(令和2年10月27日(火)  10:30 ~10:58)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は冒頭3点ございます。本日の閣議で、「令和2年版自殺対策白書」を閣議決定しました。自殺対策白書は、自殺対策基本法に基づき、毎年、国会に提出される法定白書となります。
 今回の白書では、自殺の現状や令和元年度の自殺対策の実施状況をとりまとめるとともに、中高年層及び高齢者層の自殺について、自殺の原因・動機や職業などの観点から分析を行っております。
 白書の内容も踏まえ、引き続き、関係省庁と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、取り組んでまいりたいと思います。

 続いて、循環器病対策推進基本計画についてです。循環器病対策推進基本計画が、本日閣議決定されました。本計画は、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に基づき、循環器病対策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画として、今般、新たに策定したものです。
 本計画では、循環器病の診療情報の収集・提供体制の整備を基盤とした上で、循環器病の予防や正しい知識の普及啓発、保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実及び循環器病の研究推進を三つの柱として、対策を推進することとしています。
 循環器病対策の総合的かつ計画的な推進に向けて、関係府省の連携の下、全力で取り組んでまいります。

 もう1点、本日、厚生労働省関係で法案が閣議決定されました。「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案」は、新型コロナウイルス感染症の発生の状況に対処するため、予防接種法の臨時接種に関する特例を設け、予防接種に係る費用を国が負担し市町村を実施主体とする等の実施体制の整備等を行うとともに、新型コロナウイルス感染症について、必要な検疫法の規定を適用する期間を延長できるようにすることで、引き続き水際対策を図っていくため、必要な見直しを行うものです。
 今国会において速やかにご審議をいただくよう、お願いしたいと考えております。私の方からは以上ですので、ご質問がありましたらお願いします。

質疑

記者:
昨日から臨時国会が始まりました。菅内閣発足から初めてですが、大臣としての意気込みを教えてください。
大臣:
今国会では、法律案については予防接種法、検疫法というものがあります。これを速やかにご審議いただく中で、何とか成立に向けて努力していきたいと思っています。
 その上で、昨日総理からも所信表明がありましたが、一つはやはりコロナ対策ということが非常に大きな項目としてあるわけで、やはり新型コロナウイルスの感染拡大をどのように防いでいくかということが大きな一つの政策的な対応ということであります。
 一方で、雇用も非常に厳しくなりつつあるので、そういう意味では雇用調整助成金の延長もすでに12月まで決定して進めていますが、新たな日常を取り戻すということで、しっかりと雇用、就労機会の確保、生活の支援ということに取り組んでいかなければいけないと思っております。
 その一つとして、来年度新卒で採用される方々、目指しておられる方々に関しては、非常に就職が難しくなりつつあるという業種もございますので、本日午後、3大臣、1副大臣とともに経済団体に要請に参ります。これに関しても大変重要な課題だと思います。
 それから、全世代型社会保障制度改革において、高齢者医療の窓口負担について見直すということで、これは年末に向かって今議論いただいておりますが、これも一定の方向性を示していかなければいけないと思っています。
 更に、これも総理から私の就任時にご指示をいただいているものですが、不妊治療の保険適用化、それまでの間もそれに向かって今の助成制度の拡大についても、年末に向けて予算等絡んでまいりますから、国会と同時に予算編成に向かっていろいろな対応をしなければいけないと思っております。
 併せて申し上げれば、これは全世代型というかデジタル化の一つですが、オンライン診療の恒久化についても総理から指示いただいておりますので、これも年内には一定の方向性をお示ししなければと思っています。言い出せばきりがないくらい課題が非常に多い厚生労働行政ですが、主にそういうところを、この国会も含めてまずは年末までの対応として進めていきたいと思っております。
記者:
韓国でインフルエンザのワクチン接種後に亡くなった事例が確認されていますが、厚労省としてどのようにお考えになりますか。
大臣:
