(令和2年11月4日(水曜日)17時27分 於:本省会見室)

仏とイスラム諸国の対立

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 フランス、そして直近ではオーストリアでの殺傷事件を受けて、政治的・宗教的な緊張が高まっています。これは、フランスが、イスラム教の預言者も含むいかなる人物をも中傷することはパロディとして受け止められ、言論の自由で保証されていると述べていることに起因しています。このような立場はイスラム諸国から拒絶されています。当然、イスラム諸国も罪のない市民の殺害は非難しています。これらの問題についての日本の立場をお聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
 風刺画をめぐる様々な対立が生じていること、懸念をしております。まず申し上げるべきは、いかなる理由にせよ、暴力や破壊行為は正当化できるものではないということであります。
 この観点から、今般パリ近郊で発生した教師殺害事件やニースで発生したテロ事件、またオーストリアのテロ事件等を、断固として非難をいたします。犠牲者及びその家族の方々に心から哀悼の意を表します。
 我が国は、全ての当事者に対して、緊張緩和と、状況の更なる悪化を回避することを求めたいと思います。
 我が国は、本来、風刺画の掲載をめぐりイスラム教徒の間に生じている強い感情を十分理解いたしますが、様々な価値観や文化、信条を踏まえ、平和的な対話やお互いへの敬意を通じて、相互理解を増進することが重要と考えております。

米国大統領選(見通し)

【NHK 渡辺記者】米国の大統領選挙についてお伺いしたいと思います。先ほど、トランプ大統領、勝利を確信しているという趣旨で、先ほど演説を行いました。その前にもバイデン候補の方もそういった対応を取っていますけれども、現時点で、結果はまだ出ていませんが、米国の大統領選挙について、日本政府としてどう見ていらっしゃるのか、どう分析しているのか、その点をお願いします。

【茂木外務大臣】それぞれのコメントや様々な報道、それから今の開票状況についても承知をいたしております。率直に言って、これまで大統領選挙、いろいろ私(大臣)も見てきておりますが、今回の米国大統領選挙、事前の予想のとおり、両方の接戦となっておりまして、また特に接戦州での開票というのは進んでいるところでありまして、この段階で、結果確定の時期を含めて、選挙結果について予断を持って述べることは差し控えたいと思っております。
 この大統領選挙、米国民の関心も高く、出口調査の結果も含めて様々の報道があるところであります。日本政府としても、選挙の結果を引き続き高い関心を持って注視をしていきたいと思っております。
 いずれにしても、日米同盟、日本外交の基軸でありまして、選挙結果に拘わらず、日本として引き続き日米同盟の強化に努め、緊密に連携していく考えに変わりありません。

【朝日新聞 安倍記者】今の大統領選の質問に関連してお伺いします。結果はまだ見えませんけれども、場合によっては政権交代の可能性もあるかと思います。どちらの候補が勝利しても対応できるために、現在外務省としてはどういった体制をとられているのか、また準備、何らかの準備をされていることがあったら教えてください。

【茂木外務大臣】もちろん先ほど申し上げたように、高い関心を持って注視をしていると。外務省でありますから、単に注視をするだけではなくて、様々な事を想定しながら今後のことは考えたいと思いますが、現時点で何をやっているかも含めて、お答えすることは差し控えたいと思います。

日インドネシア外務・防衛閣僚協議(「2+2」)

【インドネシアJIEF スシロ記者】10月20日なんですけれども、総理大臣がインドネシアに訪問しました。その一つの結果は、これから「2+2」ミーティングの会議、外務大臣と防衛大臣の会議をする予定ですね。月曜日、防衛大臣がインドネシアの防衛大臣と、岸大臣とプラボウォ大臣がテレビ会議をしました。外務大臣として、いつ頃行いますでしょうか。よろしくお願いいたします。

【茂木外務大臣】先般の菅総理のインドネシア訪問におきまして、インドネシアとの間で、「2+2」を早期に実施することで一致をいたしましたが、現時点で日程については決まっておりません。

米国大統領選(在日米軍駐留経費交渉)

【NHK 渡辺記者】大統領選挙の関係と日米関係についてお伺いしたいと思いますが、まだ現在進行形ではありますけれども、日米関係と言った場合に、ホストネーションサポートの交渉はこれからどうやってやっていくのかという問題が、一番大きいテーマの一つだと思います。大臣としまして、どっちの政権になるか分からないですけれども、現時点での日本のスタンス、どういったものなのか、どういう政権になってもどういう対応をするのかというのはあると思いますが、そのホストネーションサポートの交渉に向けた現在の日本の立場とか姿勢、どういったものを今、考えていらっしゃるんでしょうか。

【茂木外務大臣】このホストネーションサポートについては、先日準備会合を実施したところでありますが、正式交渉の時期について、引き続き今事務的に調整をしているところであります。
 我が国を取り巻きます安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米安保体制に基づきます日米同盟、これは我が国の防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためにはなくてはならない存在だと、このように考えております。
 更に、安全保障政策の対象というのが、これからサイバーであったり、宇宙といった新たな領域に広がって、またその脅威というものが拡大する中で、日米双方が果たすべき役割、大きくなってきていると思います。
 在日米軍の駐留経費、これは米軍の駐留が日米安保体制の中核的な要素であるなか、在日米軍の円滑かつ効果的な活動を確保する上で、重要な役割を果たしてきているわけでありまして、これから正式な交渉をして、合意を得るという中で、一層厳しさを増します地域の安全保障環境、そして我が国の厳しい財政状況を踏まえて、適切に対応していきたいと思っております。

