判断が必要ではないか。すなわち、一般送配電事業者自身に関しては、別の基準を考えていく必要があるのではないかというのが29ページであります。

更なる論点としては30ページでありまして、一般送配電事業者が子会社等を設立して参入するといった場合も考えられますので、この点については更に検討が必要かと考えてございます。

最後に31ページ目、配電事業者に対する行為規制も一般送配電事業者と同様に課されているわけでございますけれども、他方で、これも一般送配電事業者に対する規制の強度と新規参入者として課す規制の強度はおのずと異なってくる部分もあるかと考えられます。この詳細については今後、監視委員会のほうで御議論いただきたいという整理とさせていただいてございます。

最後、資料4でありますけれども、前回の議事要旨をつけさせていただいてございます。基本的には大きな異論はなかったと考えてございます。配電事業にあっても中立性確保は必要であるなどといった御意見もいただいていますので、基本的にはそのとおりですということだと考えてございます。

御説明は以上でございます。

○野村座長 短時間の中で、丁寧に御説明いただきましてありがとうございました。

そうしましたら、これから15分ほど、今の資源エネルギー庁様の御説明についての質疑応答、意見交換にさせていただきます。恐れ入りますが、チャットへお名前を書き込んでいただければ助かります。よろしくお願いいたします。

若林委員、よろしくお願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。

まず、資料2の9ページなのですけれども、拠出金額が総額で年間10億円と設定してはどうかと書かれているのですが、感覚的にといいますか、近年、毎年災害の数が増えているという印象がありまして、これは18年度から19年度の結果を踏まえて出された額ということなのですけれども、その辺りはどのように考慮されているのかということをお聞きしたいということが1点目。

それから、資料3の25ページ、兼業規制の適用除外基準に関して審査を行うということではあるのですけれども、この審査に当たって、消費者の声はどのように反映されるか、あるいは反映される機会があるのかということをお聞きしたいというのが2点目。

同じく資料3の29ページになりますけれども、一般送配電事業者については、そもそも法的分離が実施されていることを踏まえて判断すべきという意見には賛成です。30ページの子会社、親会社についても、そこは慎重に見ていただきたいというのが3点目です。

以上です。

○野村座長 それでは、よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課担当者 まず、資料2の9ページ目にいただいた御質問から回答させていただきます。

災害が近年増えている一方で、そういった情勢がどのように考慮されているかという御質問だと理解してございます。

まず、災害が増えているということで、その分費用が増えているということですけれども、それはこの相互扶助制度に限らず、災害に要した費用をどのように回収すべきか、という全体の議論とも関連があるかと思っておりまして、そちらは託送料金全体の議論として、どのように措置されていくべきかというのが今後議論されていくことかと考えております。

一方で、相互扶助制度の拠出金の中での話に限って言えば、2018年、2019年というのは、例えば胆振東部地震であったり、昨年の千葉の台風の件がございまして、ちょうどその災害での検証があって、それを踏まえて、災害の対応を変えていこうということで議論されながらの中での対応だったと理解してございます。

そのため、仮復旧であったり、他電力への応援といった相互扶助制度の対象となる費用が、今までの過去の実績と比べて少し大きく出ているような期間かなと。これから大きくなっていくのかと思いますけれども、そういった近年の災害対応の変化を捉えた2年間になっているかなと認識してございます。

私からは以上です。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 続いて、御質問の2点目でございます。

まず、兼業規制につきましては、大臣が認可をする。認可をしようとするときには、電力・ガス取引監視等委員会の意見を聞かなければならないということになりますので、監視等委員会の意見を聞いた上で審査を行っていくということになります。

特に消費者の関係ということで申し上げますと、3ページの全体像の論点のところで、配電事業が参入してくることについて、地域住民の方々にしっかりと御認識いただくことが非常に重要であります。そもそもの参入許可のところでの地域あるいは住民への事前説明はこれからよく議論していかなければならないと考えてございますので、こちらの論点でまたよく御議論させていただければと思ってございます。

3点目の御指摘については、御意見をありがとうございます。受け止めさせていただきます。

○野村座長 ありがとうございました。

若林委員、よろしいでしょうか。

○若林座長代理 ありがとうございました。承知しました。

○野村座長 それでは、次に後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 2点、質問をお願いいたします。

1点目は配電システムについて、いろいろな新規参入者が入ってきた場合に、今、地域住民に対して御説明という話も出てまいりましたけれども、エリアといいますか、ここからここまでの範囲、地域が、この新しく入ってきた事業者のコントロールになりますという形で入ってきた場合に、消費者のほうからあえてオプトアウトといいますか、物理的にはカバーされる範囲であったとしても、そのシステムの中から、境界領域辺りに住んでいる人がオプトアウトするなどということはできるのでしょうかという質問が1点目でございます。