そのような報道があるということは我々も承知しております。ワクチン接種後の副反応については、医療機関等の報告を求めた上で専門家から評価いただいて、定期的に公表させていただいております。概ね1シーズンに2回程度公表させていただいております。
 我が国がどういう状況かというと、例えば昨シーズンだと7例の報告をいただきました。専門家の評価の結果は、4例は因果関係が不明、2例は因果関係が否定的、1例は評価不能ということでして、直接因果関係があったと認められたものはありません。
 韓国が40例を超えるそういう報告があったということを鑑みて、若干状況が違うのは、我が国は国内のワクチンですから、韓国が使っているワクチンは使っていないという点を、国民の皆さまにはご理解いただけるとありがたいと思います。
 なお、これは報告なので、医師が因果関係に関して疑った場合、疑ったということは、因果関係があるというわけではないが疑った場合に報告がきているわけです。非常に関心が高まった場合には報告が多い時もあります。
 そういう意味からして、報告が多く来たからといって、一概にそれは副反応が非常に多く出ているのではないかということではないわけです。来た報告を専門家の方々にしっかりと評価していただいたうえで、その結果をしっかりと皆さま方に報告することが重要だと思います。
記者:
オンライン診療について伺います。厚労省はこれまで医師法の解釈を示した平成9年の厚労省通知で、いわゆる遠隔診療に関する通知ですが、診療は医師と患者が直接対面して行われることが基本であるという、いわゆる対面原則を示していました。
 現在オンライン診療の恒久化の検討を進める中で、先日の河野大臣、平井大臣との合意というものは、診療の対面原則の廃止を意味すると考えてよろしいのかどうかを伺います。
大臣:
これから議論をしていく話になると思います。どういうことかと言いますと、今オンライン診療に関しては初診に関してこれを解禁、恒久化というようなことを総理から指示を受けております。
 ただ、全ての疾患、症状がオンライン診療に対応できるかどうかということは専門家の皆さま方のご意見も聞かなければならないわけです。最終的な状況において、何を原則、何を例外というかという話で、今も事実上は、離島は確か初診もオンライン診療がOKになっていたと思います。
 そういう意味からすると、絶対ダメといっているわけではありません。ですから、原則・例外というものはどういうようなでき上がりかによって判断するという話だと思います。
 いずれにいたしましても、総理がオンライン診療の恒久化ということを仰っていますので、今までのような限定的な初診解禁という話にはならない、ある程度広くこれはオンラインで初診が解禁、できるようになるかということを前提に、3大臣で検討させていただいておりますので、今言われた対面原則というものをどう判断するかということは、もう少しお待ちいただけるとありがたいと思います。
 いずれにしても、申し上げたとおりかなりの範囲でできるように我々としては初診のオンライン診療を含めてこれから3大臣で詰めていくということです。
記者:
今のオンライン診療に関連して、先ほど大臣から年内に方向性を示すというお話がありましたが、3大臣で合意した内容を年内に何かしらお示しになられるということでしょうか。
大臣:
3大臣のこれからの議論になると思いますが、とりあえず安全性、信頼性というものを確保しながら、やはり映像等で確認するということが大事であろうというところまでは詰めました。
 まだぼやっとした表現になっておりますから、もう少しイメージができるようなところまで、国民の皆さま方に示せるような取り決めができればと思っております。
記者:
出産費用に関してお尋ねします。都市部を中心に出産費用が年々上昇傾向にあることから、妊婦の経済的負担の軽減を求める声が与党内からも上がってきております。大臣はこの件に関してどのようにお考えかお聞かせください。
大臣:
出産育児一時金、皆様もお調べいただいていると思いますが、平成6年、18年、21年、23年と引き続きで上がってきておりまして、そういう意味では今現状で平成27年ですかね、この時点で無過失保険の部分を除くと40.4万円が事実上出産の費用というか、保険以外の部分としてあるわけであります。
 あとは出産にどれだけかかっているかという数字は若干これより多いぐらい、これは平成24年の公的病院の平均的な出産費用40.6万円ですけれども、ほぼカバーしていると言って良いのかもわかりません。公的病院の一般的な出産費用で大体こういうもので見てきている傾向がありますけれども、それからまた上がってきている部分もあるかもわかりません。
