(令和2年10月13日(火曜日)11時50分 於:本省会見室)

中国公船の領海侵入

【産経新聞 石鍋記者】尖閣諸島に関連してお伺いいたします。中国公船が領海侵入したまま2日以上が経過したとのことです。この受け止めと、外務省の対応についてお願いいたします。

【茂木外務大臣】今年も中国公船、そして漁船等々の、領海そして周辺海域の航行が続いておりまして、これに対しましては、適時中国側に申入れを行っているところであります。

日英EPA署名式(調整状況)

【NHK 山本記者】英国との、経済連携協定EPAについてですけれども、署名に向けた調整状況をお願いします。23日に署名というような報道もありますけれども、調整状況をお願いいたします。

【茂木外務大臣】まず、お尻といいますか、英国のEU離脱後の移行期間の終了、本年末でありまして、これまでに日英の包括的経済連携協定を締結することによって、日EU・EPAの下で日本が得ている利益を継続し、日系企業のビジネスの継続性を確保することが重要である。
 こういったことを考えて、来年1月1日の発効を目指すわけでありますが、当然そうなりますと、臨時国会、この協定をお諮りするということになっておりまして、そういった国内手続きのスケジュールも考えつつ、署名を目指して今英側と調整しておりますし、また膨大な文書になりますので、その作成であったりとか、リーガルチェック、リーガルスクラブ、こういった作業を今進めているところであります。大変ですけど、順調に進んでいます。

モーリシャスの重油流出事故(日本の支援)

【日本経済新聞 加藤記者】モーリシャスの重油流出の事故についてお伺いします。まもなく事故発生から3か月ほどがたちます。先月、大臣が先方の首相とお電話した際に、これまでにない規模で協力したいというふうにおっしゃっていましたけれども、現状の日本政府としての支援の検討状況をお伺いします。

【茂木外務大臣】これは、8月に油の流出事件が発生したわけでありますが、日本政府としても非常に重く受け止め、モーリシャスの要請を受けて、直後から約1か月に渡って、国際緊急援助隊を派遣するとともに、資機材を提供してきました。
 9月にご指摘に、ありましたように、私(大臣)が、ジャグナット首相に迅速かつ長期的な視点で、これまでにない規模で協力をしていく旨、お伝えをしたところであります。
 現在モーリシャスへの協力として、事故の再発防止、環境の回復や地域住民の生計回復のための協力等について、関係省庁の協力も得て、具体的な作業を行っているところであります。
 また、今月中に、これらの協力の案件形成のための調査団、これをモーリシャスに派遣予定であります。こうした我が国の協力に対しては、先日申し上げたとおり、ジャグナット首相からも謝意が表明されておりまして、引き続き関係国・機関と緊密に連携して、モーリシャスの復旧と復興のために、協力を進めていきたいと思っております。

菅政権下における外交

【共同通信 中田記者】コロナ禍で、長らく中断されていた国内での対面外交等再開されまして、大臣も積極的に外遊に行かれておられます。菅新政権の外務大臣、並びにそのコロナ禍の外務大臣として、どのような外交を展開され、またその日本のプレゼンスを、どのように今後上げていかれるお考えかというのを伺えますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず我々が政権に復帰をして、安倍政権7年半、「地球儀を俯瞰する外交」を展開することによって、国際社会での日本の存在感、プレゼンスは大きく高まったと考えております。菅新政権においても、そういった外交方針、姿勢といったものは継続されると、このように理解をいたしております。
 私(大臣)も、昨年9月に外務大臣に就任いたしまして、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」によって、この「地球儀を俯瞰する外交」を具体化していくと、こういうお話を申し上げて、それ以来、国連での会合に始まりまして、様々な会合も行ってまいりました。
 ただ、今年の2月以降は、どうしてもコロナ禍で、なかなか対面での外交が難しい状況が生まれましたが、それでもテレビ会議、そして電話会談等、各国の外相と50回、60回と行ってきたところでありますが、実際に感染が落ち着きつつある国も出てきている。また同時に、対面で行わなければならない日英交渉のような重要な案件も出てきている。そしてコロナ禍の中で、今まで以上に様々な分野で、国際協調、実際に確認する必要というものが生まれてきている。
 こういう観点から、8月の英国から始まりまして、パプアニューギニア、そして東南アジア諸国、欧州、中東、そして週末はモンゴルと出張してきたわけでありまして、例えば日本が提唱をしております「自由で開かれたインド太平洋」の実現、自由民主主義、そして人権・法の支配、こういった共通の価値観を共有している国々と、この「自由で開かれたインド太平洋」について同じ考えを持つ、コミットをするという国が増えてきていると、非常に好ましいと思っておりまして、こういった一つの、一連の流れも作っていきたいと、こんなふうに思っております。
 もちろん、私(大臣)が直接海外に出るということもありますが、同時に先週の「QUAD」のような形で、日米豪印外相が日本に集まって、国際社会が直面する問題について議論をし、意見の一致を見、国際的に発信をする、こういったことも重要であると考えております。
 もちろんこれは、私(大臣)だけではなくて、事務方も今、いろいろな形で、具体的な対面外交を始める準備は進めているところでありまして、コロナの状況を見つつというところがありますが、リモートも使いながら、しかし対面でも行っていくと、そういったハイブリッドの外交を展開していきたいと思っております。

日中韓サミット

【ロイター通信 竹中記者】日中韓サミットについてなんですが、国内の報道で、日本側が韓国側に徴用工問題に関して、日本側の受け入れ可能な措置、取られない限り、総理、出席できないということを伝えたという報道がございます。事実関係に関して教えていただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】日中韓サミットについては、現段階で具体的な日程等も含めて、決まっていること、これはありません。

菅総理大臣の外遊(ベトナム、インドネシア)

【NHK 山本記者】菅総理の外遊について伺いたいんですけれど、今日午前中に自民党の役員会開かれまして、そこで菅総理が来週、ベトナムとインドネシアを訪問するということを明らかにしました。日本が地域の平和と繁栄に貢献する意思を内外に示したい、と述べられたということなんですけど、初外遊でこの2か国を訪問する意義については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほども、今、国際協調が必要になる中で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現、これは多くの国から賛同をいただいているところであります。そういった中で、ベトナム、今年のASEANの議長国でもあります。またインドネシア、ASEANでの大国という立場にあるわけでありまして、この両国におきまして、フック首相であったり、ジョコ大統領であったり、向こうのトップと日本のトップが胸襟を開いて、地域の問題、国際社会の課題、コロナ後の対応等々について、じっくりと話し合うことは、大変意義の深いことだと、このように考えております。