2020年10月2日(金曜日)
11時15分~11時34分
於:記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

概算要求

Q:まず、来年度の概算要求に関連してお聞きします。例年より1か月遅れで概算要求が出そろい、来年度での政策の骨格が見え始めました。今回、デジタル化を始めとした政策が目玉に上がる一方で、事項要求の多さというのが目立ちました。コロナ対策として柔軟性も問われる一方で、明確な方向性を示すことは施策を進める上で重要になるかと思います。
改めて、今回の概算要求の趣旨であるとか、今後の対応方針についてお聞かせください。

A:9月30日、一般会計・特別会計を合わせて1.4兆円、今年度の予算に比べて13%増となる令和3年度概算要求を財務省に提出をいたしました。その際、サプライチェーン強靱化などについては事項要求を行いました。

具体的な内容や必要な予算額については、新型コロナウイルスや今後の経済情勢など予断の許さない状況が続いていることに加えて、これまでの経済対策の執行状況も勘案して精査していく必要があり、事項要求とさせていただきました。
今後、予算編成過程において具体化をさせていくこととしたいと思っております。

今言ったサプライチェーンであるとかポスト5Gであるとか、需要喚起策であるとか、これは大変重要な政策であると思っております。ただ状況を見ないと額については確たるものが言えないということもありまして、事項要求としてお認めいただきたいということでの要求を出させていただいたということです。

東京証券取引所システムトラブル

Q:もう一点、ちょっと追加で。昨日の証券取引所のシステムトラブルの件に関してもお聞きしたいと思います。

デジタル化というところが菅政権での一丁目一番地の政策になるかと思います。攻めのデジタル化といったところで社会への恩恵を与えるという期待が高い一方で、そのシステムトラブルであったりとか、そういったところでのリスクというのも増大するかと思います。
攻めと守りのデジタル化というところを進める上で、改めて対応策であるとか鍵になる点というところを大臣からお聞かせください。

A:デジタル化が進む中で証券取引システムのように、社会・経済の根幹を支える情報システムの安定稼働は、その重要性が高まっています。
昨日、私、出張先でも御社の方からも質問があったわけでありまして、その際、私の思いを伝えさせていただきましたけれども、今回の東証で終日取引が行えなくなったこと、その結果、投資家の取引機会の制限につながったことは大変遺憾であると思っております。このような情報システムの安定稼働については、まずシステムを所有する主体がしっかりと管理運営することが重要であります。東京証券取引所や今回のシステムを支えるベンダーの富士通には、迅速なトラブルからの復旧とともに原因究明をしっかり進めた上で再発防止に努めていただきたいと思っておりますし、運営主体の方はしっかりと情報を発信すると。その時々で対応すべき人たちに、その言語でしっかりと対応するということも必要なのではないかなと感じました。

容量市場

Q:容量市場について伺います。落札価格が1万4,137円と上限ぎりぎりになりまして、1.6兆円が小売事業者の負担になるので、電気料金などに転嫁されるんじゃないかという懸念もありますが、小泉大臣は「高過ぎる」などと発言していましたけれども、大臣の受け止めを。

A:小泉環境大臣、環境政策を所管する立場から、エネルギー政策の動向に関心を有しておられるものと承知をしています。その上で申し上げますと、今回の容量市場の中長期的な供給力不足への対応や、再生可能エネルギーの主力電源化を実現するために必要な調整力の確保を目的として、発電事業者の投資回収の予見性を高める制度として創設をされたものであります。

これは具体的に申し上げますと、落札価格が高過ぎるという点につきまして、落札価格が約1万4,000円であったのは事実ですけれども、今回落札した全ての電源がこの価格で支払いを受けるわけではないということを御理解をいただきたいと思います。

と申しますのは、具体的には今回落札した電源の8割は2010年以前に建設されたものです。ですから、もう償却済みということなんですね。償却済みのものは落札価格の6割に減額をして、支払額がこの金額の6割ということになります。で支払うことにしております。このため、実際に支払われる価格の平均価額は約9,500円であるということをまず事実として御理解をいただきたいと思います。

