(令和2年10月23日(金)  13:02 ~13:29)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は私から4点ご報告させていただきます。本日の閣議で、「令和2年版厚生労働白書」を報告しました。今回の白書は、「令和時代の社会保障と働き方を考える」をテーマとしております。平成の30年間を振り返りつつ、高齢化がピークを迎える2040年頃を見据えて、今回の新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえた上で、今後の対応の方向性について検討を行いました。
 厚生労働省としては、この検討結果も踏まえ、我が国の社会保障を将来にわたり維持・発展させるとともに、国民一人一人が十分に能力を発揮しながら、必要なときには支え合っていくことができる社会の構築に向けて、全力で取り組んでいく所存です。

 続いて、新卒者の就職支援の強化についてです。来春卒業予定の大学生等の就職活動については、新型コロナウイルス感染症の影響があるということで、新卒採用を抑制する動きが一部で見られております。昨日、関係省庁間で、「新卒者等の採用維持・促進に向けた取組」を取りまとめました。取りまとめを踏まえ、厚生労働省としては、新卒応援ハローワーク等において、大学等とも連携しながら、学生一人一人が置かれている状況に応じた、きめ細かな支援をしっかりやっていきたいと考えております。
 また、関係省庁と連携して、経済団体に対し、中長期的な視点に立って新卒者の採用を進めていただきたいということで、3年以内既卒者を新卒者扱いとするよう、既に実は指針としてお示ししているものですが、改めて要請をさせていただきたいということです。第二の就職氷河期世代を作らないためにも全力を尽くしてまいりたいと思います。

 続いて、不妊治療を受けやすい職場環境の整備に向けた検討チームです。内閣府と厚生労働省が連携して必要な検討を行うため、坂本内閣府特命担当大臣と私を共同座長、その下に三ツ林内閣府副大臣と三原厚生労働副大臣を共同副座長とする「不妊治療を受けやすい職場環境整備に向けた検討チーム」を立ち上げ、来週月曜日、26日ですが、第1回の会合を開催することといたしました。
 今後は検討チームを通じ、内閣府と連携しながら、それぞれの強みを活かしつつ、不妊治療と仕事の両立ができる職場環境を作るべく、社会的機運の醸成や企業における意識といったものも含めて、しっかり進められるよう検討を進めてまいります。
 詳細については、雇用環境・均等局にお尋ねいただければ詳細なご説明をさせていただきます。 

 続いて、新型コロナウイルス感染症に関する情報の発信についてです。この秋冬のインフルエンザは非常に流行期を迎える中で、いろいろなご心配をいただいているわけですが、改めて、新型コロナウイルス感染症に関する情報発信をしっかりさせていただくということで、今日お話をさせていただきます。
 昨日もアドバイザリーボードで専門家にご議論いただきましたが、感染状況は7月の最終週から8月の1週頃をピークということでありまして、減少が続いた後、ほぼ横ばいから微増傾向という評価をいただきました。こうした中で、三密の回避など国民の皆様には大変なご協力をいただきながら、社会経済活動との両立をしているわけですが、コロナ禍においていろいろ分かってきた情報を国民の皆さま方にお伝えさせていただきながら、正しく恐れるというような意識をしっかりと国民の皆さま方にお持ちいただければということです。
 例えば、入院時に重症であった方が死亡する割合については、6月以前と6月以降、これでどれくらいの差があるのかということを比べると、6月5日以前に入院した症例で重症例です。入院時に重症であったと。いろいろな比較はありますが、重症の要件は基本的には変わっておりませんので、比べる上ではこれが一番精度として正しいのではないかという観点からこれをお出ししています。
 全年齢の平均は19.4%から6月6日以降は10.1%と半減に近くなっています。これはNCGM(国立国際医療研究センター)の大曲先生が、厚生労働科学研究でやっておられる研究のデータであります。このような多くの方の感染が確認されるようになったのは確かですが、重症例の中において死亡されている方々は割合としては減っているという事実があります。
