2020年10月9日(金曜日)
11時10分~11時24分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。初めに、私から2点申し上げます。

エネルギー基本計画

まず一点目、来週13日から総合資源エネルギー調査会において、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論を開始をしたいと思っております。議論の出発点ということで、13日は私も参加をする予定であります。

来年は、東日本大震災から10年の節目の年になります。改めて福島復興を着実に進め、安全最優先でエネルギー政策を進めることが議論の大前提になります。

新内閣においては、エネルギー政策を進めていく上で脱炭素化社会の実現、エネルギーの安定供給に取り組むことが方針とされております。また、国際競争力や国民生活の観点から、エネルギーコストについても配慮が必要だと思っております。

次期エネルギー基本計画の見直しに向けても、こうした3E+Sの観点を踏まえて議論を進めていただきたいと考えております。

放射性廃棄物最終処分場

二点目、最終処分に関して、寿都町の片岡町長が先ほどNUMOを訪問し、文献調査の応募書類を提出されました。この後、私の所にもいらっしゃることになっていると承知しております。

また、昨日、神恵内の村議会において、文献調査の誘致請願が採択をされました。これを受け、国から文献調査の実施に関する申入れを行うべく、今朝、小澤首席エネルギー・地域政策統括調整官を現地に派遣をしたところであります。

全国にある原子力発電所では、既に多くの使用済燃料が発生している中、高レベル放射性廃棄物の最終処分は、日本の社会全体で必ず解決しなければならない重要な課題でもあります。

この度、寿都町と神恵内村が町村内で議論を積み重ねていただき、今回の判断や議決に至ったことについて、国として敬意と感謝を表したいと思っております。国として引き続き前面に立って理解活動に取り組み、地域の御理解と御協力を得ながら、全国のできるだけ多くの地域で最終処分事業に関心を持っていただけるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

私からは以上です。

質疑応答

ALPS処理水

Q:福島第一原発の処理水の問題についてお聞きします。

昨日、意見聴取の場が開かれて、全漁連の岸会長から「慎重な判断を求める」との趣旨の発言がありました。これまでも意見聴取の場は開かれてきたんですが、今回のこの発言に対する大臣の受け止めであるとか、今後の対応方針についてお聞かせください。

A:昨日、第7回関係者の御意見を伺う場では、全漁連の岸会長及び福島県水産加工業連合会の小野代表から、ALPS処理水の海洋放出に反対であることや、特に風評影響について御懸念を持たれていることなどの御意見をいただきました。

これらの御意見及びその背景や理由など御説明をいただいたことについて真摯に受け止めてまいりたいと思います。

政府方針の決定に当たっては、その前後を問わずに、こうした風評影響等の御懸念を払拭するための対応を実施することが重要であると考えております。今後もしっかりと検討してまいりたいと思っております。

また、今後のプロセスについては、今回も含めて、これで伺う場や書面募集においていただいた御意見について、これまでいただいた御意見について、できるだけ早く整理をし、広くお示しするとともに関係省庁等と検討を深めた上で政府として責任を持って早期に結論を出してまいりたいと思っております。

放射性廃棄物最終処分場

Q:核のごみの地層処分のことについてお伺いします。

「申入れ方式」は、地域の理解が進んだところにという前提だったと思います。村内には、文献調査に賛成の村民からも「拙速である」という声がありまして、申入れできるほど機が熟していないのではないかという指摘があります。申入れできる環境が整っていると大臣はお考えでしょうか。教えてください。

また、首長の判断だけで応募できる現在の制度の在り方について、町民からは見直しを求める声もありますが、今後の見直しの御予定とかはいかがでしょうか。

A:文献調査の実施に向けては、自治体からNUMOへの応募、国からの申入れを自治体が受諾の二通りの手続があります。国からの申入れは、地域の理解活動の状況を踏まえて行うこととしております。今回は、神恵内村の村議会による文献調査の誘致請願の採択などを踏まえて申し入れることとしたものであります。

また、寿都町については住民の方向けの説明会などでは、町長の求めに応じて国として職員を現地に派遣をし、地域の不安の声等もしっかりとお伺いしながら、最終処分事業の意義や文献調査の位置付けなどについて丁寧に説明や情報提供を行ってまいりました。

いずれにせよ、今後のプロセスを進めるに当たっては、地域の皆様と丁寧にコミュニケーションを取りながら、最終処分に対する理解や議論を更に深めていただけるよう、国としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

LNG産消会議

Q:来週、LNG産消会議が開かれます。大臣、今回初参加だと思いますけれども、LNG取引の柔軟性、取り分け仕向地条項や石油連動の、石油価格連動の長期契約の見直しについて、経産大臣としてどう考えていらっしゃるのか改めて教えていただけますか。

A:日本のLNGの中長期契約は油価に連動した価格による取引割合が大きいわけであります。大体8割ぐらいが油価に連動しているということでもあります。現況の油価低迷により、安いLNGが今は享受できているという現実もあるわけであります。