 今、実は調査をしている最中でございますので、そういう部分もしっかりと見据えながら、ただ一方で保険の中でやりくりしていただいているので、そういう意味では被保険者の方が保険料を払っていただいて、保険者がこれに対しての対応をされております。
 ですから保険者の皆さんのご理解もいただかないといけない話になってくると思いますので、いずれにいたしましても今ちょうど医療保険制度改革ということで、先ほど申し上げましたけれども高齢者の一部負担の部分の見直しも検討しておりますので、ここで年内取りまとめに向けて議論する中において出産育児一時金の金額といいますか、それに関してもしっかり検討をしていただきたいと思っております。
記者:
不妊治療の関係でお伺いします。総理から昨日の所信表明演説で所得制限を撤廃し、保険適用を早急に実現するという発言がありました。所得制限があるのは治療費助成制度の方になるので、そちらから撤廃するという意味合いなのか改めて厚労省としてのご見解をお願いします。
大臣:
これは昨日の総理の所信表明のこの部分の内容の抜粋があるので読み上げさせていただきますが、「こうした方々の気持ちに寄り添い、所得制限を撤廃し、不妊治療への保険適用を早急に実現します。それまでの間、現在の助成措置を大幅に拡大してまいります。」ということなので、所得制限を撤廃し不妊治療への保険適用を早急に実現しますというのが先にあって、それまでのつなぎの間は助成措置を大幅に拡大してまいりますですから、この所得制限撤廃は後段にはかかっていない。
 然らばそもそも保険というのは所得制限がないじゃないかというのはその通りでありまして、今の助成制度の中に所得制限があるので、保険適用すれば当然のごとく所得制限が撤廃されるのですが、それをあえてというか分かりやすいように、受けられない方々も保険適用すれば保険の中では受けられるんですよという意味で、総理は仰っておられる、こういうことだと思います。
 それから、然らば助成措置の中において所得制限は拡大しないのかという話ですが、これに関しては、各論の中にはどういう所得の方々を適用するかというのが当然入っているわけで、我々としては所得制限の方も、今より多くの方々に不妊治療を受けていただけるように、これは予算が関わる話ですから、今財務省と予算編成において議論している最中でございますので、我々としてはなるべく多くの方々に助成制度を受けていただけるべく、今、検討しているということでご理解いただければありがたいと思います。
記者:
新型コロナウイルスとインフルエンザの両にらみの対応について伺います。今、厚労省から都道府県には両方を診療や検査できる医療機関を地域で整備してくださいという要請がいっていると思いますが、地域ではなかなか医療機関が多く手を挙げていただけないというようなちょっと対応に苦慮しているところもあると思うのですが、改めて厚労省としてどういうご報告が得られたのかということと、もう一つ補助金の制度がありまして、それがやはりちょっと複雑で分かりにくいというような声、あるいは発熱の患者さんをより多く診た医療機関が例えば補助の額が増えるといった制度にならないだろうかといった声もあるのですが、その二点についてお願いします。
大臣:
これに関しては、まず体制の整備という意味では仰られる通り、地域によってはいろいろな事情がある中で、両方とも診るということが難しいというよりかは、発熱した場合どちらか分からないので、両方診るも何もそもそも発熱患者をなかなか診づらい、診る医療機関に手を挙げていただけないというところがある地域、それはいろいろな事情な中であると思います。
 強制的にクリニックにおいて全部診てくださいというわけにはいかないわけで、ですからそういう事情があってクリニックが受けていただくところは少ない、そういうような医療機関に関しては例えば病院等の駐車場等に仮設でそういう方々を受け入れて発熱患者を受け入れていただくような機関を作っていただく、こういうようなことも一つのやり方でありますし、いろいろなやり方があると思いますので、それはそれで厚生労働省の方から、その状況において必要に応じて都道府県にはいろいろな助言はさせていただくということでございます。
 なるべく早くそういう状況等をお教えいただきたいということでお願いをしてまいりまして、各地域から各都道府県から今、そういうような整備状況の情報をいただいた上で、今言われたみたいにまだまだ数がないということであればいろいろな助言をさせていただいているところであります。
 いろいろなやり方があると思いますから、さっき言ったような病院の駐車場ということもあれば、そうじゃない、例えばどっかにPCR検査センターみたいなのを作りましたよね、ああいうようなやり方もあれば、どっかの大きな病院で集中的に発熱患者を受け入れるという体制を作るところもあると思いますから、それはそれぞれその地域に応じたやり方を厚生労働省としてはアドバイスさせていただきたいと思っております。
