(令和2年10月23日(金曜日)13時49分 於:本省会見室)

冒頭発言

日英包括的経済連携協定(EPA)署名

【茂木外務大臣】今日、午前中から昼にかけまして、英国のトラス大臣との間で、日英の包括的経済連携協定の署名を行ったところであります。
 無事署名にこぎつけることができたと思っておりまして、早期の国内プロセス、今後しっかり進めていきたいと思っております。私(大臣)からは以上です。

日英包括的経済連携協定(EPA)署名

【NHK 山本記者】今ご発言ありました日英のEPAについてですけれども、このあと、国会に承認案を提出することになると思いますけれども、いつ頃の提出というのを考えているのかということと、その国会審議では、この協定の意義について、特にどのような点を訴えていくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、この日英包括的経済連携協定、来年の1月1日の発効、これを目指しているわけでありまして、それに間に合うような形で、国会の手続き、国内プロセスを進めていきたい、こんなふうに思っております。
 この意義でありますが、英国のEU離脱後の移行期間終了、これが本年末になるわけでありまして、それまでに本協定を締結することによって、日EU・EPAの下で日本が得ていた利益、これを継続し、日系企業のビジネスの継続性を確保することが可能になるわけでありまして、こういった意味から、重要であると考えております。
 また本協定、これは日EU・EPAの下での市場アクセスを維持するとともに、今日の共同記者会見でも申し上げましたが、電子商取引、金融サービス等の分野で、より先進的かつハイレベルなルールを規定した内容ともなっておりまして、本協定の下、将来、日英間の貿易投資が更に促進されることが期待をされると思っております。
 同時に日本と英国、連携をすることによって、こういった電子商取引とか、金融サービスも含めて、国際社会全体として、こういったルール作りを主導していくという、一つのステップにしていきたいと思っております。

【NHK 山本記者】関連してもう1点だけ。トラス大臣とのやり取りの中では、英国のTPPへの加入については、やり取りが話題には出たのでしょうか。

【茂木外務大臣】トラス大臣との会合の中で、日本としても英国のTPP参加への関心について歓迎したいと。来年、日本がTPP委員会、議長国になるわけでありまして、情報提供であったり様々な形で、英国が加入をしたいということであれば、協力をしたいと、こういう話を申し上げました。
 トラス大臣の方からも、英国としてこのTPP参加に強い関心を持っていると、こういう話をされておりまして、更に英国国内でもそれに向けた、今、様々な手続きといいますか、調整を進めていると、こういう説明がありました。

【産経新聞 石鍋記者】今回の日英交渉、6月の開始から4か月余り、4か月半という短い期間での決着となりましたけれども、まずこの4か月半で署名に至ったということへの受け止めと、併せて交渉全般を振り返って大臣のご所感、例えばタフであったとか、そういったご所感があればお願いいたします。

【茂木外務大臣】こういった通商交渉、国益と国益がぶつかる交渉でありますから、TPP11もそうでありました、そして日米貿易協定もそうでありましたが、それぞれに難しい交渉であったのは確かであると思っておりますが、大きな目標、先ほど言ったような形で確認をした上で、交渉を進めてまいりましたので、交渉開始から4か月半と、異例のスピードで署名が実現したと、やはりこれは日本と英国の考え方が一致した結果だと、大きなグローバル社会の中でどうしていくのかという考え方が一致した結果だと、こんなふうに思っております。

G20サミット

【アラブ・ニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)

 来月G20首脳会議の開催がオンラインで予定されていますが、日本がこの会議で達成したい目標についてお聞かせください。特に,今年の議長国であるサウジアラビアとの協力についてもお聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 今年のG20サミット、サウジアラビアが議長国でありまして、日本としては新型コロナ感染症への対応であったりとか、新型コロナに伴って世界経済、大きな影響を受けておりまして、この世界経済の回復、更には国際的な人の往来の再開、そしてポスト・コロナの国際秩序作り、国際社会において、G20が指導していくべきとのメッセージを打ち出す、こういったことを目指していきたいと思っております。
 昨年は日本が議長国でありました。トロイカとして、議長としてのサウジアラビアの取組、これについては全面的に協力をしていきたいと、これは、先日、私(大臣)がサウジアラビアを訪問したときも、明確に伝えてきたことであります。

国際的な人の往来の再開

【読売新聞 森山記者】ビジネス往来の関係で伺います。既存の「ビジネストラック」ですとか「レジデンストラック」に加えて、様々、世界に目を向けた方策をお考えだと思うんですけども、感染者が多い国の扱いをですね、今後検討していく上でどうお考えなのかと、感染者の多い国との往来再開については、なかなか難しいという認識でいらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】これは、何度も強調してきているところでありますけれども、感染再拡大の防止と両立する形で、国際的な人の往来、再開していくことは、極めて重要であると思っておりまして、これは日本だけではなくて、様々な国が今、そういった方向で検討を進めてきていると。これを段階的にどう進めていくかが、極めて重要だと思っておりまして、日本としては、まず感染状況が落ち着いている国から始めるということで、これまで16か国の対象国・地域と調整を進めてきたところであります。
 その結果として、長期滞在者、これを念頭に置きました「レジデンストラック」につきましては、10か国・地域との間で既に開始をしておりますし、また、短期出張者、これを念頭に置いた「ビジネストラック」につきましては、シンガポール、韓国との間で既に開始をしておりますし、また、19日、ベトナムとの間でも、首脳間で運用開始について、合意をしたところであります。
 また、10月1日からでありますけれども、在留資格を持っている外国人、原則として全ての国・地域ということになりますが、主に長期滞在者を念頭に置きまして、ビジネス上必要な人材、そしてまた、留学、家族滞在等、その他の在留資格を有する外国人に対して、入国を既に10月から認めてきているというところでありまして、まず今後どうしていくかということでありますけれども、先ほど申し上げたように、16か国の対象国・地域と、今、協議・調整を進めておりまして、残っている国もあるわけでありまして、二国間の協議・調整、これを進めて、早期の合意・運用に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 その上で、更なる緩和策というのも、今後考えていくことは重要だと思っているところでありますが、どういう施策、対策の組合せで、感染再拡大の防止と両立できるような、国際的な人の往来、再開していくのか、そのフレームであったりとか、時期については、よく検討していく必要があるなと思っております。
 そういった関係で、特に、今残ってる国の中では、日中、これがあるわけでありまして、9月の日中首脳電話会談で、経済関係者の往来の再開の実現に向けて、引き続き協議を行っていく、そのことを確認したことを踏まえまして、今、日中間で、人の往来の再開に向けた段階的措置について、現在、早期開始に向けた詰めの協議を行っているところであります。