 他方、こういうこともありますが一方で気を緩めていただいたら困るということです。先日もこの場で、医療や介護の従事者の方で、重篤化される可能性の高い方々を対応いただいているということについて申し上げました。是非とも、初期症状があった場合、コロナが疑われるような発熱ですとか、味覚障害もそうでしょうが、こういうものがあった場合には早急に検査をやっていただきたいと思います。
 これはデータとしてお示ししながら、正しく恐れていただきたいということで、これからもアドバイザリーボード等で専門家のご意見をいただきながら、基本的な情報、このような情報は他にもありますから、これらがまとまり次第、国民の皆さま方にいろいろとお示しをさせていただきたいと思います。
 また、年末年始を迎える中で気をつけていただくということに関しては、いろいろな年末年始に関しては西村大臣から対応のお願いがあるわけですが、とにかく人がこれから年末年始で集まりやすい環境が増えてまいりますので、しっかりと我々も情報を出しますので、是非とも必要なものはお守りいただきながら感染拡大の防止にご協力をいただければありがたいと思います。私からは以上ですので、ご質問をお願いします。

質疑

記者:
先ほど4点目にありました新型コロナウイルス感染症の入院症例に占める入院後に死亡する割合、今回この数字を国民にお伝えするということでしたが、このように6月5日以前と以降で死亡した割合が減ってきている部分としては、厚生労働省としてどういったことからこのように減っているとお考えでしょうか。
大臣:
断定的にそれが全てというわけではないと思いますが、アドバイザリーボードのいろいろなお話の中では、治療の仕方が一定程度確立されてきまして、こういう症状の時にはこういうような医薬品をこういうタイミングで使えば、一定程度重症化しても死亡までは防げたり、中等症者については重症化をある程度緩和できるというようなことが分かってきたということが1つあるという話です。
 それと同時に、いろいろなことが分かってきているし、治療法もある程度いろいろな形で示されてきてはいますが、一方で第一波と言いますか、4月5月の頃は、病床や医療機関が非常にタイトになって、本来入院をしなければならない方がスムーズに入院できなかったという状況が起こりました。
 昨日のアドバイザリーボードのお話の中には、今こういう状況で比較的新型コロナの症状というものを以前よりはある程度のところで抑えられるような、いろいろな治療法等のガイドラインや手引きというものができてきているけれども、やはりベッドがタイトになると必要な医療が受けられなくなるので、また、症状が悪化する患者が増えてくる可能性もあるので、しっかりと医療提供体制を確保していかなければならないという話もございました。
 いろいろな状況が複層的に重なり合う中で、このような調査の結果が出てきているものと思っております。
記者:
イギリスの製薬大手アストラゼネカなどが開発を進めているワクチンの臨床試験で、参加していたブラジルの男性が死亡した事案について伺います。これについて、加藤官房長官が昨日午前の記者会見で、「厚生労働省が企業から詳細な報告を求めている」と発言されましたが、現時点で厚生労働省にどのような報告がもたらせていますでしょうか。併せて厚生労働省の対応としてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンですが、ブラジルで死亡例があったということは報道で承知しております。報道によれば独立した評価委員会等で評価を踏まえた上で、ブラジルでの治験を継続されているという話です。今言われましたとおり、アストラゼネカに詳細な報告を求めているところです。
記者:
先ほどの重症化と死亡率の関連で伺います。大臣から「正しく恐れる必要がある」という話がありましたが、改めてこういった情報を出されて国民に対してどのようなメッセージを届けたいかお願いします。
大臣:
今回の重症例という話からしますと、なるべく早く治療に入った方が適切な治療が受けられるということでして、重症化するにしても、重症化にはいろいろな度合いがありますので、症状があったら早く医療機関で検査していただいてその上で対応いただくでありますとか。今回の場合は入院時重症者の方の死亡の割合でしたが、これからまた他のいろいろな情報も出てきます。
 それに応じて、それぞれ例えば国民の皆さまが、行動変容の中でそれを参考にしていただくとか、いろいろな形でのご利用の仕方があると思いますから、我々としては専門家の方々に、いろいろな事例を情報としていただいて、それをまとめさせていただいて、国民の皆さま方にお伝えをさせていただければと思っております。