また、今回の入札の落札価格の総額については、金額が1.6兆円であったことも事実であります。これは確実に稼働できる供給力という安定供給に必要な価値に対して小売事業者が支払う対価が電力供給コスト全体の内数として明確化をされたものでありまして、国民への追加的な負担を意味するものではないということであります。

なお、一部では国民負担が追加で将来1.6兆円発生し、電気料金が国民全体で平均約500円上がるとの誤解もありますが、追加の国民負担でない以上、平均家庭が負担する電気料金は500円上がるものではないということでありまして、この点は明確に否定をしておきたいと思っております。

また、市場で決まる価格は、おのずと各国のエネルギー情勢を反映したものであり、日本の場合、足元では確実に稼働できる供給力が必ずしも十分ではないという現実があります。安定供給を確保するための維持管理コストの高い石油火力等、これ老朽施設ですけれども、維持せざるを得ない実態を反映した結果となっております。

今回第1回目ということなんですが、この結果を踏まえて今後の制度の在り方については、既に資源エネルギー庁の審議会で検討を始めたところであります。
引き続き十分な情報提供と説明を行い、事業者や有識者の御意見をお聴きしながら、しっかり検討を進めてまいりたいと思っておりますが、金額だけが一人歩きしている感じもありますので、できるだけ早いうちにエネ庁からまた皆様へも、また国民の皆様へも分かりやすい説明の場を持ちたいと思っております。

Q:単純な話をお聞かせ願いたいと思います。今回の小泉発言、小泉提言の受け止め方なんですけれども、梶山大臣、小泉提言を小泉さんからの応援歌、エールとして受け止めているんでしょうか、それとも大きなお世話として受け止めているんでしょうか、率直にお聞かせ願いたい。

A:前者だと思いますね。環境問題を避けては、これからのエネルギー政策は論じることはできません。さらにまた、産業政策も環境問題を避けて通っては論じることができないということですから、小泉さんの言葉を借りれば「切磋琢磨をして」ということで、いろいろ指摘をしながら、直すべきところは直していくという姿勢で向かってまいりたいと思います。

Q:容量市場の話でお願いします。
先ほど1.6兆円について追加的な負担ではないとおっしゃっていましたけれども、もちろん、全てが追加的ではないということは十分承知しておりますけれども、特に新電力、卸電力市場で調達する新電力にとっては、それがまるまる負担になることは間違いないところで、これについて大臣はどういうふうに受け止めていらっしゃるんでしょうか。

A:これは自由化をして、いろいろな電源、例えば再生可能エネルギーもFITでやってきましたけれども、正常な市場に入ってきてもらうための過程だと私は思っております。そういった中で、ある程度コストがかかるということだと思いますけれども、その中でまるまる負担にはならないというか、電力料金には反映しないものと思っておりますし、ここの話がこれ出てくれば、またそれなりに対応してまいりたいと思っております。

Q:電力料金を上げるか下げるかは最終的には小売事業者の判断だと思いますけれども、特に卸電力市場から調達する事業者にとってはまるまる負担ですし、相対取引などについても指導はされるとは思いますけれども、現段階で確実にここのところがちゃんと考慮されるかというのがはっきりしない中で。

A:これ最初から完成形、ごめんなさい、大丈夫?言っていい?
最初から完成形というわけにはいきませんし、自由化をした中でどう市場を形成していくかという中で、安定供給ということも含めて制度を考えていかなくちゃならないということだと思いますので、その中で今審議会で他国の例も見ながら検討していくということで、第2回以降の入札に反映をさせていきたいと思っておりますので。

1回目はこういうことでした。これ事実は事実として私どもも重く受け止めております。その中でしっかり対応していきたいと。今御指摘あったようなことも含めて、どう対応できるのかということを制度をつくってまいりたいと思っています。

