2020年10月16日

「ロボットによる社会変革推進計画」(2019年7月取りまとめ・公表)を実現するためのプロジェクトの一つとして、今般、NEDOが「革新的ロボット研究開発基盤構築事業」について公募を行った結果、技術研究組合 産業用ロボット次世代基礎技術研究機構、パナソニック(株)・東北大学、ヤンマーホールディングス(株)が採択されました。今後、産業用ロボットに関する革新的技術創出に向けて、産学が連携した基礎・応用研究がスタートします。

1.背景

当省は、ロボットの社会実装を加速し、課題先進国である我が国のロボットによる社会変革を推進することを目的として、2019年5月から7月にかけて、内閣府、厚生労働省、文部科学省と合同で「ロボットによる社会変革推進会議」を開催し、今後取り組むべき施策の方向性を示した「ロボットによる社会変革推進計画」を取りまとめました。

我が国の産業用ロボットは、世界でも高いシェアを誇っているものの、近年そのシェアは低下傾向にあり、グローバルに開発競争が激化する中で、我が国は各社単独でリスクの高い基礎研究を実施しており、十分なリソースを割くことができない状況にあります。

一方、海外では、産学連携によるイノベーション創出のためのエコシステムが構築されており、例えば、デンマークでは、100を超えるロボット関連企業や研究・教育機関、投資関連企業等が参画し、ロボティクスに係る基礎研究から市場参入まで一貫した事業推進・支援が実施されています。

こうした背景を踏まえて、「ロボットによる社会変革推進計画」では、施策の方向性の一つとして、「中長期的技術課題に対応するための産学協調体制の構築」を掲げています。具体的には、産業界が協調しつつ大学等と緊密に連携し、基礎・応用研究を実施していくこととしており、「革新的ロボット研究開発基盤構築事業」は、これを実現するため、令和2年度から新規に実施するものです。

2.採択テーマ名と採択事業者

今般、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「革新的ロボット研究開発基盤構築事業」について公募を行った結果、以下の研究テーマと事業者が採択されました。

テーマ1

テーマ名

産業用ロボットの機能向上・導入容易化のための産学連携による基礎技術研究

採択事業者

技術研究組合 産業用ロボット次世代基礎技術研究機構(ROBOCIP)

参画大学等

国立大学法人大阪大学、国立大学法人岡山大学、学校法人慶應義塾、国立大学法人神戸大学、国立大学法人筑波大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人東京工業大学、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学、国立大学法人山形大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究概要

産業用ロボットに関する汎用的なハンドリング技術やロボット動作生成技術、5G通信などに対応した遠隔制御技術を可能とする信号伝達技術、ロボットの軽量化を実現する新素材技術、ロボットへのセンサ実装技術に関する基礎研究について、産学が連携して実施する。

テーマ2

テーマ名

変種変様な多能工作業を可能にするセンシング技術搭載エンドエフェクタの開発と実証

採択事業者

パナソニック株式会社、国立大学法人東北大学

研究概要

製造現場での把持作業や組立作業、農場での収穫作業、物流での運搬作業等において、自動で動作可能な多能工エンドエフェクタの機構やセンシング技術、制御技術を確立することを目指し、産業界において広く実用可能な変種変様な対象物の把持を可能とする多能工ロボットの実現に向けた研究開発を実施する。

テーマ3

テーマ名

果菜作物収穫システムの開発

採択事業者

ヤンマーホールディングス株式会社

参画大学等

学校法人千葉工業大学

研究概要

果実および果菜の収穫ロボットを実現、実用化するため、不定形である作物構造及び果実を認識する果菜認識システムと、認識した果実を傷つけず収穫するためのエンドエフェクタに関する研究開発を実施する。

(参考)「技術研究組合 産業用ロボット次世代基礎技術研究機構」

本年7月、産業用ロボットの基礎技術研究分野において、ロボットメーカー各社が連携することで単独で行うよりも研究規模・内容を拡大・深化を促し、SDGs (Sustainable Development Goals)に則った技術革新の基盤を強化することを目的に、「技術研究組合 産業用ロボット次世代基礎技術研究機構」【略称「ROBOCIP」(ロボシップ)】が設立されました。

技術研究組合とは、複数の企業、大学、独立行政法人等が協同して試験研究を行うことにより、単独では解決できない課題を克服し、技術の実用化を図るために、主務大臣により認可、設立される法人です。経済産業省は、技術研究組合制度の利活用促進に向け、昨年11月に新たな呼称「CIP(Collaborative Innovation Partnership)」を策定しました。また、本年4月にロゴマークを策定し、CIPの設立・運営手続きの簡素化・明確化のために、「CIP(技術研究組合)の設立・運営等ガイドライン」を改訂しました。

担当

  • 本プロジェクトに関する内容

    製造産業局 ロボット政策室長 石井
    担当者:福澤、坂田、永嶋

    電話:03-3501-1511(内線3821~4)
    03-3501-1049(直通)
    03-3501-6394(FAX)

     

  • CIP制度に関する内容

    産業技術環境局 技術振興・大学連携推進課長 瀧島
    担当者:三藤、綱島、今田

    電話:03-3501-1511(内線3381~6)
    03-3501-1778(直通)
    03-3501-9229(FAX)