記者:
昨日のアドバイザリーボードに関連してお伺いします。昨日の直近の感染状況の評価のまとめの中で、フェイスシールド・マウスシールドについて「マスクと比べて効果が弱いことに留意が必要である」という記述が新たに加えられています。
 大臣を含め閣僚の中でもマウスシールドおつけの方が何人かおられるなと思うのですが、新たに加えられた記述についての受け止めと今後もおつけになるかというあたり伺えればと思います。
大臣:
私の場合は、記者の皆さんと合意のもとで、距離を十分に離しています。本来はマスクをしたいのですが、どうしてもカメラの映りの問題だとかいろいろあって、本当はここにシールドがあれば良いんですが、それも光の関係でどうしてもつけずにやっていただきたいというお話がございました。
 そういう中において少しでも距離を十分にとっているつもりですが、比較的厚労のこの記者会見というのは時間が長くなることがございますので、万一のことを考えて大きな声を出しても前の方に飛ばないようにということで、マウスシールドをつけさせていただいていますが、普段はマスクをつけさせていただいています。
 その上で、マスクとフェイスシールドについて評価、議論をいただいたわけでありますが、マスクと比べると当然のごとく、フェイスシールドというのは横も開いておりますし、上も開いておりますので、そういう意味からいたしますと喋ったときの飛沫、大きいものはこれで止まりますけれども、小さいものに関してよくマイクロ飛沫でありますとかエアロゾルなんて言い方もありますが、発声とともに出る小さな飛沫、これに関してはやはりここから漏れてしまうということがございます。
 ですから、テレビ等の番組等でもフェイスシールドをつけているというのはたぶん、お顔をしっかりと拝見できるようなテレビ的な配慮があると思うのですが、ただしその時はやはりちゃんと距離をあけて、基本的には濃厚接触にならないよう距離をあけていただきながら、テレビ局もフェイスシールドを使っていろいろと収録をされておられるんだと思います。
 ちなみに、喋る方もそうなのですが、防ぐ方もこれだけ開いていますから、誰か感染者が前で喋られた場合、それを防ぐ手立てはないという話でありますので、そういう観点から見ても、場所というものをしっかりと認識し、環境といいますか、感染というものを考えた時に感染する可能性がある程度低い時に十分に距離をあけて、その時々に応じて、例えば、障害者の方々で聴覚が不自由な方々の中には口話といいまして口の動きで言葉を理解される方々もおられますので、そういうことを踏まえた上で適切にお使いいただければありがたいなと思います。
記者:
少子化関連についてお伺いします。先日、5月から7月の間に自治体が受理した妊娠届の件数が前年度比で11.4%減ったと発表されました。少子化が加速傾向にあると指摘されていますが大臣の受け止めをお願いします。また、これまでや現在で実施されている政府の少子化対策が十分だったかどうかについてもお願いします。
大臣:
確かにこの妊娠届出件数を見ますと、本年5月妊娠届出数前年同月比17.1%減と、6月は若干戻りましたが5.4%減、そして7月が10.9%減に広がっております。そういう意味からしますと、なぜかというのはなかなか分析しづらいのですけれども、やはり新型コロナウイルス感染症の拡大で行動変容、生活においてのいろいろな行動の変容が起こったというのがあります。
 その中において、経済的な問題があるかもわかりません。例えば仕事を失われているということもあるかもわかりません。それから、そもそも感染拡大で小さいお子さまを持つこと自体、お子さまへの感染等を恐れられてということもあるのかもわかりません。それは詳細に分析しておりませんので、なぜそういう結果になっているのかというのは我々も理解できていないところはあるのですが、やはり新型コロナウイルス感染症の感染が拡大したというのは大きな要因ではあるのではないかと推測をいたします。
 これに関してはこれから専門家の方々のご意見も踏まえて、分析をしなければならないなと思っております。その上で、十分であったか十分でなかったかというのは、今回の妊娠届の件数に関して、かなり目に見える形で下がっているものが今までの少子化対策の取組が直接影響しているというよりかは、先ほど言った環境の変化というものの方が要因的には大きいのだろうと思います。