米国大統領選挙後の次期国務長官との関係

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 米国の新たな国務長官、すなわち大臣のカウンターパートに対して、TPP、気候変動及びイラン核合意について、大臣から発したいメッセージはありますでしょうか。これらはトランプ政権が離脱し日本が戻るように促しているものと理解しています。また、大臣は交渉に精通しているため、米国の次期カウンターパートについて何らかの特別な政策を有していますでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
 「ネクストカウンターパート」というと、何かカウンターパートが変わるようでありますので、まだ選挙結果が出ておりませんので、それも含めて選挙結果について注視をしているという状況であります。
 日米の間、通商政策につきましては、既に日米貿易協定、そして日米デジタル貿易協定、発効いたしております。この円滑な運用を図っていくことが極めて重要だと思っておりますし、同時にTPPにつきましても、自由で開かれた共通の21世紀型のルールを世界に広げていくという観点から、我々としては、米国がTPPに復帰をしてくれると、こういったことを期待をいたしておりますが、なかなか選挙結果に拘わらず、すぐに米国がTPPに復帰ということにはならないと、こんなふうに思っております。
 そして気候変動問題、これにつきましては、米国が果たす役割はいずれにしても大きい、そのように考えておりまして、しっかり米国がこの地球規模の問題についてコミットをすると、そのために日本としての役割を果たしていきたいと思っています。

国際的な人の往来再開

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 六反田記者】今日は、世界が新型コロナウイルスの非常に大きな感染拡大に今、包まれている、向かおうとしている中で、日本がどのような交流を他国としていくのか、一部の国からの帰国者などに優遇政策というか、緩和するということを発表されていますけれども、欧米諸国、今、非常に大きな第2波、あるいは米国は第3波を迎えていて、これらの国々との関係ですね、人的交流を今後どのように考えていくか、どの時期でどのように緩和をして、交流が戻っていくとお考えかということについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】ご案内のとおり、今、世界での感染者、累積で1,400万を超えると、こういう状況でありまして、欧州におきましては感染の再拡大が起こると、こういった中で、なかなか世界全体を見ても感染が収束しない、こういう状況でありまして、これらの問題、やはり一国だけの対応では限界があって、様々な面で国際的な協力というものが必要だと思っております。
 これは感染防止対策に関わります水際措置でもそうでありますし、今後やはり局面展開を行っていくためには、ワクチンの開発であったりとか、途上国も含めた普及というのは極めて重要であります。
 日本としても、これまでも特に保健医療体制が脆弱な途上国に対する、様々な形の国際機関を通じての、また二国間の無償での医療機材の提供であったりとか、JICAの医療技術協力、こういったものも行ってきておりまして、各国からこういった日本の取組、高く評価されておりまして、しっかりと続けていきたい。
 同時に今、世界経済、このコロナの影響で大きな落ち込みがあるわけでありまして、やはりその感染拡大防止と両立をする形で、どうやって経済活動を再開していくか、これはもう一つ大きなテーマであると、このように考えております。
 そういった中で、感染の拡大の防止と両立をする形でということで、ご案内のとおり、長期滞在者を含めて念頭に置いた「レジデンストラック」、更には短期の出張者、商業関係者、これを念頭に置いた「ビジネストラック」につきまして、16か国・地域との間で今、交渉を進めておりまして、「レジデンストラック」についても「ビジネストラック」についても、一定の国とこれをスタートしているところであります。
 更には、在留資格を持つ外国人の方の再入国をすでに9月から認めておりますし、新規入国も10月から認めると、こういう措置をとっております。
 今後も、様々な対策を取りながら、人の往来を再開していくことは重要でありますが、同時に感染の拡大の防止というものに万全を期さなければいけない。そういった中で、どういうスキームでどの国とやっていくかと、今後しっかりと検討していきたいと思っています。

ベトナムとの間の人の往来

【エコノミック・マンスリー スシロ記者】度々すみません、ベトナムの話なんですけれども、最近、ベトナムの労働者の犯罪、増加しましたので、外務省の立場としては、どういう判断ができるでしょうか。例えば入国禁止とかなど、よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】おそらく今の話は、どちらかといいますと、法務省に関わる問題でありますので、まず法務省の方にお問い合わせいただければと思います。

新型コロナウイルス(東アジア諸国との関係)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 六反田記者】先ほどの質問のある意味続きになるのですけれども、やはりコロナの感染拡大は欧米諸国とアジアの諸国で、特に東アジアの諸国で非常に大きな差が現在出ております。日本として、これらの東アジアの国々との関係をこれまで以上に重視していく必要があるのではないかと思うのですけれど、その点についてどのようなお考えをお持ちかお聞かせください。

【茂木外務大臣】現状におきまして、感染の状況であったり、収束の状況で言いますと、東アジア、そして東南アジア、こういった国、落ち着きを見せておりますし、一時と比べまして、中南米、更には中東、アフリカも、ある意味、減少傾向に転じていると。一方で、米国、そしてまたインドのように、まだ高い段階で推移している国もありますし、フランス、イタリアをはじめ、欧州、また東欧もそうでありますけれども、今、感染が急拡大をしていると、こういう状況にあるわけでありますが、この状況をずっと1月以降追いかけておりますが、こういった状況というのは変わってくるものだと、変わってきていると思っております。
 今後の事について予測するのは難しいわけでありますけれども、東アジアの国々、そういった意味で比較的感染が落ち着いているという観点から、先ほど申し上げたような、「ビジネストラック」であったりとか、また「レジデンストラック」、この交渉も進めたり、実際にそれがスタートしているということであります。
 ただ、一方で、その他の国との間でどうしていくかと、こういうことにつきましては、今後、様々なビジネスニーズ、こういうものを考えながら、また同時に感染防止対策をしっかり取れるのか、そのためにはどんなことができるかということも考えて、検討していきたいと思っています。