 それからもう一点、この補助金はたぶん言われている意味は、例えば一日フルタイムで発熱患者を受け入れた場合には、仮に発熱患者が来られなくても20人分は補償をさせていただくと、これは補助金の方で出すというような制度なんですね。
 これはなぜかというと、体制を組んでいただく。それからそういう状況になれば他の患者を受け入れられなくなりますよね、当然クリニックとして。そういうような部分を、大きいクリニックは別ですよ。窓口が一つであればなかなか動線も分けられないということで。発熱患者の検査・診療外来を受けていただく場合、医療機関から手を挙げていただく場合に、結果的に言うとまったく発熱者が仮に来なかったという場合も想定できる。
 それでも手を挙げていただいたことに対して、例えば検査キットを購入していただかなければなりませんし、今言ったような感染防止策もあるので、それなりに費用もかかるということでこういうものを用意させていただいています。
 逆に言うと、20人以上発熱患者が来れば、それは検査もされるでしょうし、仮にインフルエンザだとすればインフルエンザの治療という意味で収入も入ってくると思いますので、それはそれでちゃんとした収入を取っていただく中で医療機関の運営をしていただきたいということでございまして、あくまでも例えば、発熱患者がまったく来ないということはないと思いますが、来なかった場合でもその対応をいただいたことに対して、しっかりとこちらとしても関わった費用に対して一定の金額をお出ししないと、そもそも手を挙げていただけなくなるだろうということでありますので、そういうような対応をいただいたところに対しての補助金であるとご理解いただければありがたいと思います。     
記者:
年末年始の休暇について伺います。新型コロナウイルス対策として、政府は年末年始の帰省や旅行を分散させるために、来年1月11日まで休暇を延長して取得するよう呼びかけていらっしゃいますが、改めて感染防止の観点からどのような効果を狙っていらっしゃるかお教えください。
大臣:
一部、17連休を各企業、経済界にお願いをするんだみたいな報道になっておりますが、ちょっと私の方から修正させていただかなければならないなと思います。
 一律に17連休を産業界にお願いする、企業にお願いするという話ではございませんでして、いつも大体お正月休みって29日とかぐらいから大体1月の3、4日くらいまで、その年の曜日の合わせによっても変わりますけれども、そういうのを取られますよね。そうなると全国から一斉に帰省されるということが多いわけで、そうなると交通機関が非常に密になる。特に交通機関が良い例だと思いますが、非常に密になると。
 それと感染拡大のリスクが高まる可能性があるので、いろいろな交通機関も感染しないためのいろいろな対応をしていただいておりますけれども、密になるとどうしても感染拡大のリスクが高まりますので、そういうのを避けるために、26日から11日まででしたっけね。というような期間の中で早めに26日から取っていただいて1月の3日で終わっちゃうようなところ、それから今までどおり28日からというところもあるかもわかりませんが、逆に30日くらいから休みを取っていただいて、その後6日、7日、場合によっては11日までということもあるかも分かりませんが、そういうように要するに正月休みを三段階、四段階に分けていただいて、そういうように割り振れるかどうか各企業間で調整はできませんけれども、しかしそれぞれが対応していただくとやはりそれなりに分散しますから、その休みを分散することによっていっぺんに帰省される方々、つまり交通機関を使って故郷へ戻られる方々、これを分散する中において、密を防いでいこうというのが元々分科会の狙いでございますので、17日間休みになってそれでGOTOトラベルでみんなが一斉に旅行に行ったり、故郷に正月帰ったりというようなイメージはちょっとなくて、そういうことを狙っての今回の話であるとご理解いただけるとありがたいと思います。
記者:
大臣の会見でのご発言の確認ですが、出産一時金の関係です。高齢者の医療費を上げることになると思いますが、出産一時金については年内に実態を調べた上で引き上げも含めて検討するという考えでしょうか。
大臣:
まず実態調査中の結果が、この医療保険制度の改革の検討の中に、ちゃんとそういうデータが上がってくるようにということで調整しています。
 それを見ていただいた結果、どういうような判断になるかということは、そこで一定の方向性を示していただき、それを受け止めた上で、我々としては必要があれば対応していくという話になると思います。一方で保険者の皆さま方のご理解もいただかなければいけないということもありますから、そこをまずいただくことが前提になると思います。

(了)