 その上で、今までやってきたこととしては、かなりのことやってまいりました。例えば、待機児童の解消の問題、それから放課後児童保育もそうであります。幼児教育の無償化でありますとか、さらには高等教育等の支援、高校の無償化も進めてまいりました。
 いろいろなことやってまいりましたので、それ自体は一定の効果があると思いますが、しかしなお、新型コロナウイルスに至る以前でもやはり出生率が、数年、結構数字下がっている部分もありますので、そういう数字を見ると、ある意味今までやってきて、一旦、上昇機運になってきて、そして横ばいになった出生率だったのですが、それが低下傾向に入ってきたということは我々重く受け止めなければならないという中において、菅総理のもと不妊治療の保険適用に向かっての動きでありますとか、いろいろな動きが更に加速をさせていただいていると我々は思っております。
記者:
26日に始まる高齢者以外へのインフルエンザワクチンの接種について伺います。改めて大臣として、どのようなことを国民に呼びかけたいかということと、現時点のワクチン需給の見通し。このワクチンについて一部のクリニックからは、卸業者から昨シーズンの購入実績と同じ量しか販売してもらえないという声もあがっております。今シーズン増産されたワクチンはどこに供給されているのかもお伺いできればと思います。
大臣:
インフルエンザワクチンですけれども、新型コロナウイルスの感染がこの秋冬はインフルと同時にご心配をいただいているということで、そういう意味ではなるべくインフルを重症化させないという意味で、打っていただいて予防効果がどこまで期待できるかというのはありますが、コロナウイルスとの見分けといいますか、ある程度発熱者が抑えられればというのはあるのですが、去年と比べて1割強くらい、インフルエンザワクチンの量は確保しているんです。
 これは新型コロナウイルス感染拡大時に、ワクチンメーカーになるべく多く供給を、今年は心配されてニーズが増えるかもわかりませんので、インフルエンザワクチンを増やしていただけないかというお願いは厚生労働省の方からもいたしてまいりました。
 ただ、これはご承知のとおり、鶏卵から作るということもありまして、その限界というものがある中で、それでも増やしていただいた上で、更に8月時点では3,178万本だったものが今般、供給量140万本増やしていただいて、全体の3,322万本、成人では最大6,650万人分確保する見込みがでてきたわけであります。
 私も地元でクリニックの皆様方から、なかなかワクチンが手に入らなくて、特にお子さんに早く打ちたいという話で予約をされるんですけれども、その予約が十分にお受けできることができないということで、どうなっているんだという話をお聞きをするわけでありますが、実際問題、ある程度去年と比べて量は確保しているんですけれども、先ほど言ったコロナの関係で、あらかじめお子さんを中心に予約を早めにされる方々も多いというような形で、どうしてもそこがミスマッチが生まれているところがあるんだと思います。いずれにしても、しっかりと卸業者など供給をされているところともしっかり全国に偏りなくこのワクチンが供給できるように努力をしてまいりたいと思います。
記者:
先ほどの就職支援の関連でお伺いします。長期的な視点に立って新卒者の採用を経済団体にお願いしているというお話しだったかと思いますが、具体的にどのように働きかけていかれるお考えかお聞かせください。
大臣:
まだ来年の4月、就職活動を続けておられる最中であります。そういう意味では最後の最後まで来年の4月、来年度に向かって採用いただけるように企業にお願いをしていかなければならない、このように思っています。
 その上で、もしいろいろな経済状況の中において、今年採用を控えられて結果として就職できないような学生、新卒者の方々がおられた場合に、先ほど申し上げましたけれども、既に法律に則って指針で3年間は新卒扱いをしていただきたいということはお願いをしてきておりますが、十分にまだそれが徹底されていない。やっていただいているところはあるんですが、まだそういう形でご理解いただけていないところもあります。
 そういう意味で、先般、文科大臣と、経済団体と話をさせていただく中でそういうお願いをさせていただこうということで、関係大臣、これは文科大臣だけでなくて関係大臣と調整をさせていただきながら、来週の早い時期にそういう機会を作れればなと思っております。

(了)