2020年10月21日

10月21日(水曜日)、内閣府・文部科学省・経済産業省は、核燃料サイクル協議会を開催しました。本協議会では、青森県知事と加藤官房長官・関係閣僚等が、核燃料サイクル政策や特定放射性廃棄物の最終処分、原子力人材の育成・研究開発について意見交換を行いました。

※核燃料サイクル政策について、青森県と関係閣僚が意見交換を行う場。1997年の設置以降、過去、計11回開催。(前回:平成22年11月15日)

1.概要

日時:令和2年10月21日(水曜日)10時00分~10時25分
場所:総理官邸 4階 大会議室
出席者:

加藤 勝信 内閣官房長官
井上 信治 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)
高橋 ひなこ 文部科学副大臣
梶山 弘志 経済産業大臣
三村 申吾 青森県知事
池辺 和弘 電気事業連合会会長
増田 尚宏 日本原燃社長
保坂 伸 資源エネルギー庁長官(司会)  他

2.内容

(1)三村青森県知事からの確認・要請

① 原子力・核燃料サイクル政策の推進について

  • 核燃料サイクルの推進には原子力発電の一定の利用が不可欠。中長期的にブレない確固たる国家戦略として、原子力発電・核燃料サイクルを推進すると共に、国民の信頼確保と安心の醸成に努めること。
  • 国内での軽水炉サイクル確立に向け、MOX燃料加工・プルサーマルを一層推進すること。また、新たなプルサーマル計画を策定する等、使用済燃料が再処理され、回収されたプルトニウムが利用されることを明確に示すこと。
  • 高速炉の実現に向けた取組の確認。

② 特定放射性廃棄物の最終処分について

  • 青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないこと。
  • 最終処分の見通しを得るための具体的な取組の確認。
  • 廃棄物の発生者責任を有する電気事業者は、最終処分に対する理解促進等に一層取り組むと共に、ガラス固化体の搬出期限を遵守すること。

③ 原子力人材育成・研究開発について

  • 原子力施設の安全性向上や核燃料サイクルの確立のため、人材育成及び関連技術の研究開発を着実に進めること。
  • 再処理工場周辺住民の不安払拭・安心醸成のため、再処理施設の放射線影響に関する調査研究等、国として引き続き取り組むこと。

(2)関係閣僚からの回答

① 原子力・核燃料サイクル政策の推進について

  • 原子力は安定供給、エネルギー自給率などの観点から重要なベースロード電源であり、脱炭素化を実現していく観点からも重要なエネルギーであることから、今後も安全に利用していくことが必要。
  • 核燃料サイクルは、エネルギー基本計画で閣議決定している通り、我が国の基本的方針として、引き続き堅持していく。
  • 六ヶ所再処理工場やMOX燃料加工工場の竣工を進める。また、新規制基準に適合すると認められた原子力発電所について、地元の理解を得ながら再稼働を進めると共に、プルサーマルを推進する。
  • 地元の理解を得るため、原子力の意義等を丁寧に説明し、国民の信頼確保と安心の醸成に努める。
  • 今後のエネルギー基本計画の見直しにおいて、原子力の意義も念頭に、しっかりした議論を進める。
  • 「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持しつつ、原子力委員会が示した基本的考え方を通して、プルトニウムの適切な管理と利用に取り組む。
  • 高速炉開発は、核燃料サイクルの効果をより高めるものであることから、戦略ロードマップに基づき、国際協力を活用しながら推進する。

② 特定放射性廃棄物の最終処分について

  • 青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしない約束は引き続き遵守。
  • 早期に最終処分地に関する目途がつけられるよう、最善の努力を尽くす。
  • 寿都町・神恵内村の文献調査の受入れは、国として、敬意と感謝を表する。
  • 複数地域での文献調査実施に繋がるよう、最終処分の実現に向けて、国が前面に立って取り組むと共に、地元の声にも配慮し、積極的に情報発信を行う。

③ 原子力人材育成・研究開発について

  • 原子力発電所の安全な運転・保守や円滑な廃炉を行うため、安全性向上に資する技術等に対する研究開発の支援等を進める。
  • 原子力機構において蓄積した、核燃料サイクルに関する基盤技術等を活かし、日本原燃に対する支援等を行う。
  • 核燃料サイクル関連を含め、原子力分野の研究開発や人材育成に着実に取り組んでいく。

(3)電気事業連合会会長からの回答

① 原子力・核燃料サイクル政策の推進について

  • 原子力事業者として、国民の信頼確保と安心の醸成に努める。
  • 原子燃料サイクルの推進にあたり、業界一丸で日本原燃を全面的に支援すると共に、事業者間の連携・協力を含め、プルサーマルを推進する。
  • 具体的なプルサーマル計画及びプルトニウム利用計画を早期に示す。

② 特定放射性廃棄物の最終処分について

  • 特定放射性廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、処分地の選定・立地に向けて、対話活動等に取り組む。
  • 青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守する。

(4)官房長官からの発言(締めくくり)

  • 我が国の原子力政策にとって、核燃料サイクルの確立は重要。政府として、地元の声にも配慮しつつ、核燃料サイクル政策を進める。
  • 青森県を最終処分地にしない旨の約束は、現内閣においても継承。
  • 最終処分は必ず解決しなければならない課題。複数地域での文献調査に繋げ、最終処分の実現に向けて国が前面に立って取り組む。
  • 原子力政策について、安全確保を第一に、政府一丸となってぶれることなく進める。青森県の皆様には、引き続き、御理解と御協力をお願いしたい。
以上

担当

  • 資源エネルギー庁 原子力立地・核燃料サイクル産業課長 河野
    担当者:高木
    電話:03-3501-1511(内線 4791)
    03-3501-6291(直通)
    03-3501-8493(FAX)
  • 内閣府 原子力政策担当室 参事官 實國
    担当者:下村
    電話:03-6257-1315(直通)
  • 文部科学省 研究開発戦略官(核燃料サイクル・廃止措置担当) 松本
    担当者:飯塚
    電話:03-6734-4166(直通)