Q:大臣は、じゃ、今回の結果について、じゃ、高い低いという判断では、いかがなんでしょうか。その制度設計ですね。制度の趣旨はよく分かっておりますけれども、具体的なルールについて。

A:これ一回一回に高い低いの判断は、私自身はいたしません。これは市場が決めることですので、その市場が正常に動くような、健全に動くような仕組み作りというものを考えていくということですから、一回一回高い低いの判断は、私はコメントは控えさせていただきます。

Q:需要曲線というのは、基本的に官製市場でありますから、別に需要がというのは、普通の卸電力市場とは違って、需要と供給では一致するというわけじゃなくて、需要曲線側は国側が決めていくものだと思いますけれども、いかがですか。

A:これは、例えば安定供給も含めていろいろな要素があるわけです。いろいろな要素をどうまとめていくか、自由化の中でどうまとめていくかということだと思いますので、その中の第1回目の入札が行われた。この結果に対してはしっかり受け止めた上でどうしていくか、皆さんの御意見も受け止めた上で検討会で審議をしていくということです。

Go To イベント・商店街

Q:「Go To 商店街」についてですが、今日から商店街の募集が始まりました。期待感など、また実施時期についてお聞かせください。

A:「Go To 商店街」、「Go To イベント」につきましては10月中旬からということを前もって言っているわけでありまして、今「Go To イベント」に関しては契約の手続の最終局面ということで、まだはっきりした確たるものは言えませんけれども、10月中旬からぐらいの予定でおります。

「Go To 商店街」の事務局については、読売広告社が幹事法人を務める「ひとまちみらい商店街振興コンソーシアム」が事務局として選定をされたところであります。
この点につきましては、しっかり感染の防止を図りつつ、その実効性、しっかり所期の目的を発揮できるような形で実行してまいりたいと思っております。

ただ、「Go To トラベル」があって、「Go To イート」があって、これは単独でも行けますけれども、「Go To イベント」というのは大きな人数が集まる。「Go To 商店街」も基本的には、まあ、ネットも使いながらやりますけれども、人が集まるというような前提ですから、感染防止策をしっかりとした上でということで、この業者を選定する際にも、そういう重点項目として審査をさせていただきましたし、実施に当たっても、現地調査も含めて、そういう感染拡大につながらないような形で行ってまいりたいと思っています。

Q:「Go To イベント」について質問です。「Go To イベント」のイベント事業は博報堂、商店街事業は読売広告社が中心に構成する団体にそれぞれ委託されると伺っていますけれども、また博報堂と読売広告社は博報堂DYホールディングスのグループ会社でもあります。持続化給付金事業の際に起こった無競争、もしくは再委託などの問題について、このたび再発を防ぐために何か具体的な措置のようなものは取られているんでしょうか。

A:再委託、外注というのはあるんですね。必ず生じてきます。その比率をどうするかということで、あまりにも多過ぎると、そこにおかしなことがあるんじゃないかというような疑念を抱かれるということで、持続化給付金を執行中でありますけれども、この経産省の契約についての外部委員会をつくって、契約の在り方というものを決めてきております。それらの経産省のルールにのっとって対応してまいりたいと思いますけれども、50%を超えるときには、それなりの理由が必要だということでありまして、そういったものが適正かどうかということの判断もしっかりとしてまいりたいと思っています。

行政手続きにおける押印

Q:行政手続についてお伺いします。印鑑や押印が必要な書類の種類が経済産業省が省庁の中で最も多いという指摘がありますけれども、省内、省外それぞれで経産省としてどういった取組をしていくんでしょうか。