しかし、この状況が続いた場合、上流投資の停滞により需給が逼迫し、中長期的にはLNGの安定供給リスクや価格高騰リスクが高まる可能性があります。これは、産出国との国際会議、また電話会談等でも向こうからも指摘をされていることでもあります。そうしたリスクを解消するためにも、本年3月に策定した新国際資源戦略に基づいて、LNGの魅力を向上させ、多様なプレーヤーの参入を促していく、そして柔軟で厚みのあるグローバルなLNG市場の構築を進めることが必要であります。

具体的には、今朝日さんがおっしゃったような、仕向地制限は更なる柔軟性が確保されることが必要であると思っております。さらに、油価連動の価格に加えて、LNGなどの需給を反映した多様な価格指標が選べることなどが重要であると思っております。そういったことも議論をさせていただきたいと思っておりますし、また来週のLNG産消会議は東京ビヨンドゼロウィークの一つとして開催されますが、こうしたLNG取引の多様化を一つのテーマとして議論し、皆様とその考え方を共有してまいりたいと思っております。

ALPS処理水

Q:福島第一原発の処理水のことでお伺いいたします。

大臣、先ほどの御発言で、今後のプロセスについては、これまでの御意見を伺う場や書面からいただいたものを整理してという御発言もありましたが、御意見を伺う場は昨日の7回目で完結したということでよろしいでしょうか。

A:これで終わりということではありませんけれども、昨日の議論を整理をしていくということがまず第一。

そして、昨日御意見をいただきました。そして、必要があれば行うということになりますけれども、7回会合を開いた。そして、その間にも100回程度、関係者向けの説明会も開いている。さらに、小委員会の開催中も説明をしてきておりますので、ある程度の意見の集約をした上で、早期に結論を出していくというのは、一つにはタンクの制約があるということも含めてしていかなければならないと思っております。

ただ、今回様々な場でいただいた御意見というのをしっかりと反映をさせていくことが重要であると思っております。

前にも申したかもしれませんけれども、9年前の大震災のときに茨城の漁業者というのも大変な被害を受けました。そして、水産加工業もそこで捕った原料でなくても、そこで作ったというだけで、これ風評被害を受けると。人の、消費者の気持ちの問題もありますから、大変大きな課題であると思っております。

そういったものも含めて、しっかりと対応をしていかなくちゃならないというのは、私自身の思いの中にございますので、そういう対応を皆さんとお話をしながら、議論をしながら、またその御意見をいただきながら対応してまいりたいと思っておりますし、また早期に、ある程度早期に結論を出していかなければならないとも思っております。

Q:関連ですみません。先月、東電の福島第一原発の廃炉カンパニーの社長が、いわゆる放出まで2年かかるということを念頭に、その2年後の10月になると厳しいと。つまり、今10月に入ってかなり厳しいということをおっしゃっていましたけれども、政府としては、まだその方針が決定していない中、もしかしたらもうちょっと時間がかかるという中、東電とタンクの増設とか、何とか対応策というのを話し合ったり、検討したりはしているんでしょうか。

A:ALPS処理水の取扱いについては、敷地が逼迫をしているという中で、その水量が日々増加していることを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りすることはできないということがまず大前提にあります。

これまで御意見を伺う場や書面での意見募集等を通じていただいた御意見について、できるだけ早く整理を行い、関係省庁などと共有し、議論を深めた上で、政府としての責任を持って早期に結論を出してまいります。

タンクが満水になる時期につきましては、降雨の状況や汚染水発生の抑制効果等を検証しつつ、これまでも東京電力の協力を得ながら継続的に精査をしてきているところであります。その時期の降雨量によって大分水の量が、発生量が変わるということと、あとは湧き水ですね。地下水をどう止めていくかということも含めて、様々な対策と併せて満水時期については精査をしているということでして、そういった中でタンク建設の要否についても、ALPS処理水の取扱いと併せて検討していく必要があると思っております。

そういう認識で変わっておりません。東電とは、日々連携を取りながら打合せをしております。

放射性廃棄物最終処分場

Q:文献調査の応募について、先ほどNUMOに寿都町長が書類を提出したと連絡が来ましたが、具体的に文献調査をいつから始めるのかを教えてください。

A:これはまだ手続についても、自治体との意見交換がありますので、いつからという話は、今の時点でははっきりとしたことは言えません。今日、この後、先ほども申しましたけれども、寿都町の片岡町長がこの後、数分後にお見えになるということで、そういった、今日は報告ということですけれども、今後コミュニケーションを密にして対応していくということになるかと思います。

Q:文献調査についてなんですが、今回北海道の二つの自治体が行うことになりまして、北海道に集中しているこの現状をどう捉えていらっしゃるか。

また、大臣、以前は複数の自治体が関心とおっしゃっていましたけれども、今後ほかにも出てくる可能性があるのか。

A:科学的特性マップの公表後、全国で対話活動を積み重ねてきた結果として、寿都町や神恵内村を始めとした複数の自治体に関心を持っていただいているものと認識していただいて結構だと思います。

寿都町と神恵内村を除いて複数の自治体もあるということで認識をしていただいて結構だと思います。

この他の地域における具体的な検討状況については、国からコメントすることは差し控えさせていただきますが、全国のできるだけ多くの地域で文献調査を実施できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

以上

最終更新日:2020年10月13日