2点目が、先ほどのローカルフレキシビリティ市場で、今、いろいろな議論がなされているところかと思いますけれども、消費者との関わりということから考えますと、あまり直接そういった市場に参入するというのを想定していないのかなという気がします。ただ、配電レベルについているデマンド側のリソースがこれからどんどん増えていって、家庭用の消費者もそういったものを持ってくるということを考えますと、例えば直接そういった市場に参入するということが想定されるのか、あるいはアグリゲーターのような事業者を通して、間接的に参入するというモデルを想定されているのか、その辺りについて教えていただければと思います。

○野村座長 2点、よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 御質問ありがとうございます。

まず、2点目につきましては、どちらかというと後者のほうのイメージでございます。御指摘のとおり、消費者が直接市場に参入するというのはあまり考えにくいですし、リソースが小さいと効果も小さい、でも束ねることによって大きな効果を発揮できるといった側面もございますので、基本的にはアグリゲーターのような形での間接的な参入が想定されるかと思っています。

1点目のほうの御質問でございますけれども、これは配電事業という物理的な制約にもよるところでございますが、例えば消費者の方から見てまいりますと、別に平常時に線が切れるわけではありませんので、現在契約をしている小売事業者から引き続き電気の購入をしていただくことは可能ということになるわけでございます。

このように、配電事業が電気を届けるというビジネスを行うのに対して、消費者は小売事業者から電気を購入するといったところでもありますので、そうした仕組みの違いも含めて、よく御理解をいただく必要があろうかと考えてございます。

○野村座長 よろしいでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

最初の消費者のアグリゲーターの話はよく分かりました。

1点目について、そうしますと参入してきた事業者の配電のコストが例えばお隣の領域の事業者と違うといった場合に、オプトアウトしたいといった意見も出る可能性はあるのかなと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○野村座長 いかがでしょうか。想定されているでしょうか。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 まず、想定していませんということであります。

配電事業者の託送料金につきましては、先ほどの3ページの論点マル4でございますけれども、配電事業者による託送約款が策定されまして、その料金の水準が一般送配電事業者の託送料金に照らして適正かどうかといったことが判断の基準となってまいります。

その上で、そこだけというのは、恐らく物理的に別の一般送配電事業者の託送供給サービスを受けることはできませんので、配電事業者が参入した地域は、逆に言えば、面的に配電事業者によるオペレーションということになるわけでございます。したがって、その参入に当たっては、例えばこの地域で配電事業者と共に地産地消の電気を使っていくのであるという総意の下で事業を行っていただくとか、参入に当たってそういう形での工夫が必要かということを考えてございます。

○野村座長 後藤委員、よろしいでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、あと3名、御発言を予定されています。

古賀委員、寺田委員、白山委員の順番で、まず質問だけ2点以内でそれぞれ御発言ください。お願いします。

古賀委員からお願いいたします。

○古賀委員 ありがとうございます。古賀でございます。

質問ではなく発言なので、後でも結構ですけれども、よろしいでしょうか。

○野村座長 先にどうぞしてください。

○古賀委員 まず、先回の「配電事業者参入希望者の方の意見を聞いてください」ということについて、意見を取り入れていただきまして、本当にありがとうございます。

ある意味、配電事業がうまくいくかどうかというのは、地域的な状況や社会的な自然的な状況も含めて、地域ごとに受け止め方というか規制の在り方等々がかなり変わってくると思うのです。1つ、最近聞いたというか見学した話で、長くなって恐縮なのですけれども、小型風車という小規模の風力、風車を扱っている業者のところで機器を見せていただいたときの事例です。国内外で6千機以上の風力としての小型風車の設置をやっていらっしゃる方なのですが、日本においても、離島においては近年非常にニーズが高まっていて、例えば離島で小型風車を導入することを行政ぐるみで導入をすすめた例があるそうです。送配電はもちろん一般送配電事業者の管轄ですが、送配電事業においても協力関係ができて制度がうまく回せているということを聞きました。

逆に配電事業を自由化して自治体に持っていった場合、発電と配電で利益相反といったことが生じるのではないかということを聞きましたら、従来の送配電事業者である一般送配電事業者にとっても、むしろそういう配電事業を独立して離島などでやっていただくと、ある意味、ユニバーサルサービス的な負担が減ってくるので、そういった制度設計などは促進してほしいという意見があるということをお聞きしました。

再エネに取り組む小さな業者や地域ぐるみで、自治体として独立して発電から送配電まで広めていくようなところにおいては、環境省などからもいろいろな補助金等が出るようで、今回の配電事業の自由化の制度設計におきましても、環境省等のいろいろな補助的な制度も視野に入れ、配電事業において地域活性と地域の質的な再エネの活性化ができるような制度設計にトライしていただくような方向性を持っていただけるといいなと思います。