A:経済産業省内の手続における押印については、庁舎管理の手続や機械の貸与手続など全て廃止する方向で今検討しております。例えば、物を借りるときに判が必要だとか、公のものを借りるときにですね。あと使用するときに、庁舎の使用のときに要だというようなことも含めて全廃の方向で今やっております。また、行政手続の押印についても現在精査中でありますが、約2,000種類の手続全ての押印を廃止する方向で検討しております。中でも一番経産省で申請件数が最も多いのが特許関係の手続き(注)なんですね。特許出願というのは、かなりの分厚いものになるということで書面で対応している場合が多いです。そして図面もあったりする。様々な書類があるという中で、全体を書面で管理をし、押印をしていただいているというものがありますので、これらの電子化も含めて、オンライン申請を、できる限りにオンライン申請ということで今もやっておりますけれども、今残り500種類ぐらい、800種類手続のうちの500種類ぐらいについてもオンライン申請を可能とするように事務方に検討・指示をしているところでありますので、引き続き省内手続の簡素化や行政手続の利便性向上に努めてまいりたいと思っております。

ほかの省庁のことはあまり言及したくないけれども、例えば図面がある省庁というと国土交通省とか、そういうものもありますけれども、やはりそういったものも、私も国土交通省の副大臣もしておりましたけれども、なかなかやっぱり電子化しにくい、大きな図面を広げて、それを電子化したときにどうやって見るのかというような話もある。それらも含めて、現状あるものをどうしていくかということ。原則全廃ということで今指示を出していますということで御理解をいただきたいと思います。

東京電力福島第一原発事故訴訟

Q:9月30日の仙台高裁での東京電力福島第一原発事故の賠償の二審判決について、国の賠償範囲が、賠償は認めるというような内容になったんですが、今後の政府の対応方針を教えてください。

A:9月30日に言い渡されました仙台高裁判決につきましては、国の損害賠償責任が一部認められたものと承知をしております。今後関係省庁で判決内容を精査の上、対応方針を検討するものと承知をしております。

Q:まだ控訴するとか、そういったことについてまだ決められていない。

A: 経産省のみならず、例えば法務省、原子力規制庁、文科省、関係省庁、あるいは環境省等々もありますので、それらの省庁と検討した上で対応方針を決めていくということでもあります。

放射性廃棄物最終処分場

Q:核のごみの問題でお伺いします。北海道寿都町が8日にも、また神恵内村も来週にも文献調査に応募する見通しになりました。住民理解が進んでいない中で拙速だとの指摘もある中でありますけれども、大臣の受け止めをお願いいたします。

また、現地の説明会でエネ庁さんもNUMOさんも、文献調査の中で対話活動できると説明されているんですけれども、文献調査の応募自体に反対の方もいらっしゃいます。そういう人たちにどう理解を求めるつもりでしょうか。

A:国としては町の御要望も踏まえて職員を現地に派遣をして、最終処分事業の意義や文献調査の位置付けなどについて説明や情報提供を行ってまいりました。
これまでの議会や住民説明等での議論を踏まえた今後の進め方や、地域でどのように合意形成を図るかについては町の御意向を尊重したいと思っております。

また、文献調査とは、地層処分事業に関心を示していただいた市町村に地質データなどを調査分析をして情報提供することを通じて、市町村で議論を深めていただくための、いわば対話活動の一環と考えております。これ自身が対話活動であるということであります。

さらに、文献調査の後の次の調査に進もうとする場合には、市町村長と知事の意見を聴き、これを十分に尊重することとしており、それに関しては町に対しての私の見解の文書も送っておりますし、知事とのやり取りもさせていただきました。その意見に反して先に進むことはございません。

また、20年程度を想定している調査期間中は放射性廃棄物が持ち込まれることも一切ないということを、また念を押したいと思います。

こうした文献調査の位置付けなどについて、国として引き続き積極的に説明や情報提供を行ってまいりたいと考えております。
 

(注)実際の発言は「特許出願」でしたが、「特許出願」単体ではなく、「特許関係全体」の手続件数が最大という趣旨ですので、上記のとおり修正しました。

以上

最終更新日:2020年10月12日