(令和2年10月20日(火曜日)15時26分 於:本省会見室)

日中ビジネス往来再開

【NHK 山本記者】中国とのビジネス関係者の往来の再開について伺いますが、一部報道で、週内にも合意という報道もありますけれども、調整状況と、改めて中国と往来を再開させることの意義について、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】中国との間の人の往来につきましては、既に発表しておりますように、具体的な調整、中国との間で行っているところであります。9月の日中首脳電話会談で、経済関係者の往来再開の早期実現に向け、引き続き協議を行うということで確認したことも踏まえて、日中間で段階的にどういう措置をとっていくかということを、今協議を行っているところでありますが、協議中です。協議の見通しであったりとか、往来再開の具体的な内容、時期につきまして、現時点で予断をもって述べることは差し控えたいと思っております。
 何か大きな問題でスタックしているということではありませんけれど、これは感染の拡大防止と両立する形で進める。そして、制度として十分それが適切であると、こういう制度にしていく必要がありますから、そういう観点から協議を進めているという状況であります。
 日中、お互いに極めて重要な隣国でありまして、コロナの発生する前、日本を訪れる外国人の方で中国の方が一番多かったと、経済的にも非常につながりが強い国でありまして、人の往来、そして経済の交流が再開をされることは、景気の回復、経済を回復基調に乗せていくと、こういう観点からも、極めて重要だと考えております。
 もちろんこれは中国だけではなくて、ご案内のとおり、ベトナム、タイ、シンガポールをはじめ、様々な国と協議を進め、そして実際にそういった往来の再開をしておりますが、今後とも感染再拡大の防止と両立する形での、国際的な人の往来の再開について、しっかり検討していきたいと思っています。

自衛隊による豪軍の防護

【産経新聞 石鍋記者】オーストラリアとの関係でお伺いいたします。昨日の防衛大臣会合で、自衛隊の武器等防護の対象に、オーストラリア軍を加えることで合意したとのことです。外相レベルでも、インド太平洋地域での協力を深めていくことで合意していると思いますけれども、安全保障分野での関係を更に深めていくことの意義やその必要性について、大臣のお考えをお願いいたします。

【茂木外務大臣】合意したのは、必要な調整を開始するということで合意したのだと思いますが、いずれにしても6日の日米豪印の外相会合、そして7日の日豪の外相会談での議論をはじめ、基本的な価値、そして戦略的利益を共有して、ともに米国の同盟国であります日豪両国には、様々な分野で連携・協力を更に深化させるための大きな潜在力がある、このように考えておりまして、そういった共通認識を持っているところであります。
 こういった中で昨日行われました日豪の防衛相の会談において、自衛隊によります豪州軍の武器等の警護任務の実施に向けて、必要な調整を開始すること、これが発表されたわけであります。「自由で開かれたインド太平洋」を具体的に推進していくために、特別な戦略的パートナーであります豪州との間で、安全保障を含みます様々な分野で、引き続き連携・協力を進めていきたいと、そのように思っております。
 この点につきましては、今日、ペイン外相とも電話会談を行いましたので、改めて確認をさせていただいたところです。

原発処理水の海洋放出(国際社会への説明)

【日本経済新聞 加藤記者】福島第一原発の処理水の問題についてお伺いします。政府としては近く適切なタイミングで判断をしたいということで、海洋放出の方針を近く決定するという報道もありますけれども、中国側から、決定の前にきちんと周辺国と協議をして、慎重に結論を出してもらいたいといった声が出てきています。日本政府として、方針の決定の前後にですね、国際社会や周辺国に対してどのように説明していくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】まずこのALPS処理水の取扱いにつきましては、現時点で政府としての方針、そして決定時期など正式に決めたと、このような事実はない、そのように承知をいたしております。ご案内のとおり、ALPSで多核種除去を行いましても、トリチウムがどうしても残ると、現代科学的にですね、これに対してどう対処するかと。国際的な知見というのは明らかであると思いますけれど、少なくとも福島第一原発におきます、この処理水につきましては、完全にどういう方針にするかということは、現時点では決まっていないと、そのように考えております。
 その上で我が国、例えば方針を決めたり、何らかの形でこれを排出をすると、こういう段階になる前から、これまでもALPS処理水の取扱いについて、検討状況であったりとか福島第一原発での状況、どんな形で保管をしているかと、その近くの海の状況がどうなっているか等々につきましては、各国、そしてIAEA、更には国際社会に対して、透明性をもって丁寧に説明をしてきた、このように考えておりまして、今後とも関係省庁一丸となりまして、国際社会に対しても、また地元の皆さんもありますから、丁寧な説明と、こういったことを行っていくことが必要だと思っております。

今後の対中関係

【共同通信 中田記者】先ほどのですね、中国との往来再開のお答えの中で、中国は非常に大事な隣人であってですね、人の往来も非常に、かつて多かったんだという話をされておりました。

【茂木外務大臣】かつてとは言っていません。昨年まで。

【共同通信 中田記者】ええ、昨年まで、はい、昨年まで多かったというお話でした。一方でですね、昨日、菅総理がですね、ベトナムの日越大学のスピーチで、中国とベトナム等が南シナ海の情勢でいろいろと問題を抱えている中で、南シナ海に関してはですね、開放性とか法の支配とか、そういったものとは逆行する動きが起きているというような指摘をされておりました。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、どことどこまで、quoteして今質問したんですか。菅総理の発言として、どこからどこまでquoteして質問したんですか。

【共同通信 中田記者】南シナ海について、法の支配や開放性とは逆行する動きが起きていると。

【茂木外務大臣】はい、中国、ベトナムとは言ってないですよね。

【共同通信 中田記者】それは言ってないです。南シナ海は、ベトナムですとかインドネシアですとか、そういったところと中国の方がですね、割と南シナ海情勢をめぐって、ある程度、問題を抱えているところもあってですね。

【茂木外務大臣】それはあなたの意見でしょ。

【共同通信 中田記者】安全保障の観点で、日本にとっても、存在感を中国が増していると思われるんですけれども、一方、経済的な結びつきも強いと。その中で、大臣として中国とどのように今後付き合っていくべきだと、そういうお考えを伺いたいんですが、よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】お願いしたいのですが、意見表明に対するあれなのか、事実関係に対する確認かというのは、やはりそれによって答えが違ってきますので、その点は今後よろしくお願いいたします。
 その上でお答えをさせていただきますと、これまでも申し上げておりますように、中国、今、世界第2位の経済大国となっていると。2000年の段階、世界のGDPでいいますと4%でありましたが、昨年段階になりますと、これが16%、4倍に広がると、こういう状況でありまして、日中関係、これ、先ほど申し上げたように、最も重要な二国間関係の一つであると考えております。
 また、日中両国、国際社会の様々な課題解決に向けて、大きな責任を果たしていく立場にあると、こういう認識でありますし、また、そのように中国にも申し上げ、働きかけもしてきているところであります。
 中国と、隣国でありますから、様々な懸案、存在をしているわけでありますが、引き続き首脳会談であったり外相会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきは、しっかりと主張し、懸案を一つひとつ解決して、また、中国側の前向きな対応を強く求めていく、この基本的な方針に変わりありません。