以上、意見のみです。

○野村座長 ありがとうございました。御参考にしていただければ幸いです。

寺田委員、白山委員、続けて御発言ください。お願いします。

○寺田委員 寺田です。

配電ライセンスの方ですけれども、イメージがある程度分かってきました。ありがとうございます。それで、質問なのですけれども、資料3の25ページから、あるいはガスのケースで28ページ辺りに出ている話なのです。境目の規模の基準は、恐らく外形で定めざるを得ないというのは分かるのですけれども、一方で、規模の経済や範囲の経済などを無視して基準を設けると、恐らく同じ規模の会社が乱立するみたいなことが起きてしまうと思うのです。その辺り、幅を持たせて規模の基準を実際に法制化するということが可能なのかどうか。その辺をお聞きしたいと思います。

以上です。

○野村座長 白山委員、お願いいたします。

○白山委員 非常にテクニカルな話で恐縮なのですけれども、資料2の6ページで、相互扶助制度で何年間かにわたって一定額を拠出していくということなのですが、拠出金の算定のところで、当然お金を使わなければたまっていくので、何らかの形で運用していくのだと思うのですけれども、運用利息相当分を拠出金から差し引くとか、そういう発想があるのかどうかというのが1点目です。

2点目は、6ページの図はXたす3年度に災害があって拠出金を使って減ったというイメージだと理解しておりますけれども、その場合に、また積立基準額まで積み立てていくときに、同じ一定額を毎期積み立てていって、積立基準額である90億に達するまで結構時間がかかるのではないかと思うのですけれども、その場合、特別に不足する部分は通常の積立額以上に一時的・臨時的に積立てをするというような発想はあるのでしょうかというのが2点目です。

○野村座長 ありがとうございます。

お答えをよろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁下村電力産業・市場室長 ありがとうございます。

まず、配電のほうからでございますけれども、御指摘のとおりでありまして、今回の事務局提案は、一定程度柔軟性を持った対応ができるような工夫をしているものでございます。具体的には26ページの上段の2パラグラフ目でありまして、いろいろなケースが想定され、実態に応じて状況が異なる場合も想定されるということでありますので、一定の規模基準を示しつつも、その規模を超えたからといって直ちに駄目ですというのではなくて、事業目的、実態に応じて判断をするといった御提案をさせていただいたところであります。

その上で、この基準をどう設計するかでありますけれども、ここは制度がシンプルなほうが予見性があって、皆様には分かりやすいということと、一方で、おっしゃったような点も踏まえて、どうしても違う基準にせざるを得ないということであれば、複数のケース・バイ・ケースの基準を設定するということも理論的にはあり得るかと思っています。この点については、また次回以降の検討課題ということで、しっかり考えてまいりたいと思います。

以上でございます。

○資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課担当者 続きまして、相互扶助制度の御質問に対して回答させていただければと思います。

まず、1つ目の御質問でしたが、相互扶助制度の積立金については、特に運用益を出すというか運用するということは特に考えてございません。お金を預かっておき、災害が発生したら交付するというシンプルなスキームで考えております。

このお金を大きく交付した場合にどうするのかということについては、6ページ目の3ポツにあるのですけれども、積立額が不足するような場合には、5年間で見直すといった定期の見直しを待たずに、金額を見直すということで考えております。

以上になります。

○野村座長 ありがとうございます。

寺田委員、白山委員、申し訳ないのですが、時間が押しておりますので、更なる御質問、御意見はここで控えさせていただきます。御理解のほど、よろしくお願いいたします。

そうしましたら、時間が来ましたので、質疑応答はここで終わらせていただきます。本日は、資源エネルギー庁、電力・ガス取引監視等委員会事務局に御協力いただきまして、ありがとうございました。

最初のレベニューキャップ、今の配電のライセンスの問題、相互扶助の問題、様々な意見が委員から出されました。特にレベニューキャップの5年というスパンがきれいに当期、翌期ということで区切れるのかということ。それから、目標指標が明示できるのか。定量的なもののほか、定性的なものについてデータが取れるのでしょうか。託送料金を個別で認めるのか、あるいは一律で判断するのかについても議論しました。定性的なところでは、やはりステークホルダーが参画しなければいけないという点から、ここの調査会でも大きな関心を持っております。

さらに、消費者庁におかれましても、持続可能な電力システム構築小委員会や料金制度専門会合にオブザーバーで参加されておりますので、今後も議論状況を御報告いただければと思っております。

まだまだ精緻化しなければならないところはあるかと思います。特に配電ライセンスの電力プラットフォームの御説明を下村室長からいただきました。メガトレンドや融合化、新ビジネスなどの発展可能性は理解できますが、どうしても通信・ITのGAFAのような独占につながるイメージを持ってしまいます。今後、災害対応のレジリエンスを向上するとか、地域サービスを向上するという点では、消費者の目線が非常に重要になってまいりますので、そこの整合性も考慮していただければなという感想を持ちました。

非常にタイトな時間の中で御議論いただきましたが、本日の電力託送の調査会に関しまして、ここで終わらせていただきたいと思います。

それでは、事務局の方にバトンタッチさせていただきます。太田参事官、よろしくお願いいたします。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日は、長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、改めて御連絡させていただきます。

○野村座長 それでは、本日の第12回の調査会をここで終わらせていただきます。

御協力いただきましてありがとうございました。

(以上)