令和2年10月29日

 10月29日(現地時間同日)、フィジー共和国の首都スバにおいて、我が方、大村昌弘駐フィジー日本国特命全権大使と先方チョネ・ウサマテ・インフラ・気象サービス・土地・鉱物資源大臣(Hon. Jone Usamate, Minister for Infrastructure, Meteorological Services, Lands and Mineral Resources of the Republic of Fiji)との間で、0.6億円を限度額とする無償資金協力(詳細設計)に関する書簡の交換が行われました。

1 フィジー共和国は、330の島々から構成される島嶼国であり、人口は約90万です。最大の島であるビチレブ島には、南東部に首都スバ、北西部に第二の都市ラウトカ及びナンディ国際空港があります。同島の東西を結ぶクイーンズロードは、1975年に建設された大型車両が通行可能な唯一の幹線道路であり、1日に約2万1千台の車が往来し、フィジーの経済活動を支えています。しかし、同道路にかかるタマブア・イ・ワイ橋(橋長90m)は、過積載車両による損傷に加え、塩害やサイクロンの影響等により橋脚にも深刻な損傷を受けています。応急修理は随時行われているものの根本的な修復には至っておらず、勢力の強いサイクロン来襲時等には崩壊する恐れがあり、架け替えが喫緊の課題となっています。

2 この協力では、最重要幹線道路であるクイーンズロード上にかかるタマブア・イ・ワイ橋を架け替えるための詳細設計に必要な資金を供与します。これを通じて、自然災害に対する基幹道路の強靭化を図り、安全で安定した交通の確保及び輸送力強化に寄与することが期待されます。

3 フィジーは、自然災害に対して脆弱であり、2016年2月に発生したサイクロン・ウィストンではGDPの約30%に当たる経済的被害を受けました。災害に対して強靱なインフラを整備することは、経済活動の基盤を支える上で極めて重要です。我が国は、2018年5月に開催した第8回太平洋・島サミットにおいて、「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」を大洋州諸国への支援の柱として表明しており、今回の協力はこれを具体化するものです。

[参考1]フィジー共和国基礎データ
 フィジー共和国は,面積1万8,270平方キロメートル(四国とほぼ同じ)、人口約89万人(2019年、世界銀行)、1人当たりの国民総所得(GNI)は5,860米ドル(2019年、世界銀行)。

[参考2]第8回太平洋・島サミット
(1)第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域、オーストラリア及びニュージーランドの首脳級等が出席。フィジーからはバイニマラマ首相が参加した。

(2)我が国は、PALM8において、(1)自由で開かれた持続可能な海洋、(2)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化、(3)人的交流・往来の活性化の3つを柱として、今後3年間でこれまでの実績も踏まえた、従来同様の、しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。